6740 JDI 2020-04-13 18:10:00
不適切会計に係る第三者委員会による調査結果及び過年度決算修正について [pdf]
不適切会計に係る
第三者委員会による調査結果
及び過年度決算修正について
2020年4月13日
お詫び
この度は、当社におきまして不適切行為が判明し、これに伴い第3四半期報
告書提出の遅延、さらには過年度決算の訂正等を行うこととなり、株主の皆様
をはじめとするステークホルダーの方々に、多大なご心配、ご迷惑をおかけしまし
たことを深くお詫び申しあげます。
今後、再発防止策を着実に実行に移して倫理ある事業活動を推進し、信頼
回復に努めてまいります。
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 2
不適切会計調査に関するこれまでの経緯
2019年11年26日 元従業員より、当社過年度決算について不適切な会計処理を行っていた旨の通知を
受領
2019年12年 2日 外部の専門家を含む特別調査委員会(注1)を設置
2019年12月24日 当社から独立した中立・公正な社外委員のみで構成される
第三者委員会(注2) による調査の枠組みへ移行することを決議(同月26日に移行)
2020年 2月14日 2020年3月期 第3四半期決算発表の延期を決定
2020年 4月13日 第三者委員会による調査報告書受領
(注1) 特別調査委員会の構成
委員長 藤津 康彦 (森・濱田松本法律事務所 弁護士)
委員 荒張 健 (EY フォレンジック・アンド・インテグリティ合同会社 公認会計士)
委員 岡田 拓也 (当社執行役員 法務・コンプライアンス担当 弁護士)
(注2) 第三者委員会の構成
委員長 国谷 史朗 (弁護士法人大江橋法律事務所 弁護士)
委員 荒張 健 (EY フォレンジック・アンド・インテグリティ合同会社 公認会計士)
委員 関口 智弘 (弁護士法人大江橋法律事務所 弁護士)
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 3
調査委員会の指摘(過年度決算修正)事項①
1. 100億円規模の架空在庫の計上
2014年3月期第4四半期において、仕掛品30億円の過大計上がなされ、その後、2015年3月期第1四半期に取崩され
ました。また、2016年3月期から2017年3月期にかけて仕掛品100億円の架空計上がなされ、その後、2018年3月期第
1四半期から2019年3月期第2四半期にかけて段階的に取り崩される不適切会計処理が確認されました。
2. 滞留、過剰在庫について実態と異なる販売見込み等を使用し計上回避
滞留在庫・過剰在庫について、2014年3月期第4四半期、2015年3月期第1四半期、2015年3月期第3四半期から
2017年3月期第1四半期及び2018年3月期第1四半期において、実態と異なる販売見込み等のデータを使用して評価
減を回避する不適切会計処理が確認されました。
3. 本来費用計上すべき消耗品を貯蔵品に振り替える事による利益操作
2014年3月期第4四半期から2020年3月期第2四半期にかけて、固定費削減を求められた一部の工場拠点において、
本来費用処理すべきものの一部を貯蔵品として計上する不適切会計処理が確認されました。
4. 本来計上すべき費用や損失の先送りや資産化する事による利益操作
2014年3月期第4四半期及び2015年3月期第4四半期において本来費用を計上するべき時期を意図的に操作して先
送りし、また、2014年3月期第3四半期及び2016年3月期第3四半期において、本来費用として計上すべきものを資産と
して計上する不適切会計処理が確認されました。
5. 海外販売代理店への買戻し条件付での販売による売上計上
2017年3月期第4四半期及び2018年3月期第1四半期において、海外販売代理店に買戻条件が付されていたこと等に
もかかわらず売上計上していた不適切会計処理が確認されました。 また、2016年3月期第4四半期における国内の販売代
理店に対する販売に基づく売上計上も、当該販売時点での収益認識を満たさず、不適切会計処理であることが確認されました。
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 4
調査委員会の指摘(過年度決算修正)事項②
6. 製品保証に関する費用の先送り
