7161 じもとHD 2021-09-28 16:30:00
2021年3月期における経営強化計画の履行状況について [pdf]

                                                   2021 年 9 月 28 日
各   位
                            会社名:株式会社じもとホールディングス
                            ( コ ー ド 番 号 : 71 6 1     東証第一部)
                       代 表 者 名 : 取 締 役 社 長                鈴木 隆
                            問合せ先:取締役総合企画部長                尾形    毅
                            (   T E L . 0 2 2 - 7 2 2 - 0 0 1 1 )



         2021 年 3 月期における経営強化計画の履行状況について



 当社及び当社連結子会社である株式会社きらやか銀行と株式会社仙台銀行は、
                                   「金融機能の強化
のための特別措置に関する法律」に基づき、2021 年 3 月期の経営強化計画の履行状況を取りまと
めましたのでお知らせいたします。
 今後も経営強化計画を着実に履行し、東日本大震災からの復興及び中小規模事業者等に対する
信用供与の円滑化に積極的に貢献してまいります。



                                                               以上
【別紙】経営強化計画の履行状況(2021 年 3 月期)の概要

1.じもとグループとしての復興支援(2021 年 3 月末現在)
 (1)成長期・成熟期にある中堅・中小企業を対象に成長資金の提供を行い、地域雇用の創造と地域
       経済活性化を目指すため、日本政策投資銀行と協働し、両行の出資により「じもと創生本業
       支援ファンド」を 2015 年 10 月に組成し、2019 年 11 月に第 7 号案件を引受。
 (2)2016 年 11 月、東京きらぼしフィナンシャルグループと「本業支援に関する連携協定書」を締
       結し、それぞれの経営基盤・営業エリアにおいて有する情報・ネットワークを活用し、両金
       融グループが経営方針に基づき積極的に取り組んでいる、地元中小企業への本業支援の進
       化・発展を図ることを目的とした相互の連携・協力により、取引先の連携も開始。


 ≪ビジネスマッチング実績≫                                  ≪協調・紹介融資等実績(事業性)≫

                              件数(件)                                  件数(件)            金額(百万円)
  ビジネスマッチング件数                    3,346               協調融資                      64         27,067
       うち成約件数                           673          紹介融資                      80             4,678
 ※2013 年 4 月∼2021 年 3 月末まで                            合 計                     144             31,745
                                                ※2012 年 10 月∼2021 年 3 月末まで

2.両行の具体的な支援取組み内容
 (1)きらやか銀行
     ①    『本当に本業支援を必要としている先』に対し、
                               「財務の本業支援」や「成長の為の本業支
          援」を行う「中小企業成長戦略」に経営資源を集中(2016 年 10 月より継続実施)
                                                   。
     ②    福利厚生の本業支援として中小企業従業員の資産形成等の福利厚生をサポートする「ふっく
          りパッケージ」を提供(2019 年 1 月より継続実施)
                                     。
 (2)仙台銀行
      ①   被災企業等の経営改善を支援するため、経営改善計画の策定支援や訪問活動、モニタリン
          グ等を行うとともに、外部機関と連携した事業再生支援を実施。
      ②   取引先の中でも特に重点的に支援する先を定めて取引の深化を図る取り組み(コア戦略)
          を展開。対象先へのヒアリングにより把握した本業支援ニーズへの対応を実施(2018 年 12
          月より継続実施)
                 。


3.支援取組み実績
 (1)被災者向け新規融資実績(2021 年 3 月末現在)

                                                                                      合計
                                事業性融資                   消費性融資
          きらやか銀行             1,451 件/425 億円          150 件/ 19 億円             1,601 件/444 億円
          仙 台 銀 行            8,831 先/3,071 億円       4,594 先/247 億円           13,425 先/3,319 億円


 (2)債権買取機構等の活用状況(2021 年 3 月末現在)
                                                 東日本大震災事業者再生                 個人版私的整理ガイドラ
                             産業復興機構の活用
                                                 支援機構の活用                     インの活用
          きらやか銀行                    −                    決定 7 先                     成立 4 先
          仙 台 銀 行                決定 28 先                決定 68 先                     成立 43 先


                                                                                              以   上
経営強化計画の履行状況報告書




     2021 年   6 月


 株式会社 じもとホールディングス
 株式会社 きらやか銀行
 株式会社 仙 台 銀 行
                            目   次

Ⅰ.株式会社じもとホールディングス
1.金融組織再編成で設立した会社の概要                   ・・・    2
2.2021 年 3 月期決算の概要                    ・・・    3
   2-1   経営環境                         ・・・    3
   2-2   決算の概要                        ・・・    3
3.経営強化計画実施に伴う労務に関する事項                 ・・・    5
4.持株会社の剰余金の処分の方針                      ・・・    6
   4-1   配当方針                         ・・・    6
   4-2   内部留保の状況                      ・・・    7
5.株式交換等により当該発行金融機関等の完全親会社となった会社におけ ・・・       9
  る責任ある経営体制の確立に関する事項
  5-1 完全親会社としての経営管理体制              ・・・       9
   5-2   新たな経営管理体制の強化のための方策           ・・・   10
   5-3   経営管理組織の機能                    ・・・   11
   5-4   業務運営組織の機能                    ・・・   17
   5-5   業務執行に対する監査又は監督の体制の強化         ・・・   19
   5-6   リスク管理(不良債権の適切な管理を含む。)の体制の強化の ・・・   20
         ための方策
   5-7   法令遵守の体制の強化のための方策             ・・・   22
   5-8   経営に対する評価の客観性の確保のための方策        ・・・   23
   5-9   情報開示の充実のための方策                ・・・   24



Ⅱ.株式会社きらやか銀行
1.収益の状況                               ・・・   26
   1-1   2021 年 3 月期決算の概要             ・・・   26
2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の当該金融機関等が ・・・      30
  主として業務を行う地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況
   2-1   中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策   ・・・   30
   2-2   被災者への信用供与の状況及び被災者への支援をはじめとす ・・・    53
         る被災地域における東日本大震災からの復興に資する方策
   2-3   その他主として業務を行っている地域における経済の活性化 ・・・    65
         に資する方策
3.剰余金の処分の方針                            ・・・   76
   3-1   配当に関するグループ方針                  ・・・   76
   3-2   配当に向けた態勢整備                    ・・・   77
   3-3   役員に対する報酬及び賞与についての方針           ・・・   78
4.財務内容の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策      ・・・   78
   4-1   経営管理に係る体制及び今後の方針              ・・・   78
   4-2   業務執行に対する監査又は監督の体制及び今後の方針      ・・・   79
   4-3   与信リスクの管理(不良債権の適切な管理を含む。)及び市場 ・・・    80
         リスクを含む各種リスクの管理状況及び今後の方針



Ⅲ.株式会社仙台銀行
1.2021 年 3 月期決算の概要                     ・・・   90
   1-1   経営環境及び震災復興への取組み体制             ・・・   90
   1-2   決算の概要                         ・・・   91
2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の当該震災特例金融 ・・・       94
  機関等が主として業務を行っている地域における経済の活性化に資する
  方策の進捗状況
   2-1   中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策    ・・・   94
   2-2   被災者への信用供与の状況及び被災者への支援をはじめと ・・・ 108
         する被災地域における東日本大震災からの復興に資する方策
   2-3   その他主として業務を行っている地域における経済の活性化 ・・・ 129
         に資する方策
3.剰余金の処分の方針                            ・・・ 133
4.財務内容の健全性及び業務の健全かつ適切な運営の確保のための方策      ・・・ 135
   4-1   経営管理に係る体制                     ・・・ 135
   4-2   業務執行に対する監査又は監督の体制及び今後の方針      ・・・ 136
   4-3   与信リスクの管理(不良債権の適切な管理を含む。)及び市場 ・・・ 137
         リスクを含む各種リスクの管理の状況
Ⅰ.株式会社じもとホールディングス




        1
1.金融組織再編成で設立した会社の概要

  株式会社じもとホールディングス    (以下、当社) 株式会社きらやか銀行
                              は、         (以下、
きらやか銀行)と株式会社仙台銀行(以下、仙台銀行)が、共同株式移転方式にて
2012 年 10 月に設立した銀行持株会社であります。
  現在、   当社グループは、 当社、連結子会社 7 社及び関連会社(持分法適用関連会社)
1 社で構成し、銀行業務を中心に金融サービスに係る事業を行っております。
  当社グループは、    東日本大震災の復興支援を重要なグループ戦略と位置付けており、
改正金融機能強化法に基づき総額 600 億円の国の資本参加をいただいております。
これにより、安定した財務基盤を確保し、適切かつ積極的に復興支援に向けた金融仲
介機能を発揮する態勢を整えております。
  当該経営強化計画において、当社グループは、中小規模事業者への「顧客本位の本
業支援」を通じて復興支援並びに信用供与の円滑化に貢献するとともに、       「統合効果
発揮」を通じてグループ経営の更なる効率化・合理化を実現してまいります。

 ≪株式会社じもとホールディングスの概要(2021 年 3 月末現在)≫
 名               称   株式会社じもとホールディングス
 本 社 所 在 地           仙台市青葉区一番町二丁目 1 番 1 号           仙台銀行本店 9 階
 設   立       方   法   きらやか銀行と仙台銀行の共同株式移転方式による完全親会社設立
 設       立       日   2012 年 10 月 1 日(月)
 資       本       金   187 億 50 百万円
 業   務       内   容   銀行、その他銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理                     ほか
 上 場 取 引 所           東京証券取引所

 ≪子会社等に関する事項≫
                 会社名                所在地               事業内容          区分
 株式会社きらやか銀行                         山形市       銀行業                連結子会社
 株式会社仙台銀行                           仙台市       銀行業                連結子会社

 ■ きらやか銀行子会社等
 きらやかカード株式会社                        山形市       クレジットカード・信用保証業務    連結子会社
 きらやかコンサルティング&パート                             コンサルティング・
                                    山形市                          連結子会社
 ナーズ株式会社                                      ベンチャーキャピタル業務

 山形ビジネスサービス株式会社                     山形市       事務受託業務             連結子会社
 きらやかリース株式会社                        山形市       リース業務              連結子会社
 株式会社富士通山形インフォテクノ                   山形市       コンピュータシステム開発業務等    持分法適用関連会社


 ■ 仙台銀行子会社等
 株式会社仙台銀キャピタル&コンサ                             コンサルティング・
                                    仙台市                          連結子会社
 ルティング                                        ベンチャーキャピタル業務




                                          2
2.2021 年 3 月期決算の概要

2-1      経営環境

 2021 年 3 月期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経
済活動の停滞により、急激に景気が悪化しております。その影響の拡大は世界的に続
いており、依然として先行きは不透明な状況にあります。
 当社グループの営業エリアである宮城県及び山形県の経済動向につきましても、     新
型コロナウイルス感染症の拡大により、取引先の売上減少による企業収益の悪化、そ
れに伴う雇用環境の悪化などの影響が続いております。     このところは感染者の増加に
より 2021 年 3 月に宮城県及び山形県独自の緊急事態宣言を発令するなど、更なる経
済活動の制約による影響が見られており、     今後も地域経済への影響が長期に亘り懸念
される状況にあります。

2-2      決算の概要

2-2-1        損益の状況(連結ベース)

