7518 ネットワン 2020-12-16 11:00:00
社内調査チームによる調査結果に関するお知らせ [pdf]
2020 年 12 月 16 日
各 位
会 社 名 ネットワンシステムズ株式会社
代表者名 代表取締役 社長執行役員 荒 井 透
(コード番号:7518 東証第1部)
問合せ先 管理本部 広報・IR 室 村元 裕二
(TEL. 03−6256−0615)
社内調査チームによる調査結果に関するお知らせ
当社は、2020 年 11 月 16 日付「2021 年3月期第2四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出の
お知らせ」に記載のとおり、外部機関の指摘により、納品実体のない取引により当社から複数業者へ流出し
た資金の一部が、当社が売上として計上した取引にかかる役務や物品の提供に充てられていた可能性がある
との疑義が判明したため、社内調査チームによる事実確認を実施しておりました。
社内調査チームによる調査が完了しましたので、本日別紙のとおり、調査結果をお知らせいたします。な
お、別紙では、個人情報、機密情報保護等の観点から、個人名、会社名等につきましては、一部を除き匿名
化や要約する等の処理をしておりますことをご了承下さい。
社内調査チームの調査結果に基づく影響額につきましては、本日付「外部調査委員会調査報告書公表に関
するお知らせ」に記載の外部調査委員会の調査結果に基づくものと併せて、本日、開示する予定です。
また、当社は、現在、納品実体のない取引に関する再発防止に取り組んでおりますが、このような不適切
な事案が繰り返し発生していることから、2020 年 11 月 2 日付「外部調査委員会設置に関するお知らせ」
、同
月 16 日付「外部調査委員会への委嘱事項及び外部調査委員会委員の追加に関するお知らせ」 で公表した外部
調査委員会の提言も踏まえ、当社のガバナンス及び企業文化等のより一層の改革を目的として、外部有識者
で構成される「ガバナンス・企業文化改革委員会」を設置する予定です。
株主・投資家の皆様及びお取引先をはじめ関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしま
すことを深くお詫び申し上げます。
以上
別紙
社内調査結果(要旨)
第 1. 調査の概要
1. 調査の経緯
当社は、2019 年 11 月 14 日、東京国税局による税務調査の過程で、当社の一部取引について納品の事実が確認
できない疑義があるとの指摘を受けたことを端緒に、 同年 12 月 13 日から 2020 年 3 月 11 日まで特別調査委員会に
よる調査を実施し、同年 3 月 12 日に「納品実体のない取引に関する調査最終報告書」 (以下「調査最終報告書」と
いう。 )を受領した。
調査最終報告書において、 当社の東日本第 1 事業本部第 1 営業部営業第 1 チームのシニアマネージャーであった
甲氏が、 単独で取引先と共謀し、 中央省庁をエンドユーザーとする架空の物品販売を内容とする商流取引を順次繰
り返す形で納品実体のない取引を実行していた事実、また、 かかる取引の途中で案件が分割され、 そのうちの一部
について A 社に架空の発注がなされ、さらに同社から複数の業者に架空発注されることがあり、A 社から当該発注
先に対して、一部、資金流出が認められた。他方、調査最終報告書において A 社から先の資金の流れについては認
定するには至らなかった。
こうしたことから、当社は、この時点においては、A 社への資金流出額について、2018 年 3 月期から 2020 年 3
月期に計上した累計約 51 億円の特別損失の内数として会計処理を行った。
その後、当社は、2020 年 9 月、外部機関からの指摘により、納品実体のない取引により A 社に流出した資金の
一部が、A 社から B 社又は同社の関連会社である C 社(以下あわせて「B 社等」という。 )へ支払われ、当社が売上
として計上した取引にかかる役務や物品の提供に充てられていた可能性があるとの疑義 (以下 「原価計上不足の疑
義」という。 )及び過年度の会計処理の再検討の必要性について認識するに至った。
当社は、原価計上不足の疑義についての調査及び過年度の会計処理についての検討(以下あわせて「本調査」と
いう。 )を行うため、社内メンバーと外部専門家から構成される調査チーム(以下「当調査チーム」という。 )によ
り調査を行うこととした。
2. 本調査の体制
本調査は、調査を主に担当する当社従業員 12 名と、同じく当社従業員である補助者 35 名、デジタル・フォレン
