7181 かんぽ生命保険 2019-12-27 18:00:00
当社に対する行政処分について [pdf]
2019 年 12 月 27 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 か ん ぽ 生 命 保 険
代表者名 取締役兼代表執行役社長 植 平 光 彦
(コード番号:7181 東証第一部)
問合せ先 広報部(TEL.03-3477-2357)
当社に対する行政処分について
株式会社かんぽ生命保険(東京都千代田区、取締役兼代表執行役社長 植平光彦、以
下「かんぽ生命」
)は、本日、金融庁より、保険業法第 132 条第 1 項に基づく「業務停
止命令」及び「業務改善命令」を受けました。
行政処分の内容等は、別添のとおりですが、当社では、今回の処分を厳粛に受け止め、
これを深く反省するとともに、業務改善計画を策定のうえ、全社をあげてお客さま本位
の営業活動の徹底と抜本的な改善策により、信頼回復に取り組んでまいります。
なお、2019 年 11 月 14 日付「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」でお知ら
せした、2020 年 3 月期業績予想及び配当予想について、現時点で変更はございません。
また、別添及び別紙の対応によっても、当社の健全性を示す連結ソルベンシー・マー
ジン比率への影響は軽微であると認識しております。
(2019 年 9 月末時点の連結ソルベ
ンシー・マージン比率:1,189.5%)
本件につき、今後開示すべき事象が発生した場合は、速やかに開示いたします。
以上
別添
行政処分について
1.行政処分について
(1) かんぽ生命への行政処分
① 金融庁による行政処分
ア 行政処分の内容
(ア) 令和2年1月1日(水)から令和2年3月 31 日(火)までの間、
貴社保険商品に係る保険募集(生命保険募集人に委託しているもの
を含む。以下同じ。 )及び保険契約の締結を停止すること。
(顧客からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集及び保険契約
の締結を除く。 その他、当局が契約者保護の観点から必要とされる業
務として個別に認めたものを除く。 )
(イ) 適切な業務運営を確保し、 保険契約者の保護を図るため、以下を実
行すること。
a 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
b 顧客に不利益を生じさせた可能性の高い契約の特定、調査、契約
復元等、適切な顧客対応の実施( 「特定事案調査」の契約類型及び
ウ(ア)に記載するそれ以外の不適正な募集行為の可能性がある契約
類型を含む)
c bの調査により、 不適正な募集行為を行ったと認められる募集人
に対する適切な対応 (事故判定・処分基準の厳格化と運用の徹底を
含む)
d 適正な営業推進態勢の確立(乗換を助長しない、かつ実態に即し
た営業目標の策定を含む)
e コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
(適切な募集方針の策定 浸透や職員及び募集人に対する研修を含
・
む)
f 適正な募集管理態勢の確立 (代理店に対する十分な牽制機能の構
築を含む)
g 上記を着実に実行し、 定着を図るためのガバナンスの抜本的な強
化
(ウ) 上記(イ)に係る業務の改善計画を令和2年1月末までに提出し、直
ちに実行すること。
(エ) 上記(ウ)の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3ヶ
月毎の進捗及び改善状況を翌月 15 日までに報告すること(初回報告
基準日を令和2年2月末とする) 。
イ 根拠となる法令の条項
保険業法(平成7年法律第105号)第132条第1項
ウ 行政処分の理由
令和元年 12 月 18 日(水)付で公表されたかんぽ生命保険契約問題
特別調査委員会の調査報告書も参考にしつつ、 令和元年8月 23 日(金)
を検査予告日として実施した貴社に対する検査の結果や貴社に対し保
険業法第 128 条第1項に基づき求めた報告を検証したところ、以下の