  当社グループの連結経常収益は、貸出金利息、有価証券利息配当金及び役務取引等
収益が増加したことなどにより、前年同期比 17 億 35 百万円増加し 440 億 89 百万円
となりました。連結経常費用は、営業経費が減少したものの、与信関係費用及び国債
等債券償還損が増加したことなどにより、前年同期比 65 億 82 百万円増加し 463 億
65 百万円となりました結果、経常利益は前年同期比 48 億 47 百万円減少し 22 億 75
百万円の赤字となりました。
  経常利益が減少したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比
49 億 10 百万円減少し 31 億 76 百万円の赤字となりました。

≪損益の状況(連結ベース)≫                                         (単位:百万円)

                    2020 年 3 月期       2021 年 3 月期
                                                       2020 年 3 月期比
 経   常   収   益              42,354            44,089            1,735
  うち貸出金利息                   21,908            22,366              458
  うち有価証券利息配当金                3,947             5,508            1,561
  うち役務取引等収益                  5,883             6,449              565
 経   常   費   用              39,782            46,365            6,582
 経   常   利   益               2,571           △2,275           △4,847
 親会社株主に帰属する
                             1,733           △3,176           △4,910
 当 期 純 利 益




                                  3
2-2-2     資産・負債の状況(連結ベース)

  当社グループの総資産は、前年同期末比 1,761 億 49 百万円増加し 2 兆 6,639 億 31
百万円となりました。純資産は、SBIホールディングスとの資本業務提携契約に基
づき、当社グループへの 35 億円の第三者割当増資を引受けていただき、2021 年 3 月
に全額の払込みを受けたことなどから、同比 52 億 39 百万円増加し 1,164 億 25 百万
円となりました。
  主な勘定残高について、貸出金残高は事業性貸出が増加したことなどから、同比
801 億 64 百万円増加し 1 兆 8,447 億 72 百万円となりました。
  預金残高(譲渡性預金含む)は、同比 1,501 億 43 百万円増加し 2 兆 4,684 億 2 百
万円となりました。
  有価証券残高は、投資環境や市場動向を勘案した運用の見直しを行ったことから、
同比 849 億 97 百万円増加し 5,403 億 37 百万円となりました。

≪資産・負債の状況(連結ベース)≫                                         (単位:百万円)

                   2020 年 3 月末        2021 年 3 月末
                                                         2020 年 3 月末比
 資 産                      2,487,782        2,663,931             176,149
  うち貸出金                   1,764,607        1,844,772              80,164
  うち有価証券                    455,340          540,337              84,997
 負 債                      2,376,596        2,547,506             170,909
  うち預金・譲渡性預金              2,318,258        2,468,402             150,143
 純資産                        111,185          116,425                5,239


2-2-3     自己資本比率

 当社の連結自己資本比率は、8.12%となりました。
 また、当社グループ子会社の自己資本比率は、きらやか銀行が 8.09%、仙台銀行
が 8.34%となりました。

≪自己資本比率の状況≫
                 2020 年                    2021 年 3 月期
                 3 月期実績        計画予定          計画実績              差異

 きらやか銀行(単体)       8.01%       8.23%程度         8.09%           +0.08

 仙台銀行     (単体)    8.34%       8.52%程度         8.34%           △0.00

 じもとホールディングス
                  8.07%           -           8.12%             -
   (参考:連結)




                                 4
3.経営強化計画実施に伴う労務に関する事項

(1)じもとホールディングス
   当社の従業員は、きらやか銀行及び仙台銀行(以下、子銀行)の在籍職員で構
  成しております。当社設立時は 103 名でしたが、その後、本業支援戦略部の新設
  等により増員し、2021 年 3 月末現在 155 名となっております。
   これにより銀行の業務に関する知識及び経験を有する従業員を十分に確保す
  るとともに、持株会社の業務運営を的確に遂行する体制としております。

(2)きらやか銀行と仙台銀行
  ① 経営強化計画の期間中における従業員数
    子銀行は、今般の経営強化計画実施にあたり、東日本大震災の復興支援に係
   る資金供給機能を強化し、地域の中小規模事業者に対する信用供与の実施体制
   を構築するため、労務態勢の整備に努めております。
    子銀行では、本計画期間中において、職員年齢構成上で多数を占める 50 歳代
   の従業員が定年退職を迎えることから、新規採用で一部をカバーするものの、
   計画始期に比べて従業員数は減少する見込みです。
    このため子銀行は、定年退職者の雇用延長、若手職員及び女性職員の法人営
   業分野での育成、預かり資産等での女性職員やパートナー職員の活用、営業店
   体制の効率化等を通じて、営業ノウハウの継承や強化に取り組んでおります。
    また、当社グループの長期戦略である本業支援を強化するため、行内専門部
   署へ戦略的に人員を配置するなど、高度化・多様化するお客さまのニーズに対
   応できる人材の配置に努めております。
    従業員の採用にあたっては、新卒採用を継続するとともに、他業態からの中
   途採用や、専門的知識、金融知識を有する優れた人材の確保に努めております。

 ≪従業員数計画≫                                                    単位:名

                     始期              終期                       実績
                                                差異
                2018 年 4 月 1 日   2021 年 3 月末             2021 年 3 月末

  じもとホールディングス              163            163        -           155
  きらやか銀行                 1,065            996    △69             927
  仙台銀行                     773            743    △30             734


  ② 経営の強化に充てる予定の従業員数と実績
    2021 年 3 月末の従業員数は、じもとホールディングスが 155 名(計画比△8
   名)、きらやか銀行が 927 名(計画比△69 名)、仙台銀行が 734 名(計画比△9
   名)となっております。




                             5
≪従業員数計画と実績≫
          2018 年 4 月 2018 年 9 月 2019 年 3 月 2019 年 9 月 2020 年 3 月 2020 年 9 月             2021 年 3 月
             実績         実績         実績        実績         実績         実績          計画         実績         差異

じもとHD         163 人      165 人      160 人     161 人      161 人      160 人       163 人      155 人     △8 人


きらやか       1,065 人    1,039 人       992 人   1,005 人      975 人      949 人       996 人      927 人     △69 人


 仙   台        773 人      757 人      744 人     756 人      728 人      750 人       743 人      734 人     △9 人

 ※じもとホールディングスの従業員は、子銀行の在籍職員で構成しております。


     ③ ②中、新規採用される従業員数
       じもとホールディングス、子銀行ともに予定どおりの計画進捗となっており
      ます。

         ≪従業員数計画と実績≫
                                                 計画・従業員数                      2021 年 3 月実績

          じもとホールディングス                                            0名                          0名

          きらやか銀行                                               150 名                       115 名

          仙台銀行                                                 171 名                       171 名

         ※計画・従業員数は 3 年間(2018 年度~2020 年度)の新規採用計画です。


     ④ 経営の強化に伴い出向又は解雇される従業員数
       じもとホールディングス、子銀行ともに予定どおりの計画進捗となっており
      ます。

         ≪従業員数計画と実績≫
                                                 計画・従業員数                      2021 年 3 月実績

          じもとホールディングス                                            なし                          なし

          きらやか銀行                                                 なし                          なし

          仙台銀行                                                   なし                          なし


4.持株会社の剰余金の処分の方針

4-1      配当方針

     当社は、地域金融グループとしての公共性と健全性維持の観点から、当社及び



                                                 6
  子銀行の内部留保の充実を図るとともに、中間配当及び期末配当の年 2 回の安定
  した配当を維持することを基本方針としております。
    一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により地域経済の低迷やそれに伴う
  取引先企業への業績悪化などの影響が懸念されており、当社グループにおいても
  与信関連費用の増加などの影響が出ております。そのような環境の中で、地元中
  小企業への安定かつ円滑な資金供給機能を通じた支援を行うことで地域経済を
  支えるべく、経営体質強化のために内部留保の確保及び充実が必要であると考え
  ております。
    こうした方針に加え、2021 年 3 月期の期末配当につきましては、2020 年 11 月
  20 日に公表しました通り、きらやか銀行において、有価証券ポートフォリオ見直
  しにより国債等債券償還損を計上し、当社の親会社に帰属する当期純損益が赤字
  となったことから 1 株当たり 10 円の配当といたしました。なお、中間配当につ
  きましては、2020 年 10 月 1 日付の株式併合前の基準となるため、1 株あたり 1
  円 50 銭の配当となっております。
    なお、2022 年 3 月期の年間配当につきましては、現時点での業績予想及び新型
  コロナウイルス感染症の影響を受け、地域経済の先行きが見通せない状況の中で、
  地元中小企業等への支援や低迷する地域経済を支えるための備えが継続的に必
  要であるとの総合的な判断から、1 株あたり 20 円の配当を予定しております。
    今後も、当社及び子銀行の経営強化計画を確実に実行し、地域経済の復興にさ
  らに貢献することで、グループ収益力を向上させてまいります

4-2   内部留保の状況

(1)3社合算
    2021 年 3 月期の当社及び子銀行合算のその他利益剰余金は 248 億円(2020 年
  3 月期比 38 億円減)となりました。
    当社は、今後も子銀行とともに経営強化計画を着実に実施し、被災地の復興等
  に全力で貢献するとともに、利益剰余金の積み上げに取り組んでまいります。

 ≪当期純利益と利益剰余金の実績・計画≫                                      (単位:億円)
                      2020/3 期    2021/3 期                2021/3 期計画
                                               増   減
                       実 績         実 績                    (強化計画)
             当期純利益           12            4        △7             12
  じもと HD
           その他利益剰余金          21           18        △3             19
  きらやか       当期純利益           11         △48        △59             28
   銀行      その他利益剰余金         136           84       △51            145
             当期純利益            8           17          8            12
  仙台銀行
           その他利益剰余金         129          146         16           136
  3社合算     その他利益剰余金         287          248       △38            300




                             7
(2)じもとホールディングス
   当社は、各事業年度において、子銀行から受け取る配当金を原資に配当を行っ
  ており、2021 年 3 月末の当社単体のその他利益剰余金は、2020 年 3 月末比 3 億
  円減少し、18 億円となりました。
   今後も各期末に同水準程度のその他利益剰余金を安定的に確保する見込みで
  すが、公的資金返済は子銀行が各行で積み上げるその他利益剰余金を充当する方
  針であり、下記のとおり、返済は十分に可能と見込んでおります。

(3)きらやか銀行
   きらやか銀行は、経営強化計画を確実に実行し、中小規模事業者等貸出の増強
  等により収益力の強化を図ってまいります。     また、財務基盤の安定化の観点から、
  内部留保の蓄積に努めてまいります。
   2021 年 3 月末のきらやか銀行単体のその他利益剰余金は、2020 年 3 月末比 51
  億円減少し 84 億円となりました。この要因としては、有価証券ポートフォリオ
  の見直しを図るため国債等債券損失を計上したことに加え、       一部大口債権につい
  て予防的な引当金を計上したことなどによるものです。
   今後につきましては、2024 年 9 月の公的資金の返済を踏まえた新経営強化計
  画の履行により、     その他利益剰余金を積み上げていく計画です。  計画ではその他
  利益剰余金に加えて、     資本剰余金も一部取り崩すことによって、  公的資金の返済
  を行ってまいります。また、200 億円の返済後、2037 年 3 月期末までにさらに利
  益剰余金を積み上げ公的資金 100 億円を返済する計画です。    これにより、  きらや
  か銀行が受け入れております公的資金 300 億円の返済は十分に可能であると見
  込んでおります。

