6645 オムロン 2021-04-27 15:05:00
2021年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結) [pdf]
2021年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)
2021 年 4 月 27 日
上場会社名 オムロン株式会社 上場取引所 東証 市場第一部
コード番号 6645 URL https://www.omron.com/jp/ja/
代表者 役職名 代表取締役社長 CEO
氏名 山 田 義 仁
問合せ先責任者 役職名 執行役員 グローバル理財本部長 TEL (075)344-7070
氏名 大 上 高 充
定時株主総会開催予定日 2021 年 6 月 24 日
有価証券報告書提出予定日 2021 年 6 月 25 日 配当支払開始予定日 2021 年 6 月 25 日
決算補足説明資料作成の有無 : 有 ・無
決算説明会開催の有無 : 有 ・無 (投資家向けウェブおよび電話説明会 4月27日開催)
(百万円未満四捨五入)
1.2021年3月期の連結業績(2020年4月1日~2021年3月31日)
(1)連結経営成績 (%表示は対前期増減率)
継続事業 当社株主に帰属する
売上高 営業利益 税引前当期純利益 当期純利益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 %
2021年3月期 655,529 △3.3 62,480 14.1 65,089 25.6 43,307 △42.2
2020年3月期 677,980 △7.5 54,760 △18.6 51,836 △21.4 74,895 37.9
(注1)包括利益 2021年3月期 94,695 百万円 (53.1%) 2020年3月期 61,857 百万円 ( 48.8%)
(注2)2020年3月期の当社株主に帰属する当期純利益には、非継続事業(2019年10月31日に譲渡したオートモーティブエ
レクトロニックコンポーネンツビジネス(AEC、車載事業))にかかる非継続事業当期純利益(AECの売却益を含
む)を含めています。なお、非継続事業当期純利益を除いて算定した2020年3月期の当社株主に帰属する当期純利
益は39,163百万円であり、これをもとに算定した2021年3月期における対前期増減率は10.6%です。
1株当たり当社株主に 潜在株式調整後 株主資本当社株主に 総 資 産 売上高
帰属する当期純利益 1株当たり当社株主に 帰属する当期純利益率 継続事業 営業利益率
帰属する当期純利益 税引前当期純利益率
円 銭 円 銭 % % %
2021年3月期 214.72 - 7.6 8.2 9.5
2020年3月期 365.26 - 14.5 6.9 8.1
(注)2020年3月期の1株当たり当社株主に帰属する当期純利益には、非継続事業四半期純利益(AECの売却益を含む)を
含めています。なお、非継続事業当期純利益を除いて算定した2020年3月期の1株当たり当社株主に帰属する当期純
利益は191円00銭です。
(2)連結財政状態
総資産 資本合計(純資産) 株主資本 株主資本比率 1株当たり株主資本
百万円 百万円 百万円 % 円 銭
2021年3月期 820,379 609,358 606,858 74.0 3,009.15
2020年3月期 758,124 532,589 530,415 70.0 2,626.62
(3)連結キャッシュ・フローの状況
営業活動による 投資活動による 財務活動による 現金及び現金同等物
キャッシュ・フロー キャッシュ・フロー キャッシュ・フロー 期末残高
百万円 百万円 百万円 百万円
2021年3月期 93,831 △14,785 △20,352 250,755
2020年3月期 89,787 28,639 △29,430 185,533
2.配当の状況
年間配当金 配当金総額 配当性向 株主資本
(合計) (連結) 配当率
第1四半期末 第2四半期末 第3四半期末 期末 合計 (連結)
円 銭 円 銭 円 銭 円 銭 円 銭 百万円 % %
2020年3月期 - 42.00 - 42.00 84.00 17,171 23.0 3.3
2021年3月期 - 42.00 - 42.00 84.00 17,004 39.1 3.0
2022年3月期
- - - - 86.00 36.1
(予想)
(注)2022年3月期の第2四半期末および期末の配当金は未定です。
3. 2022年3月期の連結業績予想(2021年4月1日 ~ 2022年3月31日) (%表示は対前期増減率)
継続事業 1株当たり
売上高 営業利益 税引前 当社株主に帰属 当社株主に帰属
当期純利益 する当期純利益 する当期純利益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 % 円 銭
通期 700,000 6.8 70,000 12.0 67,000 2.9 48,000 10.8 238.01
※ 注記事項
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動): 有 ・無
新規 -社 (社名) 、除外 -社 (社名)
(2)会計方針の変更
① 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更: 有 ・無
② ①以外の会計方針の変更 : 有 ・無
(3)発行済株式数(普通株式)
