7272 ヤマハ発 2020-02-12 15:00:00
ヤマハモーターロボティクスホールディングス株式会社株式(証券コード6274)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ [pdf]

                                                            2020 年2月 12 日
各    位
                                   会 社 名   ヤマハ発動機株式会社
                                   代表者名    代表取締役社長               日髙 祥博
                                           (証券コード:7272、東証第一部)
                                   問合せ先    コーポレートコミュニケーション部長     岡本 知彦
                                           (TEL. 0538-37-0134)



    ヤマハモーターロボティクスホールディングス株式会社株式(証券コード 6274)に
             対する公開買付けの開始に関するお知らせ


 ヤマハ発動機株式会社(以下「公開買付者」といいます。 )は、2020 年2月 12 日開催の取締役会におい
て、ヤマハモーターロボティクスホールディングス株式会社(証券コード 6274、株式会社東京証券取引所
(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第一部上場、以下「対象者」といいます。     )の普通株式(以下
「対象者株式」といいます。
            )を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下
「法」といいます。
        )による公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。    )により取得することを決議い
たしましたので、下記のとおりお知らせいたします。

                               記

1.買付け等の目的等

(1)本公開買付けの概要
  公開買付者は、本日現在、東京証券取引所市場第一部に上場している対象者株式を 26,178,100 株(所
 有割合(注1)  :58.99%)所有し、対象者を連結子会社としております。今般、公開買付者は、2020 年
 2月 12 日開催の取締役会において、対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する対象者株式及び
 対象者が所有する自己株式を除きます。       )を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的
 とする一連の取引(以下「本取引」といいます。       )の一環として本公開買付けを実施することを決議いた
 しました。
 (注1) 「所有割合」とは、対象者が 2020 年2月 12 日に公表した「2019 年 12 月期 決算短信〔日本基
       準〕(連結)」 (以下「対象者決算短信」といいます。  )に記載された 2019 年 12 月 31 日現在の発
       行済株式総数(46,225,600 株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(1,852,035 株)
       を控除した株式数(44,373,565 株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入してお
       ります。以下、所有割合の記載について同じとします。

  公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を 3,404,300 株(所有割合:7.67%)として
 おり、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。           )の数の合計が買付予定数の
 下限に満たない場合には、公開買付者は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。なお、買付予定数
 の下限である 3,404,300 株(所有割合:7.67%)は、対象者決算短信に記載された 2019 年 12 月 31 日現
 在の対象者の発行済株式総数(46,225,600 株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数
 (1,852,035 株)を控除した株式数(44,373,565 株)の3分の2に相当する株式数(29,582,377 株)の
 1単元(100 株)未満に係る数を切り上げた株式数(29,582,400 株)から、本日現在、公開買付者が所有
 する対象者株式の数(26,178,100 株)を控除した株式数(3,404,300 株)としております。一方、公開買
 付者は、対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を
                              -1-
 除きます。   )を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを企図しておりますので、本公開買
 付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限
 (3,404,300 株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行います。
  公開買付者は、本公開買付けにより対象者株式の全て(ただし、公開買付者が所有する対象者株式及び
 対象者が所有する自己株式を除きます。      )を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、下記
 「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)     」に記載のとおり、対象
 者の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。      )を
 実施することを予定しております。
  なお、対象者が 2020 年2月 12 日に公表した「支配株主であるヤマハ発動機株式会社による当社株式に
 対する公開買付けに係る意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」      (以下「対象者プレスリリース」とい
 います。  )によれば、対象者は、本公開買付けにおける対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下
 「本公開買付価格」といいます。     )及び本公開買付けのその他の諸条件は対象者の株主の皆様にとって妥
 当であり、本取引は、少数株主を含む対象者の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するも
 のであると判断し、2020 年2月 12 日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明すると
 ともに、対象者の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議したとのことです。
 かかる対象者の取締役会決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」
 の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「     (本公開買付価格の公正性を担保する
 ための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)       」の
 「(ⅴ)対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。     )の承認」をご参照ください。

(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経
   営方針
 ① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
  公開買付者は、1955 年7月に日本楽器製造株式会社(現 ヤマハ株式会社)より分離独立し、静岡県浜
 松市にて発足し、分離以前より製造していた二輪車の生産販売を継続しました。その後、ボート、船外機
 等の販売を開始し、1961 年9月に東京証券取引所市場第一部に上場しています。公開買付者には、連結
 子会社 134 社、持分法適用子会社4社及び持分法適用関連会社 31 社(2019 年 12 月 31 日現在。以下、公
 開買付者と併せて「公開買付者グループ」といいます。   )が存在し、ランドモビリティ事業、マリン事業、
 ロボティクス事業、金融サービス事業等を主な事業としています。
  なお、公開買付者グループの主な事業と主な製品及びサービスは以下のとおりです。

     主な事業                  主な製品及びサービス
             二輪車、中間部品、海外生産用部品、四輪バギー、レクリエーショナル・オ
 ランドモビリティ事業
             フハイウェイ・ビークル(注1)  、スノーモビル、電動アシスト自転車
             船外機、ウォータービークル(注2)   、ボート、プール、漁船・和船(注
 マリン事業
             3)
             サーフェスマウンター(注4)  、半導体製造装置、産業用ロボット、産業用
 ロボティクス事業
             無人ヘリコプター
 金融サービス事業    ヤマハ発動機製品に関わる販売金融及びリース
             ゴルフカー、発電機、汎用エンジン、除雪機、自動車用エンジン、自動車用
 その他の事業
             コンポーネント、電動車いす
 (注1)レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークルとは、未舗装路の不整地などを走行可能なオフ
     ロード車両で、乗車定員が2名以上となりレジャー・スポーツ走行や農作業などの業務に使用
     します。
 (注2)ウォータービークルとは、水上オートバイ、又はウォータークラフトとも呼ばれていて、小型エ
     ンジンを動力として、プロペラでなく、船底から吸い込んだ水を船尾から噴出することで推進
     します。
 (注3)和船とは、船外機を動力源とした、FRP(繊維強化プラスチック)製の小型作業船です。


                            -2-
(注4)サーフェスマウンターとは、携帯電話や自動車の電装部品などに内蔵されているプリント基板に
    電子部品を装着するためのロボットです。

  公開買付者は、2018 年 12 月に「長期ビジョン」及び「新中期経営計画(2019 年―2021 年)         」を公表し
ており、   「長期ビジョン」では、   「ART for Human Possibilities」というスローガンを掲げ、2030 年に向
けた成長戦略を立案しました。当該「長期ビジョン」において、これからますます多様化が進む人々の価
値観、社会を取り巻く環境に、公開買付者の持つ歴史的価値観を基盤として、社会課題の解決を進めなが
ら、成長戦略を実行していきます。       「新中期経営計画(2019 年―2021 年)        」においては、既存事業の稼ぐ
力を維持しながら、新規事業など戦略的な成長領域への資源配分を行い、その上で連結売上高2兆円、連
結営業利益 1,800 億円の達成を計画しています。
  また、公開買付者は、2019 年2月 12 日付「ヤマハ発動機株式会社、株式会社新川及びアピックヤマダ
株式会社による事業統合(株式会社新川によるアピックヤマダ株式会社の完全子会社化、ヤマハ発動機株
式会社による株式会社新川の子会社化及び株式会社新川の会社分割による共同持株会社体制への移行)に
関するお知らせ」    (以下「2019 年2月 12 日付プレスリリース」といい、公開買付者、株式会社新川及び
アピックヤマダ株式会社(以下「アピックヤマダ」といいます。                    )による事業統合を「本三者統合」とい
います。   )において公表したとおり、公開買付者を割当先とする対象者による第三者割当増資(発行新株
式数:対象者株式 26,178,100 株(2019 年6月 24 日時点における当該第三者割当増資後の所有割合:
59.00%(注5)、発行価額:1株につき 382 円、以下「本第三者割当増資」といいます。
            )                                                )の引受けによ
り 2019 年6月 24 日付で対象者を連結子会社としております。
(注5)2019 年6月 24 日時点における本第三者割当増資後の所有割合は、2019 年6月 24 日時点の対象
       者の発行済株式総数(46,225,600 株)から、対象者が 2018 年 11 月 14 日に提出した第 61 期第
       2四半期報告書に記載された 2018 年9月 30 日現在の対象者が所有する自己株式数(1,858,789
       株)を控除した株式数(44,366,811 株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入し
       ております。2019 年6月 24 日以降現在までに対象者の自己株式数が変動したため、本日現在の
       所有割合と異なっています。

  一方、対象者は、1959 年8月にトランジスタ部品の二次加工を業とする目的から株式会社新川製作所
として東京都三鷹市にて設立されました。その後、株式会社新川製作所の株式額面金額を変更するため、
1980 年2月1日を合併期日として、休眠会社であった中丸商事株式会社を存続会社として同社を吸収合
併し、同日をもって商号を株式会社新川に変更しました。対象者は、1988 年9月に東京証券取引所市場
第二部に上場し、2000 年9月に東京証券取引所市場第一部に市場変更をしています。また、本第三者割
当増資により 2019 年6月 24 日付で公開買付者の連結子会社となり、2019 年7月1日付で持株会社体制
に移行し、同日付で商号を現商号に変更しました。対象者には、子会社 20 社及び関連会社3社(2019 年
12 月 31 日現在。以下、対象者と併せて「対象者グループ」といいます。   )が存在し、対象者グループは
半導体メーカー及び電子部品メーカー向け半導体製造装置及び電子部品実装装置の開発・製造・販売を主
たる事業とし、さらに、当該事業に関連する保守サービスを展開しています。
  なお、対象者グループの主な事業と主な製品は以下のとおりです。

     主な事業                            主な製品
 半導体製造装置及び電子        ワイヤボンダ、ダイボンダ、フリップチップボンダ、
 部品実装装置             アクティブアライメント装置、ブランク搭載機、FPD 検査装置
 電子部品組立装置           モールディング装置、リード加工機、モールド金型、テストハンド
                    ラー、各種自動化機器
 電子部品               リードフレーム、LED プリモールド基板(LPS)
                                            、電子通信部品
 その他                リード加工金型、リードフレーム金型

