7198 アルヒ 2020-03-31 09:05:00
投資用マンションローンに関する調査結果について [pdf]
2020 年 3 月 31 日
各 位
会 社 名 ア ル ヒ 株 式 会 社
代表者名 代表取締役会長兼社長
CEO 兼 COO 浜田 宏
(コード番号:7198 東証一部)
問合せ先
執行役員 CFO 松本 康子
(TEL:03-6229-0777)
投資用マンションローンに関する調査結果について
当社は、2020 年 2 月 12 日付決算説明資料(補足資料)
「投資用マンションローンに関する一部報道につい
て」にてご報告させていただいた事案に関しまして、社内に特別調査チームを立ち上げ調査を進めてまいりま
した。
特別調査チームは、調査の客観性・公正性を確保するため、西村あさひ法律事務所の森本大介弁護士をはじ
めとした同事務所所属の弁護士 4 名に対し、調査方法の助言や調査結果の確認等の調査の協力を求めながら調
査を実施いたしました。
特別調査チームによる調査結果の概要について、下記の通りお知らせいたします。なお、詳細につきまして
は、別添をご参照下さい。
この度の問題に関し、お客様、株主・投資家の皆様、取引先の皆様その他多くのステークホルダーの皆様に、
多大なご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを重ねて深くお詫び申し上げます。
記
< 調査結果の概要 >
・ 当社のフランチャイズ店舗の役職員が、債務者から受領した申込書や源泉徴収票等の各種書類を偽造・
改ざんした上でアプラスに提出したという事実は検出されなかった。
・ 当社のフランチャイズ店舗の役職員が、債務者又は不動産事業者に対して、申込書や源泉徴収票等の収
入証明書類に事実と異なる記載を行うよう指示したり各種書類を偽造・改ざんするように指示したとい
う事実は検出されなかった。
・ 当社のフランチャイズ店舗の役職員が、債務者又は不動産事業者が申込書や源泉徴収票等の収入証明書
類に事実と異なる記載を行ったり、各種書類を偽造・改ざんするなどの不適切行為を行っていたことを
認識していたにもかかわらず、それらの行為を漫然と見逃したという事実は検出されなかった。
・ 当社のフランチャイズ店舗の役職員が、不動産事業者から高額な接待を受けるなど、不適切な利益供与
を受けていた旨の事実は検出されなかった。なお、当社のフランチャイズ店舗の役職員が、不動産事業
者と会食を共にしたことはあるものの、社会的な儀礼の範囲を超えるものではなかった。
◆ コンプライアンス体制のさらなる強化に向けて
当社は、
「コンプライアンスファースト」をスローガンに、コンプライアンス体制の強化に努めてまいり
ました。今回の調査で書類の改ざんや不正の指示等は認められませんでしたが、このような疑義が生じた
こと自体を真摯に受け止め、引き続き業界 No.1 のコンプライアンス体制構築を目指すとともに、レピュ
テーション向上に努める所存です。
① 投資用マンションローンの取り扱いを完全に中止、自己居住用住宅ローンへリソースを集中
② 住宅ローン不正利用検知システム「ARUHI ホークアイ 2.0」の開発を開始、2021 年 3 月期中に稼働
予定(不動産価格等の物件情報に注目し、不当な不動産価格による詐欺行為の疑いのある案件を検出)
③ 当社及び当社のフランチャイズ店舗の役職員に対する研修・教育の更なる強化
④ 不動産事業者のモニタリングの強化・徹底
なお、当社は今回発生した事案の調査結果を踏まえ、業務プロセスの継続的な見直しを行うとともに、上記
の具体的な施策を計画的に実施して参ります。
◆ 業績等に与える影響について
投資用マンションローンの構成比は営業収益の 0.6%程度であり、財務インパクトはほぼなく、2021 年
3 月期第 3 四半期の決算説明資料にある業績見通しに変更はありません。
以上
(別添)
第1 本件調査の経緯・目的・対象等
1 本件調査の経緯・目的
2020 年 1 月下旬以降、報道機関から当社に対して、当社が株式会社アプラス(以下「アプラス」という。)と提
携して取り組む「ARUHI 取扱専用『アプラス投資用マンションローン』」(以下「本件投資用マンションローン」
