6740 JDI 2020-07-28 16:00:00
東京証券取引所への「改善報告書」の提出についてのお知らせ [pdf]

                                                2020 年7月 28 日
各    位
                             会 社 名 株式会社ジャパンディスプレイ
                             代表者名 代表取締役社長兼 CEO 菊 岡 稔
                                    (コード番号:6740 東証一部)
                             問合せ先 執行役員 CFO        大河内聡人
                                        (TEL. 03-6732-8100)



           東京証券取引所への「改善報告書」の提出についてのお知らせ


    当社は、過年度の決算短信等を訂正した件につきまして、2020 年7月 10 日付で、株式会社東京証
券取引所より、有価証券上場規程第 502 条第1項第1号に基づき、その経緯及び改善措置を記載した
「改善報告書」の提出を求められておりましたが、本日、別添のとおり提出いたしましたのでお知ら
せいたします。


別添書類:改善報告書


                                                       以   上
                    改善報告書
                                    2020 年 7 月 28 日
株式会社東京証券取引所
 代表取締役社長 宮原 幸一郎 殿
                          株式会社ジャパンディスプレイ
                            代表取締役社長兼 CEO 菊岡 稔


 この度の、過年度決算短信および四半期決算短信、ならびに有価証券報告書および四半
期報告書の訂正の件について、有価証券上場規程第502条第3項の規定に基づき、その経緯
および改善措置を記載した改善報告書をここに提出いたします。




                      i
                                                             目次
1.      経緯 .......................................................................................................................... 1
 (1)          過年度決算訂正の内容...................................................................................... 1
        訂正した過年度決算短信等 ..................................................................................... 1
     (ア) 訂正した有価証券報告書等 ................................................................................... 1
     (イ) 訂正した決算短信等 .............................................................................................. 2
        過年度決算短信等の訂正による業績への影響 ........................................................ 2
     (ア) 各期および各四半期における連結損益計算書の項目に応じた連結影響額ならび
          に総資産および純資産に与える連結影響額 ......................................................... 2
     (イ) 訂正の原因となる事実ごとの勘定科目に区分した連結影響額 ............................ 8
 (2)          発覚した経緯 .................................................................................................... 9
        当社元従業員からの通知 ......................................................................................... 9
        特別調査委員会の設置 ............................................................................................. 9
     (ア) 設置の経緯............................................................................................................. 9
     (イ) 特別調査委員会の構成 .......................................................................................... 9
     (ウ) 調査の範囲............................................................................................................. 9
        第三者委員会への移行 ........................................................................................... 10
     (ア) 移行の経緯........................................................................................................... 10
     (イ) 第三者委員会の構成 ............................................................................................ 10
     (ウ) 調査の範囲........................................................................................................... 10
 (3)          不適切な会計処理の概要 ................................................................................. 11
        訂正の対象となった取引、不適切な会計処理の内容 ............................................ 11
     (ア) 100 億円規模の架空在庫の計上 ........................................................................... 11
     (イ) 滞留、過剰在庫について実態と異なる販売見込み等を使用し計上回避 ............. 11
     (ウ) 本来費用計上すべき消耗品を貯蔵品に振り替えることによる利益操作 ............. 11
     (エ) 本来計上すべき費用や損失の先送りや資産化することによる利益操作 ............. 11
     (オ) 海外販売代理店への買戻し条件付での販売による売上計上 .............................. 12
     (カ) 製品保証に関する費用の先送り .......................................................................... 12
     (キ) 海外受託製造会社および海外製造子会社における損失の引当金未計上および先
          送り ..................................................................................................................... 12
     (ク) 固定資産の減損損失の回避 ................................................................................. 12
     (ケ) 本来費用処理すべきものを固定資産の取得価額に算入することによる利益確保
              ......................................................................................................................... 12
     (コ) 関係会社に対して四半期毎に支出した研究開発費用を出資に振り替えることで
          損失回避 .............................................................................................................. 13
     (サ) 営業費用を営業外費用への振替えによる営業利益の過大計上 .......................... 13


                                                                ii
     (シ) その他 .................................................................................................................. 13
        不適切な会計処理の原因となった行為への関係者の関与状況 ............................. 15
        不適切開示の原因となった行為に係る認識、目的、動機等 ................................ 16
2.      改善措置................................................................................................................. 17
 (1)          不適切開示の発生原因の分析 ......................................................................... 17
        会計処理および情報開示の透明性に対する認識が不十分であったこと .............. 17
        ガバナンス体制が不十分であったこと ................................................................. 17
     (ア) コーポレートガバナンス・コードで求められる取締役会の役割・責務を十分に果
          せていなかったこと ............................................................................................ 17
     (イ) 大株主の不透明な形での影響により自律的な意思決定が阻害されていたこと . 18
        内部統制システムが不十分であった ..................................................................... 18
     (ア) 経理統制が有効に機能していなかったこと ....................................................... 18
     (イ) 監査役監査が奏功しなかったこと ...................................................................... 20
     (ウ) 内部監査が本社機能に及んでいなかったこと .................................................... 20
     (エ) 内部通報制度が十分機能していなかったこと .................................................... 21
 (2)          再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む。 ............................... 21
                                      )
        ガバナンス向上委員会の開催 ................................................................................ 21
        会計処理と情報開示に対する意識の変革(「2(1)ア」に対する措置) ......... 22
        ガバナンスが不十分であったことに対する改善措置 ........................................... 23
     (ア) 指名委員会等設置会社への移行(「2(1)イ(ア)」に対する措置) ............ 23
     (イ) 大株主との関係の透明性の確立・維持(
                          「2(1)イ(イ)」に対する措置) . 24
        内部統制システムが不十分であったことに対する改善措置 ................................ 25
     (ア) 経理統制の改善(        」に対する措置) ..................................... 25
                 「2(1)ウ(ア)
     (イ) 監査委員会による監査(
                   「2(1)ウ(イ)」に対する措置) .......................... 28
     (ウ) 内部監査体制の強化(        」に対する措置) .............................. 29
                   「2(1)ウ(ウ)
     (エ) 内部通報制度の改善(        」に対する措置) .............................. 29
                   「2(1)ウ(エ)
 (3)          改善措置の実施スケジュール ......................................................................... 31
3.      不適切な情報開示等が投資家および証券市場に与えた影響についての認識 ....... 33




                                                             iii
1. 経緯
(1)       過年度決算訂正の内容


      訂正した過年度決算短信等


  (ア)     訂正した有価証券報告書等


      ①   有価証券報告書
            第 12 期(自 2013 年 4 月 1 日 至 2014 年 3 月 31 日)
            第 13 期(自 2014 年 4 月 1 日 至 2015 年 3 月 31 日)
            第 14 期(自 2015 年 4 月 1 日 至 2016 年 3 月 31 日)
            第 15 期(自 2016 年 4 月 1 日 至 2017 年 3 月 31 日)
            第 16 期(自 2017 年 4 月 1 日 至 2018 年 3 月 31 日)
            第 17 期(自 2018 年 4 月 1 日 至 2019 年 3 月 31 日)


      ②   四半期報告書
            第 13 期 第 1 四半期(自 2014 年 4 月 1 日 至 2014 年 6 月 30 日)
            第 13 期 第 2 四半期(自 2014 年 7 月 1 日 至 2014 年 9 月 30 日)
            第 13 期 第 3 四半期(自 2014 年 10 月 1 日 至 2014 年 12 月 31 日)
            第 14 期 第 1 四半期(自 2015 年 4 月 1 日 至 2015 年 6 月 30 日)
            第 14 期 第 2 四半期(自 2015 年 7 月 1 日 至 205 年 9 月 30 日)
            第 14 期 第 3 四半期(自 2015 年 10 月 1 日 至 2015 年 12 月 31 日)
            第 15 期 第 1 四半期(自 2016 年 4 月 1 日 至 2016 年 6 月 30 日)
            第 15 期 第 2 四半期(自 2016 年 7 月 1 日 至 2016 年 9 月 30 日)
            第 15 期 第 3 四半期(自 2016 年 10 月 1 日 至 2016 年 12 月 31 日)
            第 16 期 第 1 四半期(自 2017 年 4 月 1 日 至 2017 年 6 月 30 日)
            第 16 期 第 2 四半期(自 2017 年 7 月 1 日 至 2017 年 9 月 30 日)
            第 16 期 第 3 四半期(自 2017 年 10 月 1 日 至 2017 年 12 月 31 日)
            第 17 期 第 1 四半期(自 2018 年 4 月 1 日 至 2018 年 6 月 30 日)
            第 17 期 第 2 四半期(自 2018 年 7 月 1 日 至 2018 年 9 月 30 日)
            第 17 期 第 3 四半期(自 2018 年 10 月 1 日 至 2018 年 12 月 31 日)
            第 18 期 第 1 四半期(自 2019 年 4 月 1 日 至 2019 年 6 月 30 日)
            第 18 期 第 2 四半期(自 2019 年 7 月 1 日 至 2019 年 9 月 30 日)




                              1
     (イ)    訂正した決算短信等


       ①     決算短信
              2015 年 3 月期 決算短信[日本基準](連結)
              2016 年 3 月期 決算短信[日本基準](連結)
              2017 年 3 月期 決算短信[日本基準](連結)
              2018 年 3 月期 決算短信[日本基準](連結)
              2019 年 3 月期 決算短信[日本基準](連結)


