7269 スズキ 2019-04-12 15:00:00
当社の完成検査における不適切な取扱いに関する調査結果について [pdf]
平成 31 年 4 月 12 日
各 位
会 社 名 スズキ株式会社
代表者名 代表取締役社長 鈴木 俊宏
(コード:7269 東証第 1 部)
問合せ先 経営企画室 広報部長
岡島 有孝
電話番号 (053)440-2030
当社の完成検査における不適切な取扱いに関する調査結果について
スズキ株式会社は、「当社の完成検査における不適切な取扱いに関する調査結果に
ついて」、本日、プレスリリースを発表いたしました。詳細は添付プレスリリースを
ご覧ください。
2019 年 4 月 12 日
スズキ株式会社
当社の完成検査における不適切な取扱いに関する調査結果について
スズキ株式会社は、完成検査における不適切な取扱いに関する当社報告書及び再発
防止策について、本日、国土交通省に提出いたしました。
当社は、2018 年 9 月 26 日、燃費・排出ガスの抜取検査に関し、(1)トレースエラーに
より無効とすべき試験結果を有効なものとして処理していたこと、 (2)測定値の書換えが
あったことについて、国土交通省に報告いたしました。
これに対し、国土交通省からの報告徴収「完成検査における不適切な取扱いへの対応
等について」により、万全の調査態勢を構築した上で、燃費・排出ガスの抜取検査に
関し徹底調査をするとともに、他に完成検査に係る不適切事案が無いかどうかについて
も徹底調査し、その結果に基づき再発防止策を策定の上、報告するよう指示を受け
ました。
これを受け、 当社では完成検査業務について、 万全の調査態勢により、 かつ、客観的・
中立的な立場から徹底調査を行うため、外部専門家として長島・大野・常松法律事務所
に、調査・検証を依頼し、その調査報告書(以下「外部調査報告書」 )を受領しました。
本日、当社報告書と外部調査報告書を国土交通省に提出し公表いたしました。
また、今回の報告で、四輪車について、作業訓練中の検査補助者が単独で完成検査を
行ったことや、完成検査での保安基準への適合性の確認が適切に行われていなかった
おそれがあることなどを踏まえ、該当する車両で初回車検を受けていないものについて
リコールによる市場措置の実施を予定しています。現在、対象範囲等を含め確認中で
あり、確認でき次第速やかに届出のうえ実施します。
なお、二輪車については、保安基準への適合性の確認に関する問題はありませんで
したが、お客様の不安を解消する観点から、愛車無料点検の実施を予定しています。
お客様やお取引先様はじめ皆様に、多大なご心配ご迷惑をおかけいたしましたこと、
心よりお詫び申し上げます。
<添付資料>
完成検査における不適切な取扱いに関する調査報告書(長島・大野・常松法律事務所作成)
目次
I. 燃費・排出ガス抜取検査について .......................................................................... 3
1. 四輪車の燃費・排出ガス抜取検査において指摘された点 ...................................... 3
(1) 試験環境の逸脱について ................................................................................. 3
(2) データ書換えについて ..................................................................................... 4
(3) その他指摘された不適切行為について ............................................................ 6
2. 四輪車の燃費・排出ガス抜取検査における燃費・排出ガス性能に与える影響の統
計的検証 .................................................................................................................. 7
(1) 統計的検証を行った対象期間と対象車両について .......................................... 7
(2) t 分布を用いた統計的手法と目標の統計的信頼度 ........................................... 7
(3) 統計的検証に使用したデータについて ............................................................ 8
(4) 追加試験等の実施と信頼度の判定結果について .............................................. 9
3. 二輪車の排出ガス抜取検査において指摘された点 ............................................... 10
(1) トレースエラー及び測定データの書換えについて ........................................ 10
(2) その他の指摘された点 ................................................................................... 11
4. 二輪車の排出ガス抜取検査における排出ガス性能に与える影響の統計的検証 .... 11
II. 全数検査及び燃費・排出ガス以外の抜取検査について ........................................ 12
1. 調査結果の概要 ..................................................................................................... 12
2. 四輪車の各検査項目などにおいて指摘された点 ................................................... 12
3. 二輪車の各検査項目などにおいて指摘された点 ................................................... 14
III. 検査補助者による完成検査実施や検査員の登用手続について ............................ 15
1. 四輪車工場について指摘された点 ........................................................................ 15
2. 二輪車工場について指摘された点 ........................................................................ 17
IV. 原因・背景について .............................................................................................. 17
V. 再発防止策 ............................................................................................................ 20
1. 経営陣による完成検査を含む品質保証へのコミットメント強化.......................... 21
2. 業務量の正確な把握及び適正な人員配置並びに検査員数に見合った柔軟な生産計
画及び生産目標の策定 .......................................................................................... 21
3. 検査を適切に行うための設備及び環境の整備 ...................................................... 22
4. 強固な規範意識の醸成 .......................................................................................... 25
(1) 強い規範意識を植え付けるための教育 .......................................................... 25
(2) 人事異動の促進、評価制度の導入 ................................................................. 27
5. 検査部門の独立性強化のための組織体制等の見直し............................................ 28
(1) 「検査本部」の新設 ....................................................................................... 28
(2) 適切な検査主任技術者の選任 ........................................................................ 28
6. 検査における不適切行為の抑止、早期発見に向けた監査体制の見直し ............... 28
(1) 監査部の体制強化 .......................................................................................... 28
(2) 検査に係る三層の監査体制の構築 ................................................................. 28
(3) 不適切行為の抑止・早期発見に向けた取組み ............................................... 29
7. コンプライアンス上の情報を現場から経営陣にまで伝達する仕組みの強化 ........ 30
I. 燃費・排出ガス抜取検査について
1. 四輪車の燃費・排出ガス抜取検査において指摘された点
四輪車の燃費・排出ガス抜取検査における不正問題において、2018 年 8 月 8 日付け
報告書「 『燃費及び排出ガスの抜取検査の不正事案を受けた確認の実施などについて
(国自審第 674 号 平成 30 年 7 月 9 日)』に対する回答」 )により国土交通省に報告し
