7187 ジェイリース 2019-11-28 17:00:00
東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]

                                       2019 年 11 月 28 日

各 位
                      会 社 名   ジ ェ イ リ ー ス 株 式 会 社
                      代表者名    代表取締役社長 兼会長 中島 拓
                              (コード番号:7187 東証第一部)
                      問合せ先    取 締 役 専 務 兼 執 行 役 員
                              経営企画本部長      中島重治
                              (TEL.03-5909-1245)



      東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ


 当社は、2018年12月13日に貸倒引当金の誤謬の発覚により過年度の決算短信等の訂正を
開示した件について、株式会社東京証券取引所(以下、「東京証券取引所」という)に対
し、2019年1月22日に改善報告書を、2019年7月23日に改善措置の実施状況及び運用状況
について記載した改善状況報告書を提出しております。
 しかしながら当社は、2019年11月14日に、再度、貸倒引当金の計上に関連する過年度の
決算短信等の訂正を行っており、同日、東京証券取引所より、2019年1月22日に提出した
改善報告書に記載の改善措置の実施状況及び運用状況を改めて確認するための改善状況報
告書の提出を求められていました。
 当社は、本日別添のとおり「改善状況報告書」を東京証券取引所に提出いたしましたの
で、お知らせいたします。

別添書類:改善状況報告書

                                                以   上
                     改善状況報告書

                                           2019 年 11 月 28 日
株式会社東京証券取引所
代表取締役社長 宮原 幸一郎 殿


                                  ジェイリース株式会社
                                  代表取締役社長兼会長 中島 拓




 2019 年1月 22 日提出の改善報告書について、有価証券上場規程第 503 号第3項の規定に
基づき、改善措置の実施状況及び運用状況を記載した改善状況報告書をここに提出いたし
ます。
 当社は、2018 年 12 月 13 日に貸倒引当金の誤謬の発覚により過年度の決算短信等の訂正
を開示した件について、2019 年1月 22 日にその経緯及び改善措置を記載した改善報告書を
提出いたしました。その後、改善報告書の提出から6か月を経過した後の同年7月 23 日に
は、改善措置の実施状況及び運用状況について記載した改善状況報告書を提出いたしまし
た。
 しかしながら、当社は、2019 年 11 月 14 日、2019 年3月期第2四半期から 2020 年3月期
第1四半期までの過年度の決算短信等の訂正を開示し、これらの中で貸倒引当金の計算方
法を変更し、過年度に遡って適用することが妥当であると判断した旨を明らかにいたしま
した。
 上記のとおり、既に 2019 年7月 23 日に改善状況報告書を提出しているものの、今般、再
度貸倒引当金の計上に関連する過年度の決算短信等の訂正を行ったことから、改善報告書
に記載の改善措置の実施状況及び運用状況を明らかにするため、本日、本報告書を提出する
ものであります。
                                                           目次


1.改善報告書の提出経緯 .....................................................................................................1
  (1)過年度決算訂正の内容 ..............................................................................................1
     ① 過年度決算訂正の主な内容 ........................................................................................1
     ② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響額........................................................2
  (2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等 .........................................................4
     ① 過年度決算短信等の訂正の対象となった会計処理を当初採用した経緯等................4
     ② 過年度決算短信等の訂正の経緯 .................................................................................5
     ③ 訂正前後の貸倒引当金の算定方法の概要...................................................................6
2.2019 年 11 月 14 日の過年度決算訂正の経緯 ..................................................................6
  (1)過年度決算訂正の内容 ..............................................................................................6
     ① 過年度決算訂正の主な内容 ........................................................................................6
     ② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響額........................................................7
  (2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等 .........................................................8
     ① 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯 ...............................................................8
     ② 訂正前後の貸倒引当金の算定方法の概要...................................................................9
3.改善措置並びにその実施状況及び運用状況等 .................................................................9
  (1)不適正開示の発生原因の分析 ...................................................................................9
     ① 賃借人の信用リスクの変化に係るモニタリング体制及びこれを適切に評価する専
         門的な知見が不十分であったこと............................................................................10
     ② 貸倒引当金の算定方法についての定期的な検証体制の未整備 ................................11
        ⅰ 監査法人とのコミュニケーション不足.................................................................11
        ⅱ 業務処理体制の問題 ..............................................................................................11
        ⅲ ガバナンス体制の問題 ..........................................................................................11
  (2)改善措置並びにその実施状況及び運用状況 ...........................................................12
     ① 中長期滞留債権の増加への対策、回収状況等に係るモニタリング体制の構築及びこ
         れを適切に評価する専門的な知見の涵養.................................................................12
        ⅰ 中長期滞留債権の増加への対策............................................................................12
        ⅱ 回収状況等に係るモニタリング体制の構築及びこれを適切に評価する専門的な
            知見の涵養 ............................................................................................................14
     ② 状況の変化に応じた会計処理方法の見直し体制の構築 ...........................................17
        ⅰ 監査法人とのコミュニケーションの改善 .............................................................17
        ⅱ 業務処理体制の改善 ..............................................................................................18
        ⅲ ガバナンス体制の改善 ..........................................................................................19
  (3)改善措置の実施スケジュール .................................................................................20
4.改善措置の実施状況及び運用状況に対する上場会社の評価 .........................................20
1.改善報告書の提出経緯

(1)過年度決算訂正の内容

 ① 過年度決算訂正の主な内容

  当社は、2018 年 11 月 13 日、「2019 年3月期第2四半期決算発表の延期及び四半期報
 告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ」を開示し、2018 年 12 月 13 日、
 過年度の決算短信等の訂正を行い、2018 年 12 月 14 日、過年度の有価証券報告書等の訂
 正報告書を提出いたしました。訂正した過年度決算短信等及び業績に及ぼす影響額につ
 いては、以下のとおりであります。


【訂正した過年度決算短信等】
・訂正を行った有価証券報告書
 第13期 有価証券報告書      (自 2015年4月1日 至    2016年3月31日)
 第14期 有価証券報告書      (自 2016年4月1日 至    2017年3月31日)
 第15期 有価証券報告書      (自 2017年4月1日 至    2018年3月31日)


・訂正を行った四半期報告書
 第14期 第1四半期報告書     (自 2016年4月1日 至    2016年6月30日)
 第14期 第2四半期報告書     (自 2016年7月1日 至    2016年9月30日)
 第14期 第3四半期報告書     (自 2016年10月1日 至   2016年12月31日)
 第15期 第1四半期報告書     (自 2017年4月1日 至    2017年6月30日)
 第15期 第2四半期報告書     (自 2017年7月1日 至    2017年9月30日)
 第15期 第3四半期報告書     (自 2017年10月1日 至   2017年12月31日)
 第16期 第1四半期報告書     (自 2018年4月1日 至    2018年6月30日)


