7181 かんぽ生命保険 2019-05-20 15:00:00
2019年3月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について [pdf]
2019 年 5 月 20 日
各 位
会 社 名 株 式 会 社 か ん ぽ 生 命 保 険
代表者名 取締役兼代表執行役社長 植 平 光彦
(コード番号:7181 東証第一部)
問合せ先 広 報 部 (TEL.03-3477-2357)
2019 年 3 月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について
株式会社かんぽ生命保険(東京都千代田区、取締役兼代表執行役社長 植平光彦、以下「かんぽ
生命」)は、かんぽ生命の現状をよりご理解いただくために、ヨーロピアン・エンベディッド・
バリュー原則(以下「EEV 原則」)に従って計算した 2019 年 3 月末におけるかんぽ生命のヨー
ロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」)を開示いたします。
‐1‐
目次
1.EEV の概要 ............................................................................................................................................ 3
(1)EV について....................................................................................................................................... 3
(2)EEV について .................................................................................................................................... 3
(3)EEV の計算手法 ................................................................................................................................ 3
2.旧簡易生命保険契約について ............................................................................................................. 4
3.EEV の計算結果 .................................................................................................................................... 5
(1)修正純資産 ......................................................................................................................................... 5
(2)保有契約価値 ..................................................................................................................................... 6
(3)新契約価値 ......................................................................................................................................... 7
4.前年度末 EEV からの変動要因 ........................................................................................................... 8
5.感応度(センシティビティ) ........................................................................................................... 10
6.注意事項 ............................................................................................................................................... 13
付録 A EEV の計算手法 .......................................................................................................................... 14
付録 B EEV 計算における主な前提条件............................................................................................... 17
付録 C 第三者意見 ................................................................................................................................... 25
(参考資料)用語に関する説明・補足 ................................................................................................... 26
‐2‐
1.EEV の概要
(1)EV について
エンベディッド・バリュー(以下「EV」)は対象事業に割り当てられた、資産および負債から
生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りです。ただし、将来の新契約から生じる価値は含
みません。この価値は、修正純資産および保有契約価値で構成されるものです。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープ
ラスで構成されるものです。
保有契約価値は、保有契約および保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への
分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用などを控除した
ものです。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するも
のの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収すること
が期待される収支構造となっています。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各
EV
年度の損益として把握していますが、 は、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価すること
となるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと
考えています。
(2)EEV について
EV の開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004 年 5 月にヨーロッパの主要保険
会社の CFO(最高財務責任者)の集まりである、CFO フォーラムが、EEV 原則および指針(ガイ
ダンス)を制定し、2005 年 10 月には、感応度および開示に関連した指針(ガイダンス)が追加
されました。
2016 年 5 月には、CFO フォーラムによって EEV 原則の改正が公表され、EV に 2016 年 1 月か
ら施行された欧州ソルベンシーⅡなどの計算で用いた計算手法および前提の使用が許容されるよ
うになりました。
(3)EEV の計算手法
今回の EEV の計算には、市場整合的手法を用いています。この手法は、資産または負債から発
生するキャッシュ・フローを市場で取り引きされている金融商品と整合的に評価するものです。
欧州や日本の状況を踏まえ、かんぽ生命では EEV 原則に則り、市場整合的手法を用いて計算し
た EV を開示しています。
‐3‐
2.旧簡易生命保険契約について
かんぽ生命は、郵政民営化法(2005 年 10 月 21 日法律第 97 号)に基づき、2007 年 10 月 1 日に
発足しました。また、旧日本郵政公社において 2007 年 9 月末までに契約された簡易生命保険契約
(以下「旧簡易生命保険契約」)は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワ
ーク支援機構(以下「支援機構」)に承継されるとともに、支援機構が負う保険責任のすべてに
ついて、かんぽ生命が受再しています。
かんぽ生命は、支援機構との再保険契約において、旧簡易生命保険契約を他の保険契約と区分
して管理すること(旧簡易生命保険契約に係る危険準備金および価格変動準備金も区分して管理
すること。)、旧簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金および価格変動準備金の戻入に
よる利益も含みます。)も区分して管理すること、および支援機構が旧簡易生命保険契約に対し
て既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額および法人税などを除
いたこの区分における利益)の 8 割の合計額を、支援機構へ再保険配当として支払うことを定め
ています。EEV の計算においては、この支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映し
ています。
このように支援機構への再保険配当の原資に、旧簡易生命保険契約に係る危険準備金および価
格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、旧簡易生命保険契約に係る危険準備金およ
び価格変動準備金は修正純資産には含めず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて
計算しています。
‐4‐
3.EEV の計算結果
2019 年 3 月末におけるかんぽ生命の EEV は、2018 年 3 月末から 1,824 億円増加し、3 兆 9,257
億円となりました。
(単位:億円)
2018年3月末 2019年3月末 増減
EEV 37,433 39,257 1,824
修正純資産 21,364 22,371 1,006
保有契約価値 16,068 16,886 818
2017年度 2018年度 増減
新契約価値 2,267 2,238 △29
(1)修正純資産
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債およびその他の負債の価値を超
過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値です。当期純利益による増加を主な理由
として、2019 年 3 月末における修正純資産は 2018 年 3 月末から 1,006 億円増加し、2 兆 2,371
億円となりました。修正純資産の内訳は以下のとおりです。
(単位:億円)
2018年3月末 2019年3月末 増減
修正純資産 21,364 22,371 1,006
(注1)
純資産の部計 15,958 16,755 796
価格変動準備金(注2) 2,512 2,356 △155
危険準備金(注2) 4,492 4,712 219
その他(注3) 503 730 227
上記項目に係る税効果 △2,102 △2,184 △81
(注1) 「付録 A EEV の計算手法 1.対象事業」に記載のとおり、計算対象に子会社を含めているため、
連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しています。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いて
います。
また、自己株式に計上している株式給付信託の帳簿価額を加えています。
(注2) 旧簡易生命保険契約に係る部分を除いています。
(注3) 保険契約に係らない有価証券、貸付金および不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積
立債務(未認識過去勤務費用および未認識数理計算上の差異)ならびに劣後債の含み損益を計上して
います。
‐5‐
修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりです。
(単位:億円)
保険契約に
会社合計 修正純資産
係る部分
① ①-②
②
修正純資産 102,412 80,040 22,371
純資産の部計(注1) 16,755 ― 16,755
価格変動準備金(注2) 8,974 6,618 2,356
危険準備金(注2) 19,627 14,914 4,712
その他(注3) 90,287 89,556 730
上記項目に係る税効果 △33,232 △31,048 △2,184
(注1) 連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しています。ただし、その他の包括利益累計額合計を除い
ています。
また、自己株式に計上している株式給付信託の帳簿価額を加えています。
(注2) 保険契約に係る部分(②)は、旧簡易生命保険契約に係る部分を計上しています。「2.旧簡易生
命保険契約について」をご参照ください。
(注3) 有価証券、貸付金および不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去
勤務費用および未認識数理計算上の差異)ならびに劣後債の含み損益を計上しています。
(2)保有契約価値
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約および保有
契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引い
ています。新契約の獲得を主な理由として、2019 年 3 月末における保有契約価値は 2018 年 3
月末から 818 億円増加し、1 兆 6,886 億円となりました。保有契約価値の内訳は以下のとおりで
す。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しています。また、旧簡易生命保険
契約に係る危険準備金および価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による
利益を含めて計算しています。「2.旧簡易生命保険契約について」をご参照ください。
(単位:億円)
2018年3月末 2019年3月末 増減
保有契約価値 16,068 16,886 818
確実性等価将来利益現価 21,055 21,315 259