 半導体の製造工程は、大きく前工程と後工程とに分けられ、スライスされた円盤状のシリコンウェーハ
上に写真の感光の原理を用いて、トランジスタや金属配線等の回路を形成するまでが前工程、そのシリコ
ンウェーハから IC チップを切り出し、チップをパッケージに固定、配線し、セラミックや樹脂の中に封

                                 -3-
入することにより半導体製品に組み立てるまでが後工程と呼ばれています。対象者グループは、このよう
な後工程の中でも、主に、IC チップとプリント基板の電気回路を金や銅の細いワイヤを使用し配線・接
続するワイヤボンダ、IC チップをプリント基板に固定するダイボンダ、IC チップとプリント基板の電気
回路をワイヤを使用せずに直接接続するフリップチップボンダなど、ボンディングと呼ばれる IC チップ
を内包する半導体パッケージの内部配線を行う工程に使用される産業用精密ロボットの開発・製造・販売
を行っています。
 対象者は、2018 年6月には、ファクトリーオートメーションの分野で 38 年に亘る各種生産設備の開発、
販売の実績を有する株式会社パイオニア FA(現 株式会社 PFA)の全株式を取得して子会社化し、従来手
掛けていたボンディング装置と技術的な相互補完性が高く、顧客ニーズの属性も近い電子部品実装装置事
業にも進出しています。また、対象者は、2019 年6月には、2019 年2月 12 日付プレスリリースにおいて
公表したとおり、対象者と同じく半導体後工程向けの電子部品組立装置、電子部品及びその他の製造販売
を主要な事業とし、東京証券取引所市場第二部に上場していたアピックヤマダの普通株式に対する公開買
付けにより、同社を子会社化し、2019 年8月には、当該公開買付けに引き続き行われた二段階買収に関
する手続により、同社を完全子会社化しています。
 対象者グループは、ボンダ(IC チップとプリント基板の電気回路を接続する装置)        、モールド(パッ
ケージ樹脂封止装置)  、FA(ファクトリーオートメーション。工場における生産工程の自動化を図るシステ
ム)の技術を統合することで、   『半導体後工程及び電子部品実装分野における Turn-Key プロバイダー(注
6)』としてお客様の期待を超えるトータルソリューションを提供すること、さらに、       『日本発の新しいプ
ロセス技術を創造・発信する企業』として、半導体後工程製造・電子部品組立装置市場で世界トップシェ
アを目指すことで持続的成長を図っています。
(注6)半導体後工程及び電子部品製造工程の一連の工程において、複数の製造プロセスの装置を一括
    で提供すること。さらには複数の製造工程を一つのプロセスとみた場合における全体最適提案、
    ソリューションを提供することをいいます。

  公開買付者及び対象者グループは、公開買付者の主な事業の一つであるロボティクス事業の主力製品で
あるマウンター装置(半導体及び電子部品をプリント基板に実装する装置)が属する電子部品実装業界と
対象者グループが属する半導体後工程業界において、近年の世界的な動向として両業界を跨ぐ技術的融合
が強まっており、業界自体の相互侵食の傾向が強まっていること、装置メーカーに対しても両業界を跨ぐ
技術的なトータルソリューションの供給要請が強まっていること、また、特に海外市場において、当該
トータルソリューションの提供力が事業競争力を大きく左右する状況となっていることといった事業環境
の変化に対応すべく、2015 年5月に、公開買付者がマウンター装置の製造技術を応用して半導体市場向
けに開発・製造したフリップチップボンダ製品を、対象者グループが自らのブランドとして販売する内容
の販売提携契約を締結し、公開買付者が製造する製品を対象者グループが仕入れ、半導体メーカー等に対
して販売を行っておりました。そして、公開買付者は、2019 年2月 12 日付プレスリリースにおいて公表
したとおり、対象者グループとの提携関係をさらに強化するため、本第三者割当増資の引受けにより、
2019 年6月 24 日付で対象者を連結子会社化いたしました。なお、2019 年2月 12 日に対象者を連結子会
社とすることを決定するまでの間には、公開買付者は、対象者の完全子会社化も含めた対象者グループと
の連携関係の在り方、人事・給与制度を含めた各種社内制度・規程の統一を含めた運営方法、また完全子
会社化する場合に必要となる手続や準備期間について検討を行っておりました。公開買付者及び対象者は、
対象者の完全子会社化を行うに際しては、公開買付者及び対象者グループの組織的な融合を図るうえで、
上記の各種社内制度・規程の統一が必要になるものと認識しておりましたが、公開買付者と対象者との間
に資本関係がない当時の状況においては、両社の社内制度・規程の内容を十分に理解し、従業員への配慮
も行いながら社内制度・規程の統一を行うには相応の時間及び費用を要するとの認識に至り、限られた人
的リソースを優先的に営業・開発・調達といった事業機能面での連携に投入し、当該連携を早期に加速さ
せることが、公開買付者及び対象者グループの企業価値向上に資するものと判断し、2019 年2月 12 日、
対象者を完全子会社化ではなく連結子会社化することを選択いたしました。
  対象者の連結子会社化の後、公開買付者は、対象者グループとの間で営業・開発・調達それぞれの機能
別作業部会を設置し、機能ごとに PMI の議論を進めてまいりました。そして、対象者グループは、2019
年8月7日付「中期経営計画策定に関するお知らせ」において、2021 年 12 月期を最終年度とする中期経
営計画(以下「対象者中期経営計画」といいます。     )を策定し、その重点戦略として財務力の回復及び稼
                          -4-
ぐ力の強化を公表するとともに、同日付「構造改革の実施に関するお知らせ」において、対象者中期経営
計画に基づく構造改革の一環として、      (ⅰ)生産拠点の集約、        (ⅱ)海外販売拠点の再編、     (ⅲ)開発機能
の一部移転、  (ⅳ)人員の適正化、   (ⅴ)調達一本化によるコスト削減を公表しております。
 そして、公開買付者及び対象者グループは、両社のシナジー創出及び対象者中期経営計画の達成に向け
て、タイ及び中国において当該国内での対象者グループの生産或いは販売拠点の統合準備や、台湾におい
て公開買付者のロボティクス事業と対象者グループの半導体製造装置及び電子部品実装装置、電子部品組
立装置事業が共同して台湾ラボ(お客様向けのデモンストレーション機能を備えたショールーム)の開設
準備を進めているほか、国内においては、対象者グループの生産拠点や開発機能の一部を公開買付者の生
産機能集約地であり開発拠点のある静岡県浜松市に移転することにより地理的な近接性を高めることで、
技術面や人材面での交流が図れる環境整備をするなど、対象者の構造改革への取り組みを推進してまいり
ました。
 しかし、半導体製造装置業界を取り巻く環境は、公開買付者が対象者の連結子会社化を選択した時期と
比較して、公開買付者及び対象者グループが想定していた水準を超えて、半導体関連業界全般の基調の急
激な悪化による業績変動リスクに晒され始めています。
 対象者グループが属する半導体製造装置業界は、車載用半導体の需要増大もあり、中長期的には引き続
き好調な成長が見込まれるものの、2018 年より始まったいわゆる米中貿易摩擦における米国による追加
関税が収束することなく、さらには公開買付者が対象者グループの連結子会社化を検討及び公表した以降、
対象品目の拡大及び関税率引上げ並びにそれらに対抗する中国による報復関税等規模拡大もあり、事業環
境の低迷が長期化の様相を呈している様に見受けられます。加えて主要な納入先である中国景気の減速な
どもあり、現時点で同業界を取り巻く環境は、非常に大きな業績変動リスクに晒されている状況にありま
す。世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statistics)の半導体市場予測によれば、2018
年度後半より始まったメモリー製品の価格下落により、2018 年秋季予測(2018 年 11 月公表)における予
測数値が、2018 年は前年比 15.9%増、2019 年は同 2.6%増であったことに比べ、2019 年秋季予測(2019
年 12 月公表)における 2018 年実績値は前年比 13.7%増(前予測対比 2.2%減)      、2019 年予測値は 12.8%
減(前予測対比 15.4%減)とされており、急速な予測の悪化が公表されています(注7)                 。このような状
況の下、2019 年に入り、お客様である半導体メーカー各社の在庫調整及び設備投資の停滞が顕在化して
おり、かかる影響は足元も継続し、事業環境の低迷が長期化の様相を呈している様に見受けられます。
(注7)出典:一般社団法人電子情報技術産業協会「世界半導体市場統計(WSTS)               」

  公開買付者としては、対象者の連結子会社化以降、このような事業環境のもと、対象者グループを含む
公開買付者グループが競争優位性を維持・向上させていくためには、両社が一体となり対象者中期経営計
画と構造改革を着実に遂行し、足元の半導体製造装置業界を取り巻く環境変化に柔軟に対応できる体制を
早急に構築することが必要であると考えてきておりますが、公開買付者が対象者を連結子会社化して以降
も、対象者が上場会社として独立した事業運営を行っている現状では、商品戦略、技術戦略及び事業戦略
の構築を含め、意思決定を行うために時間を要することや、公開買付者との共同事業運営、特に顧客基盤、
事業・技術基盤、財務基盤の相互活用について制限がかかり、グループ一体となってスピード感をもって
推し進めていくことは十分にできていないと考えております。
  公開買付者としては、現在、モノのインターネット化とされる IoT(Internet of Things)、人工知能
AI(Artificial Intelligence)
                          、事業に役立つ知見を導出するためのデータ(ビッグデータ)に代表され
るお客様のビジネスのデジタル化が進んでおり、その投資も従来の業務効率化を主としたものから最新の
技術を活用した事業競争力強化を目的としたものにシフトしていると考えております。また、半導体特有
のダウンサイジング化、素材・設計・工法の改良に求められる技術は、高度化・複雑化・多様化が進んで
おり、それと同時に、他社との合従連衡、新技術の開発による業界地図の変更も絶え間なく起こっており
ます。公開買付者としては、更なる企業価値向上を見据えたテクノロジー投資は、従来対応してきた技
術・商品開発のスピードと投資負担を超えるものと想定しております。こうした高機能化への要求に応え
るためには、対象者を公開買付者の完全子会社とすることで、両社の顧客基盤、事業・技術基盤、財務基
盤の相互活用についての制限をなくし、公開買付者及び対象者グループの技術を融合した先行開発領域の
拡大や人材交流を通じた工程を跨いだトータルソリューションの提供力の向上が可能となる体制の早急な
構築が必要となってきていると考えております。

