7157 M-ライフネット 2019-05-13 15:30:00
2019年3月末のヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)を開示 [pdf]

   DD
NEWS RELEASE
                                                                                 2019 年 5 月 13 日
  各 位
                                                 会 社 名            ライフネット生 命 保 険 株 式 会 社
                                                 代表者名              代 表 取 締 役 社 長       森   亮 介
                                                                  (証券コード:7157 東証マザーズ)

                ライフネット生命保険 2019 年 3 月末の
             ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)を開示
                    2019 年 3 月末の EEV は 63,378 百万円

      ライフネット生命保険株式会社(URL:https://www.lifenet-seimei.co.jp/ 本社:東京都千代田区、代
  表取締役社長:森亮介)は、2019 年 3 月末のエンベディッド・バリュー(Embedded Value 以下、「EV」)
  をお知らせします。
      EV は生命保険会社の企業価値・業績評価指標の一つであり、貸借対照表に基づく「修正純資産」と、
  保有契約から見込まれる将来のキャッシュ・フロー等に基づく「保有契約の将来利益現価」の合計とし
  て計算します。
      生命保険契約は一般に、長期間にわたり平準的に保険料を収受する一方、契約前後の短期間に広
  告宣伝費、契約査定費用等が集中的に支出されるため、生命保険会計においては、収益と費用の発
  生するタイミングが一致せず、契約を獲得してから利益が生じるまでに時間を要するという特性があり
  ます。このことが、生命保険事業を単年度の収支で評価することを難しくしていることから、生命保険会
  社においては EV を開示することが、経営状態への理解を高める上で有益であると考えられています。
  なお、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下、「EEV」)は、EEV 原則に則ったエンベディッド・バリ
  ューです。
      2019 年 3 月末 EEV は以下のとおりです。なお、詳細は本資料に添付されている「2019 年 3 月末ヨ
  ーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)について」をご覧ください。


  2019 年 3 月末 EEV のポイント
      2019 年 3 月末 EEV は、前年度末比 18,937 百万円増加の 63,378 百万円
      修正純資産は、当期純損失を計上したため、前年度末比 1,152 百万円減少の 14,860 百万円
      保有契約の将来利益現価は、長期の死亡率および発生率の前提を見直したことや新契約の獲
       得などにより、前年度末比 20,090 百万円増加の 48,518 百万円
      新契約価値は、長期の死亡率および発生率の前提を見直したことや新契約の販売量の増加など
       により、前年度比 1,904 百万円増加の 2,443 百万円




                     Copyright© LIFENET INSURANCE COMPANY All rights reserved.                 1
   DD
NEWS RELEASE
  2019 年 3 月末の EEV
                                                                                          (単位:百万円)
                                        2018 年 3 月末               2019 年 3 月末               増減
  EEV                                               44,440                       63,378       18,937
        修正純資産*1                                     16,012                       14,860      △1,152
        保有契約の将来利益現価*2                               28,427                       48,518       20,090



  新契約価値
                                                                                          (単位:百万円)
                                           2017 年度                   2018 年度                増減
  新契約価値*3                                              539                        2,443          1,904
  *1.   修正純資産とは、生命保険会社の資産の時価から責任準備金およびその他の負債の時価を控除した額として定義され、
        その価額は株主に帰属する価値と考えられます。具体的には、貸借対照表上の純資産の合計額と負債中の内部留保お
        よび時価評価されていない資産・負債の含み損益などの合計として計算されます。
  *2.   保有契約の将来利益現価とは、一定の前提の下で、評価日時点の保有契約から将来見込まれる株主に分配可能な税引
        後利益を評価日における現在価値に換算したものです。
  *3.   新契約価値とは、当期中に新契約を獲得したことによる EV への影響を表したもので、EEV と同一の前提を使用して計算
        しています。また、新契約価値における新契約とは、事業年度中に新たに成立した生命保険契約のことをいい、将来獲得
        する新契約を含みません。



  ライフネット生命について           URL: https://www.lifenet-seimei.co.jp/

   ライフネット生命保険は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さ
  ま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社
  です。徹底した情報開示やメール・電話・チャットでの保険相談などを通じて、お客さまに「比較し、理解し、納得し
  て」ご契約いただく透明性の高い生命保険の選び方を推奨するとともに、オンライン生保市場の拡大を牽引するリ
  ーディングカンパニーを目指します。