オプションと保証の時間価値 △3,537 △2,979 558
必要資本を維持するための費用 △0 △0 0
ヘッジ不能リスクに係る費用 △1,448 △1,449 △0
‐6‐
(3)新契約価値
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(医療特約の切替加入契約については正味増加分の
み)の契約獲得時点における価値を表したものです。2018 年度の新契約価値は前年度から 29
億円減少し、2,238 億円となりました。新契約価値の内訳は以下のとおりです。
(単位:億円)
2017年度 2018年度 増減
新契約価値 2,267 2,238 △29
確実性等価将来利益現価 2,463 2,399 △63
オプションと保証の時間価値 △141 △75 65
必要資本を維持するための費用 ― △0 △0
ヘッジ不能リスクに係る費用 △54 △85 △31
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりです。
(単位:億円)
2017年度 2018年度 増減
新契約価値 2,267 2,238 △29
保険料収入現価(注) 41,507 37,762 △3,744
新契約マージン 5.46% 5.93% 0.46 ポイント
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いています。
‐7‐
4.前年度末 EEV からの変動要因
(単位:億円)
修正純資産 保有契約価値 EEV
2018 年 3 月末 EEV 21,364 16,068 37,433
(1)2018 年 3 月末 EEV の調整 △408 ― △408
2018 年 3 月末 EEV(調整後) 20,956 16,068 37,025
(2)2018 年度新契約価値 ― 2,238 2,238
(3)期待収益(リスク・フリー・レー
△22 620 598
ト分)
(4)期待収益(超過収益分) 19 419 438
(5)保有契約価値からの移管 1,325 △1,325 ―
うち 2018 年 3 月末保有契約 1,688 △1,688 ―
うち 2018 年度新契約 △363 363 ―
(6)前提条件(非経済前提)と実績の
270 △325 △55
差異
(7)前提条件(非経済前提)の変更 ― △18 △18
(8)前提条件(経済前提)と実績の差
△179 △789 △968
異
2019 年 3 月末 EEV 22,371 16,886 39,257
(1)2018 年 3 月末 EEV の調整
かんぽ生命は 2018 年度において 408 億円の株主配当金を支払っており、修正純資産がその分
減少します。
(2)2018 年度新契約価値
新契約価値は、2018 年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表した
ものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されています。
(3)期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いて
いますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の
時間価値、必要資本を維持するための費用およびヘッジ不能リスクに係る費用のうち 2018 年度
分の解放を含みます。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(△0.134%)
分に相当する収益が発生します。
(4)期待収益(超過収益分)
EEV の計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いますが、実
際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待します。この項目は、その期待さ
れる超過収益を表します。2018 年度の超過収益を計算するために使用した期待収益率は、「付
録 B EEV 計算における主な前提条件」をご参照ください。
(5)保有契約価値からの移管
2018 年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。こ
‐8‐
れには、2018 年 3 月末の保有契約から期待される 2018 年度の利益と、2018 年度に獲得した新
契約からの、契約獲得に係る費用を含めた 2018 年度の損益が含まれます。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEV の金額には影響しません。
(6)前提条件(非経済前提)と実績の差異
2018 年 3 月末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、2018 年度の実績の
差額です。
(7)前提条件(非経済前提)の変更
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、2019 年 3 月末以降の収支が変化することに
よる影響です。
(8)前提条件(経済前提)と実績の差異
市場金利やインプライド・ボラティリティなどの経済前提が、2018 年 3 月末 EEV 計算に用
いたものと異なることによる影響です。当該影響は、2018 年度の実績および 2019 年 3 月末以
降の見積りの変更を含みます。
主に為替リスクのヘッジに伴う資産運用費用の増加により、修正純資産は 179 億円減少しま
した。
主に国内金利の低下により、保有契約価値は 789 億円減少しました。
‐9‐
5.感応度(センシティビティ)
前提条件を変更した場合の EEV の感応度は以下のとおりです。感応度は、一度に 1 つの前提の
みを変化させることとしており、同時に 2 つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感
応度の合計とはならないことにご注意ください。
(単位:億円)
前提条件 EEV 増減額
2019年3月末EEV 39,257 ―
感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇 40,679 1,421
感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下 37,129 △2,128
感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下
36,319 △2,938
(低下後の下限なし)
感応度4:株式・不動産価値10%下落 38,330 △927
感応度5:事業費率(維持費)10%減少 41,072 1,814
感応度6:解約失効率10%減少 39,693 435
感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下 40,464 1,207
感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下 38,011 △1,246
感応度9:必要資本を法定最低水準に変更 39,257 0
感応度 10:株式・不動産のインプライド・ボラティリ
38,577 △680
ティ 25%上昇
感応度 11:金利スワップションのインプライド・ボラ
38,487 △770
ティリティ 25%上昇
感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりです。また、感応度5から 11 に
ついては、保有契約価値のみの増減額となります。
(単位:億円)
(参考)会社合計
前提条件 増減額
の増減額(注)
感応度1:リスク・フリー・レート 50bp 上昇 △729 △25,693
