6702 富士通 2020-07-30 15:00:00
富士通フロンテック株式会社株式等(証券コード6945)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ [pdf]
2020 年7月 30 日
各 位
会社名 富士通株式会社
代表者名 代表取締役社長 時田 隆仁
(コード番号 6702 東証第一部)
問合せ先 執行役員常務 広報 IR 室長 山守 勇
電話番号 03-6252-2175
富士通フロンテック株式会社株式等(証券コード 6945)に対する
公開買付けの開始に関するお知らせ
富士通株式会社(以下「公開買付者」といいます。 )は、2020 年7月 30 日開催の取締役会において、富
士通フロンテック株式会社(証券コード 6945、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といい
ます。)市場第二部上場、以下「対象者」といいます。 )の普通株式(以下「対象者株式」といいます。 )及
び本新株予約権(「本新株予約権」及び各新株予約権の定義については、下記「2.買付け等の概要」の
「
(2)買付け等を行う株券等の種類」をご参照ください。 )を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号。そ
の後の改正を含みます。以下「法」といいます。 )による公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。 )
により取得することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
記
1.買付け等の目的等
(1)本公開買付けの概要
公開買付者は、本日現在、東京証券取引所市場第二部に上場している対象者株式を 12,775,350 株(所
有割合(注1) :52.99%)所有し対象者を連結子会社としております。今般、公開買付者は、2020 年7
月 30 日開催の取締役会における決議により、対象者株式(本新株予約権の行使により交付される対象者
株式は含みますが、公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。 )及び
本新株予約権の全てを取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とするための取引(以下「本取引」とい
います。 )の一環として、本公開買付けを実施することを決定いたしました。
(注1)「所有割合」とは、対象者が 2020 年7月 30 日に公表した「2021 年3月期 第1四半期決算短信
〔日本基準〕 (連結)(以下「対象者四半期決算短信」といいます。
」 )に記載された 2020 年6
月 30 日現在の発行済株式総数(24,015,162 株)に、対象者から 2020 年7月 14 日に報告を受
けた 2020 年6月 30 日現在の本新株予約権 1,059 個(注2)の目的となる対象者株式の数(以
下「本潜在株式数」といいます。 )の合計(105,900 株)を加算した株式数(24,121,062 株)
から、対象者四半期決算短信に記載された 2020 年6月 30 日現在の対象者が所有する自己株式
数(13,115 株)を控除した株式数(24,107,947 株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨
五入しております。 )をいいます。以下同じとします。
(注2)本新株予約権 1,059 個の内訳は以下の表のとおりです。
新株予約権の名称 2020 年6月 30 日現在の個数 目的となる対象者株式の数(株)
-1-
第4回新株予約権 18 1,800
第5回新株予約権 19 1,900
第6回新株予約権 27 2,700
第7回新株予約権 30 3,000
第8回新株予約権 53 5,300
第9回新株予約権 114 11,400
第 10 回新株予約権 201 20,100
第 11 回新株予約権 242 24,200
第 12 回新株予約権 355 35,500
合計 1,059 105,900
公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を、対象者四半期決算短信に記載された
2020 年6月 30 日現在の発行済株式総数(24,015,162 株)に本潜在株式数の合計(105,900 株)を加算し
た株式数(24,121,062 株)から、対象者四半期決算短信に記載された 2020 年6月 30 日現在の対象者が所
有する自己株式数(13,115 株)を控除した株式数(24,107,947 株)に係る議決権の数(241,079 個)の
3分の2(160,720 個) (小数点以下切上げ)に、対象者の単元株式数である 100 株を乗じた数
(16,072,000 株)から本日現在において公開買付者が所有する対象者株式 12,775,350 株を控除した数
(3,296,650 株)に設定し、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。 )
の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、公開買付者は、応募株券等の全部の買付け等を行い
ません。本公開買付けにおいては、対象者を完全子会社化することを目的としているところ、下記「(4)
本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項) 」に記載の株式併合の手続を実
施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。 )
第 309 条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされるため、本取引の実施を着実に遂行す
べく、本公開買付け後に公開買付者が対象者の総株主の議決権の3分の2以上を所有することとなるよう
買付予定数の下限を設定したものです。一方、本公開買付けにおいては、買付予定数に上限は設けておら
ず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(3,296,650 株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付
け等を行います。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、対象者株式(本新株予約権の行
使により交付される対象者株式は含みますが、公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自
己株式を除きます。 )及び本新株予約権の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下
記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項) 」に記載の各手続(以
下「本スクイーズアウト手続」といいます。 )を実施することにより、公開買付者が対象者株式(本新株
予約権の行使により交付される対象者株式は含みますが、公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が
所有する自己株式を除きます。 )及び本新株予約権の全てを取得し、対象者を完全子会社化することを予
定しております。
なお、対象者が 2020 年7月 30 日に公表した「支配株主である富士通株式会社による当社株券等に対す
る公開買付けに関する意見表明及び応募推奨のお知らせ」 (以下「対象者プレスリリース」といいます。 )
によれば、対象者は、同日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対
象者の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨すること、本新株予約権の所有者(以下「本
新株予約権所有者」といいます。 )の皆様に対しては、本公開買付けにおける本新株予約権各1個当たり
の買付け等の価格(以下「本新株予約権買付価格」といいます。 )が1円とされていることから、本新株
予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権所有者の皆様のご判断に委ねる
ことを決議したとのことです。
上記対象者の取締役会決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」
-2-
の「(5)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「
(公開買付価格の公正性を担保するた
めの措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置) 」の「
(ⅵ)
対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。 )の承認」をご参照ください。
(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経
営方針
① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
公開買付者は、1935 年6月に富士通信機製造株式会社として設立し、1949 年5月に東京証券取引
所に、1960 年 12 月に株式会社大阪証券取引所(現在の東京証券取引所)に、1961 年 10 月に株式会
社名古屋証券取引所に株式をそれぞれ上場し、その後 1967 年6月に現在の商号に変更しました。公
開買付者は、公開買付者、その連結子会社 391 社及び持分法適用関連会社 60 社(2020 年3月 31 日現
在)からなる企業グループ(当該企業グループには対象者も含まれ、以下「公開買付者グループ」と
いいます。 )により構成されています。公開買付者は、ICT(注1)分野において、各種サービスを提
供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクトの開発、製造、販売から保
守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っております。主要ビジネス
である「テクノロジーソリューション(注2) 」については、公開買付者が中心となって、グループ
各社とともに最先端のテクノロジーを駆使した製品の開発、製造及び販売並びにサービスの提供を
行っております。
公開買付者グループは、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要
と考えております。
公開買付者グループをとりまく市場環境については、従来型の基幹システムなどの既存 IT 市場は、
今後緩やかに縮小、一方で、レガシーシステムのリプレイスメントや、効率化のためのモダナイゼー
ション(注3)への投資は堅調に増えると予測されています。さらに、AI(人工知能)やデータ活用、
IoT(注4)など、デジタル化に向けた投資は、今後急速に拡大すると想定されています。