            会社及び商品の詳細は https://www.lifenet-seimei.co.jp/ をご覧ください。
           株主・投資家向けの情報は https://ir.lifenet-seimei.co.jp/ja/ をご覧ください。

                               本件に関するお問い合わせ先
                            03-5216-7900(広報:原/IR:加藤)




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                                      2019 年 5 月 13 日

                                ライフネット生命保険株式会社




     2019 年 3 月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)について




     ライフネット生命は、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー原則(以下、
                                       「EEV 原則」)
に従って、2019 年 3 月末におけるヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下、
                                          「EEV」)
を計算いたしましたので、お知らせいたします。




目次
1.    EEV の概要                                       2
2.    EEV 計算結果                                      4
3.    前年度末からの EEV 変動要因                              8
4.    EEV の計算方法                                    11
5.    EEV 計算における主要な前提条件                            15
6.    前提条件を変更した場合の影響(感応度)                          18
7.    ご使用にあたっての注意事項                                19
8.    第三者意見                                        20




                            1
1. EEV の概要

(1) EV とは
    生命保険契約は、契約初年度に契約獲得のための費用が多くかかることなど、収益と費用
の発生するタイミングが一致せず、契約を獲得してから利益が生ずるまでに時間がかかる
といった特性があります。このことが、生命保険事業を単年度の収支で評価することを難し
くしています。エンベディッド・バリュー(以下、「EV」)は純資産と株式会社の税引後の
将来利益の現在価値の合計として計算することで、ヨーロッパやカナダ、日本などで生命保
険会社の企業価値や業績を評価する手法の一つとして用いられています。


(2) EEV とは
    ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下、
                          「EEV」
                              )は、EEV 原則に則ったエンベ
ディッド・バリューです。
    2004 年 5 月、 の計算方法や開示内容について一貫性及び透明性を高めることを目的と
               EV
して、ヨーロッパの大手保険会社の CFO(最高財務責任者)から構成される CFO フォーラ
ム1によって、EEV 原則とそれに関するガイダンスが制定されました。2005 年には、感応度
と開示に関する追加の EEV ガイダンスが定められています。
    2016 年 5 月には、CFO フォーラムによって EEV 原則の改正が公表され、EV に 2016 年 1
月から施行された欧州ソルベンシーⅡの計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容され
るようになりました。
    さらに、2008 年 6 月には、リスクの反映方法などがより明確化された、市場整合的エン
ベディッド・バリュー原則(The European Insurance CFO Forum Market Consistent Embedded
Value Principles©2:以下、     )が CFO フォーラムにより発表されています。
                      「MCEV」                      (2009 年
10 月、2016 年 5 月に改定)


(3) EEV 算出の手法
    株主将来利益に関するリスクの反映が EEV 原則の主なポイントの 1 つです。当社は、EEV
原則に準拠して EEV の算出を行っており、このリスクの反映方法として割引率を商品等の
リスク特性に合わせて、商品毎またはキャッシュ・フロー毎に個別に設定するボトムアッ
プ・アプローチの代表的な手法である市場整合的な方法を採用しています。これは、資産・
負債の将来キャッシュ・フローを市場において取引されている金融商品と整合的に評価す
るため、市場取引のない分散不可能なリスクについても評価を行い、EEV に反映させるも

1   http://www.cfoforum.nl/
2
    Copyright © Stichting CFO Forum Foundation 2008

                                              2
のです。
 このような手法は、ヨーロッパの多くの大手保険会社でも採用され、MCEV 原則でも、ボ
トムアップ・アプローチの中でも市場整合的手法をとることが明確化されました。




                     3
2. EEV 計算結果
  EEV の計算結果は以下のとおりです。なお、計算方法の詳細については、 EEV の計算
                                    「4.
方法」を参照ください。
  2019 年 3 月末の当社の EEV は、
                       63,378 百万円となり、前年度末比で 18,937 百万円
                                                     (42.6%)
増加しました。修正純資産は、14,860 百万円となりました。保有契約の将来利益現価は、死
亡率および発生率の前提を見直したことや新契約の獲得などにより 48,518 百万円となりま
した。「3.前年度末からの EEV 変動要因」参照)
  (
  また、2018 年度の新契約価値は、2,443 百万円になりました。


                                                        (単位:百万円)
                          2018 年 3 月末     2019 年 3 月末      増減
EEV                              44,440          63,378      18,937
 修正純資産                           16,012          14,860     △1,152
 保有契約の将来利益現価                     28,427          48,518      20,090


                                                        (単位:百万円)
                            2017 年度        2018 年度         増減
新契約価値                              539            2,443         1,904