       ②    四半期決算短信
              2018 年 3 月期第 1 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)
              2018 年 3 月期第 2 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)
              2018 年 3 月期第 3 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)
              2019 年 3 月期第 1 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)
              2019 年 3 月期第 2 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)
              2019 年 3 月期第 3 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)
              2020 年 3 月期第 1 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)
              2020 年 3 月期第 2 四半期 決算短信[日本基準]
                                          (連結)


       過年度決算短信等の訂正による業績への影響


     (ア)    各期および各四半期における連結損益計算書の項目に応じた連結影響額な
            らびに総資産および純資産に与える連結影響額


       ①     通期
                                                    (単位:百万円)
                          訂正前            訂正後         影響額        影響率
    期間              項目
                          (A)            (B)        (B-A)       (%)
                売上高            614,567    614,567           -         -
                営業利益            27,624     22,150     △5,474    △19.8%
   第 12 期
                経常利益            19,072     14,108     △4,963    △26.0%
(2014 年 3 月期)
                当期純利益           33,918     28,726     △5,191    △15.3%
    通期
                総資産            758,975    755,447     △3,527    △0.5%
                純資産            405,144    399,953     △5,191    △1.3%




                           2
    期間            項目    訂正前           訂正後          影響額        影響率
                        (A)           (B)         (B-A)       (%)
                売上高         769,304    769,304            -         -
                営業利益          5,147      5,640        493       9.6%
   第 13 期
                経常利益          1,864      3,131       1,267     68.0%
(2015 年 3 月期)
                当期純利益   △12,270        △9,544        2,726          -
    通期
                総資産         831,622    829,579      △2,042    △0.2%
                純資産         402,626    400,153      △2,472    △0.6%
                売上高         989,115    989,005       △109     △0.0%
                営業利益         16,710     10,921      △5,788    △34.6%
   第 14 期
                経常利益    △12,934       △18,254       △5,320          -
(2016 年 3 月期)
                当期純利益   △31,840       △42,078      △10,237          -
    通期
                総資産         813,861    801,779     △12,082    △1.5%
                純資産         365,249    352,534     △12,715    △3.5%
                売上高         884,440    883,045      △1,394    △0.2%
                営業利益         18,502     10,677      △7,824    △42.3%
   第 15 期
                経常利益        △8,871    △15,287       △6,416          -
(2017 年 3 月期)
                当期純利益   △31,664       △35,503       △3,839          -
    通期
                総資産         915,631    900,006     △15,624    △1.7%
                純資産         327,085    310,502     △16,582    △5.1%
                売上高         717,522    718,991       1,468      0.2%
                営業利益    △61,749       △55,081        6,667          -
   第 16 期
                経常利益    △93,658       △85,880        7,777          -
(2018 年 3 月期)
                当期純利益   △247,231      △239,656       7,575          -
    通期
                総資産         614,692    604,971      △9,721    △1.6%
                純資産          82,046     73,039      △9,007    △11.0%
                売上高         636,661    636,661            -         -
                営業利益    △30,989       △27,230        3,758          -
   第 17 期
                経常利益    △44,153       △40,367        3,786          -
(2019 年 3 月期)
                当期純利益   △109,433      △106,585       2,847          -
    通期
                総資産         545,376    538,502      △6,874    △1.3%
                純資産           7,023         862     △6,160    △87.7%
(注)当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」のことを指します。




                        3
       ②    四半期
                                                   (単位:百万円)
                         訂正前           訂正後          影響額        影響率
    期間            項目
                         (A)           (B)         (B-A)       (%)
                売上高          125,163    125,163            -         -
                営業利益     △12,696        △9,502        3,193          -
   第 13 期
                経常利益     △16,916       △12,766        4,149          -
(2015 年 3 月期)
                四半期純利益   △16,834       △12,798        4,035          -
  第 1 四半期
                総資産          730,953    729,797      △1,156     △0.2%
                純資産          386,491    385,335      △1,156     △0.3%
                売上高          285,574    285,574            -         -
                営業利益     △20,271       △17,010        3,261          -
   第 13 期
                経常利益     △22,477       △18,270        4,206          -
(2015 年 3 月期)
                四半期純利益   △27,791       △23,093        4,697          -
  第 2 四半期
                総資産          775,161    774,442       △719      △0.1%
                純資産          380,746    380,250       △495      △0.1%
                売上高          536,715    536,715            -         -
                営業利益         △5,560     △4,144        1,415          -
   第 13 期
                経常利益         △4,157     △1,801        2,355          -
(2015 年 3 月期)
                四半期純利益       △8,629     △5,935        2,694          -
  第 3 四半期
                総資産          858,131    855,594      △2,536     △0.3%
                純資産          405,951    403,451      △2,500     △0.6%
                売上高          246,129    246,129            -         -
                営業利益           2,244      3,305       1,060     47.2%
   第 14 期
                経常利益           △110          934      1,044          -
(2016 年 3 月期)
                四半期純利益         △461          466       928           -
  第 1 四半期
                総資産          843,788    842,999       △789      △0.1%
                純資産          403,994    402,443      △1,551     △0.4%
                売上高          507,865    507,865            -         -
                営業利益          10,584     10,625           41     0.4%
   第 14 期
                経常利益           1,665      2,153        487      29.2%
(2016 年 3 月期)
                四半期純利益         △323          107       430           -
  第 2 四半期
                総資産          902,650    900,703      △1,947     △0.2%
                純資産          401,492    399,588      △1,904     △0.5%




                         4
    期間            項目     訂正前           訂正後         影響額        影響率
                         (A)           (B)        (B-A)       (%)
                売上高          812,840    812,840           -         -
                営業利益          23,908     16,150     △7,758    △32.4%
   第 14 期
                経常利益           9,886      2,563     △7,323    △74.1%
(2016 年 3 月期)
                四半期純利益         4,411    △2,192      △6,604          -
  第 3 四半期
                総資産          951,217    941,267     △9,950     △1.0%
                純資産          404,947    395,863     △9,084     △2.2%
                売上高          174,342    174,451       108       0.1%
                営業利益         △3,411     △8,174      △4,763          -
   第 15 期
                経常利益     △14,225       △20,127      △5,901          -
(2017 年 3 月期)
                四半期純利益    △11,772      △15,796      △4,024          -
  第 1 四半期
                総資産          883,300    868,409    △14,890     △1.7%
                純資産          348,886    332,231    △16,654     △4.8%
                売上高          370,983    371,091       108       0.0%
                営業利益         △2,176     △6,258      △4,082          -
   第 15 期
                経常利益     △20,557       △23,404      △2,847          -
(2017 年 3 月期)
                四半期純利益   △16,701       △18,489      △1,788          -
  第 2 四半期
                総資産          909,696    895,226    △14,469     △1.6%
                純資産          343,586    329,158    △14,427     △4.2%
                売上高          644,191    644,300       108       0.0%
                営業利益          10,475      5,847     △4,628    △44.2%
   第 15 期
                経常利益         △9,050    △12,457      △3,406          -
(2017 年 3 月期)
                四半期純利益       △9,402    △13,167      △3,764          -
  第 3 四半期
                総資産          985,331    968,791    △16,540     △1.7%
                純資産          354,247    337,750    △16,496     △4.7%
                売上高          188,588    188,549       △38      △0.0%
                営業利益     △14,442       △14,071        370           -
   第 16 期
                経常利益     △20,613       △19,994        619           -
(2018 年 3 月期)
                四半期純利益   △31,456       △30,247       1,209          -
  第 1 四半期
                総資産          896,010    882,114    △13,895     △1.6%
                純資産          296,789    281,416    △15,372     △5.2%




                         5
    期間            項目     訂正前           訂正後         影響額        影響率
                         (A)           (B)        (B-A)       (%)
                売上高          373,856    375,325      1,468      0.4%
                営業利益     △26,806       △25,367       1,439          -
   第 16 期
                経常利益     △40,178       △37,914       2,264          -
(2018 年 3 月期)
                四半期純利益   △68,033       △63,597       4,436          -
  第 2 四半期
                総資産          841,063    828,873    △12,189     △1.4%
                純資産          262,247    250,101    △12,145     △4.6%
                売上高          565,588    567,057      1,468      0.3%
                営業利益     △38,897       △37,827       1,070          -
   第 16 期
                経常利益     △58,536       △56,421       2,115          -
(2018 年 3 月期)
                四半期純利益   △100,611      △95,759       4,852          -
  第 3 四半期
                総資産          763,193    752,092    △11,101     △1.5%
                純資産          229,856    218,126    △11,730     △5.1%
                売上高          103,281    103,281           -         -
                営業利益         △9,806     △8,422       1,384          -
   第 17 期
                経常利益     △12,713        △11,415      1,297          -
(2019 年 3 月期)
                四半期純利益       △1,771       △474       1,297          -
  第 1 四半期
                総資産          586,232    577,808     △8,423     △1.4%
                純資産          114,190    106,481     △7,709     △6.8%
                売上高          214,273    214,273           -         -
                営業利益     △14,475        △11,760      2,714          -
   第 17 期
                経常利益     △19,029       △16,541       2,487          -
(2019 年 3 月期)
                四半期純利益       △9,523     △7,035       2,487          -
  第 2 四半期
                総資産          648,367    641,133     △7,233     △1.1%
                純資産          106,841    100,322     △6,519     △6.1%
                売上高          465,331    465,331           -         -
                営業利益     △10,626        △7,423       3,203          -
   第 17 期
                経常利益     △19,727       △16,796       2,931          -
(2019 年 3 月期)
                四半期純利益   △10,861        △9,814       1,047          -
  第 3 四半期
                総資産          679,954    671,280     △8,674     △1.3%
                純資産          105,146     97,186     △7,960     △7.6%




