7322 33FG 2021-09-28 16:20:00
2021年3月期における「経営強化計画の履行状況報告書」の公表について [pdf]

                                             2021 年 9 月 28 日
各    位

                           会社名     株式会社三十三フィナンシャルグループ
                           代表者名    代表取締役社長 渡辺 三憲
                           コード番号   7322 東証第一部、名証第一部
                           問合せ先    経営企画部長 青山 歩
                                   Tel 059-354-7172




          2021 年 3 月期における「経営強化計画の履行状況報告書」の公表について



     当社及び当社子会社の株式会社三十三銀行は、「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」
    に基づき、2021 年 3 月期における経営強化計画の履行状況をとりまとめましたのでお知らせいたし
    ます。




                                                       以上
経営強化計画の履行状況報告書




      2021 年 6 月


株式会社 三十三フィナンシャルグループ
    株式会社 三十三銀行
    (株式会社第三銀行)
                                                                   目             次
1.2021 年 3 月期決算の概要 ..................................................................................................................... 2

   (1)経営環境.............................................................................................................................................. 2
   (2)決算の概要 ......................................................................................................................................... 2

2.経営の改善に係る数値目標の実績 ...................................................................................................... 7

   (1)コア業務純益 ..................................................................................................................................... 7
   (2)業務粗利益経費率 ............................................................................................................................ 8

3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況 ................................................................... 9

   (1)リレーションの構築とソリューションの提供 ....................................................................... 9
   (2)経営の効率化・最適化.................................................................................................................... 20
   (3)人材力の強化 ................................................................................................................................... 22
   (4)内部管理態勢の強化と地域社会への貢献 ............................................................................... 24

4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況 .......... 26

   (1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策 ............................................. 26
   (2)リスク管理の体制の強化のための方策 ...................................................................................... 27
   (3)法令遵守の体制の強化のための方策 ........................................................................................ 30
   (4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策 ................................................................... 31
   (5)情報開示の充実のための方策 ..................................................................................................... 31
   (6)持株会社における責任ある経営管理体制の確立に関する事項 .......................................... 32

5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域におけ
    る経済の活性化に資する方策の進捗状況 ............................................................................................ 33

   (1)中小規模の事業者に対する信用供与の残高および総資産に占める割合 ........................ 33
   (2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の進捗状況 ....................... 34
   (3)主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況 ........... 35
   (4)中小規模事業者等に対する金融円滑化を図るための取組(新型コロナウイルス感染症
              拡大への対応)................................................................................................................................. 38

6.剰余金の処分の方針 ................................................................................................................................. 40

   (1)配当に対する方針 ........................................................................................................................... 40
   (2)役員に対する報酬および賞与についての方針......................................................................... 40
   (3)財源確保の方策 .............................................................................................................................. 41

7.財務内容の健全性および業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策の進捗状況 ......... 42

   (1)経営管理に係る体制および今後の方針等 ................................................................................ 42
   (2)各種のリスク管理の状況および今後の方針等 ......................................................................... 44
   (3)経営強化計画の適切な運営管理 ................................................................................................ 46



                                                                           1
1.2021 年 3 月期決算の概要
(1)経営環境
    2020 年度の国内経済は、 新型コロナウイルスの流行に伴う経済活動の停滞によ
  り、景気は急激に悪化しました。その後は、内外経済の持ち直しを受け、企業の
  生産活動や輸出を中心に回復が進んだものの、足許では新型コロナウイルス第 3
  波の拡大などを受け、再び弱い動きとなっています。
    株式会社三十三フィナンシャルグループ(以下、    「33FG」といいます。)及び株
  式会社第三銀行(以下、    「当行」または「第三銀行」といいます。   )の主たる営業
  基盤である三重県内の経済についても、主力産業である電子部品・デバイスや自
  動車関連工業を中心とした生産活動の回復等により持ち直しを動きがみられま
  したが、足許では飲食、観光などサービス業を中心に弱さがみられ、総じてみる
  と、景気は最悪期を脱し、緩やかな持ち直し傾向にあるものの、厳しい状況が続
  いています。
    金融面においては、金融機関間の競争が一段と激化する中、金融緩和政策の長
  期化などにより私ども地域金融機関を取り巻く経営環境は、これまで以上に厳し
  い状況にあります。
    こうした中、33FG 及び当行は、これまで以上に金融仲介機能を安定的かつ持続
  的に発揮し、地域経済活性化に貢献するため、     「経営強化計画」に掲げた各施策
  に取り組んでまいりました。

(2)決算の概要
  ① 資産・負債の状況(当行単体ベース)
   イ. 貸出金
       貸出金は、新型コロナウイルス感染症対応資金等を中心に中小企業等向け
      貸出等に注力した結果、2020 年 3 月末比 374 億円増加し、1 兆 3,404 億円
      となりました。

   ロ. 預金
        預金は、個人預金、法人預金が増加したことなどから、2020 年 3 月末比
      1,182 億円増加し、1 兆 9,060 億円となりました。

   ハ. 有価証券
       有価証券は、リスクアセットコントロールを意識しつつ機動的な運用に
      努めたことなどから、2020 年 3 月末比 161 億円減少し、4,821 億円となり
      ました。




                         2
  【資産・負債の推移(表1)】(単体)                                                 (単位:百万円)
                   2021/3末                                     2020/9末       2020/3末
                    実績           2020/9末比        2020/3末比       実績            実績
   資産                2,183,691         45,033        217,148     2,138,658     1,966,543
        うち貸出金        1,340,441           5,006        37,444     1,335,435     1,302,997
        うち有価証券         482,196        △ 10,356      △ 16,153       492,552       498,349
   負債                2,067,035         39,616        207,538     2,027,419     1,859,497
        うち預金         1,906,097           8,833       118,278     1,897,264     1,787,819
        うち社債・借用金       138,800         31,700         88,600       107,100        50,200
   純資産                 116,656           5,417         9,610       111,239       107,046



② 損益の状況(当行単体ベース)
 イ. 資金利益
     資金利益は、    マイナス金利政策の長期化や低金利下における他行競合の激
    化による貸出金利回りの低下が続く中、事業性貸出金の増加に伴い貸出金
    利息が増加したことに加え、有価証券利息配当金も増加したことなどから、
    前期比 5 億 90 百万円増加し、203 億 98 百万円となりました。

ロ. 役務取引等利益
    役務取引等利益は、  コロナ禍における営業活動の自粛や企業活動の低下の
   影響もあり、ソリューション関連手数料が減少したことなどから、前期比 2
   億 52 百万円減少し、42 億 7 百万円となりました。

ハ. その他業務利益
    その他業務利益は、    国債等債券損益を 29 億 55 百万円計上したことを主因
   に、前期比 23 億 14 百万円増加し、33 億 81 百万円となりました。

ニ. 経費
    経費は、人件費は減少したものの、物件費が合併・システム統合関連費用
   の負担増加等により増加したことなどから、経費トータルでは、ほぼ前期
   並みとなり、199 億 73 百万円となりました。

ホ. 一般貸倒引当金繰入額
    一般貸倒引当金繰入額は、    新型コロナウイルス感染症の拡大を含む経済環
   境の変化等による信用コストの増加に備えた結果、前期比 24 億 45 百万円
   増加し、18 億 68 百万円の繰入となりました。

     以上の結果、コア業務純益は、前期比 5 億 89 百万円増加し、50 億 59 百
   万円となりました。また、業務純益は、前期比 2 億 69 百万円増加し、61 億
   45 百万円となりました。

ヘ. 臨時損益
    臨時損益のうち、不良債権処理額が前期比 9 億 85 百万円増加した一方、
                                  3
   株式等関係損益が前期比 19 億 1 百万円増加したことなどから、臨時損益ト
   ータルでは、前期比 7 億 4 百万円改善し、12 億 68 百万円のマイナスとなり
   ました。

    以上の結果、経常利益は前期比 9 億 72 百万円増加し、48 億 76 百万円と
   なり、当期純利益は固定資産の譲渡による特別利益を計上したことなどか
   ら、前期比 48 億 97 百万円増加し、80 億 41 百万円となりました。


【損益状況の推移(表2)】(単体)                                       (単位:百万円)
                    2021年3月期                        2020年3月期          2019年3月期
                     実 績            2020年3月期比        実 績               実 績
業務粗利益                  27,987           2,652          25,335            25,894
(コア業務粗利益)       (      25,032 ) (        525 ) (       24,507 ) (        25,368 )
  資金利益                 20,398            590           19,808            21,066
  役務取引等利益               4,207           △ 252           4,459             4,213
  その他業務利益               3,381           2,314           1,067              614
  (うち国債等債券損益)   (       2,955 ) (       2,127 ) (        828 )    (        526 )
経費(除く臨時処理分)            19,973            △ 63          20,036            19,897
  (うち人件費)       (      10,444 ) (       △ 185 ) (      10,629 )   (      10,920 )
  (うち物件費)       (       8,323 ) (        147 ) (        8,176 )   (       7,817 )
一般貸倒引当金繰入額              1,868           2,445           △ 577              142
業務純益                    6,145            269            5,876             5,854
(コア業務純益)        (       5,059 ) (        589 ) (        4,470 ) (         5,470 )
臨時損益                  △ 1,268            704          △ 1,972             △ 800
  (うち不良債権処理額)   (       2,383 ) (        985 ) (        1,398 )   (        667 )
  (うち株式等関係損益)   (       1,446 ) (       1,901 ) (       △ 455 )   (       △ 180 )
経常利益                    4,876            972            3,904             5,053
特別損益                    3,718           3,542            176               △ 68
税引前当期純利益                8,595           4,514           4,081             4,985
法人税、住民税及び事業税            1,279           △ 143           1,422              453
法人税等調整額                 △ 724           △ 239           △ 485              256
法人税等合計                   554            △ 382            936               709
当期純利益                   8,041           4,897           3,144             4,276




③ 不良債権の状況(当行単体ベース)
   当行では、本部と営業店が一体となって、地域における金融の円滑化に向
  け、事業先の経営実態の把握に努めるとともに、    経営改善支援への取組みを着
  実に推進する中で、 新型コロナウイルス感染症の影響などにより計画通り経営
  改善が進捗していない先の債務者区分をより慎重に精査した結果、         金融再生法
  開示債権残高は、前期末比 64 億 72 百万円増加し、355 億 37 百万円となりま
  した。また、金融再生法開示債権比率は、   前期末比 0.42 ポイント上昇し、 2.61%
  となりました。




                                4
【金融再生法開示債権比率の推移(表3)】(単体)                                                  (単位:百万円)
                            2021/3末                                       2020/9末        2020/3末
                                実 績         2020/9末比       2020/3末比       実 績             実 績
破産更生債権及びこれらに準ずる債権                  5,037            569            455          4,468         4,582
危険債権                              26,761           2,570        5,055        24,191          21,706
要管理債権                              3,738             80            962          3,658         2,776
合 計(A)                            35,537           3,219        6,472        32,318          29,065
正常債権                            1,325,337          2,150       30,731     1,323,187       1,294,606
総 与 信(B)                        1,360,875          5,370       37,204     1,355,505       1,323,671
金融再生法開示債権比率(A)/(B) (%)               2.61           0.23           0.42          2.38          2.19
(注)2020年3月末には部分直接償却6,188百万円、2020年9月末には6,605百万円を、2021年3月末には3,853百万円を
それぞれ実施しております。