                             4
(1) 修正純資産
    修正純資産は、生命保険会社の資産の時価から責任準備金及びその他の負債の時価を控
除した額として定義され、その価額は株主に帰属する価値と考えられます。具体的には、貸
借対照表上の純資産の合計額と負債中の内部留保及び時価評価されていない資産・負債の
含み損益などの合計として計算されます。当社の修正純資産の内訳は以下のとおりです。
                                                     (単位:百万円)
                           2018 年 3 月末      2019 年 3 月末    増減
    修正純資産                          16,012         14,860   △1,152
     (a) 純資産の部合計                   13,387         11,773   △1,614
     (b) 有価証券の時価と貸借対照表計
                                    1,492          1,893        400
         上額との差額
     (c) 負債中の内部留保(注 1)              1,550          1,723        173
     (d) 上記項目に係る税効果(注 2)           △417           △530       △112
    (注1)    価格変動準備金及び危険準備金
    (注2)    (b)に係る税効果額


(2) 保有契約の将来利益現価
    保有契約の将来利益現価は、一定の前提( EEV 計算における主要な前提条件」を参照
                       「5.
    )の下で、評価日時点(2019 年 3 月末)の保有契約から将来見込まれる株主に分
ください。
配可能な税引後利益を評価日における現在価値に換算したものです。当社の保有契約の将
来利益現価の内訳は以下のとおりです。
                                                     (単位:百万円)
                           2018 年 3 月末      2019 年 3 月末    増減
    保有契約の将来利益現価                   28,427          48,518    20,090
       確実性等価将来利益現価                43,668          64,172    20,504
       オプションと保証の時間価値                  -              -          -
       必要資本維持のための費用                △107            △93          14
       ヘッジ不能リスクに係る費用             △15,132        △15,560     △428


    確実性等価将来利益現価は、保有契約に対応する資産の運用利回りの前提と将来利益の
     割引率をともにリスクフリー・レートとして計算した、保有契約の将来利益の現在価値
     です。
     なお、確実性等価将来利益現価のうち保険料収入現価の金額は以下のとおりです。




                             5
                                                   (単位:百万円)
                   2018 年 3 月末     2019 年 3 月末        増減
     保険料収入現価             191,079         229,544        38,465


   オプションと保証の時間価値は、オプション性や保証性のあるキャッシュ・フローを市
    場整合的なリスク中立経済シナリオを用いて確率論的に算定したものです。ただし、当
    社が現在販売している商品はいずれも無配当・無解約返戻金型の保障性商品であること
    から、ゼロとしています。
   必要資本維持のための費用は、当社が生命保険事業を継続していく上で必要と考える資
    本水準を将来にわたって維持するための費用です。「4. (10) 必要資本」及び「(11) 必要
                          (
    資本維持のための費用」を参照ください。)
   ヘッジ不能リスクに係る費用は、確実性等価将来利益現価の計算において直接には十分
                                   ( (12) ヘッジ
    反映されていないリスクの影響額についての会社としての見積額です。「4.
    不能リスクに係る費用」を参照ください。)




                             6
(3) 新契約価値
 新契約価値は、当期中に新契約を獲得したことによる EV への影響を表したもので、2019
年 3 月末における EEV と同一の前提を使用して計算しています。
 また、新契約価値における新契約とは、当期(2018 年度)中に新たに成立した生命保険
契約のことをいい、
        将来獲得する新契約を含みません。新契約価値における修正純資産とは、
契約成立時点から 2019 年 3 月末までに発生した新契約に係る損益(保険料収入や事業費の
影響等)を表しています。新契約価値の内訳は以下のとおりです。
 新契約価値が前年同期より増加した主な要因は、死亡率および発生率の前提を見直した
ことや、新契約の販売量の増加などによるものです。「3.前年度末からの EEV 変動要因」
                        (
参照)なお、2018 年 9 月期より新契約価値の当期損益の計算に際して、税金の取り扱いを
変更しました。詳細は 2018 年 9 月期の開示資料「2018 年 9 月末ヨーロピアン・エンベディ
ッド・バリュー(EEV)について」を参照ください。
                                                   (単位:百万円)
                        2017 年度          2018 年度       増減
新契約価値                             539         2,443         1,904
   修正純資産                     △2,463         △3,881      △1,418
   将来利益現価                     3,002           6,325         3,323
       確実性等価将来利益現価            4,442           8,843         4,400
       オプションと保証の時間価値              -                -           -
       必要資本維持のための費用            △13            △15             △2
       ヘッジ不能リスクに係る費用         △1,427         △2,502      △1,074