(4)仙台銀行
   仙台銀行は、経営強化計画を確実に実行し、中小規模事業者等貸出の増強等に
  より収益力の強化を図ってまいります。
   2021 年 3 月期末の仙台銀行単体でのその他利益剰余金は、2020 年 3 月末比 16
  億円増加し 146 億円となりました。
   今後も毎期収益を積み上げ、経営強化計画の終期である 2036 年 3 月期末にお
  いて、 その他利益剰余金は 300 億円超の積み上げとなる見込みです。  これにより、
  仙台銀行が受け入れております公的資金 300 億円の返済は十分に可能であると見
  込んでおります。




                        8
5. 株式交換等により当該発行金融機関等の完全親会社となった会社における責任
   ある経営体制の確立に関する事項

5-1   完全親会社としての経営管理体制

(1)子会社の議決権の保有
   当社は、当該経営強化計画を実施する子銀行の完全親会社であり、両行の議決
  権 100%を保有しております。本計画においても、子会社の議決権保有方針に変
  更はございません。

(2)基本的な管理体制
   当社取締役会は、銀行持株会社として、子銀行及びグループ各社の業務の健全
  かつ適切な運営を確保するため、グループ全体の経営計画・経営戦略を策定し、
  その進捗状況を管理するとともに、  グループ経営において発生するリスク全般に
  ついて管理する体制としております。
   この体制のもと、当社と子銀行は、中期経営計画(計画期間:2018 年度~2020
  年度)をグループ 3 社で統一・策定し、併せて 3 社の経営強化計画も同一計画期
  間で更新・統一しております。
   当社は、グループの取締役会・経営会議・業績進捗会議において、中期経営計
  画及び経営強化計画の進捗状況を定期的に管理し、    必要な改善を子銀行に指示し
  ております。
   また、コンプライアンスやリスク管理、グループの重要戦略である本業支援の
  展開など、高い専門性が求められる部署や機能は、当社に集約することにより、
  その機能をより発揮し経営効率化を図る体制としております。

(3)内部規程の整備
   当社取締役会は、子銀行やグループ各社の経営がグループ全体に与える影響の
  大きさを認識し、グループの内部管理規程の整備・運用に取り組んでいます。
   具体的には、「グループ経営管理規程」及び「職務権限規程」等を定め、子銀
  行及びグループ各社が当社に付議・報告する事項を明確にしております。
   また、
     「コンプライアンス基本方針」 「統合的リスク管理方針」
                   及び            等を定め、
  子銀行等にその方針に基づくコンプライアンス管理及びリスク管理を行わせる
  態勢としております。
   これらの内部規程の整備・運用により、当社は、グループ全体の経営を適切に
  管理・監視する態勢を構築しております。




                     9
5-2   新たな経営管理体制の強化のための方策

 当社は経営管理体制の強化を目的として、2020 年 11 月 20 日にSBIホールディ
ングス株式会社との間において資本業務提携契約を締結いたしました。
 本資本業務提携契約に基づき、  当社グループに対してSBI地銀ホールディングス
株式会社より 35 億円の第三者割当増資を引受けていただき、2021 年 3 月に全額払込
みを受けております。

(1)本提携の目的及び理由
   地域の環境が大きく変化する中、当社グループは、持続的な地域社会の発展に
  貢献していくためには、銀行業のみならず、厳しい経営環境を乗り越える様々な
  術を持つ企業との連携を強化することが重要であるとの認識のもと、当社グルー
  プ内で慎重に協議・検討を重ねた結果、SBIホールディングスを持株会社とす
  るSBIグループが最適なパートナー先であると判断し、資本業務提携契約を締
  結いたしました。
   SBIホールディングを選定した理由は、銀行業のみならず、様々な業種を傘
  下に収め多様化する金融環境を乗り越えるための IT・FinTech 技術を活用した
  様々なコンテンツを持った企業であり、連携強化を図ることが重要であると判断
  したからであります。また、既に当社グループと同社の間では共同店舗の運営、
  各種ファンドへの投資など連携実績も有しており、最適なパートナーであると考
  えております。
   同社と資本業務提携関係を構築することによって、同社グループによる当社へ
  の出資資金 35 億円を当社子銀行に対して出資することで自己資本比率の向上や
  財務基盤の強化のみならず、SBIホールディングスグループが有する様々な経
  営資源を活用することが可能となり、当社取引先への金融サービス提供の充実、
  当社の収益力の向上、成長戦略、ひいては企業価値向上に向けた施策の円滑な実
  施に取組んでまいります。

(2)本提携の内容
   当社及びSBIホールディングスは、資本業務提携契約に基づく業務提携の内
  容として、以下の事項を進めてまいります。
   ① SBIグループのアセットマネジメント事業への運用資産の委託   (資産運用
     の高度化)を通じた当社傘下の銀行の収益力の強化
   ② 地元企業への本業支援、ビジネスマッチング、事業承継支援・M&A による協
     業、地域通貨の発行等を通じた地方創生、地域経済の活性化に向けた連携
   ③ 地元企業を支援するための共同ファンド等を通じた資本性資金及び資本性
     ローン等の提供およびハンズオンによる本業支援
   ④ SBIマネープラザ株式会社との共同店舗の推進、株式会社 SBI 証券との金


                      10
     融商品仲介業サービスの強化
   ⑤ マネータップ株式会社、          SBIネオフィナンシャルサービシーズ株式会社及
     び SBI FinTech Incubation 株式会社などが提供する新規技術の導入及びコ
     スト削減やSBIグループが開発中の次世代システムの導入の検討
   ⑥ 目的に資する協業・連携の検討及び推進

(3)取締役の指名権に関する合意内容等
   当社及びSBIホールディングスは、  資本業務提携契約における第三者割当増
  資の実施後に、SBIホールディングスが当社の社外取締役(監査等委員である
  取締役を除く)候補者 1 名を指名することができること、また資本業務提携契約
  に基づく業務提携の内容を円滑に遂行するため議決権のないオブザーバー2 名を
  派遣することができることにつきまして合意しております。2 名のオブザーバー
  につきましては、当社とSBIホールディングスが別途合意する当社グループの
  取締役会、経営会議等の意思決定機関をはじめとした会議体に出席して活発に意
  見・情報交換をしております。
   なお、SBIホールディングスの指名する社外取締役(監査等委員である取締
  役を除く)候補者 1 名につきましては、2021 年 6 月開催の定時株主総会におい
  て、取締役選任議案を上程し、承認可決されております。

5-3   経営管理組織の機能

5-3-1   銀行持株会社としての組織体制

(1)取締役会

  ① 取締役会の構成
    当社は、2019 年 6 月より監査等委員会設置会社へ移行しており、取締役会は
   取締役 14 名(うち監査等委員である取締役 4 名)で構成しております。
    また、 コーポレートガバナンス態勢を強化するため、   取締役 14 名のうち社外
   取締役は 5 名(うち監査等委員である社外取締役 3 名)を選任しており、その
   構成比は 35.7%であります。
    子銀行も同様に、監査等委員会設置会社へと移行しており、当社の社外取締
   役と兼任することなく、きらやか銀行において社外取締役 4 名(うち監査等委
   員である社外取締役 2 名) 仙台銀行ににおいて社外取締役 3 名
                   、                 (うち監査等委
   員である社外取締役 2 名)を選任しております。




                        11
 ≪じもとホールディングス・社外役員:2021 年 3 月末現在≫
      役職名            氏名                重要な兼職

社外取締役           大山   正征        株式会社ユアテック顧問
社外取締役           半田   稔         弁護士
社外取締役(監査等委員)    伊藤   吉明        公認会計士
社外取締役(監査等委員)    髙橋   節         元山形県副知事
社外取締役(監査等委員)    今野   純一        元宮城県総務部長

 ≪きらやか銀行・社外役員:2021 年 3 月末現在≫
      役職名            氏名                重要な兼職

社外取締役           佐藤   明夫        弁護士
社外取締役           森    俊彦        金融庁参与、(一社)日本金融人材育成協会会長
社外取締役(監査等委員)    結城   章夫        元山形大学長、元文部科学省事務次官
社外取締役(監査等委員)    五十嵐正明          公認会計士

 ≪仙台銀行・社外役員:2021 年 3 月末現在≫
      役職名            氏名                重要な兼職

社外取締役           堀内   政司        弁護士
社外取締役(監査等委員)    笠原   周二        元仙台市副市長
社外取締役(監査等委員)    柴田   純一        公認会計士


② 取締役会の運営
  当社取締役会は、原則として月 1 回開催し、グループ経営の重要事項やグル
 ープ経営計画・戦略、リスク管理などの議案を協議・決議しております。
  当社の監査等委員会設置会社移行に伴い、当社定款及び取締役会規程を改定
 し、重要な業務執行の決定の一部を、取締役全員で構成する経営会議へ委任い
 たしました。これにより、業務意思決定の迅速化に取り組んでおります。
  併せて、協議事項を新設し、付議事項のうち特に重要な議案は、決議に先立
 って複数回にわたり議論を充実させております。また、決議や報告を要しない
 事項についても、中長期的な視点から経営の議論を行っております。
  これら重要議案に係る審議時間を確保するため、報告議案は重要度に応じて
 区分し、取締役会での説明レベルに強弱をつけて進行しております。

 ≪じもとホールディングス・取締役会の主な議案≫
                         取締役会の議案
 ① グループ経営の重要な事項についての協議・決議
 ② グループ経営計画・戦略の策定、グループ業務執行状況の監視
 ③ グループ経営リスク管理




                          12
③ コーポレートガバナンス態勢の強化への取組み

<指名・報酬協議会>
 当社の「指名・報酬協議会」は、取締役会の諮問機関であり、当社及び子銀
行の取締役等の指名並びに報酬を決定するにあたって、透明性・公正性を確保
することを目的に設置しております。
 当会議は、当社代表取締役 2 名及び社外取締役 2 名の 4 名で構成し、社外取
締役が議長を務めております。
 また 2019 年 6 月より、監査等委員会委員長(社外取締役)がオブザーバーと
して参加しており、同委員会が株主総会において取締役の指名・報酬に係る意
見陳述を行うために必要な情報を入手しております。

<グループ社外役員連絡会>
 当社の「グループ社外役員連絡会」 当社及び子銀行の社外役員で構成し、
                 は、
代表には当社社外取締役を選任しております。
 本会議は、原則として半期毎に開催し、社外役員が取締役会の運営方法に係
る評価や要望など、多岐にわたる意見交換を行っております。それらの意見を
取締役会運営に反映させ、議論の活発化や改善につなげております。


 ≪グループ社外役員連絡会の主な意見と対応≫
     社外役員の意見                意見を踏まえた対応

 取締役会の運営            ・監査等委員会設置会社へ移行し、付議事項と報告事
 ・社外役員の責務として議論の充実    項を削減。中長期的な経営課題、重要な議題を複数
  を図りたい。             回にわたり議論する態勢とした。

 監査等委員会の運営
                    ・グループの監査等委員、監査役、監査部長が参加し、
 ・監査等委員として、グループ監査
                     監査意見交換会(全 5 回)を開催した。
  体制を充実させたい。



<取締役会実効性評価アンケート>
  当社及び子銀行は、取締役会の構成、運営状況及び取締役の活動状況などを
 基に、事業年度毎に取締役会が自己評価を行うこととしております。
  この自己評価にあたっては、毎年 6 月に取締役を対象とした「実効性評価ア
 ンケート」を行い、取締役会運営に係る課題抽出と改善活動を繰り返しており
 ます。これにより取締役会の機能を継続的に高めてまいります。