・訂正を行った決算短信
 2017年3月期決算短信      (自 2016年4月1日 至    2017年3月31日)
 2018年3月期決算短信      (自 2017年4月1日 至    2018年3月31日)


・訂正を行った四半期決算短信
 2017年3月期第1四半期決算短信     (自 2016年4月1日 至    2016年6月30日)
 2017年3月期第2四半期決算短信     (自 2016年7月1日 至    2016年9月30日)
 2017年3月期第3四半期決算短信     (自 2016年10月1日 至   2016年12月31日)

                        1
  2018年3月期第1四半期決算短信      (自 2017年4月1日 至           2017年6月30日)
  2018年3月期第2四半期決算短信      (自 2017年7月1日 至           2017年9月30日)
  2018年3月期第3四半期決算短信      (自 2017年10月1日 至          2017年12月31日)
  2019年3月期第1四半期決算短信      (自 2018年4月1日 至           2018年6月30日)


 ② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響額

【2016年3月期】                                         (単位:百万円)

  期間         項目   訂正前(A)          訂正後(B)     影響額(B-A)   影響率

         売上高          3,209          3,209        -           -

         営業利益           207            175       ▲31    ▲15.2%

         経常利益           203            171       ▲31    ▲15.5%
  通期
         当期純利益          87             56        ▲31    ▲35.8%

         総資産          3,953          3,922       ▲31    ▲0.8%

         純資産            283            252       ▲31    ▲11.0%


【2017年3月期】                                         (単位:百万円)

  期間         項目   訂正前(A)          訂正後(B)     影響額(B-A)   影響率

         売上高            965            965        -           -

         営業利益           34             12        ▲21    ▲63.4%

         経常利益           19             ▲1        ▲21          -
 第1四半期
         当期純利益          10             ▲4        ▲14          -

         総資産          4,627          4,580       ▲46    ▲1.0%

         純資産            721            675       ▲46    ▲6.4%
         売上高          1,913          1,913        -           -

         営業利益           84             24        ▲59    ▲71.0%

         経常利益           67              7        ▲59    ▲88.3%
 第2四半期
         当期純利益          38             ▲2        ▲41          -

         総資産          5,102          5,029       ▲72    ▲1.4%

         純資産            869            797       ▲72    ▲8.4%




                              2
  期間         項目   訂正前(A)         訂正後(B)     影響額(B-A)   影響率

         売上高         2,889          2,889         -          -

         営業利益          137             50       ▲86    ▲63.2%

         経常利益          117             30       ▲86    ▲73.9%
 第3四半期
         当期純利益          71             11       ▲60    ▲83.6%

         総資産         5,542          5,450       ▲91    ▲1.7%

         純資産           905            814       ▲91    ▲10.1%

         売上高         4,121          4,121         -          -

         営業利益          337            140       ▲197   ▲58.5%
         経常利益          312            115       ▲197   ▲63.1%
  通期
         当期純利益         220             81       ▲138   ▲62.8%

         総資産         5,568          5,398       ▲169   ▲3.1%

         純資産         1,063            893       ▲169   ▲16.0%


【2018年3月期】                                         (単位:百万円)

  期間         項目   訂正前(A)         訂正後(B)     影響額(B-A)   影響率

         売上高         1,188          1,188         -          -

         営業利益          115            55        ▲59    ▲52.0%

         経常利益          106            46        ▲59    ▲56.3%
 第1四半期
         当期純利益         69             27        ▲42    ▲60.4%

         総資産         4,677          4,465       ▲212   ▲4.5%

         純資産         1,135            923       ▲212   ▲18.7%

         売上高         2,342          2,342         -          -

         営業利益          187            66        ▲120   ▲64.4%

         経常利益          169            48        ▲120   ▲71.3%
 第2四半期
         当期純利益         111            26        ▲84    ▲76.2%

         総資産         4,919          4,664       ▲254   ▲5.2%

         純資産         1,181            926       ▲254   ▲21.5%




                             3
  期間         項目   訂正前(A)         訂正後(B)     影響額(B-A)   影響率

         売上高         3,562          3,562         -          -

         営業利益          241            64        ▲176   ▲73.1%

         経常利益          212            36        ▲176   ▲82.9%
 第3四半期
         当期純利益         140            17        ▲123   ▲87.5%

         総資産         5,018          4,725       ▲293   ▲5.8%

         純資産         1,191            897       ▲293   ▲24.6%

         売上高         5,022          5,022         -          -

         営業利益          407            19        ▲388   ▲95.3%
         経常利益          351           ▲37        ▲388         -
  通期
         当期純利益         251           ▲73        ▲325         -

         総資産         5,981          5,486       ▲494   ▲8.3%

         純資産         1,304            809       ▲494   ▲37.9%


【2019年3月期】                                         (単位:百万円)

  期間         項目   訂正前(A)         訂正後(B)     影響額(B-A)   影響率

         売上高         1,431          1,431         -          -

         営業利益          87             11        ▲75    ▲86.8%

         経常利益          76              0        ▲75    ▲99.0%
 第1四半期
         当期純利益         62              6        ▲56    ▲90.4%

         総資産         6,207          5,656       ▲551   ▲8.9%

         純資産         1,331            780       ▲551   ▲41.4%


(2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等

 ① 過年度決算短信等の訂正の対象となった会計処理を当初採用した経緯等

   過年度決算短信等の訂正は、貸倒引当金の算定方法に誤りがあったことに起因してい
 るため、関連する事業の内容と後述する訂正前の貸倒引当金の算定方法を採用した経緯
 についてご説明いたします。
   当社は、賃借人の家賃不払い等の債務不履行が発生した際に賃貸人に対して代位弁済
 を行うという、賃借人(保証委託者)の家賃債務を保証する事業(以下「家賃債務保証