                         6
    期間            項目     訂正前           訂正後         影響額        影響率
                         (A)           (B)        (B-A)       (%)
                売上高           90,421     90,421           -         -
                営業利益     △27,475       △27,073        402           -
   第 18 期
                経常利益     △31,617       △31,207        410           -
(2020 年 3 月期)
                四半期純利益   △83,274       △78,913       4,361          -
  第 1 四半期
                総資産          410,520    408,007     △2,512     △0.6%
                純資産      △77,237       △79,036      △1,798          -
                売上高          237,762    237,762           -         -
                営業利益     △35,620       △35,169        450           -
   第 18 期
                経常利益     △43,790       △43,330        460           -
(2020 年 3 月期)
                四半期純利益   △108,672      △104,159      4,512          -
  第 2 四半期
                総資産          476,624    474,263     △2,361     △0.5%
                純資産      △101,612      △103,259     △1,647          -
(注)四半期純利益は「親会社株主に帰属する四半期純利益」のことを指します。




                         7
          (イ)   訂正の原因となる事実ごとの勘定科目に区分した連結影響額


                過年度
                         構成比                       年度別の利益への訂正影響額の内訳
                 利益
(単位:百万          への訂
                          (%)     2013    2014     2015   2016    2017     2018   2019    2020
     円)         正累計
                影響額               3 月期    3 月期     3 月期   3 月期    3 月期     3 月期   3 月期    3 月期
棚卸資産の過大
                    0      0.0%           3,085 △3,085    4,481    5,532 △6,965 △3,048
計上(仕掛品)
棚卸資産の過大
                   60      0.5%               12    △13     13      △14       0    134     △72
計上(貯蔵品)
有形固定資産の
                  627      5.1%               74     63    162      319              9
過大計上
有形固定資産の
過大計上(誤            221      1.8%                0     53     70       69             29
謬)
有形固定資産の
減損損失(特別
                 2,315   19.0%                                     2,315
損失)の過少計
上
建設仮勘定の過
                 4,308   35.3%                              81     1,893    973   1,198    163
大計上
建設仮勘定の過
                 1,229   10.1%    1,039                     31              148     11
大計上(誤謬)
売上高の過大計
                 1,650   13.5%                             109     1,503     38
上
営業費用の過少
                  511      4.2%           2,847 △2,335     584      415 △1,000
計上
営業費用の過少
                 1,293   10.6%                             733        8     502     48       2
計上(誤謬)
営業外費用の過
                    0      0.0%           1,245 △1,245
少計上
合計              12,214   100.0%   1,039   6,018 △5,317    6,264   12,040 △6,304 △1,619      93




                                          8
(2)       発覚した経緯


      当社元従業員からの通知


 2019 年 11 月 26 日、着服行為を理由に当社が解雇し、刑事告訴した当社経理・経営
管理統括部長の元従業員(以下「元従業員」といいます。
                         )から、元従業員が当社在籍
時に、当時の経営陣の指示を受けて不適切な会計処理を行っていた旨の通知を受領し
ました。これを受けて、当社の会計監査人とも協議のうえ、当該通知の事実関係を解明
するため、外部の専門家の調査を求めることとしました。


      特別調査委員会の設置


  (ア)     設置の経緯


 当社は、元従業員の主張する過年度決算における不適切な会計処理に関する疑義(以
下「本件疑義」といいます。 について、
             )     透明性の高い調査を徹底かつ迅速に行うため、
2019 年 12 月 2 日、外部専門家を含む特別調査委員会を設置し、事実関係の調査を行
うことを取締役会において決議いたしました。


  (イ)     特別調査委員会の構成


 特別調査委員会の構成は以下のとおりです。
委員長 藤津 康彦(森・濱田松本法律事務所 弁護士)
委員        荒張 健 (EY フォレンジック・アンド・インテグリティ合同会社   公認
                  会計士)
委員        岡田 拓也(当社執行役員 法務・コンプライアンス担当 弁護士)


 特別調査委員会では、森・濱田松本法律事務所および EY 新日本有限責任監査法人を
調査の補助者として起用いたしました。


  (ウ)     調査の範囲
      ①   本件疑義に係る事実関係の調査
      ②   本件疑義に類似する事象の有無の調査
      ③   不適切な会計処理が判明した場合、その影響額の算定
      ④   不適切な会計処理が判明した場合、その原因の究明および再発防止策の提
          言


                         9
     ⑤   その他、特別調査委員会が必要と認めた事項


     第三者委員会への移行


  (ア)    移行の経緯


 当社は、特別調査委員会から、それまでの調査において、過年度に在庫を累計 100 億
円程度過大に資産計上し、その後当該過大在庫を全額取り崩していた疑義等、本件疑義
について具体的な疑義が存在することが判明した旨の指摘を受けました。当社は、こう
した状況に鑑み、より透明性の高い枠組みでの調査を行うことが調査に対するステー
クホルダーの皆様からの信頼性を高め、また、ひいては当社が当時進めていた資金調達
をより速やかに完了させることができうると判断いたしました。
 そこで、当社は、2019 年 12 月 24 日、特別調査委員会による調査の枠組みから、日
本弁護士連合会の定める「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠して、
当社から独立した中立・公正な社外委員のみで構成される第三者委員会による調査の
枠組みへ移行することを決定いたしました。


  (イ)    第三者委員会の構成


 第三者委員会の構成は以下のとおりです。
委員長 国谷 史朗 (弁護士法人大江橋法律事務所 弁護士)
委員       荒張 健    (EY フォレンジック・アンド・インテグリティ合同会社 公
                 認会計士)
委員       関口 智弘 (弁護士法人大江橋法律事務所 弁護士)


 第三者委員会では、弁護士法人大江橋法律事務所および EY 新日本有限責任監査法
人を調査の補助者として起用いたしました。


  (ウ)    調査の範囲
     ①   本件疑義に係る事実関係の調査
     ②   当社の事業開始時(2012 年 4 月)から 2019 年 9 月までの間における本件
         疑義に類似する事象の有無の調査
     ③   不適切な会計処理が判明した場合、その影響額の算定
     ④   不適切な会計処理が判明した場合、その原因の究明および再発防止策の提
         言
     ⑤   その他、第三者委員会が必要と認めた事項


                         10
(3)        不適切な会計処理の概要


 第三者委員会の調査の結果判明した不適切な会計処理の概要は以下の通りです。


       訂正の対象となった取引、不適切な会計処理の内容


     (ア)   100 億円規模の架空在庫の計上


 2014 年 3 月期第 4 四半期において、仕掛品 30 億円の過大計上がなされ、その後、
2015 年 3 月期第 1 四半期に取崩されました。
 また、2016 年 3 月期から 2017 年 3 月期にかけて仕掛品 100 億円の架空計上がなさ
れ、その後、2018 年 3 月期第 1 四半期から 2019 年 3 月期第 2 四半期にかけて段階的
に取り崩す不適切会計処理を行っていました。


     (イ)   滞留、過剰在庫について実態と異なる販売見込み等を使用し計上回避


 滞留在庫・過剰在庫について、2014 年 3 月期第 4 四半期、2015 年 3 月期第 1 四半
期、2015 年 3 月期第 3 四半期から 2017 年 3 月期第 1 四半期および 2018 年 3 月期第
1 四半期において、実態と異なる販売見込み等のデータを使用して評価減を回避(最大
約 43 億円/2016 年 3 月期第 3 四半期)する不適切会計処理を行っていました。
 なお、これらの不適切会計処理は、それぞれ翌四半期連結会計期間に洗替処理を通じ
て解消されました。


     (ウ)   本来費用計上すべき消耗品を貯蔵品に振り替えることによる利益操作


 2014 年 3 月期第 4 四半期から 2020 年 3 月期第 2 四半期にかけて、固定費削減を求
められた一部の工場拠点において、本来費用処理すべきものの一部を貯蔵品として計
上(最大約 1.5 億円/2020 年 3 月期第 1 四半期)する不適切会計処理を行っていまし
た。
 なお、これらの不適切会計処理は、それぞれ翌四半期連結会計期間に洗替処理を通じ
て解消されました。


     (エ)   本来計上すべき費用や損失の先送りや資産化することによる利益操作


 2014 年 3 月期第 4 四半期および 2015 年 3 月期第 4 四半期において本来費用として
計上すべき 1,715 百万円についてその時期を意図的に操作して先送りし、また、上場前


                          11
の 2014 年 3 月期第 3 四半期および 2016 年 3 月期第 3 四半期において、本来費用とし
て計上すべき 630 百万円(誤謬を除く)を資産として計上する不適切会計処理を行っ
ていました。


  (オ)   海外販売代理店への買戻し条件付での販売による売上計上


 2017 年 3 月期第 4 四半期および 2018 年 3 月期第 1 四半期において、海外販売代理
店に買戻条件が付されていたこと等にもかかわらず 1,541 百万円の売上を計上する不
適切会計処理を行っていました。また、2016 年 3 月期第 4 四半期において、国内の販
売代理店に対する販売に基づく 109 百万円の売上計上も、当該販売時点での収益認識
を満たさない不適切会計処理でした。


  (カ)   製品保証に関する費用の先送り


 2017 年 3 月期第 4 四半期および 2018 年 3 月期第 3 四半期において、本来、製品保
証費用を計上するべき時期を意図的に操作する等して先送りする等の不適切会計処理
を行っていました(2017 年 3 月期第 4 四半期につき 1,000 百万円、2018 年 3 月期第
3 四半期につき 672 百万円)。