 新契約の保険料収入の現在価値に対する新契約価値の比率(新契約マージン)は次のとお
りです。
                                                   (単位:百万円)
                        2017 年度          2018 年度       増減

①保険料収入現価                      23,291         39,629     16,337
②新契約価値                            539         2,443         1,904
新契約マージン(②/①)                   2.3%           6.2%          3.9pts


なお、新契約価値を新契約 1 件あたりに換算した金額は以下のとおりです。
                                                    (単位:千円)
                        2017 年度         2018 年度        増減
1件あたりの新契約価値                       13          37               24


                         7
  3. 前年度末からの EEV 変動要因
    2018 年 3 月末 EEV から 2019 年 3 月末 EEV への変動要因は下表のとおりです。
    将来利益現価の増加の主な要因は、死亡率および発生率の前提を見直したことや新契約
  の獲得などによるものです。


                                                                  (単位:百万円)

                    EEV
                                   修正純資産           修正純資産
                                                                   将来利益現価
                                   (必要資本)       (フリー・サープラス)
2018 年 3 月末 EEV           44,440        1,922          14,090         28,427
  2018 年度 新契約価値            2,443          99          △3,981           6,325
  将来利益現価の割り戻し
   (リスクフリー レート分)
          ・
                            870           -                   3          867
  将来利益現価の割り戻し
   (期待超過収益分)
                             39           -                   9           29
  将来利益現価から
   修正純資産への移管
                             -           168            1,860         △2,028
  保険関係の前提条件と
   実績の差異
                            425           10              51             362
  保険関係の前提条件の変更            15,598          -               -           15,598
保険事業活動による EEV 増減          19,377         279          △2,056          21,155
経済的前提条件と実績の差異             △440              3            621          △1,064
EEV 増減合計                  18,937         282          △1,435          20,090
2019 年 3 月末 EEV           63,378        2,204          12,655         48,518




                                    8
➢    2018 年度 新契約価値
    2018 年度に獲得した新契約による EEV の変動額を表します。新契約価値については、
                                               「2.
(3) 新契約価値」を参照ください。


➢    将来利益現価の割り戻し(リスクフリー・レート分)
    将来利益現価の計算は、
              将来利益をリスクフリー レートで割り引いたものを用いるため、
                         ・
時間の経過により割引の影響が解放されます。
    また、この項目には、2018 年 3 月末時点の資産をリスクフリー・レートで運用した場合
の一年分の期待運用収益や、2018 年度のオプションと保証の時間価値、必要資本維持のた
めの費用及びヘッジ不能リスクに係る費用の解放も含みます。


➢    将来利益現価の割り戻し(期待超過収益分)
    将来利益現価の計算では運用利回りとしてリスクフリー・レートを用いますが、実際はリ
スク性資産を保有しているため、リスクフリー・レートを超過する利回りが期待されます。
2018 年度の超過収益の計算にあたっては、2018 年 3 月末時点の運用資産の状況を踏まえ、
運用利回りをリスクフリー・レートにリスクプレミアム(0.16%)を加えた 0.19%としてい
ます。


➢    将来利益現価から修正純資産への移管
    2018 年 3 月末の保有契約の将来利益現価の計算において、2018 年度中に生じることが期
待されていた利益を表します。
    なお、この項目は将来利益現価から修正純資産への振替であり、EEV 自体の増減はあり
ません。


➢    保険関係の前提条件と実績の差異
    2018 年 3 月末の保有契約の将来利益現価の計算に用いた保険関係の前提条件と、2018 年
度の実績との差異による影響を表します。この差異の主な要因としては、実際の保険金等の
支払率が前年度末の前提を下回ったことなどによるものです。保険関係の前提条件は、「5.
(2) その他の前提」を参照ください。


➢    保険関係の前提条件の変更
    保険関係の前提を 2018 年 3 月末から変更したことによる影響を表します。将来利益現価
が増加した主な要因は、死亡率および発生率の前提を見直したことなどによるものです。長
期の死亡率および発生率の前提について、開業から 10 年経過し実績が蓄積されてきたこと
や、実績の支払率の水準を考慮し、これらの前提の引き下げを行いました。保険関係の前提
条件は、 (2) その他の前提」を参照ください。
    「5.