                             4
事業」といいます。
        )を行っております。
 当社が賃貸人に対して代位弁済したことによる賃借人に対する債権(以下「代位弁済
立替金」といいます。
         )の管理回収については、管理支援部による業務集約と各店舗に配
する債権管理担当者によって、賃借人の状況の早期把握と滞納解消に向けたきめ細やか
な対応を行っております。他方、代位弁済立替金については、賃借人の破産や死亡によ
って取立て不能となるなど、貸倒損失の発生が一定程度見込まれます。そのため、当社
では、将来の貸倒損失の発生に備えるため、過去の貸倒実績等に基づき、代位弁済立替
金に係る貸倒引当金を算定しております。
 当社は、東京証券取引所マザーズへの新規上場を見据えた 2014 年3月期決算におい
て、金融商品会計基準に準拠した方法として、後述する訂正前の貸倒引当金の算定方法
を、EY 新日本有限責任監査法人(以下「監査法人」といいます。
                              )に相談した上で採用
し、その後も同一の算定方法を継続適用してまいりました。


② 過年度決算短信等の訂正の経緯

 当社は、2019 年3月期第2四半期決算発表を 2018 年 11 月 7 日に行うべく準備を進め
ていたところ、2018 年 10 月 22 日に、当社の会計監査人である監査法人より、代位弁済
立替金に対する貸倒引当金の十分性について懸念があり、貸倒引当金の算定方法につい
て検証を行う必要がある旨の指摘を受けました。
 この指摘を受け、貸倒引当金の算定方法の検証を行った結果、11 月5日頃までに、監
査法人との間で、新たな貸倒引当金の算定方法、及び、2019 年3月期第2四半期決算か
ら変更後の算定方法を適用するとともに変更影響額は一括して計上することについて、
概ねの合意が得られました。これに従い、一旦は、当初の決算発表予定日から約1週間
後となる 2018 年 11 月 13 日に決算発表を行うこととしておりました。
 しかしながら、2018 年 11 月8日に、監査法人から、監査法人内での検討の結果、更
に貸倒引当金の算定方法について精査・検証する必要があり、加えて過年度にさかのぼ
って訂正を行うべきとの指摘が追加でなされたため、決算発表を行うことが困難となり、
2018 年 11 月 13 日に「2019 年3月期第2四半期決算発表の延期及び四半期報告書の提
出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ」を開示し、2018 年 11 月 14 日には 2019
年3月期第2四半期報告書の提出期限延長(11 月 14 日から 12 月 14 日)に係る承認を
受けました。
 その後、更に精査、検討を重ね、貸倒引当金の算定方法及び過年度決算の訂正範囲を
決定し、2018 年 12 月 13 日に過年度の決算短信等の訂正及び 2019 年3月期第2四半期
決算発表を行うとともに、2018 年 12 月 14 日に過年度の有価証券報告書等の訂正報告書
及び 2019 年3月期第2四半期報告書を提出いたしました。




                       5
 ③ 訂正前後の貸倒引当金の算定方法の概要

     訂正前の貸倒引当金の算定方法(以下「旧算定方法」といいます。)
      旧算定方法は、債権の発生期間別(毎月の賃料等に係る代位弁済のそれぞれの発生
     日を基準とする)で区分し、貸倒実施による直接償却をもとにした貸倒実績率を用い
     て回収不能見込み額を算定しておりました。


     訂正後の貸倒引当金の算定方法(以下「新算定方法」といいます。)
      新算定方法は、債務者別(同一顧客に対する複数の債権を名寄せし、その中で最も
     古い債権の発生日を基準とする)で区分し、貸倒実施による直接償却及び個別引当金
     の設定による間接償却をもとにした貸倒実績率を用いて回収不能額を算定しており
     ます。




2.2019 年 11 月 14 日の過年度決算訂正の経緯

(1)過年度決算訂正の内容

 ① 過年度決算訂正の主な内容

     当社は、2019 年 11 月 14 日、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出し、過年
 度の決算短信等の訂正を行いました。訂正した過年度決算短信等及び業績に及ぼす影響
 額については、以下のとおりであります。


【訂正した過年度決算短信等】
・訂正を行った有価証券報告書
     第16期 有価証券報告書    (自 2018年4月1日 至    2019年3月31日)


・訂正を行った四半期報告書
     第16期 第2四半期報告書   (自 2018年7月1日 至    2018年9月30日)
     第16期 第3四半期報告書   (自 2018年10月1日 至   2018年12月31日)
     第17期 第1四半期報告書   (自 2019年4月1日 至    2019年6月30日)


・訂正を行った決算短信
     2019年3月期決算短信    (自 2018年4月1日 至    2019年3月31日)




                          6
・訂正を行った四半期決算短信
  2019年3月期第2四半期決算短信      (自 2018年7月1日 至     2018年9月30日)
  2019年3月期第3四半期決算短信      (自 2018年10月1日 至    2018年12月31日)
  2020年3月期第1四半期決算短信      (自 2019年4月1日 至     2019年6月30日)


② 過年度決算短信等の訂正による業績への影響額

【2019 年3月期】                                  (単位:百万円)
   期間         項目       訂正前(A) 訂正後(B) 影響額(B-A) 増減率
          売上高             2,854     2,854     -        -
          営業利益                 55   ▲206    ▲262       -
          経常利益                 32   ▲229    ▲262       -
 第2四半期    親会社株主に帰属する
                               20   ▲196    ▲217       -
          四半期純利益
          総資産             5,928     5,711   ▲217   ▲3.7%
          純資産               795       578   ▲217   ▲27.3%
          売上高             4,356     4,356     -        -
          営業利益              120     ▲183    ▲304       -
          経常利益                 88   ▲215    ▲304       -
 第3四半期    親会社株主に帰属する
                               39   ▲220    ▲259       -
          四半期純利益
          総資産             6,775     6,515   ▲259   ▲3.8%
          純資産               814       554   ▲259   ▲31.9%
          売上高             6,082     6,082     -        -
          営業利益              256     ▲101    ▲358       -
          経常利益              211     ▲146    ▲358       -
   通期     親会社株主に帰属する
                            117     ▲149    ▲267       -
          四半期純利益
          総資産             7,033     6,766   ▲267   ▲3.8%
          純資産               893       625   ▲267   ▲29.9%




                           7
【2020年3月期】                                   (単位:百万円)
  期間           項目     訂正前(A) 訂正後(B) 影響額(B-A) 増減率
         売上高             1,631     1,631     -        -

         営業利益                 55     51     ▲4    ▲7.2%

         経常利益                 44     40     ▲4    ▲8.9%
 第1四半期   親会社株主に帰属する
                              23     20     ▲3    ▲13.6%
         四半期純利益