  (キ)   海外受託製造会社および海外製造子会社における損失の引当金未計上およ
        び先送り


 2014 年 3 月期第 4 四半期、2016 年 3 月期第 3 四半期および 2017 年 3 月期第 3 四
半期において、親会社と海外受託製造会社との関係で親会社帰責の損失合計 2,533 百
万円について引当金を未計上とする不適切会計処理を行っていました。また、2016 年
3 月期第 4 四半期において、親会社と海外製造子会社との関係で親会社帰責の損失 584
百万円を仮払計上して費用の先送りをする不適切会計処理を行っていました。


  (ク)   固定資産の減損損失の回避


 2017 年 3 月期第 3 四半期において、再稼働見込みのない遊休資産について、減損損
失 2,315 百万円の計上を回避する不適切会計処理を行っていました。


  (ケ)   本来費用処理すべきものを固定資産の取得価額に算入することによる利益確保


 2016 年 3 月期第 4 四半期から 2020 年 3 月期第 2 四半期にかけて、本来、費用処理


                          12
するべきものを固定資産の取得価額に算入する不適切会計処理を行っていました。


      ①       IT 業務委託費
              2016 年 3 月期第 4 四半期から 2018 年 3 月期第 4 四半期にかけて合計 279
          百万円


      ②   石川工場 OLED パイロットラインの立上費用
              2017 年 3 月期第 3 四半期から 2018 年 3 月期第 1 四半期にかけて 877 百万
          円


      ③   茂原工場 J1 OLED ラインの立上費用
              2018 年 3 月期第 3 四半期から 2020 年 3 月期第 2 四半期にかけて 2,224 百
          万円


      ④   白山工場 D3 ラインの立上費用
              2017 年 3 月期第 3 四半期において 932 百万円


  (コ)     関係会社に対して四半期毎に支出した研究開発費用を出資に振り替えるこ
          とで損失回避


 2016 年 3 月期第 3 四半期において、委託契約から出資契約への変更の交渉中、未だ
契約変更の蓋然性が客観的に認められない時点において、契約変更を根拠に 16.25 億
円の費用計上を回避する不適切会計処理を行っていました。


  (サ)     営業費用を営業外費用への振替えによる営業利益の過大計上


 上場前の 2013 年 11 月において、本来、営業費用に計上する費用 512 百万円を意図
的に営業外費用に振替える不適切会計処理を行っていました。


  (シ)     その他


 以下の事項については第三者委員会の調査の結果、不正ではなく誤謬と認定されま
した。




                                13
    ①   治具の資産計上


 2014 年 3 月期第 3 四半期から 2019 年 3 月期第 3 四半期までに、治具(20 万円未
満)の計上が合計 223 百万円検出されましたが、かかる資産計上が意図的に行われた
か否かは明らかでないため、誤謬として認定されました。


    ②   社内規則に反した登録免許税および不動産取得税の固定資産取得価額算入


 2013 年 3 月期第 3 四半期および同第 4 四半期において、茂原工場 J1 第 6 世代ライ
ンの立上費用のうち、当社の固定資産管理規則において取得価額に含めないとされて
いる登録免許税および不動産取得税等の合計 1,039 百万円について固定資産の取得価
額に含めて計上しましたが、当時において当該規則の規定を認識しつつ意図的に異な
る会計処理を行った証拠は検出されておらず、誤謬として認定されました。
 また、白山工場 D3 ラインに関しても、2016 年 3 月期第 1 四半期および 2018 年 3
月期第 3 四半期において、登録免許税および不動産取得税の合計 178 百万円を、その
取得価額に含めて計上しましたが、これらの会計処理が意図的に行われたことまでは
明らかでないため、誤謬として認定されました。


    ③   IT 業務委託費の固定資産へ計上


 2018 年 3 月期第 3 四半期および 2019 年 3 月期第 1 四半期において、業務委託費用
として処理すべき費用のうち合計 13 百万円について、無形固定資産(ソフトウェア)
として固定資産の取得価額に含めて計上しましたが、かかる会計処理については意図
的に行われたことまでは明らかでないため、誤謬として認定されました。


    ④   本来製造費用とすべき減価償却費を営業外費用へ誤計上


 茂原工場 J1 ラインおよび V3 ラインについて、2016 年 3 月期第 4 四半期から 2020
年 3 月期第 1 四半期にかけて、実態と異なる稼働休止資産報告書が誤って作成されて
いたために、1,295 百万円の減価償却費が過大に営業外費用に振り替えられましたが、
意図的に誤った稼働休止資産報告書が作成されたことを示す証拠は検出されず誤謬と
して認定されました。


    ⑤   費用の建設仮勘定への計上


 2018 年 3 月期第 3 四半期および 2019 年 3 月期第 1 四半期において、「ユーザトレ


                        14
 ーニング」
     、データ「移行」「初期流動対応」「保守」ないし「運用」といった品目で
             、       、
 建設仮勘定に計上されているものが合計 13 百万円ありましたが、意図的にこれらの費
 用を資産計上したかどうかが不明であるため、誤謬として認定されました。


  上記の不適切会計処理(以下総称して「本件不適切会計処理」といいます。
                                   )の訂正
 に加えて、過去において判明していたものの重要性がないため訂正を行わなかった事
 項等についても、今回改めて訂正をしております。なお、上記のとおり、不適切会計処
 理の一部については当社株式の東京証券取引所市場第一部への新規上場(2014 年 3 月
 19 日)以前の 2014 年 3 月期第 3 四半期から行われていたところ、当社株式の東京証
 券取引所本則市場への新規上場申請において、その事実が明らかにされずに上場審査
 を受け、上場承認を得ていました。


       不適切な会計処理の原因となった行為への関係者の関与状況


       第三者委員会の調査では、以下の者の関与等が指摘されております。
関与者       当時の役職               関与内容
          (就任時期)
元従業員      経理・財務部シニア・          ア(ア)(イ)(エ)(キ)(ク)(ケ)
                                  、  、  、  、  、
          ゼネラル・マネージャ          ①③④、(サ)の全部または一部について、
          ー                   経理担当者への指示等を行い主導した。
          (2013 年 10 月 1 日~
          2017 年 9 月 30 日)
          経理統括部の統括部長
          (2017 年 10 月 1 日か
          ら 2018 年 12 月 28
          日)

元執行役員     執行役員 CFO            ア(ア)の事案の一部において、元従業員から
CFO       (2013 年 4 月 1 日~    経理担当者への指示が共有された。
          2015 年 6 月 30 日)    ア(エ)の事案の一部において、元従業員
                              から計上金額の減額について相談を受け、
                              また、費用の資産化について方針を示し
                              た。
                              また、ア(サ)の事案の一部において、減
                              価償却費の営業外費用への振替えについて
                              承認した。
元執行役員     執行役員 CFO            ア(エ)の事案の一部において、研究開発
CFO       (2015 年 7 月 1 日~    費用の資産計上を承認した。
          2017 年 6 月 30 日)    ア(ケ)①の事案において、元従業員らに
                              対して業務委託費用の資産化について依頼
                              した。




                              15
元執行役員    執行役員 CFO           ア(ア)の事案について、CFO 就任前か
CFO      (2017 年 7 月 1 日~   ら、経理担当者と話をする中で、在庫の架
         2019 年 5 月 15 日)   空計上の実施について話を聞いており、
                            CFO 就任後、不適切な会計処理を一切やめ
                            るべきとして、架空計上分を早く縮小しよ
                            うと提案した。
元常務執行役   常務執行役員             ア(ケ)②の事案において、その当時開発
員        (2016 年 7 月 1 日~   を担当していた次世代研究センター担当者
         2019 年 5 月 15 日)   に対して、OLED 開発費用の立上費用とし
                            ての資産化を指示した。
  このほか、 CEO による強いプレッシャーが本件不適切会計処理の動機の 1 つとな
       元
 っていると指摘され、また、複数の経理担当者、一部工場拠点の主任・課長等、中国子
 会社総経理、事業部長についても、一定の関与が指摘されております。
  当社は、下記2.(2)アの通り、2020 年 4 月 28 日にガバナンス向上委員会を設置
 し、本件不適切会計処理の原因および当社のガバナンス上の問題点を分析し、ガバナン
 ス上の問題点の改善策および本件不適切会計処理の再発防止策を検討、策定し、再発防
 止策の運用に対するモニタリングを行う予定ですが、その中で、第三者委員会の調査結
 果を踏まえつつ、関係者へのヒアリングを通じて、本件不適切会計処理の原因となった
 行為への関係者およびその関与状況について慎重に検証を行う予定です。


    不適切開示の原因となった行為に係る認識、目的、動機等


  第三者委員会により認定された不適切会計処理の多くは、不適切会計処理の通知を
 行った元従業員が主導したものでありますが、その動機の底流には当社の長年の業績
 不振、                       業績達成に向けた元 CEO
   大株主からの業績に対するプレッシャーを背景とした、
 ら経営陣からの強いプレッシャーが存在していたことがあり、元従業員は、少しでも利
 益を計上したいという経営陣の思いを忖度して、費用や損失の先送りや資産計上につ
 いて会計基準を曲解した解釈を行い、このことが本件不適切会計処理につながってい
 ったと考えており、また、元従業員に限らず、他の従業員においても会計処理の解釈で
 少しでも利益を計上したいという意識が少なからず存在していたと考えております。




