7518 ネットワン 2020-12-16 11:00:00
外部調査委員会調査報告書公表に関するお知らせ [pdf]
2020 年 12 月 16 日
各 位
会 社 名 ネ ッ ト ワ ン シ ス テ ム ズ 株 式 会 社
代表者名 代表取締役 社長執行役員 荒 井 透
(コード番号:7518 東証第1部)
問合せ先 管理本部 広報・IR 室 村元 裕二
(TEL. 03-6256-0615)
外部調査委員会調査報告書公表に関するお知らせ
当社は、2020 年 12 月 14 日付「外部調査委員会調査報告書受領に関するお知らせ」に記載のとおり、同日、
外部調査委員会より資金流用の疑義並びに仕入先及び売上先を利用した原価付替の疑義に関する調査報告書
を受領し、同日以降、個人情報、機密情報保護等の観点から必要な部分的非開示措置について検討しており
ましたが、外部調査委員会ご了解のもと、 本日、部分的非開示措置を完了いたしましたので、別紙のとおり、
調査結果を公表いたします。
外部調査委員会の調査結果に基づく影響額につきましては、本日付「社内調査チームによる調査結果に関
するお知らせ」に記載の社内調査チームの調査結果に基づくものと併せて、本日開示する予定です。
また、当社は、現在、納品実体のない取引に関する再発防止に取り組んでおりますが、このような不適切
な事案が繰り返し発生していることから、別紙の外部調査委員会調査報告書における外部調査委員会の提言
も踏まえ、当社のガバナンス及び企業文化等のより一層の改革を目的として、外部有識者で構成される「ガ
バナンス・企業文化改革委員会」を設置する予定です。
株主・投資家の皆様及びお取引先をはじめ関係者の皆様には、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしま
すことを深くお詫び申し上げます。
以上
2020年 12ノ月 14 日
ネ ットワンシステムズ株式会社 御中
調 査 報告書
(開 示 版 )
ネ ッ トワンシステ ムズ株 式会社 外部調査委員会
委員長 本 村 健
委 員 和 田 芳 幸
委 員
近 藤 弘
委 貝口
長谷川 紘 之
委 員
山 田 勝 也
委 貝白
冨 田 雄 介
1
目次
第1 7
本調 査 の概 要
7
1
外部調 査 委員会 の設置経緯 等 .… ………………………
8
2
当委員会 へ の委 嘱事項 .… ……
8
3
当委員会 の構成 と調 査体制 ._
4
当委員会 の独 立性及 び 調 査 の 実効性確保 措置 .… …
. .. 10
5
本調 査 の概 要 .. 11
は 調 査対象 .… ………………・
)
11
(2) 本調 査 の 実施期 間 .… ……………………… 12
(3) 調 査方 法 ._. 13
(4) 調 査方針 の概 要 .… …………… 14
6 本調 査 の 限界 .… ………………… .. 18
第 2 甲事案 .. 18
1 調 査結果 の概 要 18
2 案件 1に お け る NOSの 資金 の不 正 流 出 につ いて 。 19
は 案件 1の 概要
)
20
(2) 案件 1に おける仕入先 b社 へ の発注額決定の経緯 。 ……………… 。 21
.
(3) 仕入先 b社 へ の発注額 の うち 19,500,000円 が水増 し取引に係 る
もの と め ら ること
認 れ ・ ・ ・ ・ 23
・・ ・
惚 )仕 入先 b社 か らプライベー ト ンパニーXl社 に 19,500,000円
カ
の送金 がなされた経緯 ……… . 28
脩 )小 括 .… ………………・ 29
3 案件 2に おける NOSの 資金 の不正流出について .… ... 30
(1) 案件 2の 概要 。 30
.。
(2) 案件 2に おける仕入先 c社 へ の架空発注の経緯及び不正流 出金
が A氏 のプ ライベー ト ンパニー に流入 した経緯 ……………………… 31
カ
舌
(3)′ lヽ 才 .… 35
4 A氏 の欺岡的行為 によりNOSか ら流出した資金 の使途について ,… ….36
(1)プ ライベー ト ンパニーXl社 及びプライベー ト ンパニーX2社
カ カ
36
に流入 した 資金 .…
37
(2) 本件 Xl社 口座及 び 本件 X2社 口座 か らの 出金 の 内容 .… ……………・
38
(3) 小括 .
39
5 A氏 が不 正 行為 に及 んだ動 機 につ い て
39
但 A氏 の弁解内容
)
(2) 案件 1に おいて見込 まれていた赤字に補填する目的を排斥 しが
た い こ と .… 39
儡 )客 観的事実関係 から個人費消 目的が推認 できること 40
(4) ′ 1舌 ._.
lヽ … … … 。41
6 案件 1に おける複合取引内の原価付替 について .… .
… … … .41
第 3 乙事案 .… ……… .
42
2
1 調査結果 の概 要 42
2 乙事案 の 内容 ._. 42
(1)前 提 事実 .… ………………………・ 42
12)原 価付替 .… ……… . 44
(9 個別の原価付替に係る経緯 .… … 47
3 背景事情 .… . 50
(1)リ ース会社に 「リス ク費」を保留 した事情 ……………………… ・ 50
121 保留 した 「リス ク費」 が 当該案件 の費用以外 に充 て られて しま
5 ヽ
った事情 .… ……… .
■
4 個人的な着服 の嫌疑 5
0
わ
(1)エ ンジニアの外注費 .… …
5 0
る
.
5 ︵ツ
(2)モ ニ ター .… …… .
包
(31 ハ ー ドウェ アの保 守 パ ック
5 つ
ね
5 0
14)ソ フ トウェアの ライ セ ンス及 びそ の配布 ・ 導入 パ ッケー ジ等
ね
4
5 0
第 甲事案 の類似案件 .… …… .
じ
5 つ
1 調査結果 の概要 .… ……… .
じ
仕入先 m社 との 取 引 を利 用 した原価付替 .… …………
5 つ
2
じ
5 0
(1)調 査結 果 の概 要 。 ……………………・
……
じ
12)仕 入先 m社 と NOSの 関係 .… ……………・
5 つ
0
)NOSの 指示に基づ く見積書 の作成等
5 つ
俗
じ
5 刀
14)資 金 のプ ー ル .
仕
3 仕入先 n社 との 取 引 を利 用 した原価 付替 .… 5
医
υ
5 医
(1)調 査結 果 の概 要 .… … ………………………
υ
12)NOSと 仕入先 n社 の 関係
5 医
υ
「 ール金」作出の経緯等 .… ……………
プ(制
5
医
υ
)「 プール金」の管理運用実態。
5 父
惚 ……………
∪
5 7
第5 乙事案 の類似案件
1
5 7
1 調 査 結果 の概 要 ..
‘
5 O
2 案件 4の 内容 .… …………・
O
5 O
(1)前 提事実 。 ………………・
5
O
n
12)原 価付替 .… ……………・
ν
6 刊
3 背景事情 .… …………………
上
6 ヽ
第6 調査 の過程 で検 出 され た事項
■
6 ︵ツ
第7 最後 に 。 2
3
別紙】
【 (添 付省略)
別紙第 1・ 5(2) 外部調査委員会開催一覧
別紙第 1・ 5(3)ア の 1 ヒア リング実施状況一覧
別紙第 1・ 5(3)ア の 2 ヒア リングに基づ く追加調査一覧
別紙第 1・ 5(3)夕 の 1 メールデー タの レビュー概要
別紙第 1・ 5(3)ウ の 2 メールデー タの レビュー結果①
別紙第 1・ 5(3)ウ の 3 メールデー タの レビュー結果②
別紙第 1・ 5(3)工 の 1の 1 社 内ア ンケー ト
別紙第 1・ 5(3)工 の 1の 2 複合取引に関す るア ンケー ト
別紙第 1・ 5(3)工 の 2 社内アンケー ト 概要
別紙第 1・ 5(3)工 の 3 社内アンケー ト に基づ く追加調査一覧
別紙第 1・ 5(3)オ の 1の 1 取引先 アンケー ト
別紙第 1・ 5(3)オ の 1の 2 取引先 アンケー ト (第 2回 )
別紙第 1・ 5(3)オ の 1の 3 リ ース会社 アンケー ト
別紙第 1・ 5(3)オ の 2 取引先 アンケー ト 概要
別紙第 1・ 5(3)力 の 1 臨時内部通報窓 口 概要
別紙第 1・ 5(3)力 の 2 臨時内部通報結果一覧
別紙第 4・ 3(4)の 1 仕入先 n社 提出に係 る本件管理表 (2018年度)
別紙第 4・ 3(4)の 2 仕入先 n社 提出に係 る本件管理表 (2019年度)
4
主な略語一覧
正式 名 称 ・ 用語 の意 味等 拇語
各
ネ ットワンシステムズ株式会社外部調査委員会 当委員会
ネ ッ トワ ンシス テ ムズ株 式会社 NOS
ネ ッ トワンシステムズ株式会社 の東 日本第 1事 業本部 第 1チ ー ム
第 1営 業部第 1チ ーム
A氏
をエ ン ド ーザー とする
ユ 案件 1
及び
案
件
をエ ン ド ーザー とする
ユ 案件 2
案件
株 式会 仕 入先 b社
プ ライ ベ ー トカ ンパ
ニ ー Xl社 、又 は Xl
社
式 会社 仕 入先 c社
株式会 プ ライ ベ ー トカ ンパ
ニ ー X2社 、又 は X2
社
氏 B氏
5
H氏 C氏
をエ ン ドユーザー と る
す 案件 3
案件
式社 ■
株会 ■ 売 上先 d社
株会■■
式社■■ 仕 入先 e社
6
第 1 本調 査 の概 要
1 外部調 査 委員会 の設 置経緯等
NOSは 、 2019年 11月 14日 、東京 国税 局 に よる税務調査 の過 程 で 、 一 部
取 引 につ い て 納 品 の 事 実 が確認 で きな い 取 引 が あ る 旨の 疑 義 が あ る との指
摘 を受 けた こ とを端 緒 に 、 同年 12月 13日 か ら 2020年 3月 11日 まで特別
1(以 下 「2019年 設
調 査委 員 会 置調 査 委 員 会 」 とい う。 )に よる調 査 を実
施 し、 同月 12日 に 2019年 設置調査委員 会 か ら 「納 品実体 の な い 取 引 に 関
す る調査最 終報告書」 (以 下 「2020年 3月 付調 査報 告書 」 とい う。 )を 受
領 した。
そ の後 、
は 、 同年 10月
22日 、外部機 関 αか らの指摘に より、①A氏 が、案件 1に おいて、仕入先
の仕入先 b社 との間で、発注額 が実際の機器や役務 と比較 して過大な金額
である取引 (以 下、 このよ うな取引を 「 水増 し取引」 といい、水増 し取引
「
に係 る発注を 水増 し発注」 とい う )を 行 うことによ り、NOSの 資金 を
。
仕入先 b社 に対 し不正に流出させ 、かつ 、仕入先 b社 をして当該資金 の全
部又は一部をA氏 のプ ライベー ト カンパニー に流入 させた疑義、及び②A氏
が、案件 2に おいて、仕入先 の仕入先 c社 との間で、実際の機器 の納入や
役務 の提供等 を伴 わない敗引 (以 下、 このよ うな取引を 「 架空取引」 とい
い 、架空取引 に係 る発注を 「架空発 注」 とい う )を 行 うこ とに より、
。
NOSの 資金を仕入先 c社 に対 し不正に流出させ 、かつ、仕入先 c社 及び第
二者 を して当該資金 の一部を A氏 のプ ライベー ト ンパニー に流入 さ
カ せた
疑義 (以 下、① の案件及び② の案件 を併せて 「甲事案」 とい う )を 認識
。
した。
NOSは 、かかる指摘 を踏 まえ、社内調査 を行 った ところ、甲事案 におけ
る不正流 出の疑義 が相 当程度高まった ことか ら、甲事案 の事実関係 の調査 、
甲事案 の類似案件 の調査等を目的 として、同年 11月 2日 開催 の取締役会に
お いて、NOSと 利害関係 を有 しない外部専門家 のみ を委員 とす る外部調査
委員会 の設置を決定 した。
また、NOSは 、同年 10月 31日 、C氏 か らの説明を端緒 として、C氏 が、
案件 3に おいて、NOSの 売上先 である売上先 d社 に 「リス ク費」2を 保留す
るス キームを利用 し、当該 「リス ク費」 を当該案件以外 の案件 の費用 の支
払に使用す ることによ り 原価付替を行 つた との疑義 (以 下 「乙事案」 とい
う )を 認識 した。
。
NOSは 、 乙事案 の調査を進 めていたが、A氏 が、甲事案 において NOSの 資