                                -5-
 また、昨今、海外半導体メーカーの台頭により、日系半導体メーカーのプレゼンスが弱くなったことで
(1990 年における世界の半導体シェア上位 10 社のうち、日系企業が6社に対し、2018 年では1社のみと
なっております。、公開買付者及び対象者グループが属する半導体製造装置の主要顧客が海外にシフトし
          )
ております。これまでも公開買付者及び対象者グループが各々で海外拠点を設立し、独自の顧客基盤の構
築に邁進してまいりましたが、今後さらに海外半導体メーカーへの顧客開拓の重要性が増すなかで、公開
買付者及び対象者グループの競合である半導体製造装置メーカーと渡り合うためには、対象者を公開買付
者の完全子会社とすることで、対象者による公開買付者のブランド力の活用を通じた顧客基盤・海外事業
基盤の充実、公開買付者及び対象者グループ製品の相互販売促進や法人顧客情報の活用が必要となってき
ていると考えております。
 なお、公開買付者は、上記の、グループ一体でのスピード感をもった事業推進の必要性、トータルソ
リューションの提供力の向上が可能となる体制構築の必要性、並びに対象者による公開買付者のブランド
力の活用を通じた顧客基盤・海外事業基盤の充実、公開買付者及び対象者グループ製品の相互販売促進や
法人顧客情報活用の必要性について、対象者の連結子会社化を検討した時点で既に一定程度認識していた
ものの、実際に対象者を連結子会社として事業運営を行っていく中でその必要性をさらに強く認識し始め
たものであり、また、それらを実現するために必要となる、対象者と公開買付者との共同事業運営、特に
顧客基盤、事業・技術基盤、財務基盤の相互活用についての制限の撤廃については対象者を連結子会社と
して事業運営を始めて以降、その必要性を認識し始めたものです。また、公開買付者は、上記のとおり、
対象者の完全子会社化を行うに際しては、公開買付者及び対象者の各種社内制度・規程を統一する必要性
がある点についても、対象者の連結子会社化を検討した時点において認識していたところ、対象者を連結
子会社として経営管理を進める中で、対象者の各種社内制度・規程についても理解を深め、これらの社内
制度・規程の統一に向けた対応への道筋が見えてまいりましたが、今後、社内制度・規程の統一を加速さ
せていくためには、公開買付者と対象者の組織的融合性を高め、相互の人的リソースを最大限活用する必
要があることも、対象者を完全子会社化することの決定に影響しております。
 上記の公開買付者が認識する経営課題・制約については、公開買付者が対象者を連結子会社化した以降
においても長期化している低迷した事業環境下で 2019 年 12 月上旬、営業・開発・調達それぞれの機能別
作業部会における PMI 施策の遂行状況の確認の中で、公開買付者の経営陣において早急に対応する必要が
あるとの認識が高まりました。
 また、公開買付者は、2019 年8月中旬より、経済産業省が 2019 年6月に策定した「グループ・ガバナ
ンス・システムに関する実務指針」を踏まえ、対象者を上場子会社として維持することについて、対象者
グループの半導体製造装置事業が対象者グループを除く公開買付者グループの事業と整合しているか等、
公開買付者グループの企業価値の最大化や資本効率性の観点から、その合理性についても併せて検証を
行ってまいりました。
 これらの検討の結果、2019 年 12 月上旬、公開買付者としては、対象者が公表した中期経営計画の達成
に向けた取り組みを着実に進めていると考えているものの、公開買付者が対象者の連結子会社化を選択し
た当初想定していた水準を超えて悪化している半導体製造装置業界を取り巻く環境に対応し、今後、対象
者が中期経営計画を着実に遂行するためには、両社の連携をさらに深め、経営資源を集中していくことが
必要であり、このように、両社のさらなる企業価値の向上に向けて一体的に事業を推進し、対象者を含む
公開買付者グループ全体の企業価値の最大化を実現するためには、公開買付者が対象者を早急に完全子会
社化することが必要不可欠との認識に至り、その後すぐに検討を開始いたしました。
 具体的には、公開買付者は、対象者が公開買付者の完全子会社となることで、迅速かつ柔軟な意思決定
や、現状の資本関係では制約のある顧客基盤、事業・技術基盤、財務基盤等の経営資源の相互活用が可能
になるとともに、下記(ⅰ)から(ⅳ)に記載するような事業シナジーのより迅速かつ一層の創出を実現
することで、対象者グループを含む公開買付者グループの企業価値の向上につなげていきたいと考えるに
至りました。
(ⅰ)グループ内のシームレスな協業体制構築による顧客基盤の更なる拡大
   公開買付者及び対象者グループは、    「トータルソリューションプロバイダー」としての提案型ビジネ
 スを掲げており、顧客に対して異なる製品をワンストップで提案できるシームレスな協業体制の構築を
 目指してまいります。例えば、現在開設に向けた準備を進めている台湾ラボでは、顧客から求められる
 半導体製造工程を跨いだワンストップ型の提案を行うべく、公開買付者及び対象者グループそれぞれの
 半導体製造工程を跨いだ半導体製造装置、公開買付者が得意とする産業用ロボットを用いた製造現場を
                         -6-
 自動化するシステムが備わった施設となる予定ですが、今後、台湾のみならず様々な地域においてこれ
 らの施設を増やし、よりスピードを伴い、実効性を持った協業体制を構築するためには、対象者が公開
 買付者の完全子会社となることで、相互の既設建屋の活用や、土地・建物にかかる契約手続の簡略化・
 短縮化を図る必要があると考えております。また、タイや中国では公開買付者と対象者グループがそれ
 ぞれ異なる法人・組織にて事業運営を行っておりますが、今後は法人・組織の更なる統合及び一体化を
 進めることで、公開買付者及び対象者グループ製品の相互販売促進や法人顧客情報の活用を通じて、顧
 客基盤の拡大を図ってまいります。

(ⅱ)公開買付者グループの経営資源・ノウハウの最大化
  公開買付者及び対象者それぞれが独立した上場会社であることから、公開買付者及び対象者グループ
 との間では、ソース・コード等の機微な技術情報を相互に利用・活用することや、公開買付者が保有す
 る管理統制システムを対象者が利用すること、公開買付者傘下のシェアード・サービス会社を対象者が
 活用すること等に一定の制約があります。対象者が公開買付者の完全子会社となることでこれらの制約
 が外れ、公開買付者及び対象者グループが相互の経営インフラ(具体的には、共通システムを利用する
 ことによる管理統制システムの強化、人材育成プログラム等を含むシェアード・サービス会社が提供す
 るサービスの利用、相互の技術開発能力や知的財産、販売網、財務基盤、ブランドを活用した新製品の
 開発等が考えられます。)を利用することが可能となる体制を構築することにより、経営資源・ノウハ
 ウの最大化を図ってまいります。

(ⅲ)意思決定の簡素化
  いわゆる親子上場による支配株主である親会社と一般株主の間には潜在的な利益相反の関係があると
 考えられているため、親会社によるガバナンスに様々な制約が課せられる中、現状、公開買付者と対象
 者との間では、共通の経営戦略の推進に相応の時間、プロセスを要することもあり、グループ内におけ
 る経営資源の配分においても一定の制約があります。上記のとおり、IoT(Internet of Things) 、人工
 知能 AI(Artificial Intelligence)
                              、事業に役立つ知見を導出するためのデータ(ビッグデータ)に
 代表されるお客様のビジネスのデジタル化が進んでいる中、ダウンサイジング化、素材・設計・工法の
 改良など、半導体分野における技術革新は、より高度化・複雑化・多様化が進んでおります。こうした
 環境下において、更なる企業価値向上を達成するためには、将来を見据えたテクノロジー投資分野の選
 択や商品開発のスピードアップ等、事業運営における意思決定が重要となります。公開買付者としては、
 本取引により、公開買付者と対象者グループとの間の意思決定プロセスの簡素化を実現し、営業・開
 発・調達といった様々な機能面からの顧客ニーズへの迅速な対応を可能とする組織運営の強化を図って
 まいります。

(ⅳ)投資原資の効率的な配分及び将来キャッシュの安定的な創出
  2019 年2月 12 日付プレスリリースにて公表した公開買付者と対象者の事業統合において目下進捗中
 の PMI について、対象者は、2021 年での黒字化に向けて注力中でありますが、その途上において、又
 は今後、黒字化実現後の更なる研究開発費や設備拡張といった成長投資を鑑みた場合、将来キャッシュ
 の安定的な創出に基づく成長投資が重要となると公開買付者は考えております。一方で支出面において、
 対象者グループを除く公開買付者グループと対象者グループとの間で強化事業領域が重複している部分
 の調整・整理を進めることは、有限である投資原資を効率的に配分するという観点から非常に重要な課
 題となりますが、公開買付者及び対象者それぞれが独立した上場会社であることから、公開買付者及び
 対象者グループとの間での効率的な投資原資の配分が行えない状況となっております。公開買付者とし
 ては、対象者を公開買付者の完全子会社とし公開買付者グループ内の重複領域を解消することで、投資
 原資の効率的な配分を行うとともに、設備投資の抑制・人的リソースの再配分などによる支出削減や
 シームレスな協業体制構築による顧客基盤の共有による売上拡大を通じて安定的な将来キャッシュの創
 出を図ってまいります。

