7047 M-ポート 2021-11-24 17:00:00
株式会社INEの株式取得(子会社化)及び資金の借入に関するお知らせ [pdf]

                                                            2021 年 11 月 24 日
各     位
                                      会  社  名 ポ   ー ト   株    式     会    社
                                      代 表 者 名 代表取締役社長 春 日 博 文
                                      (コード番号:7047 東証マザーズ・福証 Q-Board)
                                      問い合わせ先 取 締 役 副 社 長 長丸 山 侑 佑
                                                         TEL. 03-5937-6466



                   株式会社 INE の株式取得(子会社化)及び
                      資金の借入に関するお知らせ



     当社は、本日開催の取締役会において、「エネチョイス」等のマッチング DX メディアを運営する株式会
    社 INE(以下「INE 社」といいます。)の発行済株式数の 50.91%を取得することによる子会化(以下「本
    株式取得」といいます。)及び資金の借入について決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたし
    ます。


                                 記


I.株式取得(子会社化)
    1.本株式取得の理由
     ■エネルギー業界の状況と課題
      「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つとして気候変動への対策が求められている中、世界各国で脱炭
     素に向けた取り組みが進んでおり、日本でも、地球温暖化につながる温室効果ガスの排出を 2050 年に
     全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言し、各種取り組みが加速していま
     す。その中でも、二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電に代わる、太陽光や風力、水素などの再生可
     能エネルギーの拡充が求められており、岸田新政権においても、2021 年 10 月に閣議決定された第6次
     エネルギー基本計画の中で、日本国内の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率を現状(2019 年)
     の 18%から 2030 年には 36~38%以上に引き上げていく目標が制定されました。(※1)


      一方で、再生可能エネルギーの推進のための財源については、一部、再生可能エネルギー発電促進賦
     課金(以下「再エネ賦課金」といいます。)という形で、消費者の電気料金に上乗せされており、消費
     者負担の増加が懸念されております。
      再エネ賦課金は年々増額傾向にあり、2012 年には 1kWh あたり 0.22 円だったのが、2021 年現在では
     3.36 円(※2)に上昇しております。また燃料費の高騰も相まって、結果として、平均的な電気料金は
     2010 年と比較し 2020 年は 15%増加しております(図1)。




                                  1
                                             単位:円/kwh
                     出所:
                       「電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について」から当社作成
                               ※上記単位には消費税が含まれておりません。


 こうした電気料金の高まりと政府による積極的な競争の促進により、電力小売規制の改革以降に新規
参入した小売電気事業者によって販売された電力、いわゆる新電力の日本国内における総電力販売額に
対するシェアは年々高まっており、現在では約 24%を新電力が占めております。
 特に家庭部門などで構成される低圧帯においては 2016 年4月の全面解禁以降シェア拡大が急速に進
んでおり、2016 年時点で 0%だったシェアが現在では 25%まで上昇しております(図 2)。




                    出所:電力・ガス取引監視等委員会「電力取引の状況」を基に当社作成




                         2
 新電力への切替件数で見ても、2018 年時点で年間約 445 万件でしたが、2020 年では年間約 600 万件
にまで年々増加しております。特に引越し等による再点を含む新規契約件数は 2018 年の約 65 万件から
2020 年は約 180 万件と大きく伸長しております(図3)。




                                                                  単位:千件
                                               出所:電力ガス取引委員会「電力取引報」から当社作成


 今後も電気料金の高騰圧力は続くと見ており、より安価な電力へのニーズは高まり新電力への切替が
進んでいくと考えております。
 また電気小売市場における事業者の新規参入も引き続いております。ガス、通信などの他商品とのセ
ットプランやクリーンエネルギーのみを使用した電力プランなど様々な新電力プランが登場しており、
プランの複雑化傾向もみられます。
 こうした安価な電力へのニーズの拡大、各種電力プラン複雑化によるユーザーのサービス検討難易度
が上昇は、今後ますます進んでいくと考えており、新電力切替市場におけるマッチングサービスの介在
価値はより高まるものとみています。
 また新電力のみならず、自家消費型の社会の実現、電力データ自由化など、エネルギー業界全体とし
ても今後ますます多様化が進んでいくもの考えており、それに伴い、ユーザーの適切な意思決定を支援
するマッチング DX の同業界におけるフィールドも拡大していくものと考えております。


 ※1:経済産業省         エネルギー基本計画
 https://www.meti.go.jp/press/2021/10/20211022005/20211022005-2.pdf


 ※2:東京電力ホールディングス                再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
 https://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/charge/1253678_6290.html



                                          3
■当社の概要
 当社は「世界中に、アタリマエとシアワセを」をミッションに掲げ、社会課題に対して、テクノロジ
ーとマーケティングを活用し、解決していくことを目指し、主に就職領域、リフォーム領域、カードロ
ーン領域でマッチング DX 事業を展開しております。各領域で培った事業ノウハウの横展開やユーザー
基盤に対するクロスセルによって事業を拡大しております。