感応度2:リスク・フリー・レート 50bp 低下 166 11,918
感応度3:リスク・フリー・レート 50bp 低下
769 27,986
(低下後の下限なし)
感応度4:株式・不動産価値 10%下落 △63 △1,733
(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しています。なお、
EEV の計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契
約価値の計算に含めて評価しています。
‐10‐
新契約価値の感応度
(単位:億円)
前提条件 新契約価値 増減額
2018 年度新契約価値 2,238 ―
感応度1:リスク・フリー・レート 50bp 上昇 2,695 456
感応度2:リスク・フリー・レート 50bp 低下 1,862 △375
感応度3:リスク・フリー・レート 50bp 低下
1,586 △651
(低下後の下限なし)
感応度4:株式・不動産価値 10%下落 2,238 ―
感応度5:事業費率(維持費)10%減少 2,399 161
感応度6:解約失効率 10%減少 2,387 149
感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下 2,369 131
感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下 2,238 △0
感応度9:必要資本を法定最低水準に変更 2,238 0
感応度 10:株式・不動産のインプライド・ボラティリ
2,253 14
ティ 25%上昇
感応度 11:金利スワップションのインプライド・ボラ
2,238 0
ティリティ 25%上昇
○ 感応度1:リスク・フリー・レート 50bp 上昇
・ リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも 50bp 上昇した場合の影響
を表しています。金利の変動により時価が変動する債券・貸付金などを再評価するととも
に、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算します。
・ リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外してい
ます。
○ 感応度2:リスク・フリー・レート 50bp 低下
・ リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも 50bp 低下した場合の影響
を表しています。
なお、50bp 低下によりリスク・フリー・レートが 0%を下回る場合は 0%としています。
ただし、50bp 低下前のリスク・フリー・レートが 0%を下回る場合はその値をそのまま使
用します。
・ リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外してい
ます。
○ 感応度3:リスク・フリー・レート 50bp 低下(低下後の下限なし)
・ リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも 50bp 低下した場合の影響
を表しています。
なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに
50bp 低下させます。
・ リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外してい
ます。
○ 感応度4:株式・不動産価値 10%下落
・ 株式および不動産の評価日時点の価格が 10%下落した場合の影響を表しています。
‐11‐
○ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少
・ 事業費率(契約維持に係るもの)が 10%減少した場合の影響を表しています。
○ 感応度6:解約失効率 10%減少
・ 解約失効率が 10%減少(基本となる解約失効率に 90%を乗じた水準)した場合の影響を
表しています。
○ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下
・ 死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が 5%低下(基本となる保険事
故発生率に 95%を乗じた水準)した場合の影響を表しています。
○ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下
・ 年金保険について、保険事故発生率が 5%低下(基本となる保険事故発生率に 95%を乗
じた水準)した場合の影響を表しています。
○ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更
・ 必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率 200%水準)に変更した場合の
影響を表しています。
○ 感応度 10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ 25%上昇
・ オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラ
ティリティが 25%上昇した場合の影響を表しています。
○ 感応度 11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ 25%上昇
・ オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・
ボラティリティが 25%上昇した場合の影響を表しています。
‐12‐
6.注意事項
EEV の計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用
し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものです。 また、将来の実績が EEV
の計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
これらの理由により、 EEV 開示は、
本 EEV 計算に用いられた将来の税引後利益が達成されるこ
とを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
‐13‐
付録 A EEV の計算手法
かんぽ生命が 2019 年 3 月末の EEV を計算するために使用した方法および前提は市場整合的手
法であり、EEV 原則とその指針(ガイダンス)に準拠しています。
1.対象事業
計算の対象範囲は、かんぽ生命およびその子会社の取り扱う生命保険事業です。
なお、かんぽ生命は生命保険事業のみを取り扱っています。
また、かんぽ生命は日本郵政グループの一員ですが、本計算はかんぽ生命単独の計算となって
います。
2.修正純資産の計算方法
修正純資産は、貸借対照表の純資産の部の金額に対して、以下の調整を加えて計算します。
なお、修正純資産から必要資本を控除したものがフリー・サープラスと呼ばれます。
・ 修正純資産は、原則として時価評価するため、貸借対照表において時価評価されていない
満期保有目的の債券などの有価証券、不動産および劣後債などについても時価評価を行い、
これらの含み損益を税引後に換算したうえで修正純資産に加えています。
なお、保険契約に係る資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の
計算に含めて評価しています。
・ 負債のうち、純資産に加算することが妥当と考えられるものについては、税引後に換算し
た上で修正純資産に加えています。具体的には、危険準備金、価格変動準備金および一般貸
倒引当金です(ただし、危険準備金および価格変動準備金については旧簡易生命保険契約に