という。)に関して、当社の特定のフランチャイズ店舗(以下「FC 店舗」という。)の役職員が、融資資料の改ざ
んやその指示等の不適切行為(以下「本件不適切行為」という。)を行ったとする疑い(以下「本件疑義」という。)
について複数の問合せがあり、その後、報道機関により本件疑義に関する報道がなされた(以下、本件疑義に
関する各報道を「本件報道」という。)。
当社は、2020 年 1 月 27 日、代表取締役副社長吉田惠一を責任者とする社内の特別調査チームを立ち上げ、
本件報道による本件疑義に関する調査(以下「本件調査」という。)を開始した。なお、当社特別調査チームは、
本件調査の客観性・公正性を確保するため、西村あさひ法律事務所の森本大介弁護士をはじめとした同事務所
所属の弁護士チーム 4 名(以下「弁護士チーム」という。)に対し、調査方法の助言や調査結果の確認等の調査の
協力を求めた。
当社特別調査チームは、本件報道において、当社 FC 店舗の役職員による本件不適切行為として取り上げら
れた内容を踏まえ、以下の①~③の事実を明らかにするため、下記 2 の案件に対して下記 3 記載の方法により
調査を実施した。
① 当社 FC 店舗の役職員が、債務者から受領した申込書や源泉徴収票等の各種書類を偽造・改ざんした上
でアプラスに提出したという事実が存在するか(以下「本件調査目的①」という。)。
② 当社 FC 店舗の役職員が、債務者又は不動産事業者に対して、申込書や源泉徴収票等の収入証明書類に
事実と異なる記載を行うよう指示したり各種書類を偽造・改ざんするように指示したという事実が存
在するか、又は当社 FC 店舗の役職員が、債務者又は不動産事業者が申込書や源泉徴収票等の収入証明
書類に事実と異なる記載を行ったり、各種書類を偽造・改ざんするなどの不適切行為を行っていたこ
とを認識していたにもかかわらず、それらの行為を漫然と見逃したという事実が存在するか(以下「本
件調査目的②」という。)。
③ 当社 FC 店舗の役職員に、本件不適切行為を行う動機となりうる事情は存在するか(以下「本件調査目的
③」という。)。
2 本件調査の対象
本件調査においては、以下①~③の案件を対象に調査を行った。
① 本件報道において、不適切行為が行われたと言及された案件と思われる案件を担当していた当社 FC
店舗の役職員(以下「本件調査対象①役職員」といい、本件調査対象①役職員が所属している FC 法人を
「本件調査対象①FC 法人」、所属している FC 店舗を「本件調査対象①FC 店舗」という。)が担当してい
た案件等1(実際には成約に至らなかった案件及び契約者の死亡により打ち切りとなった案件合計 14
件も含む。) 255 件(以下「本件調査対象①」という。)
② アプラスから個別に本件調査対象①と同様に調査が必要である旨の情報提供を受けた案件(実際には
成約に至らなかった案件 1 件も含む。) 14 件(以下「本件調査対象②」という。)
③ アプラスから追加調査依頼を受けた案件 56 件(以下「本件調査対象③」という。)
なお、本件調査対象①には、当社が 2020 年 2 月 12 日の決算説明会において、資料「投資用マンションロー
ンに関する一部報道について」にて公表した 7 件が含まれる。
また、本件調査対象②の内訳は、以下のとおりである。
(a) アプラスが本件報道以前に債務者等より収入証明書類の改ざんが行われた可能性があると申出を受
けた案件等 計9件
(アプラスが本件報道以前に、個別に債務者等より収入証明書類の改ざんが行われた可能性があると
申出を受けた案件 5 件、当該 5 件と当社 FC 担当者及び不動産事業者、又は契約者が共通する 4 件)
(b) 本件報道において本件不適切行為が行われた可能性が高いと言及された案件に、債務者が「女性かつ
融資金額 2500 万円以上」である案件が含まれていたことを踏まえ、債務者が「女性かつ融資金額 2500
万円以上」に該当し、かつ、本件調査対象①に含まれていない案件 2件
(c) 本件報道後、2020 年 2 月中旬頃までの間に、債務者からアプラスに対して、自身の融資関連書類を