このような状況の下、公開買付者グループは、ますます需要が高まる企業の DX(デジタルトラン
スフォーメーション) (注5)を牽引し、社会課題の解決に貢献する「DX 企業」への変革を目指し、
2019 年9月 26 日に、2023 年3月期に向けた新たな経営目標を策定し、また、2020 年 7 月 30 日には
それら経営目標の達成に向けた 2021 年3月期の経営方針及び目標(以下「本新経営方針」といいま
す。 )を策定しました。
本新経営方針では、今後は、AI、データ活用などのテクノロジーをベースとした DX ビジネスと、
DX に必要なクラウド移行などのモダナイゼーションとを合わせて「デジタル領域」とし、これを成
長させていきます。
デジタル領域においては、DX ビジネスを加速するため、これに特化したコンサルティング会社で
ある Ridgelinez 株式会社(リッジラインズ)を 2020 年1月 15 日に設立しました。経営戦略及び各
業種に特化したコンサル、ソリューションをベースとしたコンサルなど、様々な切り口で企画・提案
を行い、社内外から最適なサービス・製品を用いてテクノロジーを実装し、ワンストップで提供して
まいります。
そして、DX を支えるテクノロジーとして、コンピューティング、AI、5G ネットワーク、サイバー
セキュリティ、ハイブリッド IT、データマネジメント、IoT の7つを重点技術領域として定め、リ
ソースを集中し強化してまいります。また、テクノロジーの強化に加え、ビジネス機会創出と新事業
を推進するための投資を実行します。コーポレートベンチャーキャピタルやベンチャー企業への投資、
M&A への投資も適宜行ってまいります。
併せて、公開買付者グループの DX を加速するため、社内プロセスや情報インフラの刷新を行い、
社内改革を実行してまいります。
公開買付者グループが強い顧客基盤を持つ従来型 IT ビジネスについては、一層の効率化を推し進
めるとともに、商談機会を確実に獲得することで、利益を確保してまいります。また、2020 年7月
17 日、公開買付者は IT サービス市場でトップシェアを占めているとの認識の下で日本国内のさらな
るビジネス拡大に向けて、富士通 Japan 株式会社を 2020 年 10 月1日に発足させることを発表しまし
た。
-3-
海外ビジネスについては、成長軌道に乗せるためのビジネスモデル変革に引き続き取り組んでお
り、特に欧州は、北欧と西欧及び中欧と東欧の2つの地域に分け、それぞれに責任者を置いて機動的
にビジネスを展開してまいります。
また、非財務面での取り組みも強化してまいります。公開買付者グループは、SDGs(注6)を経
営の中心に据えて取り組んでおります。これまでも責任ある企業として、世界各地域において、それ
ぞれテーマに沿って活動しておりましたが、今後は、グローバルに統一したテーマのもと、活動を進
めてまいります。人権や多様な価値観、心身ともに健康であることを目指すウェルビーイング、地球
環境、倫理・コンプライアンス、コミュニティ活動などのカテゴリーごとに目標を定め、社会課題の
解決に取り組むとともに、グローバルに持続的な成長を目指してまいります。
上記の施策を推し進め、グローバルでの競争力を高めながら、DX 企業への積極的な変革に取り組
んでまいります。公開買付者は、急速に変化する世界のなかで創立から 100 年(2035 年)を超えて
繁栄していくため、 「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしてい
く」というパーパスを制定しました。このパーパスの実現に向けて、中期経営目標として、2023 年
3月期には、本業のテクノロジーソリューションにおいて、売上収益3兆5千億円、連結営業利益率
10%の達成を目指してまいります。
また、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大により、世界規模で経済活動に影響が出ており、そ
の回復の見込みは不透明な状況にあります。外出・移動制限による個人消費の落ち込みや世界各国に
おける貿易制限措置によるサプライチェーンリスクの顕在化など、各産業において様々な影響が出て
います。一方で、これまで対面で行われていた生活やビジネスのシーンが、今後オンラインの場に移
行すると予想されており、テレワークやオンライン教育などへの IT 関連需要は拡大すると予測され
ています。より人を中心にデータが複雑につながっていく中、公開買付者はデジタルテクノロジーと
多様な業種への実績・知見を活かし、安心で利便性の高い社会づくりに貢献していきます。
なお、公開買付者グループは、企業価値の維持・向上の観点から、コンプライアンスを含む内部
統制体制の構築及び運用を経営の最重要事項の一つと認識し、世界中の公開買付者グループの役職員
がすべての意思決定や行動のより所とすべき原理原則を示すものである Fujitsu Way の「行動規範」
に則り、その徹底を図っております。
(注1)
「ICT」とは、Information and Communication Technology の略で情報通信技術のことをいい
ます。
(注2)「テクノロジーソリューション」とは、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となっ
た総合的なサービスを、主として法人のお客様に最適な形で提供するもので、ソリューショ
ン・サービス、システムプラットフォーム、海外リージョン及びテクノロジーソリューショ
ン共通により構成されています。
(注3)「モダナイゼーション」とは、現状の資産を活用しながら、変化対応力を備え、先進技術を
素早く活用できるシステムへ変革していくことをいいます。
(注4)
「IoT」とは、(Internet of Things)の略で、モノのインターネット、身の回りのものがイ
ンターネットにつながる仕組みのことです。
(注5)
「DX」とは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称で、デ
ジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらすもの
のことです。
(注6)
「SDGs」とは、Sustainable Development Goals の略で、2015 年に国連で採択された国際社
会が環境や社会、経済活動を未来に向けて持続可能とするための世界共通の開発目標のこと
です。
一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、1940 年 11 月に、洋食器並びに自動旋盤機器及
び自動車部品の製造を目的に、株式会社金岩工作所として設立され、1944 年 11 月に公開買付者が対
象者の全ての株式を譲り受け、公開買付者の完全子会社となったとのことです。1944 年 11 月、対象
者は商号を蒲原機械工業株式会社に、1970 年6月に蒲原機械電子株式会社に、1972 年6月に富士通
機電株式会社に変更、1974 年8月には、金融端末機器の開発・製造・販売を、1980 年9月には
流通端末機器の開発・製造・販売を開始し、事業領域を大幅に拡大させてきたとのことです。1988
-4-
年2月に対象者が東京証券取引所市場第二部に株式を上場し、2002 年7月には商号を「富士通フロ
ンテック株式会社」に改称したとのことです。
対象者グループ(対象者及びその子会社により構成される企業集団をいいます。以下同じとしま
す。)は、本日現在、対象者及び連結子会社 14 社から構成され、主としてフロントテクノロジー製品
(注7)の開発・製造・販売及びソリューション・サービスの提供を行っているとのことです。
対象者グループは、 「ふれる・つなぐ・かえる」をコンセプトに「お客様最前線の DX 企業」として、
お客様フロントの改革をサポートしていくとのことです。企業や更にその先のお客様に、対象者の提
供するハードウェアに先ず「ふれて」いただくことで、対象者のソフトウェアが企業と人を「つな
ぎ」、そこから今までにない新しいサービスやソリューションが展開され、企業が人々の生活をより
豊かなものに「かえる」とともに企業のフロント業務もより革新的なものに「かえる」 、このコンセ
プトで暮らしやすく安心・安全な社会の実現を中期ビジョンとして目指しているとのことです。そし
て、対象者の強みであるテクノロジーとプロダクトをフロント領域でデジタル革新をもたらすコアと
位置づけ、「コト」からの発想でプロダクト・ソリューション・サービスが三位一体となり、お客様
のビジネスに新たな価値を提供しているとのことです。
対象者グループは、これらの方針の下、積極的にビジネスを展開していくとのことですが、対象
者グループを取り巻くビジネス環境は大きく変化しているとのことです。キャッシュレス、シェアリ
ングエコノミー、労働力の減少といった変化への対応がますます大きな課題となる中、例えば、マイ
ナス金利政策の下厳しい経営環境にある国内金融機関では、コスト削減への意識の高まりを背景に、
営業拠点数及び人員削減策に加え、ATM の相互開放や合併・提携などが相次いで発表されているとの
ことです。また、同業界においては、自動車業界と同じく金融版 CASE(注8)革命が起こっており、
各金融機関は AI や RPA(注9)等のデジタル革新技術による生産性向上や事業領域拡大に取り組む
など、金融版 CASE 革命対応のための戦略や投資の重要性が高まっている状況とのことです。その他
の業界等でも、働き方改革や深刻化する人手不足への対応を目的に、フロントでの決済における
キャッシュレス化を推進しつつ、現金での売上金や釣銭の管理を行うバックオフィスでの現金管理業
務の効率化ニーズが潜在的に存在しており、顧客企業における BPO サービスの導入機運が高まってい
るとのことです。このように、顧客企業を取り巻く経営環境の変化やキャッシュレス化の進展などで
厳しさが増す一方、様々な業界において自動化・省力化の進展、決済手段の多様化、安心・安全を求
めるニーズの高まりによって、新たなサービスモデルが創出される環境が整ってきており、柔軟な経
営方針の策定及び機動的な戦略の実行が求められているとのことです。
公開買付者と対象者の資本関係としては、1988 年2月 22 日に対象者が東京証券取引所第二部へ上
場したこと、及び上場直後の 1988 年3月に公開買付者が対象者株式 1,200,000 株を市場売却したこ
とにより、1988 年3月時点で公開買付者は 8,400,000 株(所有していた割合:60.43%(本段落にお
ける「所有していた割合」とは各時点における対象者の発行済株式総数に対する割合をいい、小数点
以下第三位を四捨五入しています。 )を所有しておりましたが、対象者が 1988 年5月及び 1989 年 11
月にそれぞれ対象者株式1株につき 1.15 株の割合で実施した株式分割により公開買付者の所有株式
は 9,660,000 株、更に 11,109,000 株(所有していた割合:60.43%)に増加、対象者が 1990 年3月
に実施した一般募集の増資により公開買付者が所有していた割合は 53.20%に減少、その後、対象者
が対象者株式1株につき 1.15 株の割合で実施した株式分割により 1991 年5月に公開買付者の所有株
式は 12,775,350 株(所有していた割合:53.20%)に増加し、本日現在、公開買付者は対象者株式を