12019年 12月 13日 に設置 され た
、演邦久弁護 士 を委員長 とす る NOSの 特別調査委員会
2本 報告書 にお いて 「リス ク
費」又 は 「プール 金 とは ある案件
」 だし の
、 (た 、他 案件 も
対象 とされ る場合 もあ る。 )に お いて 追加 の費用 が発 生 した場合 に備 え、 あ らか じめ仕
入先又 は売上先 に保留 され る資金 を指す。
7
金を仕入先に流出させ 、更 にそれを自己のプ ライベ ー ト カンパニー に流入
させたのは、 「リス ク費」 を NOS社 外に保留 し、追加発注等が生 じた場合
に使用す る目的であった (す なわち、原価付替を行 う目的であった)と 説
明 していた ことも踏 まえ、同年 11月 16日 、当委員会 に紺す る委口
属事項 に、
乙事案 の事実関係 の調査、並びに甲事案又は 乙事案 と類似す る原価付替 の
疑義 の調査 を追加す るとともに、会計処理に専門的な知識 を有す る委員 と
して、NOSと 利害関係 を有 しない公認会計± 3名 を当委員会 の委員に追加
した。
2 当委員会 へ の委 嘱事項
NOSの 当委員会 に姑す る委 嘱事項 は以下 の とお りで あ る。
① 甲事案及び乙事案 に係る事実関係 の調査
② 甲事案又は乙事案に類似する事象の有無の調査
③ 甲事案又は乙事案が事実であることが判明した場合、必要に応 じ、
その原因の究明及び再発防止策の提言
④ 上記各号の委嘱事項を遂行 した結果 に基づ く 査報告書の作成、及
調
びその調査報告書のNOSへ の提出
⑤ その他、当委員会が必要と めた事項
認
3 当委員会 の構成 と 査体制
調
当委員会 の構成 は 、以 下 の とお りで ある。
委員長 本村 健 岩 田合同法律事務所 弁護 士
委 員 和田 芳幸 和 国会計事務所 公 認 会計 士
委 員 近藤 弘 株 式会 社 ク リフ ィ ックス FAS 公 認 会計 士
委 員 長谷川紘 之 片岡総合法律事務所 弁護 士
委 員 山田 勝也 株 式会社 G&Sゾ リュー シ ョンズ 公認 会計 士
委 員 冨田 雄介 岩 田合同法律事務所 弁護 士
当委員会 は 、委 嘱事項 に関す る調査 (以 下 「本調 査 」 とい う。 )を 実施
す るに際 して 、後記 の弁護 ± 12名 (米 国 ニ ュー ヨー ク州 弁護 ± 1名 を含
む 。 )、 公 認 会計 ± 12名 、 そ の他 パ ラ リー ガル・ ス タ ッフ等 6名 を調査補
助者 と して任命 し、本調 査 の補助 に当た らせ た。
8
なお 、 当委員 会 の委員 及 び 調 査補 助者 は い ず れ も 日本弁 護 士 連合会 に よ
る 「 業等 不祥 事 にお け る第 二者 委員会 ガイ ドライ ン」 (2010月 7月 15日
企
公表 、2010年 12月 17日 改訂 )(以 下 「 日弁連 ガイ ドライ ン」 とい う。 )
に準拠 して選 任 され てお り、NOS並 び にそ の連結 子会社 及 び 非連結 子 会社
(以 下 「NOSグ ル ー プ」 とい う。 )と 何 らの利 害 関係 を有 して い ない 。
岩 田合 同法律 事務所 弁護 士 唐澤 新
弁護 士 齋藤 弘樹
弁護 士 山名 淳 一
弁護 士 堀 譲
弁護 士 堀 優 夏
弁護 士 福 地 拓 己
米 国 ニ ュー ヨー ク州 弁護 士 sander Cohen
パ ラ リー ガル ・ ス タ ンフ等 岡本有 平 、塩 野 由
姫 、鈴木梨奈 、 土 井真 波 、水尾麻 理絵
片 岡総合 法律事務所 弁護 士 福 田 隆行
弁護 士 柳原 悠輝
弁護 士 山根 祐輔
弁護 士 中里 拓也
弁護 士 宜保 茉利子
公 認 会計 士 チ ー ム 公認 会 計 士 山 口 満
(CPAパ ー ト ー ズ株 式会 社 )
ナ
公 認 会 計 士 片 岡 宏介
(CPAパ ー ト ー ズ株 式会社 )
ナ
公 認 会 計 士 辻本 真介
(株 式会 社 ク リフ ィ ックス FAS)
公 認 会 計 士 神原 大樹
(株 式会 社 ク リフ ィ ンクス FAS)
公 認 会 計 士 高木 明
(高 木公認 会計 士 事務所 )
公 認 会 計 士 萩原 正也
(CPAコ ンサ ル テ ィ ング株 式会社 )
公 認 会 計 士 日高 康輝
(日 高康輝公認 会計 士
。 理 士 事務所 )
税
公 認 会 計 士 細川 泰 弘
(フ ォ ワー ドコ ンサ ル テ ィ ング株 式会 社 )
公認 会 計 士 吉 田 圭太
(吉 日圭太公認 会計 士 事務所 )
公認 会 計 士 渡部 亮
(渡 部 亮公認 会 計 士 事務 所 )
9
他 1名
株 式会社 foxcale 公認 会計 士 小池 赳 司
シニ アア ンシエ イ ト 林 美雪
さらに、当委員会 は、関係す る資料及びデー タの収集 ・整理 。 当委員会
へ の提供、 ヒア リング対象者 へ の連絡、 日程調整その他本調査に関す る事
務 のため、NOSの 従業員 19名 を当委員会 の事務局 として選任 し、 これ らの
事務 に当た らせた。
4 当委員会 の独 立性 及 び調 査 の実効性確保 措置
NOSは 、2021年 3月 期第 2四 半期決算を控 え、迅速な調査及び NOSと の
間の緊密 な情報連携が必要 となることか ら、当委員会 について、 日弁連ガ
イド ライ ンに基づ く第二者委員会 の形態は採用 してい ない。 もつ とも、当
委員会は、 日 弁連 ガイ ド ライ ンの趣 旨を最大限に尊重 し、当委員会 の委員
を NOSグ ルー プか ら 立性を有す る外部専門家 のみで構成する とともに、
独
概略、以下 の事項を NOSと 合意 した。
① NOSは 、当委員会 に対 して、NOSが 所有す るあらゆる資料、情報、役
職員 へ のアクセスを保障す ること。 また、NOSは 、NOSの 子会社、役
職員 の支配す る会社、 取引先そ の他 一切 の 関係先等 につい ても同様
のアクセスが保障 されるよう 最大限努力す ること
② 当委員会 が必要 と判断 した ときは、当委員会 の委員は、NOSの 取締
役会 に出席 し、又は監査役 に対 し直接意見 を述べ 、かつ、当該意見
に関 し取締役・監査役 の意見 を求めることがで きること
③ NOSは 、当委員会か ら求めがあった場合、遅滞 なく、NOSの 役員、従
業員等 に対 して、当委員会 による調査及び情報提供 の要請に射す る
優先的な協力 を業務上 の義務 として命 じ、 これを周知、徹底 しなけ
ればならないこと
④ 当委員会 の委員は、当委員会 を通 じて、必要に応 じて NOSの 費用 で、
デ ジタル調査 の専門家等 の各種専門家を選任 し、本調査及び答 申そ
の他 当委員会 の活動へ の協力を求 めることができること
⑤ NOSは 、当委員会 の求めがある場合には、適切 な人数 の従業員等 に
よる事務局を設置す ること。 また、事務局は当委員会に直属す るも
のとし、事務局担当者 とNOSと の間で情報隔壁を設けること
⑥ 当委員会に よる調査報告書等 の起案権 の一切は、当委員会 に帰属す
ること
⑦ 当委員会は、調査 により 判明 した事実及 びそ の評価 を、NOSの 現経
営陣 に不利 になると考えられ る場合であって も、調査報告書等に記
10
載す る こ とがで き るこ と
③ 当委員会 の活 動 に姑 し、NOSの 役 職 員及 び そ の他 の者 に よる妨 害行
為等 が あ る と認 め られ た 場合 には 、 当委 員 会 の委員 は、 当委員 会 を
通 じて 、 当委 員 会 が必 要 と認 め る事 項 を、調査 報告書 等 に記載 す る
こ とがで き、 また 、NOSに 対 して 、NOSの ホー ムペ ー ジにお い てプ レ
ス リリー スす る こ とを求 め る こ とがで き る こ と
5 本調査 の概要
(1)調 査対象
本調査 の対象 は後記 アない し工 の事項 (以 下 「 査対象事項 」 とい
調
う )で ある。 も
。 つ とも、後記 ウ及び工 の 甲事案又は乙事案 の類似案件
の調査については、NOSの 財務諸表へ の影響 を確定する必要性 を踏 まえ、
直近 5年 間における取引を重点的に調査する観点か ら 2015年 4月 から
2020年 11月 までを基本的な調査期間 として設定するとともに (た だ し、
必要に応 じてそれ 以前 の期間に遡 つて調 査 を実施 している。)、 NOSの
財務諸表 へ の影響 を加味 し、調査封象 を決定 した。 また、NOSに お いて
は、2013年 2月 4日 設置 の特別調査委員会による調査、2013年 12月 2
日に開始 された ■■■■法律事務所による調査、2019年 設置調査委員会
による調査 (NOSが 仕入先 e社 又は仕入先 b社 と行 っていた取引に関す
る調査 を含 む。)、 並びに 内調 査 等 が既 に実施 され 、
又 は実施 中 で あ っ た こ とか ら、 これ らの社外 調 査又 は社 内調査 等 の対象
とな つ た案件 につ い て は 、後記 ウ及 び 工 の 甲事案 又 は 乙事案 の類似 案件
の調 査 の対象外 とす るこ とと した。
ア 甲事案
甲事案は、①A氏 が、案件 1に おいて、仕入先 b社 との間で水増 し
取引を行 うことにより NOSの 資金を仕入先 b社 に対 し不正に流出させ 、
かつ、仕入先 b社 を して当該資金 の全部又は一部を A氏 のプ ライベー
ト カンパニー に流入 させた との疑義 が認 め られた案件、及 び②A氏 が、
案件 2に おいて、仕入先 の仕入先 c社 との間で架空取引を行 うことに
より NOSの 資金 を仕入先 c社 に対 し不正に流出させ 、かつ、仕入先 c
社及び第二者 をして当該資金 の一部を A氏 のプ ライベー ト カンパニー
に流入 さ せた との疑義 が認 められた案件 である。
た案 ■■ 「 ン ユ ザ a」 い 。
ま 、 件1は 、 ■ (以 下 エ ド ー ー と う )が 入
札 の手続 を実施 し、落札者 に対 しシステ ム設計、機器納入、 システム
構築、一定期間の保守業務等 をま とめて一括 で委託す る取引 (以 下、
このよ うな取引を 「 複合取引」 とい う )の 案件 であるが、当委員会
。
は、 甲事案 の調査 の過程で、A氏 が、役務費用 とすべ き原価 を機器 費
用又は保守費用 に付 け替 えた り、保守費用 とすべ き原価 を機器費用に
付け替 えた りした との疑義を認識 した。 そ こで、当委員会 は、かかる
11
疑義 の調 査 につ い て も、本調査 の対象 とす る こ とと した。
イ 乙事案
乙事案 は、C氏 が、 (以 下 「 ン ド
エ ユーザーf」 とい う )
。
ユ
をエ ン ド ーザー とす る案件 3に おいて、NOSの 売上先 である売上先 d
こ
社イ 「リス ク費」 を保留す るスキーム を利用 し、当該 「リス ク費」 を
当該案件以外 の案件 の費用 の支払に使用す ることにより 原価付替 を行
った との疑義 が認 められた案件 である。
ウ 甲事案 の類似案件
前記 ア の とお り、 甲事案 にお い て は 、A氏 が 、仕 入 先 との 間 で 架 空
取 引又 は水 増 し取 引を行 うこ とに よ り NOSの 資金 を不正 に流 出 させ 、
これ を A氏 のプ ライ ベ ー ト ンパ ニ ー に流 出 させ る こ とに よ り不 当に
カ
利 得 を得 た との疑 義 が生 じていた ところ、本調 査 の 当初 の段 階 にお い
て は、A氏 は 、 これ らの取 引 を行 つ た の は 、 「 リス ク費 」 を仕 入先 に
保 留 し、追加 発 注等 が生 じた 場合 に使 用 す る 目的 で あ つ た (す なわ ち 、
原価 付替 を行 う目的 で あ っ た )と 説 明 して い た。
そ こで 、 当委 員 会 は 、 NOS又 はネ ッ トワ ンパ ー トナ ー ズ 株 式 会 社
(以 下 、NOSと 併 せ て 「NOS等 」 とい う。 )の 役職 員 が 、仕 入先 との 間
の架 空取 引又 は水 増 し取 引 を利 用 して NOS等 の資金 を不正 に流 出 させ 、