① 期末発行済株式数(自己株式を含む) 2021年3月期 206,244,872株 2020年3月期 206,244,872株
② 期末自己株式数 2021年3月期 4,574,294株 2020年3月期 4,306,748株
③ 期中平均株式数 2021年3月期 201,692,643株 2020年3月期 205,044,394株
(注)2021年3月期連結会計年度末において、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託として保有する当社株式760,568
株は、期末自己株式数に含めて記載しております。また、期中平均株式数には、1株当たり当社株主に帰属する
当期純利益の算出において控除する自己株式として含めております。
(参考)個別業績の概要
1. 2021年3月期の個別業績(2020年4月1日~2021年3月31日)
(1)個別経営成績 (%表示は対前期増減率)
売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
百万円 % 百万円 % 百万円 % 百万円 %
2021年3月期 258,494 △12.6 6,266 △55.9 23,562 △16.2 18,503 △76.7
2020年3月期 295,651 △9.0 14,200 △47.5 28,122 △42.8 79,376 76.3
1株当たり 潜在株式調整後
当期純利益 1株当たり当期純利益
円 銭 円 銭
2021年3月期 91.74 -
2020年3月期 387.12 -
(2)個別財政状態
総資産 純資産 自己資本比率 1株当たり純資産
百万円 百万円 % 円 銭
2021年3月期 537,742 298,916 55.6 1,482.20
2020年3月期 510,158 302,811 59.4 1,499.52
(参考)自己資本 2021年3月期 298,916百万円 2020年3月期 302,811百万円
※ 決算短信は公認会計士又は監査法人の監査の対象外です
※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
1.業績予想などは、当社が現時点で入手可能な情報と、合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際
の業績は、さまざまなリスクや不確定な要素などの要因により、異なる可能性があります。
業績予想の前提となる条件については、P.7「1.経営成績等の概況、(5)今後の見通し」をご覧ください。
2.当社は、米国会計基準に基づき連結損益計算書の表示形式としてシングルステップ方式(段階利益を表示しない
方式)を採用していますが、他社との比較可能性を高めるため、当決算短信の「営業利益」は、「売上総利益」
から「販売費及び一般管理費」、「試験研究開発費」を控除したものを表示しております。
3.2022年3月期の第2四半期末・期末配当金につきましては、当社業績予想の確実性が高まった時点で決定し開示い
たします。開示の時期としては、第2四半期末の配当金については遅くとも2021年10月を、期末の配当金について
は、2022年4月を予定しています。
4.2020年3月期の連結業績および連結損益計算書において、2019年10月31日に譲渡したオートモーティブエレクトロ
ニックコンポーネンツビジネス(AEC、車載事業)を非継続事業に分類しています。当該非継続事業の金額は、当
期純利益、当社株主に帰属する当期純利益、1株当たり当社株主に帰属する当期純利益に含めています。
5.当社は、2021年4月27日(火)に投資家向けウェブおよび電話説明会を開催する予定です。
事業の種類別セグメントの名称を次のとおり略して記載しています。
IAB: インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
EMC: エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業)
SSB: ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
HCB: ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
○添付資料の目次
1.経営成績等の概況 ……………………………………………………………………………………………………… P.2
(1)当期の経営成績の概況 …………………………………………………………………………………………… P.2
(2)当期の財政状態の概況 …………………………………………………………………………………………… P.5
(3)当期のキャッシュ・フローの概況 ……………………………………………………………………………… P.6
(4)利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当 …………………………………………………………… P.6
(5)今後の見通し ……………………………………………………………………………………………………… P.7
2.企業集団の状況 ………………………………………………………………………………………………………… P.11
3.経営方針 ………………………………………………………………………………………………………………… P.11
(1)会社の経営の基本方針 …………………………………………………………………………………………… P.11