たトレースエラーに加え、検査結果の書換えが発覚し、同年 9 月 26 日に国土交通省に
報告を行いました(『完成検査における不適切な取扱いにかかる報告徴収(平成 30 年
「
9 月 14 日国自審第 1060 号)』に対する回答」 。以下「9 月 26 日付け報告書」。今回の
)
外部調査においては、壊れたファイルや消去済みファイルからのデータ・フォレンジ
ック1により、湖西、相良及び磐田の各工場とも、古くは 2008 年 4 月まで遡って一部
のデータが復元されました。
これらの残された全データ 22,838 台(湖西工場 9,662 台、相良工場 4,758 台、磐田
工場 8,418 台)について調査した結果、トレースエラー、試験温湿度逸脱等の試験条
件を満たさない試験環境逸脱試験として、無効として取り扱わなければならなかった
検査台数及び成分値、温湿度、データ複製等のデータ書換えが行われていた検査台数
が判明いたしましたので、 その台数を別紙 1 に、 調査対象の車名を別紙 2 に示します。
また、前回までの報告も含め、外部調査において指摘を受けた不適切な取扱いにつ
いて以下に示します。
(1) 試験環境の逸脱について
外部調査における全 22,838 台の燃費・排出ガス抜取検査のうち、試験環境を逸脱し
たと思われる測定試験は合計 8,722 台確認されました。 これら試験環境逸脱の内容は、
トレースエラー、試験室温度・湿度、ソーク時間及びソーク温度条件の逸脱であり、
それらの内容を以下に示します。
1) トレースエラー
外部調査におけるトレースエラーの検証は、 22,838 台のデータの中で走行デー
全
タファイルと測定データファイルが存在するデータから双方に記録されたトレラン
スエラー時間(規定の速度範囲を逸脱した時間)を確認することにより行われまし
た。その結果、走行データと測定データが共に存在する 17,197 台の対象の内、7,655
台のトレースエラーが確認されました。これらのトレースエラーについては、本来
であれば試験を無効とし、再試験を実施しなければならないにもかかわらず有効な
試験として処理していました。
2) 試験室温度・湿度等の逸脱
JC08 モードの試験環境条件である試験開始時温度、 試験終了時の温度及び相対湿
度が、規定の 25±5℃及び 30~75%にあるかを測定データに残った記録で検証した
1コンピュータなどの電子機器に残る記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする手段や技術
の総称
3
結果、試験中における平均温度は基準を満たすものの試験開始温度が 19℃である等、
1,084 台の試験において試験環境(温度、湿度)の逸脱が確認されました。これら
についても、本来無効として取り扱わなければならない試験を有効な試験として処
理していました。
3) ソーク時間とソーク温度の逸脱
当社では、 2017 年 7 月以降の試験についてはソーク開始時間と終了時間を記録し
ていますが、 それ以前については記録として残していませんでした。 そのため、 2017
年 7 月以前については測定データファイルに残された JC08H、JC08C モードの測
定開始時刻及び JC08H モードの測定時間から車両のソーク時間を算出し、この値
が規定の 6~36 時間にあるかを評価しました。また同様に、ソーク中の室温につい
ても規定の 25±5℃の範囲にあったかについても検証を行いました。その結果、259
台の試験はソーク時間及び温度の逸脱の可能性があったことが確認されました。
(2) データ書換えについて
全 22,838 台の試験のうち、データの書換えを行った可能性のある測定試験が合計
3,710 台確認されました。データの書換えの内容については、成分値の書換え(マイナ
ス値の補正、 手動再分析を含む排出ガス成分値の書換え、 燃費値(CO2 値) の書換え)
が 3,237 台、試験環境条件の書換えが 281 台(温湿度の書換え 280 台、大気圧の書換
え 1 台) 、希釈排出ガス流量(CVS 装置(定容量採取装置)関連)の書換えが 18 台、
測定データの複製が 273 台であり、それらは以下に示す内容です。
1) 成分値の書換え
排出ガス成分値の書換えに関わる検証では、残された測定データには分析計によ
る成分分析を実施した際に、測定データの最大値(max 値) 、最小値(min 値) 、平
均値(ave 値)が記録されており、最終結果としては ave 値が試験成績書の値とし
て採用されます。 残された全ての測定データについて、 ave 値が max 値と min 値の
間に存在しているかどうかを確認したところ、 値が max 値と min 値の間にない
ave
データが 3,237 台確認されました。当該データは何らかの書換えが行われたと考え
られます。詳細は、以下の内容です。
① マイナス値の補正
希釈空気中の成分濃度がマイナス値を示した場合、規定ではこれをゼロと見な
すこととされています。しかし、希釈空気中の成分濃度をゼロに修正した上で差
分を希釈排出ガス中の成分濃度に加えたり、希釈空気中の成分濃度のマイナスを
削除したりした等の規定に反した書換えを行っていたりしたことが確認されまし
た。
② 手動再分析を含む排出ガス成分値及び燃費値の書換え
燃費・排出ガス抜取検査では、社内規程「製品検査規格」において排出ガス値
及び燃費値の管理値(管理平均値、管理最高値)を定めています。外部調査では、
4
抜取検査結果がこの社内規程の管理値を満たさない場合等に、排出ガス成分値及
び燃費値の書換えが行われていた可能性があることが確認されました。なお、こ
れらの排出ガス成分値書換えには、モード走行後の排出ガス分析の際に測定装置
にエラー(キャリブレーションのエラー及び通信エラー等)が発生した場合に、
バッグに残ったガスを手動で再分析し、その結果を手入力することにより修正し
ていた例も含まれています。
2) 試験環境条件(温湿度及び大気圧)の書換え
外部調査では、温湿度及び大気圧の書換えが確認されました。これらは測定室の
空調設備の不具合や湿球温度計、大気圧計の整備不良等により、試験環境条件が規
定の基準を満たしていない場合、測定装置の画面表示上で基準値内への書換えが行
われていたと考えられます。これらの書換え台数は 281 台(温湿度 280 台、大気圧
1 台)です。
3) 希釈排出ガス流量の書換え
外部調査では、環境条件や測定結果に係る書換え以外に、希釈排出ガス流量に関
連する値(ベンチュリ入口の温度、ベンチュリ入口の圧力、希釈排出ガスの流量)
の書換えが 18 台確認されました。
当社の燃費・排出ガス抜取検査試験では試験車両の排気量等に応じて流速の異な
る 3 種類のベンチュリ管(気体の流量を測定する計測器)を用いて測定を行ってお
り、測定端末上では車種に応じてあらかじめ登録されたベンチュリ管流量から選択
設定することになっています。
誤った種類のベンチュリ管を使用してしまい、試験後にその誤りに気付いた場合
に数字に齟齬が生じるため(燃費値や排出ガス値が異常な値となる) 、再試験を実施
せず、異常な結果とならないように希釈排出ガス流量に関連する値の書換えを行っ
ていたと考えられます。
4) 測定データの複製
外部調査では、上記 1)~3)の書換えの他に、過去の測定データを呼び出した上で、
別の試験番号を付した新たな測定データを複製する行為が 273 台行われた可能性が
あることが確認されました。
① 湖西工場
湖西工場において測定データの複製が行われた状況としては、走行終了後の排
出ガス分析において、通信エラーによる分析計の停止により測定データが生成で
きない場合や測定データを誤って削除してしまった際に、過去の測定データを呼
び出して手動再分析した値や検査成績書の値を手入力する等を行っていた可能性
が考えられます。一方で、検査を計画通りできない場合に、実際には試験を行わ
ず、測定データを呼び出した上で測定条件等を書き換えて測定データを生成した
「データの作出」と考えられるものも確認されました。なお、これらデータ複製
5
の要因については、残された記録から個々に判別することはできませんでした。
② 相良工場・磐田工場
相良工場及び磐田工場において測定データの複製が行われた状況としては、燃
費・排出ガス測定試験実施にあたり、車種毎の車両情報(型式、仕様等)及び試
験情報(試験モード、排出ガス管理区分等)をリストから選択した上で、車台番
号等を入力するところ、誤った情報を選択して測定試験を実施した際に、終了後
にそのことに気付き、試験対象と同一の過去の測定データを呼び出した上で、実
際に測定した値に書き換えていた可能性があります。
(3) その他指摘された不適切行為について
上記(1)(2)に記載した試験環境の逸脱及びデータ書換えの他に、外部調査では以下 3
件の指摘を受けました。
1) 暖機運転における手順違背
燃費・排出ガス抜取検査の測定に関する規程では、JC08H モード走行前に、60
±2 ㎞/h の定速で 15 分間以上の暖機運転後、速やかにアイドルに戻しアイドル排
出ガス試験を実施し、 再び 60±2 ㎞/h の定速で 5 分間暖機運転を実施することとし
ています。
これに対し、外部調査によると、60±2 ㎞/h の車速が守られなかった場合や暖機
運転を最初にまとめて 20 分間行い、 JC08H モード試験前の 5 分間の暖機を実施し
なかった事例があった旨の指摘がありました。
2) 燃料給油量の不足
社内規程において、試験車両に対する燃料給油量が定められています。この規程
に対し、外部調査によると、磐田工場においては経費節減を理由に、湖西・相良工
場においては燃料調達が間に合わない場合に、社内規程の燃料給油量未満の燃料で
燃費・排出ガス抜取検査を行っていた時期があった旨の指摘がありました。
3) 車両タイヤ空気圧の調整不備
試験車両のタイヤ空気圧は、試験走行前(冷間)に水平面で静止状態で測定した
ときに諸元表に記載された値であることが、道路運送車両の保安基準の細目を定め
る告示(細目告示)及び社内規程で決められています。これに対し、工場の車両組
立工程においては、出荷後の車両輸送等を考慮し、諸元表の値より高めに圧力設定
しているため、燃費・排出ガス抜取検査の対象車両は試験前に諸元表のタイヤ空気
圧に調整する必要があります。
これに対し、外部調査によると、試験前のタイヤ空気圧調整を失念したまま試験
を実施した事例があった旨の指摘がありました。また、これに気付いたにもかかわ
らず、再試験を行わず有効な試験とした事例がある旨の指摘もありました。
6
2. 四輪車の燃費・排出ガス抜取検査における燃費・排出ガス性能に与える影響の統計
的検証
外部調査において発見された全試験データから、トレースエラーなどの試験環境逸