送付してほしいと依頼があった案件 3 件
また、本件調査対象③は、アプラスが、2020 年 3 月 2 日付けで、本件投資用マンションローンに関する契約
を締結した顧客全員に対して、自身の取引について懸念点がある場合はアプラスの窓口まで連絡するように依
頼する旨の書面を発送した結果、同社が、債務者から自身の融資関連書類を送付してほしいと連絡を受けた案
件 56 件について、当社特別調査チームがその情報提供を受けたものである。
3 本件調査の方法
(1) 本件調査対象①に関する調査
ア 不動産事業者提出書類と当社提出書類の突合作業
当社特別調査チームは、本件調査対象①について本件調査目的①を解明するため、
(ⅰ) 本件調査対象①役職員の業務用メールデータのうち、不動産事業者との間でやり取りされたメール
(ⅱ) 当社内の顧客情報管理及び社内連絡並びにアプラスへの提出資料及びアプラスとの連絡内容を記録する
ためのシステムである「Salesforce」上に保管されているデータ2
1 本件報道において、不適切行為が行われたと言及された案件と思われる案件を持ち込んだ不動産事業者から、本件調
査対象①FC 店舗に持ち込まれた案件を含む。
2 「Salesforce」の活用は 2017 年 5 月 22 日に開始されたため、それ以前においては、FC 店舗とアプラスとの間でやり
取りされたメールデータから当社提出書類を抽出した。以下、本件調査対象②及び本件調査対象③についても同様で
ある。
を確認し、本件調査対象①について、当社 FC 店舗の役職員が不動産事業者から新規で審査依頼を受けた際に
受領した申請書類(以下「不動産事業者提出書類」という。)と、当社 FC 店舗の役職員が「Salesforce」上でアプ
ラスに対して審査を依頼する際に提出した申請書類(以下「当社提出書類」という。)とが整合しているか否かを
調査した3。
イ ヒアリング調査
当社特別調査チームは、弁護士チームと共同で、本件調査対象①役職員を含む本件調査対象①FC 店舗の役職
員 4 名に対して、ヒアリングを実施した。
また、当社特別調査チームは、弁護士チームと共同で、本件調査対象①のうち、本件報道において、本件不
適切行為が行われたとされる案件と同一の案件と思われる案件を持ち込んだ不動産事業者である A 社及び B 社
の社長に対してヒアリングの実施を要請した。
この点、A 社社長は、ヒアリングの要請に応じなかったが、当社特別調査チームが依頼した質問事項につい
て、同社の代理人弁護士を通じて書面にて回答した。A 社において本件不適切行為の存在が疑われる案件を担
当していた社員は、既に A 社を退社しており、A 社社長は当該案件に関与していないため、本件不適切行為に
ついては認識していないとのことであった。なお、それと合わせて、同代理人弁護士から、A 社関係者に対し
て調査した結果についても情報提供を受けたが、本件不適切行為への当社 FC 店舗の役職員の関与を示す客観
的な証跡は提供されなかった。
また、B 社社長については、当社特別調査チームから複数回に亘って連絡したにも関わらず返答がなかった
ため、ヒアリングを実施することができなかった。
ウ 不動産事業者及びアプラスとの間でやり取りを行っていたと認められる本件調査対象①FC
店舗の役職員のメールなどを対象としたフォレンジック調査
当社特別調査チームは、弁護士チームと共同で、本件調査対象①について、本件調査目的①~③を解明する
ため、当社のメールサーバ上に保管されていたデータのうち、本件調査対象①FC 店舗の役職員複数名の業務用
メールデータについて、一定のキーワードによる絞り込みを行った上で、データレビューを実施した。
また、当社特別調査チームは、本件調査対象①FC 店舗において本件投資用マンションローンを多数取り扱っ
ていた役職員について、
(ⅰ)本件調査対象①FC 法人における業務用 PC 及び私用 PC 内のデータ(削除済みデータを含む。)
(ⅱ)本件調査対象①FC 法人における業務用携帯電話及び私用の携帯電話内に残された通話履歴やコミュニケ
ーションツール(SMS、MMS 及び LINE 等)の履歴
を確認した。