これ に よ り利 益 を得 る行為 又 は原 価 付 替 を行 う行 為 を、 甲事案 の類似
案件 として調 査 を行 うこ とと した。
また 、前記 ア の とお り、 甲事案 にお い て は 、複 合 取 引 にお け る原 価
付 替 の疑 義 が生 じた こ とか ら、 当委 員 会 は、NOS等 の役職 員 が 複 合 取
引 にお い て原価 付 替 を行 う行 為 も甲事案 の類似案件 と して調 査 を行 う
こ とと した。
工 乙事案 の類似案件
前記イ の とお り、乙事案においては、C氏 が、NOSの 売上先 であるリ
ース会社に 「リス ク費」 を保留す るス キームを利用 して原価付替 を行
った との疑義 が生 じていたため、当委員会 は、NOS等 の役職員 が、 リ
ース会社に 「リス ク費」 を保留す るス キーム を利用 して、 これにより
原価付替 を行 う行為又は利益 を得 る行為を、 乙事案 の類似案件 として
調査を行 うこととした。
似)本 調査 の実施期間
当委員会 は 、 当委員会 が設置 され た 2020年 11月 2日 か ら同年 12月 13
日まで本調 査 を実施 した。 当委員会 は、本調 査 の 実施 に 当た り、別 紙 第
1・ 5(2)の とお り合 計 13回 の 委員 会 を開催 す る とともに、正式 な委 員会
以外 に も、委員 、調 査補 助者 との 間 で 多数 回 にわた り協議 を行 つ た。
12
13)調 査方法
当委員会は、調査封象事項を解明す るため、以下の調査方法を採用 し
た。
ア 関係者 に姑す る ヒア リング
当委員会 は 、NOS及 び取引先 の役職員 (退 職者 を含 む。 )を 対象
に、面談又 は WEB会 議 の方式により、59回 のヒア リングを行 った。当
委員会が ヒア リングを行 った人物及び実施 日は別紙第 1・ 5(3)ア の 1の
とお りであ り、また、かかる ヒア リングを踏 まえ当委員会 において 甲
事案又は 乙事案 の類似案件 の可能性 があるもの として実施 したフォ ロ
ーア ップ調査 の内容は別紙第 1・ 5(3)ア の 2の とお りである。
イ 関係資料 の精査
当委員会は、必要に応 じて、NOS及 び 関係者に対 して、調査対象事
項 に 関係 す る と当委 員会 が 考 える 関係 資料 (電 子媒体 の もの も含
む。)の 開示を依頼 し、開示を受 けた関係資料 についてその内容を精
査 した。当委員会が精査 した関係資料 とは、①契約書、見積書、注文
書、請求書等の取引帳票、②案件受注、仕入れ、支払等 の業務プ ロセ
スに関する資料、③仕入先 。 上先別取引デー タ、④預金 口
売 座出入金
記録、ク レジ ッ ト ー ド
カ 利用明細、税務申告書等である。
ウ メールデー タの レビュー
当委員会は、NOSの 役職員 (退 職者 を含 む。)の うち 15名 の対象者
につい て、サーバ に保 管 されていたメール アーカイブか らメールデー
タを保全 した上で、 キー ワー ド による検索を行 い、該 当 したメールデ
ー タについて分析 を行 った。 なお 、 メール デー タを保全 した対象者、
メールデー タの分析 を行 った封象期間等 は別紙第 1・ 5(3)ウ の 1の と
お りであ り、その分析 の結果は別紙第 1・ 5(3)ウ の 2及 び別紙第 1・
5(3)ウ の 3の とお りである。
工 社 内 ア ンケー ト
当委員 会 は 、 2020年 H月 19日 か ら同月 25日 まで の 間 に 、NOS等 の
事業本 部所 属 の 営業職 、技術職 及 び企 画事務 職 を対 象 と した ア ン ケー
ト 査 を実施 し、調 査 対象 事項 に 関す る事 実 そ の他 不適切 な取 引又 は
調
行為 の 有 無及 び 内容 に つ い て 、取 引又 は行 為 の 時期 を問わず 、広 く情
報提供 を求 めた。 当委員 会 は 、別紙 第 1・ 5(3)工 の 1の 1の ア ンケ ー
トを合 計 1308名 に発送 し、期 限ま で に回答 がな され なか っ た役 職員 に
封 して個別 に回答 を催 告す る こ とに よ り、8名 の未 回答者 を除 く 1300
名 全 員 か ら回答 を回収 した 。 また 、 8名 の未 回答者 に つ いて は 、未 回
答 の理 由 (休 職 等 )を 検 証 し、そ の 妥 当性 を確 認 した 。 当該 ア ンケ ー
トに対 して は 、誤 回答 で あ る も の を除 き、 36件 の 有 意 回答 が な され
13
た。
また 、 当委員会 は 、 2020年 12月 2日 か ら同月 3日 まで の 間 に 、NOS
の一 部役職 員 を姑象 と した ア ンケ ー ト 査 を実施 し、複 合 取 引案件 に
調
お け る原 価 付 替 の 有 無 に つ い て 調 査 した 。 当委 員 会 は 、別 紙 第 1・
5(3)工 の 1の 2の ア ンケ ー トを 34名 に発 送 し、 34名 全員 か ら回答 を
回収 した。 当該 ア ン ケー トに射 しては 、4件 の有意 回答 が な され た。
各 ア ンケ ー トの 実施及 び 結果 の概 要 は別紙第 1・ 5(3)工 の 2、 ア ン ケ
ヘ
ー ト の 回答及 び 当委 員 会 に よる フ ォ ロー ア ップ 調 査 の 内容 は別紙 第
1・ 5(3)工 の 3の とお りで あ る。
オ 取 引先 ア ンケー ト
当委員会 は 、NOSの 仕 入 先及 び 売 上 先 を対象 と した ア ン ケ ー ト 査
調
を実施 し、調 査 対象 事 項 に関す る事 実 そ の他 不適切 な取 引又 は行 為 の
有無及 び 内容 につ い て 、取 引又 は行為 の 時期 を問わず 、 広 く情報提供
を求 めた。仕 入先 に対 しては第 1回 のア ンケー ト (別 紙 第 1・ 5(3)オ
の 1の 1)を 34社 に 、第 2回 (別 紙 第 1・ 5(3)オ の 1の 2)の ア ンケ
ー トを 18社 に送付 し、売 上 先 に対 しては リー ス会社 5社 に 2種 類 のア
ン ケー ト (別 紙第 1・ 5(3)オ の 1の 1及 び別 紙第 1・ 5(3)オ の 1の 3)
を送付 した。 これ らのア ンケー トに姑 して は 、合 計 4件 の有意 回答 が
あ っ た。 各 ア ンケ ー ト 査 の 実施及 び 結 果 の概 要 は別 紙 第 1・ 5(3)オ
調
の 2の とお りで あ る。
力 臨時内部通報窓 口の設置
当委員会は、2020年 11月 19日 か ら同月 30日 までの間に、岩 田合
同法律事務所及 び片 岡総合法律事務所 を窓 口とする臨時内部通報窓 口
を設 置 し、NOS等 の役職員全員 に対 し、調査対象事項 に関す る事実そ
の他不適切 な取引又は行為 の有無及び内容について、取引又は行為 の
時期 を問わず、広 く情報提供 を求めた。臨時内部通報窓 口に対 しては
7件 の情報 が提供 された。臨時内部通報窓 口の概要は別紙第 1・ 5(3)カ
の 1の とお りであ り、臨時内部通報窓 口に提供 された情報及 び当委員
会によるフォ ローア ンプ調査 の内容は別紙第 1・ 5(3)力 の 2の とお り
である。
キ プライベー ト カンパニー調査
甲事案 においては、NOSの 仕入先 に不正に流出 した NOSの 資金 の一
部 が、A氏 が代表取締役 を務 める A氏 のプ ライベー トカンパニー に流
入 した疑義 があった ことか ら、当委員会 は、調 査会社 に委託 して 、
NOSの 役職員 (退 職者 を含 む。)35名 について、同人又はその配偶者
が役員を務 める法人 の有無について調査 を行 った。
像)調 査方針 の概要
14
当委員会は、本調査 に当た り、調査対象事項を解明す るため、調査対
象事項 の全部又は一部に共通す る調査方法 のみな らず 、調査対象事項 の
特性 に応 じた様 々な調査方法 を採用 した。以下、調査対象事項 について
の当委員会 の調査方針について述べ る。
ア 甲事案
当委員会は、甲事案 の調査 として、①A氏 、NOSそ の他 の関係者 から
提供を受けた関係資料の精査、②A氏 その他 の NOSの 社内外の関係者
に封する ヒア リング、③A氏 その他 の関係者 の電子メールデー タのレ
ビュー及び④A氏 のプ ライベ ー トカンパニーの有無 の調査等 を行 っ
た。
イ 乙事案
当委員会は、乙事案 の調査 として、①C氏 、NOS、 売上先 d社 その他
の関係者 から 提供を受けた関係資料の精査 (乙 事案 の姑象プ ロジェク
ト全体の売上高及び売上原価 の計上の推移 の確認を含む。)、 ②C氏
その他 の NOSの 社内外 の関係者 に対するヒア リング、③C氏 その他の
関係者 の電子メールデー タのレビュー及び④C氏 のプライベー ト カン
パニーの有無の調査等を行 った。
ウ 甲事案 の類似案件 の調査方法
前記 (1)ウ の とお り、当委員会 が 甲事案 の類似案件 として調査 の対
象 とした行為類型は、NOS等 の役職員 が、仕入先 との間の架空取引又
は水増 し取引を利用 して NOS等 の資金を不正に流出させ 、 これにより
利益 を得 る行為又は原価付替を行 う 行為、及び NOS等 の役職員 が、複
合取引において原価付替を行 う 行為 である。
当委員会は、以下で述べ るとお り、上記各行為 が行われる蓋然性 の
程度や過去 の同種事案 の存在等 を踏 まえ、主に全社的な調査 、公共事
業案件 (後 記②において定義 される。以下同 じ )の 調査、第 1チ ー
。
3の
ム 調査 の二つの段 階 に分け、段階 ごとに異なる深度 の調査方法を用
い て、甲事案 の類似案件 の調査 を行 った。 さらに、複合取引において
原価付替を行 う 行為 の調査に関 しては、一定規模 の案件 に関与す る役
職員 に対す る社内ア ンケー トも実施 した。
① 全社的な調査
当委員会は、甲事案 の類似案件 に係 る全社的な調査 として、前記
(3)工 の とお り社内アンケー トを実施 し、 また、前記 (3)力 の とお り
臨時内部通報窓 口を設置 した。
3第 1チ ー ム の前 身 とな る東 日本 第 1事 業本 部第 6営 業部 営 業第 2チ ー ム を含 む 。 後記③
にお いて 同 じ。
15
② 公共事業案件 の調査
公共事業案件 とは、NOSが 取 り う 扱 案件 の うち、国 の行政機関や
地方公共団体等をエ ン ド ーザー とする案件 を指す。
ユ
甲事案及び乙事案はいずれ も公共事業案件 の うち受注額 が大規模
な案件において発 生 した案件 である。
この点、公共事業案件 (そ の中でも特に受注額 が大規模な案件 )
においては入 札時点では仕様 の細部 が定まつてお らず、受注後に追
加原価が発生 しやす い傾 向にある一方で、エ ン ド ー ザーの予算 が
ユ
決まつてお り 追加請求をす ることができない傾向にある。
そのため、かかる案件 においては、NOSで は原価 の見積 りに当た
って余裕 を持たせ ることが多 く、その結果 として、仕入先 に 「リス
ク費」 ない し 「 ール金」名 目の金員 を保留するといつた事態が相
プ
対的に生 じ やす い とい えると考えられる。 また、原価 の見積 り (実
行予算)を 超過 した案件 の原価 を他 の案件 に付け替 えるといつた事
態も相姑的に生 じ やす い と考 えら る。
れ
さらに、公共事業案件 にお いては、 (a)シ ステ ム全体 の受注 とな
ることが多い ことか ら外注品の取扱 いが多 く、かつ 、多段商流 とな
ることが多い ため、技術部門が外注品の仕様 の詳細を把握 しづ らい
こと、及 び (b)入 札時点 で仕様 の細部 が定ま ってい ない傾 向にある
ことか ら、技術部門が、見積 りの段階や検収段階 で、架 空取引又は
水増 し取引を利用 して仕入先 に金員が保留 されてい るか否かをチ ェ
ックすることが容易ではない傾向にあると考えられ る。
以上のとお り、公共事業案件は甲事案 の類似案件 が相紺的 に生 じ