         総資産             7,408     7,137   ▲270   ▲3.7%

         純資産               916       646   ▲270   ▲29.5%


(2)過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等

 ① 過年度決算短信等を訂正するに至った経緯

   当社は、業容拡大に伴う代位弁済立替金の増加に対応するため、2018 年7月に長期債
 権の発生額の抑制を図るべく3か月超債権に対する専任部門設置(債権管理2課)によ
 る法的措置(明渡訴訟等)の強化を実施しました。専任部門設置の背景としては、設置
 以前は債権管理担当者一人当たりの取扱い債権数も多くなく、各支店や担当者の判断に
 任せて法的措置を含む回収対応を図っておりましたが、代位弁済立替金の増加に伴い、
 従来の回収手法では管理が困難となってきたことから、債権内容に応じて担当部門を区
 分(具体的には、これまでの回収手法では回収可能性が低いと判断され法的措置等の検
 討を開始することとなっていた、3か月超の債権区分の明確化)することにより、法的
 措置の組織的な推進強化を図ることを目的としておりました。この組織体制の変更は、
 入居を継続しながら債権回収を図っていくという従来の方針から、代位弁済立替金の追
 加発生を抑制するために法的措置(明渡訴訟等)を強化する方針に変更するものであり、
 結果として、賃貸借契約の解除が促進され、立替済みの代位弁済立替金のその後の回収
 可能性に変化をもたらすものであるため、本来は、この対応方針の変更のタイミングで
 貸倒引当金の見積りの前提の変化として認識し貸倒引当金の算定方法を見直すべきで
 ありました。しかし、2018 年 12 月 13 日の前回訂正については、2018 年 10 月 22 日に
 監査法人から当社への指摘がなされたことをきっかけとして貸倒引当金の算定方法の
 見直しを実施したものの、2019 年3月期第2四半期決算についても同時並行し比較的短
 期間で対応したことで、その見直しの適用時期の直後である 2018 年7月に実施した3
 か月超債権の対応方針の変更が貸倒引当金の算定方法に反映できておりませんでした。
   また、組織変更・対応方針の変更による貸倒引当金への反映が早期是正できなかった
 背景としては、2019 年 1 月に提出した改善報告書に記載した改善措置である、債権状況

                          8
 のモニタリング体制や各部門の専門性の向上等、業務管理体制の強化等により、貸倒引
 当金(一年以内債権に対する引当金を含む)の十分性については会社内及び監査法人と
 の間でも適宜協議を行うようになり、2019 年3月の監査法人との決算前協議においても
 協議は行いましたが、監査法人からは、現在の回収実績の状況を踏まえると債権全体と
 して引当は不足しているものとはいえないとの見解を示され、1 年以内債権の引当につ
 いては今後の精緻化の検討対象であると整理したことから、引当金の計算方法を見直す
 には至りませんでした。
           (後述3(2)②ⅰ参照)
                      。
  2020 年 3 月期第2四半期決算において、外部からの指摘もあり、監査法人と改めて協
 議を重ねた結果、2018 年7月に実施した組織変更・対応方針の変更は、従来の入居を継
 続させながら債権回収を図っていくという方針から、代位弁済立替金の発生を抑制する
 ために法的措置(明渡訴訟等)を強化する方針に変更するものであり、結果として、そ
 の後の回収可能性の変化をもたらすものであることから貸倒引当金の計算方法を変更
 するとともに、対応方針変更の時期に遡って適用することが妥当であると判断したため、
 2019 年3月期第2四半期に遡って訂正を実施することといたしました。


 ② 訂正前後の貸倒引当金の算定方法の概要

  前回訂正の際の貸倒引当金の算定方法は、退去・未退去(入居中の回収と退去後での回
 収では当社から契約者への連絡の容易さや契約者の弁済意欲等も異なる)が概ね分かれ
 てくる時期が 1 年であること、及び「金融商品会計に関する実務指針」第 112 項における
 記載(
   「貸倒懸念債権とは、経営破綻の状況には至っていないが債務の弁済に重要な問題
 が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権をいう。債務の弁済に重大
 な問題が生じているとは、現に債務の弁済がおおむね 1 年以上延滞している場合のほ
 か・・・」
     )を参考に、1 年以内の債権を一般債権と区分しておりました。
  新たな貸倒引当金の算定方法における区分は、前述の債権管理2課が扱う債権(発生か
 ら3か月超経過し、回収可能性に懸念のある債権)を基準とし、債権管理2課への移行前
 の債権を一般債権とし、移行後の債権は貸倒懸念債権としており、3年を超えて未入金の
 債権については従来どおり破産更生債権等としております。また、貸倒懸念債権について
 は、債権状況の実績等を適時に反映させるため、債権の区分を 1 年毎等で細分化しており
 ます。




3.改善措置並びにその実施状況及び運用状況等

(1)不適正開示の発生原因の分析

 当社は、訂正前の決算において重要な資料、データはすべて監査法人に提出しておりま
した。それにもかかわらず不適正開示が発生した原因は、以下に記載のとおり、①賃借人

                      9
の信用リスクの変化を適切に評価する専門的な知見が不十分であったこと、及び②貸倒引
当金の算定方法についての定期的な検証体制が整備できていなかったことにあると分析
しております。これらの原因により、信用リスクの変化に伴う貸倒引当金の算定方法の見
直しを適切な時期に行うことができなかったため、過年度決算の訂正を行うこととなった
ものと考えております。

① 賃借人の信用リスクの変化に係るモニタリング体制及びこれを適切に評価する専門
    的な知見が不十分であったこと

    当社が旧算定方法を採用開始した当時は、都市部での営業展開を開始しはじめた頃で
あり、代位弁済立替金は、当社が創業以来商圏自体を開拓してきた九州エリアにおいて
発生した債権が中心でした。九州エリアにおいては、当社との保証委託契約において連
帯保証人を付けることが自然と行われていたこともあり、代位弁済立替金の回収率が高
かったこと、また債権回収に対する人員体制も十分であったことから、非常に高い回収
率を維持できておりました。
    その後、東京、大阪等の都市部へ本格的に営業展開しましたが、同業他社が既に営業
展開していたため、他社に後発する当社は、セカンド利用(保証申込の優先順位が他社
より劣後)で当社を利用してもらい認知を上げシェアを拡大していく戦略を取りました。
この戦略自体は間違ったものではなく、実際にセカンド利用からファースト利用に切り
替わった不動産業者も多数存在します。これらの結果、売上高は順調に増加したものの、
これに伴って代位弁済立替金も急増することとなりました。そして、この都市部進出に
より増加した代位弁済立替金について分析すると、以下のような理由により、回収可能
性の低い中長期滞留債権の比率が高いものになっておりました。

