6999 KOA 2020-04-22 13:00:00
2020年3月期 決算補足説明資料 [pdf]

2020年3月期 決算補足説明資料




             連結決算の概要



                    2020年4月22日

                    問い合わせ先
                    経営管理イニシアティブ 経営戦略センター
                    TEL: 0265-70-7174
                    FAX: 0265-70-7180
KOA創⽴80周年




KOAは、2019年12⽉に “2030ビジョン”を決定しました。そのビジョン・スローガンは「⼩さな部品
で豊かな世界を」。詳しい内容は別の機会に譲りますが、私が本当にうれしかったのは、平均35歳の
若い社員の皆さんが、⾃ら⼿を上げプロジェクトに集まり、「KOAの“望ましい未来”って何だろ
う」という問いに、真剣に議論を重ね答えを出してくれたことです。
近年、地球規模で頻発している⼤規模な⾃然災害は、国際社会が取り組んでいるさまざまな地球温暖
化対策を、⼀層加速させる必要性を⽰しています。KOAも抵抗器づくりをより深化させ、温室効果
ガス排出量削減に貢献できる、機器の⻑寿命化や省エネに向け「⾼精度・⾼信頼性」分野で積極的な
提案を⾏っていきます。
また、“Society 5.0”に代表されるサイバー(仮想)空間と現実社会を⾼度に融合させたシステムで、経
済発展と社会的課題の解決を両⽴させるアプローチは、⾃動運転をはじめとしてすでに現実のものに
なっています。サイバー空間への⼊り⼝は⾔うまでもなく「センサ」。1年間に全世界で1兆個のセン
サが使⽤される「トリリオン(兆)・センサ社会」も、もうそこまで来ています。KOAはこの分野
でも基盤技術を進化させ、各種センサ、センサ・モジュール開発に注⼒していきます。
しかし、“2030ビジョン”の特⻑は、こうした時代の潮流を単にビジネスチャンスとして捉えるだけで
はなく、その変化の中でのKOAの望ましい姿を、KOAがずっと⼤切にしてきたことを踏まえて描
き切ったことにあります。国際社会がめざす「持続可能な開発」とは、KOAの4つの価値観「有
限、循環、調和、豊かさ」と同じ意味だと私は信じています。その価値観を共有し、実現に向けた社
会課題解決に取り組むお客様の「困りごとの本質を⾒極め、想像を超える価値を提供」すると、ビ
ジョンは⾔っています。KOAにとってなんと素晴らしい未来像ではありませんか。
この未来からのおくりものは、今社員の皆さん⼀⼈ひとりの⼿の中にあります。それを⼤きく結実さ
せ、豊かな社会づくりをともに⽬指しましょう。
「歴史を忘れた⺠族や国に未来は無い」とはよく⾔われる戒めの⾔葉です。
この事は企業にも当てはまる真実だと僕も考えます。
「お蚕様」の養蚕農家と製⽷⼯場で成り⽴っていた信州伊那⾕を襲った昭和恐慌。⽇本の近代化が始
まったといわれる明治維新から、凡そ六⼗年後のとても⼤きな出来事でした。
世界は、⽇本も含めて⼤不況に突⼊した「世界恐慌」に直⾯したのです。
多くの農家農⺠や地域社会を⽀えてきた、唯⼀のふるさとの産業であった製⽷業の衰退が始まったの
です。
⻑男を残して、実に多くの若者がふるさとを離れ⼤都市、都会へと職を求めて出て⾏かざるを得な
かったのです。また、家族全員で「満蒙開拓移⺠」として中国東北部へと渡った⼈達も多くいたので
した。
「⽣まれ育ったふるさとに、製⽷産業以外に家族全員を養っていける産業、働き⼝が他になかった」
からなのです。
そんな疲弊していく農村の養蚕農家に⽣まれ育った⻘年が苦学⼒⾏して、⼆⼗六歳にして創業したの
が当社の始まりです。ふるさと伊那⾕に初めて電⼦部品事業を興したのです。
⽣活や社会・経済の基盤である農業・農村・農⺠の暮らしを守り、豊かにするために、家族の⽣計が
⼯業によって成り⽴つ地域社会、伊那⾕を創ろうと始めたのが当社の創業者の熱き想いでしょう。
「農⼯⼀体」の誕⽣でした。