(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略 ………………………………………………………… P.11
(3)会社の対処すべき課題 …………………………………………………………………………………………… P.12
4.会計基準の選択に関する基本的な考え方 …………………………………………………………………………… P.13
5.連結財務諸表及び主な注記 …………………………………………………………………………………………… P.14
(1)連結貸借対照表 …………………………………………………………………………………………………… P.14
(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書 ……………………………………………………………………… P.16
(3)連結株主持分計算書 ……………………………………………………………………………………………… P.18
(4)連結キャッシュ・フロー計算書 ………………………………………………………………………………… P.19
(5)連結財務諸表に関する注記事項 ………………………………………………………………………………… P.20
(継続企業の前提に関する注記)……………………………………………………………………………… P.20
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)……………………………………………………… P.20
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)……………………………………………………… P.20
(会計上の見積りの変更)……………………………………………………………………………………… P.20
(1株当たり情報)…………………………………………………………………………………………………P.20
(その他費用(△収益)-純額-の主な内訳)……………………………………………………………… P.21
(関連会社株式の売却)………………………………………………………………………………………… P.21
(セグメント情報)……………………………………………………………………………………………… P.22
6.補足情報 ……………………………………………………………………………………………………………… P.23
(1)連結業績[米国基準] ……………………………………………………………………………………………… P.23
(2)単独業績 …………………………………………………………………………………………………………… P.23
(3)連結セグメント別売上高実績 …………………………………………………………………………………… P.24
(4)連結セグメント別営業利益実績 ………………………………………………………………………………… P.25
(5)期中平均レート実績 ……………………………………………………………………………………………… P.25
(6)連結セグメント別売上高予想 …………………………………………………………………………………… P.26
(7)連結セグメント別営業利益予想 ………………………………………………………………………………… P.27
(8)期中平均レート予想 ……………………………………………………………………………………………… P.27
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
1. 経営成績等の概況
(1)当期の経営成績の概況
① 全般的概況
当期(2021年3月期)における当社グループを取り巻く経営環境は、前期末からの新型コロナウ
イルス感染症の拡大の影響を受けて厳しい状況が続きましたが、いち早く市況が回復した中国に
けん引される形で、下期にかけてグローバルに需要の回復が見られました。当社の主要顧客であ
る製造業においては、半導体関連や二次電池などのデジタル業界が好調に推移した一方、自動車
業界は投資抑制が継続しました。
このような事業環境の中で、当社グループではこれまで培ってきた変化対応力を発揮し、事業
機会を的確にとらえました。制御機器事業では、ソリューション提供力を強化したことでデジタ
ル業界や中国を中心とした製造業の設備投資再開の動きを的確にとらえました。また、マスクな
ど新型コロナウイルス感染症対策関連の需要に迅速に対応しました。ヘルスケア事業では、健康
管理意識の高まりにより拡大した血圧計や体温計の需要に対し、オンラインチャネルの強化や生
産能力の増強で対応しました。
これらの結果、通期売上高は前期比で減収となったものの、売上総利益率は、高付加価値商品
の売上拡大、ソリューション提供力の強化、変動費のコストダウンなど、継続的な取り組みの成
果により過去最高を更新しました。営業利益は、売上総利益率の改善に加えて、期初に定めた年
間200億円の固定費削減を計画どおりに完遂したことが寄与して、前期比で大きく増加しました。
当期の業績結果は以下のとおりです。
2020 年 3 月期 2021 年 3 月期 増減率
売 上 高 6,780 億円 6,555 億円 △3.3%
売 上 総 利 益 3,037 億円 2,984 億円 △1.8%
( 売 上 総 利 益 率 ) (44.8%) (45.5%) (+0.7P)
営 業 利 益 548 億円 625 億円 +14.1%
( 営 業 利 益 率 ) (8.1%) (9.5%) (+1.5P)
継 続 事 業
518 億円 651 億円 +25.6%
