6723 ルネサス 2021-02-08 16:50:00
英国Dialog社の買収手続き開始の合意について [pdf]

                                                                 2021年2月8日
各    位

                                         会 社 名 ルネサス エレクトロニクス株式会 社
                                         代表者名 代表取締役社長兼CEO 柴田 英利
                                                   (コード:6723、東証第1部)
                                                問合せ先 CEO室長 山口 富士子
                                                      (TEL.03-6773-3001)



                    英国 Dialog 社の買収手続き開始の合意について


 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下、当社)は、英国の半導
体会社であるDialog Semiconductor Plc (CEO : Jalal Bagherli、以下、Dialog社)の発行済普通株式および発
行予定普通株式のすべてを取得し、完全子会社化する手続き(以下、本件買収)を開始することについて、
本日、Dialog社と合意しましたので、下記のとおりお知らせいたします。
 本件買収は、友好的なものであり、Dialog社の取締役会は本件買収につき、全会一致で賛同しておりま
す。


 なお、当社は本件買収に関する英国の公開買付規則に基づく公表を、2021年2月8日(現地時間)に英
国において行っております。


                                     記


1. 本件買収の目的
 Dialog 社は、高集積かつ低電力のミックスドシグナル製品を中心としたアナログ半導体企業として、IoT や
家電分野、また高成長市場である自動車や産業分野の幅広いお客様向けに製品を提供しています。特に、
低電力のミックスドシグナル技術を強みとして、Dialog 社はバッテリー&パワーマネジメント、パワーコンバー
ジョン、コンフィギュラブル・ミックスドシグナル(CMIC)、LED ドライバ、カスタム・ミックスドシグナル(ASIC)お
よび自動車向けパワーマネジメント IC(PMIC)、ワイヤレス充電技術など多岐にわたる製品群を有しています。
また、Bluetooth® Low Energy(BLE)、WiFi、オーディオ向け SoC といった幅広く特色ある先進コネクティビテ
ィ技術も持ち、スマートホーム、ビルディングオートメーション、ウェアラブルデバイス、コネクテッド医療機器な
どの広範なアプリケーションに通信機能を提供しています。こうした製品・技術は、当社の製品ポートフォリオ
を補完して拡充し、高性能電子機器のパフォーマンスや電源効率のさらなる向上に貢献します。
 本件買収は、ソリューション提供力を進化させるという当社の継続的で揺るぎないコミットメントを示すもの
です。本件買収により、当社は、マイコンや SoC を中心とした自社製品と補完関係のある低電力やコネクティ
ビティ技術を強みとする Dialog 社のアナログ半導体の技術資産を獲得して製品ポートフォリオを拡充し、IoT、
産業、自動車分野の高成長市場向けに、さらに強力で網羅的なソリューションが提供できるようになります。
具体的には、今回の戦略面および財務面での買収の狙いは、以下のとおりです。


(1)Dialog 社の低電力技術により IoT 分野での提供範囲・能力を拡大




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 Dialog 社は、低電力ミックスドシグナル製品の特色あるポートフォリオを持ち、世界最大級の半導体ユーザ
ー顧客向けにカスタム品やお客様側での回路変更が可能となるコンフィギュラブルなソリューションを長年供
給してきました。また、当社製品と補完性の高い低電力のコネクティビティ製品についても、業界をリードする
技術を有しています。こうした低電力技術は、当社の製品ポートフォリオを強化して提供範囲と能力を大きく
広げ、IoT 分野での高成長市場への対応を可能とします。


(2)コネクティビティ技術で当社のシステムソリューションを差異化
 当社は、本件買収により、Dialog 社のお客様にアクセス可能となり、当社の顧客基盤を広げるとともに、産
業インフラ、IoT、自動車分野という高成長市場での事業成長機会を獲得します。Dialog 社の BLE、低電力
Wi-Fi、オーディオ SoC は、マイコンや SoC を中心とした当社のソリューションを補完するものです。こうした
業界をリードする Wi-Fi や Bluetooth®無線技術・製品と当社既存製品を組み合わせることで、当社が提供
するシステムソリューションは差異化され、スマートホーム、ビルディングオートメーション、医療機器などの非
接触 IoT 分野の高成長市場に対応可能となります。また、コネクティビティ技術によって当社の自動車分野
向けのソリューションも充実化し、安心・安全に関する幅広いアプリケーションに貢献します。