ジック及び会計調査の専門会社の 27 名により行われた。また、調査に当たっては、当社と独立性を有する弁護士
2 名(ひふみ総合法律事務所 矢田悠弁護士、神村泰輝弁護士)を外部アドバイザーとして起用した。
3. 本調査の期間
当調査チームは、2020 年 9 月 8 日から同年 12 月 15 日まで本調査を実施した。
4. 本調査の方法
当調査チームは、主に以下の調査方法により本調査を実施した。
ア 社内外の関係者らに対するインタビューの実施(当社内外の関係者 19 名)
当調査チームは、 上記外部機関からの指摘を受け、原価計上不足の疑義等に関与又はその認識を有している可能
性が認められる当社役職員 (退職者を含む)及び仕入先の営業担当者合計 19 名に対し、インタビューを実施した。
当該 19 名へのインタビューは必要に応じて複数回実施するとともに、各調査手続きの実施の過程で、確認が必要
な事項が生じた場合は、随時の確認を行った。
イ 受発注データの精査(過去 10 年分の受発注データ)
当調査チームは、納品実体のない取引が行われていたチームが担当する受発注データについて、過去 10 年間の
社内証憑の確認を行うとともに、取引先及び仕入先からも各種証憑の提供を受け、取引内容について確認を行った。
証憑確認にあたっては、発注書や請求書等はもとより、案件仕様書、作業日報、プロジェクト計画書、現場写真
といった実態把握のために必要と考えられる資料を可能な限り確認した。
ウ 確認状の送付(当社とは直接の取引のない会社に対する確認)
当調査チームは、社内情報や取引先及び仕入先からの証憑を確認することに加え、仕入先の更なる仕入先といっ
た当社と直接の取引がない会社に対しても確認状を送付し、客観的な証拠の収集を行った。
エ 当社従業員の預金通帳等の確認
当調査チームは、必要と認めた場合に、本人の同意を得たうえで当社従業員から個人通帳や銀行取引明細の提出
を受け、資金流用の有無等について確認を行った。
オ デジタル・フォレンジック(当社メールアカウント 18 名分)
当調査チームは、 本調査の対象となった事項にかかる問題に関与又はその認識を有している可能性が認められる
現在又は過去の当社の役職員合計 18 名について、当社のメールアーカイブから期間指定等により抽出したメール
データを保全し、5 万件超のメールについて調査を実施した。
第 2. 調査結果の概要
1. 立替金約 51 億円の損失の計上方法の変更について
当社は、2020 年 3 月に行った過年度決算訂正において、納品実体のない取引に関連する立替金約 51 億円につい
て、当該立替金を支払うこととなった商流の架空案件が発生した第 31 期から第 33 期(2018 年 3 月期∼2020 年 3
月期)の 3 期間にわたって損失計上をした。
しかしながら、本調査及びこれを踏まえた検討の結果、立替金約 51 億円に対応する損失は、当該立替金を支払
うことになった商流のみならず、 一連の架空循環取引の開始時点である第 29 期から第 33 期(2016 年 3 月期∼2020
年 3 月期)の全期間にわたって負担すべき性質を有する金額との結論に至った。
そこで当社は、2020 年 3 月時点の過年度決算訂正で計上した第 31 期から第 33 期の損失計上額を取り消し、以
下のとおり損失計上を行うこととした。なお、当該会計処理の変更による累計の純資産額への影響はない。
【表-1】会計処理の比較 (単位:百万円)
No 内訳 29 期 30 期 31 期 32 期 33 期 合計
2016.3 2017.3 2018.3 2019.3 2020.3
1 2020 年 03 月時点の処理(A) - - 164 3,875 1,059 5,099
2 2020 年 12 月時点の処理(B) 836 2,355 △163 693 1,377 5,099
売上原価への振替見込 (-) (44) (150) (-) (186) (381)
差額(A-B) △836 △2,355 328 3,182 △318 -
2. 売上原価の追加計上について
当社は、納品実体のない取引により A 社に流出した資金の一部について、当社元従業員甲氏の指示により A 社
から B 社等へ支払われ、当該支払いを対価として B 社等が当社へ物品及び役務を提供していた可能性を認識する
とともに、A 社経由で行われた B 社等への支払いに関する原価計上不足の疑義及び会計処理の必要性を認識し
た。
そこで、B 社等から当該疑義に関連する取引のリストの提供を受けるとともに、当該リストのうち、B 社等がさ