                     13
  <業績連動型株式報酬制度の導入>
    当社及び子銀行の取締役(いずれも社外取締役を除く)を対象に、2016 年 8
   月に信託制度を利用した業績連動型株式報酬制度を導入しております。
    本制度は、対象役員の報酬と当社グループの業績及び株式価値との連動性を
   より明確にし、対象役員が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リス
   クまでも株主の皆様と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増
   大に貢献する意識を高めることを目的として導入したものです。

  <社外役員の研修体制>
    当社は、当社の社外役員が会社経営者や弁護士、公認会計士、行政経験者で
   構成していることから、社内外において銀行経営や金融情勢に係る研修機会を
   提供しております。
    当社グループの支店長会議に出席するほか、日本銀行等が主催する外部セミ
   ナーにも積極的に出席いただいております。

  ④ 社外役員からの提言・意見
    社外役員からは、それぞれの専門的な知見に基づき、中期経営計画の進捗や
   内部管理などグループ経営全体に対して、今まで以上に積極的に提言や意見表
   明をいただいております。
    当社は、これらの意見を踏まえ、経営方針や施策の決定、子銀行への指示に
   反映させております。

(2)監査等委員会
   当社は 2019 年 6 月より監査等委員会設置会社へと移行しております。
   監査等委員会は、取締役 4 名(うち社外取締役 3 名)で構成し、社外取締役
  が委員長を務めております。
   本会は、原則として月 1 回開催し、「監査等委員会規程」、「監査等委員会監
  査等基準」に基づき、監査に関する重要な事項について協議、決議を行っており
  ます。
   また、監査等委員会は、監査部と連携を深め、監査計画の策定・管理に関与す
  るとともに、取締役の職務執行を監視・監督しております。さらに、常勤監査等
  委員は、経営会議、各種委員会等へ出席し必要に応じて意見を述べるなど、監査
  を適切に実施するため必要な権限行使を行っております。
   また 2020 年 6 月から、当社及び子銀行の監査等委員と監査部長で構成する「監
  査意見交換会」を設置し、グループ監査態勢の強化に係る意見交換を半期毎に実
  施しております。




                     14
(3)経営会議
   本会は、取締役会の下部組織の会議体であり、取締役(社外取締役除く)で構
  成しております。
   本会議には、常勤監査等委員である取締役、リスク統括部長、監査部長、子銀
  行経営企画部長等も参加のうえ、原則として週 1 回開催し、以下の議案を討議・
  決議しております。
    ≪じもとホールディングス・経営会議の主な議案≫
                           議 案
    ① 取締役会の方針に基づくグループの業務執行に係る事項の決議
    ② 取締役会に委任された重要な業務執行の一部の協議・決議
    ③ グループ経営計画・戦略の執行状況の管理


(4)グループコンプライアンス委員会
   本会は、取締役会の下部組織の会議体であり、取締役(社外取締役除く)、子
  銀行リスク担当役員・部長等で構成し、原則として月 1 回開催し、以下の内容を
  討議・決議しております。

    ≪じもとホールディングス・グループコンプライアンス委員会の主な議案≫
                           議 案
    ① グループ全体のコンプライアンス態勢の検証


(5)グループリスク管理委員会
   本会は、取締役会の下部組織の会議体であり、取締役(社外取締役除く)、子
  銀行リスク担当役員・部長等で構成し、原則として月 1 回開催し、以下の内容を
  討議・決議しております。

    ≪じもとホールディングス・グループリスク管理委員会の主な議案≫
                           議 案
    ① グループ連結での各種リスクコントロール、資産ポートフォリオ管理
    ② グループ経営リスク管理、グループ全体での資産負債管理


5-3-2   子会社の経営管理を担当する役員の配置

  当社の取締役 14 名のうち社外取締役 5 名及び監査等委員である取締役 1 名を除く
8 名は、子銀行の取締役を兼職し、子銀行取締役としての知識及び経験を有しており
ます。
  これにより当社の取締役は、持株会社のガバナンス機能を発揮するにあたって、子
銀行の経営管理を的確・公正に遂行することができる状況にあり、かつ十分な社会的



                      15
信用を有しております。
 また、以下の取組みにより、当社による子銀行の掌握をより確かなものとし、持株
会社としての適切な経営管理と運営、銀行業務の健全かつ適切な運営に資する態勢と
しております。

(1)代表取締役及び常勤役員の配置
  ① 当社の代表取締役 2 名は、子銀行の代表取締役頭取が兼職しております。
  ② 当社の常勤取締役 2 名(子銀行の取締役を兼職)は、持株会社に常勤して当社
    の持株会社業務の全般を統括管理しております。

(2)子銀行会議への出席と監督
  ① 当社の常勤取締役 2 名は、子銀行の取締役会及び経営会議に出席し、子銀行
    の意思決定及び業務執行状況を監督する態勢としております。
  ② 当社のコンプライアンス担当取締役及びリスク統括部長は、子銀行のリスク
    管理委員会及びコンプライアンス委員会に出席し、子銀行の内部管理態勢を
    監督する態勢としております。
  ③ 子銀行の経営企画担当及び営業推進担当の取締役は、両子銀行の収益委員会
    及び業績進捗会議にオブザーバーとして相互に出席し、グループ計画の達成
    に向けて連携し、意見・情報交換等を実施する態勢としております。
  ④ 子銀行の監査部長は、リスクアセスメントの観点を取り入れたリスクベース
    の内部監査を実施するにあたり、自行の各会議に出席し、リスク状況をモニ
    タリングする態勢としております。

5-3-3   子銀行の業務統一と経営効率化

 当社は、じもとグループ発足後、子銀行の会議体や本部組織、業務運営について、
その体系や体制を統一することでグループ運営の一体性、効率性、適切性を高める方
針としております。
 この方針に基づき、これまでに両子銀行のサブシステムや規程等の統一、業務運営
フローの統一等に取組んでまいりました。2019 年 10 月からは当社内に市場金融部証
券管理課を新設し、グループ傘下のきらやか銀行と仙台銀行の市場金融部門の証券管
理事務業務を統一し、当社での業務執行体制とすることで、グループ全体の業務効率
化を図っております。今回の統一では、従来は両行で個別に行っておりました共通業
務を当社が一本化して行うことができる体制となることで、     グループ全体での一体的
かつ効率的な運営が可能になるものと考えております。
 当社は、引き続きグループの統合効果を最大限に発揮するため、グループ組織、業
務運営態勢の見直しや、グループ内コスト削減に取り組んでまいります。



                    16
 これを通じて当社は、グループ全体で合併と同等の経営の効率化 合理化を実現し、
                              ・
グループ経営資源を重要戦略である「本業支援」に再配分するなど経営統合効果・相
乗効果をさらに発揮してまいります。

≪じもとホールディングス・経営の効率化・合理化≫




5-4   業務運営組織の機能

(1)業務運営組織の設置
   当社は、銀行持株会社として以下の業務運営組織を設置し、グループ全体で
  経営機能面の徹底した効率化・強化をさらに実現してまいります。
   持株会社の更なる機能発揮に向けては、2019 年 10 月に市場金融部証券管理課
  を新設しました。グループ傘下のきらやか銀行と仙台銀行の市場金融部門の証
  券管理事務業務を統一し、当社が業務執行を行う体制とすることで、グループ
  全体のガバナンス態勢強化と業務効率化を進めております。
   また、総合企画部に経営戦略部及び総務部を統合し、業務集約による効率化
  も実施しております。

≪じもとホールディングスの業務運営組織≫
         部署名                 役割・機能
                  ・グループ全体の経営戦略の策定及び管理
 総合企画部            ・各部門別の経営戦略の策定及び管理
                  ・総務関連業務
 リスク統括部           ・グループのリスク管理の統括
 経理部              ・決算、経理に関する業務
 本業支援戦略部          ・グループ長期戦略の「本業支援」に係る統括的な管理
 市場金融部 証券管理課      ・子銀行の証券管理事務業務




                       17
(2)本業支援の機能強化
    当社は、本計画において、お客さまに選ばれ、信頼される「顧客本位の本業支
  援」の確立を目標とし、じもとグループ独自のビジネスモデルとして特徴を発揮
  し、お客さまの事業・本業の発展、復興そして地方創生に貢献するとともに、グ
  ループの経営基盤を強化する方針としております。
    本報告期間においては、グループ全体で県境を越えた情報収集・管理フォロー
  を徹底するとともに、取引先のマッチングニーズを集約した「ビジネスマッチン
  グ情報」を毎月発行し、取引先へ配布・提案してまいりました。これらにより
  2020 年度のビジネスマッチング実績は、紹介件数 277 件・成約件数 70 件となっ
  ております。  新型コロナウイルスの影響により商談会の開催が困難となったこと
  から、紹介件数は前年比 168 件減少と低調でありましたが、洗浄・除菌、マスク
  などコロナ関連でのマッチングが多く成立したことを要因として、      成約件数は前
  年比 8 件減少に留まりました。
    また、本業支援のさらなる強化に向け、マネジメント能力向上のための研修や
  若手、女性渉外職員の育成を目的とした研修を実施するなど、人材育成の充実化
  を図るとともに、グループ内外の専門家等との連携を図ることで、多様化する取
  引先の経営課題解決に向けて取り組んでまいりました。
    今後は、グループ内の人事交流も活性化させることで、子銀行におけるノウハ
  ウの共有とレベルアップを目指してまいります。

     ≪じもとホールディングスによる本業支援強化≫




                      18
5-5   業務執行に対する監査又は監督の体制の強化

(1)監査等委員会
   当社は、「監査等委員会規程」を定め、経営管理組織として監査等委員会を設
  置しております。本会の開催頻度は原則として月 1 回であり、監査に関する重要
  な事項について報告を受け、協議または決議をする態勢としております。
   当社の監査等委員は、4 名のうち 3 名を社外取締役としております。
   監査等委員である取締役は、取締役会などの重要な会議への出席、代表取締役
  との定期的な意見交換会等を通じて、   第三者的な立場から公正かつ有効に業務執
  行に対する監査機能が発揮できる態勢としております。
      ≪じもとホールディングス監査等委員:2021 年 3 月末現在≫
         役職名               氏名                重要な兼職
      社外取締役
                  伊藤   吉明            公認会計士
      監査等委員長
      社外取締役
                  髙橋   節             元山形県副知事
      監査等委員
      社外取締役
                  今野   純一            元宮城県総務部長
      監査等委員
      取締役
                  遠藤   宏             -
      監査等委員(常勤)


(2)監査部
   当社取締役会は、「内部監査方針」及び「内部監査規程」を定め、内部監査
  部門として監査部を設置しております。
   監査部は、監査等委員会と連携し、内部管理態勢等の適切性及び有効性を客
  観的・公正に検証し、問題点等の改善方法の提言を行う態勢としております。
   当社は、リスクアセスメントの観点を取り入れたリスクベースの内部監査の
  一環として、監査部長が経営会議やリスク管理委員会、コンプライアンス委員
  会などの主要会議に出席し、リスク状況をモニタリングしております。
   監査の実施にあたっては、子銀行の内部監査部門と連携し、これまで蓄積し
  たノウハウを活用して効率性と実効性のある内部監査を実施しております。
   加えて、監査部が子銀行の内部監査部門の態勢評価を行い、子銀行の内部監
  査部門の強化につなげております。
   また、これらの取り組みに加え、子銀行同士による合同監査を実施し、両行
  監査員が相互に営業店監査に参加することで、監査スキルの共有化とレベルア
  ップに取り組んでおります。