係るものを除きます。「2.旧簡易生命保険契約について」をご参照ください。)。
・ 退職給付の未積立債務については、未認識過去勤務費用および未認識数理計算上の差異の
合計額を税引後に換算した上で修正純資産に反映しています。
・ 自己株式に計上している株式給付信託の帳簿価額を修正純資産に加えています。これは、
当該信託が有するかんぽ生命株式が、将来かんぽ生命の退職者へ給付され、自己株式として
扱われなくなる予定であるものの、その帳簿価額が自己株式として純資産の部合計から控除
されていることから、これを調整するものです。
3.保有契約価値の計算方法
保有契約価値は、確実性等価将来利益現価から、オプションと保証の時間価値、必要資本を維
持するための費用およびヘッジ不能リスクに係る費用を控除することにより算出します。
4.確実性等価将来利益現価
確実性等価将来利益現価は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づき、将来
キャッシュ・フローを決定論的手法により計算したもので、将来利益をリスク・フリー・レート
で割り引いた現在価値です。
将来利益の計算において、保険契約に係る資産の運用収益を簿価評価していますが、リスク・
フリー・レートによる割引現在価値は資産時価と一致しています(この取扱いは「EEV 原則の指
針(ガイダンス)G10.11」のとおりです。)。なお、EEV および新契約価値における確実性等価
‐14‐
将来利益現価の計算では、将来の資産運用リスクのプレミアム(例えば、株式や債券などに期待
されるリスク・フリー・レートを超過する利回り)は反映されません。また、旧簡易生命保険契
約に係る危険準備金および価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益
を含めて計算しています。「2.旧簡易生命保険契約について」をご参照ください。
この価値には、契約者配当などのオプションと保証の本源的価値も反映していますが、オプシ
ョンと保証の時間価値は反映されず、別途、計算します。
5.オプションと保証の時間価値
オプションと保証の時間価値は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提に基づいた
値(確実性等価将来利益現価)と、市場で取引されているオプション価格と整合的な前提により
確率論的に計算された将来の税引後利益現価の平均との差として計算します。
オプションと保証の時間価値は、以下のような要素を勘案しています。
・ 有配当保険に係る配当オプション
有配当保険においては、発生した損益に対して、株主への分配可能な利益には、非対称性
が存在します。例えば、利益が発生した場合には、契約者配当を支払うことから、利益のす
べてが株主には帰属しません。一方、損失が発生した場合には、契約者に追加の負担が生じ
ないため、損失のすべてが株主負担となります。契約者配当は、収益状況に応じた一定割合
を還元するように設定しているため、シナリオによって異なった金額となります。
・ 動的解約
経済の状況などに応じて、契約者はさまざまな行動を取るオプションを有しています。こ
こでは、金利水準により契約者の解約行動が変化することを反映しています。
6.必要資本を維持するための費用
保険会社は健全性維持のために負債の額を超えて必要資本を保有する必要があります。この必
要資本に係る運用収益に対する税金と資産運用管理のための費用を認識しています。
EEV 原則において、この必要資本は、法定最低水準以上であることが求められ、さらに、内部
の目的を達成するために必要となる金額とすることが認められています。日本における法定最低
水準の資本要件はソルベンシー・マージン比率 200%であることを踏まえ、かんぽ生命では、必
要資本を維持するための費用の計算にあたり、ソルベンシー・マージン比率 600%に相当する金
額を必要資本としています。
なお、日本におけるソルベンシー・マージン基準では、一定の範囲内で、全期チルメル式責任
準備金相当額超過額をマージンに反映することが規定されており、本計算においてもこれを反映
しています。また、保有契約価値の計算において、旧簡易生命保険契約に係る危険準備金および
価格変動準備金に加え、保険契約に係るその他有価証券評価差額金、一般貸倒引当金および劣後
債を含めて評価しており、これらの準備金等がマージンに含まれるため、かんぽ生命の 2018 年 3
月末および 2019 年 3 月末における必要資本はゼロとなりました。ただし、これらの準備金等は将
来において戻入されることを想定しているため、将来における必要資本は必ずしもゼロではあり
ません。
7.ヘッジ不能リスクに係る費用
EEV 原則では、「EV は対象事業のリスク全体を考慮した上で、対象事業に割り当てられた資
産から発生する分配可能利益の中の株主分の現在価値」と定義されており、すべてのリスクを勘
‐15‐
案して EEV を計算することが求められています。
一部のリスクについては、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提だけでは EEV に与
えるさまざまな影響を十分に反映できない場合があり、EEV の計算において、ヘッジ不能リスク
に係る費用として認識するという補正が必要となります。このような例として、オペレーショナ
ル・リスクや大災害リスクなどが挙げられます。
また、将来、剰余が発生した場合には税金を支払いますが、損失が発生した場合には税金はゼ
ロとなります。この場合でも、税務上の欠損金の多くは翌年度以降に繰り越すことにより回収可
能と考えられますが、繰越期間内に回収できないリスクが存在します。
さらに、計算に用いるリスク・フリー・レートのうち、超長期の金利には十分な取引のある市
場が存在しないことにより、価値の不確実性が存在します。
かんぽ生命では、簡易モデルによってヘッジ不能リスクに係る費用を推定しています。
8.新契約価値の計算方法
2018 年度の新契約価値は、当期間に獲得した新契約の獲得時点における価値です。
計算対象は、新契約および特約の中途付加であり、既契約の更新は含めていません。2017 年 10
月 2 日の無配当傷害医療特約および無配当総合医療特約の販売開始に伴い、中途付加時の切替加
入(注)を認めています。この切替加入契約の新契約価値としては、旧特約の価値からの正味増
加分を反映しています。また、経済前提は 2018 年 12 月末時点のもの、非経済前提は保有契約価
値と同一の期末時点のものを用いています。
新契約価値の評価について、かんぽ生命では、実際の契約者配当の水準を、保有契約全体の損
益に基づいて決定していることを踏まえ、新契約を獲得した場合の保有契約全体の損益に基づい
て計算した EV と、新契約を獲得しなかった場合の保有契約全体の損益に基づいて計算した EV の
差とするマージナル方式としています。マージナル方式では、新契約獲得に伴う分散効果による
リスクの軽減の影響なども新契約価値として評価されます。
(注) 医療特約の約款に定められている中途付加と同時に旧特約を解約する場合の特則を適用して加入するこ
と
‐16‐
付録 B EEV 計算における主な前提条件
1.経済前提
(1)リスク・フリー・レート
① 参照金利
確実性等価将来利益現価の計算においては、かんぽ生命の保有資産などを考慮し、リスク・
フリー・レートとして、評価日時点の国債を使用しています。
② 超長期の金利の補外方法
参照金利のない超長期の金利は、終局金利を用いて補外しています。
具体的には終局金利として 3.5%を仮定し、日本国債の流動性などを踏まえ補外開始年度を
30 年目と設定しました。31 年目以降のフォワード・レートは補外開始年度以降 30 年間で終局
金利の水準に収束するように Smith-Wilson 法により補外しています。
計算に使用したリスク・フリー・レート(スポット・レート換算)の年限別数値は以下のとお