   当社が単独で連帯保証人を引き受ける債権(回収可能性の劣る債権)の代位弁済立替
    金に占める割合が高まっていたこと
   事業規模の拡大に合わせた債権管理部門(債権管理部、管理支援部、管理事務部、法
    務管理部)の人員を十分に確保できていなかったこと
   債権管理部門においては、部門としての社内評価が主に全体の回収率(一定期間に発
    生した代位弁済立替金に対する、当該期間に回収した代位弁済立替金の総額の比率)
    の目標達成状況によって行われていたため、比較的回収がしやすい短期債権に対す
    る回収業務を優先し、中長期債権の回収が後回しとなる傾向が強まっていったこと

    これらがありつつも、当社は全体の回収率を重視しており、この回収率の維持・改善
を最大の目標としていた中で、全体の回収率自体は少しずつ下降しながらも一定の水準
は維持しておりました。そのため、九州エリア中心に事業展開していた頃(旧算定方法
の採用開始当時)に比べて、代位弁済立替金に占める中長期滞留債権の割合が増加して
おり、また、賃借人の信用リスクも変化しているという実態を的確に捉えるモニタリン

                       10
グ体制が十分でなく、かかる実態を把握するに至らなかった結果、貸倒引当金の算定方
法を見直すべき局面にあったことを看過することとなりました。
 今般振り返ると、その根本には、当社においては、賃借人の信用リスクの評価は当社
の本業である家賃債務保証事業の根幹であるにもかかわらず、かかるリスクの変化を適
切に評価するモニタリング体制及び専門的な知見が不十分であったことが挙げられま
す。


② 貸倒引当金の算定方法についての定期的な検証体制の未整備

ⅰ 監査法人とのコミュニケーション不足
 旧算定方法については、上述のとおり、金融商品会計基準に準拠した算定方法として
監査法人とも相談した上で採用していたこと、旧算定方法から変更すべきではないか
という点について監査法人に意見を求めてもその必要性が指摘されなかったことから、
旧算定方法について見直しを行うという明確な問題意識を持つには至りませんでした。
 他方で、当社においても、中長期的な債権の増加による貸倒引当金の算定方法の変更
の必要性について、主体性をもって監査法人に対して相談することまではできており
ませんでした。


ⅱ 業務処理体制の問題
 会計上の見積りを要する勘定科目の処理方法は、全てマニュアル化されており、例え
ば受取保証料の売上按分方法については、当社固有の方法であるため、毎期、その算定
方法について検証しておりますが、貸倒引当金については、会計基準に準拠している限
りは、特段の懸念等がある場合を除き、その算定方法等について事前に検証を要する勘
定科目としては扱っておりませんでした。当社の事業の性質、総資産に占める代位弁済
立替金の割合及び近年の増加率等を踏まえれば、適時適切に貸倒引当金の算定方法の
変更を実現できるよう、定期的な検証方法をマニュアルに記載し運用することが必要
であったと考えております。


ⅲ ガバナンス体制の問題
 当社の取締役は、社内昇格に加え、経理部門の経験者、金融機関経験者や企業経営者
等が就任しておりますが、公認会計士等の企業会計に対する専門家は含まれておらず、
また監査役にも公認会計士等の専門家は含まれておりません。今回問題となった貸倒
引当金の算定方法の適否の評価は、特に専門的な知見が必要な分野でもあり、取締役ま
たは監査役に専門家を登用する必要があったと考えております。




                  11
(2)改善措置並びにその実施状況及び運用状況

 ① 中長期滞留債権の増加への対策、回収状況等に係るモニタリング体制の構築及びこ
      れを適切に評価する専門的な知見の涵養

     ⅰ 中長期滞留債権の増加への対策
 【改善報告書に記載した改善策】
     債権管理部門における人員不足に対しては、近年取り組んできた基幹店への業務の
      集約化(各支店に配していた債権管理担当者を各エリアの基幹店に異動させ業務を
      集約すること)を引き続き進め業務全体の効率化を図り実質的な業務量を増加させ
      ることにより債権管理部門における労働力確保を図ってまいります。


【実施状況及び運用状況】
     債権管理部門における人員については、社内異動及び中途採用により改善報告書提出
 の 2019 年1月(当時、114 名)から本改善状況報告書提出の前月末(6月末)までに7
 名増員いたしました。その後、11 月 1 日までにさらに 23 名増員し、合計で 144 名とな
 っております。
     さらに、2019 年4月に債権管理に係る統計抽出や分析業務を業務統括部へ移管したこ
 とに加え、2019 年6月から債権回収の一部について弁護士に業務委託する範囲を拡大す
 ることで、社員の債権管理に係る業務負荷を減らすことにより、債権管理機能に係る実質
 的な増員効果を図っております。
     その結果、当面債権管理部門に必要な人員の確保ができたと考えております。
     また、基幹店への業務集約化につきましては、関東の2支店(群馬及び宇都宮)の債権
 管理業務を 2019 年6月より順次集約し、これまでに電話問合せ業務については集約され
 ており、今後は状況を確認しつつ、人事異動等を伴う集約化も検討してまいります。また、
 茨城支店の全ての債権管理業務を 2019 年7月より東京へ集約しております。
                                      このように、
 それまで当該支店管轄エリアのみの債権回収を行っていたものを、基幹店(東京)におい
 て他のエリアの債権の状況を踏まえた債権回収行動を取ることにより、管轄エリア全体
 の債権管理行動の最適化、効率化を図っております。
     なお、7 月以降、債権管理部門における労働力確保として、上記の通り債権管理部門の
 人員を大幅に増員しております。今後は、増員による直接的な効果と業務集約化による増
 員効果を合わせて効果的な労働力確保に努めてまいります。




                        12
 【改善報告書に記載した改善策】
     債権管理部門の社内評価指標(経営陣から債権管理部門に対して求める指標)として、
      回収率のみならず、賃借人ごとに名寄せした経過期間毎の代位弁済立替金の残高・回
      収状況等の指標を採用し、中長期債権の回収率向上に係る一定の目標設定をしたう
      えでその達成状況をより高く評価するような運用といたします。