税 引 前 当 期 純 利 益
当社株主に帰属する
749 億円 433 億円 △42.2%
当 期 純 利 益
米 ド ル 平 均 レ ー ト 109.1 円 105.8 円 △3.3 円
ユ ー ロ 平 均 レ ー ト 121.2 円 123.2 円 +2.0 円
人 民 元 平 均 レ ー ト 15.7 円 15.5 円 △0.2 円
(注)2020年3月期の当社株主に帰属する当期純利益には、非継続事業当期純利益(AECの売却益を含む)を含めています。な
お、非継続事業当期純利益を除いて算定した2020年3月期の当社株主に帰属する当期純利益は392億円であり、これをもと
に算定した増減率は+10.6%です。
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② セグメント別の状況
IAB(制御機器事業)
2020 年 3 月期 2021 年 3 月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
3,528 億円 3,464 億円 △1.8%
売 上 高
営 業 利 益 536 億円 588 億円 +9.7%
<売上高の状況>
自動車業界では、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、生産減や投資の見直し
による厳しい状況が続きました。一方、デジタル業界における半導体や二次電池の設備投資
が活発となり、特に中国で旺盛な設備投資需要が継続しました。また、マスクなどの新型コ
ロナウイルス感染症対策関連の設備投資がグローバルで拡大しました。強化してきた現地営
業・SE人財を活用し、これらの需要の高まりを的確に捉えることで、下期には売上高が回復
しましたが、当期の売上高は前期比で減少しました。
<営業利益の状況>
売上高が前期比減となる中、付加価値向上や固定費抑制の取り組みにより、営業利益は前
期比で増加しました。
EMC(電子部品事業)
2020 年 3 月期 2021 年 3 月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
884 億円 860 億円 △2.6%
売 上 高
営 業 利 益 9 億円 30 億円 +222.7%
<売上高の状況>
期初は、コロナ禍のロックダウンの影響などを受けて需要が大きく減退しました。第2四
半期に入ると顧客の生産活動や販売活動の再開に伴い需要減退は底打ちとなり、それ以降は
中国を中心にグローバルで需要が回復基調に転じました。これらの需要の変化に迅速に対応
したことに加え、コロナ禍で需要が高まった電動工具・パソコン周辺機器などの注力市場に
新商品を投入しました。これらの結果、下期の売上高は前年同期比水準まで回復したもの
の、期初からの売上落ち込みの影響が大きく、当期の売上高は前期比で減少しました。
<営業利益の状況>
売上高の回復に加えて、固定費抑制や構造改革の成果により、営業利益は前期比で大きく
増加しました。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
SSB(社会システム事業)
2020 年 3 月期 2021 年 3 月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
1,160 億円 957 億円 △17.5%
売 上 高
営 業 利 益 109 億円 57 億円 △47.5%
(注) 環境事業のSSBへの移管およびバックライト事業の収束により、2021年3月期より、「その他」の事業セグメントを「SSB」の事
業セグメントおよび「消去調整他」に含め、IAB、EMC、SSB、HCBの4セグメントで開示しています。これに伴い、2020年3月期
を新管理区分に組み替えて表示しています。
<売上高の状況>
交通管制システム事業の更新需要は、堅調に推移しました。一方で、駅務システム事業に
おいては、顧客の投資抑制が継続しました。エネルギーソリューション事業においても、社
会活動自粛の影響を受けて蓄電システムの販売が低調に推移しました。これらの結果、売上
高は前期比で大きく減少しました。
<営業利益の状況>
固定費抑制や付加価値向上に取り組みましたが、売上高の減少幅が大きく、営業利益は前
期比で大きく減少しました。
HCB(ヘルスケア事業)
2020 年 3月期 2021 年 3月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
1,120 億円 1,231 億円 +9.9%
売 上 高
営 業 利 益 135 億円 206 億円 +52.3%
<売上高の状況>
新型コロナウイルス感染症の拡大によって消費者の健康管理意識が高まり、グローバルで
血圧計・体温計の需要が拡大しました。また、ロックダウンや外出規制の影響によって、オ
ンライン市場への消費者の購買行動のシフトが一層加速しました。これらの需要の変化に対
応して、スピーディに増産体制を整えることによって商品供給力を高め、また、オンライン
チャネルでの販売を一層強化した結果、売上高は前期比で大きく増加しました。
<営業利益の状況>
売上高の大幅な増加に加えて、固定費抑制や付加価値向上の取り組みにより、営業利益は
前期比で大きく増加しました。
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(2)当期の財政状態の概況
2017~2020年度の中期経営計画(呼称VG2.0)期間においては、持続的な企業価値向上に向けた投資