脱のあったものを除外した上で、試験結果が書き換えられた試験については考えられ
る最悪値を再現値として使用する、一定の統計的信頼度が得られるまで追加試験を行
うなどによりデータを補完し、燃費・排出ガス性能に与える影響の統計的検証を行い
ました。
(1) 統計的検証を行った対象期間と対象車両について
外部調査においては、壊れたファイルや消去済みファイルからのデータ・フォレン
ジックにより、 各工場とも古くは 2008 年 4 月まで遡って一部のデータが復元されまし
た。
しかし、新たに遡って発見されたデータは、当該期間の有効な試験結果として検査
成績書が残されている試験の一部であること、また走行データが無くトレースエラー
の有無を確認できないことにより、統計的検証の対象とすることが困難な場合があり
ます。このため、検証対象期間は、ほぼ全てのデータが復元できた期間(湖西工場:
2013 年 4 月~2018 年 9 月、相良工場:2009 年 5 月~2018 年 9 月、磐田工場:2010
年 10 月~2018 年 9 月)としました。ただし、この期間内で短期間で生産終了となっ
ている車種については、もともと試験データが少ないことから統計的検証の対象から
は除外しました。
このため、統計的検証に使用したデータは、全 22,838 台中、対象期間でトレースエ
ラーや書換えにより再現できないデータ等を除いた残りのデータ及び追加試験を行っ
た 153 台(現行生産車 122 台、生産終了車 31 台)を合わせた合計 10,567 台です。
(2) t 分布を用いた統計的手法と目標の統計的信頼度
燃費・排出ガス規制では、同一型式(燃費区分、排出ガス区分2)毎に、生産した全
車両の燃費・排出ガス各成分の平均値が、それぞれの燃費は諸元値、排出ガスは管理
平均値を満足する(燃費は下回らない、排出ガスは超えない)ことが求められていま
す。
抜取検査は、全生産車(母集団)の一部を抜き取って検査するものであるため、抜
取検査結果の平均(標本平均)と分散(標本分散)または標準偏差(標本標準偏差)
から、統計的手法を用いて全生産車の平均(母平均)を推定する必要があります。
母集団の分散または標準偏差が未知の場合の母平均の推定方法としては、t分布を
用いる方法があり、これによると、標本の平均と分散または標準偏差から、母集団の
平均値(母平均)が取り得る値の幅を下記の式 1、2 で推定することができます。推定
される母集団の燃費の平均値のうち最も低い値(排出ガス各成分は最も高い値)が、
燃費は諸元値以上(排出ガスは管理平均値以下)であれば、母集団の平均値は t 分布
表において選択した信頼度で燃費は諸元値以上(排出ガスは管理平均値以下)に収ま
2燃費・排出ガス低減技術及び燃費・排出ガス諸元値等が同一の、幾つかの仕様を一つのグループとして
まとめ、抜取検査用の区分としているもの
7
っていると推定することができます。(図 1.参照)
母集団の平均値が取り得る値の幅3
〇燃費 〇排出ガス μ:母平均
:標本平均
…式 1 …式 2 s:標本標準偏差
t:t 値
n:標本数
図 1.母平均の信頼度
上述した統計的手法により、各車両の燃費と排出ガスの各区分が以下に示す統計的
信頼度(片側)をもって、燃費は諸元値、排出ガスは管理平均値を満たしていること
を確認することを目標としました。
1) 現行生産車の統計的信頼度の判定値
① 燃費区分…99%以上 ② 排出ガス区分…99%以上
2) 生産終了車の統計的信頼度の判定値
① 燃費区分…90%以上 ② 排出ガス区分…99%以上
(3) 統計的検証に使用したデータについて
1) トレースエラーデータについて
走行データからトレースエラーが無いことが判定できるものに加え、累積逸脱時
間が基準値内であることが確実なものについても、統計的検証に使用しました。
(JC08 モード、WLTP モードについては累積逸脱時間が 1 秒以内)
2) 温湿度など試験環境逸脱試験について
温湿度(JC08 モード:温度 25±5℃、WLTP モード:温度 23±5℃、湿度 30%
~75%)を逸脱している試験環境逸脱試験については除外しました。
3) ソーク時間・温度条件逸脱試験について
規定のソーク時間 時間~36 時間) ソーク温度
(6 、 (JC08 モード:25±5℃、WLTP
モード:23±3℃)を逸脱していた可能性のある試験については除外しました。
3 図中の母平均の信頼区間 99%は、両側 98%信頼区間で悪い方を超える確率が 1%以下を意味する
8
4) 書換えデータについて
① 成分値の書換え
排出ガス成分値に書換えがあるデータについては、手動再分析による修正と思
われるものも含め、全て残されたデータの max、min 値から考えられる最悪値を
再現値として使用しました。ただし、この場合において、残された max、min 値
が明らかに異常データと認められるものについては除外しました。
② 温湿度等試験環境の書換え
温湿度等試験環境に書換えがあるデータについては、max、min 値による再現
値が基準内であるもののみ、考えられる最悪値を再現値として使用しました。
③ 希釈排出ガス流量に係る書換え
希釈排出ガス流量に係る書換え試験は除外しました。
④ データの複製
測定データの複製と見られる試験については、書換えの有無にかかわらず、除
外しました。
(4) 追加試験等の実施と信頼度の判定結果について
上述の(3)のデータを用い、(2)の t 分布による統計的信頼度の判定方法により、母集
団の平均が 99%以上 (生産終了車の燃費は 90%以上) の信頼度で、燃費は諸元値以上、
排出ガスは管理平均値以下を確保しているかを各燃費区分と排出ガス区分で確認しま
した。目標の信頼度が確保できていない仕様については、以下のとおり追加試験を行
うことにより、対象機種における全ての各燃費区分及び排出ガス区分で目標の統計的
信頼度を確保しました。
1) 現行生産車
外部調査のデータにおいて、現行生産車の数機種で燃費区分毎の統計的信頼度が
99%に満たない機種が存在したため、これらについては追加の抜取試験を実施する
ことにより、対象の全機種において、各燃費区分及び排出ガス区分で目標の統計的
信頼度 99%以上を確保していることが確認できました。
2) 生産終了車
生産終了車については、上述の(3)に示した有効なデータ数が限られることから、
燃費区分または排出ガス区分の中には、データが無いまたは非常に少ないため、平
均では諸元値を満たしているものの抜取試験としての統計的信頼度が確保できてい
ないものが存在していました。
これらの機種(燃費区分、排出ガス区分)については、各機種の燃費区分及び排
出ガス区分毎に不足するデータ数分の中古車を市場から集めました。それらの車両
は、新車での燃費・排出ガス抜取試験を再現するために、燃費と排出ガス性能に関
9
わる部品(エンジン、トランスミッション、ブレーキ、タイヤ等)について全て新
品に組み替え、通常の抜取検査と同様、完成検査を行った後に、燃費・排出ガス抜
取試験を行うことで不足のデータを補完しました。
その結果、対象の全機種において、各燃費区分及び排出ガス区分で目標の統計的
信頼度(燃費 90%、排出ガス 99%)を確保していることが確認できました。
3. 二輪車の排出ガス抜取検査において指摘された点
(1) トレースエラー及び測定データの書換えについて
外部調査において、トレースエラー及び測定データの書換えについては、「9 月 26
日付け報告書」に対して新たな事実の指摘はありませんでした。
(参考) 月 26 日付け報告書」で報告した事実
「9
(1)トレースエラーについて
2011 年 4 月から 2013 年 2 月までの間に、
WMTC (World-wide Motorcycle Test Cycle)
モード 1 台、二輪車モード(WMTC 導入以前のモード) 4 台の計 5 台の走行データが残
されていることが判明しました。
存在が確認された走行データは、1 秒毎の車速データの記録のみで速度逸脱時間に係
る記録は無く、必ずしもトレースエラーを正確に判定できるものではありません。しか
し、データを分析した結果、二輪車モードの 2 台(2 台とも GSX1250F)において、ト
レースエラー判定基準の 1 秒(許容速度範囲の逸脱1回あたりの上限)を超えていたと
思われる速度逸脱があることが判明しました。
(2)測定データの書換えについて
2004 年 4 月以降 2018 年 7 月までの間に、2,718 台分の検査成績書ファイルが残って
いることが判明しました。
存在が確認された検査成績書ファイルは、測定装置から印刷する検査成績書に記載し
た内容を保存したものであり、四輪車の測定データのように測定毎の最大値、最小値の
記録はなく、これにより書換えの有無を判定することはできませんでした。しかし、測
定装置のメーカーに確認したところ、一度保存したデータを読み出して変更することが
できる旨の回答がありましたので、印刷された検査成績書の記載内容と検査成績書ファ
イルに保存されている内容を照合いたしました。その結果は以下の通りです。
1)測定値に関する相違
① 手動で再分析した測定値に書き換えたと思われるものが 1 台ありました。
2)測定値以外に関する相違
① 検査成績書に記載されているアイドル濃度補正値とデータにある補正値が異な
っているものが 30 台ありました。これは測定値の書換えではなく、試験前に行
う補正計算するかしないかの設定を試験後に修正したことによるものであるこ
とが判明しました。
② 検査成績書に記載されている測定日とデータにある測定日が異なっているもの
10
が 7 台ありました。
③ 検査成績書に記載されている測定者とデータにある測定者(いずれも検査員)が
異なっているものが 2 台ありました。
④ その他、誤記訂正が 2 件(各 1 台)
、計 2 台ありました。
(2) その他の指摘された点
二輪車の排出ガスの抜取検査に関する外部調査において、以下の 2 件が指摘されま
した。
1) 測定試験室及びソーク室の温度逸脱
二輪車工場では、試験室とソーク室を共用し、温度管理していますが、温度計の
紙に印字された折れ線グラフの記録から、試験室及びソーク室の室温が日中 20℃を
わずかに下回ったり、30℃をわずかに上回ったりしていたことがあったことが認め
られました。この規定の温度範囲を逸脱した時間に、実際に測定試験及びソークが
行われていたか否かを客観的なデータで確認できなかったものの、測定試験中及び
ソーク中に温度条件が外れることがあった可能性は否定できません。
2) ソーク中の室外への一時的な搬出
二輪車工場では、プレコンディショニング走行を行うプレコン室と排出ガス測定
試験を行う試験室の 2 つの部屋が分かれており、各々温度管理しています。