それから⼋⼗年の歳⽉が流れました。


電⼦部品産業の⼀企業として、世界のマーケットで継続して経済活動・経営を⾏ってきています。
⽣まれ育った伊那⾕や、それぞれの拠点の地域社会で、その社会の⼀員として相応しい活動を続けて
きています。
惑星地球の⽣態系の⼀員としても、恥ずかしくないよう振る舞っていこうと活動中です。
⼀緒に働く仲間・家族の健康を願って、少々おせっかいをやき乍らも地道な活動も続けています。
これからもKOAは「ふるさと」と共に歩み続けます。
2019年度の業績

    KOAを取り巻く抵抗器市場と環境
    当期業績の概要
    製品別売上高
    地域別売上高
    用途別売上高
  貸借対照表の状況
  設備投資、減価償却費
  研究開発費
  キャッシュフロー
  四半期業績推移
               1
 KOAを取り巻く抵抗器市場と環境
 2019年の固定抵抗器需要は、対前年比12%減少
           地域別固定抵抗器需要                              $レート
 億円                 (当社推定)                          円


 4,000
                                   3,920
                                                   200
                                                                 全ての地域が減少
                           3,530           3,460
           3,220   3,140
 3,000                                             160            ヨーロッパ   5%減少

 2,000                                             120            北米      9%減少
 1,000                                             80             日本      3%減少
     0      '15     '16     '17     '18     '19
                                                   40             アジア     14%減少
  ヨーロッパ   300     310     360     410     390
  北米       310     290     310     330     300
  日本       320     340     360     370     360
  アジア     2,290   2,200   2,500   2,810   2,410
  US$レート 121.03 109.36 112.03 110.34 109.22

                            《データは暦年集計》
                                                          2




 グラフは、当社が各種データから推定した固定抵抗器の需要予測を暦年で集
計。

2019年の世界固定抵抗器需要は、 3,460億円、前年比12%程度減少。


 地域別には、すべての地域における自動車や産業機器向け需要の減少に加
え、アジアでは民生機器向けの需要も減少。


 今回の需要予測は、第2四半期の決算説明会で発表した市場規模に比べ10
億円の減少。
当期業績の概要
                                                      単位:億円

               2017年度      2018年度         2019年度      前年比

    売上高          525.2          559.0       500.2      △58.8
    営業利益          57.5           56.7        14.7      △42.0
   (営業利益率)       (11.0%)        (10.1%)      (2.9%)

    経常利益          58.4           63.0        17.3      △45.7
  親会社株主に帰属する
   当期純利益          43.8           10.2        10.8        0.6
  実績為替レート        110.69         111.04      108.92
   1US$=円
   1EUR=円        130.25         128.22      120.85

                            3




【2019年度の業績】


売上高:前年比10.5%マイナス。日本及び海外の各地域において、電子
    部品の需要が減少。
    新型コロナウィルスの影響は中国において若干額発生しているが、
    12月決算子会社のため、当期の連結売上高には影響していない。
営業利益:前年比74.2%マイナス。売上高の減少に加え、原材料に含まれ
       る稀少金属の相場の上昇による変動費増加により限界利益率悪
       化。固定費は前期の設備投資での減価償却費等が増加したが、
       人件費を削減し、減少。
経常利益:前年比72.6%マイナス。営業外収支は2億6千万円のプラス。
       為替は、前期は差益に対し、当期は差損。US$及びユーロ相場
       の影響。
当期純利益:前年比5.7%プラス。特別損益は、投資有価証券の売却益
        1.3億円、紛争和解金支払3.7億円。


当期の実績為替レートは前年比でいずれも円高。為替変動による当社の年間
営業利益への影響額は、US$の1円の円高変動につき、約1億2千万円、ユーロ
は約3千万円の減益影響。
製品別売上高
                                                              (前年比)
 億円                通期推移
 700                                      その他                  △6%
 600                559
           525                            安全                   △11%
                             500
 500
                                          コイル                  △2%
 400
                                          IC                   △18%
 300
 200                                      抵抗器                  △11%
 100                                                 安全 他
                                                  コイル    4%
      0                                         IC 2% 4%
          FY2017   FY2018   FY2019              2%
 その他        21       19       18
 安全         21       20       18
 コイル        11       12       12
                                                       2019年度
 IC         13       15       12
                                                      売上高構成比
 抵抗器       460      494      441