④ 自己資本比率の状況(当行単体ベース)
    自己資本比率は、経営強化計画に基づき収益力の強化とコスト削減・合理
  化の徹底などにより利益剰余金の蓄積を図るとともに、 貸出金や有価証券運用
  に係る適切なリスクアセットコントロールを行ったことなどから、前期末比
  1.06 ポイント増加し、8.99%となりました。

   【単体自己資本比率の推移(表4)】                                                               (単位:%)
                  2018/3末           2019/3末          2020/3末          2021/3末           2020/3末比
   自己資本比率                8.16               7.99            7.93            8.99              1.06


⑤ 33FG の連結業績
    経常収益は、貸出金利息やその他経常利益が増加したことなどから、前期
  比 51 億 29 百万円増加し、762 億 45 百万円となりました。
    また、経常費用は、信用コスト、及び合併・システム統合関連費用の増加
  などから、前期比 78 億 93 百万円増加し、728 億 31 百万円となりました。
    その結果、    経常利益は前期比 27 億 65 百万円減少し、 億 13 百万円となり、
                                     34
  親会社株主に帰属する当期純利益は、         固定資産の譲渡による特別利益を計上し
  たことなどから、ほぼ前期並となり、41 億 79 百万円となりました。
    連結財政状態については、総資産は 4 兆 3,128 億円となり、純資産は 2,384
  億円となりました。主要な勘定残高につきましては、預金等(譲渡性預金を含
  む)の残高は 3 兆 7,778 億円、貸出金残高は 2 兆 8,012 億円、有価証券残高は
  8,424 億円となりました。
    また、連結自己資本比率は 8.71%となりました。




                                        5
【2021年3月期における33FGの連結業績(表5)】                            (単位:百万円)
                              2021年3月期(末)                  2020年3月期(末)
                                実 績         2020年3月期(末)比      実 績
            経常収益                  76,245          5,129         71,116
            業務純益                   2,671        △ 5,263          7,934
   損  益     コア業務純益                 6,574          △ 639          7,213
            経常利益                   3,413        △ 2,765          6,178
            親会社株主に帰属する当期純利益        4,179             28          4,151
            総資産                4,312,845        375,912       3,936,933
  連結財政状態
            純資産                  238,491         11,026        227,465
            預金等(譲渡性預金を含む)      3,777,866        228,637       3,549,229
   主要勘定残高
    (末 残)
            貸出金                2,801,203         91,435       2,709,768
            有価証券                 842,422       △ 36,954        879,376
  自己資本比率    連結自己資本比率(%)             8.71           0.30            8.41




                          6
2.経営の改善に係る数値目標の実績
(1)コア業務純益
    当行の主たる営業基盤である三重県においては、主力産業である電子部品・デ
  バイスや自動車関連工業を中心とした生産活動の回復等により持ち直しの動き
  がみられましたが、足許では飲食、観光などサービス業を中心に弱さがみられ、
  総じてみると、景気は最悪期を脱し、緩やかな持ち直し傾向にあるものの、厳し
  い状況が続いています。
    こうした中、マイナス金利政策の長期化や低金利下における他行競合の激化に
  より、貸出金利回りが当初想定した水準を下回って推移し、2021 年 3 月期は計画
  を 0.09 ポイント下回ったことなどから、貸出金利息は計画を 12 億 2 百万円下回
  りました。また、有価証券利息配当金は計画を 2 億 4 百万円下回ったことなどか
  ら、資金運用収益は計画を 13 億 54 百万円下回りました。
    一方、資金調達費用は預金金利の低下に加え、定期預金等の金利上乗せ抑制な
  どにより、預金利息が計画を下回ったことを主因として、計画を 2 億 21 百万円
  下回りました。
    以上により、資金利益は計画を 11 億 33 百万円下回りました。
    役務取引等利益は、コロナ禍における営業活動の自粛や企業活動の低下等の影
  響もあり、計画を 5 億 43 百万円下回りました。
    また、その他業務利益(国債等債券損益を除く)は、金融派生商品収益が増加
  したことなどから、計画を 4 億 66 百万円上回りました。
    経費は、人件費が計画を 5 億 93 百万円下回ったものの、物件費が計画策定時
  には織り込んでいなかった合併・システム統合関連費用(7 億 17 百万円)の発生
  等により計画を 7 億 51 百万円上回ったことなどから、経費全体では計画を 1 億
  41 百万円上回りました。
    その結果、コア業務純益は、計画を 13 億 50 百万円下回る 50 億 59 百万円とな
  りました。

   金融機関を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続くものと考えております
  が、当行と株式会社三重銀行(以下、「三重銀行」といい、三重銀行と第三銀行
  を総称して、以下、「両行」といいます。)は 2021 年 5 月に合併し、株式会社三
  十三銀行(以下、「三十三銀行」といいます。)としてスタートいたしました。
   三十三銀行では、合併シナジーを最大限に発揮し、ビジネスモデルであるリレ
  ーション&ソリューションの更なる深化(金融仲介機能の強化)     、経営の効率化・
  最適化、強固な経営基盤の確立に取り組むことで、地域経済の活性化に貢献する
  とともに、収益力の強化を図ってまいります。

 【コア業務純益の計画と実績(表 6)】                                                (単位:百万円)
                                                             2021/3 期
             2018/3 期実績       2020/9 期
                                                                                 計画始期
             (計画始期)             実績            計画        実績         計画対比
                                                                                  対比
   コア業務純益          5,082          2,015        6,409     5,059          △1,350    △23
  ※ コア業務純益   =   業務純益     +   一般貸倒引当金繰入額           -   国債等債券関係損益

                                          7
(2)業務粗利益経費率
   2021 年 3 月期の機械化関連費用を除く経費は、  人件費が計画を下回ったものの、
  計画に織り込んでいなかった合併・システム統合関連費用により物件費が増加
  したことから、計画を 98 百万円上回る 166 億 53 百万円となりました。
   一方、業務粗利益は、マイナス金利政策の長期化等の影響を受け、貸出金利息
  及び有価証券利息配当金の減少により資金利益が計画を 11 億 33 百万円下回り、
  役務取引等利益も計画を 5 億 43 百万円下回ったものの、その他業務利益が計画
  を 34 億 21 百万円上回ったことから、計画を 17 億 46 百万円上回る 279 億 87 百
  万円となりました。
   その結果、業務粗利益経費率は、計画を 3.58 ポイント下回り、59.50%となり
  ました。

  【業務粗利益経費率の計画と実績(表 7)】                                    (単位:百万円、%)
              2018/3 期                                 2021/3 期
                         2020/9 期
                実績                                                        計画始期
                           実績            計画       実績         計画対比
             (計画始期)                                                        対比
   経費(機械化関
                16,713       7,970       16,555   16,653            98      △60
   連費用を除く)
   業務粗利益        25,661      12,288       26,241   27,987          1,746     2,326
   業務粗利益経
               65.13   64.86 63.08   59.50 △3.58                           △5.63
   費率
   ※ 業務粗利益経費率 = (経費 - 機械化関連費用) / 業務粗利益
   ※ 機械化関連費用は、事務機器等の減価償却費、機械賃借料、機械保守費等を計上




                                     8
3.経営の改善の目標を達成するための方策の進捗状況
   当行は、前経営強化計画の取組評価と課題を踏まえ、2018 年 6 月に策定した
  「経営強化計画」に沿って、地域における金融仲介機能を安定的かつ持続的に発
  揮し、 地域の中小規模事業者等の皆様へ円滑に資金供給を行うことが地域金融機
  関としての最大の責務であるとの認識の下、  中小規模事業者等に対する信用供与
  の円滑化への取組みを強化してまいりました。
   具体的には、以下の 4 項目を経営戦略上の基本方針として掲げ、内部管理態勢
  を一層強化し財務基盤の健全性を維持しつつ、  中小規模事業者等に対する安定的
  かつ円滑な資金供給に対する取組みを強化することで、  地域経済の活性化に貢献
  してまいりました。
   (1) リレーションの構築とソリューションの提供
   (2) 経営の効率化・最適化
   (3) 人材力の強化
   (4) 内部管理態勢の強化と地域社会への貢献

(1)リレーションの構築とソリューションの提供
  ① 事業先に対するリレーションとソリューションの強化
     当行は、33FG の傘下銀行として、三重銀行とともに互いの経営資源やノウ
    ハウを融合し、 統合効果の最大化と早期実現に取り組むとともに、 地域に寄り
    添う「かかりつけ医」として、お客さま一人ひとりの本業支援に尽力すること
    で、地域経済活性化への貢献に取り組んでまいりました。
     具体的には、 事業先に対するリレーションとソリューションの強化を基本
    戦略の一つに掲げ、3 つの重要施策(事業性評価に基づく融資や本業支援の強
    化、経営改善計画策定先等のミドルリスク先(注)への経営改善支援、三重県中
    南部地域活性化推進プロジェクト)  を中心に経営資源を投下し、様々なライフ
    ステージにある中小企業者等とのリレーションを強化するとともに、  融資やソ
    リューションの提供に取り組んでまいりました。
   (注)正常先下位等のお客さま


  イ. 事業性評価に基づく融資や本業支援の強化
      前経営強化計画期間中の事業性貸出先数の減少等を踏まえ、これまで以
     上に事業先のお客さまとのリレーションの強化を通じてお客さまのニーズ
     や経営課題の解決に資する融資をはじめ、本業支援に取り組むことで、事
     業先取引基盤の拡充に努めてまいりました。
      2020 年度下期は、引き続き、新型コロナウイルス感染症対応の金融支援
     に迅速に取り組むとともに、営業店は経営者と経営課題等を共有するため
     のツールであるリレーションシートなどを活用した取引先の実態把握、課
     題解決支援に努めてまいりました。
      また、本部の営業推進部法人営業課の事業性評価担当者 3 名によるリレ
     ーションシート策定先に対する営業店の取組状況のフォローアップや情報

                    9
 の一元管理を行うとともに、蓄積した情報を営業店や営業本部内のソリュ
 ーションを提供する専門チームと共有し、お客さまの多様なニーズや課題
 に対応したソリューションの提供に繋げてまいりました。
  この結果、事業性評価シート活用先は計画期間累計 4,111 先となり、同
 先に対する 2021 年 3 月期におけるビジネスマッチングや事業承継支援など
 本業支援の成約実績は 381 件(計画期間累計 1,185 件)となりました。

 【事業性評価シート活用先数推移(表 8)】                                                            (単位:先)
                  2018 年度     2018 年度      2019 年度       2019 年度       2020 年度     2020 年度
                    上期          下期           上期            下期            上期          下期
 事業性評価シート
                     1,197           746           541          454         758        415
 活用先数
 ※ 事業性評価シート活用先:リレーションシート及び事業性評価サービスを活用した先