プレコン室にてプレコンディショニング走行を終了した後、試験室へ車両を移動
させてソークする際に温度管理されていないスペースを通っていましたが、温度管
理されていないスペースを通るのは短時間であり、排出ガス測定に影響を及ぼすも
のではないと考えられます。ただ、温度管理された試験室に移動後のソーク時間が
6 時間未満の場合があったとすると、形式的には、定められたソークの条件に違反
していたことになります。
なお、プレコン室から試験室へ移動する際に通るスペースを、温度管理できる部
屋にする工事は完了し、2019 年 3 月 18 日から運用を開始しています。
4. 二輪車の排出ガス抜取検査における排出ガス性能に与える影響の統計的検証
二輪車は、細目告示において、モード走行時の排出ガス(CO,HC,NOX)の規制値が
規定されています。二輪車の排出ガス抜取検査については、2018 年 9 月に生産を開始
した浜松工場にしかトレースエラーなどが無いことを客観的に評価できるデータが残
っていないことから、 浜松工場における 2018 年 9 月~2019 年 3 月のデータを使用し、
四輪車と同様、t分布による統計的検証を行いました。
その結果、全ての現行生産車において、排出ガスの各成分(CO,HC,NOX)ともに統
計的信頼度 99%以上を確保していることが確認できました。
11
II. 全数検査及び燃費・排出ガス以外の抜取検査について
1. 調査結果の概要
外部調査では、当社が四輪車を生産している湖西工場、磐田工場及び相良工場並び
に二輪車を生産している浜松工場(2018 年 7 月までは豊川工場)に関して、完成検査
工程における全数検査と抜取検査のうち燃費・排出ガス測定以外の抜取検査(寸法な
どの諸元測定及びテストコースで行う騒音測定など)についても対象として、不適切
行為が行われていなかったかについて検証が行われました。
その結果、検査員のヒアリング及びアンケートの記載内容並びに検査結果データの
検証を通じて、以下 2.及び 3.に掲げる不適切な行為の存在が明らかになりました。た
だし、これらの不適切行為が行われていた車両、具体的時期等の情報については、検
査機器に保存された検査結果のデータ検証が可能な行為類型については一定程度具体
的な記録が確認できたものの、完成検査工程の性質上、客観的記録・資料に乏しく、
また検査員の記憶にも曖昧な点が見られることから、明確に特定するには至りません
でした。
2. 四輪車の各検査項目などにおいて指摘された点
四輪車の各検査項目などにおいて、下記 1)~10)の不適切行為が指摘されました。こ
れらについては、保安基準への適合性の確認が適切に行われていなかったおそれがあ
ると考えております。
なお、不適切行為が行われた時期に関しては、一番古い時期については 1981 年 6 月
頃との供述が、一番新しい時期については 2019 年 1 月頃との供述が得られています。
1) 制動力検査における不適切行為
① 不合格とすべきものを合格として処理する行為
② 一部の検査項目について検査を省略する行為
③ メインブレーキの制動力検査で不適切な方法により合格の結果を得る行為
④ メインブレーキの制動力の検査において、踏み方を変えたり強く踏んだりする
行為及びパーキングブレーキを強く引いて合格の数値を出したりする行為
⑤ パーキングブレーキの制動力検査で不適切な方法により合格の結果を得る行
為
⑥ ブレーキの引きずり検査をドライブに入れた状態で実施する行為
⑦ 車両重量が正しく計測されていないにもかかわらず、そのまま検査を実施した
行為
⑧ 制動力検査に合格はしたものの、完成車チェックシートに計測値とは異なる数
値を記入する行為
2) 走行・速度計検査における不適切行為
① 不合格とすべきものを合格として処理する行為
② 一部の検査項目について検査を省略する行為
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③ 作業手順に従わない検査方法により合格判定の数値を得た行為
3) かじ取り角度検査
① 不合格とすべきものを合格として処理する行為
② 最大転舵角が検査規格より小さく合格とならないときに、手で車体やタイヤを
押すなどして合格の数値を出させる行為
4) 前照灯主光軸検査における不適切行為
① 不合格とすべきものを合格として処理する行為
② モニタに合格判定が出る前に検査完了ボタンを押して合格として処理する行
為
③ ヘッドライトテスタと車両の間に手や体をかざし、光を遮った状態で測定し、
合格の結果を出させる行為
④ 車体を持ち上げたり押さえたりして合格の結果を出す行為
5) サイドスリップ検査における不適切行為
① 不合格とすべきものを合格として処理する行為
② 規定速度よりも速い速度でサイドスリップテスタを通過し、意図的または結果
的にサイドスリップ量が合格の結果となるようにする行為
③ サイドスリップテスタの通過中にメインブレーキまたはパーキングブレーキ
を使用する行為
④ モニタが正常に作動しておらず、検査結果及び数値も表示されないにもかかわ
らず、合格として処理する行為
⑤ サイドスリップテスタがロックされた状態で検査を行う行為
⑥ 2 名乗車で検査を行う行為
⑦ 検査結果は合格であったものの、完成車チェックシートに計測値とは異なる数
値を記入する行為
6) 外観・構造検査における不適切行為
① 一部の検査項目について検査を省略する行為
② トランスミッションオイルについて不合格とすべきものを合格として処理す
る行為
7) 下回り・エンジンルーム検査における不適切行為
① 排出ガスコントロール装置のシステムチェックについて不合格とすべきもの
を合格として処理する行為
② 一部の検査項目について検査を省略する行為
8) 不良発見時の取扱いに関する不適切行為
① 上司の指示により不合格であるものを合格として処理する行為
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② 完成車チェックシート上の不良の記録改ざん
③ 不良対策書の発行懈怠
9) 完成車チェックシートの記入に関する不適切行為
① 他の検査員が記入した不合格の数値を合格範囲内の数値に書き換える行為
② 記入漏れのレ点及び数値を記入する行為
③ 検査前にレ点を記入又は合格印を押印する行為
10) その他の問題点・不適切行為
① 電装検査の一部の検査項目について検査を省略する行為
② 欠品がある車両等の検査
3. 二輪車の各検査項目などにおいて指摘された点
二輪車の各検査項目などにおいて、下記 1)~8)の不適切行為が指摘されました。こ
れらについては、社内規程に違反する不適切行為ではあるものの、保安基準への適合
性の確認に影響を及ぼすものは有りませんでした。また、下記 8)の抜取検査における
不適切行為が検査結果に与える影響については、現行生産車 7 機種について、正しい
試験手順で各機種 3 台以上の検査を行い、いずれも諸元値を満足していることを確認
しました。
なお、不適切行為が行われた時期に関しては、一番古い時期については 2000 年頃と
の供述が得られています。一番新しい時期については明確な供述は得られていません
が、当社では 2019 年 1 月頃と判断しています。
1) 機能検査における不適切行為
① ハンドルの操作力について、保安基準への適合性には影響がないものの、社内
検査規格により不合格とすべきところを合格として処理する行為
2) 走行検査における不適切行為
① 急加減速による検査を行い、保安基準への適合性の確認は行っているものの、
社内検査規格に定められた緩加減速による検査を省略する行為
3) 前照灯主光軸検査における不適切行為
① ヘッドライトの光度検査につき、検査結果は合格であったものの、完成車チェ
ックシートに計測値とは異なる数値を記入する行為
4) ブレーキ検査における不適切行為
① ABS 検査につき、マルチドラムテスタ上の検査が不合格である場合において、
実走行により再度検査を行った行為
② 大型車のブレーキの引きずり検査について、保安基準への適合性には影響がな
いものの、社内検査規格により不合格とすべきものを合格として処理する行為
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5) 速度計検査における不適切行為
① 速度計の指示誤差の検査につき、検査結果は合格であったものの、完成車チェ
ックシートに計測値とは異なる数値を記入する行為
6) 完成車チェックシートの記入に関する不適切行為
① 検査を実施する前に完成車チェックシートに合格である旨を記入した行為
② 検査を担当しなかった検査員が記入漏れのレ点や数値を記入する行為
7) 不合格発見時の取扱いに関する不適切行為
① 不良対策書の発行懈怠行為
8) 抜取検査における不適切行為
① アイドリング時の排出ガス測定の検査において、アイドリング回転速度の確認
を省略する行為
② タイヤの空気圧を確認、調整しないまま寸法測定、騒音検査及びブレーキ制動
力検査を実施する行為
③ 風速が測定条件を満たしていないにもかかわらず、または風速を測定すること
なく、騒音検査を実施する行為
※
III. 検査補助者による完成検査実施や検査員の登用手続について
※「検査補助者」は、検査員になるための教育訓練を受けている者で、教育を行っている期間の
み在籍しています。なお、各工場において検査員を登用するにあたっては、3ヶ月間の教育訓
練を行った後、学科及び実技の登用試験に合格した者を検査員として任命しています。
1. 四輪車工場について指摘された点
1) 指摘された点
四輪車工場(湖西工場、磐田工場、相良工場)について、それぞれ下記①~④が
指摘されました。これらについては、完成検査を行った検査員の資格及び適格性に
問題があったと考えております。
① 検査員による未習熟工程における検査の実施
a) 検査員となった後、習熟度が十分でない検査工程において検査業務を一人
で行わせていた可能性がある。
② 検査補助者の教育や登用試験における不適切行為
a) 一部の検査工程でしか作業訓練が行われなかった。
b) 全部または一部の座学教育が実施されていなかった。
c) 実技試験自体が実施されなかったり、実技試験を受験していない検査工程
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についても合格したかのように記録されていたりした。
d) 学科試験の問題及び解答を試験前に知らせたり、学科試験中に正解を教え
たり、採点結果を調整して合格させたりしていた。
③ 作業訓練期間中における検査補助者による単独の完成検査の実施
a) 検査員に登用される前の検査補助者に、検査員の監督なく単独で完成検査
を行わせていた。
④ 検査補助者による他人の検査印(検査員が検査判定を行う時に使用する各自の