12,775,350 株(所有割合:52.99%)所有するに至っています。
対象者は公開買付者のテクノロジーソリューションのセグメントに属しており、公開買付者は、
対象者を連結子会社とする一方、対象者の主力製品であるシステムプロダクト製品やフロントソ
リューション製品及びサービス等の一部を対象者から仕入れています。また、公開買付者は、パソコ
ン、サーバなどの製品を対象者に納入しております。対象者とは継続的かつ安定した取引関係にあり、
対象者全体の売上において公開買付者への売上が4割を占めています。
公開買付者は、親子上場が企業ガバナンスの観点から投資家の高い注目を集めていることから、
上場子会社との資本関係の見直しを進めることとし、この対応を含めたグループ経営における最適な
グループフォーメーション及びガバナンスについての企画・施策を立案及び実行することを目的とす
る専門部署をコーポレート機能として 2020 年2月に設置しました。
-5-
公開買付者としては、対象者は公開買付者との事業上の繋がりが大きいことから、公開買付者グ
ループ全体としての経営資源の相互活用や意思決定の迅速化を図り、対象者の事業においては公開買
付者グループとの連携強化や一体化によるシナジー創出を図ることが望ましく、一方で、公開買付者
グループにおいて対象者とのシナジーを生み出さない事業は当該事業に対する知見を有する公開買付
者グループ外の外部パートナーとの連携・アライアンスを含めた抜本的施策により事業価値の向上を
図ることを考えております。この対象となる事業については、本公開買付けの実施後に予定している、
網羅的なシナジーの詳細を含む事業戦略の検討(下記「③本公開買付け実施後の経営方針等」をご参
照ください。 )の過程にて、把握する予定です。
公開買付者は、これらの抜本的な構造改革を実施するためには、急激な事業変化に対応すべく迅
速な意思決定構造を構築し、対象者において一時的な損益の悪化による株価の変動にとらわれず臨機
応変に再編を実行していく必要があるものと考えました。そのため、完全子会社化を実施した上で、
両社のシナジー構築や事業再編を検討・実施していく必要が生じてきました。
そこで、公開買付者は、2020 年3月下旬、対象者の完全子会社化を検討する方針とし、2020 年4
月 20 日、対象者に説明の上、両社の実務者間で具体的なプロセスの協議を開始しました。2020 年5
月 26 日、公開買付者は対象者に対して公開買付けの方法により、対象者を完全子会社化したい旨の
初期的な意向表明書を提出し、対象者でも特別委員会を設置し本取引に関しての本格的な検討が開始
されました。そして、公開買付者は、2020 年6月上旬から同年7月下旬まで対象者へのデュー・
ディリジェンスを行い、2020 年6月下旬に対象者から事業計画の提出を受け、対象者へのインタ
ビューを経て、2020 年7月3日に本公開買付けにおける対象者株式1株当たりの買付け等の価格
(以下「本公開買付価格」といいます。 )を 1,410 円とする意向表明書を提出しました。以降、公開
買付者は対象者との間で、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件について継続的に協議及び交
渉を行ってまいりました。具体的には、2020 年 7 月 10 日、公開買付者は、本公開買付価格を 1,800
円とするよう対象者から提案を受け、同月 16 日に本公開買付価格を 1,490 円とする旨を対象者に提
案しました。その後、同月 17 日に対象者から本公開買付価格を 1,720 円とするよう提案を受け、同
月 22 日に本公開買付価格を 1,520 円とする旨を対象者に提案しましたが、同日に対象者から本公開
買付価格を 1,600 円とするよう提案を受けました。以上の交渉を経て、公開買付者は、2020 年7月
28 日、対象者に対して、本公開買付価格を 1,540 円とすることを含む最終提案を行いました。一方、
本新株予約権は、対象者の取締役及び経営執行役に対して株式報酬型ストックオプションとしていず
れも発行されたもので、権利行使の条件として対象者の取締役または経営執行役の地位を喪失した日
の翌日以降 10 日間に限り権利行使することができるとされており、公開買付者が本新株予約権を取
得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、公開買付者は、2020 年7月
16 日、本新株予約権買付価格は1個につきいずれも1円に設定しております。
なお、公開買付者は、本取引によって具体的に以下のメリットが期待できると考えております。
(ⅰ)公開買付者グループ全体としての経営資源の相互活用や意思決定の迅速化
コンタクトレス(非接触)の機会増によるキャッシュレス化の進展や AI の発展に伴う
FinTech(注 10)の拡大など、対象者を取り巻く事業環境は大きく変化していると考えてお
ります。今後予想される事業環境の激変に即応するため、対象者の完全子会社化により、
公開買付者グループ全体として例えば、対象者が持つ銀行営業店ソリューションや手のひ
ら認証技術などの経営資源の相互活用や意思決定の迅速化を図れると考えております。
(ⅱ)対象者のソリューション・サービスビジネスの、公開買付者グループとの連携強化や一体
化によるシナジー創出
本新経営方針では、 「IT 企業から DX 企業への転換」を推進しており、対象者の完全子会社
化が実現した際には、対象者もその重要な一翼を担っていただく存在になると考えており
ます。SNS との連携、モバイル決済、P2P(注 11)送金、仮想通貨対応など FinTech との融
合加速などの、新しいビジネスモデルの確立に向けて、対象者が手掛ける金融・産業・流
通・公共の主要分野において、両者が一体となってデジタル技術とデータを駆使した革新
的なサービスやビジネスプロセスの変革を実現し得るソリューションの開発及び提供を推
進し、更なる成長が期待できると考えております。また手のひら静脈認証、RFID(注 12)
-6-
は、公開買付者の一部製品やサービスに使用されていますが、公開買付者の目指す DX サー
ビスオファリングのドライバとして活用を図れば、更なる普及促進が期待できると考えて
おります。
(ⅲ)グローバルプロダクトビジネスのさらなる事業価値の向上
本新経営方針では成長の実現と同時に収益性の向上を追求し、テクノロジーソリューショ
ン部門において営業利益率 10%(2023 年3月期)の目標を発表しています。新興国(特に中
国)でのキャッシュレス化の拡大・浸透、金融機関における店舗削減、ハードウェア更新
投資の停滞、中国ローカル企業の台頭、メカコンポーネント(注 13)ビジネスにおける競
合他社との競争激化など、対象者のグローバルプロダクトビジネスは収益性で厳しい環境
に置かれていると認識しています。人手不足が続く流通・小売業界を対象とした自動化・
省人化ニーズの拡大(フロントとバックヤード双方で高速一括処理を可能にする現金処理
機、POS システム・セルフチェックアウトシステム(注 14)の拡販など)は、経営資源の相
互活用や意思決定の迅速化が進むことで、外部パートナーとの連携・アライアンスを含め
た抜本的な施策が現状よりもより高いレベルで実施できるものと考えております。
(注7) 「フロントテクノロジー製品」とは、金融、流通、公共など、様々な分野でお客様と生活
者の接点(フロント)が生まれる領域において、対象者が有するテクノロジーをソ
リューション・サービスと組み合わせることで提供される製品又はサービスの総称をい
います。
(注8) 「CASE」とは、本来的には自動車業界における社会変化又は技術変化の動きを指す用語で、
Connected(コネクティッド) 、Autonomous(自動運転)、Sharing(シェアリング)、
Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語をいいます。ここでは、金融業界におけ
る大変革期を金融版 CASE と称し、Cashless(キャッシュレス) AI(人工知能) 、 、
、
Sharing(シェアリング) Employee(省人化)の頭文字をとった造語のことをいいます。
(注9) 「RPA」とは、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)
の略称で、事業プロセスに関する自動化技術の一種のことをいいます。
(注 10)「FinTech」とは、金融を意味するファイナンス(Finance)と技術を意味するテクノロ
ジー(Technology)を組み合わせた造語です。
(注 11)
「P2P 送金」とは、スマートフォンなどを介し個人間で金銭のやりとりをすることをいい
ます。
(注 12)「RFID」とは、ラジオ・フリークエンシー・アイデンティフィケーション(Radio
Frequency Identification)の略称で、近距離無線通信を用いた自動認識技術のことをい
います。一般的には、無線通信を用いて、IC タグを取り付けた様々な対象物を識別・管
理するシステムやその部品のことをいいます。
(注 13)「メカコンポーネント」とは、ATM などの金融系端末、セルフチェックアウトシステム
(SCO)や入金機などの流通系端末、公営競技における馬券・車券・舟券発払機などの公
営競技用端末に搭載され、これらの端末に投入された紙幣を鑑別し入出金を処理する
キャッシュリサイクルユニット、キャッシュディスペンサーユニットのことをいいます。
(注 14)
「セルフチェックアウトシステム」とは、スーパーマーケットなどの流通小売店舗におい
て、来店したお客様が、購入する商品のバーコードや RFID タグなどを自分で読み取らせ、
店員を介さずに精算までを行うためのシステム及び端末のことをいいます。
以上の検討、協議及び判断を踏まえ、公開買付者及び対象者において、対象者の更なる企業価値
向上のためには、対象者の少数株主との利益相反を回避して、対象者が公開買付者の完全子会社と
なって、より緊密な関係の下で、経営基盤、事業のノウハウ、経営資源を相互にフル活用し、強固な
資本関係と協力体制を築きお互いの営業基盤を補完し迅速かつ機動的な経営判断の下で公開買付者及
び対象者が一体となって組織を運営していくのが妥当であるとの結論に至ったことから、公開買付者
は、西村あさひ法律事務所から受けた法的助言及びみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といい
ます。)から受けた財務的見地からの助言並びに対象者普通株式の価値に係るみずほ証券が作成した
-7-
2020 年 7 月 30 日付の株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(みずほ証券)」)の内容を踏まえ
つつ、慎重に協議及び検討を行い、対象者を公開買付者の完全子会社とすることを目的として、2020
年7月 30 日開催の取締役会における決議により、本公開買付けを実施することを決定いたしました。
なお、本株式価値算定書(みずほ証券)の概要については、下記「2.買付け等の概要」の「 (5)
買付け等の価格の算定根拠等」の「① 算定の基礎」をご参照ください。
② 対象者における意思決定の経緯及び理由
対象者プレスリリースによれば、対象者は、2020 年4月 20 日、公開買付者から本取引に関する協