A. 事業先向け貸出金の増強
     事業性評価に基づく融資やソリューションの提供を更に強化すること
   で、33FG が地元と定義する三重県、愛知県を中心に事業先向け貸出金の増
   強に取り組んでまいりました。
     2020 年度下期は、   引き続き新型コロナウイルス感染症により影響を受け
   たお客さまに対して迅速な資金繰り支援を実施するとともに、事業性評価
   に基づく融資や本部専門チーム等による貸出金の増強に努めてまいりま
   した。
     また、ABL やコベナンツ付融資など多様な信用供与手法を活用するとと
   もに、農業、医療・健康関連、環境・エネルギー等の成長分野向け融資を
   積極的に推進するなどいたしました。
     こうした取組みにより、        2021 年 3 月末の中小規模事業者等向け貸出金は
   6,971 億円と 2018 年 3 月末比 597 億円増加し、  そのうち地元である三重県・
   愛知県合算では 438 億円増加いたしました。
     今後も、地元を中心とした中小企業向け貸出金の増強を図ってまいりま
   す。

 【地域別の中小規模事業者等向け信用供与の残高推移(表 9)】
                              (単位:億円)
                                                                                   2018/3 末
                      2018/3 末       2019/3 末        2020/3 末         2021/3 末
                                                                                     対比
  三重県                        3,487         3,501          3,433           3,761           273
   うち中南部地域
                             1,890         1,890          1,848           1,989           98
    (中勢、南勢、東紀州)
  愛知県                        1,457         1,497          1,546           1,622         164
  大阪府                          520           599            635             705         185
  その他の地域                       908           805            824             882         △26
      合計                     6,374         6,404          6,439           6,971         597


B. 事業先との安定した取引基盤の構築
    事業先との安定した取引基盤を構築するため、事業性評価に基づく融資

                                     10
  や本業支援を一層強化するとともに、事業性貸出先数の増加に取り組んで
  まいりました。
   2020 年度下期は、引き続き、新型コロナウイルス感染症対応の資金繰り
  支援や本業支援に取り組んでまいりました。また、営業店において、お客
  さまのニーズや経営課題に関する情報共有や経営課題解決に資するソリ
  ューションの検討などを目的とした情報提案会議を定期的に開催し、支店
  長席から担当者を含めた重層管理の徹底を図るとともに、融資やソリュー
  ションの提案などを通じてお客さまとの緊密な関係構築に努めてまいり
  ました。
   このほか、当行のお客さま向け会員組織である「さんぎんビジネスクラ
  ブ」と三重銀行の「三重銀経営者クラブ」を統合した「三十三ビジネスク
  ラブ」において、グループのシンクタンクである三十三総研主催による共
  同セミナーや研修会を開催し、経営情報やお客さま間の相互交流の機会を
  提供することにより、お客さまとの緊密な関係構築に努めてまいりました。
   こうした取組みの結果、    2021 年 3 月末の経営改善支援等取組率に掲げる
  取引先数は、計画始期対比(2018 年 3 月末)で地元の三重県、愛知県でそ
  れぞれ 78 先、103 先増加したことにより、トータルで 37 先増加いたしま
  した。
   今後も、お客さまとのリレーションとソリューションの強化に資する取
  組みを推進することで、強固な取引基盤の構築を図ってまいります。

 【地域別取引先数推移(表 10)】                                                 (単位:先)
                                                                    2018/3 末
                 2018/3 末    2019/3 末      2020/3 末    2021/3 末
                                                                      対比
  三重県                8,510         8,684       8,362       8,588           78
   うち中南部地域
                     4,968         5,037       4,854       5,021          53
   (中勢、南勢、東紀州)
  愛知県                2,843       2,949         2,905       2,946        103
  大阪府                  797         764           697         680       △117
  その他の地域             1,320       1,316         1,267       1,293        △27
      合計            13,470      13,713        13,231      13,507         37
 ※ 取引先:経営改善支援等取組みの計画に掲げる取引先


ロ. 地域経済活性化への取組強化
 A. 経営改善計画策定先等のミドルリスク先への経営改善支援
     地域に寄り添う「かかりつけ医」として、ミドルリスク先に対する真正
    面の本業支援として、経営改善計画策定先等に対する経営改善支援を最優
    先事項として取り組んでまいりました。
     2020 年度下期は、引き続き、新型コロナウイルス感染症対応の資金繰り
    支援を迅速に実施するとともに、本部と営業店が一体となってミドルリス
    ク先に対してリレーションシートを活用した事業性評価を 233 先に対して
    実施し、資金繰り支援や経営課題解決に資するソリューションの提案・実

                              11
 行に取り組んでまいりました。
  また、ミドルリスク先に対する融資については、審査部が制定した「要
 注意先等への融資取組に関するガイドライン」に沿って、当行が主体的か
 つ持続的にリレーションを図ることが可能な取引先に対して、営業推進部
 法人営業課と審査部が連携して取り組んでおり、同ガイドラインに沿った
 融資取組実績は、8 先 11 億円となりました。
  さらに、新型コロナウイルス感染症対応の資金繰り支援について、審査
 部との協議が必要な案件(破綻懸念先等)については「新型コロナ案件事
 前協議書」を活用し、審査部と営業店との協議を事前に行い早期に方針を
 決定することで、迅速な支援に取り組んだほか、地区別に案件協議会を開
 催し、お客さまの実態把握と営業店サポートを通じた融資案件の早期実行
 に努めました。
  こうした取組みにより、   2020 年度下期のミドルリスク先に対する融資実
 行額は 496 億円となりました。
  今後も、支援を必要としている事業先に対する経営改善支援や本業支援
 を強化し、地域経済の活性化に貢献してまいります。

B. 三重県中南部地域活性化推進プロジェクト
    当行の主たる営業基盤である三重県中南部地域(中勢地域、南勢地域、
   東紀州地域)については、三重県北勢地域や愛知県などと比較すると、人
   口・事業所数の減少が加速しています。こうした中、当行は、2018 年 4 月
   に「三重県中南部地域活性化推進プロジェクト」    (以下、「プロジェクト」
   といいます。  )を始動し、これまで以上に同地域の活性化に資する融資や
   本業支援の取組みを強化してまいりました。
    2020 年度下期は、引き続き、三重県内の津、松阪、伊勢、志摩、紀州各
   地区に配置した「中南部地域活性化推進チーム(総勢 6 名)(以下、
                                   」   「中
   南部チーム」といいます。  )の専担者と営業店が地区営業部(津、松阪、
   伊勢・志摩、紀州地区)やソリューション営業部等とも連携を図りつつ、
   ミドルリスク先を中心とした事業先に対する融資や本業支援に取り組ん
   でまいりました。
    また、地域の事業者に与えた新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、
   売上不振、資金繰り問題に加え、将来の先行きが見通せない中で事業の継
   続、事業承継に対する不安がこれまでになく顕在化、深刻化しており、当
   行はこうした経営課題に対応するため、中南部チームに事業承継・M&A 支
   援の専担者 1 名を配置し、事業承継・M&A 支援への対応力を強化いたしま
   した。
    このほか、営業本部副本部長をプロジェクトリーダーとする「三重県中
   南部地域活性化推進プロジェクトワーキンググループ」を毎月開催し、プ
   ロジェクトの進捗管理や経営課題に対する解決策の検討等を実施してい
   るほか、半期毎には常務会へ取組実績や課題等について報告するなどプロ

                 12
 ジェクトの実効性の向上を図ってまいりました。
   こうした取組みの結果、  2020 年度下期は同地域でミドルリスク先に対し
 て融資を 358 億円、ビジネスマッチング支援を 74 先(成約)、事業承継支
 援を 39 件取り組むなどいたしました。また、中南部チームが主体的に関
 与した実績は、融資実行額 19 先 20 億円、ビジネスマッチング等本業支援
 50 件(成約)となりました。
   今後も、三十三銀行においてプロジェクトを継続し、事業者の経営改善
 や本業支援を通じて同地域の経済活性化に貢献してまいります。

【中南部地域活性化推進チームによる支援事例】
 信用保証協会の事業承継特別保証制度を活用した事例
  三重県内で土木工事業を経営している A 社の代取は、従来から事業承継問題を抱
 え、2023 年頃までに同社専務の子息に事業を承継したい意向がある一方、メイン行
 からの既存借入金に係る経営者保証の承継が課題となっていました。
  同課題に対しメイン行からは特段提案もないことから、当行(従来の取引振は付
 合程度)は、経営者保証を不要とする新たな信用保証制度である「事業承継特別保
 証制度」
    (2020 年 4 月創設)を提案し、借入金全額のリファイナンスを実行いたしま
 した。また、同制度は経営者保証コーディネーターの確認により保証料率が軽減さ
 れるため、産業支援センターのコーディネーターとの連携による支援となりました。
  本事例は代表者の経営者保証に関する課題も解決でき、 社のスムーズな事業承継
                           A
 実現に貢献出来た事例となりました。


C. 地方創生に関する取組
    地方版総合戦略の実現に向けた取組支援はもとより、より一層地方創生
   に資する取組みを強化してまいりました。
    2020 年度下期は、引き続き、「地方創生推進プロジェクト」が中心とな
   り、地元の特産品・観光資源のインバウンド・アウトバウンドの促進を図
   ったほか、グループネットワークを活用した地域の商流拡大支援等に取り
   組んでまいりました。
    具体的には、当行、三重銀行、三十三総研とともに、鈴鹿市、吉本興業
   株式会社と締結した包括連携協定に基づき、同市の新商品創造プロジェク
   トの支援に引き続き取り組むとともに、三十三総研が運営している地場商
   品の販売サイトである「リージョネット三重」への掲載を支援するなどい
   たしました。
    また、11 月には、持続可能な観光地づくりの推進を目的に「三重県にお
   ける観光による地域活性化」に関する連携協定を三重県、REVIC、地元金
   融機関 3 行の五者で締結いたしました。今後、三重県等と連携した「観光
   遺産産業化ファンド」の活用による投融資やハンズオン支援などを通じて
   三重県の観光振興に取り組んでまいります。
    このほか、松阪 DMO(注)構築プロジェクトにおいて、地元事業者、観光

                  13
  協会等の関係者と連携 調整を行い、
              ・    一般社団法人「伊勢商人」 の設立(2021
  年 3 月)に参画いたしました。
   今後も、地方自治体等との連携を強化しつつ、33FG が一体となって地方
  創生の実現に取り組んでまいります。
  (注)DMO(Destination Management Organization)とは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに
  地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取りを担う法人


ハ. 営業推進体制の強化
 A. 本部営業推進体制の強化
     2020 年度下期は、引き続き、外部専門家等との提携拡充などにより、本
    部専門チームのソリューション提供力の強化を図るとともに、合併後の営
    業推進体制の構築に向けた準備を進めてまいりました。
     今後は、三十三銀行において実効性のある営業推進体制の構築と早期安
    定稼働に向けた取組みを進めてまいります。