りです。
保有契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート
期間 2018 年 3 月 31 日 2019 年 3 月 31 日
1年 △0.134% △0.178%
2年 △0.137% △0.183%
3年 △0.118% △0.195%
4年 △0.118% △0.211%
5年 △0.108% △0.202%
10 年 0.043% △0.081%
15 年 0.293% 0.165%
20 年 0.542% 0.358%
25 年 0.709% 0.492%
30 年 0.778% 0.538%
40 年 1.194% 0.981%
50 年 1.620% 1.446%
60 年 1.926% 1.782%
(データ:財務省 補正後)
‐17‐
新契約価値の計算に用いるリスク・フリー・レート
2017 年度の新契約価値 2018 年度の新契約価値
期間
(2017 年 9 月 30 日) (2018 年 12 月 31 日)
1年 △0.134% △0.148%
2年 △0.120% △0.139%
3年 △0.105% △0.155%
4年 △0.093% △0.158%
5年 △0.078% △0.152%
10 年 0.062% 0.014%
15 年 0.335% 0.297%
20 年 0.599% 0.530%
25 年 0.837% 0.690%
30 年 0.899% 0.765%
40 年 1.281% 1.186%
50 年 1.689% 1.614%
60 年 1.985% 1.921%
(データ:財務省 補正後)
(2)経済シナリオ(リスク中立シナリオ)
① 金利モデル
金利モデルとして、日本円、米ドル、ユーロ、豪ドルを通貨とする確率論的αβρ-LIBOR
マーケットモデル(注)を構築しました。各金利変動の相関を考慮するとともに、日本円を
基準通貨とするリスク中立アプローチに基づきモデルを調整しています。金利モデルは、評
価日時点の市場にキャリブレートされており、パラメータはイールド・カーブと期間の異な
る複数の金利スワップションのインプライド・ボラティリティから推計しています。オプシ
ョンと保証の時間価値を算出するための確率論的手法では 5,000 シナリオを使用しています。
これらのシナリオはウイリス・タワーズワトソンにより生成されたものを使用しています。
シナリオのキャリブレーションに使用した金利スワップションのインプライド・ボラティ
リティ(抜粋)は以下のとおりです。
(注) 2019 年 3 月末 EEV および 2018 年度の新契約価値を計算するための金利モデルを変更し
ております。2018 年 3 月末 EEV および 2017 年度の新契約価値を計算するための金利モデルは 1
ファクターHull-White モデルによります。
‐18‐
金利スワップション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
2018 年 3 月 31 日 2019 年 3 月 31 日
オプション スワップ 日本 米 豪 日本 米 豪
ユーロ ユーロ
期間 期間 円 ドル ドル 円 ドル ドル
5年 5年 21.4bp 75.3bp 62.8bp 62.6bp 20.7bp 67.3bp 47.9bp 61.0bp
5年 7年 22.8bp 72.6bp 62.5bp 62.0bp 21.8bp 65.5bp 48.2bp 60.8bp
5年 10 年 25.2bp 71.7bp 61.7bp 60.7bp 23.6bp 64.0bp 48.5bp 60.7bp
7年 5年 24.6bp 72.5bp 64.3bp 63.2bp 24.2bp 67.6bp 51.8bp 59.0bp
7年 7年 25.9bp 70.7bp 63.8bp 61.9bp 25.0bp 65.4bp 51.7bp 58.8bp
7年 10 年 27.4bp 68.1bp 62.9bp 59.8bp 25.9bp 63.7bp 51.3bp 58.5bp
10 年 5年 28.0bp 68.5bp 63.7bp 63.7bp 28.0bp 66.1bp 54.5bp 54.3bp
10 年 7年 29.2bp 66.4bp 63.3bp 61.2bp 28.8bp 61.3bp 54.2bp 54.8bp
10 年 10 年 30.3bp 64.0bp 62.4bp 58.6bp 29.1bp 62.8bp 53.6bp 54.2bp
(データ:Bloomberg)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
2017 年度の新契約価値 2018 年度の新契約価値
(2017 年 9 月 30 日) (2018 年 12 月 31 日)
オプション スワップ 日本 米 豪 日本 米 豪
ユーロ ユーロ
期間 期間 円 ドル ドル 円 ドル ドル
5年 5年 23.8bp 77.0bp 65.3bp 70.8bp 21.8bp 79.0bp 62.4bp 54.5bp
5年 7年 25.4bp 76.2bp 66.0bp 73.6bp 24.0bp 76.4bp 61.8bp 57.0bp
5年 10 年 28.0bp 75.3bp 66.2bp 76.2bp 26.6bp 74.0bp 60.6bp 59.8bp
7年 5年 27.0bp 76.5bp 68.1bp 72.3bp 25.7bp 76.0bp 64.6bp 54.3bp
7年 7年 27.7bp 75.2bp 68.1bp 75.0bp 27.3bp 74.5bp 63.8bp 56.4bp
7年 10 年 30.3bp 73.5bp 68.1bp 78.5bp 29.1bp 72.1bp 62.7bp 58.2bp
10 年 5年 30.5bp 75.9bp 68.8bp 73.1bp 29.2bp 71.6bp 64.8bp 54.1bp
10 年 7年 30.2bp 74.0bp 68.5bp 76.9bp 30.4bp 71.3bp 64.1bp 54.4bp
10 年 10 年 32.7bp 69.7bp 67.6bp 81.6bp 31.7bp 67.1bp 63.0bp 53.8bp
(データ:Bloomberg)
‐19‐
② 株式・通貨のインプライド・ボラティリティ
主要な株式のインデックスおよび通貨のボラティリティについては、市場で取引されてい
るオプションのインプライド・ボラティリティのデータに基づいてキャリブレーションを行
っています。シナリオのキャリブレーションに使用したインプライド・ボラティリティ(抜
粋)は以下のとおりです。なお、かんぽ生命が実際に使用する国内株式インデックスは、主
に TOPIX をベンチマークとした運用がなされていることを踏まえ、 TOPIX の日経 225 に対す
るヒストリカル・ボラティリティ比(2018 年 12 月 31 日:94.0%、2019 年 3 月 31 日:95.2%)
を下記の日経 225 のインプライド・ボラティリティに乗じて算出しています。
株式オプション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
オプション
通貨 原資産 2018 年 3 月 31 日 2019 年 3 月 31 日
期間
3年 18.5% 17.8%
日本円 日経 225 4年 18.5% 17.9%
5年 18.6% 17.9%
3年 18.6% 17.4%
米ドル S&P 500 4年 19.2% 18.0%
5年 19.9% 18.5%
3年 16.2% 15.4%
ユーロ Euro Stoxx 50 4年 16.4% 15.7%
5年 16.6% 15.8%
(データ:Markit 補正後)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