やす い といえ ると考 えられ ることか ら、当委員会 は、公共事業案件
については、全社的な調査 の調査 よりもさらに深度 の深 い調査を行
った。
具体的には、当委員会 は、公共事業案件 の仕入先 の うち取引額等
に照 らし 重要性 が認 められる仕入先 に対 し、前記 (3)オ の とお り2回
の取引先 アンケー ト を実施 した。
また、第 2回 の取引先 アンケー ト において回答を求 めた案件 の発
注デー タか ら各年度 の取引額 と証憑 (請 求書、注文書、見積書)と
の照合を実施 した。
③ 第 1チ ームの調査
A氏 が所属す る第 1チ ームは、公共事業案件 を取 り扱 う部署 であ
ることに加 え、2020年 3月 付調査報告書 では、過去に第 1チ ームに
おいて B氏 によ り架空循環取引が行われ、かつ 、原価付替 も行われ
た との 指摘 が な され てい る
) 。そのため、第 1チ ームでは、甲事案や B氏 による
上 記 案件 と同様 の 手 国の共 有等 が な され てい る可能性 が あ る こ とか
ら、 当委員会 は、 第 1チ ー ム につ いて は 、公 共事 業案件 一 般 の調 査
よ りもさ らに深度 の深 い調 査 を行 つ た。
16
具体 的 には 、 当委員会 は 、第 1チ ー ムの仕 入先 の うち取 引額等 に
照 ら し重 要性 が認 め られ る仕 入 先 に対 し、 2回 の 取 引先 ア ン ケ ー ト
を実施 した。 なお 、 当該 取 引先 ア ン ケ ー トの 送付先 の抽 出 に 当た つ
て は 、 公 共事 業案 件 の 取 引先 ア ン ケ ー トの抽 出先 の抽 出 と比 較 し、
抽 出基準 とな る取 引額 を よ り低 い金額 に設 定 してい る。
また、② の場合 と同 じく、第 2回 の取引先 アンケー トにおいて回
答を求 めた案件 の発注デー タか ら各年度 の取引額 と証憑 (請 求書、
注文書、見積書)と の照合を実施 した。
さらに、当委員会 は、前記 (3)ア の ヒア リング、同ウの メール レ
ビュー、同キのプライベ ー ト ンパニー調査を実施 した。
カ
④ 複合取引案件に関する社内ア ンケー ト
当委員会は、複合取引において原価付替を行 う 行為 の調査に関 し
ては 、前記 (3)工 の とお り、公共事 業案件 の うち、一定規模 の複合
取引案件に関与す る役職員 に姑す る社内アンケー トも実施 した。 さ
らに、上記 の一定規模 の複合取引案件について、利益率や利益額、
複合取引案件 の売 上構成比率等 が異常な取引を抽出 し、かかる取引
に関与す る役職員 に取 引内容 を質問 し、必要に応 じて証憑を入手 し
て、その回答 の信憑性を確かめた。
工 乙事案 の類似案件 の調査方法
前記 (1)工 の とお り、当委員会 が乙事案 の類似案件 として調査 の封
象 とした行為類型 は、NOS等 の役職員 が、売上先であるリース会社に
「リス ク費」を保留す るス キーム を利用 して、原価付替を行 う 行為又
は利益 を得 る行為である。
当委員会は、以下で述べ るとお り、上記行為 が行われ る蓋然性 の程
度等を踏まえ、主に全社的な調査、公共事業案件 の調査 、 乙事案 の関
係者 の調査 の三つの段 階 に分 け、段 階 ごとに異なる深度 の調査方法を
用 いて、 乙事案 の類似案件 の調査を行 った。
① 全社的な調査
当委員会は、乙事案 の類似案件 に係 る全社的な調査 として、前記
(3)工 の とお り社内アンケー トを実施 し、また、前記 (3)力 の とお り
臨時内部通報窓 口を設置 した。
② 公共事業案件 の調査
前記 ウ② で述べ た公共事業案件 の特性 か らすれば、公共事業案件
にお いては、売上先 である リース会社に 「リス ク費」 を保留す るス
キーム を利用 して原価付替を行 う 行為又は利益を得 る行為 が相紺的
に生 じ やす い とい えると考 えられ ることか ら、当委員会 は、公共事
業案件については、全社的な調査 の調査 よりもさらに深度 の深 い調
査 を行 った。
17
具体 的 には 、 当委員 会 は 、公 共事 業案件 の 売 上 先 で あ る リー ス 会
社 の うち取 引額 等 に照 ら し重 要性 が認 め られ る リー ス会社 に対 し、
前記 (3)オ の とお り 2種 類 のア ンケ ー トを実施 した。
③ 乙事案 の関係者 の調査
当委員会は、 乙事案 の関係者 については、公共事業案件一般 の調
査 よりもさらに深度 の深 い調査を行 った。
具体的 には、 乙事案 では、 リ ース会社 である売上先 d社 に 「リス
ク費」 を保留す るスキームが利用 されていたことか ら、NOSと 売上
先 d社 の取引を伴 う案件 の うち、受注額 が一定規模以上の案件 につ
いて契約書等 を閲覧 し、 「リス ク費」 の保留 が行 われてい るかを確
認 した。
また、当委員会は、前記 (3)ア の ヒア リング、同 ウの メール レビ
ュー、同キのプ ライベー ト ンパニー調査を実施 した。
カ
6 本調 査 の 限界
当委員会 は 、本調 査 の 目的 を達成 す るた め 、最 大 限 の努 力 を行 つ た 。 し
か しなが ら、本調 査 は 、強制 的 な調 査権 限 な い し捜査権 限 に基 づ く調 査 で
はな く、 あ くま で 関係 者 の任 意 の 協 力 を前提 とす る もので あ り、か つ 、時
間的制約 が あ る中で行 われ た こ と、 当委員 会 は 、不信 な点や矛 盾 点 が認 め
られ た場合 には都 度確認 を行 っ た ものの 、原則 と して NOSか ら提供 を受 け
た 関係 資料や役職 員 に対す る ヒア リン グ及 び協 力業者 に対 す る ヒア リング
か ら得 られ た 情報 等 の み に依 拠せ ざるを得 なか つ た こ と、本調 査 は、重要
な情報 が全 て 当委 員 会 に開示又 は提 供 され て い る との前提 で行 われ たが 、
当該前提 が成 り立 つ とは限 らな い こ とか ら、 これ らに起 因す る調 査 の 限界
が存在 した こ とを付言す る。
当委員 会 の事 実認 定 は、 この よ うに限 界 が あ る中で行 っ た 本 調 査 の 結 果
に基 づ くもので あ つて 、 当委員 会 が 収集 した 資料 以外 の 資料 等 が 存在 し、
新 た な事 実 関係 が発 覚 した 場合 な どには 、本 調 査 にお け る認 定 が 変 更 され
る可能性 が あ る こ とを、 ここに留保 す る。
また、本調 査 は、調査 姑象事 項 の 調 査 を 中心 に行 われ た も の で あ り、本
調 査 の 封象期 間 につ い て 、NOSグ ル ー プ の 事 業 か ら起 こ り得 るあ らゆ る不
正 の有無 を網 羅 的 に調 査 した もので はな い こ とは も とよ り、本 調 査 にお け
る調査対象事 項 につ い て も、本 調 査 の対 象 期 間 中に起 こった 一 切 の 不 正 行
為 を網 羅 的 に指摘 す る もので は な く、 当委 員 会 はそれ を保 証す る もので は
な い こ とも、 ここ に留保 す る。
第2 甲事案
1 調 査結果 の概 要
18
当委員会 は 、 甲事案 につ いて調査 を行 つ た結果 、案件 1及 び案件 2に つ
い て 、NOSの 資金 合 計 219,857,004円 (案 件 1に つ き 19,500,000円 並び に
そ の 消 費 税 及 び 地 方 消 費 税 (以 下 、 併 せ て 「消 費 税 」 と い う。 )分
1,560,000円 、案 件 2に つ き 184,071,300円 及 びその消 費税 分 14,725,704
円 の合計額 )が 、A氏 の欺 岡的行為 に よ り NOSか ら流 出 した こ とを認 定 し
た。
① 案件 1に つ い て
NOSは 、案件 1に お いて 、仕入先 b社 に封 し、サ ーバ 設 計役務 等 の
名 目で合計 52,000,000円 (た だ し、税 抜 きの金額 で あ る。 以 下、特 に
言及 の な い 限 り税 抜表 示 とす る。 )の 発 注 を行 つ た ところ、 この うち
19,500,000円 分 は 、仕入先 b社 へ の委託役務 に紐 づ かない水増 し取 引
に該 当 し、 当該 取 引 に よって 、 2018年 12月 28日 及 び 2019年 4月 26
日に 、NOSの 資金合 計 21,060,000円 (上 記 19,500,000円 及 びそ の 消
4の
費税 分 1,560,000円 合計額 )が 仕 入先 b社 に対 し不 正 に流 出 した。
なお 、 上 記 21,060,000円 は 、そ の全 額 が 、仕入先 b社 か ら、A氏 が
代表 取締役 を務 めそ の発行 済 み株 式 の 全 て を保 有す るプ ライ ベ ー ト カ
ンパ ニ ー の Xl社 に送金 され 、そ のほ とん どが A氏 の個人 的 な費消 に充
て られ た。
② 案件 2に ついて
NOSは 、案件 2に おいて、仕入先 c社 に封 し、
四項 目の名 目で合 計 184,071,300円 の発 注 を行 つた
ところ、当該取引は架空取引であ り、当該取引によつて、2019年 9月
30日 、NOSの 資金 198,797,004円 (上 記 184,071,300円 及びその消費
税分 14,725,704円 5の 合計額)が 仕入先 c社 に姑 し不正に流出 した。
なお、上記 198,797,004円 の うち 170,033,430円 (消 費税分込み)
が、第二者 を経 由して、最終的 に、プライベー ト カンパニーXl社 及び
同 じく A氏 が代表取締役を務めその発行済み株式 の全てを保有す るプ
ライベ ー ト ンパニー の X2社 に送金 され 、そのほとんどが A氏 の個人
カ
的な費消に充て られた。
ま た 、 当 委 員 会 は 、 案 件 1に お い て 、 少 な く と も 一 部 の 役 務 原 価
(121,200,000円 )に つ いて 、本 来 は 当該原価 を 2019年 3月 期 に一 括 計 上
す べ き ところ、A氏 が NOS内 で これ を保 守原価 と して 登録 した結果 、2019
年 1月 以 降 の 48か 月 にわた つて分割 して計 上 され てお り、原価 の計 上 時期
が誤 つて い るこ とを認 定 した。
2 案件 1に おける NOSの 資金 の不正流出について
4消 費税率 は 8%。
5消 費税 率は 8%。
19
但)案 件 1の 概要
ア 案件 1は 、 エ ン ド ユー ザ ー aが 入 札 の手続 を実施 し、落札者 に対 し
システ ム設 計 、機 器 納入 、 システ ム構 築 、 一 定期 間 の保 守業務 等 をま
とめて 一 括 で 委託す る複合 取 引 の案件 で あ る。 同案件 は約 4年 ご とに
新 た な発 注 が な され てお り、NOSは 、2008年 及び 2012年 に も案件 1の
前身 の案件 を受 注 して い た。
A氏 は、 2015年 4月 よ り第 1チ ー ム に所属 し、前任 の 氏か
ら、案 件 1の 前身 の案件 (た だ し、NOSが 2012年 に受 注 した もの)に
つ き引継 ぎを受 け て 関与 し、案件 1に つ いて は営業担 当 と して入 札封
応 か ら担 当 していた。第 1チ ー ム 内 に 、A氏 の ほかに案件 1の 担 当者
は い なか つ た。
イ 案件 1に 係 る入札条件 は以下 の とお りで あ つ た。
「 │`ilttI日
「
S 禽 4[目 習撃 甘
③ 履行期限
i)賃 貸借外 (機 器 リース及び保守運用)に つ き、借入期間は ■■
百 恥鞘嘲脳話 継 羅雛量
Ⅱ 蟹
ユ
づ き、エ ン ド ーザーaの 希望がある場合は更新 され る。
五)導 入役務等 につ き、1回 目が ‐ 年 ■ 月 ■I日 、2回 目が ■■
年 1月 1日 。導入役務等 に関する対価 も上記 2回 のタイ ミング
に分けて支払われる。