名前が刻印された印鑑。以下も同じ。 )の不適切な使用
a) 検査補助者に検査員の監督なく単独で完成検査を行わせた際に、組長、班
長または教育担当の検査員の検査印を使用させていた。
2) 社内調査で検査補助者による単独の完成検査等が見つからなかった理由
上記 1)③及び④の事実については、 2017 年 9 月に国土交通省より調査の要請(国
自審第 1158 号 平成 30 年 9 月 29 日)を受けた際、当社内で以下 a)~c)の確認を行
った上で、不適切な事案は見つからなかった旨を 2017 年 10 月 19 日に報告してお
りました。
a) 社内規程に則って検査業務が行われていること(検査員へのヒアリングと
保管記録(完成車チェックシート)により確認)
b) 検査印を検査補助者が所持しておらず、検査判定は検査員により実施され
ていること(検査員へのヒアリングと現場の作業確認)
c) 当時調査対象とした直近 3 年 9 ヶ月の期間に生産された車両約 300 万台分
の完成車チェックシートについて、そこに押印された検査印と検査員の勤
務状況との齟齬が無いこと(押印した日に当該検査員が勤務していたこと
を勤務記録により確認)
しかしながら、外部調査によると、実際は、湖西工場、相良工場及び磐田工場に
おいて、検査補助者が検査員の監督なく単独で完成検査を行い、他の検査員の検査
印を使用していた旨の指摘がありました。
国土交通省より調査指示を受けて行った当社の調査では、ヒアリングにおいて検
査補助者が単独で検査を実施していた旨を供述する検査員は、確認した限りではい
ませんでした。また、国土交通省に報告する前の 2017 年 10 月に上記 3 工場のそれ
ぞれにおいて、数百枚または 800 枚程(供述による)の完成車チェックシートにつ
いてその画像データを含めて極めて巧妙に書き換えられ、使用された検査印と検査
員の勤務記録との間で齟齬が生じないように隠ぺいが図られていました。
以上のことから、当時は本件不適切事案の存在に気付くことができませんでした
が、今回の外部調査では、調査対象者に対して責任免除(いわゆるリニエンシー)
を与えたことから上記 1)③及び④に関する供述が検査員から引き出され、それを受
けて行った当社の調査では、データ・フォレンジック等によって上記の隠ぺい工作
があったことが確認できました。
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3) 不適切行為への対策
上記 1)①及び②については、社内規程「検査作業の実務管理要領」の改訂(2018
年 7 月 19 日実施)により登用試験の実施方法を厳格化し、さらに、全工場の検査
員全員を対象として、2019 年 2 月 2 日に完成検査についての講習及び理解度テス
トを行うとともに、2 月 14 日から 21 日に実技テスト(担当する検査業務を適切に
行えることの確認)を実施し、全員の検査員としての適格性に問題の無いことを再
確認しました。
上記 1)③及び④については、2017 年 11 月 16 日に、前記の「検査作業の実務管
理要領」及び社内規程「完成検査用印鑑の管理要領」を制定して、検査補助者の作
業訓練に関する取扱いの詳細を定めるとともに、検査印の管理を厳格化したことで、
以降は同様の不適切行為は行われておりません。
2. 二輪車工場について指摘された点
二輪車工場(豊川・浜松工場)について、下記①及び②が指摘されました。①につ
いては、検査員登用後の検査員の熟練度の問題であること、②については、10 年以上
前の事であり供述した検査員の記憶が曖昧であること、また、登用後に毎年教育が行
われていることから、現在の検査員の資格及び適格性に影響を及ぼすものではありま
せんが、 それぞれ、上記 1.3)に記載の 1)①及び②への対策と同様の対策を行いました。
① 検査員による未習熟工程における検査の実施
a) 検査員となった後、合否判定はできるものの習熟度が十分でない検査工程
において、検査業務を一人で行わせていた可能性がある。
② 検査補助者の教育や登用試験における不適切行為
一番古い時期については 2001 年頃、一番新しい時期については 2006 年頃、
以下の事実があったとアンケートに回答する者がいる。
a) 社内規程の教育時間のうち、 一部の座学教育が実施されていない例がある。
b) 実技試験自体を受けていなかった。
c) 学科試験中に試験監督者から正解やヒントを知らされた。
IV. 原因・背景について
外部調査において、全数検査、抜取検査(燃費・排出ガスの測定を含む。)及び検査
員の登用手続の各過程に関して、長年にわたり、多様な不適切行為が行われてきたこ
との原因・背景として、端的には、 『当社における完成検査業務の重要性に対する自覚
の乏しさ』があり、この自覚の乏しさが、以下の 1)~5)に示す不適切行為の発生に具
体的に寄与する要因を作り出したという旨の指摘を受けました。
また、これらの要因に加え、各工場において、長年にわたり、多様な不適切行為が
完成検査の広範囲にわたって存続した背景には、完成検査課の独立性の欠如をはじめ
とする以下の 6)~9)に示す組織的・構造的な問題が存在したとの指摘を受けました。
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1) 検査員の人員不足
現場の実感として検査員が不足していたと受け止められていた。また、これは、
作業訓練期間中における検査補助者による単独の完成検査の実施等の検査員資格に
関連する不適切行為が行われたことの原因の一つでもあった。この背景としては以
下が考えられる。
① 検査員一人当たりの処理能力に関する生産計画作成者の認識不足
② 余力に乏しい人員計画
③ 「少人」と呼ばれる人員を削減する取組み
④ 定期的かつ適切な人員補充がされなかったこと
2) 検査工程上の時間的余裕の乏しさ
検査工程上の時間的余裕がなく、不合格として再検査等を行うことも時間的に難
しい現状や作業量が多いため心理的なプレッシャーとなっていた。この背景として
は以下が考えられる。
① 検査項目の実施に要する作業時間の割当てが現場の実態にそぐわないこと
② 実態にそぐわない検査規格・作業手順
③ 工数を削減する取組み
④ 新型車種等導入による新機能の追加に伴う工程能力の確保及び関連する教育
の不備
3) 工場レイアウト上の余裕の乏しさ
完成検査において車両の不具合が発見され、不具合の報告及び手直し等の作業が
発生する場合、当該車両を手直し場や再検査に回す必要があるが、前工程や検査工
程のラインでは別の車両の生産や検査が行われているため、当該車両を前工程や再
検査に回すことができるタイミングまで、一時的に当該車両を保管しておく必要が
ある。
しかしながら、工場のレイアウト上、完成検査ラインに当該車両を保管しておく
物理的余裕が十分に確保されていなかったため、当該車両が完成検査ラインの付近
や工場の外等、完成検査ライン外に溜まってしまうことがあった。
かかる状況を目の当たりにした検査員が、検査を早急に完了しなければならない
というプレッシャーを感じる一因となったと考えられる。
4) 検査設備の老朽化・不備
設備が老朽化し更新頻度が低かったことから、検査機器に異常値が表示されたり、
検査機器に頻繁に不具合が発生したことが、検査員が不適切行為に及ぶ動機やこれ
を正当化する要因となったものと考えることができる。また、不適切行為を容易に
行うことができるという点でも不備のある検査設備であった。
5) 検査員の完成検査に関する法令・ルールに対する規範意識の著しい鈍麻
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検査補助者が指導員の監督を受けずに単独で完成検査を行った理由として、上司
や先輩に指示されたことや、それが検査の現場において当然のことと考えていた者
が複数いた。さらに、検査工程における様々な不適切行為の背景について、当社の
検査規格が保安基準よりも厳しいため、当社の検査規格から多少外れていたとして
も、安全上・品質上の問題は発生しないと考えていた者もいた。
検査員らの完成検査に関する規範意識が著しく鈍麻していたことの背景としては
以下が考えられる。
① 完成検査制度に関する検査員らの理解の欠如
② 教育体制及び現場の教育の不備
③ 検査員の人事ローテーションが活発でなかったこと
6) 完成検査課の独立性の欠如
複数の検査員が完成検査課の組織における立場の弱さを感じていたと供述してお
り、この背景としては以下が考えられる。
① 検査部門の組織上の独立性の欠如
② 他部門からの過度な干渉を許していたこと
③ 検査部門の位置付けの問題(社内における地位の低さ)
7) 社内規程の整備・管理が不十分であったこと
社内規程は、完成検査の前提として全社的に明確かつ適時に整備されるべきとこ
ろ、その整備が不十分であった。
また、各工場が作成した運用基準等、具体的な実務に関連する下位ルールについ
ての全社的な統一、管理についても、その必要性が十分に検討されていなかった。
これにより、社内規程の内容に関する問い合わせ先が不明確となったり、本社の統
制が及ばない工場毎の独自ルールが醸成され、また本社において制定したルールに
ついても独自の運用がされたりするなどの弊害も生じていた。
8) 内部統制の脆弱さ
当社の内部で不適切行為が長期間にわたり発見されなかった背景としては以下が
考えられる。
① 業務上の課題や不適切な事象を現場と上位者が共有する機能の弱さ
a) 役職者による積極的な状況把握の態度の欠如
b) 検査員の諦観
c) 問題意識共有に関する構造上・風土上の問題
② 検査結果を事後的に検証するプロセスの不足
事後検証のプロセスを確保することの重要性について認識が乏しく、検査結果
が自動的に保存される仕組みが備わっていない検査設備も少なくなかった。
③ 完成検査に関する実効的な監査が行われていなかったこと
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完成検査業務における具体的なリスクを念頭に置いた実効的な監査(ISO 内部
監査、監査部の業務監査など)が行われていなかった。
9) 経営陣の完成検査業務に関する理解及び関与が不十分であったこと
様々な不適切行為が発見されなかった背景をより大局的に分析すると、以下のと
おり、経営陣の完成検査業務に対する理解及び関与が不十分であったことが挙げら
れる。
① 完成検査業務に関するリスクに対する経営陣の理解不足
a) 経営陣は、2016 年 6 月に、社内で「法令遵守体制の徹底のための総点検」
を実施したにもかかわらず、 2018 年 8 月に燃費・排出ガスの抜取検査の不
正が確認されるまで、当該不正について具体的に認識しておらず、また、