                                                      抵抗器 88%

                                     4




この後の増減率の説明は、2018年度と2019年度の比較。


【製品別】


 抵抗器:自動車や産業機器向けを中心に、ほぼすべての用途で需要が減少
しマイナス11%。


IC:産業機器向けなどで18%の減少。


コイル:自動車向けなどが好調だったが2%の減少。


安全部品:アミューズメントや電源向けを中心に11%の減少。


その他:6%の減少。
地域別売上高

  億円              通期推移                                     (前年比)
  700
                                          ヨーロッパ              △5%
                    559
  600
          525                             北米                 △12%
                             500
  500
                                          日本                 △7%
  400
                                          アジア             △15%
  300
  200
  100                                             ヨーロッパ
                                                   14%
    0    FY2017    FY2018   FY2019
                                                               アジア
                                            北米                 36%
                                                     2019年度
 ヨーロッパ     67        72       68            16%
                                                    売上高構成比
 北米        84        90       79
 日本       178       182      170
 アジア      196       214      182
                                                     日本 34%



                                     5




【地域別】


 アジア:エアコン向けは引き続き底堅い需要があったが、自動車、産業機器、
電源、通信向け等多くの用途に渡って低調に推移し15%の減少。


 日本:自動車向けは堅調に推移したが、産業機器をはじめとしてその他用途
全般が振るわず7%減少。


北米:自動車や代理店向けの需要減少に伴い12%の減少。


 ヨーロッパ:自動車向けは堅調に推移したが、産業機器向けが縮小し5%の減
少。
用途別売上高
                                                            (前年比)
 億円              通期推移
                                        その他                △34%
  700
                  559                   AV                  △7%
  600
         525              500
  500                                   通信                 △15%
  400                                   家電                  △3%
  300                                   PC                  △6%
  200
                                        産機                 △15%
  100
    0                                   自動車                 △5%
        FY2017   FY2018   FY2019
  その他     56       66       43          その他 9%
  AV      44       42       40         AV 8%
  通信      43       48       40
  家電      44       47       45         通信 8%
                                                    2019年度   自動車
  PC      62       63       60
                                                   売上高構成比    42%
  産機      70       75       63
                                       家電 9%
  自動車    206      219      209
                                                      産機
                                                      13%
                                   6      PC 12%




【用途別】


 自動車:アジアと北米で減少したものの、ヨーロッパと日本が堅調に推移したこ
とから、5%の減少に留まる。
自動車向け売上高構成比:2018年度比3ポイントアップの42%。
 (2015年:37%、 2016年:39%、 2017年:39%、 2018年:39%)


産業機器:世界の各地域で生産用設備投資が低調に推移し15%の減少。


PC:アジアのサーバー向けやPC周辺機器向け需要を中心に6%の減少。


家電:中国のエアコン向けが堅調だったが、その他地域では縮小し3%の減少。


通信:アジアのEMSや日本で低調に推移し15%の減少。


AV:アジアを中心に7%の減少。


 その他:欧米・アジアの代理店向けや、日本の航空宇宙やアミューズメント向け
を中心に34%の減少。
貸借対照表の状況
                                                                   単位:百万円
   科目      19.3月末 20.3月末      増減              科目      19.3月末 20.3月末     増減

流動資産        39,445   38,215   △1,230   流動負債           13,582   10,623   △2,959

現金及び預金      15,197   16,126      929       仕入債務        5,741    5,049    △692

売上債権        15,027   13,584   △1,443
                                           その他の流動負債    7,841    5,573   △2,268
たな卸資産        7,622    7,309    △313
                                       固定負債            3,933    7,018    3,085
その他の流動資産     1,597    1,195    △402
                                       負債合計           17,515   17,642      127
固定資産        37,910   37,643    △267
                                       株主資本           59,219   59,045    △174
有形固定資産      28,301   29,570    1,269
                                       その他の包括利益累計額       620   △829     △1,449
無形固定資産        556      612        56

投資その他の資産     9,052    7,459   △1,593   純資産合計          59,839   58,216   △1,623

資産合計        77,355   75,858   △1,497   負債純資産合計        77,355   75,858   △1,497


                                       7




流動資産:売上減少により、売上債権、棚卸資産が減少。
固定資産:建物、生産設備投資により、「有形固定資産」が増加。
         投資有価証券の評価の下落等により、「投資その他」が減少。