 【営業本部専門チームの概要】
       所管部           チーム名                    役割等
      営業推進部      中南部地域活性化推進      三重県中南部地域のミドルリスク先等の事業先を
                 チーム             対象とした融資や経営改善支援等の本業支援
                                 プロジェクト案件、提案型リファイナンス(シ・
                 法人ビジネスサポート
                                 ローン、コベナンツ融資等)  、私募債、事業承継、
                 チーム
                                 M&A 等の推進
  営
  業                              成長分野、新商品、新業務等に特化したファイナ
                 法人総合戦略チーム
  本                              ンス、ソリューションの提供
  部   ソリューション                    営業店・本部各チームとの連携の下での案件組成
                 営業チーム
      営業部                        業務とサポート
                 不動産&優先株ファイ      大型ファイナンス案件、成長事業応援ファンド、
                 ナンスチーム          M&A 業務、事業承継等の推進及び情報収集
                 デリバティブチーム       金利デリバティブ、為替デリバティブの推進


B. お客さま本位の業務運営に適う業績評価制度の整備
    業績評価制度については、2017 年 4 月より、お客さま本位の業務運営に
   適う業績評価体系を整備し、お客さまの利益と営業店等の営業推進に対す
   るモチベーションの向上に取り組んでまいりました。
    2020 年度業績評価については、三十三銀行の業績評価制度の円滑な運用
   開始に向け、両行の評価体系の平仄を合わせる形で上期から年間評価に変
   更いたしました。
    具体的には、業績評価を半期評価から年間評価に変更するとともに、店
   舗表彰について、地区営業部単位から店質・地域を勘案した 8 グループに
   分類のうえ、個別店舗単位で表彰する評価体系にいたしました。これによ
   り短期的な業績目標に捉われることなく、よりお客さま本位での営業活動
   を促すとともに、営業店のモチベーションの更なる向上を図りました。




                           14
ニ. ソリューション営業力の強化
 A.ソリューション手法の多様化・高度化
     ソリューション手法の多様化・高度化を図り、付加価値を創造するコン
    サルティング機能の強化に取り組んでまいりました。
     2020 年度下期は、事業承継、M&A 業務などに関する外部機関や専門家と
    の提携を拡充し、これらの業務のソリューション提供力の強化を図りまし
    た。
     今後も、  ソリューション手法の多様化・高度化に取り組んでまいります。

 B.ソリューション手数料の増強
     本部と営業店が一体となって、事業先のニーズや経営課題の解決に最適
   なソリューションの提供を通じてソリューション手数料の増強に取り組
   んでまいりました。
     具体的には、コベナンツ活用型融資、ABL、私募債など担保・保証に必
   要以上に依存しない融資等の取組みを引き続き積極的に推進するととも
   に、本部専門チームと営業店が連携して多様なソリューションの提供に取
   り組んでまいりました。
     この結果、2020 年度下期のコンサルティング等斡旋手数料等のソリュー
   ション手数料収入は、コロナ禍における営業活動の制約がある中で 11 億
   79 百万円となりました。
     今後も、本部と営業店が連携して経営課題解決に最適なソリューション
   を提供することによりソリューション手数料の増強を図ってまいります。

  【ソリューション手数料の推移(表 11)】                                  (単位:百万円)
             2018 年度   2018 年度    2019 年度    2019 年度    2020 年度   2020 年度
               上期        下期         上期         下期         上期        下期
   ソリューション
                 623      1,274      1,133      1,415       729      1,179
   手数料
   ※ 2018 年度下期より、金融派生商品収益、コミットメント受入手数料を含めております。


 C.ライフステージに応じた最適なソリューションの提供
     事業先とのリレーションを構築し、様々なライフステージ(創業・新事
   業段階、成長段階、安定期、衰退期)にある事業先の課題やニーズに対し
   て最適なソリューションを提供することで、お客さまの成長・発展を支援
   してまいりました。
     2020 年度下期は、外部機関や専門家等との連携を図りつつ、本部の専門
   チームや海外進出支援等の担当者等と営業店が連携して事業先のライフ
   ステージに応じた多様なソリューションの提供に引き続き取り組んでま
   いりました。
     また、2020 年 2 月に設立したファンド総額 20 億円(最大総額 30 億円)
   とする「第 2 号さんぎん成長事業応援投資事業有限責任組合」を活用し、
   1 先 30 百万円の出資を行い、事業先の成長を積極的に支援いたしました。
                           15
   このほか、お客さまとともに持続可能な社会づくりに対する取組みへの
  参画の一つとして、SDGs 私募債を 30 件 20 億円の取組みを行いました。
   今後も、これらの取組みを強化し、お客さまの成長・発展を支援するこ
  とで、地域経済の活性化に貢献してまいります。




【ファンド活用実績:(表 12)】                              (単位:先、百万円)
                      2017 年度   2018 年度   2019 年度   2020 年度   累計
                 先数         0         0         2         1        8
 さんぎん農業ファンド
                 金額         0         0        30         5    165
 さんぎん成長事業応援      先数         2         5         5         2        15
 ファンド(第 2 号含む)   金額        50       170       345       180    745
※累計は、各ファンドの設立時からの実績


D.ビジネスマッチング支援の強化
   本部と営業店が一体となってお客さまのニーズや課題解決に向けた最適
  なソリューションの提供を行うための手段の一つとして、ビジネスマッチ
  ング支援の強化に取り組んでまいりました。
   2020 年度下期は、引き続き、当行と三重銀行のビジネスマッチング情報
  を定期的に交換するとともに、商談会や各種セミナーの共同開催を通じて
  お客さまの販路拡大や事業譲渡など多様なニーズに対応したほか、営業店
                           16
   や中南部チームなどによるビジネスマッチング支援を積極的に実施してま
   いりました。
     また、10 月には、地域・金融機関の垣根を超えたビジネスチャンスを創
   出することを目的に、株式会社三井住友銀行と日本電気株式会社が共同で
   運営を行うデジタル技術を活用したビジネスマッチングサービス「Biz‐
   Create」に地方銀行で初めて両行が参画し、オンライン上でのプラットフ
   ォーム型ビジネスマッチングサービスの提供を開始いたしました。
     こうした取組みの結果、 2020 年度下期のビジネスマッチング成約先は 216
   先となりました。
     今後も、こうした取組みを通じて取引先のビジネス機会の創出に貢献す
   るとともに、営業基盤の拡充や収益の増加に繋げてまいります。

    【Biz-Create の概要】




② 個人先に対するリレーションとソリューションの強化
 イ. 営業チャネルの強化による顧客基盤の拡充
  A. 対面チャネルの強化
      少子高齢化の加速や金融 IT の進展に合わせ、お客さまのニーズやライ
     フスタイルも益々多様化しています。こうした変化に的確に対応し、個人
     先取引基盤の拡充を図るため、顧客接点の拡充に資する営業チャネルの強
     化に取り組んでまいりました。

                       17
   2020 年度下期は、上期に三重県内の桑名、四日市、津、鈴鹿、松阪、伊
  勢地区内の営業店を対象に試行を開始した営業推進部個人営業課による
  保険証券分析システムを活用した営業店サポートについて、支援体制を確
  立のうえ、  「保険内容ご確認キャンペーン」を実施し、お客さまへの営業
  店の渉外担当者等による保障性保険の提案機会の拡充を図りました。
   また、三重銀行年金サポートデスクによる当行営業店からの問合せ窓口
  を開設し(10 月) 、シルバー世代との取引間口の拡大に努めたほか、将来
  の給与振込等の取引に繋げるとともに、保護者の取引拡充を図ることを目
  的として「お年玉口座開設キャンペーン」を実施するなどいたしました。
   今後も、対面チャネルを強化し個人取引基盤の拡充を図ってまいります。

B. 非対面チャネルの強化
    渉外担当者等や店舗等での接触が困難であるお客さまとの接点の拡充
   やデジタライゼーションの加速的な進展への対応を図るため、Web・モバ
   イルを活用したサービスの提供や FinTech 企業との連携を強化し、お客さ
   まの利便性向上に繋がる新しいサービスの検討・提供に取り組んでまいり
   ました。
    2020 年度下期は、電子決済等代行業者との API 連携として、ソリマチ、
   ミロク情報サービスと契約を新たに締結し、FinTech 企業との連携拡充を
   図るとともに、個人向けインターネットバンキングサービスにおいて、定
   期預金口座開設、定額自動送金、住宅ローン一部繰上返済、ソフトトーク
   ン認証、メールワンタイムパスワードの導入といった新機能を追加するな
   ど非対面チャネルの強化に資する取組みを実施いたしました。
    また、Web・モバイル、ダイレクトコールセンターによるテレマーケテ
   ィングを実施し、キャンペーン等の情報を随時発信するなど非対面チャネ
   ルを活用した顧客基盤の拡充に努めました。
    今後も、Web・モバイル、ダイレクトコールセンター等の非対面チャネ
   ルを強化するとともに、FinTech を活用したサービスの拡充に取り組むこ
   とで、お客さまの多様化するニーズに的確に対応してまいります。

ロ. 個人先向け貸出金の増強
     個人先向け貸出金の増強については、総合取引や将来にわたるリレーシ
   ョンの構築が期待できる取組みとして位置づけ、収益性に配慮しつつ貸出
   金の増強に取り組んでまいりました。
     2020 年度下期は、住宅ローンについて、引き続き収益性に配慮しつつ、
   ハウスメーカーや地元業者との連携強化を通じた良質な案件の取組みに注
   力することで住宅ローンの増強に努めてまいりました。
     目的別ローンや消費者ローンについては、   顧客データを分析のうえ、 DM、
   SMS、Web 広告などを通じた個人向けローンの推進を行うとともに、Web・モ
   バイル取引での契約を推進することにより、申込手続の簡素化や審査スピ

                   18
  ードの向上等に取組み、お客さまの利便性向上を図ってまいりました。
   今後も、顧客保護にも十分配慮しつつ、これらの取組みを着実に推進し、
  個人先向け貸出金の増強を図ってまいります。

ハ. ソリューション提供力とフィービジネス等の強化
 A. ライフニーズに対応した商品・サービスの提供
     お客さまの多様化・高度化するニーズに的確に応えるため、個人のお客
    さまのライフニーズに応じた最適な商品を拡充するとともに、お客さま本
    位の良質で付加価値の高いサービスの提供に取り組んでまいりました。
     2020 年度下期は、三重銀行との合併を踏まえ、両行の取扱商品を統一す
    るため、投資信託については、2021 年 2 月に 84 銘柄追加、29 銘柄を停止
    するとともに、生命保険については、2021 年 3 月末で 14 商品の取り扱い
    を停止いたしました。
     また、33FG の「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」に基づき、
    資産形成・資産運用に資するつみたて NISA 等について引き続き積極的に
    推進するなどいたしました。
     今後も、同方針に基づき、   「お客さま本位」で考動し、最適な金融サー
    ビスの提案を通じてお客さまの安定した資産形成・資産運用の実現をサポ
    ートしてまいります。

 【NISA 口座数、iDeCo 取次件数推移(表 13)】                                        (単位:件)
              2018/3 末              2019/3 末         2020/3 末          2021/3 末
  NISA              9,272                10,351           11,447            11,915
     うちつみたて
                         453              1,373            2,270             2,723
     NISA
     うちジュニア
                         263                   339              384               389
     NISA
  iDeCo(累計)         5,316                 6,220            7,009             7,654