 公開買付者は、2019 年 12 月上旬、公開買付者及び対象者を含む公開買付者グループから独立したファ
イナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といい
ます。)を、リーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所をそれぞれ選任の上、本取引に関す
                           -7-
る具体的な検討を開始するとともに、対象者に対して両社の企業価値の向上のため、本取引の実施に向け
た協議を開始したい旨の意向を伝えました。その後、公開買付者は、2019 年 12 月 23 日に、対象者に対
して本取引に関する提案書を提出しました。その上で、提案書の提出以降、公開買付者と対象者は、対象
者における本特別委員会(下記「② 対象者における意思決定の過程及び理由」において定義されます。          )
の設置を経て、本取引に向けた具体的な協議・検討を開始しました。具体的には、公開買付者は、提案書
を提出した 2019 年 12 月下旬以降、対象者との間で、本公開買付けを含む本取引の意義及び目的等に関し
て、協議及び説明を行ってまいりました。また、公開買付者は、本取引の実現可能性の精査のための
デュー・ディリジェンスを 2020 年1月上旬から同年2月上旬まで実施するとともに、並行して、対象者
との間で、本取引の意義及び目的に関するより詳細な協議・検討や、本取引後の経営体制・事業方針、本
取引における諸条件等についての協議・検討を複数回に亘って重ねてまいりました。その結果、公開買付
者は、2020 年1月中旬、公開買付者が対象者を完全子会社化することは、グループ内企業間の上場によ
る公開買付者と対象者の少数株主の将来的な利益相反の可能性の回避、事業基盤、財務基盤等の経営資源
の制限のない相互活用、及び対象者グループを含む公開買付者グループ経営戦略における意思決定の柔軟
化・迅速化に資するものであり、対象者グループを含む公開買付者グループ全体の企業価値向上のために
極めて有益であると確信しました。
  また、公開買付者は、本公開買付価格についても、対象者に対して 2020 年1月 21 日に本公開買付価格
を 650 円とすることを含む正式な提案を行いましたが、対象者から、対象者の企業価値を十分に反映した
提案ではないとして、提案内容の再検討を公開買付者に要請されました。その後、公開買付者は、対象者
から提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、2020 年2月3日に本公開買付価格を 690 円とする旨
の提案、同月5日に本公開買付価格を 720 円とする旨の提案を順次行いましたが、いずれに対しても、対
象者から、妥当な価格に達していないとして、提案内容の再検討が要請されたため、同月7日に本公開買
付価格を 750 円とする旨の提案を行いました。そして、当該協議・交渉の結果、公開買付者と対象者は、
2020 年2月 10 日、本公開買付価格を1株当たり 750 円とすることで合意に至りました。なお、公開買付
者は、本第三者割当増資の引受けにより、2019 年6月 24 日に、対象者株式 26,178,100 株を1株当たり
382 円で取得しており、当該価格と本公開買付価格 750 円との間には 368 円の差異が生じておりますが、
これは、本第三者割当増資による取得価格が本第三者割当増資に係る取締役会決議日の前営業日までの過
去1ヶ月間(2019 年1月9日から 2019 年2月8日まで)の東京証券取引所市場第一部における対象者株
式の終値の単純平均値(382 円)により決定されているのに対し、本公開買付けによる取得価格は、本公
開買付けの実施を決議した取締役会開催日の前営業日(2020 年2月 10 日)の東京証券取引所市場第一部
における対象者株式の終値 508 円が、当該単純平均値 382 円に対して 32.98%(小数点以下第三位を四捨
五入)上昇していることに加え、本公開買付価格にはプレミアム(2020 年2月 10 日の東京証券取引所市
場第一部における対象者株式の終値(508 円)に対して 47.64%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純
平均値に対して 39.41%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値に対して 32.51%、同過去6ヶ月間の終値
の単純平均値に対して 46.48%のプレミアム)が付されているためです。

 これらの検討・協議・交渉の結果、公開買付者及び対象者は、対象者を完全子会社化することが公開買
付者及び対象者を取り巻く事業環境の変化に対応し、両社の企業価値向上に資する最善の方策であるとの
考えで一致したことから、公開買付者は、2020 年2月 12 日開催の取締役会において、本公開買付けを実
施することを決定しました。

② 対象者における意思決定の過程及び理由
 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、対象者が公開買付者の完全子会社となることに伴い、
上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のシナジーの
ほか、主として以下のコスト削減及び売上高向上に係るシナジー効果を期待しているとのことです。
(ⅰ)コスト削減に係るシナジー
  対象者と公開買付者は、親子上場の関係にあり、対象者の意思決定にあたっては、両者の利益相反関
 係に留意しながら、対象者の一般株主の利益に配慮しなければならないという制約が存在しますが、対
 象者が、公開買付者の完全子会社になることにより、当該制約が解消され、対象者は、コスト削減に向
 け、公開買付者との間で一層の緊密な連携を実施し、コスト削減を行うために必要な施策を実施するこ
 とが可能となることを期待しているとのことです。具体的には、公開買付者との共同仕入、半導体製造
                           -8-
 装置の部品の共通化、物流の統合、IT システムの統合、海外販売拠点の統合等を行うことが可能とな
 ることが期待され、その結果、対象者において、売上原価及び販売管理費等のコストを削減することが
 可能となることを期待しているとのことです。

(ⅱ)売上高向上に係るシナジー
  コスト削減に係るシナジーと同様に、対象者が、公開買付者の完全子会社になることにより、上記の
 制約が解消され、対象者は、売上高向上に向け、公開買付者との間で一層の緊密な連携を実施すること
 が可能となることを期待しているとのことです。具体的には、公開買付者との共同製品開発、技術拠点
 の統合、公開買付者の有する販路の活用、公開買付者の有する技術及びノウハウの共有を受けること等
 が可能となることが期待され、その結果、対象者において、売上高を向上させることが可能となること
 を期待しているとのことです。

  対象者は、上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載
のシナジーのほか、これらのシナジー効果の発現を最大化させるためには、対象者が公開買付者の完全子
会社となることにより、迅速な意思決定を行なう体制が構築でき、上記の期待されるシナジーを早期に発
現させるための緊密な連携や構造改革等の実施が容易になると考えたとのことです。かかる理由から、
2020 年2月 12 日に本取引が、今後の対象者の更なる成長・発展と企業価値の一層の向上に資すると判断
したとのことです。
  また、対象者は、2019 年 12 月上旬より、公開買付者より本取引に関する初期的な打診を受け、2019 年
12 月 23 日に、公開買付者より本取引に関する正式な提案を受け、当該初期的打診の適正性を判断するた
め、2019 年 12 月中旬に、対象者及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三
者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。       )を、リー
ガル・アドバイザーとして佐藤総合法律事務所をそれぞれ選任したとのことです。そして、リーガル・ア
ドバイザーである佐藤総合法律事務所から受けた本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に
関する意思決定に当たっての留意点等についての法的助言を踏まえ、2019 年 12 月 23 日に受けた正式な
提案の適正性を判断するため、2019 年 12 月 23 日に開催した定例取締役会において、特別委員会(以下
「本特別委員会」といいます。(本特別委員会の設置までの経緯、構成及び具体的な活動内容等について
                   )
は、下記「2.買付け等の概要」の「      (4)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「(本
公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正
性を担保するための措置)     」の「(ⅳ)対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご
参照ください。    )を設置する旨を決議し、本特別委員会を同日設置するとともに、  (a)本公開買付けに賛
同する旨の意見を表明するとともに、対象者の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議
するべきか、    (b)本公開買付けに賛同する旨の意見を表明し、対象者の株主に対して本公開買付けへの
応募を推奨する旨の決定を行うこと及び本スクイーズアウト手続は、対象者の少数株主にとって不利益な
ものでないといえるかを検討し、対象者取締役会に意見を述べること(総称して、以下「本諮問事項」と
いいます。    )について諮問したとのことです(なお、諮問事項(a)の検討に際しては、①対象者の企業
価値の向上に資するかという観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、②対象者の一般
株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討・判断するものとして諮問
しているとのことです。。また、対象者取締役会は、2020 年2月5日に、対象者取締役会における本取
                )
引に関する意思決定については、本取引への賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行う
こと、及び本特別委員会が取引条件が妥当でないと判断した場合には、本公開買付けに賛同しないことと
することを決議したとのことです。
  かかる体制の下で、対象者は、本取引に係る公開買付者の提案内容を踏まえ、対象者の事業内容、事業
環境並びに既存の事業計画の内容等について対象者経営陣と複数回協議を行い、本取引が対象者の企業価
値に与える影響について検討を重ねたとのことです。また、本公開買付価格については、対象者は、2020
年1月 21 日に、公開買付者より対象者株式1株当たり 650 円とする初回提案を受けた後、同年2月3日
に本公開買付価格を 690 円とする旨の提案、同月5日に本公開買付価格を 720 円とする旨の提案を順次受
けたものの、いずれに対しても、対象者から、妥当な価格に達していないとして、提案内容の再検討を要
請し、2020 年2月7日に、公開買付者より対象者株式1株当たり 750 円とする提案を受けたとのことで
す。そして、2020 年2月7日の公開買付者の提案を受け、対象者は、下記「2.買付け等の概要」の
                          -9-
「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「      (本公開買付価格の公正性を担保するた
めの措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)        」の「
                                                     (ⅱ)
対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記
載のプルータスより取得した株式価値算定書(以下「対象者株式価値算定書」といいます。        )に記載の、
本公開買付価格は対象者の少数株主にとって財務的見地から公正なものである旨の 2020 年2月 10 日付意
見書(フェアネス・オピニオン)   (以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。    )を受領したとのこと
です。さらに、本特別委員会は、2020 年2月 10 日付答申書(以下「本答申書」といいます。   )を作成し、
対象者は、同日、本特別委員会から、本答申書の提出を受けたとのことです(本答申書の概要については、
下記「2.買付け等の概要」の「   (4)買付け等の価格の算定根拠等」の「②算定の経緯」の「    (本公開買
付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担
保するための措置)  」の「(ⅳ)対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照く
ださい。。 )
  対象者は、対象者株式価値算定書、本フェアネス・オピニオン及び下記「2.買付け等の概要」の
「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「      (本公開買付価格の公正性を担保するた
めの措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)        」の「
                                                     (ⅲ)
対象者における独立した法律事務所からの助言」に記載の佐藤総合法律事務所から得た法的助言を踏まえ
つつ、本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けの意義・目的、本公開買付け後の経営方針、
本公開買付けの諸条件について慎重に検討してきたとのことです。
  その結果、本公開買付価格である1株当たり 750 円は、本公開買付けの公表日の前営業日である 2020
年2月 10 日の東京証券取引所における対象者株式の終値 508 円に対して 47.64%(小数点以下第三位を
四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均
                                  )
値 538 円(小数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。        )に対して
39.41%、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値 566 円に対して 32.51%、同日までの直近6ヶ月間
の終値単純平均値 512 円に対して 46.48%のプレミアムを加えた金額であること、及び本公開買付価格が
対象者株式価値算定書による算定結果のうち、市場株価法による算定結果の上限を上回るものであり、
ディスカウント・キャッシュ・フロー法(以下「DCF 法」といいます。     )による算定結果のレンジの中央
値を上回る値であることも考慮し、本取引に関する諸条件について慎重に検討した結果、本公開買付価格
及び本公開買付けのその他の諸条件は対象者の株主の皆様にとって妥当であり、本取引は、少数株主を含
む対象者の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断し、2020 年2月 12
日付開催の対象者取締役会において、対象者の取締役9名(うち社外取締役4名)のうち、加藤敏純氏、
石岡修氏、太田裕之氏及び伊藤宏氏を除く5名が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員の一
致により、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対しては、その所有す
る対象者株式を本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。なお、対象者取締
役のうち、対象者の取締役である加藤敏純氏及び太田裕之氏は、それぞれ公開買付者の役職員を兼務して
いる(前者は、公開買付者の取締役常務執行役員ソリューション・特機領域、提携戦略管掌に、後者は、
公開買付者の執行役員ソリューション事業本部長にそれぞれ就任しているとのことです。        )ため、また石
岡修氏及び伊藤宏氏は、公開買付者の役員または執行役員には就任していないものの、いずれも公開買付
者の出身者であるため、利益相反のおそれを回避する観点から、本取引に係る協議及び交渉並びに当該審
議及び決議に参加していないとのことです。

