6727 ワコム 2021-05-12 15:00:00
ワコムグループ中期経営方針『Wacom Chapter 3』-人と社会にとって意味のある多面的な成長を目指す- [pdf]

                                                       2021 年5月 12 日
     各    位
                             会 社 名   株      式     会 社 ワ  コ    ム
                             代表者名    代表取締役社長兼 CEO     井 出 信   孝
                                      (コード番号 6727 【東証第一部】)
                             問合せ先    取 締 役 兼 C F O    町 田 洋   一
                             電  話    03-5337-6502



               ワコムグループ中期経営方針『Wacom Chapter 3』

              ~人と社会にとって意味のある多面的な成長を目指す~


  当社は、2018 年度からスタートした『Wacom Chapter 2』において、お客様が生涯を通じてデジタルインクの創
造する価値を体験できる「Life-long Ink」のビジョンを掲げ、最高のデジタルインク体験をお届けすべく、各種施
策に取り組んでまいりました。この度、その取り組みをさらに発展、進化させるべく新たに『Wacom Chapter 3』
                                                         (対
象期間:2021~24 年度)を策定しました。


1. 『Wacom Chapter 2』の振り返り


 私たちが掲げた 3 つのテーマ「テクノロジー・リーダーシップの推進」
                                  「アイランド(ブランド事業)&オーシャ
ン(テクノロジー事業)による緊密な連携」
                   「大胆な選択と集中」は、相互に連関し合う全社戦略として機能し、主
に以下の成果を得ることができました。


        製品ポートフォリオの変革
          当社ブランド製品のエントリーユーザー層の裾野拡大につながる製品ポートフォリオの変革を行い、アプ
         リケーション・パートナーとの協業を深化させたクリエイティブ領域のみならず、教育領域においても多く
         のお客様にインク体験をご提供することができました。これにより、開発進行中のデジタルインクに関する
         コア技術の将来的な高度利用につながる事業基盤の拡大に寄与しました。


        ペンと紙のデジタル体験の機会拡大
          タブレットやノート PC といった広く普及しているデバイスのみならず、電子ペーパーや教育事業者向け
         の専用デバイスなどを取り扱う多様なビジネスパートナーのお客様にも、当社の技術ソリューションを通じ
         て進化したペンと紙のデジタル体験を広くご提供することができたことで、働き方や学び方などユースケー
         スの多様化への備えが前進しました。
     筋肉質な組織体制の構築と効率重視の組織運営の実行
       研究開発や技術の展開、製品企画、資材調達、品質管理、在庫管理の各領域で事業部門の壁を越えた取り
      組みが活性化し、課題に焦点を当てつつ利益を重視する姿勢が組織全般に浸透した結果、全社的な収益性の
      改善を通じて将来に向けた積極的、持続的な技術投資を支える基盤が構築できました。


     社会を構成する多様なコミュニティを意識した個人の力量発揮を促す企業文化
       エンジニア組織を中心に志の高い個人が核となるプロジェクトチームを複数立ち上げ、様々なコミュニテ
      ィのパートナーが有する強みとの融合を通じた価値創造によって、全ての関係者が成長を分かち合う意識の
      醸成が進みました。


 これらの取り組みの結果、
            『Wacom Chapter 2』で掲げた 2022 年 3 月期における経営指標の目標(連結営業利益率
10%、連結売上高 1,000 億円、ROE 15~20%) 1 年先行する 2021 年 3 月期に達成することができました
                              を、                               (※)
                                                                 。
 私たちは、脈々と続く「Life-long Ink」という長い旅路の通過点にあって、これまでの 3 年間で得た学びを活か
し、更に発展、進化の歩みを止めることなく、2022 年 3 月期を起点として次のステージに進むことを決意しました。


2. 『Wacom Chapter 3』の骨子


     ビジョンと5つの戦略軸
       人間と社会にとって意味のある体験を、ワコムの技術を通して、長い期間ご提供し続け、この世界を少し
      でも人間的なものにすることに寄与すべく「Life-long Ink」のビジョンを継承し、5 つの戦略軸を設定し
      ました。


          Technology Leadership : ワコムの提供価値の源泉である技術革新に注力する。
          Community Engagement : コミュニティと深く連携し、価値ある体験を形成する。
          New Core Tech, New Core Value Proposition : 新しいコア技術をもとに新しい価値を創造する。
          Technology Innovation for Sustainable society : 技術で持続可能な社会の発展に貢献する。
          Meaningful Growth : 財務的な成長に加えて、多面的な意味を持つ成長を目指す。