を積極的に実行するとともに、資本効率を重視したROIC経営を継続してきました。
当期末の資産の部は、現金及び現金同等物の増加などにより、前期末に比べ623億円増加して、
8,204億円となりました。また、負債の部は、企業年金資産の運用実績改善等により退職給付引当金
が減少したことなどにより、前期末に比べ145億円減少して、2,110億円となりました。純資産の部
は当社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前期末に比べ768億円増加して、6,094億円と
なりました。
以上により、株主資本比率は前連結会計年度末の70.0%から74.0%となり強固な財務基盤が維持
されています。当期末現在の手元現預金は2,508億円を保有しており、加えて金融機関との間で300
億円のコミットメントライン契約を締結しています。また、格付け機関から長期発行体格付けとし
て「安定的」の高格付けを獲得しており、高い資金調達力を維持しています。グローバルで金融機
関との良好な関係を維持しながら、資金流動性と調達力を確保しています。
なお、重要な財務指標であるROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)は当社の想定資本
コスト6%を上回る水準を維持しています。
<連結貸借対照表(抜粋)と財政状態に関連する指標>
2020年3月期 2021年3月期 増減
資産合計(資産の部合計) 7,581 億円 8,204 億円 +623 億円
負 債 の 部 合 計 2,255 億円 2,110 億円 △145 億円
株 主 資 本 5,304 億円 6,069 億円 +764 億円
非 支 配 持 分 22 億円 25 億円 +3 億円
純 資 産 の 部 合 計 5,326 億円 6,094 億円 +768 億円
負 債 及 び 純 資 産 合 計 7,581 億円 8,204 億円 +623 億円
ROE(株主資本利益率) 14.5 % 7.6 % △6.9 P
ROIC(投下資本利益率) 14.1 % 7.8 % △6.3 P
(注)2020年3月期のROE・ROICは、非継続事業(AEC、車載事業)の売却による影響を含めて計算しています。
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(3)当期のキャッシュ・フローの概況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期純利益の計上、売上債権やたな卸資産等の運転資金の減少などにより、938億円の収入
(前期比40億円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
将来の成長に向け生産能力の増強などの設備投資を実行しました。また、HCBにおいて循環
器疾患事業の事業ビジョン「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」実現を加速させる
ため、米国のアライブコア社(AliveCor, Inc.)に対して追加出資を行いました。一方で、持
分法適用会社であった日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社の全株式を株式会社
日立製作所に譲渡しました。以上により、投資活動によるキャッシュ・フローは、148億円の
支出(AEC譲渡対価収入を除くと前期比210億円の支出減)となりました。
なお、当連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシ
ュ・フローを控除したフリーキャッシュ・フローは、790億円の収入(AEC譲渡対価収入を除く
と前期比251億円の収入増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払いなどにより、204億円の支出(前期比91億円の支出減)となりました。
以上の他、為替による増減の結果、当期末における現金及び現金同等物残高は、前期末から
652億円増加し、2,508億円となりました。
<連結キャッシュ・フロー計算書(抜粋)>
2020年3月期 2021年3月期 増減
営業活動によるキャッシュ・フロー 898 億円 938 億円 +40 億円
投資活動によるキャッシュ・フロー 286 億円 △148 億円 △434 億円
フリーキャッシュ・フロー 1,184 億円 790 億円 △394 億円
財務活動によるキャッシュ・フロー △294 億円 △204 億円 +91 億円
減 価 償 却 費 286 億円 228 億円 △58 億円
資 本 的 支 出 ( 設 備 投 資 ) △376 億円 △267 億円 +110 億円
(注)資本的支出は、キャッシュ・フロー計算書記載の金額
(4) 利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
当社は、定款の定めに基づき取締役会決議によって行う中間配当を除き、剰余金の配当等の決定
については株主総会に諮ります。また、株主の皆さまへの還元を含む利益配分に関しましては、
2017~2020年度の中期経営計画(呼称VG2.0)期間において、次の基本方針を適用してまいりました。
① 企業価値の持続的な向上を目指し、将来の成長に必要な研究開発、設備投資、M&Aなどの投資を
優先いたします。そのための内部留保を確保したうえで、資本効率を勘案し、継続的に株主の皆