                          9
➢    経済的前提条件と実績の差異
    期待収益と実績の資産運用収益との差異及び経済的前提条件を 2018 年 3 月末から変更し
たことによる影響を表します。経済的前提条件は、 (1) 経済的前提」を参照ください。
                      「5.




                         10
4. EEV の計算方法

(1)    EEV 評価のベース
    当社が 2019 年 3 月末の EEV を算定するために用いた計算方法及び前提は、2004 年 5 月
にヨーロッパの大手保険会社の CFO フォーラムにより制定された EEV 原則とガイダンス
(2016 年 5 月改定)に準拠しています。


(2)    対象事業
    EV の計算の対象範囲は、当社が行う全ての生命保険事業です。


(3)    エンベディッド・バリュー(EV)
    EV は、対象事業から生ずる将来の株主利益の価値を評価するもので、「修正純資産」と
「保有契約の将来利益現価」の合計として計算されます。「修正純資産」は株主に帰属する
純資産にあたり、後述のように「必要資本」と「フリー・サープラス」から成ります。
    一方、
      「保有契約の将来利益現価」は、評価日時点で保有している契約から見込まれる株
主へ分配可能な将来利益(税引後)の評価日時点での現在価値で、商品等の特性に応じたリ
スクを反映し、必要資本維持のための費用を調整して計算されます。ただし、保有契約の将
来の更新は将来利益に反映していますが、将来の新契約から生じる利益は含みません。用い
られる前提は、経験値及び期待される将来の実績を基にしています。


(4)    リスクの反映方法
    EEV 原則では、対象事業に係るリスクを反映しなければならないとし、例として、オプ
ションと保証のコストを明示的に反映すること、責任準備金や必要資本の適切な評価とそ
れらを維持するためのコストを明示することやリスク割引率の使用などを挙げています。
当社では、これらのリスクを反映するために、ファイナンス理論等に基づく市場整合的な手
法をとっています。
     資産及び保険契約に関する負債以外の負債は、原則時価評価します。
     運用利回りの前提及び割引率は、キャッシュ・フロー毎のリスク特性が反映されるよう
      に設定します。
     生命保険事業に係る重要性のあるオプションと保証の時間価値を明示的にかつ市場で
      取引されるオプション等と整合的に算出します。
                           (ただし、当社が現在販売している商
      品はいずれも無配当・無解約返戻金型の保障性商品であることから、オプションと保証
      の時間価値はゼロとしています)


                            11
    「市場整合的な価値」とは、商品等の特性に応じて、市場で取引されている同様のキャッ
シュ・フローの価格と整合的に評価する考え方です。
    詳細な計算方法は以下をご参照ください。


(5)    修正純資産の算定方法
    修正純資産は、
          貸借対照表の純資産の部の金額に対して、
                            以下の調整を加えて算出します。


     貸借対照表上では時価評価となっていない資産・負債(責任準備金など保険契約に関す
      る負債を除く)についても原則的に時価評価します。


     負債のうち、内部留保の性質を持ち、純資産に加算することが妥当と考えられるものを
      加えます。具体的には、危険準備金、価格変動準備金を加算します。




(6)    保有契約の将来利益現価の算定方法
    保有契約の将来利益現価は、次の算式で計算します。
        保有契約の将来利益現価 =        確実性等価将来利益現価
                            - オプションと保証の時間価値
                            - 必要資本維持のための費用
                            - ヘッジ不能リスクに係る費用


    上記算式の各要素については、以下の項を参照ください。




(7)    新契約価値の算定方法
    2018 年 4 月 1 日から 2019 年 3 月 31 日までの間に成立した契約の価値です。将来獲得す
る新契約の価値は含みませんが、新契約価値の計算対象とした契約の将来の更新は新契約
価値に含みます。
    新契約価値は 2019 年 3 月 31 日時点の数値であり、EV と同様に修正純資産と将来利益現
価に分けられます。新契約価値における修正純資産は、契約成立時点から 2019 年 3 月 31 日
までの期間に生じた、対象となる契約に関する損益が含まれています。また、将来利益現価
の計算方法は前項の保有契約の将来利益現価と同様で、用いた前提条件は同日付の EEV に
おける保有契約の将来利益現価の算出と同一です。



                             12
(8)   確実性等価将来利益現価
 確実性等価将来利益現価は、決定論的手法(平均的な経済シナリオに基づいて将来のキャ
ッシュ・フローを算出する手法)により算出した将来利益(税引後)の現在価値で、資産の
運用利回りの前提と割引率をともにリスクフリー・レートとしたものです。その際、リスク
性資産から期待されるリスクプレミアムについては反映しません。