④ 受注額 における金額比率
賃貸借外 (機 器 リ ース及び保 守運用 )に つ き受注額全 体 の ■ %、
導入役務外等 につ き同 │%。 さらに、賃貸借外 (機 器 リース及び
保守運用)の うち保守費用 を 凹 /o以 下 と する。
ウ 2018年 1月 日に入札 が 実施 され 、 翌 日に開札 され た結果 、案
件 1は NOSが ― 社入札 で落札 した。 入札金額 は 円で あ
、 ユ
り A氏 がエ ン ド ーザーaに 報告 した内訳は下表の とお りである。
項 目 金額 割合
機器賃貸借外 円 入札価格 の ‐ 0/0
うち保守費用 (保 守) 円 機器賃貸借外 の うち
口 /0
導入役務外 (作 業) 円 入札価格 の │%
エ 安
木 件 1に 関 し、NOSは 、仕入先 b社 、 式会社 等
13社 に発 注 を行 っ た。
20
修)案 件 1に おける仕入先 b社 へ の発注額決定の経緯
ア 案件 1に 係 る NOSと 仕入先 b社 の取引の概要
NOSは 、案件 1に 関 し、仕入先 b社 との間で下表 の取引を行 った (以
下、番号① ない し 番号⑤ の取引をそれぞれ 「 案件 1取 引①」ない し
「案件 1取 引⑤」 とい う )。
。
この うち、当委員会が水増 し取引に該当する と認定 したのは、案件
1取 引①及 び案件 1取 引② の うち少なくとも 19,500,000円 についてで
ある。
番号 項 目名 発注額 (円 ) 見積 日 支払 日 備考
① 37,000,000 2018年 2018年 導入役務外
1月 ■ 日 12月 28日 等 に係 る作
業 の うち 、
② 15,000,000 2018年 2019年 導入役務外
四 ■日
月 4月 26日 等 に係 る作
業 の うち 、
③ 350,000 2018年 2018年 追加 作業分
■月 日
■ 12ノ 月 28日
④ 456 000 2018 年 2018年 追加 作業分
■ 月■ 日 12月 28日
⑤ 38 400 000 2018 年 各翌月末 費 用 の 内訳
■ 月■ 日 日払 い よ
イ 、800,000
6た だ し、NOSは 2020年 3月 に仕入先 b社 との間 の案件 1取 引⑤ の取引を解約 したため、
当該取引につい て実 際 に仕入先 b社 に対 し支 払 つた費用 は、 12,000,000円 (1月 当た り
800,000円 ×15か 月分 )で ある。
21
円 ×48か 月
分
イ 案件 1取 引①及 び案件 1取 引② の発 注額 決定経緯 につ いて
(ア )A氏 は、2017年 初頭 か ら、案件 1の 入 札準備 を進 めた。 A氏 は、
案件 1の 技術担 当 の■■■ 氏 (以 下 「D氏 」 とい う。 )と も相 談 し、
案件 1を 受注 した 際 には 、導入役務及 び保 守運用 の一 部 を仕 入先 b
社 に委託す る こ とを決 めた。 なお 、仕入 先 b社 は 、 2008年 及 び 2012
年 の案件 1の 前身 の案件 にお いて も NOSの 発 注先 と して 導入役務 を
受注 してお り、A氏 が案件 1に お いて発 注先 と して仕 入先 b社 を選
択 した こ との適切性 に疑 義 を生 じさせ る事情 は見 当た らな い 。
(イ )A氏 は 、仕入先 b社 に対 し、案件 1の 導入役務 の うちサ ー バ 設計
等 の 役務 を発 注す る こ とを伝 え 、見積 りの提 出 を求 めた 。 そ こで 、
仕入 先 b社 の担 当者 の■■■■ 氏 (以 下 「仕入先 b社 担 当者 E氏 」
とい う。 )は 、2018年 2月 16日 付 け見積 りに よ り、案件 1取 引①
及 び 案件 1取 引② に係 る役務 費用 を合計 25,000,000円 とす る見積 り
(以 下 「2月 見積 り」 とい う。 )を 提 出 した。
(ウ )A氏 は 、 2018年 4月 初旬 、仕入先 b社 担 当者 E氏 に対 し、 作業
「
を始 めた ら不足 してい る もの が 出 て くる の で 、 10,000,000円 を乗せ
て くれ。 」 な どと述 べ 、仕 入先 b社 に委託 した役務 に関連 した追加
作 業 が 発 生 した 場 合 に そ れ に 充 て るた め の 「 リス ク 費 」 と して
10,000,000円 を 2月 見積 りの 見積額 に上乗せ す るよ う指示 を した。
そ こで 、仕入先 b社 担 当者 E氏 は 、 同月 6日 付 け見積 りに よ り、本
件 導入役務 に係 る役務 費用 を合 計 36,000,000円 とす る見積 り (以 下
「4月 見積 り」 とい う。 )を 提 出 した。 なお、4月 見積 りにお け る 2
月 見積 りか らの増額 分 は H,000,000円 だが 、 この うち 1,000,000円
は封 象役 務 に 「ラ ックマ ウ ン トサ ーバ 設 定」作業 が 追加 され た こ と
に伴 うもの であ り、A氏 の指示 に よる増額分 は 10,000,000円 で あ る。
(工 )A氏 は 、 さ らに 、2018年 5月 頃、仕入先 b社 担 当者 E氏 に封 し、
「他 の会社 に作業 で 協 力 して も ら うこ とにな る。 そ の とき に仕 入先
b社 か ら発 注 して も ら うこ とに した いの で 、 そ の分 16,000,000円 を
積 んで くれ。 」 な どと述 べ 、仕 入先 b社 か ら他 の会社 へ の外 注 を依
頼 す る 見 込 み で あ る と して 、 当 該 外 注 費 用 に 充 て る た め の
16,000,000円 を 4月 見 積 り の 見 積 額 に 上 乗 せ し 、 見 積 額 を
52,000,000円 とす るよ うに指示 を した。
さ らに、そ の 頃、 4月 見積 りに掲 げ られ た作業項 目の うち 「運送 」
役務 につ い ては 、仕 入先 b社 とは別 の会社 に委託 して い た 作 業 と重
複 が あ る こ とが判 明 し、仕入先 b社 は 「運送」役務 を受 注 しな い こ
ととな っ た。 そ の た め 、本 来 で あれ ば 4月 見積 りにお いて 「運送 」
役務 費用 と して 見積 も られ て い た 3,500,000円 につ い て は見積額 か
ら減額 され るべ きで あ る ところ、A氏 は 、仕入先 b社 担 当者 E氏 に
対 し、見積 額 52,000,000円 は変 更 せ ず に 、 「運送 」役務 費 用 分 の
22
3,500,000円 をその他 の作業費用に上乗せするよ うに指示を した。
これ らの指示 を受 け、仕入先 b社 担当者 E氏 は、同年 6月 13日 付
けの最終見積書 (以 下 「 最終見積書」 とい う )に おいて、案件 1
。
取引①及び案件 1取 引②に係 る役務費用を合計 52,000,000円 (た だ
し、案件 1取 引①について 37,000,000円 、案件 1取 引②について
15,000,000円 の合計額 )と す る見積 り (以 下 「最終見積 り」 とい
う )を 提出 した。 なお、最終見積書は案件 1取 引① と案件 1取 引
。
② とで 2通 に分け られたが、その理由は、エ ン ド ユーザーaに おい
て導入役務外等に係 る支払が履行期限に合わせて 2回 に分け られる
ことに対応 した もので ある。
そ して、最終見積 りに従 って、NOSか ら仕入先 b社 への案件 1取
引①及び案件 1取 引② に係 る発注金額が 52,000,000円 と決定 された。
13)仕 入先 b社 へ の発注額 の うち 19,500,000円 が水増 し取引に係 るもの と
認 められ ること
ア NOSに お ける発 注金額 決 定手続 の概 要
NOSで は 、役務 及 び保 守運用 の発 注額 を決 定す るに 当た り、営業担
当 で は必 要 な作 業 内容 及 び 当該 作業 内容 を達成 す るた めに必 要 な 工数
を判 断す る こ とが 困難 で あ るた め 、営業部 内 の技術 担 婆が これ を補佐
す る体制 が構 築 され て い る。 また 、役務 作 業 及 び 保 守運用作 業 に 関す
皇 蒸埓完こ宏鶴 係忌 鍵 こ 宅奉
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技術 部 門 に よる承認 手続 を経 な けれ ば 、営業 部 上 席 の承認 手続 に進 む
こ とがで きな い仕様 とな っ て い る。
一 方 、案件 1の よ うな入 札案件 で は 、受 注後 (落 札後 )の 発 注手続
の前 に 、入 札金額 を決 定す る とい うプ ロセ ス が置 かれ て い る。入 札金
額 は 取 引先 に対 す る発 注金額 (仕 入原価 )を 根拠 に して 決 定 され る も
の で あ り、入 札金 額 決 定 に係 る営業部 門 の 承認 手続 にお い て は 、役務
及 び保 守運 用 に係 る発 注金額 につ い て 技術 部 門 の 承認 を得 て い る こ と
が 前提 とされ て い る。 しか し、発 注手続 とは 異 な り、技術部 門 の 承認
が システ ム 上 要 求 され るわ けで は な い た め 、仮 に技 術部 門 の 承認 を得
て い なか っ た と して もそれ を 隠 して 営業部 門 の承認 手続 を進 め る こ と
が 可能 な状況 にあ っ た。
イ 案件 1に お け る承認 フ ロー
(ア )案 件 1で は 、 2度 の PMS(一 定 の案件 に つ い て 、営業部 門にお い
て 、案件 の着 手や 受 注金額 決 定 に際 し、 正 式 な承認 手続 に先行 して
上 長 らの案件 決裁 を要 す る手続 の こ とを指す。 以 下 同 じ。 )の 後 に
営業部 門 にお け る承認 手続 を経 て入 札価 格 が 決 定 され たが 、A氏 は 、
この入札金額承認 手続 の 時ッ 点では、仕入 先 b社 へ の案件 1取 引①及
び案件 1取 引②の発注金額を合計 52,000,000円 とすることについて、
23
技術部門の承認 を得ていなかった。
その後、2018年 6月 28日 付けで、案件 1取 引①及 び案件 1取 引
② に係 る ‐ の発注手続 がとられ 、案件 1の 技術担当 D氏 が A氏 か
ら 提出された仕入先 b社 の最終見積書 を ‐ に登録 した上で、技術
部門の承認手続及び営業部門の承認手続を経 て、案件 1取 引① につ
いて 37,000,000円 、案件 1取 引② について 15,000,000円 の合計
52,000,000円 の発注金額 が決定 された。
(イ )D氏 は、案件 1の 技術担当 として、当初か ら 入先 b社 との間の
仕
見積作業 に関与 してお り、仕入先 b社 が案件 1取 引①及 び案件 1取
引② につ き、2月 見積 りにおいて 25,000,000円 、4月 見積 りにおい
て 36,000,000円 の見積 りを提示 していた ことを把握 していた。
A氏 は、前記 (ア )記 載 の発注手続 を進めるに当た り、D氏 に対 し
て、見積額 が 4月 見積 りか ら 16,000,000円 増額 された こと、及び、
4月 見積 りでは対象役務に含まれていた 「 運送」役務を仕入先 b社
に発 注 しな い こ とに な っ た に も か か わ らず 、 同役 務 費 用 分
3,500,000円 が減額 され る ことなく他 の役務項 目に上乗せ された こ
とについ て 、何 らの説明 もせ ず に、D氏 に最終見積書 を提 出 して
昭 酉 監 魏 積 りを ‐ に斡 したこと輯 注縣 級
認手続 が開始 され、技術部門及び営業部門の承認 が行 われた。
ウ 案件 1取 引①及び案件 1取 引② の発注額合計 52,000,000円 の うち
19,500,000円 が水増 し取 引に該当すること
(ア )当 委員会は、案件 1に おいて NOSが 仕入先 b社 に発注 した案件 1
取引①及び案件 1取 引② の発注額 52,000,000円 の うち少なくとも