                                19
5-6       リスク管理(不良債権の適切な管理を含む。)の体制の強化のための方策

5-6-1       基本方針及び管理体制

(1)基本方針
   当社取締役会は、
          「統合的リスク管理方針」 を定め、以下の基本方針に基づき、
  適切なリスク管理態勢の構築と整備を図り、グループ業務の健全かつ適切な運営
  を確保することとしております。

   ≪じもとホールディングス・統合的リスク管理方針≫
           グループ子会社が収益確保を優先するあまりリスク管理を軽視することのないよう管
      1    理し、業務の健全かつ適切な運営を確保するようリスク管理重視の企業風土を醸成す
           る。
           グループの業務の健全性及び適切性を確保する観点から、グループ子会社が抱える各
      2
           種リスクの所在の把握と評価に努め管理する。
           モニタリング等によるリスク管理と内部監査及び外部監査による監査を行い、内部牽
      3    制機能を構築することにより、グループ子会社のリスク管理の状況を的確に把握・分
           析し、問題点等改善すべき点を検討し、指導管理する。
           統合的リスク管理態勢の整備・確立は、グループの業務の健全性及び適切性の観点か
      4    ら極めて重要であると認識し、グループの業務の規模・特性等を考慮しつつ、適切な
           統合的リスク管理態勢の整備・確立を図る。
           管理対象とするリスクは、グループの信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペ
      5
           レーショナル・リスク、及び業務運営上グループが損失を被るその他のリスクとする。


(2)グループリスク管理委員会
   当社取締役会は、「グループリスク管理委員会規程」を定め、取締役会の下部
  組織としてグループリスク管理委員会を設置しております。
   本委員会は、当社取締役で構成し、子銀行のリスク管理担当部署の担当役員及
  び部長も出席しております。
   開催頻度は月 1 回であり、グループ経営の「健全性の確保」 「収益性の向上」
                                と
  を図るため、「グループのリスク管理態勢の整備」や「グループの各種リスクの
  状況把握と評価」などに取り組んでおります。

(3)リスク管理部門
   当社取締役会は、リスク管理部門としてリスク統括部を設置しております。
  この部署は、高い専門性や機能が求められることから、子銀行の当該部署及び機
  能を当社に集約し、経営効率化を図るとともに高い専門性を発揮する体制として
  おります。
   本報告期間においては、日本銀行のマイナス金利政策の導入に伴う影響を検証
  したほか、投資信託を中心とするその他有価証券の増加など、グループ内での市
  場運用構成の変化を踏まえたリスク管理態勢の構築に取り組んでおります。


                           20
5-6-2   リスク管理態勢

(1)統合的リスク管理
   当社取締役会は、「統合的リスク管理方針」及び「統合的リスク管理規程」を
  定めております。
   リスク統括部は、これらを役職員及びグループ子会社に周知するとともに、定
  期的かつ必要に応じて速やかに、グループ子会社から統合的リスクに関する事項
  の報告を受け、取締役会及びグループリスク管理委員会に対しこれを報告する態
  勢としております。
   グループリスク管理委員会は、子銀行のリスク管理状況について定期的に報告
  を受け、問題がないかどうかを確認し、必要に応じて是正を命じるなど適切に把
  握・管理する態勢としております。子会社で顕在化したリスク等がグループ内の
  子銀行の経営に影響を与えることのないよう、本委員会が中心となって適切な対
  策を検討し、子銀行等に実行させる態勢としております。
   また、各子銀行において年度計画の影響が懸念されるリスク事象が発生し、計
  画への影響が一定の水準を超過する場合については当社グループリスク管理委
  員会において対応方針の決議を行うなど、当社による子銀行のリスク懸念事象発
  生時の関与を強化するべく、グループ内におけるリスク管理態勢の全般の見直し
  を行っております。

(2)信用リスク管理
   グループリスク管理委員会は、子銀行それぞれの地域経済環境等を踏まえ、取
  引方針及び審査方針等は各行の主体性を維持しつつ、互いのノウハウを共有・活
  用し、信用リスクに係る基準・手法等の統一に取り組んでおります。これにより
  グループとしての信用リスクの計量化を行い、自己資本に見合った適切な信用リ
  スクリミットの設定を行っております。
   グループリスク管理委員会は、グループ内の与信管理状況について、法令等に
  抵触しない範囲で総合的に把握するとともに、グループとしての与信限度管理額
  を設定することで、グループとして特定の業種または特定のグループに対する与
  信集中の状況等を適切に管理する態勢としております。
   また、一方の子銀行において顕在化した融資先の破綻等の信用リスクについて、
  その取組み状況から破綻に至るまでの判断・管理、該当企業の財務・業況推移な
  どの分析結果を踏まえた対応策等について、法令等に抵触しない範囲で共有し、
  取引方針及び審査方針として活用することにより、信用リスク管理の高度化につ
  なげております。さらには、法令等に抵触しない範囲で、それぞれの子銀行が持
  つ経営改善及び事業再生に係るノウハウを共有・活用することにより、グループ
  としての資産内容の健全化につなげております。



                  21
   2019 年 4 月からは、きらやか銀行の審査担当者を仙台銀行融資部に配置して
  おり、両行にて積極的に情報共有を進めていくことで、更なる信用リスク管理態
  勢の強化を図ってまいります。

(3)市場リスク管理
   グループリスク管理委員会は、子銀行がそれぞれ制定・運用している市場リス
  クに係る管理方法等の情報を共有することで、グループとしての市場リスク管理
  強化を行い、自己資本に見合った適切な市場リスクリミットの設定を行っており
  ます。
   また、グループ内の市場リスク管理の状況について総合的に把握し、グループ
  としての有価証券等のポートフォリオ状況を適切に管理する態勢としておりま
  す。

5-7   法令遵守の体制の強化のための方策

(1)基本方針
   当社取締役会は、「コンプライアンス基本方針」を定め、地域金融機関の完全
  親会社として公共的使命や社会的責任を果たすとともに、地域社会の健全な発展
  に資するため、法令等遵守を経営の最重要課題の一つとして位置付け、実効性あ
  るコンプライアンス態勢を確立し、広く社会からの信頼に応えることを基本方針
  としております。

(2)グループコンプライアンス委員会
   当社取締役会は、「コンプライアンス規程」及び「グループコンプライアンス
  委員会規程」を定め、取締役会の下部組織としてグループコンプライアンス委員
  会を設置しております。
   本委員会は、当社取締役で構成し、開催頻度は月 1 回としております。法令、
  や社内諸規程の遵守、及び企業倫理を確立するため、当社におけるコンプライア
  ンスの徹底状況を把握するほか、グループ内各社のコンプライアンス委員会から
  報告を受け、必要に応じ、協議を行う態勢としております。
   また、子会社で顕在化した法務リスク等がグループ内の子銀行の経営に影響を
  与えることのないよう、本委員会が中心となって適切な対策を検討し、子会社等
  に指導・実行させる態勢としております。

(3)コンプライアンス統括部署
   当社取締役会は、コンプライアンス統括部署としてリスク統括部を設置してお
  ります。この部署は、高い専門性や機能が求められることから、子銀行の当該部



                    22
  署及び機能を当社に集約することにより、経営効率化を図るとともに高い専門性
  を発揮する体制としております。

5-8   経営に対する評価の客観性の確保のための方策

<社外取締役の選任>
  前記のとおり、当社は経営の透明性を一段と高めるため、社外取締役5名を選任
 しております。
  社外取締役は、子銀行の内部監査で発見された課題について、他の子銀行での対
 応状況を確認して改善を促すなど、第三者の客観的な立場からの評価、助言を行う
 ことで、経営の透明性を発揮する体制としております。


  ≪社外取締役の取締役会出席状況≫                                        (単位:回)

           2018 年度       2019 年度       2020 年度
                                                     社外取締役名
             実績            実績            実績

  取締役会
                 19            17            19
  開催回数
  うち                                              社外取締役 熊谷 満
  社外取締役              4         -             -    株式会社ユアテック相談役
  出席回数                                            (2018 年 6 月退任)
  うち                                              社外取締役 内藤 和暁
  社外取締役          19                3         -    弁護士
  出席回数                                            (2019 年 5 月退任)
  うち                                              社外取締役 大山 正征
  社外取締役              6         17            19   株式会社ユアテック顧問
  出席回数                                            (2018 年 12 月就任)
  うち                                              社外取締役 半田 稔
  社外取締役          -             14            19   弁護士
  出席回数                                            (2019 年 6 月就任)
  うち                                              社外取締役 伊藤 吉明
  社外取締役          -             14            19   公認会計士
  出席回数                                            (2019 年 6 月就任)
  うち                                              社外取締役 髙橋 節
  社外取締役          -             14            19   元山形県副知事
  出席回数                                            (2019 年 6 月就任)
  うち                                              社外取締役 今野 純一
  社外取締役          -             14            19   元宮城県総務部長
  出席回数                                            (2019 年 6 月就任)
 ※伊藤吉明氏、髙橋節氏、今野純一氏の 3 名は監査等委員である社外取締役となります。




                               23
5-9   情報開示の充実のための方策

(1)財務・業績情報の開示
   当社は、グループ財務・業績情報について、四半期の適時開示のほか、プレス
  リリース、ホームページへの掲載等により、適時適切な開示を実施しております。
   また、地元の宮城県及び山形県においては、中間期、通期の決算発表記者会見
  を実施し、詳細な説明を行っております。
   同時期には、宮城県内及び山形県内で株主、お取引先に対しIR活動(インベ
  スターリレーションズ:投資家向け広報)を実施しているほか、毎年6月に東京
  での投資家向けIRを実施しております。

(2)復興支援を含めた経営強化計画実績の開示
   当社は、本業支援・復興支援を含めた経営強化計画の取組み状況についても、
  IR活動やディスクロージャー誌、   ホームページ、ニュースリリース等を通じて、
  地域社会へ継続的に発信し、   グループに対する地域社会からの信頼と支持をさら
  に高め、経営の透明性を充実させております。
   じもとグループIRでは、本業支援や復興実績を継続的にPRしており、地元
  の地方自治体や商工会議所にも参加を案内しております。
   例年 6 月から 7 月にかけて会社説明会を実施しておりますが、2021 年度につ
  きましては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を勘案し、開催を見合わせ
  ることとしております。

                                       以   上




                      24
Ⅱ.株式会社きらやか銀行




     25
1.収益の状況


1-1   2021 年 3 月期決算の概要


(1)経営環境
    2021 年 3 月期における国内経済について、新型コロナウイルス感染症
   再拡大の影響により引続き景気悪化が続いており、先行きについては感
   染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく各
   種政策等により持ち直しの動きが期待されておりますが、引き続き厳し
   い状況が続くと見込まれます。
    山形県内経済につきましても、長引く新型コロナウイルス感染症の影
   響が大きく、個人消費等一部に持ち直しの動きが見られるものの、依然
   として厳しい状況にあります。
    このような経済環境の下、       当行では策定した「第 5 次中期経営計画(2018
   年 4 月~2021 年 3 月)」の最終年度として、本業支援を更に進化させ、5
   年後 10 年後を見据えた持続可能性のあるビジネスモデルの構築に更なる
   スピード感を持って取組んでおります。
    また、じもとグループにおいても、県境を越えた地域金融グループと
   して、 「本業支援」を中核とするビジネスモデルを更に進化・発展させ、
   地域経済の復興・創生の貢献に取組むべく、中期経営計画を策定してお
   ります。また、仙台銀行との連携を強化し、復興支援並びに中小規模事
   業者に対する信用供与にグループ一体となって積極的に貢献しておりま
   す。