(3)エンジニア陣および設計開発技術を拡充し、新製品の市場投入を効率化
 過去の買収により、当社は多様な人材を獲得してマネージメント力を強化し、グローバルオペレーションを
加速させました。本件買収は当社のこの取り組みの延長線上にあるもので、Dialog 社の R&D 部隊が加わる
ことで低電力アナログ・ミックスドシグナルでのエンジニア陣および設計開発技術を拡充します。こうした技術
の拡充や当社とは異なる Dialog 社の拠点配備により、当社は、「ウィニング・コンビネーション」のラインアップ
を増やすとともに、世界中のお客様に対し、シームレスかつボーダーレスな対応が可能となり、新製品の市
場投入を効率化させます。
 具体的には、当社は、2017 年に米国のアナログ半導体企業 Intersil Corporation(インターシル)を買収し、
2019 年には同じく米国のアナログ半導体企業 Integrated Device Technology, Inc.(以下、 IDT)の買収を完
了しており、当社既存のマイコン/SoC とアナログ半導体製品を組み合わせたキットソリューションの拡充を進
めています。IDT 買収直後からは、アナログ+パワー+組み込みプロセッサ(マイコン/SoC)から成る「ウィニ
ング・コンビネーション」を統合成果としてお客様に提供し始め、お客様の製品開発の容易化と市場投入の
迅速化を促進してまいりました。ウィニング・コンビネーションは現在 210 品目以上に及び、産業、インフラ、
自動車、民生分野などに幅広く提供しています。


(4)売上・利益の拡大とコスト節減
 当社は、ソリューション提供力を継続的に強化し、クロスセルや高成長市場にアクセスすることにより、約
200 百万米ドル(Non-GAAP ベースの営業利益、約 210 億円)の売上増による統合効果を見込み、さらには
業務効率化により、約 125 百万米ドル(Non-GAAP ベースの営業利益の年間ランレート、約 131 億円)のコ
スト節減による統合効果を獲得する見込みです。コスト節減による統合効果は、買収完了から概ね3年以内
に実現し、売上増による統合効果は買収完了から概ね4~5年以内に実現すると見込んでいます。2020 年
9 月 25 日までの 12 か月間における Dialog 社の Non-IFRS ベースの EBITDA は約 355 億円であり、本件
買収が同期間を通じて有効であった場合には、当社の Non-GAAP ベースの売上高総利益率は 0.6%ポイ
ント改善することとなります。




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2.   本件買収の概要
(1) 買収対象
     Dialog 社


(2) 買収方法
       当社が Dialog 社の発行済普通株式および発行予定普通株式の 100%をスキーム・オブ・アレンジメ
     ントの手法に基づき取得予定。(詳細につきましては、下記「3.本件買収の方法および手続き」をご参
     照ください。)


(3) 取得株式数、取得価額および取得前後の状況
                            0株
          (1)   異動前の所有株式数   (議決権の数:0個)
                            (所有割合 :0.0%)
                            72,387,613株 (※1)
          (2)   取得株式数       (議決権の数:72,387,613個)
                            (発行済株式数に対する割合:100.0%)
                            Dialog社の株式取得費用 :約4,886百万ユーロ
          (3)   取得対価                           (約6,157億円)
                            アドバイザリー費用等(概算額):約21百万米ドル
                            72,387,613株 (※1)
          (4)   異動後の所有株式数   (議決権の数:72,387,613個)
                            (発行済株式数に対する割合:100.0%)
         (※1) 2020 年 12 月 31 日現在の完全希薄化ベースの株式数を基準としております。