実態を把握するための十分な調査等の措置も講じていなかった。
b) 経営陣は、完成検査業務に内在する構造的なリスクに対する基本的な認識
を欠いていた上、当該リスクを外部的調査によらず認識する機会があった
にもかかわらずそれを逸していた。
② 完成検査が適切に実施できる社内風土の醸成及び仕組作りの不十分さ
a) 当社の生産に対する基本的な考え方である「小少軽短美を実行し工場のあ
らゆるムダを排除して経営効率の向上と競争力の強化をねらう活動」 スズ
(
キ生産方式)が、完成検査自体が不要であるとの誤った受け止め方をされ
ていた可能性があり、完成検査が軽視され得る風土が醸成されていた。
b) 検査員は、生産ラインや検査ラインを止めることなく、完成検査の数をこ
なすことが優先されていたと述べる検査員が複数見られ、検査員が、完成
検査の過程で不良を見つけることが必ずしも検査員の評価につながってい
なかった。
③ 現場に対する過度の信頼に基づき現場とのコミュニケーションの枠組み作り
が不十分であったこと
a) 工場長等の管理職による完成検査の現場への積極的な状況把握の態度の欠
如と、検査員らの工場長等の管理職への心理的障壁が複合的に作用するこ
とにより、業務上の課題や不適切事象について現場と上位者が共有するこ
とが妨げられていた。
b) 経営陣は、性善説に立脚することなく、問題があることを前提としてそれ
を共有しやすい枠組み作りをすべきであった。
V. 再発防止策
外部調査で指摘された一連の不適切行為、外部専門家から指摘頂いたその原因・背
景及び再発防止策の提言を踏まえました当社の再発防止策は、以下の通りです。
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1. 経営陣による完成検査を含む品質保証へのコミットメント強化
〔Ⅳ.原因・背景についての 9)に対応〕
経営陣は、品質が確保されたものが作られてこそ製品は生産されたと考えていまし
たが、必ずしも完成検査の実態に関する認識・関心が高かったとは言えず、社内にお
いて生産台数を重視した風土が醸成され、完成検査業務の公益性及び重要性について
の真の意味での理解が十分でありませんでした。自動車製造業者として生産台数より
も品質を重視する意識が不十分であったと言わざるを得ません。
車両の均一性及び保安基準適合性の審査を行うという重要な意義を有し、品質保証
の重要な構成要素である完成検査において、度重なる不適切行為が発覚したことは、
安全性を追求すべき自動車製造業者にとって、お客様をはじめとする関係者の信頼に
背くという深刻な事態です。
本件の本質は、完成検査を含む当社の製品の品質保証の問題であり、経営陣として
は、品質保証への強いコミットメントとして、以下の事項に取り組み、再発防止に努
めます。
① 取締役会は、重大な危機意識を持ち、完成検査を含む会社のあらゆる業務にお
けるコンプライアンス体制やリスク管理体制等、内部統制の構築及び監督を一
層強化します。
② 完成検査に関する再発防止策の総責任者を社長とし、再発防止策の実行に関す
る責任者を、新たに設置する「検査本部」の本部長(役員)とします。
③ 再発防止策の進捗状況を含む完成検査の運用状況及びその実効性の確認を、毎
月、取締役会へは社長が、経営会議へは実行責任者が報告します。
④ 経営陣自らが完成検査の現場に赴いて検査業務の状況を直接把握するために、
完成検査も含めた生産現場の実地確認を行います。
⑤ 検査本部の設置を柱とする検査の独立性と実効性を高めるための組織改定を
行います。
⑥ 再発防止策の実施や品質・安全などの更なる向上のために、今後 5 年間にわた
り、1,700 億円規模の投資を行います。
2. 業務量の正確な把握及び適正な人員配置並びに検査員数に見合った柔軟な生産計画
及び生産目標の策定
〔Ⅳ.原因・背景についての 1)及び 2)に対応〕
外部調査によって、各工場の検査部門において、完成検査に必要な検査員が必ずし
も十分に確保されておらず、検査員が慢性的に不足していたことが指摘されました。
また、検査工程における業務について全体的に時間的な余裕がないこと等も指摘され
ました。
上記の指摘に関して、従来の当社の完成検査工程は、人員及び工程に対する余力に
乏しく、生産計画・工程設計の実務との乖離があり、これらが不適切行為の誘因の一
つになっていたと考えられます。このため、再発防止に向けた出発点として、完成検
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査項目がどのような項目から成り立っているか包括的な再検証を行い、各工程におけ
る検査対象、検査方法、所要時間、工程能力、不具合が発見された場合の処置内容等
を正確に整理・把握します。この再検証の結果に基づいて、検査員が適切に検査を遂
行することができるような工程への抜本的な見直し及び適正なピッチタイムの設定を
図ります。また、不良対応及び再検査実施並びに新型車種の投入及び需要増加に十分
な余力を持って対応できる検査体制を作るため、それに必要な検査員数を確保し、適
正に人員配置して参ります。
さらに、中長期的な生産計画に対応するため、完成検査資格者の育成を進め、十分
に余裕のある検査員有資格者数を確保するとともに、短期的には、確保した検査員数
に見合った生産計画及び生産目標を設定して参ります。
これらに関する各検査業務についての具体的な取組みは、以下の通りです。
1) 燃費・排出ガス抜取検査
① 今後の新法規対応(WLTP モード)による業務量の増加に対応するとともに、
これまでの日当たり試験数過多による検査員の負担を軽減するため、検査員の
増員を行っています。検査員 1 人 1 日当たりの試験数、再検査率、及び有給休
暇取得に対応するリリーフマン等を考慮して標準工数を算出し、検査員数を割
り出しました。これにより、四工場で 13 人だった検査員を 2019 年 4 月まで
に 29 人に増員します。また、中長期的な生産計画に対し余裕を持たせるため
に、さらに有資格者を育成して参ります。
2) 全数検査及び燃費・排出ガス以外の抜取検査
① 完成検査に関連する業務量と検査工数について実測に基づいた分析を行い、作
業を平準化し、やり方を改善できることが確認できた作業について、順次、作
業手順・作業要領書の改訂を進めております。
② 標準作業スピードを習得するための教育を、検査員を含めた全工場作業者に実
施しています。(2019 年 2 月 19 日から実施)
③ 多機種・多仕様混流生産による必要検査工数の変動に対応できるよう、適切な
「余力」のある体制を作るために、検査員の増員計画を立案し、検査員の育成
を開始しました。2019 年 3 月末時点の有資格者の人数は 223 人です。さらに
10 月までに 40 人を増員します。
④ 中長期的な生産計画に対応するため、 今後 2 年間で約 200 人の完成検査資格者
を育成し、十分に余裕のある検査員有資格者数を確保するとともに、短期的に
は、確保した検査員数に見合った生産計画及び生産目標を設定して参ります。
3. 検査を適切に行うための設備及び環境の整備
〔Ⅳ.原因・背景についての 3)及び 4)に対応〕
外部調査によって、検査設備が老朽化しており、適切な作業を行うことが難しかっ
たこと、検査設備の更新頻度が低かったこと、不適切行為を容易に行うことができる
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という点で不備のある検査設備であったこと、完成検査ラインに車両が滞留するレイ
アウトが検査員に早く検査を終わらせるプレッシャーを与えていたことなどが指摘さ
れました。
これに関する各検査業務についての取組みは、以下の通りです。
1) 燃費・排出ガス抜取検査
① トレースエラーに係る取組み
燃費・排出ガス抜取検査試験におけるトレランスエラー時間を確認するため、
以下に示すような確認作業を実施することで再発防止を実施しました。また、ト
レランスエラー時間が規定を逸脱した場合は自動で試験を中断するシステムの
導入を予定しています。
a) モード走行試験終了後、検査員がドライバーズモニターの試験設備の画面
を確認し、「検査成績書」にトレランスエラー回数、時間を記載すること
としました。これらが規定を逸脱した場合はその試験を無効とし、再試験
を実施することを徹底しました。 (2018 年 7 月)
b) これらの試験を通してトレースエラーを表示する画面を写真に撮り、保存
することで、エビデンスを残すことを徹底しました。 (2018 年 7 月)
c) 管理職が測定データでトレランスエラー時間を確認し、有効試験であるこ
とを確認しています。 (2018 年 8 月から開始)
d) 「検査成績書」は印刷した後、すぐにスキャナーで読み込みスキャンデー
タを残すことで書換えを防止しています。 (2018 年 12 月から開始)
e) トレランスエラー時間を「検査成績書」に自動印字するようにしました。
(四輪車工場:2019 年 3 月、二輪車工場:2018 年 9 月)
② 排出ガス測定値の書換え防止
排出ガス・燃費の測定値、試験環境条件及び試験結果の書換えができないよう
に、試験設備のプログラムを改修しました。
(湖西工場:2018 年 8 月 20 日、磐田工場:2018 年 8 月 23 日、
相良工場:2018 年 8 月 24 日、浜松工場:2018 年 9 月 3 日)
③ 試験環境条件(温度、湿度)の書換え防止
上記②で記載の通り、 温度、 湿度等の試験環境条件は書換えができないように、
試験設備のプログラムを改修しました。
さらに、以下の対策を実施しました、または実施する予定です。
a) ソーク中に温度が法規から外れていないことをデジタル温度計データから
確認、またソーク時間については、ソーク開始時間、終了時間を 2 人で確
認し、「排ガス・燃費抜取り検査チェックシート」に記入します。 (ダブル
チェック、ダブルサイン) (2018 年 12 月から開始)
b) 温度、湿度の最大値、 最小値を検査成績書に自動印字します。 (湖西・相良・
磐田工場:2019 年 3 月から開始。浜松工場:2019 年 4 月中に実施予定)
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c) 温度、湿度等、環境条件が法規に定められている測定条件を外れている場
合は、試験を開始できないように設備を改修します。(2019 年 10 月予定)
④ 排出ガス測定装置の最適化・試験環境の整備
a) 試験設備について、ソーク温度管理を確実にするため、2 重シャッター化
します。 (2019 年 7 月から順次導入)
b) 各工場の試験設備をネットワークでつなぎ、試験結果を一元管理すること