2017年3月期第4四半期及び2018年3月期第3四半期において、製品保証費用を計上するべき時期を意図的に操作
するなどして先送りしていたことなど不適切会計処理が確認されました。
7. 海外受託製造会社及び海外製造子会社における損失の引当金未計上及び先送り
2014年3月期第4四半期、2016年3月期第3四半期、2016年3月期第4四半期及び2017年3月期第3四半期
において、海外受託製造会社及び海外製造子会社との関係で親会社の損失として計上すべき引当金を計上しなかった不適
切会計処理が確認されました。
8. 固定資産の減損損失の回避
2017年3月期第3四半期において、再稼働見込みのない遊休資産について、本来は減損損失を計上すべきにもかかわらず
減損損失の計上を回避した不適切会計処理が確認されました。
9. 本来費用処理すべきものを固定資産の取得価額に算入する事による利益確保
2016年3月期第4四半期から2020年3月期第2四半期にかけて、本来、費用処理するべきものが固定資産の取得価額
に算入された不適切会計処理が確認されました。
10.関係会社に対して四半期毎に支出した研究開発費用を出資に振り替える事で損失回避
2016年3月期第3四半期において、委託契約から出資契約への変更の交渉中、未だ契約変更の蓋然性が客観的に認めら
れない時点において、契約変更を根拠に費用計上を回避した不適切会計処理が確認されました。
11.営業費用を営業外費用への振替えによる営業利益の過大計上
2013年11月において、本来、営業費用に計上する費用を意図的に営業外費用に振替える不適切会計処理を確認しました。
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 5
調査委員会報告書に基づく原因分析
調査委員会により認定された不適切会計処理の多くは、不適切会計処理の通知を行った元従業
員が主導したものでありますが、その直接的な要因は、当該元従業員に経理部門の権限が集中し、
上位者や経理部門内部での牽制が十分に機能しなかったことや、業績達成に向けた上位者からの
プレッシャーが存在していたことにあると考えております。また、間接的な要因としては、当社の長年の
業績不振、営業利益を最重視する社風、取締役会による監視監督機能や内部統制システム機
能の不十分性等も背景にあると考えております。
原因分析
1.直接的要因
(1)権限の集中
(2)上位者及び経理部門内部での牽制が不十分
(3)業績達成に向けた上位者からのプレッシャー
2.間接的要因
(1)当社の長年の業績不振
(2)営業利益を最重視する社風
(3)取締役会による監視監督機能や内部統制システム機能が不十分
(4)社内の会計処理・運用に問題
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 6
再発防止策の骨子
調査委員会からの提言を踏まえ、今後経営体制、ガバナンス体制、再発防止策等を着実に実
施していくために「ガバナンス向上委員会(仮)」を設置いたします。この委員会を中心に上記不
備を是正し、再発防止策を講じ、適切な内部統制を整備・運用してまいります。
再発防止策の骨子
1.ガバナンス改革
(1)取締役会による監視監督機能の強化
(2)監査役監査の方法の見直し
(3)経営陣の意識改革
(4)企業風土の改善、コンプライアンス意識の改革、経営トップからの継続的なメッセージの発信
2.会計処理、経理部門の改善
(1)経理部門の人員の質量両面の強化、および人材の育成を含めた適切なローテーション
(2)会計処理に係る社内ルールの明確化と運用の徹底
(3)会計処理に対する統制活動の強化と運用
3.内部統制機能強化
(1)内部通報制度の強化
通報窓口の見直しと再周知、制度・匿名性の厳格な担保について周知徹底
(2)内部監査の対象と方法の見直し
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 7
指摘事項の適正化に向けての対応(一例)
内部統制上の不備の特定(全指摘事項について実施)
指摘事項 事象分析 内部統制のエリア・プロセス照合 対象プロセス・統制プロセス特定
不備・不足の洗い出し
今後の対応検討
『100億円規 ●システムデータ取込後の処理 決算・財務報告に係る全社的な内部統制
模の架空在 ●決算処理、承認プロセス
庫計上』
1. 1. 1.