(4) 買収条件
     Dialog 社の発行済普通株式および発行予定普通株式 1 株につき 67.50 ユーロ。
     買収プレミアムは、Dialog 社株式の 2021 年2月5日終値 56.12 ユーロに対し、約 20.3%に相当。


(5) 買収資金
       本件買収において支払われる対価は、当社と株式会社三菱 UFJ 銀行および株式会社みずほ銀行と
     の間のローン契約(Facilities Agreement)(総借入限度額 7,354 億円)に基づく借入により調達する予
     定です。
       当社は、本件買収後、ネット有利子負債/EBITDA 倍率1倍未満への早期の改善と投資適格の格付
     維持を目指すため、キャッシュフローの創出を図るとともに、上記借入金については、新株発行を伴う
     資金調達(エクイティファイナンス)を含めて様々な長期資金への切り替えを進めていく予定です。これ
     により、将来の成長戦略の遂行を可能とする強固な財務基盤の維持に努めてまいります。なお、上記ロ
     ーン契約の詳細については、本日付「Dialog 社買収に係る Facilities Agreement 締結に関するお知ら
     せ」をご参照下さい。




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       なお、本日付「新株式発行に係る発行登録に関するお知らせ」にてお知らせしたとおり、当社は、本
      件買収に係る買収資金の一部を調達するための新株式の発行を機動的に行うための体制を整えること
      を目的として、新株式発行に係る発行登録(上限 2,700 億円)を行っております。新株発行を伴う資金
      調達の実施時期等によっては、上記の借入の一部を実行せず、当該新株発行を伴う資金調達による
      手取金を本件買収の対価の支払いに充当する可能性があります。


(6) 完了時期
       2021 年末までの本件買収の完了を予定しています。


3.    本件買収の方法および手続き
     本件買収は、英国法に基づくスキーム・オブ・アレンジメント(Scheme of Arrangement)により実施する予定
です。スキーム・オブ・アレンジメントとは、Dialog社の賛同の下、同社の株主および裁判所の承認を取得す
ることで買収が成立する手法です。Dialog社が本発表から28日以内に同社の株主に本件買収の承認を取
得する目的で必要書類を送付することが必要となり、この手続きを通じて、当社はDialog社の株式を100%取
得します。
     Dialog社株主の承認決議については、裁判所が招集する株主集会において出席株主の過半数が承認
し、かつ、かかる承認株主の所有に係る議決権数が、議決権行使総数の75%以上であることが決議要件と
なります。さらに、米国、中国、ドイツ、その他必要な各国の関連する規制当局による承認等を経た上で、裁
判所の承認を得る必要があります。
     本件買収は、上記の各承認を条件に、2021年末までに効力が発生することを見込んでいます。


4.    Dialog社の概要


 (1)    名称              Dialog Semiconductor Plc (XETRA:DLG)
 (2)    所在地             100 Longwater Avenue, Reading, RG2 6GP, United Kingdom
 (3)    代表者の役職・氏名       CEO: Jalal Bagherli
 (4)    事業内容            ミックスドシグナルなどのアナログICの開発、製造および販売
 (5)    資本金             14,253千米ドル(1,497百万円)
 (6)    設立年月日           1998年2月
                        Schroder Investment Management limited                   5.55%
                        Norges Bank Investment Management                        4.99%
 (7)    大株主および持株比率      Tsinghua Holdings Corporation Limited                    2.95%
                        The Vanguard Group, Inc.                                 2.74%
                        Dimensional Fund Advisors L.P.                           1.91%
                                        当社と当該会社との間には、記載すべき資本関係はあ
        上場会社と当該会社                       りません。また、当社の関係者および関係会社と当該
 (8)                      資本関係
        との間の関係                          会社の関係者および関係会社の間には、特筆すべき
                                        資本関係はありません。