③ 本公開買付け後の経営方針
 公開買付者は、本取引により対象者を公開買付者の完全子会社とすることで、対象者グループを含む公
開買付者グループ内の連携を加速させるとともに意思決定を迅速化し、更なる企業価値向上に向けた経営
を継続する方針であり、本公開買付け後も対象者グループの事業特性、対象者グループの強みを十分に活
かした経営を行い、対象者事業の強化を図ってまいります。なお、本日現在、対象者の取締役9名のうち
2名が公開買付者の役職員を兼務し、2名が公開買付者の出身者ですが、本公開買付け後の対象者の経営
体制については、現在の経営体制を尊重することを基本とし、現時点で具体的な変更は予定しておりませ
ん。



                         -10-
(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付け
   の公正性を担保するための措置
   公開買付者及び対象者は、本日現在、公開買付者が対象者株式を 26,178,100 株(所有割合:58.99%)
 所有し、対象者を連結子会社としており、対象者の支配株主となっているところ、本取引が支配株主との
 重要な取引等に該当し、また、対象者の取締役9名のうち2名が公開買付者の役職員を兼務し、2名が公
 開買付者の出身者であることから、対象者における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得
 ることに鑑み、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本
 公開買付けの公正性を担保するための措置として、それぞれ以下の措置を実施しております。
   なお、公開買付者は、上記「          (1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、本日現在、対象者株式
 26,178,100 株(所有割合:58.99%)を所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリ
 ティ・オブ・マイノリティ」(majority of minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの
 成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さ
 ない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」
 (majority of minority)の買付予定数の下限は設定しておりませんが、公開買付者及び対象者において以
 下の措置を講じていることから、対象者の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えておりま
 す。
   また、以下の記載のうち、対象者において実施した措置に関する記載については、対象者から受けた説
 明に基づくものです。
   ① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
   ② 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
   ③ 対象者における独立した法律事務所からの助言
   ④ 対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得
   ⑤ 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。         )の承認
   ⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

  以上の詳細については、下記「2.買付け等の概要」の「(4)買付け等の価格の算定根拠等」の「②
 算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、
 本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。

(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
  公開買付者は、上記「 (1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより対象者株式の
 全て(ただし、公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。      )を取得で
 きなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法による本スクイーズアウト手続を実施すること
 を予定しております。
  具体的には、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総
 株主の議決権の数の 90%以上となり、公開買付者が会社法(平成 17 年法律第 86 号。その後の改正を含
 みます。以下「会社法」といいます。 )第 179 条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開
 買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、対象者の株主(公開買
 付者及び対象者を除きます。 )の全員(以下「売渡株主」といいます。  )に対し、その所有する対象者株式
 の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。    )する予定です。株式売渡請求におい
 ては、対象者株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付するこ
 とを定める予定です。この場合、公開買付者は、その旨を対象者に通知し、対象者に対し株式売渡請求の
 承認を求めます。対象者がその取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定め
 る手続に従い、対象者の株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定め
 た取得日をもって、売渡株主の全員からその所有する対象者株式の全部を取得します。この場合、売渡株
 主がそれぞれ所有していた対象者株式1株当たりの対価として、公開買付者は、当該各売渡株主に対し、
 本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定です。なお、対象者プレスリリースによれば、対象者の取締
 役会は、公開買付者より株式売渡請求がなされた場合には、かかる株式売渡請求を承認する予定とのこと
 です。

                            -11-
 株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第 179 条の
8その他の関係法令の定めに従って、対象者の株主の皆様(公開買付者及び対象者を除きます。      )は、裁
判所に対して、その所有する対象者株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定め
られています。なお、上記申立てがなされた場合の対象者株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断す
ることになります。
 他方で、本公開買付けの成立後、公開買付者が所有する対象者の議決権の合計数が対象者の総株主の議
決権の数の 90%未満である場合には、公開買付者は、会社法第 180 条に基づき、対象者株式の併合を行
うこと(以下「株式併合」といいます。  )及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止
する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいま
す。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに対象者に要請する予定です。なお、公開
買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定です。また、本日現在においては、本臨時
株主総会の開催日は、2020 年6月頃を予定しています。
 本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、株式併合がその効力を
生ずる日において、対象者の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じ
た数の対象者株式を所有することとなります。株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じると
きは、端数が生じた対象者の株主の皆様に対して、会社法第 235 条その他の関係法令の定める手続に従い、
当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以
下同じです。)に相当する対象者株式を対象者又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が
交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の
結果、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様(ただし、公開買付者及び対象者を除きま
す。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた対象者株式の数を乗じ
た価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うよう対象者に要請す
る予定です。また、対象者株式の併合の割合は、本日現在において未定ですが、公開買付者は、対象者に
対して、公開買付者が対象者株式の全て(ただし、対象者が所有する自己株式を除きます。      )を所有する
こととなるよう、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様(ただし、公開買付者及び対象者
を除きます。)の所有する対象者株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定
です。
 株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、株式併合により株式の
数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第 182 条の4及び第 182 条の5その他の関係法令の定め
に従って、対象者の株主の皆様(公開買付者及び対象者を除きます。    )は、対象者に対してその所有する
株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨
及び裁判所に対して対象者株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。
 上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様(公開買付
者及び対象者を除きます。 )の所有する対象者株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式
併合に反対する対象者の株主の皆様(公開買付者及び対象者を除きます。     )は、上記申立てを行うことが
できることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の対象者株式の買取価格は、最終的には裁
判所が判断することとなります。
 上記の株式売渡請求及び株式併合の各手続については、関係法令についての改正、施行、当局の解釈等
の状況等によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。ただし、その場合でも、本
公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様(ただし、公開買付者及び対象者を除きます。      )に対
しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭
の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一になる
よう算定される予定です。以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、対象者と協
議の上、決定次第、対象者が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会におけ
る対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記
の各手続における税務上の取扱いについては、対象者の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専
門家にご確認いただきますようお願いいたします。

(5)上場廃止となる見込みがある旨及びその理由

                        -12-
  対象者株式は、本日現在、東京証券取引所市場第一部に上場されていますが、公開買付者は本公開買付
 けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上
 場廃止基準に従い、対象者株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買
 付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、上記「(4)本公開買付
 け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載された本スクイーズアウト手続が
 実行された場合には、対象者株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に該当し、所定の手続を経て上場廃
 止となります。なお、上場廃止後は、対象者株式を東京証券取引所において取引することはできません。

(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項
 該当事項はありません。

2.買付け等の概要

(1)対象者の概要
 ①   名称                  ヤマハモーターロボティクスホールディングス株式会社
 ②   所在地                 東京都武蔵村山市伊奈平二丁目 51 番地の1
 ③   代表者の役職・氏名           代表取締役社長 石岡 修
 ④   事業内容                グループの経営戦略策定及び経営管理
 ⑤   資本金                 13,360 百万円(2019 年 12 月 31 日現在)
 ⑥   設立年月日               1959 年8月6日
                         ヤマハ発動機株式会社                                   59.00%
                         STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505019
                         (常任代理人 香港上海銀行東京支店カストディ業務                     2.46%
                         部)
                         みずほ信託銀行株式会社 退職給付信託 きらぼし銀行
                                                                      2.02%
                         口 再信託受託者 資産管理サービス信託銀行株式会社
                         J.P.MORGAN BANK LUXEMBOURG S.A. 1300000
                                                                      1.83%
     大株主及び持株比率           (常任代理人 株式会社みずほ銀行決済営業部)
 ⑦
     (2019 年9月 30 日現在)   日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)                      1.41%
                         新川取引先持株会                                     1.40%
                         GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL
                                                                      1.28%
                         (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)
                         株式会社アイ・アンド・イー                                1.12%
                         東京きらぼしリース株式会社                0.91%
                         日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口
                                                      0.67%
                         5)
                                公開買付者は、本日現在、対象者株式 26,178,100
                         資本関係
                                株(所有割合:58.99%)を所有しております。
                                対象者の取締役のうち2名(うち1名は対象者の
                                代表取締役)が公開買付者の取締役又は執行役員
                                としての地位を有しており、2名(うち1名は対
                         人的関係   象者の代表取締役)が公開買付者の出身者です。
 ⑧   公開買付者と対象者の関係
                                また、上記のほか、公開買付者の従業員7名が対
                                象者グループに出向しており、対象者グループの
                                従業員2名が公開買付者に出向しております。
                                公開買付者グループと対象者グループとの間に
                         取引関係   は、半導体製造装置であるフリップチップボンダ
                                の仕入及び販売、同装置を含む各種産業用装置の