指 仕掛品の過大評価 各拠点仕掛金額の合計から一本の仕 ・ルール見直しと例外処理の履歴管理
摘 計上 訳に落とし込むまでの修正発生時に必 ・金額の妥当性と十分な証跡・ダブルチェック化
事 要な統制が不足 ・在庫SAPデータと決算使用データとの突合
2.
項 システムデータをエク 2. 2.
セルにダウンロードし 全社的な内部統制 ・取締役会の監督監視の視点変更と強化
① て加工、決算データ 取締役会の監督監視不足 ・内部通報体制の見直し
として使用 内部通報制度活用不十分
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 8
過年度決算修正の概要(主要指摘項目別)
■当期純利益訂正額
(単位:億円) 過年度 累計
FY19-
FY13 FY14 FY15 FY16 FY17 FY18
1H
(A) (B) (A+B)
●棚卸資産の過大計上
■ 架空在庫の計上
棚卸資産の過大計上 ▲35 +9 ▲49 ▲27 +71 +30 0 0 0
過剰在庫に対する評価減未計上
●固定資産の過大計上
■ 固定資産の過大計上 0 0 ▲1 ▲40 +31 ▲6 ▲16 +2 ▲14
遊休資産の減損額過少、等
●費用未計上
■
費用計上時期の誤
▲24 +18 ▲9 +1 +13 +0 ▲2 +1 ▲1
り製品保証費用計上の先送り、等
●その他
■ その他(監査差異、税金等) +7 ▲0 ▲43 +27 ▲39 +4 ▲44 +42 ▲2
監査差異、税金等の付随的修正
影響額 計 ▲52 +27 ▲102 ▲38 +76 +28 ▲62 +45 ▲16
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 9
過年度決算修正の概要(営業損益・当期純損益・純資産)
(億円)
営 276 222
51 56
167 109 185 107 修正前
業 修正後
損
益 ▲310 ▲272
▲617 ▲551
当 343 291 修正前
期 修正後
純 ▲115 ▲88 ▲314 ▲416 ▲308 ▲347
損 ▲1,091 ▲1,063
益
▲2,472 ▲2,397
4,051 修正前
純 4,000 4,026 4,002 3,652 3,525
3,271 3,105
資 修正後
産
820 730
70 9
FY13 FY14 FY15 FY16 FY17 FY18
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 10
過年度決算修正の概要(訂正差異)
(単位:億円) FY13 FY14 FY15 FY16 FY17 FY18 FY19-1H
売上高 6,146 7,693 9,891 8,844 7,175 6,367 2,378
訂正前 営業利益 276 51 167 185 -617 -310 -356
当期純利益 343 -115 -314 -308 -2,472 -1,091 -1,084
資産合計 7,590 8,316 8,139 9,156 6,147 5,454 4,766
純資産合計 4,051 4,026 3,652 3,271 820 70 -1,016
FY13 FY14 FY15 FY16 FY17 FY18 FY19-1H
売上高 6,146 7,693 9,890 8,830 7,190 6,367 2,378
訂正後 営業利益 222 56 109 107 -551 -272 -352
当期純利益 291 -88 -416 -347 -2,397 -1,063 -1,038
資産合計 7,554 8,296 8,018 9,000 6,050 5,385 4,743
純資産合計 4,000 4,002 3,525 3,105 730 9 -1,033
FY13 FY14 FY15 FY16 FY17 FY18 過年度累計 FY19-1H 累計
売上高 - - -1 -14 +15 - -
差異 営業利益 -55 +5 -58 -78 +67 +38 -82 +5 -77
当期純利益 -52 +27 -102 -38 +76 +28 -62 +45 -16
資産合計 -35 -20 -121 -156 -97 -69 -69 -24 -24
純資産合計 -52 -25 -127 -166 -90 -62 -62 -16 -16
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 11
Copyright © 2020 Japan Display Inc. All Rights Reserved. 12