19,500,000円 については、水増 し取引に係 るものであると判断 した。
その理由は以下の とお りである。
(イ )ま ず、仕入先 b社 担 当者 E氏 は、仕入先 b社 か ら提示 された 2月
見積 り、4月 見積 り 及び最終見積 りにおける各見積額提示 の根拠 に
ついて、次 の とお り 供述 した。
i)2月 見積 りにおいて提示 した見積額 25,000,000円 は、純粋に導入
役務 として委託を受 けた作業分 のみ の費用 であつて、仮 に追加作業
が発生 した場合には NOSに 追加請求をすることを前提 とした見積額
であった。
工 )次 に、4月 見積 りの見積額 36,000,000円 は、2月 見積 りか らの追
加役務である 「ラックマ ウン ト ーバ設定」費用 として 1,000,000
サ
円を増額 した上で 、 さらに、A氏 か ら追加的な作業 が発 生 した場合
に備 えて 10,000,000円 の 「リス ク費」 を上乗せす るよう指示を受け
たため、2月 見積 りの見積額 25,000,000円 か ら合計 11,000,000円
を増額 して提示 したものである。 この 「リス ク費」 として の増額分
10,000,000円 については、追加作業 が発生 した としても 10,000,000
円分までは NOSへ の追加請求を行わずに対応す ることを前提 とした
24
もので あ る。 ・
血)さ らに 、最 終見積 りにお い て増額 した 16,000,000円 及 び委託 役務
か ら除 かれ た に もか か わ らず 減 額 しな か っ た 「運 送 」役 務 費 用 分
3,500,000円 の合 計 19,500,000円 は 、A氏 よ り、仕入先 b社 か ら仕
入先 b社 以外 の会社 に発 注す るた めの外 注費用 として上 乗 せ を指示
され た もので あ って 、仕入 先 b社 の受託 業務や それ に 関連 して発 生
す る追加 作 業 に充 て る こ とは予 定 してお らず 、実 際 上 は 、具体 的 な
名 目の如 何 を問わず 、A氏 が 指示 す る外 注先 へ 送金す る こ とを前提
と した金 額 で あ る。
(ウ )前 記 (イ )記 載 の仕入先 b社 担 当者 E氏 の供述 内容 は 、客観 的事
実 関係 とも整 合す る。
す なわ ち 、仕入先 b社 は 、案件 1取 引①及 び 案件 1取 引② に 関連
して 7,432,136円 分 の 追加 作業 が発 生 した ものの 、 これ を NOSに 追
加 請求 せ ず 、 「リス ク費」分 10,000,000円 か ら拠 出 してお り、 この
点 は 、4月 見積 りにお ける増額 分 10,000,000円 は仕入先 b社 の受託
役務 に関連 して発 生 した 追加 作 業 に 充 て る費用 で あ る 旨の仕 入 先 b
社 担 当者 E氏 の供 述 内容 に整 合す る。
また 、仕入 先 b社 は、後記 の とお り、A氏 の指示 に従 ってプ ライ
ベ ー ト ンパ ニ ー Xl社 に対 し合計 22,140,000円 (20,500,000円 +
カ
消費税分 1,640,000円 )を 送金 してい る ところ、 この 送金 には最終
見積 りにお い て増額 され た 16,000,000円 及 び 「運用」役務費用 とし
て 除 かれ るべ きで あ つ た 3,500,000円 の合 計 19,500,000円 (及 び消
費税分 1,560,000円 )が 全 額含 まれ てお り、 この 点 は 、 当該増額分
が 、実際 上 は 、具体 的 な名 日の如何 を問 わず 、A氏 が 指 示す る外 注
先 へ 送金す る こ ととな ってい た とす る仕入先 b社 担 当者 E氏 の供述
内容 に整 合 す る。
以 上 よ り、仕入先 b社 担 当者 E氏 の供述 内容 は信 用 で き るか ら、
NOSが 仕入先 b社 に射 し、案件 1取 引①及 び 案件 1取 引② に関 して
支払 つた 52,000,000円 の 実際 の 内訳 は 、仕入先 b社 へ の委託役務 の
直接 の対価 が 22,500,000円 、 同委 託役務 に 関連 し発 生す る見込み の
追加 作業 に充 て る 「リス ク費」 が 10,000,000円 、A氏 の指示 に従 い
仕 入先 b社 以外 の会社 に送 金す る予 定 の費用 が 19,500,000円 で あ つ
た と認 定 で き る。
(工 )こ の発 注額 の 内訳 を前提 に 、案件 1取 引①及 び 案件 1取 引② の発
注金額 の うち どの部分 が A氏 の 欺 岡的行為 に起 因 して 承認 され た水
増 し部分 に当た るか を検討 す る。
この 点 、NOSで は 、発 注 元 との 間 の 契約 上 、発 注 元 か ら追加 発 注
が な され る可能性 が あ り、 か つ 、 当該 追加 発 注 が な され た場合 に発
注 元 に対 し追加 費 用 を請求 す る こ とがで きな い とい う案件 の場合 、
NOS内 部 にお い て 「予備 費 」 7を 設 定 し、発 注元 か ら NOSに 姑 し追加
7本 報告書 において 「予備 費」 とは、 ある案件 において追加 の費用 が発 生 した場合 に備 え、
25
発 注 が な され た 際 には 当該 「予備 費 」 をそ の費用 に充 て る とい う方
法 が 取 られ る こ とが 多 い。 もつ とも、 当時 の NOSで は、 あ らか じめ
NOSと NOSの 仕 入先 との 間 で 協議 し、仕 入先 か ら NOSに 対 し、発注
元 か ら追加 発 注 が あ つ た場合 の 対応 に係 る 「リス ク費 」分 の金額 を
上 乗 せ して発 注 して も ら うとい う方 法 も取 られ る こ とが あ つ た。
役務 取 引 の 見積 りを検証す る立 場 にあ つ た案件 1の 技術担 当 D氏
は、 この よ うな 「リス ク費」 の設 定方 法 の 実態 を踏 ま え、案件 1取
引①及び案件 1取 引② について 10,000,000円 の 「リス ク費」を設定
することは、確 かに高額 ではあるものの、早 い時期か ら一社入札 が
見込まれていて入札価格を無理に低 くす る必要がなか つた事情 も考
慮すれば、承認手続当時 に当該事情 の説明がなされ ていた場合 も、
承認 を得ることがで きた可能性 があつた 旨説明 した。
一方、D氏 は、案件 1取 引①及び案件 1取 引② に係 る委託役務 の
直接 の対価 ではなく、それに関連 して発生す る追加作業 の費用 に充
て られる予定でもない外注費用 として設定 された 19,500,000円 につ
いて は、仮 にそ の分 の外注費用 が追加 発 生す る予定であつた として
もそれを NOSか らではなく仕入先 b社 か ら発注することは許容 され
てお らず 、そ の ような名 日で事前に発注金額 を上乗せす ることは全
く合理性 が認 められない もので あ り、 しかも実 際 にはそ のよ うな外
注費用 が発生す る予定はなかったので あるか ら、も し最終見積 り 提
出時にその 旨の説明を受けていれば技術部門 として到底承認できる
ものではない と説明 した。
これ らの D氏 の説明に不合理な点はなく、案件 1取 引①及 び案件
1取 引② の発注金額 に係 る D氏 の説明は信用 できる。
したがって、NOSが 仕入先 b社 に対 し支払 つた案件 1取 引①及び
案件 1取 引② の発注額合計 52,000,000円 の うち、仕入先 b社 への委
託役務 の直接 の封価部分 22,500,000円 及び当該委託役務 に関連 して
発 生す る見込み の追加作業に充てることを予定 していた 「リス ク費」
部分 10,000,000円 の合計 32,500,000円 については、仮 に承認手続
当時に当該内訳について説明がなされていた としても技術部門及び
営業部門の上長 の承認 を得ることがで きた可能性 が高いが
_方 、
8、
それ らに該当 しない外注費用 として設定 された 19,500,000円 につい
ては、その 旨の説明がなされていれば当該部分は承認 を得 ることが
できなかったもの と考えら るか ら、 この 19,500,000円 の部分 を水
れ
増 し取引 として認定 した。
(オ )な お、A氏 自身は、当該 19,500,000円 の上乗せ分 について、仕入
先 b社 からさらに外部に発注す る予定 の金額であることを技術部門
又は営業部門において説明をすれ ば、当然 に見積金額 の承認 が得 ら
れない と認識 していたので、D氏 や承認権者 に姑 しあえて説明 しな
あ らか じめ NOS内 部 に保留 され る予算 を指す。
8た だ し、 この点の会計上の評価 は後記 (5)の とお りであ る。
26
か っ た 旨供述 してお り、前記 19,500,000円 が水増 し取 引 に該 当す る
こ とを認識 していた こ とを認 めてい る。
工 小括
以上 より、当委員会 は、案件 1に おいて NOSか ら仕入先 b社 へ支払
われた案件 1取 引①及び案件 1取 引② の発注額合計 52,000,000円 の う
ち 19,500,000円 について、水増 し取引に該当すると認定 した。
オ 案件 1取 引③ない し 案件 1取 引⑤に係 る発注金額 の適切性について
以下では、案件 1取 引③ない し案件 1取 引⑤ に係 る発注金額 の適切
性につい て も言及する。
(ア )案 件 1取 引③及び案件 1取 引④ は、NOSか ら 仕入先 b社 に委託 し
た導入役務 等 に係 る追加作業 の発注 である。A氏 と仕入先 b社 担当
者 E氏 との間では、 このよ うな追加作業は、案件 1取 引①及 び案件
1取 引② において既 に包含 している 10,000,000円 の 「リス ク費」か
ら拠 出す る旨の 申合せがな されていたことは前記 の とお りであるが、
案件 1取 引③及び案件 1取 引④は、当該 申合せ を明確に把握 してい
なか った NOSの 技術部門か ら、NOSが 追加費用を支払 う 形式で追加
発注 された とい う 経緯 がある。 これ らについては、本来は当該 「リ
ス ク費」 が存在す るため追加 費用 の支払が不要であつた可能性があ
るとい う 点を措けば、委託役務 を伴 う 発注 であ り、かつ そ の金額 の
適切性 について も疑義を指 し 挟む事情は見当た らないか ら、水増 し
取引等には該当しない と判断 した。
(イ )次 に、案件 1取 引⑤ は、案件 1に 係 る保守運用に係 る発注であ り 、
同取引において、NOSは 、仕入先 b社 に紺 し、月額 800,000円 を 48
か月分、合計 38,400,000円 の発注を行 つた (な お、前記 の とお り、
案件 1取 引⑤は 2020年 3月 に解約 されてお り、実際 に NOSか ら仕入
先 b社 に支払われた金額は、15か 月分 の合計 12,000,000円 にとど
まる。 )。
案件 1取 引⑤ の発注金額決定 の経緯 は、まず 2月 見積 り時′ 点で月
額 400,000円 だつたところ、パ ッチ作業分が保守運用業務費用に追
加 されたことで月額 550,000円 とな り (2018年 5月 11日 付け見積
り、以下 「 5月 見積 り」 とい う )、 さらに 「
。 」 とい う
ソフ トウェアライセンス を仕入先 b社 を介 して納入す ることとなっ
たため当該 ライセンス料 をさらに上乗せ し、最終見積 りにおいて月
額 800,000円 となって、 これに基づ き同額 の発注が決定 された とい
うものである。
これ らの事情を前提に、技術担当 D氏 にイ 呆守運用業務費用 として
の月額 800,000円 の妥当性についての評価を依頼 した ところ、そも
そも月額 400,000円 とい う 仕入先 b社 の当初見積額が低 く、求めら
れ る作業内容 か らすれば月額 800,000円 ∼1,000,000円 で も妥当と
評価できることに加 え、保守運用業務費用 として追加 されたものの