                            16
2. 改善措置
(1)     不適切開示の発生原因の分析


      会計処理および情報開示の透明性に対する認識が不十分であったこと


 上場企業の会計処理および情報開示は投資家を始めとする利害関係者の判断に必要
な情報を正しく提供するものでなければなりませんが、当社ではそのような認識が社
内に十分浸透しておりませんでした。とりわけ元従業員およびその上長である CFO は、
本来適切な会計処理が行われるよう経理部門を指揮監督すべき立場にありながら、適
切な会計処理を行うという意識が低かったと言わざるを得ないと考えております。
 不適切であることを認識しつつ元従業員の指示に従って不適切な会計処理に関与し
た経理部員や、不適切であるとは認識していなかったものの疑問を感じつつ元従業員
の指示に従って不適切な会計処理に関与した経理部員も会計処理の透明性に対する認
識が十分でなかったと考えております。
 以上のように、会計処理および情報開示の透明性に対する認識が不十分であったこ
とが、業績達成に向けた元 CEO ら経営陣からの強いプレッシャーと相まって、経営陣
が社外に発表したまたはステークホルダーに約束した営業利益を達成することや社内
の経費削減目標を達成することを目的に不適切な会計を行っていた一因であると考え
ております。
 また、元従業員の主張する正確・真実ではない事実に基づく会計上の解釈について無
批判に受け入れていたことも、会計処理および情報開示の透明性に対する認識が不十
分であったことに起因していると考えております。


      ガバナンス体制が不十分であったこと


  (ア)   コーポレートガバナンス・コードで求められる取締役会の役割・責務を十分
に果せていなかったこと


 コーポレートガバナンス・コードは、取締役会の役割・責務として、①独立した客観
的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと、②適時かつ正確
な情報開示が行われるよう監督を行うとともに、内部統制やリスク管理体制を適切に
整備すべきこと、および、③経営陣・支配株主等の関連当事者と会社との間に生じ得る
利益相反を適切に管理すべきことを挙げていますが(原則 4-3)、当社では、下記(イ)
に記載のとおり、設立後一定期間、大株主が派遣した社外取締役の発言力が強かったこ
とおよび当社の取締役の過半数が実質的に当該大株主によって派遣・招聘された取締
役であったこと等から、①および③の役割・責務を十分に果せておりませんでした。


                     17
 また、取締役会において、内部統制やリスク管理体制の整備に関する議論は行われて
いたものの、財務施策や製造拠点の設立・廃止等、事業に直接関係する議案に比べると、
議案として審議した回数や時間が少なかったことは否めず、また、結果的に下記ウに記
載した内部統制システムが不十分であった状況が生じていたことに鑑みれば、②の役
割・責務についても必ずしも十分に果していたとは言い切れませんでした。
 上記のように取締役会に期待される役割・責務を十分に果せていなかったことも、長
期間にわたって不適切な会計処理が行われていたことを防止・発見することができな
かった一因であると考えております。


  (イ)   大株主の不透明な形での影響により自律的な意思決定が阻害されていたこと


 当社は、設立後一定期間、特定の大株主が当社の意思決定に対して不透明な方法で影
響を与えるガバナンス体制となっていたため、会社の自主的な意思決定が阻害され、そ
のことが上記(ア)に記載した原因を生じさせた要因の 1 つであったと考えておりま
す。具体的には、(i)当該大株主が直接派遣した取締役は 1 または 2 名であったものの、
その他の社外取締役も当該大株主が実質的に招聘しており、取締役の過半数は実質的
に当該大株主が派遣・招聘した取締役であった、(ii)当該大株主が設立時に派遣した取
締役は、実質的に当社の代表として取引先との交渉を自ら行う等、執行に深く関与して
いたにもかかわらず、執行役員には就任せず外形上は社外取締役にとどまり、業務執行
に対する責任を負っていなかった、(iii)人材開発委員会および財務委員会という任意の
機関が設置され、その決議方法が全会一致とされていたため、当該大株主から派遣され
た取締役(両委員会の委員を兼任)が反対すれば、重要な人事および財務事項について
取締役会に上程することができなかった、(iv)取締役会・経営会議等の重要会議体に当
該大株主の従業員がオブザーバーとして参加していた等です。


    内部統制システムが不十分であった


  (ア)   経理統制が有効に機能していなかったこと


   <システム化の不足>
 会計業務において手作業の工程が多く介在し、かつ、当該工程について担当者以外の
者によるチェックがなされていなかったため、手作業の工程において滞留・過剰在庫を
判定する際に先行 3 か月の需要予測の数値の改ざんや計算間違い等が行われ得る状況
となっておりました。




                     18
   <棚卸の方法>
 本来、工場での棚卸は、期末日に実地棚卸によって棚卸資産の実在性を確認すべきで
すが、受注の増加等を理由に、一部の工場は月末以外の日に抜き取り検査により一部の
棚卸資産を確認していました。そのため、貸借対照表に計上された月末時点での棚卸資
産明細と実地棚卸当日に確認した棚卸資産とを突合する調整が必要となり、確認作業
が煩雑となった結果、在庫に関してシステム上の数値を意図的に水増しする不適切な
処理が行われていることを発見することが困難となっておりました。


   <伝票取消しに際しての未検証>
 複数の不適切会計処理において一度計上した伝票を取り消す手法が用いられており
ましたが、これは伝票の取消しの理由等について担当者以外の者による検証がまった
くなされていなかったことが原因であると考えております。


   <ルールの不明確と不透明な運用>
 固定資産の立上費用において取得価額に含める費用の範囲が毎回異なり、その範囲
が拡大していった事案や、IT 開発費用の固定資産化の範囲が当社の損益にとって都合
がよくなるようルールの運用が変えられていた事案が発生したように、会計処理に係
る社内ルールが不明確であったことや社内ルールが不適切に運用されていたことも不
適切な会計処理の一因となっておりました。


   <上位者による監督の不十分>
 経理上の判断や解釈の過程において、経理業務の責任者であるチーフフィナンシャ
ルオフィサー(CFO)による専門的な視点での確認や承認を経ることがルールとして
明確に求められておりませんでした。また、長期間にわたって資金調達を行う必要があ
った当社では CFO の選定基準として財務面の経験・知見が特に重視されていたことも
あって、歴代の CFO の中には経理実務における経験や正しい会計処理についての知見
が不足していた者もあり、会計処理に関する元従業員の説明が正しいか否かを十分に
判断できないこともありました。そのことも、元従業員が恣意的な判断や誤った解釈を
行うことを許容する一因となっておりました。


   <経理部内の相互監督の不十分>
 当社が設立された際に本社機能の従業員については旧個社 3 社からの転籍者が少な
かったことや業績不振や不適切な会計処理に関与させられることへの不安・不満から
退職した従業員も少なからずいたこと等から、経理部の人員は恒常的に不足していま
した。また、元従業員の会計経理実務に関する知識・経験・スキルは社内でも随一であ
ったため、経理実務に関して元従業員に意見できる経理部員はいませんでした。これら


                    19
の事情に規範意識の高い本社経理担当者が不適切な会計処理に耐え切れずに退職した
ことも相まって、経理部内の相互監督が十分に機能せず、元従業員が恣意的な判断や誤
った解釈を行うことを許容する一因となっておりました。


   <元従業員への権限の集中>
 上記のとおり、上位者による監督や経理部内の相互監督が十分に機能しなかった結
果、元従業員に本社経理の権限が集中し、元従業員でなければ分からない経理実務が積
み重なっていったことも、元従業員による不適切な会計処理を防止・発見できなかった
原因であったと考えております。


  (イ)   監査役監査が奏功しなかったこと


 当社の監査役監査は、事業を通しての不正リスクの予防・発見を重視していたため、
工場および販売会社への往査や事業部門に対する監査を重点的に行い、経理部門を含
めた本社管理部門に対する監査については、個別の部門監査よりも、リスク管理や在庫
管理といったテーマ監査(会計監査については、工場や海外子会社経理部門へのヒアリ
ング、在庫の実在性の確認等)を中心に行っておりました。また、本社経理部門に対す
る個別監査を行っていたものの、被監査部門である経理部門の自己評価に基づくもの
であるなど不十分なものであったため、経理部門による不正に対する監査が十分では
ありませんでした。そのため、長期間にわたって経理部において不適切な会計処理が行
われていたことを防止・発見することができませんでした。


  (ウ)   内部監査が本社機能に及んでいなかったこと


 当社では、2012 年の発足以来 2013 年までの間、内部監査室が本社各部門の業務監
査を実施しておりましたが、当該監査の結果、本社部門のリスクは低いと判断し、製造
拠点および海外販売子会社に対する監査を重視するようになりました。そのため、2014
年以降本件不適切会計処理が発覚するまでの間、内部監査室は、本社部門に対して、一
部の経費の使途を確認する監査を実施していたものの、不正会計処理のリスクを重視
した経理部に対する監査は行っておりませんでした。また、会計の知見を十分に有する
人員が内部監査室にいなかったため、J-SOX 対応については経理部の一次統制に依拠
しておりました。そのため、経理部門を含む本社機能に対する監視監督が十分ではなく、
その結果、長期間にわたって不適切な会計処理が行われていたことを防止・発見するこ
とができませんでした。




