6973 協栄産 2019-01-30 15:00:00
船舶安全法令違反に対する再発防止策のお知らせ [pdf]
2019年1月30日
各 位
会 社 名 協 栄 産 業 株 式 会 社
代表者名 取締役社長 水 谷 廣 司
( コ ー ド番 号 6973 東証 第 一 部)
問合せ先責任者 取締役 常 務 執行 役 員
村本 篤
( TEL 03- 3481- 2111)
船舶安全法令違反に対する再発防止策のお知らせ
当社は、2018 年 12 月 19 日付「第三者委員会の調査報告書の開示および今後の対応につきまして」で公表
いたしましたとおり、当社連結子会社である協栄マリンテクノロジ株式会社(以下、同社)福山営業所におい
て、法定船用品(救命設備)整備事業に於ける必要な整備項目の一部省略並びに整備記録の改ざん(以下、本
事案)を行っていたことに関して、2018 年 12 月 10 日に同委員会より調査報告書(以下、本報告書)を受領
いたしました。
当社及び同社では、2018 年 11 月 2 日付の国土交通省による「船舶安全法令違反に係る業務改善指示」
を受けて、必要な整備項目の一部を省略した可能性のある『膨脹式救命いかだ』及び『降下式乗込装置』につ
いて可及的速やかな再整備や取り替えに取り組むとともに、本事案の原因究明と徹底した再発防止策の策定に
取り組んで参りました。これまでの取組みに加え、本報告書における再発防止策の提言を真摯に受け止め、具
体的な再発防止策の策定について検討を重ね、本日開催の両社取締役会において、下記の再発防止策について
決定いたしましたので、その概要をお知らせいたします。
今後は、引続き上記の可及的速やかな再整備や取り替えに取り組んで参りますとともに、これらの再発防止
策を着実に実施、定着をさせ、今般の船舶安全法令違反で失った信用、信頼の回復にグループ全体で鋭意取り
組んで参ります。
記
1.本事案の発生原因
本事案は同社福山営業所が当社グループに編入をされた 2002 年 3 月より前から継続的に行われてきた
ものと考えられますが、当社グループに編入をされて以降も長きに亘り当社及び同社が同社福山営業所の
業務実態把握を怠り、船舶安全法令違反となる事態を看過して来たものであります。
本事案を受けて、斯かる事態を認識しながらも是正をすることが出来なかった整備士、福山営業所の実
態を把握できなかった同社福山営業所所長及び同社社長、並びに適切な子会社管理が出来なかった当社グ
ループの管理体制の各々に於ける問題点の究明を行い、本報告書に於ける指摘も含めて、本事案の発生原
因を整理すると以下のとおりであり、これらが相互に影響した結果と認識しております。
(1)救命設備整備業務に関する意識・認識の甘さ
(2)福山営業所の業務実態把握不足による営業所内管理の機能不全
(3)同社の救命設備整備業務における標準業務手続の欠如
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(4)福山営業所の救命設備整備従事者に比して過大な受注量
(5)親会社である当社による同社の実態把握・管理不足
2.再発防止策
(1)救命設備整備業務に関する意識の徹底
グループ全体で、救命設備整備業務が、人命及び船舶の安全確保を担う極めて重要な業務
であることを改めて確認徹底するとともに、本業務に従事するものに対して、その責任と自
覚を当社及び同社社長を通じて徹底させる。
① 当社取締役会に於いて救命設備整備業務が果たすべき責任を明確に認識する為、当社グル
ープの同業務への取組み基本方針として以下を決議する。
同社は、適正に管理された受注量のもと救命設備整備業務を行い、過度な効率性の追求
などで、救命設備整備業務の責任遂行を妨げるようなことは、当社グループとして排除し
なければならない。その為、同社で救命設備整備業務が適切に遂行されていることを当社
取締役会にて定期的に確認を行う。
② 日本船舶品質管理協会様のご協力を仰ぎ、救命設備整備業務が人命に関わる重要な業務で
あり、手続きを厳守してその責任を果たす事を再度徹底する為の研修を、同社在籍の整備
業務従事者全員に受講させる。
(2)福山営業所所内管理の強化
同社社長を当社役員が兼務することを止めて専任化するとともに福山営業所長には救命
設備整備業務に関する知識を持つ者を任命し、所長による整備士の業務実態把握を強化して
所内管理体制を見直すと同時に、整備案件受注や整備終了の確認など所長の責任権限を明確
化する。同時に整備場を俯瞰するビデオカメラを設置することで管理を強化する。
① 同社社長の専任化
今般の事態解消に目途をつけた上で、同社経営陣の見直しを実施し、同社社長には当社
役員兼務者ではなく専任者を配置した上で事業運営責任を明確にするとともに救命設備
整備業務に対する監督を強化する。
② 福山営業所長の要件の見直し
福山営業所長には救命設備整備業務に関する知識を持つ者を任命して、整備現場に於け
る整備士の業務実態把握・監督機能を強化する。同時に整備現場でのコミュニケーション
の活性化を通して、問題点の早期把握を図る。また、日本船舶品質管理協会様や救命設備
メーカー様のご協力を仰ぎながら所長の業務知識を計画的に向上させる。
③ 福山営業所長の権限、責任の明確化
所長には新たに見積書提出の承認権限を付与するとともに、船舶単位での整備終了を証