                                  -13-
                             機能開発及びソフトウェア開発の委託及び受託、
                             産業用装置のソフトウェアのライセンス貸与、並
                             びに情報システム運用業務の委託及び受託を行う
                             等の取引関係があります。
                  関連当事者へ 対象者は、公開買付者の連結子会社であり、公開
                  の該当状況      買付者の関連当事者に該当します。
(注)
  「⑦ 大株主及び持株比率(2019 年9月 30 日現在)」は、対象者が 2019 年 11 月 14 日に提出した第
   62 期第2四半期報告書の「大株主の状況」を基に記載しております。

(2)日程等
① 日程
 取締役会決議日             2020 年2月 12 日(水曜日)
                     2020 年2月 13 日(木曜日)
  公開買付開始公告日          電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。
                     (電子公告アドレス http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)
  公開買付届出書提出日         2020 年2月 13 日(木曜日)

② 届出当初の買付け等の期間
 2020 年2月 13 日(木曜日)から 2020 年4月 10 日(金曜日)まで(40 営業日)

③ 対象者の請求に基づく延長の可能性
 該当事項はありません。

(3)買付け等の価格
  普通株式1株につき金 750 円

(4)買付け等の価格の算定根拠等
① 算定の基礎
 公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者を含む公開買付者グループ
から独立した第三者算定機関として、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対
して、対象者の株式価値の算定を依頼いたしました。なお、みずほ証券は、公開買付者及び対象者の関連
当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。
 みずほ証券は、対象者の財務状況、対象者株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面的
に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を検討した結
果、市場株価基準法及び DCF 法を用いて、対象者の株式価値の算定を行い、公開買付者は、みずほ証券か
ら 2020 年2月 10 日付で対象者の株式価値の算定結果に関する株式価値算定書(以下「公開買付者株式価
値算定書」といいます。      )を取得しました。なお、公開買付者は、みずほ証券から本公開買付価格の財務
的見地からの妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
 公開買付者株式価値算定書によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者株式1株
当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
 市場株価基準法           :508 円から 566 円
 DCF 法             :636 円から 779 円

  市場株価基準法では、本公開買付けの公表日の前営業日である 2020 年2月 10 日を算定基準日として、
 対象者株式の東京証券取引所市場第一部における算定基準日の終値 508 円、同日までの過去5営業日の終
 値単純平均値 513 円、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値 538 円、同日までの過去3ヶ月間の終値
 単純平均値 566 円及び同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値 512 円を基に、対象者株式1株当たりの
 株式価値の範囲を 508 円から 566 円と算定しております。

                                 -14-
  DCF 法では、対象者から提供を受けた事業計画(2019 年 12 月期第3四半期及び 2020 年 12 月期から
2024 年 12 月期までの5年3ヶ月間) 、一般に公開された情報等の諸要素を前提に、直近までの業績の動
向、公開買付者が対象者に対して行った 2020 年1月上旬から同年2月上旬までのデュー・ディリジェン
スの結果等の諸要素を考慮して公開買付者において調整を行った対象者の将来の収益予想に基づき、対象
者が 2019 年 12 月期第3四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定
の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値や株式価値を算定し、対象者株式1株当たりの株式価
値の範囲を 636 円から 779 円と算定しております。なお、本取引実行により実現することが期待されるシ
ナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画は、本取
引の実行を前提として作成されたものではありません。なお、当該事業計画については大幅な増益を見込
んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2021 年 12 月期において、前期(2020 年 12 月期)
に赤字であった営業利益が黒字となっており、2022 年 12 月期に営業利益が前年比で 49%上昇しています。
対象者は、2019 年8月7日付「中期経営計画策定に関するお知らせ」において、2021 年 12 月期を最終年
度とする中期経営計画の策定を開示しており、国内・海外の生産拠点再編を含む事業構造改革による固定
費の大幅削減と対象者グループでの共同開発等による商品力の向上を図ることで、年間 30 億円程度の営
業キャッシュ・フローを創出できるよう企業体質の回復に取り組んでおり、2021 年 12 月期には半導体市
場向けの新商品の投入による増収を見込んでいることから、売上高約 35,100 百万円、営業利益約 2,190
百万円を目標として掲げております。また、2022 年 12 月期においても、対象者グループでの協業の進化
により、半導体製造後工程を統合した付加価値の高いプロセス技術を創造することで競争優位を確立し、
先端技術領域を中心に更なる事業成長を見込んでおります。また、2024 年 12 月期において、営業利益が
前期比 39%の増益となっています。これはモノのインターネット化とされる IoT、人工知能 AI、5G など
の進展に伴う半導体需要拡大による半導体製造装置及び電子部品実装装置分野における付加価値が高い製
品の売上高が増加することを見込んでいるためです。
  公開買付者は、みずほ証券から取得した公開買付者株式価値算定書の算定結果に加え、公開買付者にお
いて実施した対象者に対する 2020 年1月上旬から同年2月上旬までのデュー・ディリジェンスの結果、
対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の動向、過去の発行者以外の
者による株券等の公開買付けのうち親会社による上場子会社の完全子会社化を前提とした公開買付けの事
例において買付け等の価格決定の際に付与されたプレミアムの実例、及び本公開買付けに対する応募数の
見通し等を総合的に勘案し、かつ、本公開買付価格に関する対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、最
終的に 2020 年2月 12 日開催の取締役会において、本公開買付価格を 750 円とすることを決定いたしまし
た。
  なお、本公開買付価格である 750 円は、本公開買付けの公表日の前営業日である 2020 年2月 10 日の東
京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値 508 円に対して 47.64%、同日までの過去1ヶ月間の
終値の単純平均値 538 円に対して 39.41%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値 566 円に対して 32.51%、
同過去6ヶ月間の終値の単純平均値 512 円に対して 46.48%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となって
おります。
  また、公開買付者は、本第三者割当増資の引受けにより、2019 年6月 24 日に、対象者株式 26,178,100
株を1株当たり 382 円で取得しております。当該価格と本公開買付価格 750 円との間には 368 円の差異が
生じておりますが、これは、本第三者割当増資による取得価格が本第三者割当増資に係る取締役会決議日
の前営業日までの過去1ヶ月間(2019 年1月9日から 2019 年2月8日まで)の東京証券取引所市場第一
部における対象者株式の終値の単純平均値(382 円)により決定されているのに対し、本公開買付けによ
る取得価格は、本公開買付けの実施を決議した取締役会開催日の前営業日(2020 年2月 10 日)の東京証
券取引所市場第一部における対象者株式の終値 508 円が、当該単純平均値 382 円に対して 32.98%(小数
点以下第三位を四捨五入)上昇していることに加え、本公開買付価格には上記のとおりプレミアム(2020
年2月 10 日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値(508 円)に対して 47.64%、同日ま
での過去1ヶ月間の終値の単純平均値に対して 39.41%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値に対して
32.51%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値に対して 46.48%のプレミアム)が付されているためです。

② 算定の経緯
(本公開買付価格の決定に至る経緯)
 上記「1.買付け等の目的等」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思
                           -15-
決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、
目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者は、対象者が公開買付者の完全子会社となること
で、迅速かつ柔軟な意思決定や、現状の資本関係では制約のある顧客基盤、事業・技術基盤、財務基盤等
の経営資源の相互活用が可能になるとともに、      (ⅰ)グループ内のシームレスな協業体制構築による顧客
基盤の更なる拡大、   (ⅱ)公開買付者グループの経営資源・ノウハウの最大化、   (ⅲ)意思決定の簡素化、
(ⅳ)投資原資の効率的な配分及び将来キャッシュの安定的な創出、による事業シナジーのより迅速かつ
一層の創出を実現することで、対象者グループを含む公開買付者グループの企業価値の向上につなげてい
きたいと考えるに至りました。
  そこで、公開買付者は、2019 年 12 月上旬、公開買付者及び対象者を含む公開買付者グループから独立
したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券を、リーガル・アドバイザー
として森・濱田松本法律事務所をそれぞれ選任の上、本取引に関する具体的な検討を開始するとともに、
対象者に対して両社の企業価値の向上のため本取引の実施に向けた協議を開始したい旨の意向を伝えまし
た。その後、公開買付者は、2019 年 12 月 23 日に、対象者に対して本取引に関する提案書を提出し、公
開買付者と対象者は、本取引に向けた具体的な協議・検討を開始しました。
  さらに、公開買付者は、本取引の実現可能性の精査のためのデュー・ディリジェンスを 2020 年1月上
旬から同年2月上旬まで実施するとともに、並行して対象者との間で、本取引の意義及び目的に関するよ
り詳細な協議・検討や、本取引後の経営体制・事業方針、本取引における諸条件等についての協議・検討
を複数回に亘って重ねてきました。
  また、公開買付者は、本公開買付価格についても、対象者に対して 2020 年1月 21 日に本公開買付価格
を 650 円とすることを含む正式な提案を行いましたが、対象者から、対象者の企業価値を十分に反映した
提案ではないとして、提案内容の再検討を要請されました。その後、公開買付者は、対象者から提案内容
の再検討を要請されたことを踏まえ、2020 年2月3日に本公開買付価格を 690 円とする旨の提案、同月
5日に本公開買付価格を 720 円とする旨の提案を順次行いましたが、いずれに対しても、対象者から、妥
当な価格に達していないとして、提案内容の再検討が要請されたため、同月7日に本公開買付価格を 750
円とする旨の提案を行いました。そして、当該協議・交渉の結果、公開買付者と対象者は、2020 年2月
10 日、本公開買付価格を1株当たり 750 円とすることで合意に至りました。かかる協議・検討を踏まえ、
公開買付者は、みずほ証券から取得した公開買付者株式価値算定書の算定結果に加え、公開買付者におい
て実施した対象者に対する 2020 年1月上旬から同年2月上旬までのデュー・ディリジェンスの結果、本
公開買付価格に関する対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、2020 年2月 12 日開催の取締役会におい
て、本公開買付けを含めた本取引の実施を決定し、以下の経緯により本公開買付価格を 750 円とすること
を決定いたしました。なお、公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った経緯の詳細につきまし
ては、上記「1.買付け等の目的等」の「      (2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び
意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」をご参照ください。
(ⅰ)算定の際に意見を聴取した第三者の名称
   公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者を含む公開買付者グルー
  プから独立した第三者算定機関として、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券
  に対して、対象者の株式価値の算定を依頼し、2020 年2月 10 日付で対象者の株式価値の算定結果に関
  する公開買付者株式価値算定書を取得しました。なお、公開買付者は、みずほ証券から本公開買付価格
  の財務的見地からの妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