で、問題が起きた時の自動アラーム、推移図の自動作成等、自動化できる
作業は自動化し、検査員の負担を軽減するシステムを作成します。 (2019
年 10 月予定)
c) 従業員証をかざすシステム、または静脈認証実施後に試験を実施できるシ
ステムのいずれかを導入します。 (2019 年 10 月予定)
⑤ 組織の改定
2018 年 8 月に技術管理本部認証技術部に完成検査管理課を新設し、各工場に
管理職及び組長を配置することで、日々の抜取検査業務を管理、監督できる体制
にするとともに、検査員が日々の業務の中で個々に判断していた内容を管理職、
組長が判断する体制としました。
⑥ その他の取組み
タイヤ空気圧、温度、ソーク時間の確認等の人が介在する作業については、 「排
ガス・燃費抜取り検査チェックシート」を用いて 2 人 1 組で確認することとし、
確認内容に問題ない場合は、当該チェックシートにサインするという手順に改め
ました。そして、作業内容が適切であることのエビデンスとしました。 (2018 年
12 月から開始)
2) 全数検査及び燃費・排出ガス以外の抜取検査
検査設備の仕様や現場の要望などを総点検し、検査員が検査しやすい作業環境、
職場環境の整備のため、以下の対策を実施しました、または実施する予定です。
また、完成組立課と完成検査ラインの間に、生産車両の品質を確保するための
工程を新たに設置する工場レイアウトの変更を行います。
A 四輪車工場
① サイドスリップテスタ
a) 車両の通過速度を 2~3 ㎞/h から 5 ㎞/h 以下に、社内規程「製品検査規格」
(SIS-A)と作業要領書を改訂しました。 (2018 年 12 月)
b) 上述の通過速度 5 ㎞/h の目安となる LED 点滅ライトを設置しました。
(2019 年 1 月)
c) サイドスリップテスタの車両の通過速度が 5 ㎞/h を超えた場合には検査を
無効(不合格)とするスピード測定器を設置しました。 (2019 年 3 月)
② ブレーキテスタ
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a) 磐田工場のブレーキテスタで、通過式重量計を静止リフター式重量計に設
備改造しました。(2018 年 12 月)
b) 湖西・相良・磐田工場の静止リフター式重量計を、車両を正しい位置に静
止させて検査車両の重量を測定するよう設備改造しました。2018 年 12 月)
(
③ ドラムテスタ
a) 湖西、相良、磐田工場において、ドラムテスタで 40 ㎞/h でのスピードメ
ータのプルスイッチによる速度検査記録を自動保存するように改造しまし
た。(湖西・相良:2019 年 2 月、磐田 2019 年 3 月)
④ ヘッドライトテスタ
a) 湖西、相良工場において、検査記録が正しく保存されない不具合の有るプ
ログラム原因を分析して改善しました。(2019 年 2 月)
⑤ 検査工程全般
a) 暗く見え難い箇所の蛍光灯の光量・配置を最適化しました。(継続実施中)
b) 日光で見え難い/見づらい箇所に、遮光板を設置しました。(継続実施中)
B 二輪車工場
① マルチドラムテスタ
a) 引きずり、制動力の不合格表示を「白」→「黄」へと分かり易く変更しま
した。(2018 年 10 月)
b) スピードメータ指示誤差の値の記入忘れを防止するため、検査直後に、完
(2018 年 10
成車チェックシートへ書き込むよう作業手順を変更しました。
月)
c) マルチドラムテスタで 40 ㎞/h でのスピードメータのチェックをフットス
イッチによる速度検査記録を自動保存するように改造します (2019 年 4 月
予定)
② ヘッドライトテスタ
a) ヘッドライトテスタの測定値を確定して画面に固定表示するようにプログ
(2018 年 10 月)
ラムを変更しました。
4. 強固な規範意識の醸成
〔Ⅳ.原因・背景についての 5)及び 7)に対応〕
(1) 強い規範意識を植え付けるための教育
1) 全社的教育
外部調査で指摘を受けた一連の不正・不適切行為を全社的な問題と捉え、完成検
査の重要性、それに関する法令や社内規程の遵守について、徹底的なコンプライア
ンス教育を実施・継続し、全社的な意識改革を図ります。具体的には、以下の通り
です。
25
① 経営陣を対象に、外部の専門家によるコンプライアンスに特化したリスクマネ
ジメント研修を実施します。(2019 年 5 月実施予定)
② 経営陣及び従業員を対象に、道路運送車両法その他国内外の自動車の製造、販
(2019 年 6
売及びサービスに関連する法令の理解を深める研修を実施します。
月から開始予定)
2) 検査業務に関する教育
外部調査によって、検査員において完成検査制度の趣旨及び重要性についての基
本的な理解が欠如しており、検査員の規範意識が著しく鈍麻していたことが指摘さ
れました。
これを踏まえ、再発防止のために、強い規範意識を植え付けるための教育を行い
ます。具体的には、検査員及び検査部門に所属する役職者に対し、法令及び検査手
順を含む社内規程は必ず遵守すること、仮に社内規程に不備があれば、これを無視
するのではなく直ちに改訂すること、並びにいかなる場合でも不適切行為を行わな
いことを徹底します。具体的な取組みは、以下の通りです。
① 社長が各工場を巡回して検査員に対して講話を行い、品質が疑わしい場合には
ラインを止めることを躊躇する必要は全くなく、正しく検査を行うことに集中
するよう指示しました。その後、完成検査ラインの外に車両が滞留した場合は、
滞留車が無くなるまで組立ラインを止めるようにしました。(2018 年 10 月)
② コンプライアンスの再徹底について、2018 年 11 月 16 日付けコーポレートガバ
ナンス委員会通達を工場長及び役職者から示達し、指導・教育を実施しました。
(2018 年 12 月)
③ 他社の検査不正の報道を受け、完成検査において困っていることなどをためら
わずに報告すること、問題があった場合はためらわずにラインをとめることな
どについて、2018 年 12 月 8 日付け生産本部長通達を工場長及び役職者から示
達し、指導・教育を実施しました。 (2018 年 12 月)
④ 生産本部が完成検査を正しく理解し、完成検査とのコミュニケーション向上を
図るため、生産本部 9,124 人に対して『お客様の期待を裏切らないモノづくり
を徹底する』ための教育を行い、受講後『私の品質安全宣言』を一人一人が作
成しました。(2018 年 12 月)
⑤ 完成検査課において、
『お客様の期待を裏切らないモノづくりを徹底する』ため
の教育として、型式指定制度についての教育、現場担当者がやるべきことの具
体的な教育を実施しました。(2018 年 12 月)
⑥ 完成検査員全員を対象に、完成検査に係る講習及び理解度テストを実施しまし
た。(2019 年 2 月)
⑦ これまで燃費・排出ガス抜取検査員の教育及び登用は、全数検査の検査員と同
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じ社内規程「検査員教育実施手続」で定められていましたが、燃費・排出ガス
抜取検査員に特化した社内規程「燃費・排出ガス抜取検査員教育実施手続」を
制定し、これを運用することで燃費・排出ガス抜取検査員の教育及び登用方法
を明確にし、知識と技量の両面での向上を図りました。(2018 年 4 月)
⑧ 完成検査員及び製造工程の打刻担当者に対し、 『完成検査・打刻業務の法令要求』
の教育を実施しました。(2019 年 3 月)
⑨ 完成検査の日常業務において、確実に遵守できる標準作業へ改善するため、作
業の振り返りを行い、現場意識の向上、改善につなげる活動として、次の事項
を実施しました。
a) 朝礼・終礼での作業の振り返り(各 5 分) (2019 年 2 月から実施)
b) QC 活動の内容の充実(30 分×2 回/月)
(2019 年 2 月から実施)
c) 毎月 60 分間、生産ラインを止めて検査員の継続教育を実施 (2019 年 2 月か
ら実施)
d) 検査員が作業要領書の記載内容の通りに、 且つ適切なスピードで作業を行え
ているか、ビデオを用いて確認するとともに、作業員の修正すべき点があれ
ば、組長・班長を通じたアドバイスを実施。 (2019 年 3 月から実施)
⑩ 工場長及び次長に対して、完成検査に関する規程や規格と実際の業務との関連
性を明確に理解させるため、
『完成検査・打刻刻印管理 社内規程/規格の見える
化』の教育を実施しました。(2018 年 12 月)
⑪ 生産技術・関係会社出向者 1,635 人に対して次の教育を実施しています。
a) 『完成検査・打刻業務に絡む法令の概要 【基礎知識】(2019 年 1 月実施済)
』
b) 『完成検査・打刻業務に絡む法令の概要【完検業務—1】(2019 年 3 月実施
』
済)
c) 『完成検査・打刻業務に絡む法令の概要【完検業務—2&打刻】(2019 年 3
』
月から実施)
⑫ 社内規程が不明瞭であった点、実務にそぐわない部分があった点についても見
直しをし、現場での使いやすく、守りやすい規程を整備した上でその徹底を図
ります。
(2) 人事異動の促進、評価制度の導入
外部調査では、様々な不適切行為が多年にわたり継続された背景として、検査員の
人事が固定化していたことによる完成検査課の閉鎖性について指摘を受けましたので、
今後の対応として、完成検査業務の知見を備えた人材が他部門にも配置されるよう、
製造部門や生産技術部門を含めた他部署との間での人事異動を促進して参ります。
さらに、完成検査業務は本来不良を発見・報告する為に行うものであるが、検査員
が完成検査の過程で不良を見つけることは必ずしも検査員の評価につながっておらず、
むしろ、不良を多く発見する者が疎まれるような風潮すらあったことについても指摘
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を受けましたので、不良を発見すること、その不良を確実に社内の関係部門にフィー
ドバックして、完成車の品質に寄与することが検査員の職責であることを明確にする
とともに、検査員の人事評価について、このような職責が果たされたか否かを重要な
評価項目とする評価制度を導入いたします。(2019 年度中)
5. 検査部門の独立性強化のための組織体制等の見直し
〔Ⅳ.原因・背景についての 6)に対応〕
(1) 「検査本部」の新設
外部調査では、完成検査工程の様々な場面における不適切行為が長期・多種・広範
にわたった背景には、 組織的・構造的な問題があることも窺われる旨指摘されており、
具体的には、検査部門の組織上の独立性の欠如、他部門からの過度な干渉を許してい
たこと等が指摘されました。
これを踏まえ、検査部門の独立性強化のため、完成検査部門を製造部門である生産