 直近でも、11 月4日に開示いたしました「「カーボンニュートラル」を目指してエネルギー領域へ参
入」の通り、自家消費型の太陽光発電のクロスセル等を開始しており、国内における「カーボンニュー
トラル」の実現に貢献すべく、本領域においても第4の柱とすべく積極的に事業機会の検討をしており
ました。

■INE 社の概要
 INE 社は、2014 年の政府による電力自由化開始(改正電気事業法の成立)に伴うマーケットの拡大を
見据え、2014 年に創業されたエネルギーマーケットのリーディングカンパニーです。ユーザーと新電力
のマッチング及び、獲得した会員へのクロスセルを中心に事業を展開しております。特に新電力切替の
取次件数においては業界最大規模のシェア(上述の国内における年間新電力切替件数のうち 1%以上)を
持ち、今期においては取次件数 10 万件を突破する見込みです。


 近年では法人向け SaaS の開発にも力を入れており、新電力への切替を中心に、ストック収益の創出
も進めております。すでに 580 社(2021 年 7 月時点での契約件数)の法人からのストック収益を獲得し
ており、今後もストック収益については拡大させていく見込みです。


 INE 社の強みは Web 集客からインサイドセールスによる受注、取次契約を全て内製で展開しているこ
とによる高いマッチング効率にあります。電力切替のようなユーザーの経験回数の少ない意思決定(非
日常領域)においては、Web 上のレコメンドのみでは意思決定に十分な情報を得られず、適切な意思決
定のためにはカスタマーコミュニケーションによる伴走型マッチングの促進が不可欠だと考えます。
 INE 社は創業以来、Web によるマッチングのみならず、インサイドセールスチームによる伴走型マッ
チングシステムの構築に力を入れており、高い組織力を有しております。Web 集客及びインサイドセー
ルスという二つのマッチングシステムを一貫して持つことで、高いマッチング効率を実現し、結果とし
てこれらが業界における INE 社の競合優位性となり、シェアの獲得を実現しているものと当社は考えて
おります。


 当社と INE 社、それぞれのノウハウ、アセットを活用しシナジーを創出し、成長市場におけるシェア
の拡大、業績の向上ひいては「カーボンニュートラル」の実現に貢献できる事業の創出により企業価値
向上を目指したいと考えております。




                         4
■今後の具体的な展開
 ①当社のマーケティングノウハウ注入による新規チャネル開発とシェア拡大
  当社はコンテンツマーケティング SEO 及び LPO 等によるマッチング効率の改善に強みを持っており
 ます。昨年度買収したリフォーム領域のドアーズ株式会社においても引上 CPA 等、主要な指標の改善
 に成功しております。INE 社にも当社のノウハウを注入することで、新規ユーザー獲得チャネルを開
 発し、シェアの拡大を進めるとともに、利益効率を改善することができると考えております。


 ②それぞれの会員のクロスセルによる収益機会の最大化
  当社は就職領域においては新卒学生人数シェア 70%以上※3となる年間 44 万人以上の新卒学生会
 員、リフォーム領域においては戸建てユーザーを中心とした年間7万件以上の会員を獲得しておりま
 す。当社会員基盤は新電力等 INE 社の商材との相性が非常に高く、特にリフォーム領域ではすでに新
 電力のクロスセルを試験的に開始しており、取次件数が開始2か月で 100 件を突破するなどエネルギ
 ー領域との高い親和性を確認しております※3。また INE 社は年間約 16 万件の会員が獲得できてお
 り、双方の会員基盤に対するクロスセルを実施することで、収益機会の拡大ができるものと考えてお
 ります。


 ③アライアンスの推進
  当社は、就職領域、リフォーム領域等、各領域にて各社とのアライアンスを進めております。すで
 に当社がアライアンスを組んでいる会社と INE 社とのビジネスマッチングにより、新たな収益機会ま
 たは事業機会の創出に取り組んでいきたいと考えております。


  ※3当社 2022 年3月期第2四半期決算説明資料   参照




                         5
2.異動する子会社(株式会社 INE)の概要
  名称             株式会社 INE

  所在地            東京都豊島区池袋2-14-2

  代表者の役職・氏名      代表取締役社長         伊藤    圭二

  事業内容           電気領域におけるマッチングメディアの運営他

  資本金            80 百万(資本準備金含む)

  設立年月日          2014 年4月 14 日
                                            2021 年 11 月 24 日    本株式取得後
                 株主名
                                                  現在              (予定)
                 伊藤 圭二                          75.76%           45.45%

                 株式会社光通信                        18.18%             ―
  大株主及び持株比率
                 田崎 匡浩                           3.03%            1.82%

                 岡本 崇章                           3.03%            1.82%

                 ポート株式会社                           ―             50.91%
               資本関係                                該当事項はありません
               人的関係                                該当事項はありません
  上場会社と当該会社の関係
               取引関係                                営業取引があります。
               関連当事者への該当状況                         該当事項はありません
  当該会社の最近3年間の経営成績及び財政状態(日本基準)
  決算期               2019 年3月期           2020 年3月期              2021 年3月期