2017 年度の 2018 年度の
オプション
通貨 原資産 新契約価値 新契約価値
期間
( 2017 年 9 月 30 日 ) (2018 年 12 月 31 日)
3年 18.3% 19.2%
日本円 日経 225 4年 18.7% 19.0%
5年 18.9% 18.9%
3年 16.3% 18.9%
米ドル S&P 500 4年 17.3% 19.3%
5年 18.3% 19.7%
3年 17.2% 16.6%
ユーロ Euro Stoxx 50 4年 17.7% 16.5%
5年 18.2% 16.4%
(データ:Markit 補正後)
‐20‐
通貨オプション
保有契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
オプション
通貨 2018 年 3 月 31 日 2019 年 3 月 31 日
期間
米ドル 10 年 10.7% 10.8%
ユーロ 10 年 11.0% 11.0%
豪ドル 10 年 15.8% 15.6%
(データ:Bloomberg)
新契約価値の計算に用いるインプライド・ボラティリティ
2017 年度の 2018 年度の
オプション
通貨 新契約価値 新契約価値
期間
(2017 年 9 月 30 日) (2018 年 12 月 31 日)
米ドル 10 年 11.7% 10.9%
ユーロ 10 年 12.5% 11.5%
豪ドル 10 年 15.8% 15.7%
(データ:Bloomberg)
③ 相関係数
前述のインプライド・ボラティリティに加え、相関係数を元にかんぽ生命の資産構成を反
映させたインプライド・ボラティリティを計算しています。
相関係数については、十分な流動性を有するエキゾチック・オプションに基づく市場整合
的なデータが存在しません。このため、評価日時点の直近 10 年間の市場データから計算した
値を使用しています。
‐21‐
主要な変数間の相関係数は以下のとおりです。
保有契約価値の計算で使用
国内株式 外国株式
金利 金利 金利 金利
米ドル ユーロ 豪ドル インデッ インデッ
10 年/ 10 年/ 10 年/ 10 年/
/日本円 /日本円 /日本円 クス クス
日本円 米ドル ユーロ 豪ドル
/日本円 /日本円
金利 10 年
1.00 0.54 0.49 0.41 0.40 0.31 0.23 0.36 0.35
/日本円
金利 10 年
0.54 1.00 0.77 0.78 0.46 0.55 0.48 0.52 0.58
/米ドル
金利 10 年
0.49 0.77 1.00 0.67 0.24 0.58 0.43 0.37 0.45
/ユーロ
金利 10 年
0.41 0.78 0.67 1.00 0.36 0.55 0.59 0.49 0.54
/豪ドル
米ドル
0.40 0.46 0.24 0.36 1.00 0.63 0.49 0.62 0.60
/日本円
ユーロ
0.31 0.55 0.58 0.55 0.63 1.00 0.75 0.62 0.77
/日本円
豪ドル
0.23 0.48 0.43 0.59 0.49 0.75 1.00 0.68 0.84
/日本円
国内株式
インデッ
0.36 0.52 0.37 0.49 0.62 0.62 0.68 1.00 0.80
クス
/日本円
外国株式
インデッ
0.35 0.58 0.45 0.54 0.60 0.77 0.84 0.80 1.00
クス
/日本円
(データ:日本円金利は財務省、その他は Bloomberg)
‐22‐
新契約価値の計算で使用
国内株式 外国株式
金利 金利 金利 金利
米ドル ユーロ 豪ドル インデッ インデッ
10 年/ 10 年/ 10 年/ 10 年/
/日本円 /日本円 /日本円 クス クス
日本円 米ドル ユーロ 豪ドル
/日本円 /日本円
金利 10 年
1.00 0.54 0.49 0.40 0.37 0.25 0.18 0.33 0.31
/日本円
金利 10 年
0.54 1.00 0.77 0.75 0.43 0.42 0.35 0.44 0.47
/米ドル
金利 10 年
0.49 0.77 1.00 0.65 0.19 0.47 0.33 0.34 0.40
/ユーロ
金利 10 年
0.40 0.75 0.65 1.00 0.39 0.53 0.56 0.46 0.52
/豪ドル
米ドル
0.37 0.43 0.19 0.39 1.00 0.64 0.51 0.57 0.56
/日本円
ユーロ
0.25 0.42 0.47 0.53 0.64 1.00 0.78 0.60 0.77
/日本円
豪ドル
0.18 0.35 0.33 0.56 0.51 0.78 1.00 0.64 0.82
/日本円
国内株式
インデッ
0.33 0.44 0.34 0.46 0.57 0.60 0.64 1.00 0.80
クス
/日本円
外国株式
インデッ
0.31 0.47 0.40 0.52 0.56 0.77 0.82 0.80 1.00
クス
/日本円
(データ:日本円金利は財務省、その他は Bloomberg)
(3)将来の資産構成
かんぽ生命の評価日時点の資産構成の実態を考慮するとともに、将来の新規購入資産は、負
債特性を踏まえた年限での運用を想定しています。
また、かんぽ生命の外貨建資産の通貨別構成を踏まえ、すべての外貨建資産は米ドル建、ユ
ーロ建および豪ドル建から構成されるとみなしています。
(4)期待収益計算上の期待収益率
「前年度末 EEV からの変動要因」の期待収益(超過収益分)の計算に用いた主な資産の期待
収益率(リスク・フリー・レート分と超過収益分の合計)は以下のとおりです。
‐23‐
国債 △0.134%:1 年国債金利
短資 △0.134%:1 年国債金利
地方債 △0.084%:1 年国債金利+信用スプレッド(0.050%)
政府保証債 △0.094%:1 年国債金利+信用スプレッド(0.040%)
普通社債など △0.034%:1 年国債金利+信用スプレッド(0.100%)
期待収益(超過収益分)の計算に用いる期待収益率は、2018 年 3 月末における資産占率に上記
の期待収益率を乗じることにより算出しています。会社全体における資産占率考慮後の期待収益
率は、0.078%です。
2.非経済前提
保険料、事業費、保険金・給付金、解約返戻金、税金などのキャッシュ・フローは、契約消滅
までの期間にわたり、保険種類別に、直近までの経験値および期待される将来の実績を勘案して
(最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提)予測しています。
○ 事業費
・ 事業費の前提は、事業費実績を基に算出し、子会社に係るルック・スルー調整を行ってい
ます。また、将来、経常的に発生しないと考えられる一時費用(将来の業務効率化に資す
る施策の経費)を控除する一方、追加的に発生すると考えられる費用を加算する調整を行
っています。
なお、将来の事業費の改善については織り込んでいません。
・ 2019 年度から、従来かんぽ生命が日本郵便株式会社に支払っていた手数料の一部に相当
する額を、支援機構への拠出金として拠出することになります。これを踏まえ、将来の事
業費前提については、拠出金の拠出とそれに伴う手数料の見直しを反映しています。
・ 将来の消費税については、2019 年 9 月までは 8%、2019 年 10 月以降は 10%としていま
す。
・ 将来のインフレ率はリスク・フリー・レートの補外開始年度(経過 30 年)まではゼロと
しています。 リスク・フリー・レートの補外開始年度を超える期間についてはフォワード・
レートの上昇に応じてインフレ率が上昇し、終局水準を 2%としています。
○ 契約者配当
・ 現行の配当実務に基づき、配当率の前提を設定しました。
なお、支援機構への再保険配当については、支援機構との再保険契約に基づく額を支払
うこととしています。
○ 実効税率