不適正な募集行為及びその背景にある態勢上の問題が認められた。
(ア) 不適正な募集行為
貴社及び日本郵便が、2019 年7月より「特定事案調査」として実
態把握を行った契約において、貴社保険商品に関し、以下のような不
適正な募集行為(顧客に不利益になる、又は顧客にとって合理性のな
い契約であって当該顧客の意に沿わないものに係る保険募集) が認め
られた。
a 契約の乗換に際し、契約者に対して「一定期間解約はできない」
「病歴の告知があっても加入可能」 などの事実と異なる説明を行っ
たこと等により、 契約の重複による二重払いや無保険期間の発生等
の不利益を顧客に生じさせるなど、 保険業法第 300 条第1項に違反
するものが少なくとも 67 件認められた。
b 契約の乗換に際し、契約者に対して「自分の営業成績のために解
約を遅らせてほしい」などの依頼を行い、契約の重複による二重払
い等の不利益を顧客に生じさせるなど、 社内ルールに違反するもの
が少なくとも 662 件認められた。
c 上記に加えて、法令や社内ルールへの抵触如何にかかわらず、不
適正な募集行為により顧客に契約を締結させ、 顧客に不利益を生じ
させた。
また、貴社及び日本郵便が、「特定事案調査」として実態把握を行
った契約類型以外にも、貴社保険商品に関し、以下のような不適正な
募集行為の可能性がある類型の存在が認められた。
顧客の意向に沿わず、
・ 多数回にわたって契約の消滅・新規締結が繰り返されている類
型
・ 多額の契約が締結され、高額の保険料が発生している類型
・ 既契約が解約され、既契約とは異なる被保険者で新契約が締結
されている類型
・ 既契約が解約され、既契約とは異なる保険種類(年金から保険
など)での新契約が締結されている類型
・ 既契約の保険期間が短縮され、短縮されてから短期間のうちに、
新契約が締結されている類型
更に、実際には、節税効果が見込めない保険商品であるにも関わら
ず、社内研修資料において、募集人に対し、相続税対策として顧客に
説明・販売することを慫慂しているなど、不適正な募集行為を助長し
かねない実態が認められた。
なお、無効・合意解除(苦情を受けて解約・返金をしたもの) 、未
入金解除(初回保険料未払で解除)、1P失解・解約(初回保険料支払
後に解除)、撤回(クーリングオフ)となっている契約が多数認めら
れたが、これらの中には結果的に顧客に不利益が生じていない、また
は僅少ではあるものの、不適正な募集行為により、顧客の意向に沿わ
ない契約が締結されているものが含まれているおそれがある。
(イ) 態勢上の問題点
貴社及び日本郵便において、不適正な募集行為が広がった背景に
は、貴社において、以下のような態勢上の問題があったと認められ
た。
a 過度な営業推進態勢
営業目標として乗換契約を含めた新規契約を過度に重視した不
適正な募集行為を助長するおそれがある指標を使用し続けた上に、
経営環境の悪化により、営業成績が振るわないことが想定される
にもかかわらず、具体的な実現可能性や合理性を欠いた営業目標
を日本郵便とともに設定してきたこと。
b コンプライアンス・顧客保護の意識を欠いた組織風土
事故判定やその調査において、顧客に不利益が生じている場合
であっても、契約者の署名を取得していることをもって顧客の意
向に沿ったものと看做し、募集人が自認しない限りは事故とは認
定せず、不適正な募集行為を行ったおそれのある募集人に対する
適切な対応を行わず、コンプライアンス・顧客保護の意識を欠いた
組織風土を助長したこと。
c 脆弱な募集管理態勢
日本郵便の営業現場における募集活動の実態、募集人の営業目
標や営業手当の状況、営業成績が優秀な者に対する表彰の状況、各
種研修の内容等を把握せず、委託として保険代理店である日本郵
便に対して、適正な募集管理態勢の構築に必要な指示を行なって
こなかったこと。
また、第二線である募集管理統括部及びコンプライアンス統括
部、苦情対応部門等に加え、日本郵便の営業現場を指導する支店パ
ートナー部などに十分な人材配置を行っていないなど、業務の適
切性を確保しうる募集管理態勢を整備してこなかったこと。
更には、日本郵便との間で十分な連携を図ることなく、適時に実