本部の管轄から外し、新たに設置を予定している「検査本部」に、完成検査部門を移
管することによって、完成検査部門の独立性を確保します。 (2019 年 6 月予定)
(2) 適切な検査主任技術者の選任
これまでは、車両の製造業務について権限及び責任を有している工場長が、完成検
査業務の権限及び責任を有する検査主任技術者でもあったため、チェックの主体と対
象が同一になっており、工場長には、いわば二律背反とも言い得る権限と責任が課さ
れていました。
このため、今後は、上記検査本部に湖西検査部、相良検査部、磐田検査部、浜松検
査部を設置した上で、各検査部の長を検査主任技術者といたします。
6. 検査における不適切行為の抑止、早期発見に向けた監査体制の見直し
〔Ⅳ.原因・背景についての 8)に対応〕
(1) 監査部の体制強化
監査部について生産関係をはじめ各部門の業務に精通した人材を増員するなど体制
を強化する。
(2) 検査に係る三層の監査体制の構築
外部調査によって、完成検査の様々な場面で長年にわたって不適切行為が行われて
きた原因・背景として、 「監査等のモニタリング機能の弱さ」が指摘されています。
完成検査業務に関しては、国内生産部・製造品質保証部による ISO 内部監査、各工
場の工場長による定期監査がなされていますが、これらの監査では、係る不適切な行
為は発見されませんでした。また、当社においては、別途、監査部による社内監査も
行われていますが、2017 年 9 月末に同業他社における検査員資格問題が発覚した直後
を除き、完成検査業務に対する監査は行われていませんでした。
このため、今後の対応として、監査体制を強化するために、以下①~③による三層
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の監査体制を構築いたします。 (2019 年 6 月予定)
① 新設予定の「検査本部」に現行の完成検査課を移管するとともに、完成検査課
による自己監査を徹底する。
② 技術管理本部内に「検査監理部」を新設し、完成検査課による完成検査業務が
届出の通りに行われているかを監査する。
③ 上記(1)にて体制を強化した監査部が、上記①及び②について、現場における業
務執行状況やそれぞれの監査手法を踏まえ、監査が適切に行われているかを確
認する。
そして、この三層の監査体制が継続的に実施できるよう、各主管部門の人員も含め
た体制整備を併せて行っていきます。
(3) 不適切行為の抑止・早期発見に向けた取組み
検査における不適切行為の抑止・早期発見に向けて、以下の取組みを実施していま
す。
① 検査員が相談したい事がある場合に、その場で相談を受け、業務の改善につな
げるために、湖西・相良・磐田・浜松の各工場に1~2人、ベテランの役職者
を「相談員」として配置し、完成検査ラインを巡視させています。 (2018 年 12
月から開始)
② 完成検査員が作業要領書通りに、且つ正しいスピードで作業を行うことができ
ているか、ビデオを用いて確認し、作業員の修正すべき点があれば、組長・班
長を通じアドバイスしています。 (2019 年 3 月から開始)
③ 工場内に『改善ボード』を設置し、検査員が気づいた課題を『気掛かりメモ』
としてこれに貼付することにより、現場の声を吸い上げて課題を共有すると共
に、一緒に考え改善を行い、全検査員への見える化を行っています。 (浜松工場
で 2018 年 12 月から開始、湖西・相良・磐田工場で 2019 年 1 月から 2 月にか
けて開始)
④ 検査員の動きや、作業を確認することで、問題点を抽出し、現場の完成検査員
の声を吸い上げて、作業・職場環境の改善ならびに、検査レベル向上のための
検査員の教育・指導を補助するビデオカメラを設置しています。 (2019 年 3 月
時点、全工場で 125 工程、計 299 台のカメラを導入)
⑤ 検査結果を事後的に検証できるように各検査設備の検査結果をデータとして残
し、管理する仕組みを作成します。 (2019 年 6 月実施予定)
⑥ 設備の不具合、作業の妨げとなる設備の仕様上の問題点を洗い出し、検査員が
検査しやすい設備に改修しました。 (2018 年 11 月から実施)
⑦ 測定結果表示モニタ画面を写真で保存し、ダブルチェックしています。 (2018
年 10 月から実施)
⑧ 浜松工場において、検査が OK となっているか確認ツールを導入しました。
(2018 年 11 月から実施)
⑨ 湖西・相良・磐田工場において、正しく検査できたか、設備データをチェック
するシステムを導入しました。 (2019 年 1 月から実施)
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⑩ 設備が合否判定する検査項目の測定値について、検査員が手書きで完成車チェ
ックシートへ記入するのを止め、測定値を自動でプリントアウトするシステム
を導入します。(2019 年 6 月実施予定)
⑪ 検査『NG』や、正しい検査方法で検査しなかった際、次の検査工程へ移動でき
ないようにするメカストッパー/インターロックを設置します。 (2019 年 6 月実
施予定)
⑫ 検査が合格しないと FC-OK できないシステムを導入します。
(2019 年 6 月実施
予定)
7. コンプライアンス上の情報を現場から経営陣にまで伝達する仕組みの強化
〔Ⅳ.原因・背景についての 8)に対応〕
外部調査によって、不適切行為が現場で認識されていた場合であっても、それが上
位者(特に、当社の経営陣)に伝わらなかった要因として、①現場や業務に関する問
題意識について進言することをためらわせる組織風土が不適切行為を察知する上での
妨げになったこと、②内部通報制度をはじめとするコンプライアンス上の情報を上位
者にもたらす仕組みが検査員の十分な信頼を得ておらず、検査員にとってコンプライ
アンス上の問題解決の契機として十分に機能していなかったことが指摘されています。
これを踏まえ、①については、以下の取組みを実施します。
a) 報告・連絡・相談を躊躇なく行える環境を整えるため、それらを受ける立場
の者の意識改革を図ることを目的とした外部講師による役職者向け研修を実
施します。 (2019 年 6 月から開始予定)
b) 外部業者による社員意識調査や 360 度評価などによりコミュニケーション上
の問題点を浮き彫りにし、上位者に改善を促す仕組みを導入します。 (2019
年 7 月実施予定)
c) 2016 年の燃費不正問題以降、業務における法令遵守を再確認するために技術
部門を中心に毎年 5 月に行ってきた活動「リメンバー5.18」を管理、営
業、生産等の部門も当事者意識を持って参加する取組みへと発展させ、実効
性の高いコンプライアンスの総点検を行って参ります。 (2019 年 5 月から実
施予定)
上記 6.(3)①の相談員の配置に加え、完成検査の実態を把握する機会として、新設予
定の検査本部の本部長、各工場の検査主任技術者等が完成検査課の組長・班長クラス
から現場の生の声を聴き取るためのミーティングを、技術管理本部に新設予定の検査
監理部が参加する形で、毎月1回開催します。 (2019 年 6 月から実施予定)
また、②については、今回の不適切事案が通報されなかった、または当社の社内調
査で問題を発見できなかった原因として、不適切行為を認識していた検査員が自分自
身への懲戒や制裁を恐れて通報または供述することを躊躇したことが考えられること
から、当社の内部通報制度について、より通報しやすく、且つ通報内容の調査におい
て関係者からの協力が得られやすくなるよう、制度改善を進めて参ります。
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自動車製造業者が型式指定車について行う完成検査は、 国土交通大臣に代わって自動
車の保安基準への適合性を確認するものであり、厳格に実施することが必要であるにも
かかわらず、このような不正行為が行われていた最大の原因は、完成検査業務の重要性
に対する当社の自覚の乏しさであると考えております。
2016 年 5 月に燃費・排出ガス試験に係る不正行為を公表した際には、社内のコンプ
ライアンス上の問題点を見直す取組みを実施しました。しかしながら、経営陣として、
完成検査業務の公益性及び重要性について十分な理解がなかったうえ、会社の業務全般
において、不適切行為が行われる可能性を前提とした危機管理を行っておりませんでし
た。その結果、全部門に当事者意識を持ってかかる取組みを実施するよう徹底させるこ
とができず、その時点で今回の問題を把握できなかったことを、当社として深く反省し
ております。
外部調査報告書の内容を、経営陣と全従業員が危機感を持って受け止め、コンプライ
アンス意識を持ち、全社一丸となって再発防止策を徹底的・永続的に進めることによっ
て、お客様からの信頼を取り戻していく所存です。
この度は、多大なご心配とご迷惑をおかけすることとなりましたこと、改めてお詫び
申し上げます。
以上
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別紙2
四輪車の燃費・排出ガス抜取検査に係る調査対象の車名一覧
( )内は生産終了時期
工場 調査期間 調査対象車種
アルト、ラパン、ワゴンR、ハスラー、スペーシア、
現行生産車 ジムニー、<ジムニーシエラ> ※1、SX4 S-CROSS
エスクード、バレーノ
<旧アルト(~2009年12月)> ※1、旧アルト(~2014年12月)
2008年4月
湖西工場
~2018年9月 <旧ラパン(~2008年11月)> ※1、旧ラパン(~2015年5月)、セルボ
旧MRワゴン(~2011年1月)、MRワゴン(~2016年3月)、Kei、
生産終了車
<旧ワゴンR(~2008年9月)> ※1、旧ワゴンR(~2012年8月)、旧ワゴンR(~2017年1月)、
パレット、旧スペーシア、スプラッシュ、[シボレークルーズ]※2、シボレーMW、
旧スイフト(~2011年11月)、旧ソリオ(~2010年12月)、旧ソリオ(~2015年8月)
2008年8月 現行生産車 スイフト、スイフトスポーツ、ソリオ、イグニス、クロスビー
相良工場
~2018年9月 生産終了車 旧スイフト(~2017年9月)、キザシ、旧SX4
現行生産車 キャリイ、エブリイ
2008年4月
磐田工場 旧キャリイ、旧エブリイ、旧ジムニー、
~2018年9月 生産終了車
旧ジムニーシエラ、旧エスクード
※1 下記4機種は、トレースエラーは無いものの、書換えはありました。対象車種=<>印。
ジムニーシエラ、旧アルト(~2009年12月)、旧ラパン(~2008年11月)、旧ワゴンR(~2008年9月)
※2 シボレークルーズは、トレースエラー及び書換えのいずれもありません。対象車種=[ ]印