B. 預かり資産の増強
    お客さま本位の営業を実践し、お客さまのニーズに最適な商品やソリュ
   ーションを提供できる人材の拡充等を図ることで、預かり資産の増強に取
   り組んでまいりました。
    2020 年度下期は、引き続き、 渉外担当者や営業店窓口担当を兼任しつつ、
   預かり資産を販売する   「SA」セールスアテンダント) SA を指導する
                   (           や        「SAM」
   (セールスエリアマネージャー)の拡充に努めるとともに、証券会社、保
   険会社から受入した出向者と SAM や渉外担当者等との連携により預かり資
   産の増強を図ったほか、資産承継ニーズのある経営者等を対象とした相続
   個別相談会の開催や弁護士による相続対策セミナーなどを通じた資産承
   継の提案を積極的に行いました。
    また、投資信託及び生命保険を購入し保有されているお客さまへのアフ

                               19
     ターフォローを継続的に実施し、金融商品の損益状況や市場環境等の情報
     提供とともにお客さまの意向やニーズの把握などに努めました。
      この結果、2020 年度下期の投資信託と生命保険の販売額合計は 278 億円
     となりました。
      今後も、これらの取組みにより、  預かり資産の増強を図ってまいります。

   【個人渉外等の配置状況(表 14)】                                                                      (単位:人)
                          2018/3 末               2019/3 末              2020/3 末             2021/3 末
     個人渉外                            45                     39                    33                   36
     SAM                             8                      13                    14                   13
     SA                              28                     43                    33                   30


   【投資信託実績推移(表 15)】                                                                (単位:百万円)
             2018 年度       2018 年度          2019 年度          2019 年度         2020 年度         2020 年度
               上期            下期               上期               下期              上期              下期
     販売額        5,759          4,847               6,134           7,881           7,206         13,234
     期末残高      53,335         50,289              49,107          40,280          44,833         47,353
     日経平均
               24,120         21,205              21,755          18,917          23,185         29,178
     株価(円)
    ※ 日経平均株価は、それぞれの期末時点の終値です。


   【生命保険実績推移(表 16)】                                                                (単位:百万円)
              2018 年度       2018 年度             2019 年度       2019 年度        2020 年度          2020 年度
                上期            下期                  上期            下期             上期               下期
     販売額         16,529         16,712             12,477          12,794           9,834        14,591


   【預かり資産保有世帯数推移(表 17)】                                                                (単位:世帯)
                        2017/3 末          2018/3 末          2019/3 末        2020/3 末         2021/3 末
     預かり資産保有世帯              37,493              38,847           40,872           41,809         40,030
    ※ 投資信託、外貨預金、生命保険(一時払)
                        、国債のうち、いずれか1つでも残高がある世帯


(2)経営の効率化・最適化
  ① 最適な営業体制の確立
   イ. 効率的な営業体制の構築
       基本方針の一つであるリレーションの構築とソリューションの提供を図
      るため、統合効果や営業戦略を踏まえた効率的で強力な営業体制の構築に
      取り組んでまいりました。
       2020 年度下期は、営業推進部個人営業課による保険証券分析システムを
      活用した営業店サポート体制を確立し運用の定着に努めたほか、三重銀行
      年金サポートデスクによる当行営業店からの問合せ窓口を 10 月に開設する
      など、三十三銀行の営業体制を見据えた取組みを推進いたしました。
       今後は、三十三銀行において実効的な営業体制の構築に取り組んでまい

                                           20
  ります。

ロ. 店舗の効率化・最適化
    三重銀行との合併を見据えた店舗ネットワークの最適化や店舗の効率化
   に取り組んでまいりました。
    2020 年度下期は、当行名古屋支店と三重銀行名古屋法人営業部との店舗
   共同化を実施(2020 年 11 月)し、店舗運営の効率化を図りました。
    また 2021 年 3 月には、33FG において「子銀行の合併に伴う店舗統合(移
   転)に関するお知らせ」として、合併後、29 店舗を対象に店舗統合(移転)
   を 2021 年 7 月から約 1 年間で完了させる予定であることをリリースいたし
   ました。
    今後も、33FG の最適な店舗ネットワークの構築に向け、店舗の効率化・
   最適化に取り組んでまいります。

② ローコストオペレーションの実現
 イ. 本部業務等の共通化・効率化
     これまで取り組んできた BPR を引き続き推進するとともに、統合効果を
    最大限発揮し、三重銀行とのノウハウ・リソースの共有・相互活用により
    本部業務等の共通化・効率化に取り組んでまいりました。
     2020 年度下期は、合併を見据え、両行の事務取扱の統一化や効率化に向
    けた取組みを進めるとともに、合併直後のオンライン事務処理を円滑に遂
    行できるよう、営業店リハーサルを計 5 回実施し、三十三銀行の事務体制
    への移行に対応した取組みを実施いたしました。
     今後は、三十三銀行において、デジタル化により BPR 等を推進し、銀行
    業務全体の合理化・効率化に取り組むとともに、コストマネジメントの強
    化を図ってまいります。

ロ. 物件費等のコスト削減
    2021 年 3 月期における物件費は、外部コンサルタント会社の支援で得た
   経費削減ノウハウを活用するとともに、三重銀行との協働によるコストシ
   ナジー施策の早期実現により銀行全体の経費削減に取り組んだものの、経
   営強化計画策定時には織り込んでいなかった合併・システム統合関連費用
   の発生を主因に、    計画を 7 億 51 百万円上回る 83 億 23 百万円となりました。

 【物件費の計画・実績(表 18)】                                  (単位:百万円)
                  2020/3 期        2020/9 期          2021/3 期
                    実績              実績         計画              実績
  物件費                  8,176           4,031    7,572           8,323
    うち機械化関連費用          3,855           1,934    3,276           3,320




                             21
       2021 年 3 月期における人件費は、効率的な人件費の配分に努めた結果、
      計画を 5 億 93 百万円下回る 104 億 44 百万円となりました。

    【人件費の計画・実績(表 19)】                                                (単位:百万円)
                      2020/3 期            2020/9 期                   2021/3 期
                        実績                  実績               計画                 実績
     人件費                   10,629               5,242          11,037            10,444


    【従業員数の計画・実績(表 20)】                                                     (単位:人)
                      2020/3 末            2020/9 末                   2021/3 末
                        実績                  実績               計画                 実績
     期末従業員数                    1,890            1,880           2,015             1,872
       正行員                     1,302            1,321           1,353             1,331
       嘱託・パート                   588                 559              662             541


(3)人材力の強化
  ① 高いコンサルティング力を有する人材の育成
   イ. コンサルティング営業ができる人材の育成
        お客さまのニーズに的確に対応し、最適なソリューションを提供するた
      め、高度なコンサルティング力を有する人材の育成を図ってまいりました。
        2020 年度下期は、上期に続き、新型コロナウイルス感染症の拡大により
      研修の多くを中止する中、     渉外担当者全般を対象とした 7 講座から成る        「事
      業融資スキルアップ講座」     (債権管理編、企業再生編、外為ソリューション
      編、アプローチ編、与信判断編、マーケティング編、財務分析編)のうち、
      「与信判断編」    「マーケティング編」を開催したほか、審査部への審査トレ
      ーニーを実施するなどにより、企業分析能力やコンサルティング力の向上
      に努めました。
        また、金融商品運用相談担当者(行内 FA)や住宅ローン等に対する高度
      な知識や推進のスキルを有するローンアドバイザー              (LA)を育成しており、
      2021 年 3 月末時点で行内 FA は 204 名、LA は 28 名となりました。
        今後も、高度なコンサルティング力を発揮できる人材の育成を図ってま
      いります。

     【行内 FA・LA の人員推移(表 21)】                                                (単位:人)
                    2018/3 末             2019/3 末         2020/3 末          2021/3 末
       行内 FA               240                   234              222                204
       LA                      15                   22               28                28


   ロ. 若年職員の能力向上
       若年職員の能力向上を図るため、預かり資産の販売や融資の推進に関す
      る研修と OJT の充実に取り組んでまいりました。

                                    22
    2020 年度下期は、新入行員研修の中で外部機関主催の預かり資産基礎研
   修を実施するとともに、若手渉外行員の融資分析能力・判断能力・顧客対
   応能力の向上を目的とした渉外融資能力向上研修を開催するなどいたしま
   した。
    今後も、若年職員の能力向上を図ってまいります。

② 働き方の改革等による組織の活性化
 イ. 働き方の改革と女性職員の活躍促進
      働き方の改革や女性職員の更なる活躍機会拡充に取り組むことで、職員
    一人ひとりが最大限に能力を発揮できる機会の拡充を図るとともに、多様
    な人材を受け入れる環境整備に取り組んでまいりました。
      2020 年度下期は、 引き続き、2018 年に策定した行動計画「Lady Go! Next
    Work Style プログラム」(女性職員だけでなく全職員が働きやすい職場づ
    くりを目指すとともに、働き方の改革を推進)等に沿って、女性管理職の
    育成・登用等女性職員の活躍促進、育児・介護と仕事の両立、柔軟な働き
    方の促進、若手職員の育成など働きやすい環境整備を進めてまいりました。
      また、こうした取組みに加え、長時間労働の是正、年次有給休暇制度の
    取得率向上の取組み、定期健康診断やストレスチェック制度の実施などを
    戦略的に実践してきた結果、当行は、昨年に続き経済産業省及び日本健康
    会議が実施する「健康経営優良法人認定制度 (注)      」において、  「健康経営優
    良法人 2021(大規模法人部門)   」の認定を受けました。
      今後も、これらの取組みを通じて組織の活性化、生産性の向上を図って
    まいります。
     (注)地域の健康課題に即した取組みや日本健康会議が進める健康増進の取組みをもとに、特に優
         良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度


   【女性管理職の推移(表 22)】                                                           (単位:人)
                      2018/3 末              2019/3 末         2020/3 末         2021/3 末
     管理職                         111                   106              110              113
    ※ 女性管理職:代理以上及び担当席以上の職員


   【Lady Go!Next Work Style プログラム】
                             組織の活性化・生産性の向上

         働きやすい環境の整備                    労働時間短縮への対応                       非正規雇用の処遇改善
    ・女性の活躍促進                 ・時間外労働の削減                         ・同一労働同一賃金への対応
    ・若手職員の育成                 ・有給休暇取得率の向上
    ・育児介護と仕事の両立、柔軟な働き方の促進等
    ・障がいのある方の雇用




                                       23
  ロ. 職員等の意欲・能力向上に向けた職場環境の整備
      職員等の意欲・能力向上に向けた取組みを強化し、職場環境の充実に取
     り組んでまいりました。
      2020 年度下期は、引き続き、2 名のゼネラルカウンセラー(悩みなど心
     理的な問題の解決をサポートする相談員で、人事総務部に配置)が営業店
     等を訪問し、仕事や人間関係等の悩みを聞き取り、アドバイスを行うこと
     により、女性や若手を中心とした職員等のメンタルケアに努めるとともに、
     保健師 2 名による健康相談を定期的に実施し、役職員の健康の保持・増進
     に努めたほか、長時間労働の是正、年次有給休暇制度の取得励行、定期健
     康診断の実施などに取り組みいたしました。
      このほか、三重銀行との合併を見据え、職員のモチベーション向上に繋
     がる三十三銀行の人事制度の導入準備を完了いたしました。
      今後も、  職員等の意欲・能力向上に向けた取組みを強化してまいります。