効性の高い施策を実行してこなかったこと。
d ガバナンスの機能不全
苦情、ありがとうコール(契約を締結した顧客に対する電話によ
る事後的な意向確認)、多数契約の分析などに加え、メディアの報
道や当局のヒアリング等により不適正な募集行為の端緒を把握し
ていたにもかかわらず、十分な実態把握を行わず、営業活動に影響
が生じることを懸念し、抜本的な改善を図ってこなかったこと。
2.日本郵政グループによる再発防止策
日本郵政グループでは、これまで、特定事案調査の結果及び全ご契約調査の
状況並びに募集管理に係る当面の取組み(別紙参照)等を検討、公表してまい
りました。
これらに加え、業務改善計画を策定して、早期にお客さまの不利益の解消を
図るとともに、再発防止のための更なる改善策を検討してまいります。
3.責任の明確化
代表執行役社長が 2020 年 1 月 5 日をもって辞任することとし、本日の当社
取締役会において新たな代表執行役社長として千田哲也を選任いたしました
(2020 年 1 月 6 日就任予定)。
そのほかの役員につきましては、 以下のとおり、それぞれに掲げる割合によ
り役員報酬の減額等を実施します(2019 年 6 月以降に新たに就任した役員を
除きます) 。
(1) 執行役
2020 年1月から同年6月(任期満了まで)の間、月額報酬の減額を行いま
す。 (役職は 2019 年 5 月 31 日時点)
代表執行役副社長: 40%
専務執行役: 30%
常務執行役(内部監査担当) : 30%
常務執行役(営業企画担当、営業推進担当) : 30%
常務執行役(法人営業開発担当、営業指導育成担当、エリア本部担当)
:30%
常務執行役(経営企画担当) : 20%
常務執行役(新契約担当) : 20%
常務執行役(商品開発担当) : 20%
その他の常務執行役: 10%
執行役(内部監査部長) : 10%
執行役(経営企画部長) : 10%
執行役(営業推進部長) : 10%
執行役(エリア本部長) : 10%
上記以外の執行役: 5 %
(2) 非業務執行取締役
2020 年1月から同年6月(任期満了まで)の間、月額報酬の5~10%の自
主返上を行います。
以上
別紙
再発防止策(募集管理に係る当面の取組み等)
(1)営業目標・手当等の見直し
・ 販売額を重視した営業目標から、保険料の純増額をベースとした目標
へ見直し等【2020 年 4 月】
・ 契約乗換に該当する契約に対する現行の手当 (通常の契約の 1/2 支給)
を、不支給に見直し等【2020 年 4 月以降】
(2)お客さま本位の営業活動の強化
① お客さま本位のコンサルティングサービスの実施【2020 年 4 月】
② お客さま情報の高度化【2020 年 4 月以降順次実施】
かんぽ商品の契約においてお客さま情報を一元管理できる仕組みを構築
し、お客さまの過去の契約状況を確認し、募集品質管理に活用できる体制
を整備
③ お客さまのご意向確認の強化【2020 年 1 月】
品質に懸念のある申込みについては、かんぽ生命の専用コールセンター
による重層的なご意向確認等
④ 募集管理態勢強化に向けた体制見直し【2020 年 4 月以降】
かんぽ生命の支店等の機能、日本郵便の金融渉外部の強化
(3)コンプライアンス、監査部門の機能の充実【2020 年 4 月】
(4)契約乗換対策
① 条件付解約制度・契約転換制度の導入【2020 年 1 月・2020 年 10 月以降
早期】
② 契約乗換判定期間の拡大【2020 年 4 月以降】
(5)青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに応えるための商品開発
(6)募集人調査態勢の強化
(7)組織風土改革(「お客さま本位の業務運営」の浸透、金融営業専用の社外通
報窓口新設【2020 年 3 月末までに】、グループ会社間の連携強化)
(8)改善策の進捗管理を行うタスクフォースの立ち上げ
日本郵政にタスクフォースを立ち上げ、グループ全体として改善の計画を
取りまとめ、第三者によるモニタリングを受けつつ着実に実行し、その進捗
状況について定期的に公表する
※ 詳細は、2019 年 12 月 18 日のプレスリリースをご参照願います。
以上