(9)   オプションと保証の時間価値
 当社の商品には、オプション性と保証性がないため、オプションと保証の時間価値はゼロ
としております。


(10) 必要資本
 必要資本は、修正純資産のうち、対象事業に係る将来のリスクに備えるために株主への分
配を制限している部分です。EEV 原則は、必要資本として法定最低基準以上の水準を前提
とするよう求めており、社内基準による必要資本等を用いることも認めています。
 当社では、保険事業を健全に継続していくという観点から、ソルベンシー・マージン比率
500%に相当する金額を必要資本として計算しています。日本における資本要件の法定最低
基準はソルベンシー・マージン比率 200%ですので、当社の必要資本は EEV 原則が求める
最低資本要件を満たしています。なお、日本のソルベンシー・マージン基準では、全期チル
メル式責任準備金相当額超過額を、中核的支払余力を上限としてソルベンシー・マージンに
含めることができるため、必要資本の計算にも反映しています。
 修正純資産から必要資本を控除したものはフリー・サープラスとされ、当社の必要資本及
びフリー・サープラスは次のとおりです。


                                              (単位:百万円)
                    2018 年 3 月末    2019 年 3 月末    増減
      修正純資産               16,012         14,860    △1,152
        必要資本               1,922          2,204        282
        フリー・サープラス         14,090         12,655    △1,435




(11) 必要資本維持のための費用
 これは、前項の必要資本を維持するための費用で、EEV のボトムアップ・アプローチで
は、「フリクショナル・コスト」と呼ばれます。

                           13
 当社は、フリクショナル・コストとして、必要資本に係る運用収益に対する税金相当額の
みを認識しています。なお、必要資本に対応する資産運用管理のための費用は、確実性等価
将来利益現価を計算する際の事業費率の前提に含んでいます。


(12) ヘッジ不能リスクに係る費用
 EEV 原則では、EV の算出にあたって、対象事業のすべてのリスクを反映すべきとしてい
ます。ヘッジ不能リスクの中には、ベスト・エスティメイトな前提だけでは EV に与える
様々な影響を全て反映できない場合もあります。
 このようなリスクについては、ヘッジ不能リスクに係る費用として認識するということ
が必要と考え、当社では、オペレーショナル・リスク、カウンターパーティ・リスク、継続
率や保険金等の支払率、事業費を含む保険リスク、巨大災害リスク、終局金利の実現に関す
る不確実性について、簡易モデルによって 1 年あたりのヘッジ不能リスクに係る費用を推
定し、EEV の計算に反映しました。




                     14
5. EEV 計算における主要な前提条件

(1)      経済的前提
 確実性等価将来利益現価の計算において使用する割引率及び運用利回りは、評価日(2019
年 3 月末)現在のリスクフリー・レートであり、当社は金利スワップレート(データ:
Bloomberg)を使用して算出しています。使用した金利スワップレート(フォワード・レー
ト)の数値は次のとおりです。


                    1年       2年            3年      4年       5年       10 年
      2019 年 3 月末   △0.02%   △0.07%    △0.08%      △0.06%   △0.00%    0.43%
      2018 年 3 月末    0.03%    0.07%        0.10%    0.14%    0.20%    0.58%


                    15 年     20 年      30 年        40 年     50 年     60 年
      2019 年 3 月末    0.73%    0.88%        0.83%    1.25%    3.34%    3.49%
      2018 年 3 月末    1.01%    1.20%        1.19%    1.64%    3.35%    3.49%


 なお、超長期の金利は、終局金利を用いて補外しています。具体的には終局金利として
3.5%を仮定し、超長期の金利の流動性を検討し、補外開始年度を 40 年目と設定しました。
41 年目以降のフォワードレートは補外開始以降 20 年で終局金利の水準に収束するように
Smith-Wilson 法により補外しています。これらは主に保険監督者国際機構(IAIS)が策定中
の保険資本基準(ICS)の議論を参考に設定しました。


 「6. 前提条件を変更した場合の影響(感応度)」の「金利(リスクフリー・レート)に国
債利回りを使用」の感応度分析に使用した国債金利(フォワード・レート)
                                 (データ:財務
省)の数値は次のとおりです。なお、スワップレートの場合と同様に、終局金利として 3.5%
を仮定し、 年目以降のフォワードレートは補外開始以降 20 年で終局金利の水準に収束す
     41
るように Smith-Wilson 法により補外しています。