27
うち、パ ッチ作業費用 は通常 1回 1,200,000円 程度 で発注 され る作
業で年 1∼ 2回 程度 の実施 が見込まれること、 「 」の ラ
イセンス料 は月額 200,000円 程度 であることを踏 まえると、仕入先
b社 へ の実際の発注額 である月額 800,000円 は、パ ッチ作業費用及
び「 」の ライセンス料を含 む保守運用業務費用 としては
妥当な金額 であるとの説明を受けた。
前記 D氏 の当該説明は合理的であると考えられることか ら、当委
員会 は、案件 1取 引⑤ に係 る月額 800,000円 の保守運用費用 の発注
金額は妥当であつて、水増 し取引には該 当 しない ものと認定 した。
僻)仕 入先 b社 か らプライベー トカ ンパニーXl社 に 19,500,000円 の送金
がなされた経緯
ア NOSは 、2018年 12月 28日 に案件 1取 引① に係 る発注分 37,000,000
円を、2019年 4月 26日 に案件 1取 引② に係 る発注分 15,000,000円 を、
それぞれ仕入先 b社 に支払 つた。
イ A氏 は、2018年 10月 末頃、仕入先 b社 担当者 E氏 に対 し、仕入先 b
社 の受注額 の うち 「リス ク費」 として上乗せ した 10,000,000円 と、外
注費用 として増額 さ せた 19,500,000円 の合計 29,500,000円 について、
残金 の見込み を尋ねた。それに封 し、仕入先 b社 担当者 E氏 は、同月
30日 、A氏 に対 して 、追加作業費用 として 7,432,136円 が発 生 し、
「リス ク費」 10,000,000円 か ら取 り したこと、仕入先 b社 としては
崩
案件 1取 引①及 び案件 1取 引② 自体 の費用 である 22,500,000円 を確保
できれば最低限足 りることを伝 えた上で、案件 1取 引① の発注額 の う
ち 7,567,864円 、案件 1取 引② の発注額 の うち 14,500,000円 が残金 と
なる旨を回答 した。
ウ A氏 は、前記仕入先 b社 担当者 E氏 か らの回答を受け、案件 1取 引
① の支払 がなされ る 2018年 12月 に 7,500,000円 を、案件 1取 引② の
支払 がな される 2019年 4月 に 13,000,000円 を、それぞれ仕入先 b社
か らプライベー ト ンパニーXl社 に送金 させ ることを考えた。
カ
そ こで、A氏 は、まず、仕入先 b社 担 当者 E氏 に射 し、 「コンサル
テ ィング (案 件支援業務)」 名 目で見積額 を 7,500,000円 (消 費税込
みの金額は 8,100,000円 )と す る 2018年 7月 10日 付けのプ ライベー
ト ンパニーXl社 名義 の見積書 (た だ し、 日
カ 付はバ ックデー ト による
もの)を 持参 して、同見積書 に従 って同年 12月 末 日にプライ ベー トカ
ンパニーXl社 に対 し7,500,000円 (消 費税込み の金額は 8,100,000円 )
を支払 うよ うに指示をした。
さらに、A氏 は、2019年 3月 頃、仕入先 b社 担当者 E氏 に対 し、 「コ
ンサルテ ィング (案 件支援業務)」 名 日で見積額 を 7,500,000円 (消
費税込み の金額は 8,100,000円 )と す る 2018年 11月 20日 付けのプ ラ
イベー ト ンパニーXl社 名義 の見積書及 び 「コンサルテ ィング (運 用
カ
支援業務 )」 名 目で 見積額 を 5,500,000円 (消 費税 込み の金額 は
28
5,940,000円 )と す る同 日付 けプ ライ ベ ー トカ ンパ ニーXl社 名 義 の 見
積 書 (た だ し、 い ずれ も 日付 はバ ックデ ー トに よる もの )を 持 参 して 、
これ らの 見積 書 に従 っ て 2019年 4月 末 日にプ ライ ベ ー ト ンパ ニ ー Xl
カ
社 に紺 し合計 13,000,000円 (消 費税込 み の金額 は 14,040,000円 )を
支払 うよ うに指示 した。
工 仕入先 b社 担 当者 E氏 は 、 これ らの A氏 の指示 に従 って 、2018年 12
月 28日 に 、NOSか ら仕入先 b社 に支払 われ た 37,000,000円 の うち
8,100,000円 (7,500,000円 十消費税 分 )を 、 2019年 4月 26日 に 、NOS
か ら仕 入 先 b社 に支 払 われ た 15,000,000円 の うち 14,040,000円
(13,000,000円 十消費税 分 )を 、それ ぞれ プ ライ ベ ー トカ ンパ ニー Xl
酔 行‐ 支 店 、 普 通 預 金 、 口座 科
蟹 評 で叙 鬼 露
案件 1取 引①及び案件 1取 引② に係 る水増 し取引分 19,500,000円
(及 び消費税分 1,560,000円 )は 、 これ らの仕入先 b社 か らプライベ
ート カンパニーXl社 へ の送金分に全額充て られたもの と認定できる。
なお、上記 の仕入先 b社 か らプライベ ー ト カンパニーXl社 へ の送金
額合計 22,140,000円 (20,500,000円 +消 費税分 1,640,000円 )と 、
水 増 し取 引分 と して 認 定 した 19,500,000円 及 び そ の 消 費 税 分
1,560,000円 の 合 計 21,060,000円 と の 差 額 1,080,000円 は 、
10,000,000円 の 「リスク費」の残金か ら充 て られてい ると考えられ る
が、前記 (3)オ の とお り、当該 「リス ク費」 は水増 し取引に該 当す る
とは認定できなかったので、当委員会は、当該差額分については A氏
の欺岡的行為により NOSか ら流 出 した資金に当た らない もの と判断 し
た。
(5) ′括
Jヽ
以上のとお り、当委員会は、案件 1に おける NOSか ら仕入先 b社 へ の
発 注 に 関 し、案件 1取 引①及び案件 1取 引② に係 る発注金額 合計
56,160,000円 (52,000,000円 +消 費 税 分 )の うち 21,060,000円
(19,500,000円 十消費税分)が 、A氏 の欺岡的行為により NOSか ら流 出
した資金 であ り、その全額 が A氏 のプ ライベー ト カンパニーである Xl社
に送金 されたことが認 め ら れるもの と判断 した。
なお、当該流 出資金 の うち仕入先 b社 へ の発注金額 19,500,000円 に対
す る会計的影響 を付言すると、当該費用 を原価計上す ることは認 め られ
ず、最終的に これを取得 した A氏 (又 はそのプライベー ト ンパニー) カ
に対す る貸付金 として計上すべ きであると考える。また、仕入先 b社 か
らプライベー ト ンパニーXl社 に送金 された金銭は合計 22,140,000円
カ
であるところ、当該金銭 の原資は案件 1取 引①及 び案件 1取 引② に関 し
て NOSか ら 仕入先 b社 に支払 つた 52,000,000円 であるとい う経済的実態
に着 目 すれば、22,140,000円 全額を A氏 (又 はそのプ ライ ベー ト カンパ
ニー)に 対す る貸付金 として計上す ることとなる可能性 も否定できない。
29
3 案件 2に おける NOSの 資金 の不正流出について
但)案 件 2の 概要
案件 2は 、案件 1同 様 に、エ ン ド ユーザーaが 入札 の手続を実施 し、
落札者 に対 しシステ ム設計、機器納入、 システ ム構築及び一定期間の保
守業務等 をま とめて一括 で委託する複合取引の案件 である。NOSは 、当
初 は案件 2の 入札 の手続に参加す ることを検討 していたが、最終的に、
同案件 を落札 した 式 会社 (以 下 「元請
g社 」 とい う )の 商流に入 る形で関与するに とどまった。
。
案件 2に 係 る商流の うち NOSが 関わるものは、概ね下図の とお りであ
り、NOSは 、 会社 (以 下 「売 上 先 h社 」
とい う。 )か らサ ー バ 調 達等 を総額 1,444,304,537円 で 受 注 した上 で 、
式会社 (以 下 「仕入先 三社 」 とい う。 )に 対 し
サ ー バ 調 達等 を 1,144,899,254円 で発 注す る とともに 、仕入 先 c社 に封
日の業務 を 184,071,300円 で
発 注 して い る。
しか し、NOSか ら仕 入先 c社 に対す る発 注 は、全 て実態 の伴 わ な い架
空発 注 で あ り、 これ に よつて NOSか ら仕 入先 c社 に姑 し 198,797,004円
(184,071,300円 十消費税 分 )が 不 正 に流 出 した こ とが認 め られ た。
30
図表 1:商 流図①
【 (エ ユー
ン ド ザーaか ら仕入先 i社 及び仕入先 c社 まで)】
一請
万
エ ン ドユ ー g
売上先
社
ザーa h社
1,559,848,900円
(1,444,304,537円 +税 )
1,236,491,194円
(1,144,899,254円 +税 )
NOS 仕入先 三社
198,797,004円
(184,071,300円 +税 )
仕入先
c社
12)案 件 2に おける仕入先 c社 へ の架空発注 の経緯及び不正流出金 が A氏
のプ ライベー トカンパニー に流入 した経緯
ア 案件 2の 商流 に入 ることで NOSが 得 るはずだ つた粗利額
A氏 は、当初案件 2に ついて入札 の手続に余加するべ く準備 を進め
ていたが、2018年 12月 頃には、元請 g社 の商流 に入る形で関与する
方針 をとるようになった。NOSは 、元請 g社 の商流 の中で売上先 h社
と 仕入先 三 の間に入 つて、仕入先 三社 か ら調達 した機器等を売上先
社
h社 に売却す る役割を担 うこととな り、仕入先 三社 か らの調達価格 は
1,144,899,254円 、売上先 h社 へ の売却価格は 1,444,304,537円 とさ
れた ことか ら、当該商流取引に参加す ることで 299,405,283円 の粗利
益 を得 るはずであった。
イ 架 空取 引 に よつ て 184,071,300円 を NOSか ら仕 入先 c社 に流 出 させ 、
さらに仕入先 b社 に流入 させ た経緯
(ア )A氏 は 、 2019年 4月 10日 頃、前記 商流 取 引 に参力 す る こ とで NOS
日
に生 じるはず で あ つ た 299,405,283円 の粗利 益 か ら、約 200,000,000
円を 自分 のプ ライ ベ ー ト ンパ ニ ー に流す こ とを考 えた。 そ こで 、
カ
A氏 は 、仕入 先 i社 の 見積 書 に掲 げ られ た発 注項 目に、架 空 の 四項
日 「
( ヽ
及び
、以 下、 ま とめて 「本件 架 空項 目」 とい う。 )
31
を加 えた 見積 書 を売上先 h社 宛 て に提 出 した上 で 、NOSか ら仕 入先 c
社 に対 し、本件架 空項 目を代金 184,071,300円 で発 注 した。
A氏 は、仕入先 c社 に対 して本件架 空項 目に係 る発 注 を行 うとと
もに、仕 入先 b社 担 当者 E氏 に働 き掛 けて仕入先 b社 が仕入 先 c社
か ら本件架 空項 目に係 る発 注 を受 け る こ とを了承 させ た上 で 、仕入
先 c社 の担 当者 であ る■■■■ 氏 には本件架 空取 引 につ いて仕 入先
b社 に発 注す る よ う依 頼 し、仕 入先 b社 か らは仕入先 c社 に対 し本
件架 空項 目に係 る見積 書 (見 積額 182,126,763円 )を 提 出 させ て 、
同年 6月 13日 まで に仕 入先 c社 か ら仕入先 b社 へ の本件架 空項 目に
係 る取 引 を成 立 させ た。
ウ 仕入先 b社 か ら A氏 のプ ライベー ト ンパニー に流出させた経緯①
カ
(2019年 9月 30日 支払分)
(ア )A氏 は、仕入先 b社 か ら自 のプ ライベー ト
分 カンパニー に本件架