(ⅱ)当該意見の概要
  みずほ証券は、市場株価基準法及び DCF 法を用いて対象者株式の株式価値の算定を行っております。
 採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以
 下のとおりです。
  市場株価基準法   :508 円から 566 円
  DCF 法     :636 円から 779 円

(ⅲ)当該意見を踏まえて本公開買付価格を決定するに至った理由
  公開買付者は、本公開買付価格がみずほ証券から取得した公開買付者株式価値算定書の算定結果の範
 囲内であることに加え、公開買付者において実施した対象者に対する 2020 年1月上旬から同年2月上
                        -16-
 旬までのデュー・ディリジェンスの結果、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者
 株式の市場株価の動向、過去の発行者以外の者による株券等の公開買付けのうち親会社による上場子会
 社の完全子会社化を前提とした公開買付けの事例において買付け等の価格決定の際に付与されたプレミ
 アムの実例、及び本公開買付けに対する応募数の見通し等を総合的に勘案し、かつ、本公開買付価格に
 関する対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に 2020 年2月 12 日開催の取締役会において、
 本公開買付価格を 750 円とすることを決定いたしました。

(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの
公正性を担保するための措置)
 公開買付者及び対象者は、本日現在、公開買付者が対象者株式を 26,178,100 株(所有割合:58.99%)
所有し、対象者を連結子会社としており、対象者の支配株主となっているところ、本取引が支配株主との
重要な取引等に該当し、また、対象者の取締役9名のうち2名が公開買付者の役職員を兼務し、2名が公
開買付者の出身者であることから、対象者における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得
ることに鑑み、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本
公開買付けの公正性を担保するための措置として、それぞれ以下の措置を実施しております。
 なお、以下の記載のうち、対象者において実施した措置の記載については、対象者から受けた説明に基
づくものです。
(ⅰ)公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
  公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者算定
 機関としてフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値の算定を依頼
 し、2020 年2月 10 日付で公開買付者株式価値算定書を取得しました。詳細については、上記「算定の
 基礎」をご参照ください。

(ⅱ)対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
  対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、対象者
 及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるプルータスに
 対し、対象者株式の価値算定を依頼したとのことです。なお、プルータスは、対象者及び公開買付者の
 関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、
 本取引に係るプルータスの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開
 買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていないとのことです。
  プルータスは、複数の算定手法の中から対象者株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を
 検討の上、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者株式の価値について多面的に評価することが
 適切であるとの考えに基づき、対象者の市場株価の動向を勘案した市場株価法と、事業活動による将来
 収益獲得能力を直接的に評価し算定に反映する DCF 法の、2つの算定手法を用いて対象者株式の1株当
 たりの株式価値の分析を行い、対象者は、本公開買付けの公表日の前営業日である 2020 年2月 10 日付
 でプルータスより対象者株式価値算定書を取得したとのことです。
  上記各手法に基づいて算定された対象者株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことで
 す。
  市場株価法 :508 円から 566 円
  DCF 法 :558 円から 852 円

   市場株価法は、多くの投資家が企業の将来性、収益力、財産価値等の多様な要素を勘案して市場で取
 引を行うことによって形成される客観性の高い市場株価を基礎として株式価値を算定する手法であり、
 上場会社の株式価値を表す適切な指標であると考えられるとのことです。しかしながら、市場の効率性
 には限界があり、一時点における株価は異常な要因によって歪められている場合もあり、市場株価法の
 適用にあたっては、評価基準日の株価のほか、評価基準日から遡る合理的な期間の終値又は平均株価を
 あわせて検討する必要があると考えられるとのことです。このような観点に照らし、2019 年 11 月 12
 日付「営業外費用および特別損失の計上、ならびに配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」等の開
 示による前営業日の終値に対する騰落がみられるものの、本公開買付けの公表日の前営業日である
 2020 年2月 10 日までの直近6ヶ月間の各営業日における対象者株式の出来高、終値及び前営業日の終
                          -17-
値に対する騰落率を検証の上、市場株価の形成に著しい影響を及ぼし得る取引または事象の異常性の有
無を総合的に検討したものの、該当する取引または事象の存在は認められなかったとのことです。その
ため、プルータスは、市場株価法を算定手法の1つとして採用したとのことです。市場株価法では、本
公開買付けの公表日の前営業日である 2020 年2月 10 日を基準日として、東京証券取引所における対象
者株式の基準日終値(508 円)       、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値(538 円)                   、基準日までの
直近3ヶ月間の終値単純平均値(566 円)及び基準日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値(512 円)
を基に、対象者株式1株当たりの株式価値を 508 円から 566 円までと分析しているとのことです。
 DCF 法は、企業が将来の一定期間に獲得するであろうフリー・キャッシュ・フローを、リスクを考慮
した適切な割引率によって現在価値に還元したものを事業価値とし、これに事業外資産や有利子負債等
を考慮することにより企業価値及び株式価値を算定する手法であり、継続企業の評価においては最も理
論的であるといわれていることから、プルータスは、DCF 法を算定手法の1つとして採用したとのこと
です。DCF 法では、対象者が作成した事業計画(2020 年 12 月期から 2024 年 12 月期まで)                 (以下「本事
業計画」といいます。     )に基づき、対象者が 2020 年 12 月期第1四半期以降に生み出すと見込まれるフ
リー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を算定し、対象
者株式1株当たりの株式価値の範囲を 558 円から 852 円までと算定しているとのことです。DCF 法にお
ける継続価値の算定については、永久成長率法により算出しているとのことです。具体的には、永久成
長率法では永久成長率として0%及び長期的に合理的な成長率 0.65%を使用しているとのことです。
また、割引率は、9.192%から 12.446%を使用しているとのことです。なお、割引率には加重平均資本
コスト(Weighted Average Cost of Capital, WACC)を使用しているとのことです。加重平均資本コス
トは、資本資産価格モデル(Capital Asset Pricing Model, CAPM)により見積もった株主資本コスト
と、節税効果控除後の予想調達金利により見積った負債コストを、類似上場会社の情報により見積もら
れた株主資本比率で加重平均することで計算しているとのことです。
 プルータスが DCF 法による分析の前提とした本事業計画は以下のとおりとのことです。本事業計画に
ついては、対象者との間で複数回質疑応答を行ったうえでのプルータスによる内容のレビューを経てお
り、また、本特別委員会がその内容及び前提条件等の合理性を確認しているとのことです。なお、本事
業計画については大幅な増益を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2021
年 12 月期において、前期(2020 年 12 月期)に赤字であった営業利益が黒字となっており、2022 年 12
月期に営業利益が前年比で 49%上昇しているとのことです。対象者は、2019 年8月7日付「中期経営
計画策定に関するお知らせ」において、2021 年 12 月期を最終年度とする中期経営計画の策定を開示し
ており、国内・海外の生産拠点再編を含む事業構造改革による固定費の大幅削減と対象者グループでの
共同開発等による商品力の向上を図ることで、年間 30 億円程度の営業キャッシュ・フローを創出でき
るよう企業体質の回復に取り組んでおり、2021 年 12 月期には半導体市場向けの新商品の投入による増
収を見込んでいることから、売上高約 35,100 百万円、営業利益約 2,190 百万円を目標として掲げてい
るとのことです。また、2022 年 12 月期においても、対象者グループでの協業の進化により、半導体製
造後工程を統合した付加価値の高いプロセス技術を創造することで競争優位を確立し、先端技術領域を
中心に更なる事業成長を見込んでいるとのことです。また、2024 年 12 月期において、営業利益が前期
比 39%の増益となっていますが、これはモノのインターネット化とされる IoT、人工知能 AI、5G など
の進展に伴う半導体需要拡大による半導体製造装置及び電子部品実装装置分野における付加価値が高い
製品の売上高が増加することを見込んでいることによるとのことです。また、本取引の実行により実現
することが期待されるシナジー効果については、上場維持コストの削減効果を除き、現時点において見
積もることが困難であるため、本事業計画には加味していないとのことです。
                                                                    (単位:百万円)
                            2020 年       2021 年    2022 年    2023 年     2024 年
                            12 月期        12 月期     12 月期     12 月期      12 月期
 売上高                           28,629       35,104    38,311    40,011     43,854
 営業利益又は営業損失(△)                  △872         2,197     3,275     4,065      5,655
 EBITDA                           622        3,598     4,677     5,383      6,890
 フリー・キャッシュ・フロー               △4,133          △298      1,870     3,179      3,487
(注)EBITDA は、営業利益に上場維持コストの削減効果、減価償却費及びのれん償却費を加算するこ