                    1年       2年            3年      4年       5年       10 年
      2019 年 3 月末   △0.18%   △0.19%    △0.22%      △0.26%   △0.17%    0.47%


                    15 年     20 年      30 年        40 年     50 年     60 年
      2019 年 3 月末    0.78%    1.02%        0.59%    1.78%    3.36%    3.49%




                                      15
(2)    その他の前提

➢     保険料、事業費、保険金・給付金、税金等のキャッシュ・フロー
    保険料、事業費、保険金・給付金、税金等のキャッシュ・フローの前提は、ベスト・エス
ティメイトとして設定しています。事業費等の前提については直近の実績及び事業計画を
もとに設定し、その他の保険前提は過去の実績や業界実績を基に設定しています。

➢     事業費等
    事業費の前提は、直近の実績と直近に作成された事業計画を基にベスト・エスティメイト
として設定しました。ただし、2018 年度の実績の事業費のうち 119 百万円を一時的な費用
として控除しています。
    この事業費の前提には消費税を含んでおり、消費税率は 2019 年 9 月までは 8%、2019 年
10 月以降は 10%としています。また、事業費のインフレ率については、リスク・フリーレ
ートの補外開始年度(経過 40 年)までは 0%としています。リスク・フリー・レートの補外
開始年度を超える期間についてはフォワード・レートの上昇に応じてインフレ率が上昇し、
終局水準を 2%としています。
    新契約価値の計算においては、当期末までに発生した事業費(新契約費及び維持管理費)
については修正純資産に含まれ、将来発生する分については EEV と同様に将来利益現価に
含まれます。

➢     保険金等の支払率、解約失効率
    保険金等の支払率及び解約失効率の前提は、自社の実績を基本とし、ベスト・エスティメ
イトとして設定しています。

➢     保険料
    当社の定期死亡保険及び定期療養保険は、契約更新の際、更新時の保険料率と被保険者の
満年齢によって新たな保険料を計算することが約款に規定されています。将来収支の計算
では更新時の保険料率として、現在販売している同商品の保険料率を更新時の年齢に応じ
て適用するという前提にしました。

➢     責任準備金
    責任準備金のうち保険料積立金については、当社は 2019 年 3 月末時点では、2017 年度ま
でに獲得した契約については、保険業法施行規則第 69 条第 4 項第 4 号の規定に基づいて 5
年チルメル式で計算し、2018 年度以降に獲得した契約については法定基準であるいわゆる
標準責任準備金を積み立てているため、
                 将来収支の計算においても同様にしています。
                                     また、
定期死亡保険及び定期療養保険の契約更新以後についても、標準責任準備金を積み立てる
前提にしています。



                           16
➢    法人税等
    将来利益現価の計算において、将来利益は税引後で計算され、過去に生じた欠損金が将
来の法人税等の金額を軽減する効果を織り込んでいます。
    適用する法人実効税率は、28%としました。




                       17
    6. 前提条件を変更した場合の影響(感応度)
        前提条件を変更した場合の EEV への影響額は以下のとおりです。感応度は、一度に 1 つ
    の前提のみを変化させることとしており、同時に 2 つの前提を変化させた感応度の影響は、
    それぞれ単独に前提を変化させた感応度を 2 つ合計したものと計算結果が異なる可能性が
    あることに留意ください。なお、責任準備金は日本の法令に基づいて計算されますので、各
    感応度計算においては、評価日時点の責任準備金は変わりません。
        なお、国債利回りを使用した場合の感応度も算出しております。
                                                        (単位:百万円)
                              2019 年 3 月末            新契約価値の
                                の EEV の      変化率       変動        変化率
                                  変動
2019 年 3 月末における EEV 及び新契約価値         63,378      -        2,443       -
感応度 1a(金利 1.0%上昇)                  △2,513    △4.0%         98      4.0%
感応度 1b(金利 1.0%低下)                    2,253    3.6%       △292    △12.0%
感応度 1c(金利 0.5%上昇)                  △1,239    △2.0%         68      2.8%
感応度 1d(金利 0.5%低下)                    1,177    1.9%       △116    △4.7%
感応度 1e(金利に国債利回りを使用)                   398     0.6%         68      2.8%
感応度 2(株式・不動産価値等 10%下落)              △434     △0.7%         -         -
感応度 3(事業費率 10%減少)                    2,580    4.1%        496     20.3%
感応度 4(解約失効率 10%低下)                    150     0.2%        △3     △0.1%
感応度 5(生命保険の保険事故発生率 5%低下)             3,152    5.0%        419     17.1%
感応度 6(必要資本を法定最低水準に変更)                  64     0.1%         10      0.4%