【実施状況及び運用状況】
     2019 年3月度より、債権管理部門では、社内評価指標(経営陣から債権管理部門に対
 して求める指標)として、賃借人ごとに名寄せした経過期間毎の代位弁済立替金の残高、
 回収件数、回収金額、回収率の指標を採用しております。
     また、2018 年7月から経過期間毎(1 か月以内、3 か月以内、3か月超)に債権管理担
 当部門を組織的にも区分しており、それぞれの部門における社内評価指標の毎月、四半期、
 半期、年間の目標達成状況について計数管理を実施しております。加えて、債権管理部門
 における個人目標について、従来は短期、中長期を総合した部門別の回収率目標に対する
 各個人の相対的な貢献度によって評価しており、個人別の中長期債権に関する目標設定
 はされておりませんでしたが、2019 年6月より個人別に中長期債権の数値目標を設定し
 ており、個人の中長期債権の回収実績について、半期毎に設定した数値目標の達成度合い
 により5段階で人事評価に反映されるようし、10 月に行った上期人事評価において実施
 しております。また、中長期債権の回収において特に実績を上げた社員に対しては 12 月
 に行う年間表彰の対象とする予定としております。
     今後も引き続き上記改善策を継続して実施するとともに、今後中長期債権に移行する
 短期債権の回収及び代位弁済の発生の抑制にも注力してまいります。


     上記改善策実施後の代位弁済立替金の状況としましては、代位弁済立替金残高の総額
 は、保証契約件数の増加に伴い増加傾向にはありますが、半期ごとの増加額及び増加率の
 推移は低下してきております。中期(1~3か月)
                       、長期(4~12 か月)の区分別の債権
 についても同様の傾向となっております。
     また、中長期債権の抑制及び保証契約、代位弁済立替金の良質化(代位弁済立替金の発
 生率が低いまたは発生してもより回収率の高い債権への変化)を図るため審査与信基準
 の精緻化に取り組んでおります。当社の保証審査は自社情報や申込者からの申告情報等
 をもとに実施してきたため、職種や業種等の属性等での判断に加え、取引不動産会社毎の
 滞納発生率等を基にした審査に止まり、各個人の継続的な支払能力や資質についての判
 断には限界があったため、2019 年3月には日本信用情報機構(貸金業法に基づく指定信
 用情報機関、2019 年 3 月末時点で 1,369 社が加盟)に加盟し、2019 年 11 月から同社の

                          13
    個人信用情報データベース(4 億件超の登録情報)を活用した保証審査システムを稼働開
    始しております。これにより、申込者の金融取引履歴の照会を通じた一層精緻な与信判断
    が可能となり、保証契約、代位弁済立替金の良質化を図ってまいります。当該個人信用情
    報データベースの照会には、各申込者の同意が必要であるため、取引不動産会社に対して
    順次切り替え案内を行っており、2020 年 3 月末には全体の 6 割超を新商品へ切り替えす
    る計画で進めております。加えて、個人信用情報データベースを用いた審査与信判断等が
    より精緻化され、効果的に運用されるよう社内横断的な委員会組織として「与信管理委員
    会」を設置し、与信状況のモニタリング、審査基準の検討、途上与信への運用検討等を実
    施していく予定であります。




        ⅱ 回収状況等に係るモニタリング体制の構築及びこれを適切に評価する専門的な知
         見の涵養


         【改善報告書に記載した改善策】
        中長期滞留債権の回収状況のモニタリング体制に関しては、債権回収活動における
         管理指標として、債権管理部門において賃借人ごとに名寄せした経過期間毎の代位
         弁済立替金の回収状況を採用した上で、当該管理指標に関する資料を作成し、毎月の
         取締役会において報告を行います。これにより、取締役会において債権の状況やその
         変化の適時的確な把握を図ります。

        【実施状況及び運用状況】
         債権管理部門は、債権回収活動における管理指標として、賃借人ごとに名寄せした経
        過期間毎の代位弁済立替金残高及び貸倒引当金の金額並びに推移について、2019 年 1
        月の取締役会から毎月報告しております。また、賃借人ごとに名寄せした経過期間毎の
        代位弁済立替金に関する回収の状況については 2019 年3月の取締役会から毎月報告し
        ております。これにより、取締役会において賃借人ごとに名寄せした経過期間毎の代位
        弁済立替金の回収状況を適時的確に把握できる体制といたしました。
         なお、これまで債権管理に関する統計整理や分析は債権管理部門で行っておりまし
        たが、債権管理も含めた統計についての分析体制及び内部牽制体制の強化のため、2019
        年4月に組織変更により業務統括部(大分本社及び東京本社)を設置し、部門として債
        権管理に関する統計整理や業者別、地域別、代位弁済発生経過期間別等様々な切り口に
        よる分析を行う体制としました。業務統括部は、債権管理部門から依頼された統計抽出
        や分析を行い、結果を債権管理部門に回答するとともに、業務統括部も主体的に(債権
        管理部門からの依頼が無くても)分析等を行い、債権管理部門に対して提案や助言を行
        います。統計整理や分析業務を現場部門である債権管理部と切り離した部門が行うこ

                            14
    とで、牽制機能を働かせるとともに、より詳細な統計や深い分析ができる体制とするこ
    とを企図したものです。また、同じ事業本部内の営業統括部との関係では、いわばアク
    セルとして売上規模の拡大を担う営業統括部と、それに対していわばブレーキとして
    中長期債権の抑制等の観点から債権の健全化を担う業務統括部という位置付けで、相
    互に牽制し合う関係を構築していくことを企図しています。
     例えば、これまでの業務統括部による分析成果の一例として、各不動産業者がターゲ
    ットとする入居顧客層の違いが、不動産業者ごとの代位弁済発生率等の違いと一定の
    相関関係にあることが判明しております。これにより、そうした不動産業者ごとの傾向
    に基づき、保証契約を締結する際に与信審査を厳格化する等の措置を行い、結果的に契
    約数を制限していくといった取組みも開始しており、中長期債権の抑制に繋がるもの
    と考えています。こうした分析結果・分析資料は、随時取締役会に報告し、事業方針の
    決定における考慮要素とできる体制としております。
     今後も本改善策を引き続き実施してまいります。
     なお、本年 7 月の改善状況報告書提出以降、業務統括部においては、業者別の採算管
    理指標の作成、債権回収業務における現地訪問の効果検証、過去に与信を厳格化してき
    た特定職種の属性の分析、退去済みの債権の入金実績分析、個人信用情報データベース
    を用いた与信システムの仕様作成、与信管理委員会の設置(準備)などを行い、効率的
    な回収業務等に向けたサポートを行いました。




     【改善報告書に記載した改善策】
    これまで四半期決算でしか実績計上していなかった貸倒引当金繰入額について、月
     次決算においても賃借人ごとに名寄せした期間別債権残高実績に基づき計上するこ
     ととし、月次の回収状況等を適時に経営管理上の損益認識に反映いたします。