3 ただし、時期が古くメールアドレスが現在と異なる 2 件については、当社提出書類に関するメールを抽出することが
できなかった。
(2) 本件調査対象②に関する調査
ア 不動産事業者提出書類と当社提出書類の突合作業
当社特別調査チームは、本件調査対象②について本件調査目的①を解明するため、
(ⅰ) 本件調査対象②を担当した当社 FC 店舗役職員 5 名(以下、これらの者を総称して、「本件調査対象②担当
者」という。)等と不動産事業者との間でやり取りしたメールの内容
(ⅱ) 「Salesforce」上に保管されているデータ
を確認することとし、本件調査対象②について、不動産事業者提出書類と当社提出書類とが整合しているか否
かを調査した4。
イ ヒアリング調査
当社特別調査チームは、弁護士チームと共同で、本件調査対象②について、本件調査目的①~③を解明する
ため、本件調査対象②担当者 5 名に対して、ヒアリングを実施した。
ウ フォレンジック調査
当社特別調査チームは、弁護士チームと共同で、本件調査対象②について、本件調査目的①~③を解明する
ため、当社のメールサーバ上に保管されていたデータのうち、本件調査対象②担当者の業務用メールデータに
ついて、一定のキーワードによる絞り込みを行った上で、データレビューを実施した。
(3) 本件調査対象③に関する調査
当社特別調査チームは、本件調査対象③について本件調査目的①を解明するため、
(ⅰ) 本件調査対象③を担当した役職員等と当該案件を担当した不動産事業者の間でやり取りしたメールの内
容と、
(ⅱ) 「Salesforce」上に保管されているデータ
を確認することとし、本件調査対象③について、不動産事業者提出書類と当社提出書類とが整合しているか否
かを調査した5。
4 基準日
本件調査の基準日は、2020 年 3 月 30 日である。
4 本件調査対象②の不動産事業者提出書類については、その多くが FC 店舗に FAX、郵送又は持参にて提出される運
用となっていたため、不動産事業者提出書類がメールにて提出された 5 件について突合した。
5 本件調査対象③のうち、33 件については、不動産事業者提出書類が、FC 店舗に FAX、郵送又は持参にて提出され
ていたため、確認することができず、不動産事業者提出書類がメールにて提出された 23 件について突合した。
5 調査の前提
本件調査では、当社特別調査チームにおいて、弁護士チームの助言・指導・確認に基づき、与えられた時間
及び条件の下において、可能な限り適切と考えられる調査・分析等を行った。また、本件調査において、アプ
ラス特別調査委員会から、本件調査のために必要な範囲において情報提供を受けた。
第2 本件調査対象①について調査の結果判明した事実
1 本件調査目的①に関する調査結果
・ 上記第 1 の 3(1)ア記載の、本件調査対象①に関する不動産事業者提出書類と当社提出書類の突合作業の
結果、不動産事業者提出書類と当社提出書類との間で、本件報道において言及されているような、源泉徴
収票等の収入証明書類における勤務先及び収入額等の内容に関する齟齬は発見されなかった。
・ 不動産事業者提出書類中の申込書において空欄であった箇所を FC 店舗役職員が補記した案件は確認され
たが、源泉徴収票等の収入証明書類上の記載と齟齬する内容の補記は発見されなかった。
・ 本件調査対象①役職員を含む本件調査対象①FC 店舗の役職員は、ヒアリングにおいて、申込書や収入証
明書類の偽造や改ざんを行ったことは一切ないと述べており、フォレンジック調査の結果、これに反する
ような証拠は発見されなかった。
2 本件調査目的②に関する調査結果
(1) 不適切行為の指示について
・ 上記第 1 の 3(1)イ及びウ記載の調査の結果、本件調査対象①役職員を含む本件調査対象①FC 店舗の役職
員が、本件調査対象①について、債務者や不動産事業者に対して、事実と異なる記載を行うように指示し
たり、偽造や改ざんを行うように指示したことを示す証跡は発見されなかった。
・ 本件調査対象①役職員を含む本件調査対象①FC 店舗の役職員は、ヒアリングにおいて、債務者や不動産
事業者に対して、申込書に事実と異なる記載を行うように指示したり、収入証明書類について偽造や改ざ