(2)決算の概要(2021 年 3 月期決算:単体)
 ①資産・負債の状況
 ア.貸出金
    2021 年 3 月末の貸出金残高は、新型コロナウイルス感染症関連の資金
   需要に積極的に対応したことなどにより中小企業向け貸出金が前年同月
   比 467 億 38 百万円増加したものの、住宅ローン債権の証券化を実施した
   ことから、全体として前年同月比 58 億 96 百万円減少の 1 兆 100 億 25 百
   万円となりました。

 【貸出金残高の推移】                                           (単位:百万円、%)


              2020 年 3 月末           2021 年 3 月末
                                                     前年同月比      増減率
貸出金残高              1,015,921             1,010,025     △5,896    △0.5

                               26
 うち中小企業向け
                    553,005                599,743     46,738      8.4
 貸出残高
  うち証書貸付            418,075                488,100     70,025     16.7
 うち消費者ローン           269,511                237,823    △31,688    △11.7
  うち住宅ロー
                    252,096                221,710    △30,385    △12.0
  ン
 うち地方公共団体向
                     38,480                 28,182    △10,298    △26.7
 け貸出残高



 イ.預金
    2021 年 3 月末の預金残高は前年同月比 552 億 83 百万円増加の 1 兆 2,765
   億 58 百万円となりました。要因としては個人預金が新型コロナ関連によ
   る給付金の需給により前年同月比 378 億増加したことや法人預金が新型
   コロナ関連の影響により手元資金を確保する動きが見られたことから前
   年同月比 187 億の増加となったことによるものです。
【預金残高の推移】                                             (単位:百万円、%)


              2020 年 3 月末           2021 年 3 月末
                                                     前年同月比       増減率
預金残高(譲渡性預金
                   1,221,274             1,276,558      55,283     4.5
含む)
 うち個人預金              845,464               883,295      37,831     4.4
 うち法人預金              358,101               376,885      18,784     5.2
 うち公金預金               14,374                12,591     △1,783    △12.4


 ウ.有価証券
    2021 年 3 月末の有価証券残高は、SBIグループとの連携のもと運用
   ポートフォリオの見直しを実施したことなどから、前年同月比 360 億 59
   百万円増加の 2,378 億 54 百万円となりました。

【有価証券残高の推移】                                            (単位 百万円、
                                                          :    %)


                 2020 年 3 月末        2021 年 3 月末
                                                     前年同月比       増減率
有価証券残高                 201,794            237,854      36,059     17.8
 国債                     26,748             14,428     △12,319    △46.0
 地方債                        8,132           8,330         198      2.4
 社債                     54,878             43,297     △11,581    △21.1

                               27
 株式                     7,792              6,469     △1,323    △16.9
 その他証券                104,243            165,329      61,086    58.5
      以上の結果、2021 年 3 月末の資産・負債は以下のとおりとなりました。

【資産 負債の推移】
   ・                                                 (単位 百万円、
                                                        :    %)

                2020 年 3 月末        2021 年 3 月末
                                                   前年同月比       増減率
資産                  1,329,011          1,372,323      43,312     3.2
 貸出金                1,015,921          1,010,025     △5,896     △0.5
 有価証券                 201,794            237,854      36,059    17.8
負債                  1,262,636          1,307,528      44,892     3.5
 預金等                1,221,274          1,276,558      55,283     4.5
 社債・借用金                 1,700              1,900         200    11.7
純資産                    66,375             64,795     △1,580     △2.3
 ②収益状況
 ア.資金利益
    資金利益については、新型コロナウイルス感染症関連の資金需要対応
   によって中小企業向け貸出金は増加したものの、住宅ローン債権の証券
   化により消費性ローン残高が減少したことから貸出金利息は微減となり
   ました。一方、損失が出ている有価証券の処理を行うために投資信託解
   約益を計上し有価証券利息配当金が増加したことを要因に 2021 年 3 月期
   は前年同月比 6 億 99 百万円増加の 151 億 87 百万円となりました。


 イ.役務取引等利益
    役務取引等利益について、お客さまへのアフターフォローを中心に取
   組んだ結果、預かり資産関連手数料は前年比増加となりました。また、
   事業者向けを中心とする新役務手数料については福利厚生の本業支援と
   して取扱している福利厚生サービス手数料等が増加した為、2021 年 3 月
   期は前年同月比 204 百万円増加の 15 億 84 百万円となりました。


 ウ.経費
    人件費は職員数の減少などにより前年同月比 2 億 45 百万円減少となり
   ました。物件費におきましては過年度に導入したシステム投資に伴う減
   価償却費が剥落したことなどから前年同月比 5 億 53 百万円減少し、経費
   全体で 2021 年 3 月期は前年同月比 7 億 87 百万円減少の 127 億 30 百万円
   となりました。
    以上の結果を踏まえ、2021 年 3 月期の経常収益は有価証券利息配当金

                              28
     等の資金利益が増加したことなどから、前年同月比 16 億 3 百万円増加の
     223 億 35 百万円となりました。また、コア業務純益は、手数楼収入増加
     や経費削減の他、投資信託解約益の計上、住宅ローン債権の証券化を実
     施したことなどから、前年同月比 30 億 85 百万円増加の 65 億 47 百万円
     となりました。
       また有価証券ポートフォリオの見直しに伴い、有価証券関連で保有す
     る投資信託等の損失処理を実施したため国債等債権関係損益が前年同月
     比 71 億 33 百万円減少となったことや取引先の業況悪化に伴う与信関係
     費用が増加したことから、経常利益は前年同月比 60 億 42 百万円減少し
     43 億 64 百万円、当期純利益は前年同月比 59 億 59 百万円減少の 48 億 55
     百万円の赤字となりました。
【損益状況の推移】                                               (単位:百万円)

               2020 年 3 月期   2021 年 3 月期

                  実績            実績          計画         計画比        前年比
業務粗利益              16,919        12,083     18,212     △6,129     △4,835
【コア業務粗利益】          16,979        19,277     18,212      1,065      2,298
 資金利益              14,487        15,187     16,381     △1,194        699
 役務取引等利益            1,379         1,584      1,831      △247         204
 その他業務利益            1,052       △4,687             0   △4,687     △5,739
 (うち国債等関係損益)         △60        △7,194             0   △7,194     △7,133
経費                 13,518        12,730     14,080     △1,350      △787
 うち人件費              6,575         6,330      7,513     △1,183      △245
 うち物件費              5,981         5,428      5,514       △86       △552
一般貸倒引当金                293            827          0      827        533
業務純益                3,400         △647       4,132     △4,779     △4,048
【コア業務純益】            3,461         6,547      4,132      2,415      3,086
臨時損益              △1,428        △2,889      △1,011     △1,878     △1,460
 不良債権処理額               868        2,415          570    1,845      1,547
 株式関係損益             △480          △132             0    △132         348
経常利益                1,678       △4,364       3,122     △7,486     △6,042
特別損益                 △30          △335        △50       △285       △305
税引前当期純利益            1,647       △4,699       3,070     △7,769     △6,346
法人税等                   200             30        215    △185       △170
法人税等調整額                343            125         50         75    △218
当期純利益               1,103       △4,855       2,807     △7,662     △5,959

※2021 年 3 月期計画は経営強化計画(2018 年 6 月策定)に記載した計数見通し

                                 29
2.中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化その他の当該金融機関等が主
  として業務を行う地域における経済の活性化に資する方策の進捗状況


2-1 中小規模の事業者に対する信用供与の円滑化のための方策
2-1-1 中小規模の事業者に対する信用供与の実施体制整備のための方策
(1)経営方針
    当行は、地元中小企業者等への安定的かつ円滑な資金供給機能を通じ
   た地域経済の活性化に資するため、地域に根ざす金融機関として、地域
   経済及び取引先との共存共栄を目指し、地域密着型金融を推進してまい
   りました。2009 年に「本業支援」への取組みを開始し、2010 年 10 月か
   らは『地域の皆様と共に「活きる」    』を経営方針に掲げ、地元中小企業者
   のお客様に対しては「本業支援」    、個人のお客様に対しては「最適提案」
   に全力で取組むビジネスモデルを再構築し、営業推進の強化に努めるこ
   と、また「ルールを守る」を合言葉に、徹底した内部管理の強化に努め
   ることを最重点施策として進めてまいりました。特に、中小企業者のお
   客様に対する「本業支援」につきましては、当行の特徴とすべく、本部
   に専門部署を設置するなど体制を整備し、全職員が組織的かつ継続的に
   取り組んできました。2018 年 4 月からスタートし、2021 年が最終年度と
   なる第 5 次中期経営計画においては、2016 年 10 月から取組んでいる「中
   小企業成長戦略」  を更に進化させ  「本業支援を完成させるための 3 年間」
   と位置付け、  「中小企業成長戦略」への経営資源の集中、銀行業から「本
   業支援業」への転換を目指した取組みを展開してまいりました。
    また、じもとグループにおいても、県境を越えた地域金融グループと
   して、「本業支援」を中核とするビジネスモデルを更に進化・発展させ、
   地域経済の復興・創生の貢献に取組むべく、中期経営計画を策定してお
   ります。 経営計画の柱を以下のとおり掲げ、   仙台銀行との連携を強化し、
   復興支援並びに中小規模事業者に対する信用供与に積極的に貢献してお
   ります。




                    30
【じもとグループ中期経営計画の柱】




(2)経営戦略
 ①ビジネスモデルの進化
    当行では、これまで「本業支援」と「最適提案」を主軸としたビジネ
   スモデルを土台とし、「お客さま」   「地域社会」「株主」「職員」それぞれ
   から“喜ばれる”銀行を目指してまいりました。今後の金融業界に予想
   される変化を踏まえ「5 年後 10 年後を見据えた持続可能性のあるビジネ
   スモデルの構築」や「地方創生の実現に向けた地域密着型金融の徹底・
   強化」に取組む必要があると考えております。
    新中期経営計画では、「顧客本位の本業支援」と「統合効果発揮」をキ
   ーワードに、「持続可能なビジネスモデルの確立」と「効率化・合理化」
   を新計画の柱とし取り組んでまいりました。
    ②本計画のビジネスモデル
【中期経営計画の目指す姿】




                    31
当行の中期経営計画の基本骨子は以下の通りです。
【中期経営計画の基本骨子】
① 本業支援戦略     中小企業成長戦略(①財務の本業支援・②成長の為の本業支援・
             ③資産形成のお手伝い(職域))
② 効率化戦略      店舗・人材戦略・IT戦略・経営資源の最適化
③ 人材戦略       顧客本位の本業支援ができる人材育成
④ リスクテイク戦略   経営方針、戦略にあったリスク管理態勢の高度化(信用リスク・
             市場リスク)