流動負債:仕入債務、未払和解金の支払い等により減少。
固定負債:銀行借入により増加。IFRS16号適用によるリース債務の増加。

 純資産:投資有価証券評価額、為替換算調整勘定の減少により、包括利益が
減少。
設備投資、減価償却費
  当期の主な設備投資
  ・生産能力拡大
  ・新製品開発
  ・品質/生産性向上用設備
                     設備投資、減価償却費
 億円
             設備投資     減価償却費            設備投資(予)       減価償却費(予)
 70
                                西山工場建設
 60
                    パインパークに
 50                 2棟を建設
         真田の郷
 40                                                             予想
          建設
 30
 20
 10
  0
      FY13   FY14   FY15    FY16       FY17   FY18    FY19   FY20

                                   8




設備投資:上期24億円。下期16億円。


 投資の内容:上期を中心に、注力する製品の生産能力の拡大投資、新製品
開発投資、国内外での品質や生産性向上のための設備などの機械装置などが
中心。


減価償却費:34億円。前期比5億円増加。


 2020年度の年間設備投資額:30億円以下、減価償却費は30億円以下となる
見込み。
研究開発費

        2019年は、対売上高比率が4.5%
        研究開発費                         高信頼性分野に注力
       研究開発費    予想                     (自動車、産業機器)
 億円    対売上高比率
                     予想
 25                       5.0%        基盤技術を活かしたセンサ素子
                                       やセンサモジュール開発
 20                       4.0%

 15                       3.0%        マーケティング活動の推進による
                                       新規事業創出への取り組み
 10                       2.0%
                                      産学官の連携を進める
  5                       1.0%
                                       (新材料、新技術の開発)
  0                       0.0%
                                      お客様と共に未来を創出する

                                 9




 2019年度の研究開発費は22億4千万円。対売上高比率は4.5%。 2020年度
の年間研究開発費:23億円以下となる見込み。


 引き続き、自動車や産業機器等の高精度・高信頼性が求められる市場に注力
している。
 自動車分野は、モビリティ革命を表す4つのメガトレンド「CASE」(Connected(コ
ネクテット)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(シェアリングサービス)
、Electric(電動化))の進行により、世界各国で自動運転の実現および環境対
応車拡大に向け大きく動いている。当社は、電動化により高い需要が見込まれ
る大電流検出用の抵抗器や、高電圧検出用の高精度抵抗器などの開発や、更
なる高信頼の要求に対して耐環境性に対応した長期信頼性抵抗器の開発に注
力している。
 また、将来人々が安全・安心、そして豊かな生活をおくることをめざす「超スマ
ート社会」の実現に向けては、多くのセンサの需要が期待される。当社は、これ
までの抵抗器事業で培った基盤技術を活かし、センサ素子やセンサモジュール
の開発にも注力している。展示会などでこれらの開発製品や基板技術を積極的
にアピールしながら、マーケティング活動を推進し、お客様と新たな事業を共創
する取り組みを進めている。
 産・学・官の連携では、近年のコンピューター技術も取り入れながら、将来必要
とされる新材料や新技術の開発の加速を図り、お客様の要求にタイムリーに新
製品を提案できるよう活動を進めている。
 今後も、さまざまな社会課題解決に取り組むお客様と共に、未来を創出するた
めの研究開発活動に積極的に取り組んでいく。
キャッシュフロー

       億円
       200

       150

       100

        50

         0

       -50

       -100
              FY2015   FY2016        FY2017   FY2018   FY2019
  営業            44       41            54       21       41
  投資           -35      -15           -47      -43      -55
  財務           -10       -9           -12      -13       22
  現金、現金同等物     166      179           175      140      146

                                10




営業キャッシュフロー:
税金等 調整前 当期純利益 14億円、
減価償却費 34億円、売上債権の減少13億円、
訴訟和解金支払い13億円などにより、
41億円の流入。


投資キャッシュフロー:
有形固定資産の取得などにより55億円の流出。


財務キャッシュフロー:
 短期借入10億円、長期借入25億円、配当金の支払13億円などにより 22億円
の流入。


現金及び現金同等物:
6億円の増加。
 四半期業績推移

連結売上高                                                               連結営業利益
 億円                      連結売上高            連結営業利益                       億円
 250                                                                         20

 200                                                                         15

 150                                                   128
                                                                             10
                                                             124   122 127
                                                       8
                                                                        4
 100                                                                         5
                                                              2
                                                                   0
  50                                                                         0

  0                                                                          -5
         FY2015      FY2016      FY2017      FY2018          FY2019
       1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q


                                   11
12