さまへの還元の充実を図ってまいります。
② 毎年の配当金につきましては、連結業績ならびに配当性向、さらに株主資本利益率(ROE)と配当
性向を乗じた株主資本配当率(DOE)を基準とし、安定的、継続的な株主還元の充実を図ってまい
ります。具体的には、VG2.0期間は、配当性向30%程度およびDOE3%程度を目安として、利益還
元に努めてまいります。
③ 長期にわたり留保された余剰資金につきましては、機動的に自己株式の買入れなどを行い、株主
の皆さまに還元してまいります。
当期(2021年3月期)の期末配当金につきましては、業績状況を鑑み、DOE基準ならびに過去の配
当額の水準も考慮したうえで安定的・継続的な配当とするため、42円とする予定です。2020年12月2
日に実施済みの中間配当金42円を加えると、年間配当金は84円となります。また、次期(2022年3月
期)の年間配当金につきましては、上記の方針を踏襲し、86円とする予定です。なお、次期の中間
(第2四半期末)および期末の配当金は未定です。
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(5)今後の見通し
① 全般的見通し
当社グループは、次期(2022年3月期)を次の長期ビジョンに向けたアクションをスタートさせ
る重要な1年と位置付けています。アフターコロナに向けて社会・経済システムへの転換が加速す
る中、将来の成長に向けた投資を継続して実施し、ビジネスモデルの変革と新事業創出に取り組
み、持続的な成長を実現してまいります。
次期の経営環境は、グローバル経済の回復基調が継続すると想定しています。具体的には、世
界的な半導体製造能力増強のための投資が継続すると見ています。また、CO2削減に対する社会的
な要請の高まりにより、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー関連の設備投資需要が拡大する
と見ています。ヘルスケア業界においては、高齢化の進行や健康意識の高まりにより血圧計等の
健康機器への需要がグローバルで引き続き堅調に推移すると見ています。
当社グループは、このような事業機会を着実にとらえ、次期は全ての事業セグメントにおいて
増収を見込んでいます。一部原材料価格高騰の影響を織り込みますが、引き続き、商品力の強化
などによる付加価値向上や構造改革に取り組み、売上総利益率をさらに向上させる計画としてい
ます。また、活動強度を高めることで販管費や研究開発費が増加する中でも、コロナ禍で実行し
た新たな働き方を継続することで生産性を向上させ、営業利益は増益を見込みます。
次期の業績見通しは以下のとおりです。
2021 年 3 月期 2022 年 3 月期 増減率
売 上 高 6,555 億円 7,000 億円 +6.8%
売 上 総 利 益 2,984 億円 3,250 億円 +8.9%
( 売 上 総 利 益 率 ) (45.5%) (46.4%) (+0.9P)
営 業 利 益 625 億円 700 億円 +12.0%
( 営 業 利 益 率 ) (9.5%) (10.0%) (+0.5P)
税 引 前 当 期 純 利 益 651 億円 670 億円 +2.9%
当社株主に帰属する
433 億円 480 億円 +10.8%
当 期 純 利 益
米 ド ル 平 均 レ ー ト 105.8 円 108.0 円 +2.2 円
ユ ー ロ 平 均 レ ー ト 123.2 円 128.0 円 +4.8 円
人 民 元 平 均 レ ー ト 15.5 円 16.5 円 +1.0 円
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
② セグメント別の見通し
IAB(制御機器事業)
2021 年 3 月期 2022 年 3 月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
3,464 億円 3,750 億円 +8.2%
売 上 高
営 業 利 益 588 億円 630 億円 +7.2%
<売上高の見通し>
デジタル業界では中国・韓国を中心に半導体・二次電池の設備投資が好調に継続し、自動
車業界はEV/ADASを中心に緩やかに回復すると見込んでいます。また、食品・日用品におい
ては、脱プラスチック新素材など環境関連の設備投資が増加すると見ています。これらの変
化に対応し、モノづくり現場の課題解決に向けた制御アプリケーションの提供を引き続き強
化します。さらに、益々強まる自動化・省人化の高度なニーズを着実に捉え、次期の売上高
は当期比で増加を見込みます。
<営業利益の見通し>
引き続きソリューション提供力強化のための投資を継続しますが、売上高の増加や生産性
の向上により、次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。
EMC(電子部品事業)
2021 年 3 月期 2022 年 3 月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
860 億円 940 億円 +9.3%
売 上 高
営 業 利 益 30 億円 45 億円 +51.9%
<売上高の見通し>
中国の民生需要や自動車向け需要を中心に、グローバルで緩やかな回復基調が継続すると
見ています。サプライチェーンマネジメントの最適化などの取り組みによって、高まる需要
を着実に取り込んでいきます。また、注力業界の新たなニーズに応える特徴的なアプリケー
ションや商品を強化していくことで、次期の売上高は当期比で増加を見込みます。