らに別の取引先に発注を行っている場合は、当該 B 社等の発注先からも証憑の提供を受け、これらと当社内の情
報との整合性を確認した。
その結果、第 28 期から第 33 期の期間にわたって合計 1,569 百万円に相当する役務や物品の提供が、B 社等か
ら当社に対して行われていた事実が確認された。
そこで当社は、第 28 期から第 33 期の期間にわたって追加で 1,188 百万円を売上原価計上するとともに、架空
循環取引の過程で A 社に支払われ、当社に対して提供された役務等の対価である 381 百万円を特別損失から売上
原価に振替処理することとした。
【表-2】年度別売上原価計上不足 (単位:百万円)
内訳 28 期 29 期 30 期 31 期 32 期 33 期 合計
2015.3* 2016.3 2017.3 2018.3 2019.3 2020.3
役務や物品の提供の事実が
362 303 148 328 279 147 1,569
確認できた金額
うち、特別損失からの振替見込 (-) (-) (44) (150) (-) (186) (381)
*28 期については、29 期の比較情報のみ訂正しているため、28 期の有価証券報告書等、決算短信等の訂正は行
っておりません。
なお、当社は、納品実体のない取引により A 社に流出した資金の一部について、当社元従業員甲氏の指示によ
り A 社から B 社等以外にも支払われ、当該支払いを対価として、B 社等以外から当社へ物品及び役務が提供され
ていた可能性を調査するため、A 社から、エンドユーザーが官公庁等である案件の受発注情報を管理するリスト
の提供を受け、当該リストに記載されている発注先に対して確認状を送付し、当社が追加で原価計上すべき案件
の有無について調査を行った。調査の結果、追加で原価計上すべき案件は認められなかった。
3. その他調査した事項について
当社は、上記のほか、以下の事項に関する調査を行った。なお、当該事項による決算への影響額は軽微であ
る。
概要 詳細及び結果
1 当社と A 社・B 社等との 当社と A 社・B 社等との直接取引における納品実体の有無や作業内容・金額の妥
間の直接の取引 当性の再検証を行った。 その結果、 一部取引について原価付替等が行われていた
事実が判明した。
2 約 5,400 万円の不明金 特別調査委員会による調査において当社から A 社に約 5,400 万円で発注した案
件につき A 社が約 4,000 万円の利益を得ていると判定していたところ、この判
定の妥当性の再検証を行った。 その結果、 社の得ている利益は約 2,278 万円で
A
あり、その差額である約 1,722 万円は当社の原価と評価すべきものであること
が判明した。
3 納品実体のない取引の 特別調査委員会による調査において納品実体のない取引と判定された最初の案
端緒に関する調査 件と顧客への納品実体から実案件と判定された案件との間において、発注先の
原価付替の疑義が生じたため、当該疑義を検証し納品実体のない取引の端緒と
なった事象を調査した。その結果、原価付替の事実が判明した。
4 当社の口座以外からの 特別調査委員会による調査において当社と発注先との入金確認において差額が
当社名義での支払い 生じていたため、 追加調査を行った。 その結果、当社において出金の実績がない
にもかかわらず、一部発注先において当社名義で入金されていた事実が確認さ
れた。
5 納品実体があると判定 特別調査委員会による調査において納品実体があると判定した根拠の再整理と
概要 詳細及び結果
した案件に関する再調 再判定を行った。その結果、一部取引についてのみ、 原価付替等の事実が認めら
査 れた。
6 当社元従業員甲氏と当 特別調査委員会による調査において一部の従業員から当社元従業員甲氏との間
社従業員との金銭貸し で業務外の資金交流があったとの発言があったことから、この点に対する詳細
借り 内容の調査を実施した。その結果、 当社元従業員甲氏と従業員との間で金銭の貸
し借りがなされていたものの、不正を示す事実は認められなかった。
7 その他メール調査 特別調査委員会による調査対象期間以前のメール等において、当社元従業員甲
氏による不正な取引をうかがわせるやりとりがあるとの疑義が生じたため、当
該疑義を検証し当社元従業員甲氏が不正な取引を始めた端緒となった事象を調
査した。その結果、遅くとも 2009 年には、不自然な内容のメールのやり取りが
確認されたが、端緒を具体的に特定するまでには至らなかった。
以上