  純資産(百万円)                       139                   314                 717

  総資産(百万円)                       704                1,169                 1,732

  1株当たり純資産(円)            421,457.67            952,447.49        2,173,438.11

  売上高(百万円)                    2,067                 2,390                 3,299

  営業利益(百万円)                      140                   278                 592

  経常利益(百万円)                      150                   269                 616
  親会社株主に帰属する
                                  99                   175                 402
  当期純利益(百万円)
  1株当たり当期純利益
                         302,949.90            530,989.82        1,220,990.62
  (円)
  1株当たり配当金(円)                     0                      0                   0

  ※INE 社は子会社を2社保有しておりますが、いずれも適時開示基準に満たないため、記載を省略し
   ております。




                             6
3.株式取得の相手先の概要
                 伊藤 圭二  神奈川県川崎市中原区
  名称及び所在地        田崎 匡浩  神奈川県横浜市港北区
                 岡本 崇章  埼玉県朝霞市
                 特筆すべき資本関係・人的関係・取引関係はありません。また、当社
                 の関係者及び関係会社と当該個人ならびに当該個人の関係者及び関係
  上場会社と当該個人の関係
                 会社の間には、特筆すべき資本関係・人的関係・取引関係はありませ
                 ん。

                                                  (2021 年3月末現在)
  名称             株式会社光通信

  所在地            東京都豊島区西池袋1-4-10 光ウエストゲートビル

  代表者の役職・氏名      代表取締役社長           和田   英明

  事業内容           法人サービス、個人サービス、取次販売

  資本金            54,259 百万円

  設立年月日          1988 年2月5日

  資本合計           429,030 百万円

  資産合計           1,256,844 百万円
  大株主及び持株比率                株主名                    持株比率
                 有限会社パワー                          43.02%
                 株式会社鹿児島東インド会社                     7.19%
                 日本マスタートラスト信託銀行株
                                                   4.17%
                 式会社(信託口)
                 資本関係                        該当事項はありません。
                 人的関係                        該当事項はありません。
  上場会社と当該会社の関係
                 取引関係                        該当事項はありません。
                 関連当事者への該当状況                 該当事項はありません。


4.取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況
                  0株
  異動前の所有株式数       (議決権の数:0個)
                  (議決権所有割合:0%)
                  168 株
  取得株式数
                  (議決権の数:168 個)
                  普通株式 2,036 百万円
  取得価額            デューデリジェンス費用等(概算額) 32 百万円
                  合計(概算額) 2,068 百万円
                  168 株(所有割合:50.91%)
  異動後の所有株式数       (議決権の数:168 個)
                  (議決権所有割合:50.91%)
  (注1)取得価額は、INE 社の直前事業年度(2021 年3月期)の経営成績及び財政状態の実績、今後5
      年間(2022 年3月期~2026 年3月期)の見込み、並びに実施したデューデリジェンスの結果
      を踏まえ、 独立した第三者評価機関である株式会社 AGS コンサルティングによる株式価値算定
      を参考に、相手先と個別に協議の上決定しており、妥当な金額と判断しております。
  (注2)価値算定にあたっては DCF 法を採用しております。


                               7
 5.日程
   取締役会決議日               2021 年 11 月 24 日

   契約締結日                 2021 年 11 月 24 日

   株式譲渡実行日               2022 年1月4日



Ⅱ.資金の借入(予定)
 1.資金の借入の理由
    INE 社の株式取得のため、資金を調達するものであります。

 2.借入の概要
    借入先                  株式会社三菱 UFJ 銀行
    借入金額                 2,036 百万円
    借入実行日                2021 年 12 月
    借入期間                 6年
    担保                   無担保・無保証
    備考                   財務制限条項が付されております。



Ⅲ.今後の見通し
    本件の子会社化により、INE 社の業績を連結し、当社グループのマッチング DX のノウハウ、既存事
   業とのシナジー及び INE 社の強みを生かし、エネルギー領域を主要領域として成長させることで今後
   の大きな企業価値向上を見込んでおります。なお、INE 社の前期(2021 年3月期)実績は売上高 3,299
   百万円、営業利益 592 百万円、当期純利益 402 百万円で、当期においても継続的な成長を見込んでお
   り、株式譲渡実行日 2022 年1月4日を前提とした場合、 当社 2022 年3月期第4四半期より連結される
   予定ですが、2022 年3月期連結業績への影響は現在精査中であり、今後の業績に与える影響が判明次
   第、速やかに公表いたします。
                                                                        以   上


(参考)当期業績予想及び前期実績
                                                              親会社の
                                                                         基本的
                                             税引前              所有者に
              売上収益      EBITDA※1   営業利益              当期利益              1株当たり
                                              利益              帰属する
                                                                        当期利益
                                                              当期利益
               百万円        百万円        百万円     百万円      百万円      百万円       円 銭
    業績予想
                7,000       700        550     550      400      400      35.70
(2022 年3月期)
              ~7,500       ~900       ~700    ~700     ~500     ~500    ~44.62
  前期実績※2
                4,704  188  △66               △62      △52       △52     △4.70
(2021 年3月期)
  ※1 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
  ※2 日本基準で作成した数値を記載しております。




                                       8