(4)内部管理態勢の強化と地域社会への貢献
  ① コンプライアンス態勢の強化
     業務の健全性及び適切性を確保するための最重要課題の一つとして、強固
    なコンプライアンス態勢の維持・構築に引き続き取り組んでまいりました。
     2020 年度下期は、引き続き、集合研修にコンプライアンス関連の講座を組
    み入れ、  関連部等が講師となって職員に対して指導するなどコンプライアンス
    意識の向上を図りました。
     また、コンプライアンス統括部所属の臨店指導員等による延べ 109 店舗の
    臨店指導を通じて営業店の法令等遵守状況、  マネー・ローンダリング及びテロ
    資金供与対策に関する事務取扱の点検及び職員面接により、  コンプライアンス
    の取組状況を検証いたしました。
     また、3 月には、インサイダー取引規制・法人関係情報管理に関する勉強会
    を三重銀行と共同開催し、  役員及び本部部長等に法人関係情報管理の重要性に
    ついて周知徹底いたしました。
     このほか、反社会的勢力への対応状況等について、四半期毎にコンプライ
    アンス委員会へ報告するとともに、  半期毎に取締役会へ報告するなど銀行全体
    で適切な管理を実施いたしました。
     今後も、業務の健全性及び適切性の確保に向け、コンプライアンス態勢の
    強化を図ってまいります。

 ② リスク管理態勢の強化
    将来にわたり金融仲介機能を安定的に発揮し、地域経済活性化に貢献する
   とともに、安定した収益を確保していくため、景気・金利等見通しを前提に、
   適正な流動性を保持しつつ、市場リスク、信用リスク、事務リスク、システム
   リスク等を統合的に管理する体制の維持 向上に引き続き取り組んでまいりま
                     ・
   した。

                    24
   2020 年度下期は、引き続き、統合リスク管理におけるリスク資本と信用リ
 スク、  市場リスクを可能な限り統一的な尺度で算定したリスク量との差額  (バ
 ッファ) 及びバッファに有価証券の含み損益を加減算した額
        、                       (最終バッファ)
 を月次でモニタリングすることで、自己資本の十分性を確認するとともに、
 33FG 共通のテクニカル・ヒストリカルストレステスト等を定期的に実施し、
 ストレス時における自己資本の十分性を検証いたしました。
   また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う企業業績の悪化や各種マーケ
 ットの変動によりリスク量が大きく変動する中、   厳格な資本配賦運営を行った
 ほか、  新商品、 新業務のリスク審査の徹底を図るなどリスク管理態勢の強化に
 継続的に努めてまいりました。
   今後も、多様化・複雑化する金融手法や事業継続に伴う各種リスクに対す
 るリスク管理の強化を図ってまいります。

③ 顧客保護等管理態勢の強化
   お客さまの正当な利益の保護や利便性の向上に向けた取組みを引き続き強
  化してまいりました。
   2020 年度下期は、引き続き、33FG の「お客さま本位の業務運営に関する基
  本方針」  に則って業務が遂行されているかについて、   コンプライアンス統括部
  が延べ 109 店舗を臨店指導したほか、  投資信託の販売が特定商品に偏っている
  営業店について、   証券国際部が実施したモニタリングに基づき、  該当店の取扱
  いの適切性を検証いたしました。
   また、営業店において苦情が発生した場合には、     「苦情勉強会」を開催し、
  再発防止策等について支店職員全員で協議を行うなどの取組みを継続実施い
  たしました。
   今後も、顧客保護管理態勢の強化に資する取組みを実施してまいります。

④ CSR の取組強化
    地域金融機関として、地域の持続的な発展に向け、地域社会が抱える少子
  高齢化等の社会問題への対応について積極的に取り組んでまいりました。
    2020 年度下期は、33FG において、三重県内で環境保全、次世代育成支援、ダ
  イバーシティに取り組む NPO 団体の活動を応援するため、     「三十三フィナンシャ
  ルグループ NPO 応援基金」   を通じて両行で 12 団体に対して寄付を実施いたしま
  した。また、三重県の小学生を対象にしたサッカー大会を支援するとともに、
  当行では亀山市内の小学校において「お金に関する勉強会」を実施するなどい
  たしました。
    今後も、  グループの CSR の基本方針や「三十三フィナンシャルグループ SDGs
  宣言」に基づく取組みを積極的に推進してまいります。




                     25
4.従前の経営体制の見直しその他の責任ある経営体制の確立に関する事項の進捗状況
(1)業務執行に対する監査又は監督の体制の強化のための方策
  ① 33FG の経営管理体制
   イ. 取締役会
        業務執行に対する監査・監督機能の強化及び業務執行の意思決定の迅速
      性・機動性の向上を実現しうる経営管理体制を構築するため、監査等委員
      会設置会社としております。
        取締役会は、取締役 14 名(うち監査等委員である取締役 6 名(うち社外
      取締役 5 名)、2021 年 3 月末)で構成され、グループの基本方針及び重要事
      項に係る意思決定を行うとともに、取締役の職務の執行状況を監督してお
      ります。
        このほか、取締役会の業務執行に関する権限の一部を委任し、重要事項
      を協議・決定する機関としてグループ経営会議、コンプライアンス委員会
      及び ALM・リスク管理委員会を設置しております。
        また、2020 年 6 月には、監査等委員である社外取締役を 2 名(うち女性
      社外取締役 1 名)増員し、取締役会における独立社外取締役の割合を 1/3
      以上に高めることで、コーポレートガバナンス体制の更なる強化を図って
      おります。
        なお、2021 年 5 月より、コンプライアンス委員会及び ALM・リスク管理
      委員会について、名称をそれぞれコンプライアンス経営会議、リスク管理
      経営会議に変更いたしました。
        今後も、より一層ガバナンス体制の強化を図ってまいります。

   ロ. 監査等委員会
        監査等委員会は、監査等委員である取締役 6 名(うち社外取締役 5 名、
      2021 年 3 月末時点)で構成されております。
        監査等委員である社外取締役は、監査等委員会の構成員として、会社法
      上の権限(業務監査権限、経営評価権限等)を有しており、業務執行者に
      対する適切な監査・監督機能を発揮できる体制としております。
        また、常勤の監査等委員を選定し、当該常勤監査等委員がグループ経営
      会議等の重要な会議に出席することにより、監査等委員会において情報共
      有を図る体制としております。
        さらに、諮問機関として指名委員会を、取締役会の内部機関として報酬
      委員会をそれぞれ設置し、取締役候補者の選定や取締役の報酬等に関する
      社外取締役の関与・助言の機会を適切に確保する体制としております。

  ② 第三銀行の経営管理体制
   イ. 取締役会
       取締役会の牽制機能の強化を図るため、会長・頭取体制とし、会長は取
      締役会の議長として経営全般の管理にあたり、頭取は執行部門の最高責任

                      26
    者としての立場で直接経営の陣頭指揮を執っております。
     また、監査等委員会設置会社として、取締役会の決議によって重要な業
    務執行の決定の一部を常務会に委任することで、業務執行の意思決定の迅
    速性・業務執行の機動性の向上を図っております。
     さらに、取締役会の多様性を十分確保するとともに、中長期的な企業価
    値向上を図るため、2018 年 6 月より女性の監査等委員である社外取締役 1
    名を選任しております。
     このほか、当行グループの更なる連携強化とグループ経営の意思決定を
    より迅速かつ機動的に行うことを目的に、2019 年 8 月に子会社 2 社を完全
    子会社化し、これにより連結子会社すべてが完全子会社化いたしました。
     さらに、2020 年度下期には、両行の子会社の業務の統合・効率化を図る
    観点から、三銀不動産調査㈱を清算するとともに、同社の全業務、三銀コ
    ンピューターサービス㈱及び三銀ビジネス・サービス㈱の業務の一部につ
    いて銀行本体で内製化いたしました。
     今後も、より一層ガバナンス体制の強化を図ってまいります。

  ロ. 監査等委員会
      監査等委員会は、 監査等委員である取締役 3 名    (うち社外取締役 2 名(う
     ち女性社外取締役 1 名、2021 年 3 月末時点))で構成しております。
      また、監査等委員である社外取締役は、監査等委員会の構成員として、
     会社法上の権限(業務監査権限、経営評価権限等)を有しており、業務執
     行者に対する適切な監査・監督機能を発揮できる体制としております。
      さらに、任意の諮問機関として指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設
     置し、取締役候補者の選定や取締役の報酬等に関する社外取締役の関与・
     助言の機会を適切に確保する体制としております。

(2)リスク管理の体制の強化のための方策
  ① 33FG のリスク管理態勢
      グループ全体のリスクを管理・統括するため、グループリスク管理の基本
    方針を定め、リスク管理統括部署としてリスク統括部を設置しております。
      また、社長を議長とし、グループ経営会議の構成員及びリスク統括部長、
    経営企画部長、   業務統括部長で構成され、グループ全体のリスクを組織横断的
    に統括する「リスク管理経営会議」を設置し、原則毎月 1 回及び必要が生じた
    場合に開催して、   グループリスク管理の運営方針や重要な対応策、子銀行の資
    本使用計画等について協議し、   リスクを能動的にコントロールすることで、安
    定した収益の確保に努めております。

 ② 第三銀行のリスク管理態勢
    銀行内業務の中で発生するリスク全体をモニタリングし、適切な管理を行
   うため、頭取を委員長とし、取締役を中心に構成する「リスク管理委員会」を

                      27
設置して毎月 1 回及び必要が生じた場合に開催し、       事業年度毎のリスク管理運
営方針や各種リスク管理の状況とその対応等について協議 決定しております。
                                   ・
 また、同委員会では、3 ヶ月毎に経営強化計画の進捗管理を行い、適切な計
画の実施を確保しているほか、  金融機能強化法の趣旨を踏まえ、       地域経済の活
性化の観点から、  事業性融資の地域別の信用リスク量の状況を把握・管理して
おります。
 なお、「リスク管理委員会」での協議をより深度のあるものとするため、取
締役及びリスク管理委員会の構成員並びに関係者に各種リスクと管理の現状
を記載した行内資料である「Sangin Risk Report」を配布しております。