議を開始したい旨の意向を受けたことを契機として、対象者と公開買付者の実務者間で具体的なプロ
セスの協議を開始し、下記「2.買付け等の概要」の「 (5)買付け等の価格の算定根拠等」の「②
算定の経緯」の「 (公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
等本公開買付けの公正性を担保するための措置) 」に記載のとおり、対象者が公開買付者の連結子会
社であり、公開買付者が対象者の支配株主となっているところ、本取引が支配株主との重要な取引等
に該当し、また、2020 年4月時点において対象者の取締役8名のうち3名が公開買付者の役職員を
兼職していたこと等から、対象者における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得るこ
とに鑑み、本公開買付価格の公正性その他本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、2020
年4月下旬に、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会
社(以下「SMBC日興証券」といいます。 )を、2020 年5月中旬に、リーガル・アドバイザーとし
てアンダーソン・毛利・友常法律事務所を、それぞれ選任したとのことです。さらに、2020 年5月
26 日、公開買付者より対象者に対して公開買付けの方法により、対象者を完全子会社化したい旨の
初期的な意向表明書が提出されたことを受け、利益相反回避のため、アンダーソン・毛利・友常法律
事務所からの助言も踏まえ、対象者から独立した特別委員会を設置し、本取引に係る協議・交渉を行
う体制を構築した上で、本取引に関して本格的な検討が開始されたとのことです。なお、特別委員会
の詳細については、下記「2.買付け等の概要」の「 (5)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算
定の経緯」の「 (公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等
本公開買付けの公正性を担保するための措置) 」の「(ⅳ)対象者における独立した特別委員会の設置
及び対象者における特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。
その後、対象者は、2020 年6月上旬より、公開買付者によるデュー・ディリジェンスが行われ、
2020 年6月下旬に公開買付者に対して事業計画の提出をし、公開買付者によるインタビューを経て、
また、SMBC日興証券及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を受けながら、公開買付者
との間で、本取引の意義及び目的、本取引後の経営体制・事業方針を含め、本取引の是非及び本取引
における諸条件等についての協議・交渉を開始し、また、2020 年7月3日には公開買付者から意向
表明書の提出を受けたことも踏まえ、近時の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を契機として、
2020 年2月下旬以降、対象者株式の市場価格が乱高下しているものの、かかる市場株価の状況に左
右されない対象者の適正な企業価値評価の観点から慎重に、公開買付者との間で複数回にわたって協
議・交渉を重ねたとのことです。
また、対象者は、2020 年7月3日、公開買付者より、本公開買付価格を 1,410 円とすることを含
む最初の提案を受領し、以降、公開買付者との間で、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に
ついても継続的に協議及び交渉を行ってきたとのことです。具体的には、対象者は、2020 年7月 10
日、公開買付者に対し、本公開買付価格を 1,800 円とするように提案し、その後、同月 16 日に公開
買付者から本公開買付価格を 1,490 円とする旨の提案を受領したことを受けて、同月 17 日に公開買
付者に対し、本公開買付価格を 1,720 円とするように提案し、さらに、同月 22 日に公開買付者から
本公開買付価格を 1,520 円とする旨の提案を受領したことを受けて、同日に公開買付者に対し、本公
開買付価格を 1,600 円とするよう提案を行ったとのことです。以上の交渉を経て、対象者は、2020 年
7月 28 日、公開買付者より、本公開買付価格を 1,540 円とすることを含む最終提案を受けるに至っ
たとのことです。かかる最終提案に対する対象者の検討内容は、後述のとおりとのことです。
上記のような経緯も踏まえ、対象者は、以下のとおり、本取引は対象者の企業価値の向上に資す
るものであると判断するに至ったとのことです。
対象者グループを取り巻く事業環境の変化を踏まえれば、お客様最前線の DX 企業を目指す対象者
の企業価値を向上していくためには、重点戦略である(a)顧客ニーズの変化を先取りしたソリュー
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ション・サービス起点でのビジネス拡大、 (b)ユニーク技術をコアとしたソリューションビジネス創
出、特長ある LCM サービス(注 15)の展開、(c)メカコンポーネントビジネスの領域拡大、を具現
化するための施策の実施が急務であると考えられるとのことです。そして、これらの施策を着実に実
施していくには国内外の事業者とのネットワークや、事業変革に耐え得る確固たる財務基盤が必須で
あり、連結親会社の公開買付者及びそのグループ企業との連携を強化し、公開買付者グループが保有
する各種資源と資産を、積極的に活用することによって、以下のとおり、これらの重点戦略の実行が
実現可能と考えているとのことです。
(a)顧客ニーズの変化を先取りしたソリューション・サービス起点でのビジネス拡大
対象者グループの得意とするお客様の最前線の業務のデジタル化と、公開買付者グループが得意
とするお客様の基幹業務のデジタル化を融合することで DX 改革が実現できると考えているとのこと
です。このような両社の業務の融合により、これまでデジタル化の域を出なかった個々のシステムが、
新たな価値や予想だにしなかった価値を各種データから生み出し、お客様のビジネス拡大・効率化に
つながるものと考えているとのことです。対象者は、これを真の DX と考え、その実現には両社の踏
み込んだ連携が不可欠と考えているとのことです。両社の協業体制の一層の強化を通じて、金融のみ
ならず流通、公共、医療、物流、製造など、より幅広い領域で顧客現場から基幹業務まで一貫して顧
客ニーズに対応できる体制を構築し、プロダクト・ソリューション・サービスの三位一体での DX 改
革を実現することで、ビジネスの拡大が可能になると考えているとのことです。
(b)ユニーク技術をコアとしたソリューションビジネス創出、特長ある LCM サービスの展開
DX 企業として、お客様のデジタル改革を実現するソリューション・サービスの提供が対象者の最
終的な目的ですが、それを支えるハードウェアの役割も大変大きいと考えているとのことです。特に、
セキュリティ及びセンシング分野におけるプラットフォームビジネスの強化を図る中で、RFID、手の
ひら静脈認証といった対象者のユニークな技術は他社との差別化のキーであり、それを公開買付者グ
ループが有するソリューション・サービスと組み合わせることで、幅広く市場ニーズを拡大し、製品
ビジネス拡大及びトータルソリューションビジネス化を推進することが可能になると考えているとの
ことです。また、公開買付者グループがソリューションを提供する際に必要なハードウェアに関して
は、RFID や静脈認証装置に限らず、要求に合致するものを性能・品質を見極めながら、運用・保
守・修理サービスと組み合わせて広く提供することでビジネスの拡大につながると考えているとのこ
とです。
(c)メカコンポーネントビジネスの領域拡大
対象者のメカコンポーネントは、国内 ATM 装置の構成ユニットとしてだけでなく、世界各国の ATM、
セルフチェックアウトシステム、流通現金管理装置、交通系機器等にも広く供給されており、現在も
年間約 50,000 ユニットを製造販売しているとのことです。対象者は、コストダウンや新規顧客の開
拓による販売台数の増大に加えて、グローバルで 50 万台以上稼働しているメカコンポーネントを
ベースに、ソリューション・サービスビジネスへ拡大することが重要な課題と認識しているとのこと
です。具体的な施策として業務運用や装置稼働に関するデータの収集・AI による分析や予測により、
お客様の業務面の新たな課題解決や装置予防保守によるサービスの向上につなげることで、新たな
DX ビジネス領域の開拓を目指すとのことです。そのためには、公開買付者グループが有する高度な
IT 技術及びグローバルな人的物的経営資源を最大限に有効活用することが不可欠であると考えてい
るとのことです。
そして、上記施策を実施し、対象者の企業価値を継続的に向上させていくためには、公開買付者
グループと対象者グループとの間におけるこれまで以上の積極的な連携を行い、両社グループが一体
となって、中長期的な視点での経営戦略の立案・遂行を通じて、グループ利益の最大化を図っていく
必要があり、 (a)その過程においては、上記施策の中には、ソリューションビジネスの多様化に際し
ては積極的な施策として公開買付者グループが有する豊富な DX ノウハウを活用した製品・サービス
の拡充を図ることも含まれることのほか、公開買付者の人的物的経営資源並びに IT 技術及び IT シス
テム等における業務の共通化に際して、対象者グループが更なる事業進化を遂げる上で、既存の事業
構造に影響を与え得る施策・投資等が想定され、短期的には対象者の経営成績や財務状態へ影響を与
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える可能性があるものも含まれ、対象者が上場会社である状態では、短期的には少数株主の皆様に不
利益を被らせてしまう可能性も否定できないこと、 (b)急激な事業環境の変化に迅速に対応していく
形で上記施策を実施していくためには対象者としての迅速な意思決定体制を構築することが不可欠で
あること、 (c)公開買付者グループを通じた製品調達や販売に関する取引、公開買付者グループの国
内外の販売網、流通網を利用するに際して必要となる取引、公開買付者グループの IT システム等の
利用に関する取引等の取引関係を含む、公開買付者グループとの間の連携の強化に伴い、対象者の親
会社である公開買付者と対象者の少数株主との間の利益相反の問題がこれまで以上に顕在化すること
となるものの、対象者が公開買付者の完全子会社となれば、利益相反の問題を回避しつつ、上記施策
を迅速に実施していくことが可能となること、 (d)対象者が公開買付者の完全子会社となることによ
り、公開買付者と一体として企業信用力及び財務基盤の更なる向上が期待できることから、対象者が
公開買付者の完全子会社となることが、対象者の企業価値向上に資する最善の方策であると判断した
とのことです。
また、対象者は、本公開買付価格(対象者株式1株当たり 1,540 円)について、 (ⅰ)下記「2.