    ◆    感応度 1a:金利(リスクフリー・レート)が 1.0%上昇(各年限とも上昇)
    ◆    感応度 1b:金利(リスクフリー・レート)が 1.0%低下(各年限とも低下)
    ◆    感応度 1c:金利(リスクフリー・レート)が 0.5%上昇(各年限とも上昇)
    ◆    感応度 1d:金利(リスクフリー・レート)が 0.5%低下(各年限とも低下)
        債券など、金利の変動により時価が変動する資産を再評価するとともに、運用利回り及
        び割引率を変動させて保有契約の将来利益現価を再計算します。ただし、リスクフリー・
        レートから 1.0%あるいは 0.5%を控除した数値が負になる場合には、下限を設けずに、
        当該控除した数値をそのまま使用します。
        金利上昇・低下時のリスクフリー・レートについては、終局金利は変えずに補外してい
        ます。
    ◆    感応度 1e:金利(リスクフリー・レート)に国債利回りを使用


                              18
     スワップレートの場合と同様に、超長期の金利水準について、終局金利を用いた方法で
     算出しています。


◆    感応度 2:評価日現在の株式、不動産価値等が 10%下落
    株式、不動産及び投資信託の評価日現在の価値を変動させます。

◆    感応度 3:事業費率(契約維持に関する事業費)の 10%減少
    基礎となる事業費率(契約維持に関する事業費)前提に 0.9 を乗じたものを使用します。

◆    感応度 4:解約失効率の 10%低下
    基礎となる解約失効率前提に 0.9 を乗じたものを使用します。

◆    感応度 5:生命保険における保険事故発生率の 5%低下
    基礎となる保険事故発生率(死亡率・罹患率)前提に 0.95 を乗じたものを使用します。
    なお、保険事故発生率の変動に対応して料率改定する等の経営行動は反映していません。

◆    感応度 6:必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率 200%)に変更




7. ご使用にあたっての注意事項
    EV の計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ前提条件を使用す
るため、将来の実績が EV の計算に使用した前提条件と大きく異なる場合があります。
        EV
上記の理由により、 の使用にあたっては、
                   充分な注意を払っていただく必要があります。




                          19
8. 第三者意見

    ウイリス・タワーズワトソンは、ライフネット生命の 2019 年 3 月 31 日現在のエンベデ
ィッド・バリューを計算するにあたって適用された計算方法および計算前提の検証を行い
ました。ウイリス・タワーズワトソンは、2019 年 3 月 31 日現在のエンベディッド・バリュ
ー、2018 年度に販売された新契約の価値、2018 年度中の変動要因分析およびエンベディッ
ド・バリューと新契約の価値の感応度について検証を行いました。

    ウイリス・タワーズワトソンは、使用された計算方法および計算前提が、この文書に記載
されている開示内容とともに、 原則およびガイダンスに準拠したものであると結論付け
              EEV
ました。特に、

⚫    本開示資料のセクション4に記述されるとおり、計算方法は、ライフネット生命の市
     場整合的方法によって対象事業におけるリスク全体を反映させるものです。

⚫    事業前提は過去現在の実績および将来期待される経験を適切に反映して設定されてい
     ます。

⚫    適用された経済前提は、前提相互間で整合的であり、また、観察可能な市場データと
     も整合的です。

    ウイリス・タワーズワトソンはさらに計算結果についても検証を行っています。ただし
これは、計算モデル、計算過程および計算内容の全てについての詳細な検証ではありませ
ん。これらの検証の結果、弊社は、開示される計算結果が、全ての重要な面において本開
示資料に記述された計算方法および計算前提に基づいて計算されていると考えます。

    これらの結論に至るにあたり、ウイリス・タワーズワトソンはライフネット生命から提供
されたデータおよび情報に依拠しています。
この意見はライフネット生命との契約に基づき、ライフネット生命のみに対して提供され
るものです。適用される法律において許容される限り、ウイリス・タワーズワトソンは、ウ
イリス・タワーズワトソンが行った検証作業やウイリス・タワーズワトソンが作成した意見
および意見に含まれる記述内容について、ライフネット生命以外のいかなる第三者に対し
ても、一切責任、注意義務あるいは債務を負いません。
                                                以上




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