7271 安永 2020-05-15 15:30:00
第6次中期経営計画について(2020年度~2022年度) [pdf]

                                                                                                  2020 年5月 15 日
各    位
                                                        会 社 名 株式会社 安永
                                                        代表者名 代表取締役社長                   安永 暁俊
                                                                     (コード:7271、東証第 1 部)
                                                        問合せ先 管理本部長 北村                    直紀
                                                                     (TEL.0595-24-2122)


                                         第6次中期経営計画について
                                           (2020 年度~2022 年度)
                                  ~『グローバルニッチ№1』を広げて~


    当社グループは、このたび2020年度から2022年度までの3年間の事業戦略や数値目標を定めた第6次中
期経営計画を策定しましたので、その骨子をお知らせいたします。


                                                    記

Ⅰ.第5次中期経営計画の振り返り
    第5次中期経営計画(2017 年度~2019 年度)では、お客様に信頼される技術・製品・サービスを創造
し、高い付加価値を提供し続ける企業を目指し、地域、顧客、製品での「グロ-バルニッチ№1」を積み
重ね、企業価値の向上を果たすことを基本戦略の中核に据えて、グローバル展開を進めてまいりました。
    その結果、中期計画2年目の 2018 年度において、計画策定時に掲げた最終年度の数値目標を前倒しで
上回ることができました。また、長期継続的な目標であるROEも 2017 年度及び 2018 年度は目標値の 10%
を上回ることができました。しかしながら 2019 年度は、主として国内のエンジン部品事業で当初の計画
よりも受注及び採算性が悪化し、目標値を下回る結果となりました。

                     連結売上⾼の推移                                   連結営業利益と営業利益率の推移
     (億円)                                         (億円)
     400                                           24                                              12%


                                                   20                                              10%

     300
                                                   16                                              8%

                                                                      5.8%
                                                   12        5.2%                                  6%
                                                                                         5.0%            環境機器他
     200
                                                                                                         機械装置
                                                    8                                              4%
                                                                                                         エンジン部品
                                                    4                                              2%    営業利益率
     100
                                                                               1.5%
                                                    0                                              0%

      0                                           △4                                               △2%
            17年度実績   18年度実績   19年度実績   19年度(中計)             17年度実績   18年度実績   19年度実績   19年度(中計)




                                                        1
【エンジン部品事業】
 自動車メーカーが現地生産・現地調達の比率を高める傾向にある中、自動車メーカーの生産体制に合わ
せた生産拠点の体制強化を進め、現地調達の需要を取り込むべく当社の戦略製品である5C部品(コネク
ティングロッド、シリンダーヘッド、シリンダーブロック、カムシャフト、クランクシャフト)を中心に
積極的な受注活動と新ラインの立上げを行ってまいりました。2018年8月にはメキシコ子会社がコネクテ
ィングロッドの量産を開始して本格稼働し、2019年7月にはタイ子会社において、2015年の初出荷以来、
コネクティングロッドの累計出荷本数1,000万本(自動車250万台分)を達成しました。
 また、5C部品に加え、新たにハイブリッド用の回生ブレーキ部品や駆動系部品等を受注し、自動車業
界の百年に1度の大変革を乗り越えるべく製品ラインナップを拡充しております。


【機械装置事業】
 工作機械は、マザーマシン刷新による生産性向上と外注部品の内製化、こだわり品質活動、ベストバリ
ューチェーンの構築、設計改革などに取組み、主要顧客の新エンジン対応設備投資に対して、高負荷の状
況においても品質・コスト・納期でしっかり対応することができました。さらに主力のエンジン部品の専
用加工機の他、ハイブリッド車や電気自動車においてバッテリーの出力を制御するインバーターの組付機
など新たな分野にも進出することができました。
 ワイヤソーは、車載用ネオジム磁石向けや電子材料向けの小型・中型機において、顧客のニーズに対応
すべくラインナップの拡充を図りました。
 検査測定装置は、車載用半導体向けの検査測定装置に加え、セラミック基材向けの検査測定装置の市場
を開拓し、その分野で売上を伸ばしています。
 以上の結果、2017年度、2018年度において、機械装置事業として2期連続で過去最高の売上高、営業利
益となりました。


【環境機器事業】
 「浄化槽用エアーポンプ」「燃料電池用エアーポンプ」「ディスポーザ」の3本柱で業界№1の地位を
固めるべく、さらなるシェア向上に努めてまいりました。
 「浄化槽用エアーポンプ」は、2016年から継続している保守点検業者向けの製品講習会でのブランド浸
透効果等による交換需要の増加と、欧州、北米を中心とした海外向けの増加により堅調に推移。「ディス
ポーザ」は、業界唯一の総合メーカーとして、安定した交換需要と新機種の開発等による新築物件への採
用増加により堅調に推移しました。
 その結果、2018年度、2019年度において、環境機器事業として2期連続で過去最高の売上高、営業利益
となりました。


【新事業創出】
 『二次電池関連技術』は、リチウムイオンバッテリーおよびリチウムイオンキャパシタ向け集電箔の量
産技術の目途付けができました。『熱電発電素子関連技術』は、熱電素子及び熱電モジュールに関するノ
ウハウの蓄積ができました。しかしながら、双方とも残念ながら未だ事業化には至っておらず、研究開発
及び顧客への積極的な提案を継続しております。




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Ⅱ.第6次中期経営計画の概要


 第6次中期経営計画も、継続して積極的にグローバル展開を進めるとともに、当社の強みを生かして、
より強固な地位を目指してまいります。ニッチ市場でトップになることで、顧客との情報共有を密にし、
顧客の問題解決をより一層進めたいと考えております。