イ. 統合的リスク管理態勢強化のための方策
    33FG のグループリスク管理体制の下、子銀行共通の統合的リスク管理態
   勢の構築に取り組んでまいりました。
    具体的には、2018 年 4 月から統合リスク管理における自己資本額を、バ
   ーゼルⅢ経過措置ベースから、同完全実施ベースの自己資本の額から一般
   貸倒引当金を控除したものに改め、これを信用リスク、市場リスクを可能
   な限り統一的な尺度で計測・合算したものと比較対照し、その差額(バッ
   ファ)及びバッファに有価証券の含み損益を加減算した額(最終バッファ)
   をモニタリングすることで、自己資本の十分性を確認してまいりました。
    また、資本配賦方法について、これまでのリスクカテゴリー別に配賦し
   ていたものを、事業部門別に配賦する方法に変更するとともに、リスクの
   評価方法の見直しも行うなど当行と三重銀行の統合リスク管理の枠組みを
   統一のうえ、2020 年度より運用を開始いたしました。
    このほか、銀行勘定の金利リスクについて、毎月⊿EVE 等を計測し、リス
   クレポートを通じて状況を経営陣に報告するなどリスク管理諸規制への適
   切な対応を実施いたしました。
    今後も、33FG と連携しつつ、統合的リスク管理態勢の強化を図ってまい
   ります。

ロ. 信用リスク管理態勢強化のための方策
   「リスク・マネージメント・トータル・プラン」に信用リスク管理の基
  本方針、信用リスク管理規定、クレジットポリシーをそれぞれ定め、リス
  ク管理を行ってまいりました。
   具体的には、大口与信集中リスクについて、大口与信先管理規程のクレ
  ジットリミットに基づくモニタリングを行い、常務会における大口与信先
  レビューで個社・グループ別に今後の取組方針を決定のうえ、適切に事業
  先を管理してまいりました。
   与信ポートフォリオについては、大口与信先の動向や業種別、格付別、
  地域別の与信残高構成の推移等を分析・検証のうえ、月次でリスク管理委
  員会に報告するとともに、定例的なシナリオに基づくストレステストを毎

                  28
  月実施し、ストレス時における信用リスク量を計量することなどにより信
  用リスク管理の強化を図ってまいりました。
   個別与信案件の審査については、要資事情を正確に把握のうえ、事業先
  の実態把握を行い、的確な与信判断に努めているほか、審査部門による短
  期倒産・短期のリスケジュール(返済計画の見直し)が発生した店舗、案
  件組成・融資管理面で指導が必要と判断した店舗を中心に臨店指導を行う
  とともに、拠点研修、審査トレーニーを実施し、営業店における第一次審
  査の能力向上を図ってまいりました。
   さらに、短期倒産や突発破綻の事例について、倒産要因や取組経緯等の
  傾向分析を行ったうえで行内周知し、与信判断のノウハウを職員全員が共
  有することにより、職員の目利き能力の向上に取り組んでまいりました。
   今後も、信用リスク管理態勢の強化を図ってまいります。

ハ. 不良債権の適切な管理のための方策
    実質破綻先・破綻先のうち大口債権、延滞が長期化している債権を中心
   に個別に回収計画を策定し、常務会への報告(管理債権上位 20 社のレビュ
   ー)等を通じ、債務者の実態把握を強化するとともに、本部・営業店が連
   携して回収促進を図ってまいりました。
    また、突発破綻や短期倒産などデフォルト事象抑制に向けた債務者の信
   用力に応じた中間管理を徹底するなど予兆管理の高度化を図ることで、不
   良債権の発生防止に努めるとともに、本部の企業支援部が所管する特定債
   権先等の中でランクアップが見込める先に対して、本部・営業店が一体と
   なり、経営改善計画の策定支援や外部支援機関の活用等コンサルティング
   機能の発揮を通じてランクアップを推進してまいりました。
    一方で、これらの取組みを着実に推進する中で、新型コロナウイルス感
   染症の影響などにより計画通り経営改善が進捗していない先の債務者区分
   をより慎重に精査したことから、2021 年月 3 月末の金融再生法開示債権残
   高(単体)は 355 億円、不良債権比率は 2.61%となりました。
    今後も、不良債権の管理を強化することにより、健全な資産の維持・向
   上等に努めてまいります。

【金融再生法開示債権残高の実績推移(表 23)】                               (単位:百万円、%)
                     2018/3 末           2020/9 末           2021/3 末
       項目
                       実績                 実績          計画              実績
 金融再生法開示債権残高              29,157             32,318    25,100          35,537
 不良債権比率                     2.25      2.38     1.85            2.61
※当行は部分直接償却を実施しております。           部分直接償却前の不良債権比率は、2018/3 末 2.78%、2020/9
 末 2.85%、2021/3 末 2.88%となります。


ニ. 市場リスク管理態勢強化のための方策
    金融市場の急激な変動が生じた場合でも、財務基盤の安定を確保し、従
   来以上に中小規模事業者等への安定的かつ円滑な資金供給を維持・拡大す

                                   29
     る体制を構築するため、より一層市場リスク管理態勢の強化を図る必要が
     あるとの認識の下、投資有価証券の種類別ロスカット管理や有価証券の損
     失限度管理を日次で行うなど市場リスク管理の実効性の確保を図ってまい
     りました。
      また、バリューアットリスクによる市場リスク量の計測結果の妥当性の
     検証について、リスク統括部が株式等の VaR 計測結果に対するバックテス
     トを月次で実施するとともに、感応度分析によるストレス評価を実施し、
     市場リスクの多面的な分析を行ってまいりました。
      さらに、2019 年度下期には有価証券損失限度額管理について、合併を見
     据えて三重銀行と管理方法等を統一するとともに、限度額をバーゼルⅢ完
     全実施ベースの自己資本額を基準に設定する方法に変更したほか、運用ウ
     エイトが高まっている投資信託等有価証券のリスク量について、証券種類
     別に加え金利、株式、その他のリスクファクター別に月次で評価するなど
     市場リスク管理の強化を図ってまいりました。
      今後も、有価証券運用に対して、フロント部門から独立したリスク統括
     部がミドル部門として牽制機能を発揮することにより、実効性のある市場
     リスク管理を実施してまいります。

(3)法令遵守の体制の強化のための方策
  ① 33FG の法令等遵守体制
      法令等遵守をグループ経営の最重要課題の一つとして位置づけ、法令等遵
    守態勢の基本方針として、取締役会で「経営理念」「企業倫理」及び「行動規
                               、
    範」 を制定するとともに、  グループの役職員の法令等遵守の着実な実践を図る
    ため、  「コンプライアンスマニュアル」及び「コンプライアンス規程」を制定
    しております。
      また、社長を議長とし、グループ経営会議構成員をもって構成する「コン
    プライアンス経営会議」   を設置のうえ、原則毎月 1 回及び必要が生じた場合に
    開催し、  コンプライアンスプログラムの策定のほか法令等遵守全般及び顧客保
    護等管理全般に関する事項等について協議・決定する体制としております。

  ② 第三銀行の法令等遵守体制
     法令等遵守を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、全行的なコンプラ
    イアンス意識の醸成及び法令等遵守の実効性の向上を目的に、   コンプライアン
    ス委員会を原則月 1 回開催し、コンプライアンスマニュアルの改定やコンプラ
    イアンス・プログラムの策定、発生した法務問題等に対応しております。
     また、コンプライアンスプログラムを年1回策定し、その成果や改善状況
    の評価・検証をより長期的かつ継続的に実施しております。
     これらの取組みについて、  「コンプライアンス委員会」で深度ある協議を実
    施し、コンプライアンス態勢の強化と PDCA サイクルの改善を図っております。



                     30
(4)経営に対する評価の客観性の確保のための方策
  ① 33FG の経営に対する評価の客観性確保のための方策
      33FG は、監査等委員会設置会社として、複数の社外取締役の配置による透
    明かつ公正な意思決定機能と高い監査・監督機能の確保を図っております。
      監査等委員会は、監査等委員である取締役 6 名(うち社外取締役 5 名(う
    ち女性社外取締役 1 名) :2021 年 3 月末)で構成しており、客観的かつ独立し
    た立場から取締役に対して監査・監督を行っております。
      また、諮問機関として指名委員会を、取締役会の内部機関として報酬委員
    会をそれぞれ設置し、   取締役候補者の選定や取締役の報酬等に関する協議・決
    定を行うこととしております。
      両委員会とも、代表取締役 2 名及び社外取締役 5 名の計 7 名で構成(2021
    年 3 月末時点)され、社外取締役が過半数を占めることにより、取締役候補者
    の選定や取締役の報酬等の決定プロセスの透明性の確保を図っております。
      今後も、経営に対する評価の客観性の確保に努めてまいります。

  ② 第三銀行の経営に対する評価の客観性確保のための方策
     当行は、33FG と同じく監査等委員会設置会社としております。
     監査等委員会は、監査等委員である取締役 3 名(うち社外取締役 2 名(うち
    女性社外取締役 1 名):2021 年 3 月末)で構成しており、客観的かつ独立した
    立場から取締役に対して監査・監督を行っております。
     また、取締役会の任意の諮問機関として指名諮問委員会及び報酬諮問委員会
    を設置し、取締役候補者の選定や取締役の報酬等に関する社外取締役の関
    与・助言の機会を適切に確保する体制としております。
     今後も、監査部や 33FG の監査等委員会との連携強化を図るなど、   より一層、
    監査等委員会の監査・監督機能の強化を図ってまいります。

(5)情報開示の充実のための方策
  ① 33FG の四半期毎の情報開示の充実
      証券取引所への適時開示、プレスリリース、ホームページへの掲載等を通
    じ、迅速かつ正確な四半期情報の開示を行いました。
      今後も、 迅速かつ正確で、より広く分かりやすい開示に努めてまいります。

  ② 第三銀行の主として業務を行っている地域への貢献に関する情報開示の充実
      33FG として、2020 年度末決算に関する機関投資家向け IR を 6 月に実施し、地
    域への貢献に関する取組等の情報開示を行いました。
      また、地域密着型金融の推進に向けた取組、     「三十三フィナンシャルグループ
    SDGs 宣言」に基づく SDGs の達成に向けた取組等について、ディスクロージャー
    誌、ホームページで開示いたしました。
      今後も、   開示内容及び活動の充実を図るとともに、  積極的な開示を通じた地域
    の利用者の評価を各業務に適切に反映させてまいります。

                        31
(6)持株会社における責任ある経営管理体制の確立に関する事項
  ① 子会社の議決権の保有
     33FG は、当該経営強化計画を実施する子会社(第三銀行)の完全親会社で
    あり、議決権 100%を保有しております。

 ② 子会社の経営管理
  イ. 取締役
      取締役 14 名(2021 年 3 月末)のうち監査等委員である取締役 6 名を除く
     取締役は、子銀行となる第三銀行または三重銀行の取締役等を兼職してお
     ります。
      なお、代表取締役 2 名については、第三銀行及び三重銀行の代表取締役
     頭取が兼職しております。
      また、監査等委員である取締役を除く取締役は、子銀行における取締役
     または執行役員としての経験及び知見を有していることから、ガバナンス
     機能を発揮するうえで、子銀行の経営管理を的確・円滑・公正に遂行する
     ことができ、かつ十分な社会的信用を有しております。

  ロ. 監査等委員
      監査等委員は、6 名のうち 5 名を社外取締役としております。これにより
     第三者的な立場から公正かつ有効に監査機能が発揮できる体制としており
     ます。
      また、監査・監督機能を強化するため、常勤の監査等委員を選定してお
     り、当該常勤監査等委員がグループ経営会議など重要な会議に出席し、業
     務執行取締役等から情報収集を行い、監査等委員会において情報共有を図
     っております。
      以上により、子銀行の管理をより確かなものとし、適切な経営管理と運
     営並びに銀行業務の健全かつ適切な運営に資する体制としております。