 ア.中小企業成長戦略
    当行の営業エリアには、地域経済の中核を担いながらも、金融・事業
   面の悩みを相談できる先が少ない企業が多数存在します。当行はこのよ
   うな企業こそ本当に本業支援を必要としている先と認識しております。
    そこで当行では、2016 年 10 月から『本当に本業支援を必要としている
   先』に対し、「財務の本業支援」や「成長の為の本業支援」を行う『中小
   企業成長戦略』に経営資源を集中しております。
  【中小企業成長戦略のアプローチ方法】

   「財務の本業支援」とは                 「成長の為の本業支援」とは
   ①決算書からストーリーを創る              ①ヒアリング・事業性評価を通じ
   ②ヒアリング・事業性評価を通じ             て「課題」を見つける
   て「強み」を見つける                  ②「本業支援を責任を持ってやる
   ⇒取引先の資金繰り安定を図る              決意」「将来にわたり一緒に歩む
   融資の実行                       決意」を示す“宣言”を行う
                               ⇒取引先の課題解決、成長を図る
                               ための本業支援を行う



 イ.リース業務
    当行では、本業支援による課題解決のサービス充実を図るため、2017
   年 5 月より銀行本体によるリース業務の取扱いを開始しました。これに
   より、資金ニーズのワンストップ対応を実現し、お客さまのニーズに迅
   速に応える態勢を整えております。


 ウ.コンサルティング
    当行は、コンサルティング機能をさらに強化するため、2017 年 1 月に
   「きらやかコンサルティング&パートナーズ㈱」
                        (KCP)を設立しまし
   た。銀行の枠にとらわれないコンサルティング業務を実施することで、
                       32
   お客様の多様な事業ニーズに対し、より最適なソリューション提供を行
   う態勢を構築しております。

  【KCPの業務内容】
      主な取扱業務                                 内容
   コンサルティング業務         事業承継対策サポート・M&Aコンサル、経営戦略策定コンサル、
                      財務コンサル
                      日報コンサル・・・日報添削により売上増強をサポート
   人材育成支援業務           各種セミナー、階層別研修、人事制度検討サポート
   キャピタル業務            お取引企業向け投資事業
   その他業務              きらやかビジネスクラブ、情報ステーションの運営


 エ.職域
    中小企業の従業員の皆さまとのつながりを強化するため、掲示板・ア
   ンケート、職域サイト、セミナーを活用し中小企業の従業員の皆さまの
   資産形成のニーズにもきめ細かく対応してまいりました。
    これらの施策を実践することにより、本業支援による他行差別化や地
   方創生の実現を果たし、私たちの想いであります「本業支援を通して地
   元の中小企業とそこに働いている従業員の皆さまから喜んでいただき地
   域と共に活きること」の実現に繋がるものと考えております。


 ③仙台銀行との経営統合と震災復興支援及び地域経済活性化の強化
    当行と仙台銀行では、被災地の金融グループとして両行の力を結集し、
   東日本大震災からの復興応援に取組んでおります。
    じもとホールディングスにおける        「資金供給機能の強化」      については、
   経営統合後から 2021 年 3 月末までの協調・紹介融資の実績として 144 件
   の 317 億 45 百万円(2020 年度実績:4 件の 18 億 80 百万円)となってお
   ります。じもとグループの両行が連携して本業支援に対応することによ
   り、今後も被災企業の円滑な事業再生に貢献してまいります。

【事業性融資における協調・紹介融資実績】                                    (単位:件、百万円)
                      協調融資                 紹介融資                   合   計
                件数      金    額       件数      金    額         件数        金   額
      2012 年度     3          2,055     2               80     5           2,135
      2013 年度    17          9,123    12              651    29           9,774
      2014 年度    13          3,002     7              217    20           3,219


                             33
     2015 年度         8    1,163          8           838       16    2,001
     2016 年度         5    2,440         19      1,279          24    3,719
     2017 年度         1    1,000         25           593       26    1,593
     2018 年度         9    3,995          6      1,008          15    5,003
     2019 年度         4    2,409          1            12        5    2,421
     2020 年度         4    1,880          0                0     4    1,880

     累    計         64   27,067         80      4,678         144   31,745




    また、両行の情報をつなぐことで商流の形成に取組んでいくことを柱
   とした「じもと経済活性化戦略」につきましては、経営統合後から 2021
   年 3 月末までのビジネスマッチングの紹介件数として 3,413 件、成約件
   数は 687 件となっております。
          【ビジネスマッチング実積推移】                    (単位:件)
                         紹介件数                成約件数
               2012 年度             67                14
               2013 年度            113                30
               2014 年度            287                55
               2015 年度            498               101
               2016 年度            559               113
               2017 年度            583               125
               2018 年度            584               101
               2019 年度            445                78
               2020 年度            277                70

               累    計          3,413                687


(3)本業支援の進化・確立に向けた取組みについて
 ①本業支援業の確立
   お客様の稼ぐ力の強化に向けて、「お客様の事業の理解・可視化」、本業
  支援プラットフォーム「共に活きるクラブ」及び「きらやかアプリ」の充
  実、
   「きらやかコンサルティング&パートナーズ(KCP)の拡充・活用」 、
  「本業支援体系の再構築」「人材育成」「収益基盤の確立」に組織的・継
              、     、
  続的に取組んでおります。
   「財務の本業支援」「成長の為の本業支援」「福利厚生の本業支援」「経営
  管理の本業支援」を4本の柱として、中小企業のお客様の営業キャッシュ
  フロー改善に向けた取組みを起点とし、お客様の業績、従業員の皆様の所

                          34
 得・雇用がプラスに働き、その結果新たな設備需要、消費行動が促される
 ことで地域経済が活性化する「地域経済エコシステムの好循環ループ」に
 向け取り組んでまいります。


②SBIホールディングス株式会社との資本業務提携
  当行を取り巻く環境が厳しさを増す中、地域社会の発展に貢献するため
 には、銀行業のみならず、厳しい経営環境を乗り越える様々な術を持つ企
 業との連携を強化することが重要との考えから、    2020 年 11 月に親会社であ
 るじもとホールディングスとSBIホールディングスは資本業務提携契約
 を締結いたしました。SBIホールディングスは銀行業のみならず様々な
 業種を傘下に収め、多様化する金融環境を乗り越えるための IT・FinTech
 技術を活用した様々なコンテンツを持った企業であり、既に当グループと
 の間で共同店舗の運営や各種ファンドへの投資など連携実績も有しており
 最適なパートナーと考えております。
  この連携により当行保有の有価証券をSBIグループのアセットマネジ
 メント事業へ運用資産委託を行い収益力強化を図ることやビジネスマッチ
 ングなどの地域経済活性化に向けた連携、新規技術(DX等)の導入やコ
 スト削減など幅広い協業が可能となります。  2021 年 4 月末では 41 の連携事
 案があり、その内 23 項目について具体的提案を受け当行関連部署との間で
 毎月協議を実施しております。
  同社と資本業務提携関係を構築することで財務健全性の維持・向上を図
 り、SBIグループが有する商品・サービス・ノウハウなどを最大限活用
 しながら競争力・収益力を高め、企業価値の向上を図り当行の「本業支援」
 をさらに強化していきたいと考えております。


③本業支援緊急対策室の進化
   2020 年 4 月には、今般の新型コロナウイルスにより本業支援を必要と
  するお客さまに対し、より早期の本業支援及び資金対応を実施するため
  本業支援本部内に「本業支援緊急対策室」を設置。7 名の専任担当者を配
  置し事業運営に支障をきたしている中小企業の皆さまへよりスピーディ
  かつ親身に対応を行い、特に影響が出ている温泉・宿泊業の皆さまの資
  金繰りの安定化や事業計画立案のお手伝いを中心に支援してまいりまし
  た。その結果大きな倒産も無く、当行での新型コロナウイルスに係る取
  引先の影響調査においても緊急対応が必要な先は減少しており、効果的
  な支援が図られてきました。
   コロナ禍の収束は見えておらず引き続き資金繰り支援を継続していく
  必要があるものの、次のステージであるウィズコロナ下における経営改

                    35
  善のコンサル支援ニーズの高まりに対応し、更に深堀した本業支援を実
  施するため、2020 年 12 月に本業支援緊急対策室を本業支援戦略部コンサ
  ルティンググループへ統合し、人員を 10 名増員、今後必要とされるコン
  サル業務を強化してました。


④財務と成長の為の本業支援
   当行では、2016 年 10 月から、『本当に本業支援を必要としている先』
  に対し資金繰りの改善などを図る「財務の本業支援」や、将来の成長に
  向けた「成長の為の本業支援」を行う『中小企業成長戦略』に経営資源
  を集中しております。
   2020 年度の財務の本業支援は 2,328 先(前年比+17 先)、成長の為の本
  業支援は 946 先(前年同期比▲150 先)となりました。なお 2020 年度の
  傾向としましては、新型コロナウイルスが拡大した上期に財務の本業支
  援が増加しました。

  【財務と成長の為の本業支援実績】                       (単位:先数)
                財務の本業支援              成長の為の本業支援
     2017 年度                 2,512           1,446
     2018 年度                 2,817           1,232
     2019 年度                 2,311           1,096
     2020 年度                 2,328             946


  【2020 年度期本業支援の主な内容】                   (単位:件数)
                     成約件数               割合
   財務の本業支援              2,328                48.8%
   経費削減・効率化支援             939                19.6%
   事業支援(補助金等)             351                 7.3%
   販路支援                   463                 9.7%
   業者紹介                        386           8.1%
   その他                         309           6.5%
   合計                        4,776           100%


⑤福利厚生の本業支援
   アクティブリスニングにより聞き取りした経営者の課題認識の中で多
  かったのは「福利厚生の充実」でした。その結果を受けて当行では 2019
  年 1 月より“私たちの想い”を込めた新たなサービスとして、中小企業
  の皆さまの福利厚生をサポートする「ふっくりパッケージ」の提供を開
  始いたしました。

                        36
   「ふっくりパッケージ」とは、中小企業で働く従業員さまの資産形成を
   サポートする資産形成サービス、当行取引先飲食店や温泉旅館等をお得
   に利用できる会員限定優待サービス、当行が企画する各種イベント、セ
   ミナー等に参加できる会員限定体験サービスを受けることができるもの
   であり、中小企業で働く従業員の皆さまから喜んでいただくとともに、
   中小企業の雇用安定化に貢献するものと考えております。また、ふっく
   りパッケージ契約先従業員と当行取引先をつなぐ地域循環型サービスで
   あり、エンゲージメントを向上させ地域における課題解決に寄与する取
   組みであると考えております。     会員限定体験サービスについては、本部、
   各地区で企画したイベントを毎月行っており、参加人数は 2021 年 3 月で
   は 1,500 人を超え、従業員皆さまに好評いただいております。コロナ禍
   によりリアルイベント開催が困難な時期はオンラインイベントに切替え
   お客さまのCS向上を図っております。
    また、2020 年 10 月より開始した「きらやかアプリ」には、ふっくりパ
   ッケージ契約先従業員専用のページを設置し、会員特典、クーポン、イ
   ベント情報などを掲載し、利便性を高めております。
    2021 年 4 月からは、当該サービス取扱店舗を県外店舗に拡大し「福利
   厚生の本業支援」の裾野を拡げていきます。また、プロモーションCM
   を展開し、新規契約先及び既契約者に「ふっくりパッケージ」の魅力を
   発信していきます。