1.基本戦略
 お客様に信頼される技術・製品・サービスを創造し、高い付加価値を提供し続ける企業を目指し、以下
の3つの項目を重点施策として取り組んでまいります。


① 「グローバルニッチ№1」
 自社のコア技術をもとに取り組む製品分野を広げ、地域、顧客、製品での「グロ-バルニッチ
 №1」を積み重ね、企業価値の向上を果たす。


② 「新事業の創出」
  『二次電池関連技術』『熱電発電素子関連技術』の事業化によって、新エネルギー社会の実現
  に貢献する。


③ 「財務体質の強化」
  「自己資本比率」と「ROE」の向上に取り組んでいく。


2.事業戦略
【エンジン部品事業】
 自動車メーカーが主として内製している重要なエンジン部品については、当社がその生産設備を製造し
ていることと、過去から培ってきた精密切削加工技術が高く評価され、系列を問わず国内外の自動車メー
カーから取引を頂いており、当社グループの収益の柱となっております。


 百年に1度の大変革にある自動車産業において、自動車に対する消費者のニーズはますます多様化して
おります。また、先進国を中心に各国で燃費規制やCO2排出規制が発表され、新車販売における電気自
動車やプラグインハイブリッド車等の次世代自動車の比率は確実に高まってまいります。
 しかしながら、世界市場の自動車需要動向は、今後、新興国を中心としたモータリゼーションが進んで
いくことから、2030年に向けてハイブリッド車・プラグインハイブリッド車を含むコンベンショナルエン
ジンの搭載車両は依然成長を続けると予想されており、当社としましては、今後もビジネスチャンスが数
多くあると考えております。
 そのような中で、自動車メーカーの国内生産体制見直しによる外注化の需要、海外現地生産・現地調達
の需要を取り込むべく海外生産拠点を活用し、当社の戦略製品である5C部品(コネクティングロッド、
シリンダーヘッド、シリンダーブロック、カムシャフト、クランクシャフト)を中心に、エンジン部品以
外の製品についても積極的に提案・受注活動を行ってまいります。
 また、IoT、ビッグデータの活用による生産ラインの生産性向上や品質管理の強化を推し進め、もの
づくりの水準を高めます。
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【機械装置事業】
 独創的なコア技術と原価力および生産性の更なる向上で最適なモノづくりを創出し、顧客ニーズに合っ
た製品を提供することで、安定的な利益が確保できる事業を目指して取り組んでまいります。
 さらに、これまで培った当社の強みを伸ばすことによる既存市場の拡大と、CASEなど自動車産業の
大変革により生まれるビジネスチャンスを掴むべく、事業の競争力の再構築を図ります。


 工作機械は、主要顧客の新エンジン対応設備の受注は一服しましたが、今後進むと予想される既存設備
の新エンジン対応の改造や、中国子会社を活用した現地顧客への販売拡大を目指し、品質向上、原価低減
に取り組みます。
 また、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車の関連設備の開発及び受注にも取り組みます。


 ワイヤソーは、主にSiCやGaNなどのパワー半導体や5G用半導体材料向けの小型機・中型機に加え、
歩留りを向上させたマルチワイヤEDM(放電加工機)をラインナップに追加し、電子・半導体業界への
営業及びアフターサービス強化に取り組みます。


 検査測定装置は、今後、自動車の電装化や5G通信の普及により益々需要が伸びることが予想される車
載用半導体、通信機器用半導体、セラミック基材向けの検査測定装置の性能向上と受注活動に注力し、売
上利益の拡大を目指します。


【環境機器事業】
 顧客・市場ニーズへの迅速な対応力と、ユーザーから信頼される高品質な製品を提供し続けることによ
り、「浄化槽用エアーポンプ」「燃料電池用エアーポンプ」「ディスポーザ」の3本柱で世界№1ブラン
ドを目指してさらなるシェア向上に努め、環境分野で社会に貢献していきます。
 特に「浄化槽用エアーポンプ」は、海外市場において、環境意識が高まりつつあるアジアでの販売基盤
の確立及び国内市場でのシェア拡大に取り組みます。また、「ディスポーザ」は、業界唯一のシステム総
合メーカーの強みを活かし、システム販売の安定化と新たなアフタービジネスモデルの確立で販売拡大を
図ります。


【新事業創出】
『二次電池関連技術』は、リチウムイオンバッテリー及びリチウムイオンキャパシタ向けの「穴加工箔」
及び「極板への穴加工」において、性能評価中の顧客へのフォローを継続し、採用を目指すとともに、微
細金型技術の蓄電デバイス以外の市場開拓や新用途の創出を目指します。
 『熱電発電素子関連技術』は、各国の燃費規制がますます厳しくなる中、独自開発した熱電発電モジュ
ールの完成度を高め、車載用途や工場排熱利用での熱電新事業の立上げを目指します。




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3.業績の数値目標
 業績の数値目標につきましては、現時点では新型コロナウイルス感染拡大による影響が見通せず、業績
の合理的な見積りが困難なため、未定としております。業績予想の算定が可能となった時点で速やかに公
表いたします。


4.連結財務ベースの長期的な数値目標

                      ROE
          自己資本比率
                   (自己資本利益率)
          40%以上    継続的に 10%以上


5.利益還元の基本方針
 株主の皆様への還元につきましては、長期的な経営基盤の確保に努めるとともに、安定的な配当の継続
を基本方針としております。今後の利益配当につきましては、成長に必要な設備投資などの内部留保を考
慮して、総合的な判断により積極的に利益還元をはかっていく所存であります。
                                           以   上




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