買付け等の概要」の「 (5)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「 (公開買付価格
の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保す
るための措置) 」の「(ⅱ)対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に
記載のSMBC日興証券による対象者株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結
果の上限を上回るものであり、かつ、類似上場会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フ
ロー法(以下「DCF 法」といいます。 )の算定結果のレンジの範囲内であること、 (ⅱ)本日の前営業
日である 2020 年7月 29 日の東京証券取引所における対象者株式の終値 1,620 円に対しては 4.94%
(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率又はディスカウント率の計算において同じとし
ます。 )ディスカウントとなる金額であるものの、直近1ヶ月間の終値単純平均値 1,194 円(小数点
以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。 )に対して 28.98%、直近
3ヶ月間の終値単純平均値 1,118 円に対して 37.75%、直近6ヶ月間の終値単純平均値 1,113 円に対
して 38.36%のプレミアムを加えた金額となっており、また、対象者再編の思惑買いを示唆する一部
情報配信会社による情報配信等に関連すると考えられる 2020 年7月 28 日及び 29 日の対象者株式の
急激な株価変動の影響を可能な限り排除する観点から、当該情報配信等の影響を受けていない直近の
営業日である 2020 年7月 27 日の東京証券取引所における対象者株式の終値 1,274 円に対しては
20.88%、直近1ヶ月間の終値単純平均値 1,145 円に対して 34.50%、直近3ヶ月間の終値単純平均
値 1,101 円に対して 39.87%、直近6ヶ月間の終値単純平均値 1,110 円に対して 38.74%のプレミア
ムを加えた金額となっており、SMBC日興証券から提供された公開買付けを利用した支配株主によ
る完全子会社化事例における平均的なプレミアム水準に比して遜色なく、合理的な水準のプレミアム
が付された価格であるといえること(なお、対象者は、2020 年5月 13 日付で「連結業績予想値と実
績値との差異に関するお知らせ」を公表しておりますが、対象者株式の市場株価は、当該公表直後に
一時的に下落したものの、その後大きく落ち込むことなく推移しているとのことですので、対象者株
式の市場株価に対するプレミアムの検討に際しては、本公開買付けの公表日(本日)の直近1ヶ月間
の終値単純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値並びに当該情
報配信等の影響を受けていない直近の営業日である 2020 年7月 27 日の終値、直近1ヶ月間の終値単
純平均値、直近3ヶ月間の終値単純平均値及び直近6ヶ月間の終値単純平均値のそれぞれに対するプ
レミアムが十分に確保されていることをもって、合理的な水準であると判断しているとのことです。、 )
(ⅲ)下記「2.買付け等の概要」の「 (5)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の
「(公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付け
の公正性を担保するための措置) 」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られて
おり、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、 (ⅳ)上記措置が採られた上で、
公開買付者と対象者との間で、独立当事者間の取引における協議・交渉と同程度の協議・交渉が複数
回行われた結果として提案された価格であること、 (ⅴ)下記「2.買付け等の概要」の「 (5)買付
け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「 (公開買付価格の公正性を担保するための措置及
び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置) 」の「 (ⅳ)対象者
における独立した特別委員会の設置及び対象者における特別委員会からの答申書の取得」に記載のと
おり、特別委員会から取得した答申書においても、公正性・妥当性が確保されていると判断されてい
-10-
ること等を踏まえ、本公開買付けは、対象者の株主の皆様に対して、合理的なプレミアムを付した価
格及び合理的な諸条件により対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断したとのことです。
なお、本公開買付価格は、対象者の 2020 年3月 31 日現在の簿価純資産から算出した1株当たり純
資産額を下回っているとのことですが、資産売却等の困難性や清算に伴う相当な追加コストの発生等
を考慮すると、仮に対象者が清算する場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、
相当程度棄損することが見込まれるとのことです。また、純資産額は、会社の清算価値を示すもので
あり、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である対象者の企業価値の算定において
重視することは合理的ではないと考えているとのことです。
以上より、対象者は、2020 年7月 30 日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同の意
見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨することを決
議したとのことです。
また、本新株予約権については、本新株予約権買付価格が1円とされていることから、本新株予
約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権所有者の皆様のご判断に委ね
ることを決議したとのことです。
なお、対象者取締役会の決議の詳細については、下記「2.買付け等の概要」の「 (5)買付け等
の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「 (公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利
益相反を回避するための措置等本公開買付けの公正性を担保するための措置) 」の「(ⅵ)対象者にお
ける利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。 )の承認」をご参照ください。
(注 15)
「LCM サービス」とは、お客様のシステムの導入段階から運用段階に至るまでの必要な作業
を「ライフサイクルマネジメント(LCM)」として統合し、サポートするサービス(システ
ム導入支援、IT 資産管理、ヘルプデスクなどの各種サービスから構成)のことをいいます。
③ 本公開買付け実施後の経営方針等
本公開買付け後の経営方針について、本公開買付けの実施後に、公開買付者及び対象者でプロ
ジェクトチームを立ち上げ、網羅的なシナジーの詳細を含む事業戦略について検討していく予定です。
また、対象者の経営体制については、本日現在において、対象者の取締役(監査等委員である取締役
を除く。)のうち、櫛田龍治氏及び丹羽正典氏は、公開買付者の役職員兼任者であり、川上博矛氏及
び吉田直樹氏は、公開買付者の出身者であり、また、対象者の監査等委員である取締役のうち、窪田
隆一氏は、公開買付者の役職員兼任者であり、高橋弘一氏は、公開買付者の出身者となりますが、現
時点で対象者への役員派遣に関して具体的に決定している事項はなく未定です。また、公開買付者は、
現時点において、本公開買付け実施後の対象者の労働条件変更または人員削減などの人事施策につい
て検討している内容はございません。
(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの
公正性を担保するための措置
公開買付者及び対象者は、本日現在、対象者が公開買付者の連結子会社であり、公開買付者が対象者の
支配株主となっているところ、本取引が支配株主との重要な取引等に該当すること、また、対象者の取締
役8名のうち櫛田龍治氏、丹羽正典氏及び窪田隆一氏の3名がそれぞれ公開買付者の役職員兼任者である
ことから、対象者の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ることを踏まえ、本公開買付価格の公正
性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための
措置として、それぞれ以下の措置を実施しました。
なお、公開買付者は、上記「 (1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、本日現在、対象者株式
12,775,350 株(所有割合:52.99%)を所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリ
ティ・オブ・マイノリティ」 (Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付け
の成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資
さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」
(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定しておりませんが、公開買付者及び対象者において、
以下の措置を実施していることから、対象者の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考
-11-
えております。また、以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者から受けた説
明に基づくものです。
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
② 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
③ 対象者における外部の法律事務所からの助言
④ 対象者における独立した特別委員会の設置及び対象者における特別委員会からの答申書の取得
⑤ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの
取得
⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
⑦ 取引保護条項の不存在
⑧ 対象者の株主が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するための措
置
以上の詳細については、下記「2.買付け等の概要」の「(5)買付け等の価格の算定根拠等」の「②
算定の経緯」の「(公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本
公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。
(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより、対象者株
式(本新株予約権の行使により交付される対象者株式は含みますが、公開買付者が所有する対象者株式
及び対象者が所有する自己株式を除きます。)及び本新株予約権の全てを取得できなかった場合には、
本公開買付けの成立後、以下の方法により、対象者株式(本新株予約権の行使により交付される対象者
株式は含みますが、公開買付者が所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)及
び本新株予約権の全てを取得することを目的として本スクイーズアウト手続を実施することを予定して
います。
① 株式等売渡請求
公開買付者は、本公開買付けの成立により、対象者の総株主の議決権の 90%以上を所有するに至
り、会社法第 179 条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速
やかに、対象者の株主(公開買付者及び対象者を除きます。 )の全員(以下「本売渡株主」といいま
す。)に対し、その所有する対象者株式の全部を売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」とい
います。)するとともに、本新株予約権所有者(公開買付者を除きます。 )の全員(以下「本売渡新株
予約権者」といいます。 )に対し、その所有する本新株予約権の全部を売り渡すことを請求(以下
「本新株予約権売渡請求」といい、 「本株式売渡請求」とあわせて「本株式等売渡請求」といいます。)
する予定です。本株式売渡請求においては、対象者株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と
同額の金銭を本売渡株主に対して交付すること、本新株予約権売渡請求においては、本新株予約権各
1個当たりの対価として、本新株予約権買付価格と同額の金銭を本売渡新株予約権者に対して交付す
ることを定める予定です。この場合、公開買付者は、その旨を、対象者に通知し、対象者に対し本株
式等売渡請求の承認を求める予定です。対象者がその取締役会の決議により本株式等売渡請求を承認
した場合には、関係法令の定める手続に従い、対象者の株主及び本売渡新株予約権者の個別の承諾を
要することなく、公開買付者は、本株式等売渡請求において定めた取得日をもって、本売渡株主から
はその所有する対象者株式の全部を、本売渡新株予約権者からその所有する本新株予約権の全部を取
得します。そして、本売渡株主がそれぞれ所有していた対象者株式の対価として、公開買付者は、当
該各株主に対し、対象者株式1株当たり本公開買付価格と同額の金銭を、本売渡新株予約権者がそれ
ぞれ所有していた本新株予約権1個当たりの対価として、本売渡新株予約権者に対し、本新株予約権
買付価格と同額の金銭を交付する予定です。なお、対象者プレスリリースによれば、対象者取締役会
は、公開買付者より本株式等売渡請求がなされた場合には、公開買付者による本株式等売渡請求を承
認する予定とのことです。
-12-
上記手続に関連する少数株主の権利保護を目的とした規定としては、会社法第 179 条の8その他関
係法令の定めに従って、本売渡株主及び本売渡新株予約権者は、裁判所に対してその所有する対象者
株式及び本新株予約権の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。
なお、これらの申立てがなされた場合における、対象者株式及び本新株予約権の売買価格は、最終的
には裁判所が判断することになります。