                    20
  (エ)   内部通報制度が十分機能していなかったこと


 長期間にわたって不適切な会計処理が行われる過程で、経理部員を中心とする多数
の従業員が不適切な会計処理に関与し、当該会計処理が不適切なものであると認識し
ていた従業員も複数いましたが、それらの従業員から内部通報は一切行われませんで
した。本件不適切会計処理の発覚後、経理部門の複数の従業員から内部通報を行わなか
った理由について聞取り調査を行ったところ、
                    「通報の受信者が明示されておらず、誰
が通報内容や通報者を知ることになるのか分からないため、不安で通報できなかった」
「会計上の知見がない相手に相談しても理解してもらえないと思った」「当時の CFO
と元従業員との関係が深かったので、通報しても有耶無耶にされると思った」等の回答
を得ました。これらの回答は、現在の内部通報制度が従業員にとって安心して利用でき
る制度になっていないことを表していると考えております。
 また、2018 年に従業員の 1 人が当時の会長兼 CEO に対して人事上の不満を訴える
通報を行い、そこには不適切な会計処理が行われている疑いがある旨の内容も含まれ
ていましたが、当該通報は、当初人事上の問題として扱われ、法務部や内部監査室に共
有されず、また、取締役会に報告されることもないまま、限られた執行役員のみで処理
されました。その後、当該 CEO が会計処理の問題として外部の法律事務所に調査を依
頼したものの、元従業員から十分な協力が得られなかったこと等から、当該法律事務所
による調査は結論が出ないまま中断され、結局、十分な調査が行われないまま会計処理
に問題はなかったと結論づけられました。
 以上のように内部通報制度が従業員にとって安心して利用できる制度になっていな
いことや従業員による通報を真摯に取り上げず、極めて限られた幹部のみで秘密裏に
処理したことが、不適切な会計処理が行われていたことの発見を遅らせた一因である
と考えております。


(2)     再発防止に向けた改善措置(実施済みのものを含む。)


        ガバナンス向上委員会の開催


 当社は、2020 年 4 月 28 日、①本件不適切会計処理の原因および当社のガバナンス
上の問題点を分析し、②ガバナンス上の問題点の改善策および本件不適切会計処理の
再発防止策を検討・策定し、③再発防止策の運用に対するモニタリングを行い、もって
当社のガバナンスに対する信頼を回復することを目的として、以下のメンバーから構
成されるガバナンス向上委員会を設置いたしました。
  委員長 スコット キャロン(代表取締役会長)
  委     員 菊岡 稔 (代表取締役社長)


                        21
  委   員 桒田 良輔(独立社外取締役)
  委   員   井上 寅喜(株式会社アカウンティング アドバイザリー代表取締役社長
               公認会計士)
  委   員 藤津 康彦(森・濱田松本法律事務所パートナー 弁護士)


 2020 年 7 月 28 日現在までに同委員会を 9 回開催し、本件不適切会計処理の原因お
よび当社のガバナンス上の問題点について議論し、委員会等設置会社への移行、経理上
の統制の強化策、内部監査体制の強化策、内部通報制度の改善策等、ガバナンス上の問
題点の改善策および本件不適切会計処理の再発防止策を検討・策定し、それらを取締役
会へ答申いたしました。また、現在、本件不適切会計処理の責任の所在について協議を
開始しております。


      会計処理と情報開示に対する意識の変革(「2(1)ア」に対する措置)


 本年 9 月を目途に、外部講師を招いて、経営陣および幹部従業員(執行役員クラス)
に対して、不適切会計処理に関する過去の具体的な事例を参考に上場企業の経営者の
法的責任について学ぶ研修(実開催)を実施いたします。それにより適正な会計処理と
情報開示を行うことの重要性を経営陣および幹部従業員全員で共有いたします。
 代表取締役会長および代表取締役 CEO が、上場企業の会計処理および情報開示は投
資家を始めとする利害関係者の判断に必要な情報を正しく提供するものでなければな
らないという認識を、文書およびビデオメッセージで繰り返し発信することで社内に
浸透させ、事業状況の実態を正しく反映した会計処理と情報開示を行ってまいります。
既に、第三者委員会の調査報告が出た翌日の 2020 年 4 月 14 日に代表取締役社長兼
CEO の菊岡稔が従業員に対して適切なガバナンスに立脚した経営を行っていく旨を誓
うビデオメッセージを配信いたしましたが、本日本報告書の提出後に菊岡が、ビデオメ
ッセージで本報告書の概要を説明した上で、適切な会計処理と情報開示の重要性を訴
える予定です。
 また、会計上複数の解釈・処理がありうる場合には最も保守的かつ透明な解釈・処理
を行うことを会計処理の基本原則とする旨を、本年 10 月を目途に、行動規範として規
定いたします。
 さらに、当社では、法務部を中心とするコンプライアンス委員会(執行役員の中から
取締役会で選任された委員長および法務部、人事部、経理部、情報システム部等 10 部
署から管掌執行役員の推薦により選任された委員で構成され、年に 2 回の定例会にお
いて、内部通報の状況、コンプライアンス違反事案、メール監査の状況等について報告・
        )が、毎年 10 月をコンプライアンス強調月間として、役員および
審議しております。
従業員に対して、コンプライアンスに関する教育・研修を、e ラーニングやメール配信


                        22
等の方法で実施しておりますが(ただし、工場等の直接員は紙により実施しておりま
す。、2020 年度以降、その中で上場企業の責任に関する教育・研修も実施し、正しい
  )
会計処理と透明性のある情報開示を行う意識を社内に浸透させてまいります。なお、間
接員についてはコンプライアンス委員会がシステムのログを確認する方法により、直
接員については各部署の責任者が受講確認をしてコンプライアンス委員会に報告する
方法により、全役職員が研修を受講したことを確認しております。
 経理部においては、今後同様の問題を発生させないため、2020 年 7 月 14 日に、経
理部員全員が参加する会議を開催し、全部員が、ガバナンス向上委員会で議論された 11
項目の不適切な会計処理の原因および再発防止策を確認いたしました。さらに、その会
議上、経理部長が、経理統制の改善を実行する具体的な計画を作成するよう各担当者に
指示しております。作成された改善計画の進捗状況は、            10
                         経理部長が確認した上で、 月
度および 11 月度の取締役会に報告いたします。


    ガバナンスが不十分であったことに対する改善措置


  (ア)   指名委員会等設置会社への移行(「2(1)イ(ア)」に対する措置)


 当社は、2020 年 8 月 26 日に開催予定の定時株主総会で承認を得ることを条件に、
現在の監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へ移行いたします。現状の社内取
締役 3 名、社外取締役 2 名という取締役会の構成から、取締役会および各委員会の構
成員の過半数が社外取締役であることが会社法上要求される指名委員会等設置会社へ
移行することで、取締役による相互監視監督機能を強化いたします。また、コーポレー
トガバナンス・コードにおいても推奨されているように(原則 4-11)
                                 、更に多様性を持
った社外取締役を起用するべく、海外出身のスコット キャロンに加え、女性を社外取
締役として登用する予定です。これにより、取締役による相互監視監督機能は更に強化
されると考えております。さらに、CFO を執行役に任命することで、取締役会の監督
を受けるとともに株主に対して善管注意義務を負う立場にし、その職務の履行の適性
を担保いたします。
 指名委員会には、取締役会において、中長期的な企業価値の向上という観点から取締
役(候補)
    ・経営幹部の指名・選任・解任についての方針と手続きを定め、最高経営責
任者の後継者計画についての監督を行うことを期待しております。また、報酬委員会に
は、中長期的な企業価値の向上を実現することができる優秀な経営幹部を確保すると
同時に株主を始めとするステークホルダーにとって納得感のある報酬体系を構築する
という観点から取締役と経営幹部の報酬についての方針と手続きを定め、個々の取締
役・経営幹部に対して適切に評価を行い、その報酬を決定することを期待しております。
そのため、指名委員および報酬委員となる取締役には、①中長期的な視点で企業価値の


                     23
向上について考えることができる人物であること、②公正性・透明性を重視する人物で
あること、③客観的でバランスのある評価・判断を行うことができる人物であることと
いう基準を満たす人材を指名いたします(経営幹部の選解任や再任の適否の判断とそ
の報酬の決定は、いずれも各経営幹部の評価を前提とし、共通する部分も多いため、指
名委員会と報酬委員会は基本的に同一の取締役が両委員を兼任いたします。。指名委
                                 )
員会および報酬委員会は、このような基準を満たす社外取締役 3 名と執行役を兼務す
る取締役 1 名で構成される予定です。
 監査委員会には、経営幹部から独立した立場で、会社の内部統制システムの構築・運
用ならびに取締役および執行役の法令遵守を監督し、財務諸表を監査することに加え
て、当社の抱えるリスクや問題を検知し、経営幹部に指示して当該リスク・問題の顕在
化の予防・解決を図ることを期待しております。そのため、監査委員となる取締役には、
①公正性・透明性を重視する人物であること、②当社の事業内容および業界の状況につ
いて深い理解を有する人物であること、③専門的な見地から業務執行の適法性・妥当性
を判断・評価できる人物であることという基準を満たす人材を指名いたします。さらに、
委員長には、社外取締役であり、かつ、週に 2、3 営業日は当社の監査委員長としての
業務に従事できる人物を任命し、また、会計の専門知識を有する委員を 1 名以上選任
いたします。監査委員会は、このような基準を満たす社外取締役 2 名と社内実務を熟
知している社内取締役 1 名で構成される予定です。


  (イ)   大株主との関係の透明性の確立・維持(「2(1)イ(イ)」に対する措置)