                                    -18-
    とで計算し、フリー・キャッシュ・フローは当該 EBITDA を基に算出しているとのことです。

  また、対象者は、2020 年2月 10 日、プルータスから、本公開買付価格である1株当たり 750 円は対
 象者の少数株主にとって財務的見地から公正なものである旨の本フェアネス・オピニオンを取得してい
 るとのことです。本フェアネス・オピニオンは、対象者が作成した事業計画に基づく株式価値算定の結
 果等に照らして、本公開買付価格である1株当たり 750 円が、対象者の少数株主にとって財務的見地か
 ら公正であることを意見表明するものとのことです。なお、本フェアネス・オピニオンは、プルータス
 が、対象者から、対象者の事業の現状、将来の事業計画等の開示を受けるとともに、それらに関する説
 明を受けた上で実施した対象者の株式価値算定の結果に加えて、本公開買付けの概要、背景及び目的に
 係る対象者との質疑応答、プルータスが必要と認めた範囲内での対象者の事業環境、経済、市場及び金
 融情勢等についての検討並びにプルータスにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけ
 るレビュー手続を経て発行されているとのことです。

(ⅲ)対象者における独立した法律事務所からの助言
  対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに関する対象者取締役会の意思決定の過程
 等における透明性及び合理性を確保するため、対象者及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイ
 ザーである佐藤総合法律事務所を選任し、同法律事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する対象
 者取締役会の意思決定の方法、過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けているとのことで
 す。なお、同法律事務所は対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、
 重要な利害関係を有しないとのことです。

(ⅳ)対象者における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得
  (a)設置等の経緯
    対象者プレスリリースによれば、対象者は、リーガル・アドバイザーである佐藤総合法律事務
   所の助言を踏まえ、2019 年 12 月 23 日に定例取締役会を開催し、本特別委員会を設置する旨を決
   議し、その後、対象者社外取締役である川上雄一氏並びに対象者及び公開買付者から独立した、
   外部の有識者である福崎真也氏(福崎法律事務所/弁護士)及び和田芳幸氏(和田会計事務所/公
   認会計士)に対して、公開買付者から公開買付による完全子会社化の打診を内々に受けた旨、及
   び本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、公開買付者と少数株主の間に構造的な利
   益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、これら
   の問題に対応し、本取引の公正性を確保するための体制の一環として本特別委員会の設置を検討
   している旨を伝えて、本特別委員会の委員への就任依頼の打診を行い、各位から内諾を得たとの
   ことです。
    その後、対象者は、2020 年1月6日付臨時取締役会において、本特別委員会を、川上雄一氏、
   福崎真也氏及び和田芳幸氏の3名で構成する旨を決議したとのことです(本特別委員会の委員長
   については、対象者取締役会の構成員として対象者の経営判断に直接関与する立場にあり、対象
   者の事業にも一定の知見を有していること等を踏まえ、川上雄一氏を選定しているとのことです。
   本特別委員会の委員は設置当初から変更していないとのことです。。なお、各委員の報酬につい
                                        )
   ては、全て本取引の公表や成立を条件としない固定額の報酬としているとのことです。
    そして、対象者は、同日、上記臨時取締役会の決議に基づき、本特別委員会に対して、本諮問
   事項について諮問したとのことです(なお、諮問事項(a)の検討に際しては、①対象者の企業
   価値の向上に資するかという観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、②対象
   者の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討・判断す
   るものとして諮問しているとのことです。。また、対象者取締役会は、2020 年2月5日に、対象
                             )
   者取締役会における本取引に関する意思決定については、本取引への賛否を含め、本特別委員会
   の判断内容を最大限尊重して行うこと、及び本特別委員会が取引条件が妥当でないと判断した場
   合には、本公開買付けに賛同しないこととすることを決議したとのことです。

  (b)検討の経緯
    本特別委員会は、2019 年 12 月 23 日に設置され、2020 年1月8日から同年2月 10 日まで合計
                           -19-
で8回開催され、対象者及び公開買付者の役職員並びに対象者のファイナンシャル・アドバイ
ザー及び第三者算定機関であるプルータス、対象者のリーガル・アドバイザーである佐藤総合法
律事務所から本特別委員会に提供された資料及び説明(以下「本件検討資料等」といいます。     )に
基づき、本諮問事項を中心に総合的な検討を慎重に行ったとのことです。具体的には、プルータ
ス及び佐藤総合法律事務所につき、対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買
付けを含む本取引に関して、重要な利害関係を有していないことから、それぞれを対象者のファ
イナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザーとして承認し、本特別委員会としても
必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認するとともに、対象者における本取引
の検討体制についても、対象者グループを除く公開買付者グループ及び本取引からの独立性の観
点から問題がないことを確認の上、承認をしているとのことです。
 その後の具体的な審議内容として、本特別委員会は、①対象者から、対象者の事業の状況、事
業環境、本事業計画の内容、本取引の対象者事業に対する影響等について説明を受け、これらの
点に関する質疑応答を実施し、②公開買付者に対して質問事項を提示し、公開買付者から、公開
買付者の現状及び事業環境、本取引の目的及び背景、本取引後の経営方針等についてインタ
ビュー形式により質疑応答を実施しているとのことです。
 また、本特別委員会は、対象者が作成した本事業計画について、対象者からその内容及び作成
経緯等について説明を受けるとともに、プルータスから受けた助言も踏まえ、これらの事項につ
いて合理性を確認しているとのことです。そして、プルータスから、本事業計画を基礎として
行った株式価値算定の内容、及び DCF 法における割引率の計算根拠を含む重要な前提条件につい
て説明を受け、これらの事項について合理性を確認しているとのことです。
 さらに、本特別委員会は、佐藤総合法律事務所から受けた法的助言を踏まえ、本取引において
手続の公正性を確保するために講じるべき措置について審議・検討を行っているとのことです。
 また、本特別委員会は、プルータスから、公開買付者からより高い価格を引き出すために、相
互に独立した第三者間の M&A で行われる一般的な交渉プロセスに即して十分な交渉を実施するこ
とを含む交渉方針について意見を聴取し、その内容を審議・検討するとともに、2020 年1月 21 日
に公開買付者より公開買付価格を1株当たり 650 円とする提案を受領して以降、プルータスから
聴取した意見も踏まえて公開買付者に対する交渉方針を審議・検討した上で、対象者及びプルー
タスをして公開買付者と書面のやり取りを行うよう指示する等により、公開買付者との間で公開
買付価格に関する協議・交渉を行い、その結果、公開買付者から、同年2月7日に公開買付価格
を1株当たり 750 円とする最終的な提案を受けるに至ったとのことです。加えて、対象者は、プ
ルータスから、2020 年2月 10 日付対象者株式価値算定書を入手するとともに同日付で本フェアネ
ス・オピニオンを受領しているとのことです。

(c)判断内容
  本特別委員会は、かかる検討を前提として、本件検討資料等の真実性、正確性、完全性等につ
 いて、本特別委員会独自の検討を一切行っていない旨を留保し、かつ、本公開買付けが実際に開
 始される時点において、本答申書の検討の前提とされた事項に変更がないか否かを改めて確認す
 る必要があること、本取引に関する手続が、対象者及び公開買付者のそれぞれにおいて、適用法
 令等を遵守して履践されていること、本件検討資料等が、本答申書の作成日現在において、真実、
 正確かつ完全であり、誤解を与えないために必要な情報が省略されていないこと、本件検討資料
 等以外に、本特別委員会の答申の内容に影響を及ぼす可能性のある重要な事実又は情報は存在し
 ないこと、本件検討資料等のうちドラフトとされているものについては、当該ドラフトの内容が、
 その後正式に確定し、開示され又は規制当局へ提出されるものの内容と重要な点において同一で
 あること、並びに、プルータスが、対象者株式の価値算定の実施及び対象者株式価値算定書の作
 成に際し、株式の価値算定の専門家として対象者に対して負う注意義務を果たしていることを前
 提条件として、委員全員一致の決議により、対象者取締役会に対して、本取引が、対象者の少数
 株主にとって不利益なものではないと考えられるとする内容の本答申書を提出しているとのこと
 です。本答申書の内容は大要以下のとおりとのことです。
 (ア)本取引が対象者の企業価値の向上に資するといえるか
  ・上記「1.買付け等の目的等」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的
                     -20-
  及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定
  するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の対象者及び公開買付者が有している
  対象者を取り巻く事業環境及び対象者の経営課題についての現状認識について、特別委員会
  としても異存はなく、この時期に両者間における、より一層のシナジーの創出・発現を目指
  して本取引を行うことには、必要性・合理性が認められるものと考える。

 ・上記の事業環境及び経営課題を踏まえ、対象者経営陣によれば、対象者の企業価値の向上の
  ためには、対象者の半導体製造装置製造に係るコストを早期に削減する施策を講じるととも
  に、売上高を向上させる施策を講じることが重要であり、公開買付者との相互の経営資源の
  有効活用を行う施策を講じることも重要であるとのことである。また、早期のコストの削減
  及び売上高の向上並びに公開買付者との相互の経営資源の有効活用を行うための施策を実現
  するために、迅速な意思決定プロセスを確立することも、対象者にとっては重要である。そ
  して、本取引は、かかる施策を実施するための有効な選択肢であると考えられる。対象者は、
  本三者統合を行うことで、上記施策の一部を講じ、これにより一定の効果を得ることができ
  たものの、両者は独立した上場会社であり、公開買付者が、対象者の支配株主であるにすぎ
  ないことから、上記「1.買付け等の目的等」の「(2)本公開買付けの実施を決定するに
  至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のシナ
  ジー効果を発現させるために十分な仕入、開発、製造及び販路の統合並びに両者間の相互の
  経営資源の有効活用を行うことができていないという課題、対象者の意思決定にあたっては、
  両者の利益相反関係に留意しながら、対象者の一般株主の利益に配慮しなければならないと
  いう制約が依然として存在するところ、本取引により対象者が公開買付者の完全子会社とな
  ることにより、当該課題及び制約を解決する施策を実現することが可能となり、上記「1.
  買付け等の目的等」の「
            (2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決
  定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のシナジー効果を発現させることが期
  待できる。

 ・なお、株式交換