【実施状況及び運用状況】
    2018 年 11 月度より、月次決算において賃借人ごとに名寄せした期間別債権残高実績
に基づき貸倒引当金繰入額を計上しており、月次の回収状況等を適時に経営管理上の損
益認識に反映しております。
    今後も本改善策を引き続き実施してまいります。




                       15
    【改善報告書に記載した改善策】
    決算作業に従事する各担当者の会計知識について、より高い専門性を身に付けさせ
     るため、外部研修への積極的な参加や計画的な内部研修を実施いたします。また、役
     員に対しても、内部研修・外部研修等の実施を通じ、リスクの変化を適切に評価する
     知見を醸成いたします。


【実施状況及び運用状況】
     決算作業に従事する各担当者の会計知識等について、より高い専門性を身に付けさ
    せるため、以下の通り、研修等を実施しました。
     ・2019 年2月8日と3月 28 日に決算実務及び会計税務に関する監査法人を講師と
      する外部研修に財務経理部社員2名が参加しました。その後2月 8 日の外部研修
      については、その内容を共有する勉強会を3月5日に開催いたしました。3月 28
      日の外部研修については、受講レポートを部内で共有しました。
     ・2019 年 2 月 12 日に役員1名が日本監査役協会主催の不祥事対応実務に関する研
      修を受講しました。
     ・2019 年2月 21 日に収益認識基準について財務経理部内の勉強会を開催し、同月
      25 日に収益認識基準について監査法人より説明を受けました。
     ・2019 年3月 28 日には当社税務顧問に要請し、消費税率引き上げに関する説明会
      を開催し財務経理部社員及び総務部等関係部署社員が出席しました。
     ・2019 年5月 22 日には財務経理部社員1名が公認会計士を講師とする経理知識を
      深めるためのセミナーを受講しました。
     ・2019 年7月3日には財務経理部内で会計の原則(発生主義等)について勉強会を
      開催いたしました。
     ・2019 年7月 16 日及び 17 日には財務経理部社員 1 名が監査法人を講師とする税務
      申告の実務セミナーを受講しました。
     ・2019 年8月まで財務経理部社員1名が日本能率協会の日商簿記検定の通信教育を
      受講しました。
     ・2019 年9月 12 日には、経営企画部社員1名が宝印刷株式会社主催の金商法セミ
      ナー(第 2 四半期報告書)を受講しました。
     2020 年3月期の部門計画においては経理全般、税務、決算等に係る外部研修への積
    極的な参加(年4回の計画)と内部研修の実施(年4回の計画。部内勉強会を含む。)
    を掲げておりました。下期(2019 年 10 月~2020 年3月)の計画としましては外部研
    修を3回、内部研修を3回予定しております。
     役員に対する研修については、2019 年5月の取締役会において上場している同業他
    社との比較分析等を通じて当社の抱えるリスクについて協議、意見交換を行い、公表し

                         16
    ている当社の事業等のリスクについて貸倒引当金の算定方法の変更も含め、記載が不
    足している要素を認識・評価し、有価証券報告書の事業等のリスクに追記することとい
    たしました。2019 年 11 月には取締役会において代位弁済立替金の状況も含めて業績
    関連のトレンド、動向、今後の見込みについて共有及び意見交換を行いました。
     今後も引き続き随時研修や意見交換を行いリスクの変化を適切に評価する知見を醸
    成してまいります。なお、2020 年1月に監査法人による債権回収リスクの評価に関す
    る研修の実施を予定しております。




② 状況の変化に応じた会計処理方法の見直し体制の構築

    ⅰ 監査法人とのコミュニケーションの改善
    【改善報告書に記載した改善策】
    今回問題となった貸倒引当金算定方法の妥当性を含め、各種会計処理の妥当性につ
     いて、監査法人と一層能動的、主体的な意見交換ができる体制を整えます。具体的に
     は、決算作業に従事する各担当者が持つ疑問や課題等について、これまで随時の実施
     としていた社内の情報交換、意見交換を四半期毎に定例化したうえで、これら検討内
     容について、監査法人との事前協議において共有し、相談することといたします。


    【実施状況及び運用状況】
     社内の情報交換、意見交換について、2018 年 12 月に 2019 年3月期第3四半期決算
    作業を開始する際、2019 年3月に 2019 年3月期通期決算作業を開始する際、2019 年
    6月に 2020 年3月期第 1 四半期決算作業を開始する際、2019 年9月に 2020 年3月期
    第2四半期決算作業を開始する際に、それぞれ、決算スケジュール表を作成し、財務経
    理部内において情報交換、意見交換の会議を行い、その検討内容について、主に以下の
    内容について、財務経理部と監査法人との事前協議において共有し、相談いたしました。
         年月日                     内容          協議結果
    2018 年 12 月 27 日   中長期債権の回収実態と貸倒引当金   既存の会計処理について
                       に及ぼす影響等            変更無し
    2019 年3月 28 日      貸倒引当金等の計上に関する充分性、 既存の会計処理について
                       見直し要否の検討等          変更無し
    2019 年6月 27 日      中長期債権の回収実態と貸倒引当金   既存の会計処理について
                       に及ぼす影響等            変更無し
    2019 年9月 12 日      貸倒引当金等の計上に関する充分性、 引き続き精緻化の要否を
                       見直し要否の検討等          検討する
     また、財務経理部は債権管理部と月次及び随時に、債権管理の状況や統計等の情報を
    共有収集した上で監査法人との決算時の事前協議を行っており、債権の状況の変化等
                                 17
    が監査法人に伝わるようにしております。 前述2(2)①のとおり、3月 28 日の監査
    法人との協議において、算定方法の見直しの必要性について協議したものの、監査法人
    からは、現在の回収実績の状況を踏まえると債権全体として引当は不足しているもの
    とは言えないとの見解を示され、 年以内債権の引当については今後の精緻化の検討対
                   1
    象であると整理しました。
     なお、2019 年 11 月の再度の過年度決算訂正に対する再発防止策として、組織変更
    や業務の方針変更等がなされた際に、財務経理部にてその変更内容等から会計に与え
    る影響を確認し、監査法人にも報告相談のうえ、会計処理への反映の要否を都度検討
    することで同様の問題の再発防止を図ります。組織変更や事業の方針変更について
    は、職務権限規程において稟議(重要性に応じて執行役員会または取締役会)にて協
    議・承認がなされることとされており、会計処理上の見積りが含まれる勘定科目につ
    いては、四半期毎にその見積りに影響を及ぼしうる組織体制や方針の変更がないこと
    の確認を行うため、財務経理部において四半期毎に執行役員会および取締役会の議事
    録確認並びに稟議書の再確認を実施し、当該確認結果を監査法人との四半期毎の決算
    前協議においても共有することといたします。