んを行うように指示したことは一切無いと述べており、フォレンジック調査の結果、これに反するような
証拠は発見されなかった。
(2) 融資条件に関するコミュニケーションについて
・ 上記第 1 の 3(1)ウ記載のフォレンジック調査の結果、本件調査対象①役職員を含む本件調査対象①FC 店
舗の役職員が、不動産事業者に対して、返済比率等の計算方法を示すエクセル表を送付しているメールが
確認された。
・ もっとも、上記第 1 の 3(1)イ記載のヒアリング及び同ウ記載のフォレンジック調査の結果によれば、本
件調査対象①役職員を含む本件調査対象①FC 店舗の役職員は、上記エクセル表を不動産事業者に対して
共有することはアプラスから認められていたものであり、禁止される性質のものという認識はなかった
旨述べている。
・ 上記役職員らは、不動産事業者に前さばきをさせる意図で送付しており、「チェックシート」を悪用して、
審査に合格するように申込書に事実と異なることを記載したり、収入証明書類について偽造や改ざんを
行う示唆したりする意図はなかったと認められる。
・ また、上記第 1 の 3(1)ウ記載のフォレンジック調査の結果、本件調査対象①FC 店舗の役職員 1 名6が、不
動産事業者に対して、返済比率について、アプラスの基準を考慮し、借入額を減らす等の助言をしている
とも解釈し得るメールが発見された。発見されたメールは、申込書に事実と異なる記載を行うように指示
したり、収入証明書類について、偽造や改ざんを指示するものではなく、当該役職員も、偽造等を指示す
る意図はなかったと述べ、また、実質的に偽造等の指示と評価できるようなやり取りとまでは言えない。
ただし、媒介業務という立場にありながら、かかる助言とも解釈し得るコミュニケーションを行うことそ
のものが、不動産事業者に対する過度なアドバイスと評価されるおそれを孕んでおり、その点で不適切な
コミュニケーションであったと評価せざるを得ない。
3 収入証明書類に関する偽造・改ざんの疑いについて
・ 本件報道では、収入証明書類そのものの偽造・改ざん行為の疑義について言及されているところ、当社は、
本件投資用マンションローンの媒介業務を行うにとどまり、収入証明書類の原本を有していないため、本
件調査において、収入証明書類そのものの偽造・改ざんの有無を確認することはできなかった。
・ もっとも、当社は、アプラスの特別調査委員会から、同委員会による調査に当たって債務者から提供を受
けた収入証明書類に記載の金額とアプラスが本件投資用マンションローンの審査に用いた収入証明書類
の金額との対比を行った結果、複数の案件において、収入証明書類の偽造・改ざんが行われていたことが
認定された旨、情報共有を受けた。
・ ただし、上記 1 及び 2 記載のとおり FC 店舗の役職員が、不動産事業者から受領した不動産事業者提出書
類と、アプラスに提出した当社提出書類との間に、勤務先及び収入額についての記載並びに源泉徴収票等
の収入証明書類の内容に関する齟齬は発見されていない。そのため、収入証明書類の偽造・改ざんが行わ
れたとすれば、FC 店舗が不動産事業者から不動産事業者提出書類を受領する以前の段階で行われていた
と考えることが合理的である。
・ 当社は、本件投資用マンションローンの媒介業務を行うにとどまる。不動産事業者提出書類を受領した
FC 店舗の役職員は、不動産事業者提出書類一式を確認し、記載の抜け漏れの有無等の形式面の確認や、
必要書類で不足しているものがないかをチェックし、特に問題がなければ、不動産事業者から送付された
PDF ファイルをそのまま、当社提出書類としてアプラスに対して送付していた。不動産事業者提出書類に
ついて、上記のような偽造・改ざんされていることを窺わせる点がないか否かまで精査することは求めら
れていなかった。
6 上記第 1 の 3(1)ウ記載のフォレンジック調査の結果、不動産事業者に対して上記助言を行っていたのは、当該 1 名
のみであり、本件調査対象①FC 店舗の他の役職員が同様の助言を行っていた事実は認められなかった。
4 本件調査目的③に関する調査結果