空項 目を発注 させて、NOSか ら仕入先 c社 を介 し 仕入先 b社 に流出
させ る資金を最終的に 自分 のプ ライ ベー トカンパニー に流入 させ る
ことを考えた。
A氏 は、仕入先 b社 か ら木件架空項 目について発注を受ける会社
として、まず 自分 のプ ライベー ト ンパニーである X2社 を選んだ。
カ
さらに、A氏 は、プライ ベ ー ト ンパニーXl社 でも本件架 空項 目に
カ
係 る発 注 を受 け よ うと した が 、 こち らにつ いて は 、 知 人 の
氏 (以 下 「j社 経営者」 とい う。)が 経営す る株式
「 と う )を 流 入 る と し 。
■ ■ (以 下 j社 」 い 。 商 に れ こ と た
■
そ して 、A氏 は 、2019年 6月 半 ば 、仕 入先 b社 担 当者 E氏 に対 し、
仕入先 c社 か ら仕 入先 b社 に発 注 され た本件架 空項 目につ いて 、 プ
ライ ベ ー ト ンパ ニー X2社 と j社 に 二項 目ず つ 発 注す る こ と、及 び 、
カ
まず 同月 中 に一 項 目ず つ 発 注 し、 さ らに翌年度 に残 りの二 項 目をそ
れ ぞれ発 注す る こ とを指示 した。 そ の上 で 、A氏 は 、仕入 先 b社 担
当者 E氏 に対 し、同月発 注分 と して 、
■■」つ代
■ ■ にき金 49,749, 000円 とす るプライベー トカ ンパ ニー
X2社 名 義 の 見 積 書 及 び 「 につ き代 金
48,018,600円 とする j社 名義 の見積書を交付 した。仕入先 b社 担当
者 E氏 は、A氏 の指示 に従 って、同月 17日 、A氏 が交付 した同見積
書 の記載 どお りに両社宛ての注文書を作成 し、A氏 に交付 した。
(イ )さ ら1こ A氏 は、j社 経営者 に対 し、仕入先 b社 か ら発注 された
「 」についてはプライベー ト ンパニーXl社 に
カ
更に発注を行 うよ う え、プライベー ト ンパニーXl社 名義 の代金
伝 カ
46,180,050円 の見積書 を渡 した。 j社 経営者 は、2019年 6月 20日
付けで、同見積書 どお りの内容 の注文書を作成 しA氏 に交付 した。
(ウ )A氏 は、案件 2の 決済 日である 2019年 9月 30日 までに以上の準
備 を整 えた。 そ して、同決済 日に、A氏 が設定 した本件架 空項 目の
商流 に沿 つて、NOSか ら 198,797,004円 (184,071,300円 十消費税分
32
9)が 仕入先 c社 に流 し その うち 196,696,904円
出 、 (182,126,763
円 十消費税分)が 仕入先 b社 に支払 われた。 さらに、仕入先 b社 か
らプライベ ー ト ンパニーX2社 に 53,728,920円 (49,749,000円 十
カ
消費税分)、 j社 に 51,860,088円 (48,018,600円 +消 費税分)が 支
払われ、j社 か らは更にプライベー ト ンパニーXl社 に 49,874,454
カ
円 (46,180,050円 +消 費税分)が 支払われた。なお、 この時点では、
本件架空項 目の うち二項 目 に係 る仕入先 b社 の受注額 84,359,163
分
円が仕入先 b社 に残 されていた。
図表 2:商 流図② (NOSか ら X2社 及び Xl社 まで (2019年 9月 30日 支払
【
分))】
198,797,004円 196,696,904円 53,728,920円
(184,071,300円 十税 ) (182,126,763円 +税 ) (49,749,000円 +税 )
仕入先 仕入先
NOS X2社
c社 b社
51,860,088円 49,874,454円
(48,018,600円 +税 ) (46,180,050円 +税 )
j社 Xl社
工 仕入先 b社 か ら A氏 のプ ライベー ト カンパニー に流 出 させた経緯②
(2020年 6月 30日 支払分)
(ア )そ の後、2019年 12月 か ら NOSに おいて B氏 の架空循環取引に係
る調査が実施 され 、NOS取 引先 に対す る発注 の実在性 を検証す るた
めの証憑類確認作業が進められた。その中で、NOSは 、案件 2に 係
る証憑類確認 のために仕入先 c社 に姑 し本件架空項 目に関 して保守
運用業務が実施 されてい ることの報告書 の提 出を依頼 した。NOSか
らの同依頼を受けた仕入先 c社 担董者 の■■■■ 氏は、A氏 に対 し、
同報告書 の提出を求めた。
(イ )A氏 は、本件架空項 目に係 るイ 呆守運用業務 を実施 されてい るこ と
の報告書を作成す る必要が生 じたが、商流 の終点 にあるプライベー
ト カンパニーXl社 や プライベー ト ンパニーX2社 名義 の報告書では
カ
2019年 9月 30日 支払分 にお ける消費税 率は 8%で ある。
33
意味 をなさない ことか ら、保守運用業務 を実行できる会社に同報告
書 の作成 を依頼す ることとした。
そ こで、A氏 は、案件 2の 仕入先 i社 以下の商流 に加わってい る
式会社 (以 下 「k社 」 とい う )で あれば案件 2に
。
係 る保守運用業務 を実施 した 旨の報告書を提出 した としても不 自然
でない と考え、k社 の担当者 である■■■■ 氏 (以 下 「 担当者」
k社
とい う )に 対 し、本件架 空項 目に係 る保守運用業務 を実施 した 旨
。
の報告書の作成 を依頼 した。k社 担当者は これを受諾 し、k社 は、本
件架 空項 目の うち 及 「■
び■■
に係 る発 注 を仕入 先 b社 か ら受 け、
k社 の子会社 で あ る 式会社 (以 下 「1
社 」 とい う。 )を 介 して j社 に発 注す る こ とと した (な お 、k社 担
当者 は 、 1社 を介 した理 由につ いて 、k社 か ら j社 に直接発 注 をす る
こ とがで きなか っ たた めで あ る と説 明 して い る。 )。
こ う して 、A氏 の差配 に よ り、本件架空項 目に関 し、仕 入先 b社
か ら k社 に対 して 73,325,700円 (2020年 3月 5日 付 け注文書 )、 k
社 か ら 1社 に対 して 65,836,000円 (同 年 4月 1日 付 け購 買発 注記
録 )、 1社 か ら j社 に対 して 62,519,000円 (同 月 3日 付 け発 注書 )
の発 注がな され る こ ととな った。
なお 、 この とき 、本件架 空項 目の名 称 そ の ままに仕入 先 b社 か ら
k社 に発 注 しよ うとす る と、既 に仕入先 b社 か らプ ライ ベ ー トカ ン
パ ニーX2社 及 び j社 に発 注 し支払 済み の二 項 目 (
及び )に つ き仕入先 b
社 か ら k社 に発 注 で きず 、k社 にお いて本件架 空項 目の全 て に係 る
保 守運用業務 を実施 した 旨の報告 書 を作成 す る こ とが で きな くな る
状況 にあ つ た。 そ の た め 、仕入先 b社 か ら k社 に対す る発 注 にお い
て は名 目を
とい う 1つ の項 目にま とめ、k社 の 中でそれを本件架 空項 目の四項
目に分解 して管理す るとい う 工が行 われた。 そのため、仕入先 b
細
社か ら k社 へ の発 注名 目は
で あ るが、k社 か ら 1社 へ の発 注名 目は本件架 空
項 目の四項 目であ り、1社 か ら j社 への発注名 目も同 じく本件架空
項 目の四項 目となってい る。
(ウ )さ らに、A氏 は、j社 経営者 に姑 し、1社 か ら 発注 された本件架空
項 目を、 二 項 目ず つ に分 け、 プ ライ ベ ー トカ ンパ ニー X2社 に
27,059,130円 、プライベー ト カンパニーXl社 に 33,331,830円 を発
注するよう 指示 し、j社 経営者 はそのとお り 封応 した。
(工 )こ の ようにして、A氏 が仕入先 b社 か らプライベー ト ンパニー カ
X2社 及びプライベー ト ンパニーXl社 につ ながる商流を整 え、2020
カ
年 6月 30日 、仕入先 b社 から k社 、1社 、j社 を経 て両プライベー
トカンパニー に合計 66,430,056円 (合 計 60,390,960円 十消費税分
34
Ю)を 流入 させた。
(オ )な お、k社 担当者は、案件 2の 仕入先 i社 以下の商流 において受
注 した保守運用業務 に係 る実施報告 の一覧表 (
」 と題 す る表 )の 末尾 に 、本 件架 空項 目の 四項 目を
追記 して提 出 した。
【 3:商 流図③
図表 (仕 入先 b社 からX2社 及び Xl社 まで (2020年 6月 30日 支
払分))】
80,658,270円 72,419,600円
(73,325,700円 +税 ) (65,836,000円 +税 )
仕入先
k社 1社
b社
68,770,300円
(62,519,000円 十 税 )
29,765,043円
(27,259,130円 +税 )
j社 X2社
36,665,013円
(33,331,830円 +税 )
Xl社
(3) ′括
Jヽ
以上の とお り、案件 2に おける NOSと 仕入先 c社 との間の本件架空項
目に係 る取引は、A氏 によって主導 された架空取引であ り、当該取引 に
よって NOSか ら仕入先 c社 に支払われた 198,797,004円 (184,071,300円
十消費税分)の 全額について、A氏 の欺岡的行為により NOSか ら流 出 し
た資金 と認 められ る。そ して、NOSか ら流出 した 当該資金 198,797,004円
(消 費税分込み)の うち、A氏 のプ ライベー ト カンパニーである X2社 及
び Xl社 に流入 した金額は合計 170,033,430円 (消 費税分込み)で あ り、
残 りの 28,763,574円 は本件架空項 目に係 る取引の商流 に加わった各社 に
102020年 6月 30日 支払分 にお ける消費税率 は 10%で ある
。
35
お いて収受 され てい る。
なお、NOSか ら流 出 した 184,071,300円 の会計 上 の処理 につ いて付言
す る と、 当該 費 用 を原 価 計 上 す る こ とは許 されず 、A氏 のプ ライ ベ ー ト
カ ンパ ニー に流入 した金 員 につ いて はそ の全 て を A氏 (又 はそ のプ ライ
ベ ー トカ ンパ ニー )に 対す る貸付 金 と して 計 上 す る と ともに 、 一 部仕 入
先 c社 等商流 の途 中 に位 置す る会社 に収受 され た 分 につ いて は支払手数
料 と して計上す る こ とが考 え られ る。
4 A氏 の欺 岡的行 為 に よ り NOSか ら流 出 した 資金 の使 途 につ いて
位)プ ライベー トカンパニーXl社 及びプライベー トカ ンパニーX2社 に流入
した資金
ア A氏 の欺 岡的行 為 に よ り NOSか ら流 出 した 資金 の うち 、 プ ライ ベ ー
ト ンパ ニー Xl社 に流入 した もの は 、案件 1に 関 して 21,060,000円
カ
(た だ し、2018年 12月 28日 支払分 8,100,000円 、 2019年 4月 26日
支払分 12,960,000円 の合 計額 )、 案件 2に 関 して 86,539,467円 (た
だ し、2019年 9月 30日 支払分 49,874,454円 、 2020年 6月 30日 支払
分 36,665,013円 の合 計額 )の 合 計 107,599,467円 で あ る。
れの よ く 銀 堰
こら 釣 全 │■■行
資 〒ギ
罠教
カ 置
ー ト ンパ ニー Xl社 名 義 の普通琴
「本件 Xl社 口座 」 とい う。 )に 入金 され た。
本件 Xl社 口座 の 、 口座 開設 日で ある 2018年 8月 7日 か ら、 当委員
会 が入 手 した 同 口座 の通 帳 の最終記 帳 日で あ る 2020年 10月 26日 まで
の 間 の入金 額合 計 、 出金 額合 計及 び 同 日時点 の残 高 は次 の とお りで あ