    ⅱ 業務処理体制の改善
    【改善報告書に記載した改善策】
    今般の貸倒引当金の算定方法の変更について、関連するマニュアルを 2018 年 12 月
     付で改訂し、毎年決算確定まで(概ね1月から4月の間)に貸倒等毀損額(貸倒実施
     による直接償却額及び破産更生債権等として個別引当設定した間接償却額)の状況
     や回収状況に基づき、前期に設定した貸倒引当金の妥当性を検証のうえ、当期末の算
     定方法の妥当性を確認する旨を追記し、既に運用を始めております。運用の状況につ
     いては、内部監査部により定期的に行われる内部監査及び J-SOX の運用評価におい
     て確認することといたします。


    【実施状況及び運用状況】
     貸倒引当金の算定方法にかかるマニュアルは、改善報告書に記載のとおり、2018 年
    12 月に改訂いたしました。
     2019 年1月の内部監査部による J-SOX 運用評価においては、2019 年3月期第3四
    半期決算作業をサンプルとして、マニュアルに則した運用を確認しております。なお、
    2019 年3月期通期決算作業をサンプルとした最終的な内部監査部による確認(ロール
    フォワード)は 2019 年5月に実施しております。
     今回 2020 年3月期第 2 四半期における貸倒引当金の算定方法の見直しにより、貸倒
    引当金の算定方法に係るマニュアルを改訂し運用しております。
     なお、貸倒引当金の算定方法を精緻化していくための補完措置として債権全体に対

                         18
    する貸倒引当金の十分性に関する検証について、算定時点の代位弁済立替金残高(経過
    年数の異なる債権が混在)に対し、経過期間毎の回収予測額から算出される将来(経験
    則に基づき 5 年後等)の未回収予測額を予想損失額として比較検証する方法等も追加
    して実施することを検討しております。




    ⅲ ガバナンス体制の改善
    【改善報告書に記載した改善策】
    組織的な管理体制に係る改善策として、決算、会計について専門的見地からの意見や
     判断が期待できる公認会計士等の専門家を当社の社外役員(取締役または監査役)に
     選任することを検討しております。既に人選を開始しており、2019 年6月の当社定
     時株主総会で選任できるよう調整を進めてまいります。


    【実施状況及び運用状況】
     決算、会計について専門的見地からの意見や判断ができる者として、2019 年6月開
    催の定時株主総会において、公認会計士の印東大祐氏と、弁護士の飯渕裕氏を当社の社
    外監査役として選任いたしました。
     印東氏は、大手監査法人において上場会社の会計監査に長年携わるなど公認会計士
    としての専門的な知識・経験を有し、会計専門家として独立性をもって客観的な立場か
    ら監査の妥当性を確保できると判断し、社外監査役として選任いたしました。
     飯渕氏は、弁護士としての専門的知見と経験により独立性をもって取締役会の意思
    決定の妥当性・適法性を確保するための助言、提言を行うとともに、コーポレート・ガ
    バナンス強化に寄与すると判断し、社外監査役に選任いたしました。
     なお、弁護士・公認会計士である社外役員の就任が 6 月末であるため、それ以前に
    (貸倒引当金の十分性等に関する)意見等をもらうことはありませんでしたが、7月に
    提出した改善状況報告書の内容やその後の対応等については、これまでの監査法人等
    との協議記録等も確認いただき、随時専門的な見地から意見をもらっております。
     また、今般の再度の訂正となった貸倒引当金の算定方法やその手続き等の合理性に
    ついても監査法人と直接の確認をいただいたうえで両社外監査役からそれぞれの専門
    的な見地から意見等をもらいました。




                        19
(3)改善措置の実施スケジュール

    改善措置の実施スケジュールは以下のとおりです。
                                     →:施策検討及び準備          ◎:実施
                   12   1    2   3   4   5   6   7   8   9   10

                   月    月    月   月   月   月   月   月   月   月   月

①中長期債権の増加への対策、回収状況のモニタリング体制の構築及びこれを適切に評価す
る専門的な知見の涵養
・債権管理部門における労働力確    ◎    ◎    ◎   ◎   ◎   ◎   ◎
保

・債権管理に係る指標の見直し及    →    ◎    ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎
び管理

・回収状況等の取締役会報告      →    →    →   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎
・貸倒引当金繰入額の月次計上     ◎    ◎    ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎
・決算担当者に対する会計研修、勉        →    ◎   ◎       ◎       ◎   ◎       ◎
強会

・役員に対する研修、勉強会           →    →   →   →   ◎
②会計処理方法の見直し体制の構築

・監査法人との情報交換等の定例    ◎             ◎           ◎           ◎
化

・貸倒引当金計上マニュアル改訂    ◎
・貸倒引当金算定方法の変更要否    →    →    →   →   ◎
検討(マニュアルの運用)

・会計専門家の役員選任        →    →    →   →   →   →   ◎




4.改善措置の実施状況及び運用状況に対する上場会社の評価

 当社は、適時開示を適切に行うための体制の不備から、2018 年 12 月及び 2019 年 11 月の
二度に渡り、過年度の決算短信の訂正及び過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出
するに至り、株主、投資家の皆様をはじめ取引先及び関係先の皆様に多大なご迷惑とご心配
をお掛けしましたことを、改めて深くお詫び申し上げます。
 当社は、前述の再発防止に向けた改善措置を着実に実施・運用しており、回収状況に係る
モニタリング体制、専門的な知見の涵養、監査法人とのコミュニケーション、業務処理体制、
ガバナンス体制等、その成果は表れていると評価しております。また、中長期債権の増加へ
の対策については、一定の成果は表れていると評価しておりますが、当社の事業そのものと
                            20
密接に関連しており、更なる改善を目指し、今後も継続して様々な事項に取り組んでまいり
ます。
 今回の事態について、上場会社としての責任を深く認識し、さらにまたこのような事態を
起こさないように、改善措置を継続して運用し、全役職員一丸となって会社の持続的な成長
と中長期的な企業価値の向上に励み、信頼の回復に取り組んでまいります。


                                      以上




                   21