・ 上記第 1 の 3(1)ウ記載のフォレンジック調査において、FC 店舗の特定の役職員が、不動産事業者から高
額・華美な接待を受けるなど、不適切な利益供与を受けていた旨の証跡は発見されていない。
・ 本件調査対象①役職員を含む調査対象 FC 店舗の役職員は、不動産事業者から高額な接待や金品の提供を
受けたことはないと述べており、当該供述に反する事情は認められない。
・ 本件調査対象の案件の物件価格に照らせば、FC 店舗は、本件投資用マンションローンの成約に至ったと
しても、10 万円前後の手数料を得るにとどまり、投資用マンションの売買により不動産事業者が得る利
益と比べてはるかに小さい。
・ しかも、上記手数料はあくまでも FC 店舗に対して支払われる手数料であって、FC 店舗の役職員の利益に
直結するものではない。一方で、FC 店舗法人は、本件投資用マンションローンについて不適切な行為を
行っていたことが露見した場合、当社から手数料の減額又は返還請求、場合によっては業務の停止やフラ
ンチャイズ契約の解除等の不利益を受けることとなる。
・ このような不利益を受けるリスクを負ってまで、当社 FC 店舗の役職員があえて本件不適切行為を自ら実
行したり、自ら不正行為を主導して不動産事業者に対して指示・教唆するようなインセンティブは特段認
められない。
第3 本件調査対象②について調査の結果判明した事実
1 本件調査目的①に関する調査結果
・ 上記第 1 の 3(2)ア記載の、本件調査対象②に関する不動産事業者提出書類と当社提出書類の突合作業の
結果、両者の間で、勤務先及び収入額についての記載並びに源泉徴収票等の収入証明書類の内容に関する
齟齬は発見されなかった。
・ 一部で不動産事業者提出書類中の申込書において空欄であった箇所を、本件調査対象②担当者ら FC 店舗
の従業員が補記した案件は確認されたが、源泉徴収票等の収入証明書類上の記載と齟齬する内容の補記
は発見されなかった。
・ 本件調査対象②を担当した本件調査対象②担当者は、ヒアリングにおいて、申込書や収入証明書類の偽造
や改ざんを行ったことは一切ないと述べており、フォレンジック調査の結果、これに反するような証拠は
発見されなかった。
2 本件調査目的②に関する調査結果
・ 上記第 1 の 3(2)イ及びウ記載の調査の限りでは、本件調査対象②担当者が、本件調査対象②について、
債務者や不動産事業者に対して、事実と異なる記載を行うように指示したり、偽造や改ざんを行うように
指示したことを示す証跡は発見されなかった。
・ 本件調査対象②担当者は、いずれも、ヒアリングにおいて、債務者や不動産事業者に対して、申込書に事
実と異なる記載を行うように指示したり、収入証明書類について偽造や改ざんを行うように指示したこ
とは一切無いと述べている。
・ 本件調査対象②担当者は、いずれも、不動産事業者の担当者が、債務者に対して、申込書に事実と異なる
記載を行うように指示したり、収入証明書類について偽造や改ざんを行ったことは認識していないと述
べている。
3 本件調査目的③に関する調査結果
・ 上記第 1 の 3(2)ウ記載のフォレンジック調査において、FC 店舗の特定の役職員が、不動産事業者から高
額・華美な接待を受けるなど、不適切な利益供与を受けていた旨の証跡は発見されていない。
・ 本件調査対象②担当者はいずれも、不動産事業者から高額な接待や金品の提供を受けたことはない旨述
べており、当該供述に反する事情は認められない。
・ 本件調査対象①FC 店舗と同様に、本件調査対象②担当者らが所属する FC 店舗においても、本件投資用マ
ンションローンの成約によって得られる利益は限られていることに照らせば、本件調査対象②担当者が
所属する当社 FC 店舗やその役職員において、収入証明書類の偽造を実行又は指示・教唆するという不適
切な行為を行う動機があったとは認められない。
第4 本件調査対象③について調査の結果判明した事実
・ 上記第 1 の 3(3)記載の、本件調査対象③に関する不動産事業者提出書類と当社提出書類の突合作業の結
果、両者の間で、勤務先及び収入額についての記載並びに源泉徴収票等の収入証明書類の内容に関する齟
齬は発見されなかった。
以 上