憑類の確認により実施させる。これにより、整備業務に対する所長としての監督機能を付
与すると同時に整備作業者の動態管理向上を図るとともに、所長と整備主任者・整備責任
者との意思疎通を強化する。
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④ 所内コミュニケーションの改善
当社グループの社内通報・相談制度を改めて周知させて、整備士からの問題提起を勧奨
するなどにより、ボトムアップによる所内コミュニケーションの活性化を図る。
⑤ 整備場へのビデオカメラの設置
整備場を俯瞰できるビデオカメラを設置することで、整備作業者の整備場における動態
管理を強化するとともに、整備内容や整備状況を確認する必要が生じた場合に対応出来る
仕組みを確保する。
(3)標準業務手続の策定
救命設備整備作業は、救命設備メーカー様から手交される整備規程・整備要領書に基づい
て行われるが、その作業が手順通りに実施されたかを『実施 → 確認・承認』のプロセス
を明確化し、この点を含めた標準業務手続を明文化することで整備規程・整備要領書から逸
脱した作業を感知、排除する仕組を構築する。
① 所長と整備主任者の責任の明確化と明文化
所長は整備業務プロセスに直接関わらず監督者として動態管理などを行い、整備作業の
『実施→確認・承認』は整備主任者以下の整備作業員で完結をさせる。この手続きの明確
化により整備主任者・整備責任者が付託されている責任を確実に遂行させる。
② 所長による受注管理権限の明文化
(2)で掲げた福山営業所所内管理強化策として定める所長による見積回答承認権限並び
に船舶単位での整備終了確認を本標準業務手続きに明文化する。
③ 主要な整備工程での写真撮影手続きの制定と明文化
整備規程・整備要領書に則った整備が確行されている証憑として主要な整備工程で写真
撮影をすることとし、この手続きを本標準業務手続きに明文化する。
④ 整備士育成教育
整備主任者・整備責任者は、従来からの OJT、口頭伝承による教育ではなく、標準業務
手続に則して業務を習得させ、日本船舶品質管理協会様主催の研修受講などと併せて、正
しい整備業務知識習得が図れる様に整備士教育を実施する。
(4)福山営業所の受注量の適正化
所長に見積回答の承認権限を付与することで、整備スケジュール、納期などを勘案の上で、
救命設備の整備が万全に実施されるかを検証・検討する仕組を構築するとともに、勤怠管理
の徹底により整備作業従事者の労働環境に留意をし、忙しさの中で作業効率が優先される様
な事態を回避する。
① 受注管理責任の明確化と明文化
顧客からの見積呈示依頼に際して、見積回答は所長承認を必須の条件とし、今般定める
標準業務手続に明文化する。救命設備メーカー様の協力をも仰ぎつつ、同業他社への委託
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を条件として回答することも含めて、適正な受注量での運営を所長の責任に於いて行う。
② 勤怠管理の徹底
既に当社グループにて導入済の就労管理システムを通じて整備作業従事者の勤怠状況を
所長がチェックすることで、受注量が適正かを随時検証する。
(5)当社による子会社管理の強化
(2)の福山営業所所内管理の強化でも述べた通り、同社社長として専任者を登用することで、
同社事業運営責任の明確化を図るとともに当社によるチェック、臨店調査により再発防止策の
実効性を確認する。
① 当社取締役会への報告強化
同社社長には当社役員による兼務を止めて専任者を登用することで同社事業運営責任
の明確化を図るとともに、同社取締役会では、損益状況に留まらず営業所運営の実態を確
認し、重要事項については当社取締役会へ報告を行う。又、新たに制定される標準業務手
続きが遵守をされているかについて、当社管理系部署によるサンプルチェックを行い、手
続きが確行されているかを検証し、当社取締役会に定期的に報告を行う。
② 監査往査、臨店調査
業務フローを新たに制定することへの影響を調査把握する目的で、当社総務部が整備作
業実施者の勤怠状況をモニタリングする。加えて、当社監査部による往査や当社管理系部
署による臨店を実施し、整備作業実施者へのヒアリング等を通じて再発防止策の実効性を
検証するとともに標準業務手続の妥当性を検証して実効性の向上を図る。
③ ISO 9001 の取得
2020 年度を目処に当社商事本部が ISO 9001 の取得を目指す計画に合せて、当該本部所
管の子会社として同時取得を目指して準備を進め、取得後は ISO 9001 に則した内部監査
を商事本部により実施する。尚、ISO 9001 の取得までの期間については、今般の様な事
態を二度と起こさない為にも、外部監査を活用して福山営業所の業務が適切に行われてい
るかを検証していくこととする。
今回の事案に関しまして、船主様並びに船舶航行に関わる関係者様、株主・投資家の皆様を始めと
する関係各位に多大なるご迷惑、ご心配をお掛けしておりますことを重ねて深くお詫び申し上げます
と共に、今般策定を致しました再発防止策の徹底により、関係各位の信用、信頼回復に努めて参りま
す。
尚、2018 年 12 月 19 日に要約版を公表を致しております第三者委員会調査報告書に基づく過年度
業績への影響はございません。
以 上
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