 「(1)不適正開示の発生原因の分析」の「イ(イ)
                        」に記載した大株主との不透明な
関係はすべて既に解消されております。また、2020 年 3 月 26 日に当社の筆頭株主に
異動がありましたが、現在の筆頭株主との間でも透明性の高い関係を築いており、今後
もそのような関係を維持してまいります。
 具体的には、(i)当該大株主が派遣する取締役は現在 1 名であり、筆頭株主が派遣す
る取締役も 1 名ですが、その他の社外取締役は両者が招聘した人物ではありません。
また、2020 年 8 月 26 日に開催予定の定時株主総会で選任予定の取締役候補は 7 名で
すが、筆頭株主と当該大株主から派遣される候補者は各 1 名であり、その他の候補者
はすべて当社が招聘した人物です。なお、当該大株主から派遣される候補者以外の社外
取締役候補が 4 名いるため、特定の大株主の意向に左右されることなく、上場会社と
しての自主性を守ることができる取締役会の構成となっております。また、筆頭株主お
よび当該大株主から派遣される候補者は、いずれも指名委員会および報酬委員会の委
員に就任する予定ですが、いずれの委員会も 3 名の社外取締役と 1 名の社内取締役で
構成され、多数決で意思決定を行う予定であるため、特定の大株主の意向のみによって
意思決定が左右される恐れはありません。また、(ii)スコット キャロンは、筆頭株主が


                      24
派遣した取締役ですが、代表取締役兼執行役員として執行に携わる立場であることを
明確にしたうえで執行に携わっております。さらに、(iii)人材開発委員会や財務委員会
は 2017 年 4 月に廃止されており、以後このような位置付けの明確でない機関は設けて
おらず、また、今後も設けません。現在設置している指名報酬諮問委員会は、全会一致
による意思決定を行っておりますが、同委員会で全会一致による意思決定がなされな
い場合でも重要な人事案を取締役会に上程することが可能であり、同委員会の委員が
重要な人事案について事実上の拒否権を有するわけではありません。なお、指名委員会
等設置会社への移行に伴い、指名報酬諮問委員会は廃止される予定です。更に、(iv)特
定の株主の役員・従業員が当社の取締役会、経営会議その他の会議体に参加することも
ありません(代表取締役兼執行役員としてスコット キャロンが参加する場合は除きま
す。。
  )
 現在の筆頭株主は、最終投資家である欧米の基金から高いガバナンスを求められて
いることもあって、ガバナンスを重視する投資家であることから、上記のとおり、当社
とも透明性の高い関係を築いております。当社としても、すべての株主との間で引き続
きそのような関係を維持してまいります。


      内部統制システムが不十分であったことに対する改善措置


  (ア)   経理統制の改善(「2(1)ウ(ア)
                        」に対する措置)


   <会計業務のシステム化>
 会計業務の工程を可能な限りシステム化し、手作業が介在する余地を限定いたしま
す。具体的には、滞留・過剰在庫の評価減判定において先行 3 か月の需要予測に対して
過剰な在庫を保有していないかどうかを判定する必要があるところ、先行 3 か月の需
要予測を手作業で入力することから不正会計処理や誤り等が発生する機会が存在して
おりましたが、そのような機会をなくすため、先行 3 か月の滞留・過剰在庫の評価減を
判定するシステムを情報システム部と共に 10 月末を目途に構築し、ERP システムに
直接インポートできるようにいたします。そして、手作業によらざるを得ない工程(先
行 3 か月の需要予測を ERP システムにインポートするために列の並び替えを行うこと
や関係子会社で直接販売を行っている販売情報等を先行 3 か月の需要予測に追加する
作業)については、作業データのログを 10 年間保存したうえで、担当者の上長による
チェックを行い、改ざんや計算間違い等が行われることを防止いたします。


   <棚卸の方法の改善>
 1 年に 2 回、期末に会計監査人立ち合いの下、実地棚卸を行っていますが、100 億円
規模の仕掛品在庫の架空計上等在庫に関連して行われていた不適切会計処理の再発防


                    25
止の一環として、今後は期末に確実に実地棚卸を行うことに加え、2020 年 3 月期の第
4 四半期より、各工場において、毎年 1 回仕掛品の循環棚卸を行うことを追加いたしま
した。これにより、棚卸資産(仕掛品)の実在性を会計監査人、監査役および内部監査
                 毎年 1 回仕掛品の循環棚卸を実施することは、
室に証明できるよう改善いたしました。
本年 8 月末までに棚卸実施要項に明記する予定です。


   <伝票取消しの報告>
 本年 9 月より、ERP システムから取消した伝票を抽出し、それを異常処理として、
毎月経理部が CFO および監査委員会に報告いたします。


   <ルールの明確化・運用の透明化>
 経理規則や固定資産管理規則は 2012 年の制定後、改訂が行われておりませんでした
が、固定資産の取得価額へ含める範囲の明確化等、実態に合わせて内容をより明確にす
るための改訂を本年 10 月末までに行います。
 また、本年 10 月末までに、各部門から頻繫に受ける規則の内容や解釈に関する問合
わせ等についての QA 集を作成し、イントラネットを通じて社内へ公開し周知するこ
とで、規則の不透明な運用を防止してまいります。


   <上位者の監督強化>
 減損判定において将来キャッシュフローにストレスを掛ける等、経理上の判断や解
釈の過程について、取締役会に報告し、その確認や承認を経ることを、本年 10 月末ま
でに固定資産管理規則に明記いたします。また、元従業員の後任の経理部長は、2014
年に当社に入社し、 28 年間の経理実務の経験を有しており、
         約                    かつ、そのうち約 17 年
間、海外子会社において経理部長または取締役兼管理部長として工場管理および運営
に携わっており、経理実務における経験や会計処理についての知見が豊富な人材です。
そのため、CFO の経理実務における経験や会計処理についての知見が当該経理部長に
比して不足している場合も生じ得ますが、その場合でも、CFO が当該経理部長を適切
に監督できるよう、会計監査人と都度連携し、また CFO が必要なときに当社の事業内
容を十分理解している外部の公認会計士の助言を求めることができるようにいたしま
した。なお、現在の CFO である大河内聡人は、銀行の米国現地法人において Vice
President として経理業務を統括した経験、事業再生ファンドから出向していた投資先
企業において財務担当幹部として経理業務を統括した経験および前職である上場の電
子部品メーカーにおいて、約 1 年間、CFO 戦略室長として、経理・財務・税務・IR・
広報業務を統括した経験を有します。




                    26
   <経理部内の相互監督の強化>
 経理部内の相互監督を機能させるため、以下のとおり、人員補充と経理部員の能力増
強を図ります。
 現在、経理部には経理課と連結管理課が設置され、経理課は主に単体決算および税務
に関する業務を、連結管理課は連結決算および開示に関する業務を担っております。経
理課には課長(経理部長が兼務)の下に派遣社員 1 名を含む 10 名が所属し、連結管理
課には課長の下に派遣社員 1 名と公認会計士資格を有する外部の業務受託者 1 名を含
む 5 名が所属し、経理部として合計 17 名が所属しております。今後、再発防止策を加
速するために、管理職を含む経理実務経験者 3 名を 2020 年 12 月末までに増員する計
画で、既に採用募集を開始しております。仮に計画通りに採用できなかった場合には、
経理業務の一部を外部へ委託することも検討いたします。
 当社は製造会社であるため、適正な会計処理を行うために、経理部員は製造現場で発
生する費用(製造原価)や製品構成(直材、間材等)について十分に理解していること
が必要です。そのため、短期での工場研修を導入する等して製造現場に関する専門的な
知識を習得する機会を設けております。また、経理部員が幅広く経理知識を習得できる
ように、経理部内での業務ローテーションや業務担当の見直し等を、各人のスキルに応
じて今後も継続的に実施してまいります。加えて、ガバナンスやコンプライアンスに関
する理解を深め、上場企業の経理部員として必要な知識を習得させるために、本年 12
月末までに、経理部員を外部機関で実施される研修へ参加させる等いたします。そして、
部内会議の場で勉強会を開催し、それらの研修で得た知見やノウハウを全部員に共有
することで、経理部全体のスキルを向上してまいります。


   <権限集中による濫用の防止>
 上記のとおり、CFO による監督および経理部内の相互監督の強化によって特定の役
職員に権限が集中することを防止してまいります。
 また、本件不適切会計処理に関して経理部員が内部通報を行わなかった事実を重く
受け止め、本件不適切会計処理の発覚後に、経理部員全員が、経営陣・経理部長その他
の役職員から不適切な会計処理、開示資料の捏造・改ざん等を求められた場合や当該事
実を知った場合には、速やかに内部通報を行う旨の誓約書を提出しました。さらに、週
次で開催している部会において経理部員に対して内部通報制度の活用についての指導
を行い、内部通報制度の利用を推奨しております。これらによって経理部員の意識を変
革するとともに内部通報制度を活用しやすい環境を整えましたが、これも特定の役職
員に集中した権限が濫用されることを防止する 1 つの要因となると考えております。




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 (イ)   監査委員会による監査(
                 「2(1)ウ(イ)」に対する措置)