       ワコムが存在しているこの社会において、将来に向けて向き合わなければならないことは何なのかを深
      く考えた結果、この 5 つの戦略軸に集約することとしました。技術をもとに価値ある体験を創り、お客様に
      届けることがワコムの存在意義であり、それを一社だけではなく社会を構成する仲間たちとともに学び合
      いながら実現させていくこと。フォーカスすべき技術領域を明示し、その技術革新を持続可能な社会の実現
      につなげること。これらすべてが、製品、サービスをご購入、ご利用いただくお客様、資本をご提供いただ
      くステークホルダーの皆様、ワコムとビジョンを共感していただくコミュニティ、ワコムのチームメンバ
      ー、そしてこの多様で多面的な社会全体の成長をもたらすと信じて、施策の立案、実行を推進していきます。
   戦略軸を支える技術ロードマップ
     私たちは、このビジョンと戦略軸を支える技術のロードマップを、様々な状況変化に対応してダイナミッ
    クに展開していくことがとても大切だと考えています。ペンやペーパー、インクに関する現行のコア技術に
    加えて、インク技術を AI(人工知能)や XR(多様な新しい現実体験)
                                      、セキュリティの各技術と融合させた
    新たなコア技術の社会実装を目指していきます。


   具体的な体験の提供
     『Wacom Chapter 3』の最終年度までに、現行のコア技術を進化させた新たな商品ポートフォリオの展開
    と新しい顧客群の開拓に加えて、AI や XR、セキュリティに関する新たなコア技術を応用して、教育や創造
    支援、空間描画、著作権保護の領域で新しい製品、サービスが提供できるよう取り組んでいきます。


   コミュニティや社会との関わり
     私たちは、
         「アート、テクノロジー、学び」を中長期および社会的な視点から持続的に支えていくために、
    新たな視点や発想を取り入れ、社会を構成する個々のコミュニティや一人一人の「多面的な成長」の実現に
    貢献していきたいと考えています。その一環として、2月 16 日に設立された一般社団法人コネクテッド・
    インク・ビレッジの活動を尊重し、支援する取り組みを実施しています。


   ワコムが考える成長のイメージ
     私たちは財務的な成長をしっかりと追求するとともに、
                             「Life-long Ink」の理念のもと、お客様や様々な
    コミュニティのパートナーの皆様とともに、
                       「意味深い成長」
                              (Meaningful Growth)を目指します。
                                                       「意味深
    い成長」とは、ワコムの財務的な成長だけではなく、私たちのお客様が製品・サービスのユーザー体験を通
    じて感じる成長であり、私たちが日々の暮らしを営む社会やコミュニティ全体が新たな学びを積み重ねて
    いくことであり、一人一人の自己実現を通じた成長で構成されると考えています。
     財務的な成長については、現行のコア技術やビジネスモデルを進化させる形で安定的に事業を成長させ
    ていくことに加えて、新たなコア技術やビジネスモデルの開発への投資を通じて、
                                        『Wacom Chapter 3』の後
    半 2 年間において新規ビジネスの萌芽をつくりだし、2025 年度以降の次のステージにおいて成長を加速さ
    せていきます。
     投資効率を意識した成長を促進させるための新たな経営指標として ROIC(投下資本利益率)を導入する
    とともに、多様で専⾨的な視点を有する取締役会メンバーによる本質的な議論をさらに活発化させ、
    経営の質を⾼めることで企業価値の向上を⽬指します。
(参考)財務方針のガイドライン
  ①   事業活動の効率性
       新たな指標として ROIC 25-30%程度を目安として事業を運営
  ②   資本の効率性
       ROE 20%程度を想定
  ③   株主還元
       配当方針については、適正な財務の健全性を確保することを念頭に、連結ベースの配当性向の目安を
      30%程度としたうえで、1株当たり配当の中長期的な増加を通じた利益還元に努めてまいります。自己株
      式取得については、投資機会や財務状況などを考慮の上、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策と
      して遂行してまいります。


(※)2021 年 3 月期における経営指標の実績(
                         『Wacom Chapter 2』開始の前年度 2018 年 3 月期の実績)
  ①   連結営業利益率      12.4%(   4.3%)
  ②   連結売上高      1,085 億円(823 億円)
  ③   ROE          31.3%( 10.8%)


 詳細については、別途「中期経営方針 Wacom Chapter 3」(説明資料)をご参照ください。


                                                                   以上