7013 IHI 2019-04-09 17:15:00
当社民間航空機エンジン整備事業で発生した不適切事象に対する国土交通省殿からの行政処分について [pdf]

                                              2019年4月9日
各   位
                            株   式   会   社     I   H    I
                            東京都江東区豊洲三丁目1番1号
                            代表取締役社長             満岡 次郎
                                       (コード番号 7013)
                            問合せ先 広 報 ・ I R 部 長 白井 崇喜
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        当社民間航空機エンジン整備事業で発生した不適切事象に対する

              国土交通省殿からの行政処分について


 2019年3月8日付「当社民間航空機エンジン整備事業で発生した不適切な事象に関する中間報
告」においてお知らせしましたとおり,当社の民間航空機エンジンの整備事業に関し,複数の不適
切な事象が判明したことを受け,調査して参りましたが,本日,国土交通省殿より,業務改善命令
を受けました。
 国土交通省殿からの処分の対象は,同省の基準に基づいて当社が瑞穂工場(東京都西多摩郡瑞穂
町殿ヶ谷)において整備した民間航空機エンジン34台と修理した単品の部品数125点における不適
切な作業です。


 3月8日付の中間報告では,過去2年間(2017年1月1日~2019年1月31日)における国土交通
省管轄の工事を対象に調査した結果を報告したものですが,今回,更に過去にさかのぼり,同省管
轄工事で,現在,運航されている全てのエンジン(2009年1月~2016年12月31日)まで拡大し,調
査したものです。


 この度の国土交通省殿からの処分を厳粛に受け止め,航空会社様ならびに関係機関をはじめとす
る皆様,当社のすべてのステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けする事態とな
りましたことを,深くお詫び申し上げます。


 当社は,今回の事態を受けて,コンプライアンス遵守を徹底し,策定した再発防止策を確実に進
め,全社一丸となって,信頼回復に努めてまいります。




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1.処分対象となった不適切事象の概要(2009年1月~2019年1月)
   今回の調査は,過去10年にさかのぼり,当社が整備・修理した国土交通省管轄で運航中の全
  てのエンジン45台と単品で修理した部品605点が対象となっています。うちエンジン34台,部
  品125点において,不適切な作業が行われていました。作業総数は合計で約19万件であり,う
  ち不適切な作業件数は,1,251件です。なお,不適切作業件数1,251件のうち,不適切な検査押
  印の件数は,974件,手続きを経ない工程順序の変更や検査実施日と記録の不一致が,277件あ
  り,その内容は中間報告でご報告した内容と同様の事象です。
   これらの事象については,当社からエンジン製造メーカーに報告を行い,飛行安全には問題
  ないとの見解を受領しております。そのほか,当該不適切検査の後工程における検査の実施や
  エンジン組立後の試運転の実施に加え,その後の運航状況のモニタリングおよび点検で問題が
  ないことが確認されております。今後,お客様と相談しながら,一部の部品については長期的
  継続使用の観点から,自主回収等も行うべく,万全の策を実施してまいります。


2.本件発生の原因について
   3月8日付の中間報告においてご報告したとおり,本件発生の原因は,以下に要約されると
  認識しております。


  ・検査業務の投入量において調整が不十分であったことから,納期優先につながったこと
  ・安全を第一とすべき航空エンジン整備の検査記録の公的重要性に関する意識の乏しさ
  ・検査職場という品質保証上重要な職場に対するマネージメント層の関与不足
  ・資格が必要な業務を伴う検査職場における実地教育(OJT)制度の不明瞭さ




3.再発防止策について
   国土交通省殿からのご指導に沿って,以下のとおり,再発防止に取り組んでまいります。


  Ⅰ.安全意識の再徹底およびコンプライアンス教育


  Ⅱ.安全管理体制の抜本的見直し


  Ⅲ.業務実施体制の見直し


   なお,瑞穂工場においては,すでに以下の施策の展開を始めております。


(1) 検査にかかわる業務規定ならびに実施体制の見直し
  ① 検査員見習に対するOJTルールの厳格化(整備実作業ラインとの分離)
  ② 検査員資格制度の見直し



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  ③ 印章など管理方法の見直し
  ④ 製造部門の一部であった検査職場を品質管理部門へ分離


(2) 航空機エンジン整備関連全検査員の資格再認定教育(4週間コース)
   (外部有識者による7時間のコンプライアンス教育を含む。)
(3) コンプライアンス相談窓口,工場ホットラインの新設
(4) 検査業務負荷の適正化
(5) 整備マニュアルの最適化


   なお,原因分析および再発防止策については,西村あさひ法律事務所ならびに日本経営倫理
  学会会長の梅津光弘氏(慶應義塾大学商学部准教授)に検証を進めていただいております。


4.今後について
   今後,このたびの国土交通省殿からの処分を受けて,改善報告書を5月10日までに提出いた
  します。
   さらに,瑞穂工場での再発防止策の展開に加え,全社ならびに航空・宇宙・防衛事業領域に
  おける品質保証,コンプライアンス面の対応強化策を検討しております。




 当社は,再発防止策を確実に実行し,現在,自主的に停止しております民間航空機エンジン整備
事業の早期再開をはかり,ステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいる所存です。


                                          以   上




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