 上記のとおり、当社は、定時株主総会での承認が得られ次第、指名委員会等設置会社
へ移行し、その後は監査委員会が監査を行います。監査委員会の独立性を担保すると同
時に、当社の事業内容を十分に理解したうえで実効的な監査を行うことができるよう、
監査委員会の構成は社外委員 2 名と社内委員 1 名といたします。委員長には、当社の
事業への理解の深い社外取締役候補が就任する予定であり、かつ、実質的な監査活動を
行っていただくよう、週に 2、3 営業日は監査委員長としての業務に従事することを要
請しております。現在の監査役会の構成が常勤監査役 2 名と社外監査役 2 名の合計 4
                        3
名であるのに比べて人数は少なくなっておりますが、 名の監査委員が取締役会におい
て議決権を有すること、および監査委員長は社外取締役でありながら週に 2、3 営業日
は監査委員長としての業務に従事することから、実効的な監査を行うことができると
考えております。また、内部監査部が監査委員会の活動を補助し、監査委員会が実効的
な監査を行える体制を強化いたします。
 その他の監査委員には、常勤の社内取締役と公認会計士資格を有する川嶋俊昭現社
外監査役が社外取締役として就任する予定です。川嶋氏は、旧株式会社ジャパンディス
プレイを含めて 2012 年から独立社外監査役として取締役の業務執行を監査しており、
業務執行を行う経営陣から独立した客観的な立場で、専門家の見地から経営への助言
や監督を行ってまいりました。川嶋氏は、本件不適切会計処理が行われていた期間も監
査役を務めていましたが、監査役会および取締役会において法令順守や疑義のない公
正な会計処理の重要性を繰り返し訴えており、また、当社の事業内容、これまでのガバ
ナンス・内部統制上の問題やその背景等についてよく理解しているため、当社が円滑に
指名委員会等設置会社へ移行し、ガバナンスおよび内部統制体制を改善するために必
要な人材であると考えております。
 本件不適切会計処理の発覚以降、監査役は、従来の監査内容に加え、①期末に実施し
た財務報告に係る内部統制監査において、J-SOX 体制・運用等についての監査を実施
し、②2020 年 3 月期の決算監査において、棚卸資産・RMA(返品保証制度)の評価減
について詳細な検証を実施し、③本社コンプライアンス関連部門の統制状況の監査を
実施する等、被監査部門の自己評価に基づかない監査を行っており、また、2020 年度
には、本件不適切会計処理の再発防止策の実施状況について監査する計画を立ててお
ります。このような監査の方法や計画は、監査委員会にも引き継がれる予定です。
 また、従来は、会計監査人と監査役との間で、四半期決算後のレビューや期中におい
て意見交換を行っておりましたが、本年 7 月以降、それらに加えて、四半期監査の開始
時に、会計監査人、監査役・監査委員会および内部監査室で監査の重要ポイントを確認
する等、三様監査の連携を一層強化してまいります。




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  (ウ)   内部監査体制の強化(
                 「2(1)ウ(ウ)
                         」に対する措置)


 内部監査室は、元従業員による着服事件の発覚後、リスク要因を見直し、経費の内容
の妥当性および承認プロセスに関して、本社機能に対する内部監査を実施しておりま
す。具体的には、2019 年度には、経理部、調達部(モバイル以外の製品担当)
                                     、後工程
生産技術部(車載関連製品取扱い海外製造会社の管理部門)、ニュービジネス部(液晶
応用製品新規開拓部門)を対象に、おもに調達不通過取引における利益相反取引、架空
取引による不正支出、不正なキックバックおよび虚偽の資産廃棄による盗難のリスク
について監査しております。このような不正リスクに対する内部監査は 2020 年度も継
続して実施しており、上期は R&D 本部、調達部(モバイル製品担当)、後工程生産技
術部(モバイル製品取扱い海外製造会社の管理部門)の監査に着手しております。今後
も半期に 1 回ずつ不正リスクに対する内部監査を実施いたします。
 指名委員会等設置会社への移行と同時に、内部監査室を内部監査部に昇格させます。
加えて、会計的な知見を有する人材を含む人員を増加し、会計処理についても監査を行
える体制としてまいります。当該人材については、既に 1 名の募集を開始しており、本
年 10 月までに採用することを目標としております。これにより内部監査部の人員を現
在の 4 名から 5 名に増員し、10 月以降、本社経理部門の経理処理に対して、棚卸資産
計上、固定資産計上および費用計上に関する妥当性の監査を実施してまいります。
 現在、内部監査室が J-SOX の構築・運営・評価をすべて行っており、これに対して
内部監査を行うことは自己監査となるため、J-SOX の構築・運営・評価に対する内部
監査を行っておりませんが、本年 10 月以降、J-SOX を構築・運営・評価する業務権限
を内部監査室から CFO 直下の CFO 付 J-SOX 担当(仮称)に移行して、J-SOX の構
築・運営・評価に対する内部監査を行います。実務的には、J-SOX における有効性の
評価が確実に行われていることを確認するために、各統制内容の評価状況を内部監査
部が確認し、その結果を監査委員会に報告いたします。
 また、上記(ア)に記載のとおり、内部監査部には監査委員会の活動を補助する機能
も持たせる予定ですが、内部監査部の人事を通じて監査委員会への補助が妨げられる
ことを防ぐため、指名委員会等設置会社への移行と同時に、内部監査部の人事は監査委
員会の事前の承認を必要とする旨を社内規則に規定いたします。


  (エ)   内部通報制度の改善(
                 「2(1)ウ(エ)
                         」に対する措置)


 以下の改善策によって、従業員が安心して利用できる内部通報制度を構築してまい
ります。これにより、不正な行為だけでなく、経営陣による行き過ぎたプレッシャーに
ついても防止・早期発見できるようにいたします。
 本年 8 月を目途に、内部通報について説明したイントラネット上に、通報受信者お


                      29
よびその後通報内容が共有される範囲を個人単位で明示いたします。
 本年 10 月を目途に、リニエンシー制度を導入し、帰責性の低い不正関与者に対する
処分を減免することで、組織的な不正行為に関する通報を促進いたします。また、適切
な通報によって会社の損害が未然に防止された場合には、当該通報を人事上評価する
ことで、積極的な通報を促します。さらに、半期毎に違法・不正行為の有無に関するア
ンケートを従業員に対して実施することで、通報の掘り起こしを行います。
 本年 10 月を目途に、違法・不正行為に関する内部通報は、通報内容および処理結果
を取締役会および監査委員会に報告する旨を社内規則に規定し、かつ、そのことをイン
トラネット上で明記することで、内部通報が有耶無耶に処理されるという懸念を従業
員に抱かせないようにいたします。また、従業員が監査委員会に対して直接通報を行う
ことも認めます。
 以上の国内における内部通報制度の改善策を実施した際には、メールまたはビデオ
配信により、従業員に対して改善策の内容を周知いたします。
 また、本年 12 月を目途に、各国の個人情報保護法制上許容される範囲で、海外子会
社の従業員が違法・不正に関して当社に直接通報できるようにいたします。当該海外子
会社における内部通報制度の改善策についても、実施した際に、メールまたはビデオ配
信により、海外子会社の従業員に対して周知いたします。




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 (3)   改善措置の実施スケジュール


 改善措置の項目                             2020 年
               7月      8月       9月        10 月     11 月   12 月
ア ガバナンス向上委員会の開催


             5 月 8 日に第 1 回を開催して以降、7 月 28 日現在まで 9 回開催済み
             2021 年 3 月までを目途に継続して開催予定
イ 会計処理と情報開示に対する意識の変革
経営陣等に対する研修                      実施
従業員へのメッセージ    実施
配信           4 月 14 日に実施済み
             7 月 28 日に実施
行動規範の制定                                       実施
コンプライアンス研修                                    実施
経理部内の研修       実施
ウ ガバナンスが不十分であったことに対する改善措置
(ア)指名委員会等設置会社への移行
                       実施
             6 月 18 日に取締役会決議済み
             7 月 27 日取締役候補の決定
             8 月 26 日の株主総会で承認され次第、移行
             8 月 26 日に開催予定の取締役会で移行に必要な社内規程を決議
(イ)大株主との関係の透明性の確立・維持
             既に実施済み




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  改善措置の項目                            2020 年
                 7月     8月      9月        10 月     11 月   12 月
エ 内部統制システムが不十分であったことに対する改善措置
(ア)経理統制の改善
システム化                                         実施
棚卸の方法改善         実施済み(今後も継続)
棚卸に関する規則化               実施
伝票取消しの報告                        実施
規則の改訂                                         実施
規則に関する QA                                     実施
経理上の判断等の報告                                    実施
の規則化
外部公認会計士による      実施済み(今後も継続)
CFO への助言
経理部員の増員                                       実施
経理部員の研修                                                   実施
誓約書の徴収          実施済み
(イ)監査委員会による監査


(ウ)内部監査体制の強化
本社機能の不正リスク
に対する内部監査        2019 年度以降実施済み
内部監査部への昇格               実施
内部監査部員の増員                                     実施
J-SOX の構築・運営・                                 実施
評価と監査の分離
(エ)内部通報制度の改善
社内規則の改訂                                       実施
イントラネットの修正              実施
アンケートの実施                                      実施
海外子会社の制度改正                                                実施




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3. 不適切な情報開示等が投資家および証券市場に与えた影響についての認識


 当社は、上場前を含む過去 6 期にわたり、不適切な会計処理が発覚することなく継
続し、その結果、それらの各期に係る過年度決算を訂正するとともに決算発表を遅延さ
せたことで、株主・投資家をはじめ取引先および市場関係者の皆様に多大なるご迷惑、
ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げるとともに、上場会社としての重
大な責任があると深く反省しております。
 当社といたしましては、本件不適切会計処理を厳粛に受け止め、二度と同様の事態を
発生させないため、ガバナンス向上委員会を設置し、改めて当社として原因分析を行う
と共に、ガバナンスの向上および再発防止のための改善策を策定いたしました。今後、
当該改善策を着実に実施し、最善のガバナンス体制を構築していくと同時に、全社を挙
げてコンプライアンス意識を高めることで、信頼の回復に努めてまいります。


                                       以上




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