② 株式併合
公開買付者は、本公開買付けの成立により、対象者の総株主の議決権の 90%未満を所有する場合
には、対象者株式の併合を行うこと(以下「本株式併合」といいます。 )及び本株式併合の効力発生
を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主
総会(以下「本臨時株主総会」といいます。 )の開催を対象者に要請する予定です。なお、公開買付
者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定です。また、本日現在において、本臨時株
主総会の開催日は、2020 年 11 月下旬頃を想定しています。本臨時株主総会において本株式併合の議
案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、対象者の株主
の皆様は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の対象者株式を
所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるとき
は、端数が生じた対象者の株主の皆様に対して、会社法第 235 条その他の関係法令の定める手続に従
い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられ
ます。)に相当する対象者株式を対象者又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付
されることになります。当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の
結果、本公開買付けに応募されなかった対象者の各株主の皆様(公開買付者及び対象者を除きます。 )
に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格
と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを対象者に対して
要請する予定です。また、対象者株式の併合の割合は、本日現在において未定ですが、公開買付者が
対象者の発行済株式の全て(対象者が所有する自己株式を除きます。 )を所有することとなるよう、
本公開買付けに応募されなかった対象者の株主の皆様(公開買付者を除きます。 )の所有する対象者
株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定です。
上記手続に関連する少数株主の権利保護を目的とした規定として、本株式併合をすることにより
株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第 182 条の4及び第 182 条の5その他の関係
法令の定めに従って、対象者の株主は、対象者に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数
となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者
株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。なお、これらの申立て
がなされた場合における、対象者株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは
一切ありません。
また、公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する対象者の議決権の合計
数が対象者の総株主の議決権の数の 90%未満である場合であって、本公開買付けにおいて本新株予
約権の全てを取得できず、かつ、本新株予約権が行使されず残存した場合には、対象者に対して、本
新株予約権の取得及び消却その他本取引の実行に合理的に必要な手続を実施することを要請する予定
です。
上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況によっては、実
施の方法及び時期に変更が生じる可能性があります。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募さ
れなかった対象者の各株主の皆様(公開買付者及び対象者を除きます。)に対しては、最終的に金銭
を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、
本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定され
る予定です。また、本公開買付けに応募されなかった対象者の本売渡新株予約権者(公開買付者を除
きます。)に対して金銭を交付する場合には、本新株予約権買付価格に当該本新株予約権所有者がそ
れぞれ所有していた本新株予約権の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、対象者と協議の上、決定次第、
-13-
対象者が速やかに公表する予定です。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上
の取扱いについては、対象者の株主及び本新株予約権所有者の皆様が自らの責任にて税理士等の専門
家にご確認いただきますようお願いいたします。
(5)上場廃止となる見込み及びその事由
対象者株式は、本日現在、東京証券取引所市場第二部に上場されておりますが、公開買付者は、本公
開買付けにおいて買付予定数に上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、対象者株式
は、東京証券取引所の上場廃止基準に従って、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、上記
「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
」に記載のとおり、公
開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定していますので、その場合、対象者株式は
東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、
対象者株式を東京証券取引所市場第二部において取引することはできません。
(6)本公開買付けに係る重要な合意
該当事項はありません。
2.買付け等の概要
(1)対象者の概要
① 名称 富士通フロンテック株式会社
② 所在地 東京都稲城市矢野口 1776 番地
③ 代表者の役職・氏名 代表取締役社長 川上 博矛
④ 事業内容 ATM、POS システムなどの開発・製造・販売
⑤ 資本金 8,457 百万円(2020 年3月 31 日現在)
⑥ 設立年月日 1940 年 11 月9日
富士通株式会社 53.3%
NOMURA PB NOMINEES TK1 LIMITED
3.8%
(常任代理人 野村證券株式会社)
BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG(FE-AC)
2.7%
(常任代理人 株式会社三菱 UFJ 銀行)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 2.4%
NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN(CASHPB)
2.3%
(常任代理人 野村證券株式会社)
大株主及び持株比率 NPBN-SHOKORO LIMITED
2.2%
⑦ (2020 年3月 31 日現在) (常任代理人 野村證券株式会社)
(注) MSIP CLIENT SECURITIES
1.9%
(常任代理人 モルガン・スタンレーMUFG 証券株式会社)
THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD -
SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION A/C CLIENTS 1.8%
(常任代理人 香港上海銀行東京支店)
GOVERNMENT OF NORWAY
1.6%
(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)
DFA INTL SMALL CAP VALUE PORTFOLIO
1.5%
(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店)
公開買付者は、本日現在、対象者株式
公開買付者と対象者の関
⑧ 資本関係 12,775,350 株(所有割合:52.99%)を所有
係
しております。
-14-
対象者の取締役のうち3名が公開買付者の役
人的関係
職員を兼務しております。
対象者は、公開買付者にソフトウェア・サー
ビス、情報処理及び通信分野の製品の販売を
取引関係 行い、公開買付者からパソコン、サーバなど
の製品を仕入れ、サービスの提供を受けてい
ます。
関連当事者への該当 対象者は、公開買付者の連結子会社であり、
状況 公開買付者の関連当事者に該当します。
(注)
「⑦大株主及び持株比率(2020 年3月 31 日現在)
」は、対象者が 2020 年6月 23 日に提出した第 105
期有価証券報告書の「大株主の状況」を基に記載しております。
(2)買付け等を行う株券等の種類
普通株式
新株予約権
① 2011 年7月 26 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第4回新株予約権」といいます。(行使期間は 2011 年8月 12 日から 2041 年8月 11 日まで)
)
② 2012 年7月 26 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第5回新株予約権」といいます。(行使期間は 2012 年8月 11 日から 2042 年8月 10 日まで)
)
③ 2013 年7月 29 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第6回新株予約権」といいます。(行使期間は 2013 年8月 14 日から 2043 年8月 13 日まで)
)
④ 2014 年7月 30 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第7回新株予約権」といいます。(行使期間は 2014 年8月 15 日から 2044 年8月 14 日まで)
)
⑤ 2015 年7月 29 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第8回新株予約権」といいます。(行使期間は 2015 年8月 14 日から 2045 年8月 13 日まで)
)
⑥ 2016 年7月 27 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第9回新株予約権」といいます。(行使期間は 2016 年8月 13 日から 2046 年8月 12 日まで)
)
⑦ 2017 年7月 26 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第 10 回新株予約権」といいます。(行使期間は 2017 年8月 11 日から 2047 年8月 10 日まで)
)
⑧ 2018 年7月 25 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第 11 回新株予約権」といいます。(行使期間は 2018 年8月 10 日から 2048 年8月9日まで)
)
⑨ 2019 年7月 24 日開催の対象者取締役会の決議に基づいて発行された新株予約権(株式報酬型) (以
下「第 12 回新株予約権」といいます。(行使期間は 2019 年8月9日から 2049 年8月8日まで)
)
なお、第4回新株予約権、第5回新株予約権、第6回新株予約権、第7回新株予約権、第8回新株予約
権、第9回新株予約権、第 10 回新株予約権、第 11 回新株予約権及び第 12 回新株予約権を総称して以下
「本新株予約権」といいます。
(3)日程等
① 日程
取締役会決議 2020 年7月 30 日(木曜日)
2020 年7月 31 日(金曜日)
公開買付開始公告日 電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。
(電子公告アドレス https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)
公開買付届出書提出日 2020 年7月 31 日(金曜日)
② 届出当初の買付け等の期間
2020 年7月 31 日(金曜日)から 2020 年9月 14 日(月曜日)まで(31 営業日)
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③ 対象者の請求に基づく延長の可能性
該当事項はありません。
(4)買付け等の価格
普通株式 1株につき金 1,540 円
新株予約権
① 第4回新株予約権 1個につき1円
② 第5回新株予約権 1個につき1円
③ 第6回新株予約権 1個につき1円
④ 第7回新株予約権 1個につき1円
⑤ 第8回新株予約権 1個につき1円
⑥ 第9回新株予約権 1個につき1円
⑦ 第10回新株予約権 1個につき1円
⑧ 第11回新株予約権 1個につき1円
⑨ 第12回新株予約権 1個につき1円
(5)買付け等の価格の算定根拠等
① 算定の基礎
(ⅰ)普通株式
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者
算定機関としてのフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値の算
定を依頼し、2020 年 7 月 30 日付で本株式価値算定書(みずほ証券)を取得して参考にしました。な
お、みずほ証券は、公開買付者、対象者の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係
を有しておりません。また、公開買付者は、みずほ証券から本公開買付価格が公開買付者にとって財
務的見地から公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
みずほ証券は、対象者の財務状況、対象者株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、
多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を
検討した結果、市場株価基準法、類似企業比較法及び DCF 法の各手法を用いて対象者株式の価値算
定を行いました。上記各手法において算定された対象者株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ
以下のとおりです。
市場株価基準法: 1,113 円から 1,620 円
類似企業比較法: 1,361 円から 1,800 円
DCF 法: 1,338 円から 1,871 円
市場株価基準法では、本公開買付けの公表日の前営業日である 2020 年7月 29 日を基準日として、