【会員限定優待サービス】
    ◇「ふっくりクーポン」◇              ◇「ふっくり保養施設」◇




  <冊子>   <きらやかアプリ>        <ガイドマップ>   <優待券>




                     37
                  【会員限定体験サービス】




◇オンライン「プロから教わる私だけの          ◇美 Body Making ヨガ&ピラティス
和菓子づくり」(2021.3 月実施)         (2020.2 月実施)
参加者 57 名                     参加者 91 名


 ⑥経営管理の本業支援
    コロナ禍の危機的状況において、中小企業の経営者は孤独と不安を抱
   えており、当行の社会的使命が問われている中、2020 年 10 月、当行取引
   先の中小企業支援として、本業支援プラットフォーム「共に活きるクラ
   ブ」を立ち上げました。
    クラブの会員にはとことん寄り添い、事業について話を聴き、時には
   議論をかわしながら「本気の本業支援」により孤独と不安を解消し安心
   してもらう。そして、将来に亘って共に活きていく真のパートナーと一
   緒に先行き不透明感が増す世の中を乗り越えていきたいと考えておりま
   す。
    (主なサービス)
   ・バックキャスティング思考で「共に活きるクラブ」会員と将来を共有
    した本業支援を実施
   ・新たに開発した「きらやかアプリ」で、ビジネスマッチング情報や人
    材情報をリアルタイムで配信
   ・プレミア本業支援では毎月オンラインセミナーを実施(講師は本社各
    部署、山形大学など)


 ⑦あんしん経営サービス
    2019 年 1 月より、お取引企業様向けのあんしん経営サービス「共に活
   きるパッケージ」    の取扱いを開始いたしました。
                            「共に活きるパッケージ」
   とは、当行の特別な研修を受けた経営・財務コンサルタント「ともコン」
   が経営計画の立案、検討、策定のほか、融資の実行まで行うサービスで
   あり、経営者様に寄り添い、事業の悩みについて共に考え一貫してお手

                       38
  伝いしてまいります。


⑧リース業務
   当行では、本業支援による課題解決のサービス充実を図るために 2017
  年 5 月よりリース業務の取扱いを開始いたしました。これにより、お客
  様が設備投資を行う際の選択肢が増え、当行の財務面のサポート体制を
  一層強化しております。
   2021 年 3 月末時点で、リースの契約件数は 2,052 件、検収累計額は 7,707
  百万円となりました。
【リース残高実績】                           (単位:件、百万円)

                       件数            金額
    2017 年度                   719         1,767
    2018 年度                   523         2,246
    2019 年度                   416         2,209
    2020 年度                   394         1,485
    累   計                   2,052         7,707
  ※件数は検収ベース   金額は残高ベースにて記載。


⑨女性活躍推進
   当行では本業支援の取組を強化するため、法人・個人事業主のお客さ
  まを訪問する「本業支援担当」の増員を進めております。その中で当行
  の本業支援の進化のためには女性職員の活躍も必要と考え、女性の本業
  支援担当の増員に取組んでおります。本業支援担当全体に占める女性職
  員の割合は 2019 年 10 月 1 日時点で 5%でしたが、2021 年 4 月 1 日時点
  で 28.3%と大幅に増加しております。


(4)本業支援の取組強化について
 ①顧客本位の本業支援
    当行が行っている本業支援とは、アクティブリスニングという活動を
   通して共有した事業ニーズを一緒に考え解決し、お客さまに喜んでいた
   だくことに本質を見出しております。アクティブリスニングとは、経営
   者との会話を通じて潜在的なニーズを含めた課題を洗い出し、企業の問
   題点・課題などを共有するためのコミュニケーション活動です。販路拡
   大やビジネスマッチングによる課題解決だけではなく、アクティブリス
   ニングにより企業内容を把握し、事業性評価等による財務の改善や原価
   管理の指導等の企業指導も含まれており、企業の様々なライフステージ


                       39
  に応じた課題解決に向けて取組んでおります。
   2020 年度にお客様へ当行のイメージに関するアンケートを実施いたし
  ました。本業支援を成約したお客様からは、全体と比較して高い評価を
  いただいております。
  地域に密着

  お客様を
  大切にする

  堅実で ある


  信頼で きる


  相談し易い


  対応が親切


  身近な 存在


           0.0%   10 .0%    20.0%      30.0%           4 0.0%       50.0%      60 .0 %     70.0%     80 .0%      90.0%

                                                                                                   お客様 を
                           身近な 存在      対応 が親切           相談 し易い          信頼 でき る     堅実で ある                    地域 に密 着
                                                                                                  大切に する
             2020年度
                               68.5%           61.1%            62.8%       50.4%        43 .3%      44.6%        39 .5%
               全体
             2020年度
                               80.8%           81.6%            84.0%       64.8%        53 .6%      58.4%        57 .6%
           本業 支援成 約先




②本業支援の定着に向けた営業店支援策
   当行では、本業支援の定着と職員のレベルアップを図るために、本業
  支援本部が中心となり、営業店で登録した取引先企業の事業ニーズに対
  する示唆・助言やアクティブリスニング能力向上に向けた営業店への訪
  問指導、営業店職員向けの本業支援研修・よろず相談といった営業店へ
  の積極的な関与とお取引先企業への直接訪問による課題解決サポートを
  行っております。また同時に、本業支援の成約事例を本業支援好事例と
  して、定期的に社内イントラにて全職員へ周知しており、ノウハウの共
  有を図っております。
   2021 年上期より、本業支援戦略部に本業支援グループ、リースグルー
  プ、コンサルティンググループ、経営管理グループ、福利厚生グループ、
  個人営業グループの6グループを設置し、  「本業支援グループ」に加え新
  たに「コンサルティンググループ」にも、営業店が収集した情報を集約
  し営業店の動き方の指示・サポートを行うトレーダーを配置し、潜在的
  な本業支援ニーズに対しても積極的に対応する体制といたしました。
   また「コンサルティンググループ」では、M&A・事業承継・経営改
  善支援・人事関連支援・日報コンサル・人材育成支援等の業務の集約を
  図り、KCPとの連携を強化する体制としております。具体的な営業店
  支援策は以下のとおりです。


ア.【トレーダーによるサポート】
  ・アクティブリスニング能力向上のための助言、指導
  ・情報提供機能の強化

                                                         40
  ・事業ニーズの明確化、アクションプランの策定
  ・コンサルティンググループ、当行専門家、本業支援戦略部との連携に
   よる課題解決支援等


イ.【コンサルティンググループによるサポート(KCPとの連携)】
  ・事業承継、M&A、相続対策支援
  ・経営改善支援、事業計画シミュレーション作成支援
  ・人事制度構築支援
  ・成長分野への対応
  ・実践的研修/OJT実施 等


   また、営業店の与信取組みに対する指導を目的として、融資部による
  全営業店への案件組成指導や事前審査を実施し、本部と営業店との連携
  強化を継続しております。
③本業支援の実施体制強化
   事業ニーズや経営課題を解決するためには、お客様の事業性評価が必
  要不可欠となります。営業店が登録したお客様の事業ニーズ等に対し、
  じもとホールディングス本業支援戦略部の情報トレーダーが情報の集約
  と仕分けを行うと共に、事業性評価について示唆・助言を行ってまいり
  ました。2016 年 4 月に本業支援フローの見直しを実施し、お客様の事業
  ニーズに対して 3 営業日以内に回答する取組みを開始し、スピードアッ
  プを図っております。また、2019 年 10 月よりトレーダーを増員し、アク
  ティブリスニングからの情報集約、仕分、サポートを強化することで、
  より組織的に本業支援を行うことができる体制を構築しております。


④ツールの充実
   当行では、   『お客様から評価される(=真に喜ばれる) 』本業支援を実
  践し、企業の実態を把握することで真のニーズ・経営課題の解決を目指
  しているため、お客様に提供するツールの充実を図っております。
   これまで、当行と仙台銀行の取引先の事業ニーズをピックアップして
  紹介する「じもとHDビジネスマッチング情報」を毎月 1 回発行してお
  り、2021 年 3 月で 77 号を数えております。
   また、2016 年 4 月より財務データのほか、事業の強みや弱み、技術や
  ノウハウ等の定性的な情報を整理・分析する「事業性評価シート」を仙
  台銀行と統一して制定いたしました。アクティブリスニングを通じて本
  シートを作成し、取引先の成長性や将来性を適正に評価しながらライフ
  サイクルに合わせた本業支援を実践しております。具体的には、収益の

                  41
  中核となっている売上規模の先やメイン先ながらシェアが減少している
  先等を対象に本シートを作成し、経営課題の抽出と解決に向けた本業支
  援の推進に取組んでおります。
   2017 年 4 月からは、本業支援検索システム「Second」の運用を
  開始し、情報提供力のスピード化を図っております。
   さらに 2019 年 10 月には「本業支援の手引き」を作成。「本業支援の原
  点」や効果的なアクティブリスニングを行うための視点、ポイントをま
  とめており、本部情報トレーダーが「本業支援の手引き」を元に臨店指
  導を行い、職員全体のスキルアップに繋げております。


⑤営業店への指導
   本業支援の定着と職員のスキルアップを図るために、本業支援戦略部
  が中心となり営業店に訪問指導を行っております。営業店職員と帯同で
  お客様を訪問し、実践的なアドバイスを行うことで、リレーションを重
  視した本業支援を徹底してまいりました。また、本業支援戦略部のトレ
  ーダーを中心に編成されたチームが、各営業店で開催される本業支援検
  討会に参加し、現状の課題を踏まえながらアクティブリスニングの進め
  方や支援展開の方法等を指導しております。
   また本業支援実践力のボトムアップのため、現場OJTによる若手育
  成効果の向上や早期戦力化を図るため、営業店副支店長、次長に対し本
  業支援トレーダートレーニーを実施しOJTスキルの高度化を図ってお
  ります。
   今後も本業支援の実践力向上を図るために、本部担当部署による職員
  のスキルアップ研修を継続的に実施してまいります。


⑥専門家チームの充実
   当行では、より専門的な分野での本業支援を実践するため、経営コン
  サルタントや製造業の生産管理に従事した人材を配置し、生産性向上を
  専門としたインストラクターの紹介や補助金、助成金の活用等のニーズ
  に対応しております。
   また、公益社団法人山形県企業振興公社にて、ものづくり振興部長を
  歴任した、スペシャリストを招聘し、製造業の取引先からの「仕事が多
  忙のため部品加工又は製品製造の受注企業を探して欲しい」 「仕事が少
                              、
  ないため当社に該当する発注企業を探して欲しい」等といった事業ニー
  ズについても取り組んでおります。これら専門家による、2020 年度通期
  の事業ニーズへの取組み実績は以下のとおりです。


                   42
     【専門家チーム実積】
                 項目           件数
       生産性向上・社員研修              19 件
       補助金申請支援                 38 件
       製造業ビジネスマッチング支援          57 件


     また、銀行の枠にとらわれない本業支援を実践するため、KCPと協
    働しております。2020 年 10 月以降KCPのコンサル人員を増員(13 名
    から 23 名)しお客様の多様なニーズに積極的に対応しております。2020
    年度通期の KCP 関与案件数は以下のとおりとなっております。

      【KCP関与案件】
                 項目           件数
        M&A・事業承継               129 件
        事業戦略・資本政策              12 件
        人材育成セミナー                   5件