・ 直近の実効税率に基づき、以下の実効税率を用いています。
2017 年度 : 28.24%
2018 年度以降 : 28.00%
‐24‐
付録 C 第三者意見
かんぽ生命では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)
であるウイリス・タワーズワトソンに、EEV について検証を依頼し、以下の意見書を受領してい
ます。
ウイリス・タワーズワトソンは、株式会社かんぽ生命保険(以下「かんぽ生命」)の 2019 年 3
月 31 日現在のエンベディッド バリューを計算するにあたって適用された計算方法および計算前
・
提の検証を行いました。ウイリス・タワーズワトソンは、2019 年 3 月 31 日現在のエンベディッ
ド・バリュー、2018 年度に販売された新契約の価値、2018 年度中の変動要因およびエンベディッ
ド・バリューと新契約の価値の感応度について検証を行いました。
ウイリス・タワーズワトソンは、使用された計算方法および計算前提が、本開示資料に記載さ
れている開示内容とともに、EEV 原則およびガイダンスに準拠したものであると結論付けました。
特に、
・ 本開示資料に記述される計算方法は、かんぽ生命のボトムアップ手法(これには、オプショ
ンと保証の時間価値の確率論的評価および、必要資本を維持するための費用とヘッジ不能リス
クの影響の認識が含まれています。)によって対象事業におけるリスク全体を反映させるもの
です。
・ 事業前提は過去現在の実績および将来期待される経験を適切に反映して設定されています。
・ 適用された経済前提は、前提相互間で整合的であり、また、観察可能な市場データとも整合
的です。
・ 有配当契約については、契約者配当の前提および契約者と株主の間の利益分配は、 予測前提、
確立された会社の実務および日本市場における実務と整合的です。
ウイリス タワーズワトソンはさらに計算結果についても検証を行っています。
・ ただしこれは、
計算モデル、計算過程および計算内容の全てについての詳細な検証ではありません。これらの検
証の結果、ウイリス・タワーズワトソンは、開示される計算結果が、全ての重要な面において本
開示資料に記述された計算方法および計算前提に基づいて計算されていると考えます。
これらの結論に至るにあたり、ウイリス・タワーズワトソンはかんぽ生命から提供されたデー
タおよび情報――これには市場価格がない資産についての時価の推計も含まれます――に依拠し
ています。
この意見はかんぽ生命との契約に基づき、かんぽ生命のみに対して提供されるものです。適用
される法律において許容される限り、ウイリス・タワーズワトソンは、ウイリス・タワーズワト
ソンが行った検証作業やウイリス・タワーズワトソンが作成した意見および意見に含まれる記述
内容について、かんぽ生命以外のいかなる第三者に対しても、一切責任、注意義務あるいは債務
を負いません。
以上
‐25‐
(参考資料)用語に関する説明・補足
用語 説明・補足
欧州ソルベンシ 欧州委員会により、2016 年 1 月より EU 内で統一的に施行された新しい経
ーⅡ 済価値ベースのソルベンシー規制の枠組みのことを指します。
オプションと保 オプションと保証の価値は、 本源的価値と時間価値の 2 つの要素に分かれ
証の時間価値 ます。本源的価値は、評価日時点の条件のままで、オプションを評価した場
合の価値です。
本源的価値がオプションの権利行使日までに増大する可能性があり、 その
変動への追加的価値のことを時間価値と言います。
確実性等価将来 確実性等価将来利益現価は、最良推計(ベスト・エスティメイト)による
利益現価 前提に基づいて、通常、リスク・フリー・レートを運用利回りとして決定論
的に将来収支予測を行い、これをリスク・フリー・レートで割り引いた現在
価値として計算します。
保険契約に係る資産の運用収益を簿価評価し、さらにそのリスク・フリ
ー・レートによる割引現在価値が資産時価と一致するように運用収益を調整
する手法も認められています。
確率論的手法 ある確率分布に基づいて、 将来の可能な結果について考えられる範囲にわ
たって考慮する手法です。オプションと保証の時間価値の計算においては、
ある確率分布に基づいて1組のシナリオが生成され、 シナリオごとに将来予
測を行っています。
最良推計(ベス 直近までの経験値および期待される将来の実績を勘案して、 将来実現され
ト エスティメイ
・ る期待値を与える前提です。
ト)による前提
終局金利 フォワード・レートが終局的に一定の水準に向けて収束するとの前提を置
いた場合の長期的に均衡する金利になります。 マクロ経済的な手法などに基
づき決定されます。
独立行政法人郵 旧日本郵政公社において 2007 年 9 月末までに契約された簡易生命保険の
便貯金簡易生命 契約を引き継ぎ、これらの契約を管理し、債務を確実に履行するために独立
保険管理 郵便局
・ 行政法人郵便貯金 簡易生命保険管理機構が 2007 年 10 月に設立されました。
・
ネットワーク支 2019 年 4 月に独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を
援機構 改正する法律(平成 30 年法律第 41 号)が施行されたことで、独立行政法人
郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構へと名称を変更
し、支援機構が日本郵便株式会社に対して、郵便局ネットワークの維持に要
する費用の一部に充てるために交付金を交付することになりました。 かんぽ
生命は、交付金の財源として、支援機構への拠出金を拠出することになりま
した。
かんぽ生命は、 旧簡易生命保険契約に係る保険責任のすべてを受再してい
ます。
必要資本を維持 生命保険事業を行っていくために、 保険負債を超過して必要となる資本を
するための費用 維持するための費用です。市場整合的手法の場合、運用利回り前提も割引率
もリスク・フリー・レートであるため、必要資本に係る運用収益に対する税
金および資産運用管理のための費用が構成要素となります。
フリー サープラ
・ 修正純資産のうち、生命保険事業を行うために必要な金額(必要資本)を
ス 超える金額です。
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用語 説明・補足
ヘッジ不能リス ヘッジ不能リスクは、最良推計(ベスト・エスティメイト)による前提で
クに係る費用 カバーされない保険リスク、オペレーショナル・リスクなどのヘッジ不能な
非フィナンシャル・リスクとヘッジ不能なフィナンシャル・リスクが構成要
素となります。EEV 原則では、すべてのリスクを考慮するように求められ
ており、 ヘッジ不能リスクに係る費用を明示的に反映することが広く行われ
ています。
郵政民営化 2007 年 10 月 1 日、郵政民営化関連法により、日本郵政株式会社と 4 つの
事業会社(郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株
式会社かんぽ生命保険)に分かれ、民営化されました。
その後、 郵政民営化法等の一部を改正する等の法律が公布されたことによ
り、2012 年 10 月 1 日から郵便事業株式会社と郵便局株式会社が統合され、
日本郵便株式会社となりました。
さらに、2015 年 11 月 4 日に、日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行
および株式会社かんぽ生命保険は、東京証券取引所に株式上場しています。
ルック スルー調
・ グループ内の子会社・関連会社と対象契約の管理などに関する取引をして
整 いる場合に、 その取引によりグループ内の会社に発生する実績および将来の
損益を EEV に反映するという考え方です。
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