東京証券取引所市場第二部における対象者株式の基準日終値(1,620 円) 、同日までの直近1ヶ月間
の終値単純平均値(1,194 円) 、同日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値(1,118 円)及び同日まで
の直近6ヶ月間の終値単純平均値(1,113 円)を基に、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を
1,113 円から 1,620 円と算定しております。
類似企業比較法では、対象者と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性を示す財
務指標との比較を通じて、対象者株式の株式価値を算定し、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲
を 1,361 円から 1,800 円と算定しております。
DCF 法では、対象者の 2021 年3月期から 2025 年3月期までの事業計画及びその後の財務見通し、
並びに一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2021 年3月期以降に対象者が将来生み出す
と見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の株式価値
を算定し、1株当たりの株式価値を 1,338 円から 1,871 円と算定しております。なお、DCF 法の前提
とした対象者の事業計画について、対前年度比で大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれてい
るとのことです。具体的には、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大による商談延伸の影響が今後
-16-
2年半続くとの想定の下、2021 年3月期と 2022 年3月期は例年並みよりも低い売上、営業利益水準
となり、2023 年3月期の半ばから緩やかに回復すると見込んでいるとのことです。2023 年3月期か
ら 2024 年3月期にかけては、国内金融向けに営業店システムの更改需要及び新紙幣発行に伴う改刷
需要、海外においては流通向けを中心とするリサイクラー市場の拡大により大幅な増収を見込んでお
り、営業利益も増収による大幅な増益を見込んでいるとのことです。一方、これらの要因は一時的な
ものであると見込まれることから、2025 年3月期は、2023 年3月期並みの営業利益水準に戻ること
を想定しております。なお、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、
現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上記の財務見通しには加味しておりません。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大により、対象者の 2020 年度第一四半期決算において、国内
では ATM・営業店端末の展開計画見直しや公営競技の無観客開催などによる運用収益の減少、海外で
はフィリピン工場の操業減や欧米向けリサイクルユニットの減少などにより、前年に対して大幅な減
収となり、損益面でも減収により前年から営業損益が悪化しております。事業計画は、上述のとおり、
これらの新型コロナウイルスの直近の業績に与える影響も加味されたうえで策定されております。
公開買付者は、2020 年6月上旬から同年7月下旬までの間に対象者に対して実施したデュー・
ディリジェンスの結果、対象者との協議及び交渉の結果、過去に行われた完全子会社化を目的とした
発行者以外の者による公開買付けの事例(親会社による上場子会社の完全子会社化を前提とした公開
買付けの事例)の際に付与されたプレミアムの実例、対象者株式の市場株価の動向、対象者取締役会
による本公開買付けへの賛同の有無、本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象
者との協議・交渉の結果を踏まえ、最終的に 2020 年7月 30 日、本公開買付価格を 1,540 円とするこ
とを決定いたしました。
本公開買付価格である 1,540 円は、本公開買付けの公表日の前営業日である 2020 年7月 29 日の対
象者株式の東京証券取引所市場第二部における終値 1,620 円に対して 4.94%ディスカウントした金
額となりますが、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値 1,194 円に対して 28.98%、同日までの
直近3ヶ月間の終値単純平均値 1,118 円に対して 37.75%、同日までの直近6ヶ月間の終値単純平均
値 1,113 円に対して 38.36%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっています。
(ⅱ)本新株予約権
本新株予約権は、対象者の取締役及び経営執行役に対して株式報酬型ストックオプションとして
いずれも発行されたもので、権利行使の条件として対象者の取締役または経営執行役の地位を喪失し
た日の翌日以降 10 日間に限り権利行使することができるとされており、公開買付者が本新株予約権
を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、公開買付者は、2020 年
7月 30 日付の取締役会決議によって本新株予約権買付価格は1個につきいずれも1円と決定しまし
た。
② 算定の経緯
(本公開買付価格及び本新株予約権買付価格の決定に至る経緯)
公開買付者は、親子上場が企業ガバナンスの観点から投資家の高い注目を集めていることから、上場
子会社との資本関係の見直しを進めることとし、この対応を含めたグループ経営における最適なグルー
プフォーメーション及びガバナンスについての企画・施策を立案及び実行することを目的とする専門部
署をコーポレート機能として 2020 年2月に設置しました。
公開買付者としては、対象者は公開買付者との事業上の繋がりが大きいことから、公開買付者グルー
プ全体としての経営資源の相互活用や意思決定の迅速化を図り、対象者の事業においては公開買付者グ
ループとの連携強化や一体化によるシナジー創出を図ることが望ましく、一方で、公開買付者グループ
において対象者とのシナジーを生み出さない事業は当該事業に対する知見を有する公開買付者グループ
外の外部パートナーとの連携・アライアンスを含めた抜本的施策により事業価値の向上を図ることを考
えております。この対象となる事業については、本公開買付けの実施後に予定している、網羅的なシナ
ジーの詳細を含む事業戦略の検討の過程にて、把握する予定です。
公開買付者は、これらの抜本的な構造改革を実施するためには、急激な事業変化に対応すべく迅速な
意思決定構造を構築し、対象者において一時的な損益の悪化による株価の変動にとらわれず臨機応変に
再編を実行していく必要があるものと考えました。そのため、完全子会社化を実施した上で、両社のシ
-17-
ナジー構築や事業再編を検討・実施していく必要が生じてきました。
そこで、公開買付者は、2020 年3月下旬、対象者の完全子会社化を検討する方針とし、2020 年4月
20 日、対象者に説明の上、両社の実務者間で具体的なプロセスの協議を開始しました。2020 年5月 26
日、公開買付者は対象者に対して公開買付けの方法により、対象者を完全子会社化したい旨の初期的な
意向表明書を提出し、対象者でも特別委員会を設置し本取引に関しての本格的な検討が開始されました。
そして、公開買付者は、2020 年6月上旬から同年7月下旬まで対象者へのデュー・ディリジェンスを
行い、2020 年6月下旬に対象者から事業計画の提出を受け、対象者へのインタビューを経て、2020 年
7月3日に本公開買付価格を 1,410 円とする意向表明書を提出しました。以降、公開買付者は対象者と
の間で、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件について継続的に協議及び交渉を行ってまいりま
した。具体的には、2020 年 7 月 10 日、公開買付者は、本公開買付価格を 1,800 円とするよう対象者か
ら提案を受け、同月 16 日に本公開買付価格を 1,490 円とする旨を対象者に提案しました。その後、同
月 17 日に対象者から本公開買付価格を 1,720 円とするよう提案を受け、同月 22 日に本公開買付価格を
1,520 円とする旨を対象者に提案しましたが、同日に対象者から本公開買付価格を 1,600 円とするよう
提案を受けました。以上の交渉を経て、公開買付者は、2020 年7月 28 日、対象者に対して、本公開買
付価格を 1,540 円とすることを含む最終提案を行いました。一方、本新株予約権は、対象者の取締役及
び経営執行役に対して株式報酬型ストックオプションとしていずれも発行されたもので、権利行使の条
件として対象者の取締役または経営執行役の地位を喪失した日の翌日以降 10 日間に限り権利行使する
ことができるとされており、公開買付者が本新株予約権を取得したとしてもこれらを行使することがで
きないと解されることから、公開買付者は、2020 年7月 16 日、本新株予約権買付価格は1個につきい
ずれも1円に設定しております。
以上を踏まえ、公開買付者は、最終的に 2020 年7月 30 日、本公開買付価格を 1,540 円とすることを
決定いたしました。一方、2020 年7月 30 日付の取締役会決議によって本新株予約権買付価格は1個に
つきいずれも1円と決定しました。
(ⅰ)算定の際に意見を聴取した第三者の名称
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者
算定機関としてのフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値の算
定を依頼し、2020 年 7 月 30 日付で本株式価値算定書(みずほ証券)を取得して参考にしました。な
お、みずほ証券は、公開買付者、対象者の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係
を有しておりません。また、公開買付者は、みずほ証券から本公開買付価格が公開買付者にとって財
務的見地から公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
(ⅱ)当該意見の概要
みずほ証券により上記各手法において算定された対象者株式1株当たりの株式価値の範囲はそれ
ぞれ以下のとおりです。
市場株価基準法: 1,113 円から 1,620 円
類似企業比較法: 1,361 円から 1,800 円
DCF 法: 1,338 円から 1,871 円
(ⅲ)当該意見を踏まえて本公開買付価格及び本新株予約権買付価格を決定するに至った経緯
公開買付者は、本公開買付価格が本株式価値算定書(みずほ証券)の算定結果の範囲内であるこ
とを踏まえつつ、2020 年6月上旬から同年7月下旬までの間に対象者に対して実施したデュー・
ディリジェンスの結果、対象者との協議及び交渉の結果、過去に行われた完全子会社化を目的とした
発行者以外の者による公開買付けの事例(親会社による上場子会社の完全子会社化を前提とした公開
買付けの事例)の際に付与されたプレミアムの実例、対象者株式の市場株価の動向、対象者取締役会
による本公開買付けへの賛同の有無、本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象
者との協議・交渉の結果を踏まえ、最終的に 2020 年7月 30 日、本公開買付価格を 1,540 円とするこ
とを決定いたしました。
一方、本新株予約権は、対象者の取締役及び経営執行役に対して株式報酬型ストックオプション
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としていずれも発行されたもので、権利行使の条件として対象者の取締役または経営執行役の地位を
喪失した日の翌日以降 10 日間に限り権利行使することができるとされており、公開買付者が本新株
予約権を取得したとしてもこれらを行使することができないと解されることから、公開買付者は、
2020 年7月 30 日付の取締役会決議によって本新株予約権買付価格は1個につきいずれも1円に設定
しております。
(公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等本公開買付けの公
正性を担保するための措置)
公開買付者及び対象者は、本日現在、対象者が公開買付者の連結子会社であり、公開買付者が対象者
の支配株主となっているところ、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当するこ
と、また、対象者の取締役8名のうち櫛田龍治氏、丹羽正典氏及び窪田隆一氏の3名がそれぞれ公開買
付者の役職員兼任者であることから、対象者の少数株主との間で構造的な利益相反状態が生じ得る可能
性があることを踏まえ、本公開買付価格の公正性を担保し利益相反を回避するため、それぞれ以下の措
置を実施しました。
(ⅰ)公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者
算定機関としてのフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値の算
定を依頼し、2020 年7月 30 日付で本株式価値算定書(みずほ証券)を取得して参考にしました。詳
細については、上記「① 算定の基礎」をご参照ください。
(ⅱ)対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者から提示された本公開買付価格(対象者
株式1株当たり 1,540 円)に対する意思決定の過程における公正性を担保するため、対象者及び公開
買付者から独立した第三者算定機関であるSMBC日興証券より株式価値算定書(以下「本株式価値
算定書(SMBC日興証券) 」といいます。)を取得しているとのことです。なお、SMBC日興証券
は、対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本取引に関して、重要な利害関係を有してい
ないとのことです。また、特別委員会は、第1回の特別委員会において、SMBC日興証券の独立性
に問題がないことを確認した上で、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関と
して承認しているとのことです。
対象者は、公開買付者から提示された本公開買付価格(対象者株式1株当たり 1,540 円)に対する
意思決定の過程における公正性を担保するため、対象者及び公開買付者から独立した第三者算定機関
であるSMBC日興証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼し、2020 年7月 29 日付で、
SMBC日興証券より当該算定結果に対する本株式価値算定書(SMBC日興証券)を取得したとの
ことです。SMBC日興証券は、対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに
関して重要な利害関係を有していないとのことです。なお、本取引に係るSMBC日興証券に対する