                      32
5.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の主として業務を行っている地域
  における経済の活性化に資する方策の進捗状況
(1)中小規模の事業者に対する信用供与の残高および総資産に占める割合
  【中小規模事業者等向け信用供与の残高、比率(表 24)】 (単位:億円、%)
               2018/3 期                                           2021/3 期
                                   2020/9 期
                 実績
                                     実績                                               計画始期
              (計画始期)                               計画          実績        計画比
                                                                                       対比
  中小規模事業者等向
                      6,374                6,947     6,524      6,971          447          597
  け貸出残高
  総資産                20,286            21,386       20,585     21,836         1,251        1,550

  総資産に対する比率           31.42                32.48     31.69      31.92          0.23         0.50
  ※中小規模事業者等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表第一におけ
   る中小企業等から個人事業者以外の個人を除いた先に対する貸出で、かつ次の貸出を除外しております。
   政府出資主要法人向け貸出および特殊法人向け貸出、土地開発公社向け貸出等、大企業が保有する SPC
   向け貸出、当行関連会社向け貸出、その他金融機能強化法の趣旨に反するような貸出


    事業性評価に基づく融資や本業支援の強化を重要施策の一つとして掲げ、         リ
   レーションシート等を活用した事業性評価に基づく融資などを通じて事業先
   向け貸出金の増強に取り組んでまいりました。
    また、2020 年度下期は、新型コロナウイルス感染症の拡大への対応として、
   引き続き事業者への迅速な資金繰り支援を実施いたしました。
    こうした取組みの結果、2021 年 3 月期における中小規模事業者等向け信用
   供与の残高は 6,971 億円と計画を 447 億円上回り、計画始期対比では 597 億
   円増加いたしました。
    また、総資産に対する比率は 31.92%となり、計画を 0.23 ポイント上回り
   ました。

  【事業性融資の信用リスク量(UL)(表 25)】                                              (単位:百万円)
                  2018/3末               2019/3末               2020/3末              2021/3末
               UL       構成比          UL       構成比          UL       構成比         UL       構成比
   三重県          5,865     48.9%       6,285     41.0%       5,826    37.5%       7,704    48.3%
    うち中南部地域     3,812     31.8%       3,628     23.7%       3,376    21.7%       4,196    26.3%
   愛知県          1,829     15.3%       1,904     12.4%       1,744    11.2%       2,545    15.9%
   大阪府          1,316     11.0%       4,464     29.1%       4,477    28.8%       3,414    21.4%
   その他の地域       2,975     24.8%       2,686     17.5%       3,488    22.5%       2,303    14.4%
   合計          11,986      100%      15,339      100%     15,536      100%     15,966      100%



  【貸出金、中小企業等向け貸出残高の計画・実績(表 26)】                                              (単位:億円)
                         2020/3 末              2020/9 末                 2021/3 末
                           実績                    実績              計画                   実績
   貸出金                            13,029           13,354            13,305            13,404
   中小企業等向け貸出残高                    10,510           10,916            10,614            11,108
   ※中小企業等向け貸出とは、銀行法施行規則第 19 条の 2 第 1 項第 3 号ハに規定する別表第一における中
    小企業等に対する貸出金




                                       33
(2)中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策の進捗状況
  ① 中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制の整備のための方策
     地域に寄り添う「かかりつけ医」として、様々なライフステージにある事
    業先のニーズや経営課題を的確に把握し、地域の事業先の成長・発展に資する
    融資や最適なソリューションを提供するため、融資や本業支援に対する推進体
    制の強化に引き続き取り組んでまいりました。
     また、地域金融機関として、最も支援を必要としているミドルリスク先へ
    の経営改善支援等の本業支援や三重県中南部地域活性化推進プロジェクトを
    推進するなど地域経済活性化への取組みを強化してまいりました。
     このほか、三重銀行とのソリューションノウハウの共有に加え、外部機関
    や外部専門家との連携強化に取り組んでまいりました。
     これらの取組みの進捗状況等の詳細につきましては、「3.-(1)-①事業先
    に対するリレーションとソリューションの強化」に記載しております。

 ② 担保又は保証に必要以上に依存しない融資の促進その他の中小規模の事業者の
   需要に対応した信用供与の条件又は方法の充実のための方策
     柔軟な融資スキームで競合他行との差別化を可能とするコベナンツ活用型
   融資、  在庫や売掛債権等の流動資産を担保とする ABL を積極的に活用するとと
   もに、  クレジットポリシーに経営者保証に依存しない融資の促進を図り、          経営
   者または経営者に準ずる者以外の第三者による保証は原則として求めないこ
   とを方針として掲げ、       「経営者保証に関するガイドライン」    (以下、「ガイドラ
   イン」といいます。      )に沿った融資などに積極的に取り組んでまいりました。
     また、2020 年度下期は、融資取組時に活用している「個人保証チェックシ
   ート」を活用し、保証人を求める場合の適切な対応を徹底するとともに、事業
   承継時等の代表者交代時や債務整理時におけるガイドラインの活用促進に取
   り組んだほか、    「店舗総合評価」の中で担保又は保証に必要以上に依存しない
   融資の好事例を加点項目の対象といたしました。
     こうした取組みの結果、2020 年度下期は、コベナンツ活用型融資を 117 件
   358 億円、ABL を 11 件 10 億円実行したほか、2020 年度の新規融資に占める経
   営者保証に依存しない融資割合は 22.2%となりました。

   【経営者保証に関するガイドラインの活用実績(表 27)】                          (単位:件、%)
                       2018 年度          2019 年度            2020 年度
    新規に無保証で融資した件数            2,601            2,741              3,134
    保証契約を変更・解除した件数                83              406                193
    ガイドラインに基づく保証債務整理
                                   3                3                  5
    の成立件数
    新規融資に占める経営者保証に依存
                                 15.6             18.5               22.2
    しない融資割合




                       34
 ③ 中小規模事業者等向け信用供与円滑化計画を適切かつ円滑に実施するための方
   策
     中小規模事業者等向け貸出残高の着実な増加を図るため、中小規模事業者
   等とのリレーションを一層強化し、   事業性評価に基づく融資や本業支援の取組
   みを強力に推進してまいりました。
     取組みの進捗状況等の詳細につきましては、   「3.-(1)-①-イ、ロ」に記載
   しております。
     また、医療・健康関連、農業、環境・エネルギー等を成長分野と捉え、積
   極的にこれらの分野の貸出金増強に取り組んでまいりました。
     具体的には、医療・介護担当者など各分野に精通した職員を本部の法人総合
   戦略チーム等に配置し、 これらの専門の担当者が直接事業先等に営業活動を行
   うとともに、営業店サポートを積極的に実施いたしました。
     こうした取組みの結果、2020 年度下期は、これらの成長分野で 57 件 145 億
   円の融資を実行いたしました。

(3)主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況
  ① 経営改善支援等取組先の数の取引先の総数に占める割合

 【経営改善支援等の取組数・比率の計画と実績(表 28)】                                         (単位:先,%)
                       2018/3 期                                2021/3 期
                                        2020/9 期
                         実績                                                      計画始期
                                          実績        計画       実績       計画比
                       (計画始期)                                                     対比
  創業・新事業開拓支援                121              258      153      157          4       36
  経営相談                      176              268      303      318         15      142
  早期事業再生支援                    27               7       20       20          0      △7
  事業承継支援                      40             125      100      132         32       92
  担保・保証に必要以上に依存しない
                            308              168      248      190        △58     △118
  融資促進
  合計    〔経営改善支援等取組数〕        672              826      824      817        △7       145
  取引先                     13,470           13,484   13,670   13,507   △163          37
  経営改善支援等取組率
                            4.98             6.12     6.02     6.04       0.02     1.06
  (=経営改善支援等取組数/取引先)
  ※「取引先」とは、企業および消費者ローン・住宅ローンのみの先を除く個人事業者の融資残高のある先で、
   政府出資主要法人、特殊法人、地方公社、大企業が保有する各種債権又は動産・不動産の流動化スキームに
   係る SPC、および当行の関連会社を含んでおります。


     リレーションシート等を活用した融資や本業支援に加え、三重県中南部地
   域活性化推進プロジェクトやミドルリスク先等に対する経営改善支援に積極
   的に取り組んだことなどから、2021 年 3 月期の経営改善支援等取組率は、
   6.04%と計画を 0.02 ポイント上回りました。

 ② 事業先のライフステージに応じたコンサルティング機能の発揮
    地域に寄り添う「かかりつけ医」として、お客さま一人ひとりのライフス
                                   35
 テージに応じた本業支援に取り組んでまいりました。
  取組みの進捗状況等の詳細につきましては、「3.-(1)-①-ニ.-C.ライフス
 テージに応じた最適なソリューションの提供」に記載しております。

【地域別経営改善支援の状況(表 29)】                                                                        (単位:先)
              2018年度       2018年度       2019年度       2019年度       2020年度       2020年度       2020年度
 創業・新事業開拓支援                                                                                           構成比
                上期           下期           上期           下期           上期           下期
                                                                                            上期対比
  三重県             115           83             68         92          174          106         △ 68   67.5%
    うち中南部地域        59           44             37         55           88           58         △ 30   36.9%
  愛知県              31           28             30         36           69           39         △ 30   24.8%
  大阪府                  2            1            1            1            3            6        3     3.8%
  その他地域                4            7            1            4        12               6       △6     3.8%
    計             152          119            100        133          258          157        △ 101

              2018年度       2018年度       2019年度       2019年度       2020年度       2020年度       2020年度
 経営相談
                上期           下期           上期           下期           上期           下期                   構成比
                                                                                            上期対比
  三重県             263          215            236        219          175          208          33    65.4%
    うち中南部地域       149          119            143        158           81          120          39    37.7%
  愛知県             105          175             85        104           76           65         △ 11   20.4%
  大阪府                  8        13             18         14               2        12          10     3.8%
  その他地域            19           23             13         26           15           33          18    10.4%
    計             395          426            352        363          268          318          50

              2018年度       2018年度       2019年度       2019年度       2020年度       2020年度
 早期事業再生支援                                                                                   2020年度
                上期           下期           上期           下期           上期           下期                   構成比
                                                                                            上期対比
  三重県              14           11             13             8            7        13           6    65.0%
    うち中南部地域            8            4            7            7            3        13          10    65.0%
  愛知県                  2            1            2            4            0            3        3    15.0%
  大阪府                  0            0            0            0            0            0        0     0.0%
  その他地域                1            1            1            2            0            4        4    20.0%
    計              17           13             16         14               7        20          13

              2018年度       2018年度       2019年度       2019年度       2020年度       2020年度
 事業承継支援                                                                                     2020年度
                上期           下期           上期           下期           上期           下期                   構成比
                                                                                            上期対比
  三重県              70           73             68         54           78           81           3    61.4%
    うち中南部地域        39           26             38         28           41           48           7    36.4%
  愛知県              38           55