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                             当社と当該会社との間には、記載すべき人的関係はあ
                             りません。また、当社の関係者および関係会社と当該
                   人的関係
                             会社の関係者および関係会社の間には、特筆すべき
                             人的関係はありません。
                             当社と当該会社との間には、記載すべき取引関係はあ
                             りません。また、当社の関係者および関係会社と当該
                   取引関係
                             会社の関係者および関係会社の間には、特筆すべき
                             取引関係はありません。
(9)   当該会社の最近3年間の連結経営成績および連結財政状態
決算期                 2017年12月期        2018年12月期        2019年12月期
                    1,342.4百万米ドル     1,302.5百万米ドル     1,572.6百万米ドル
  連結純資産
                    (140,954百万円)     (136,763百万円)     (165,121百万円)
                    1,576.8百万米ドル     1,717.1百万米ドル     2,177.0百万米ドル
  連結総資産
                    (165,563百万円)     (180,299百万円)     (228,583百万円)
                        17.08米ドル         16.77米ドル         20.64米ドル
  1株当たり連結純資産
                        (1,793.1円)       (1,761.2円)       (2,167.5円)
                    1,352.8百万米ドル     1,442.1百万米ドル     1,566.2百万米ドル
  連結売上高
                    (142,048百万円)     (151,424百万円)     (164,455百万円)
                     187.0百万米ドル       199.7百万米ドル       379.9百万米ドル
  連結営業利益
                     (19,637百万円)      (20,969百万円)      (39,885百万円)
                     194.8百万米ドル       196.2百万米ドル       385.0百万米ドル
  連結税引前利益
                     (20,454百万円)      (20,600百万円)      (40,429百万円)
                     169.4百万米ドル       139.8百万米ドル       301.5百万米ドル
  連結当期純利益
                     (17,791百万円)      (14,679百万円)      (31,652百万円)
  希薄化後1株当たり連結当           2.21米ドル          1.80米ドル          3.96米ドル
  期純利益                   (232.1円)         (189.0円)         (415.8円)
  1株当たり配当金                       -               -                -


5. 今後の見通し
 本件買収が成立した場合、Dialog社は当社の連結子会社となります。これに伴う当社の連結業績に与え
る影響については本件買収の進捗状況に応じ、速やかに開示します。


(注)本発表資料での円換算値は、2021年2月3日時点の為替レート(1ドル105円、1ユーロ126円)を使用し
て計算しています。
                                                               以上

<留意事項>
この文書は、英国Dialog社の買収手続き開始の合意について一般に公表するための記者発表文であり、日
本国内外を問わず、投資勧誘又はそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。また、こ
の文書は、米国における証券の募集又は販売を構成するものではありません。米国内においては、1933年



                             5
米国証券法に基づいて証券の登録を行うか又は登録義務からの適用除外を受ける場合を除き、証券の募
集又は販売を行うことはできません。

<将来予測に関する注意事項>
本資料に記載されているルネサス エレクトロニクスグループの計画、戦略および業績見通しは、現時点で
入手可能な情報に基づきルネサス エレクトロニクスグループが判断しており、潜在的なリスクや不確実性が
含まれております。そのため、実際の業績等は、様々な要因により、これら見通し等とは大きく異なる結果と
なりうることをあらかじめご承知願います。実際の業績等に影響を与えうる重要な要因としては、(1)ルネサス
エレクトロニクスグループの事業領域を取り巻く日本、北米、アジア、欧州等の経済情勢、(2)市場における
ルネサス エレクトロニクスのグループ製品、サービスに対する需要動向や競争激化による価格下落圧力、
(3)激しい競争にさらされた市場においてルネサス エレクトロニクスグループが引き続き顧客に受け入れら
れる製品、サービスを供給し続けていくことができる能力、(4)為替レート(特に米ドルと円との為替レート)の
変動等がありますが、これら以外にも様々な要因がありえます。また、世界経済の悪化、世界の金融情勢の
悪化、国内外の株式市場の低迷等により、実際の業績等が当初の見通しと異なる結果となる可能性もありま
す。



                     <本件に関する問合せ先>
                ルネサス エレクトロニクス株式会社 CEO 室
         〔報道関係〕03-6773-3001(直通)   〔IR関係〕03-6773-3002(直通)




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