報酬の相当な部分は、本取引の公表及び少数株主に対するスクイーズアウトの完了を条件に支払われ
る取引報酬とされているとのことです。対象者は、同種の取引における一般的な実務慣行及び仮に本
取引が不成立となった場合は対象者に相応の金銭負担が生じない報酬体系であることを勘案の上、上
記の報酬体系によりSMBC日興証券を対象者の財務アドバイザー及び第三者算定機関として選任し
たとのことです。また、対象者は、本公開買付価格(対象者株式1株当たり 1,540 円)の公正性に関
する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
SMBC日興証券は、対象者株式が東京証券取引所市場第二部に上場しており市場株価が存在す
ることから市場株価法を、対象者と比較的類似する事業を手がける上場会社が複数存在し、類似会社
比較による株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法を、将来の事業活動の状況に基
づく本源的価値評価を反映するため DCF 法を用いて対象者株式の価値算定を行っているとのことです。
上記各手法を用いて算定された対象者株式1株当たりの価値の範囲は、以下のとおりです。
市場株価法 :1,113 円~1,194 円
-19-
類似上場会社比較法 :1,278 円~1,795 円
DCF 法 :1,371 円~1,887 円
市場株価法では、基準日を 2020 年7月 29 日として、東京証券取引所における対象者株式の基準日
の直近1ヶ月間の終値単純平均値 1,194 円、直近3ヶ月間の終値単純平均値 1,118 円及び直近6ヶ月
間の終値単純平均値 1,113 円を基に、対象者株式の1株当たりの価値の範囲を 1,113 円から 1,194 円
までと算定しているとのことです。
類似上場会社比較法では、対象者と比較的類似する事業を営む上場会社として東芝テック株式会
社、グローリー株式会社及び沖電気工業株式会社を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの
倍率を用いて株式価値を評価し、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を 1,278 円から 1,795 円
までと算定しているとのことです。
DCF 法では、2020 年6月末を基準日として、対象者が作成した 2021 年3月期から 2025 年3月期ま
での5期分の事業計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、対象者が 2021 年3月期第
2四半期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り
引いて企業価値や株式価値を算定し、対象者株式の1株当たりの価値の範囲を 1,371 円から 1,887 円
までと算定しているとのことです。割引率は 6.42%~7.85%を採用しており、継続価値の算定にあ
たっては永久成長法及びエグジット・マルチプル法を採用し、永久成長率を-0.25%~0.25%とし、
EBITDA マルチプルを 4.4 倍~5.4 倍として分析しているとのことです。SMBC日興証券が DCF 法の
算定の前提とした対象者の事業計画(以下「本事業計画」といいます。 )に基づく連結財務予測は以
下のとおりとのことです。なお、SMBC日興証券が DCF 法による算定に用いた対象者作成の事業計
画においては、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれているとのこと
です。具体的には、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大による商談延伸の影響が今後2年半続く
との想定の下、2021 年3月期と 2022 年3月期は例年並みよりも低い売上、営業利益水準となり、
2023 年3月期の半ばから緩やかに回復すると見込んでいるとのことです。
また、2023 年3月期から 2024 年3月期にかけては、国内金融向けに営業店システムの更改需要及
び新紙幣発行に伴う改刷需要、海外においては流通向けを中心とするリサイクラー市場の拡大により
大幅な増収を見込んでおり、営業利益も増収による大幅な増益を見込んでいるとのことです。一方、
これらの要因は一時的なものであると見込まれることから、2025 年3月期は、2023 年3月期並みの
営業利益水準に戻ることを想定しているとのことです。また、本取引実行により実現することが期待
されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財
務予測には加味していないとのことです。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大により、対象者の 2020 年度第1四半期決算において、国内
では ATM・営業店端末の 展開計画見直しや公営競技の無観客開催などによる運用収益の減少、海外
ではフィリピン工場の操業減や欧米向けリサイクルユニットの減少などにより、前年に対して大幅な
減収となり、損益面でも減収により前年から営業損益が悪化したとのことですが、これらの新型コロ
ナウイルスの直近の業績に与える影響を加味して、事業計画を策定しているとのことです。
(単位:百万円)
2021 年 2022 年 2023 年 2024 年 2025 年
3月期 3月期 3月期 3月期 3月期
(9 か月)
売上高 79,230 98,800 110,700 120,000 110,000
営業利益 2,900 1,800 4,000 7,200 3,900
EBITDA 6,180 6,424 8,624 11,824 8,524
フリー・キャッシュ・フ
ロー
△3,725 △220 183 2,918 4,079
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なお、本公開買付けの対象には本新株予約権も含まれますが、本新株予約権買付価格に関しては、
対象者は、第三者算定機関から算定書及びその公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を
取得していないとのことです。
(ⅲ)対象者における外部の法律事務所からの助言
対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程に
おける透明性及び合理性を確保するため、外部のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛
利・友常法律事務所を選任し、同法律事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定過程、
意思決定方法その他本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点について、必要な法的助言を
受けているとのことです。
なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、
本取引に関して、重要な利害関係を有していないとのことです。また、特別委員会は、第1回の特別
委員会において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の独立性に問題がないことを確認した上で、
対象者のリーガル・アドバイザーとして承認しているとのことです。
(ⅳ)対象者における独立した特別委員会の設置及び対象者における特別委員会からの答申書の取得
対象者プレスリリースによれば、対象者は、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、対象者
の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保することを目的として、2020 年5月 26 日、対象
者及び公開買付者との間に利害関係を有しない、対象者の社外取締役である池上玄氏、特別委員会の
設置時点において対象者の社外取締役であった鈴木洋二氏、並びに、社外有識者であり M&A 取引に関
する知見が豊富である中野竹司氏(弁護士・公認会計士、奥・片山・佐藤法律事務所)及び向宣明氏
(弁護士、桃尾・松尾・難波法律事務所)の4名から構成される特別委員会を設置したとのことです。
なお、対象者は、特別委員会の設置に係る取締役会決議により、特別委員会が、対象者の費用負担の
下、対象者の株式価値評価等の特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関その他アドバイザーに
委託することができる旨の権限付与を行っているとのことです。
特別委員会の委員のうち、池上玄氏は、特別委員会の設置時点においては、対象者の社外取締役
ではなかったものの、対象者の取締役会決議により 2020 年6月 23 日開催の定時株主総会の承認を経
て社外取締役となることが内定しておりましたので、特別委員会の設置当初より特別委員会の委員と
なっており、また、鈴木洋二氏は、2020 年6月 23 日開催の定時株主総会をもって、対象者の社外取
締役を退任しておりますが、退任後も特別委員会の委員を継続しておりますので、特別委員会の委員
は、設置当初から変更していないとのことです。また、特別委員会は、委員間の互選により、特別委
員会の委員長として、池上玄氏を選定しているとのことです。対象者は、特別委員会に対し、(ⅰ)本
取引の目的は合理的と認められるか(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含む。、(ⅱ)本取 )
引の条件(本公開買付価格を含む。 )の公正性が確保されているか、(ⅲ)本取引において、公正な手
続を通じた対象者の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)のほか、本
取引は対象者の少数株主にとって不利益でないと考えられるか、及び(ⅴ)対象者取締役会が本公開買
付けに賛同し、対象者株主及び本新株予約権所有者に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非
(以下「本諮問事項」といいます。 )について諮問し、これらの点について答申書を対象者取締役会
に提出することを嘱託したとのことです。なお、特別委員会の委員の報酬については、本取引の成否
又は答申内容にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功
報酬は含まれていないとのことです。また、本諮問事項の検討に際し、特別委員会は、2020 年6月
中旬に、対象者及び公開買付者から独立した独自の第三者算定機関としてトラスティーズ・アドバイ
ザリー株式会社(以下「トラスティーズ」といいます。 )を選任しているとのことです。なお、本取
引に係るトラスティーズに対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、
本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていないとのことです。
特別委員会は、2020 年6月5日から 2020 年7月 29 日までの間に合計9回、合計約 15 時間にわ
たって開催され、本諮問事項についての協議及び検討を行ったとのことです。具体的には、まず第1
回の特別委員会において、特別委員会としての提案、質問その他意見は対象者を通じて公開買付者に
伝達すること、特別委員会は、公開買付者との協議の状況について対象者から適時に報告を受け、特
別委員会は必要に応じて公開買付者との本取引に関する条件交渉についての方針を定め、重要な局面
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で意見を述べることができるという運営方法が確認されたとのことです。また、対象者が選任した
ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券並びにリーガル・アド
バイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所については、その専門性及び独立性に問題がな
いことから、特別委員会としても対象者がこれらのアドバイザーから専門的助言を受けることに異議
がない旨、並びに特別委員会が必要と判断した場合には、対象者の費用負担の下、対象者の株式価値
評価等の特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関その他アドバイザーに委託することができる
旨が確認されたとのことです。さらに、特別委員会は、本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する
対象者の取締役につき、公開買付者との間での利害関係の観点から問題がないことを確認の上、承認
しているとのことです。その後、特別委員会においては、(ⅰ)公開買付者から本取引の提案内容及び
本取引の目的並びに本取引によって見込まれるシナジー等についての説明を受け、これらの事項につ
いての質疑応答を実施したこと、(ⅱ)対象者取締役から本取引の提案を受けた経緯、本取引の目的、
公開買付者の提案内容についての対象者の考え及び本取引が対象者の企業価値に与える影響、対象者
の事業計画の作成経緯及びその内容等についての説明を受け、これらの事項についての質疑応答を実
施したこと(なお、特別委員会は、トラスティーズから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、
対象者が作成した事業計画について、対象者との質疑応答を経て、その内容、重要な前提条件及び作
成経緯等を確認し、事業計画を承認しているとのことです。、 )(ⅲ)SMBC日興証券及びトラス
ティーズから対象者の株式価値算定の結果及び本取引のスキームのそれぞれについての説明を受け、
これらの事項についての質疑応答を実施したこと、 (iv)アンダーソン・毛利・友常法律事務所から、
本取引の手続面における公正性を担保するための措置並びに本取引に係る対象者の取締役会の意思決
定の方法及び過程その他の利益相反を回避するための措置の内容について助言を受け、これらの事項
についての質疑応答を実施したこと、並びに(v)提出された本取引に係る関連資料等により、本取
引に関する情報収集が行われ、これらの情報も踏まえて本諮問事項について慎重に協議及び検討して
審議を行っているとのことです。なお、特別委員会は、対象者から、公開買付者と対象者との間にお
ける本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、公開買付者から本公
開買付価格についての最終的な提案を受けるまで、複数回に亘り対象者との間で交渉の方針等につい
て協議を行い、対象者に意見する等して、公開買付者との交渉過程に関与しているとのことです。
以上の経緯で、特別委員会は、2020 年7月 29 日、対象者取締役会に対し、本諮問事項につき大要
以下を内容とする本答申書を提出しているとのことです。
(A)本取引の目的の合理性
対象者が上場会社として存続することで、裁量ある経営の実現や上場によるネームバリューを
活かした採用活動の実施といったメリットを享受し得るものの、本取引が対象者の企業価値向上
に最