<営業利益の見通し>
原材料価格高騰の影響を織り込みますが、売上高の増加や付加価値向上の取り組みによ
り、次期の営業利益は当期比で大幅な増加を見込みます。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
SSB(社会システム事業)
2021 年 3 月期 2022 年 3 月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
957 億円 960 億円 +0.4%
売 上 高
営 業 利 益 57 億円 70 億円 +23.0%
<売上高の見通し>
駅務システム事業では、顧客の旅客収入減少の影響で投資抑制が継続すると見ています。
一方で、エネルギーソリューション事業では、CO2削減や災害への備えなどのニーズの高ま
りから、蓄電システム等の需要の増加を見込みます。また、エンジニアリング事業では、企
業向けの再生可能エネルギー設備需要が拡大すると見ています。これらの需要に対し、製品
とサービスを組み合わせたソリューションを提供します。これらの結果、次期の売上高は当
期比で増加を見込みます。
<営業利益の見通し>
売上高の増加に加えて、付加価値向上の取り組みなどにより、次期の営業利益は当期比で
大幅な増加を見込みます。
HCB(ヘルスケア事業)
2021 年 3月期 2022 年 3月期 増減率
外 部 顧 客 に 対 す る
1,231 億円 1,330 億円 +8.1%
売 上 高
営 業 利 益 206 億円 225 億円 +9.4%
<売上高の見通し>
家庭での健康管理意識が高まり、グローバルで需要が好調に継続すると見ています。体温
計については新型コロナウイルス感染症拡大による需要急増後の反動減を見込んでいます
が、慢性疾患における血圧管理の需要増加により、血圧計は引き続き堅調に推移すると想定
しています。血圧計の最大市場である中国では、慢性疾患患者向けに医師や薬局などと連携
したネットワーク基盤を構築し、商品・サービスを提供していきます。これらの結果、次期
の売上高は当期比で増加を見込みます。
<営業利益の見通し>
遠隔診療サービス拡大に向けた投資を継続しますが、売上高の増加や生産性向上により、
次期の営業利益は当期比で増加を見込みます。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
③財政状況の見通し
次期(2022年3月期)においては、次の長期ビジョンに向けた今後の成長につながる設備投
資・投融資を積極的に実施します。特に設備投資は全社グループのITシステム刷新を行うなど、
当期比155億円の増加を見込んでいます。
財務活動では、金融情勢を鑑みながらグループ全体の効率的な資金配置を行い、柔軟な調達・
運用を実施してまいります。
なお、重要な財務指標であるROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)は当期純利益の
増加などによりいずれも当期比で改善を見込んでいます。
<次期の財政状態に関連する指標>
2021年3月期 2022年3月期 増減
R O E ( 株 主 資 本 利 益 率 ) 7.6 % 8 %超 -
R O I C ( 投 下 資 本 利 益 率 ) 7.8 % 8 %超 -
<次期のキャッシュ・フロー関連項目>
2021年3月期 2022年3月期 増減
減 価 償 却 費 228 億円 250 億円 +22 億円
資 本 的 支 出 ( 設 備 投 資 ) △267 億円 △422 億円 △155 億円
(注)資本的支出は、キャッシュ・フロー計算書記載の金額
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
2. 企業集団の状況
最近の有価証券報告書(2020年6月24日提出)における「事業の内容」および「関係会社の状況」
から重要な変化がないため、当期における状況の開示を省略します。
3. 経営方針
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは創業以来、事業を通じて社会的課題を解決することで、よりよい社会を作ることを
使命としています。そして企業理念の実践を通じて持続的な企業価値の向上を目指し、企業理念を軸
にした経営を進めています。
(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
<当期(2020年度)の結果>
2020年度は、新型コロナウイルス感染症に対し、感染拡大防止と事業継続を最優先とした緊急対
策モードで事業運営をスタートしました。具体的には、これまで構築してきた強固な財務基盤やサ
プライチェーンにおけるBCP(※)体制の活用、年間200億円規模の固定費削減などを実行し、新型コロ
ナウイルスによる事業へのマイナス影響を最小限にとどめました。また下期にかけて変化した市場
の潮目をいち早くとらえ、中国がけん引する形でグローバルに回復した需要に対して全社で変化対
応力を発揮し、売上を回復させました。さらに、これまで継続的に取り組んできたソリューション
型営業の展開や変動費コストダウンの成果により、コロナ禍の厳しい事業環境の中でも売上総利益
率を向上させました。これらの結果、売上高は6,555億円(前期比△3.3%)、営業利益625億円(同+
14.1%)、売上総利益率は過去最高の45.5%(同+0.7ポイント)となり、若干の減収ではあるもの
の二桁を超える増益を実現しました。
なお、2020年度と2021年度の2年間は、ウィズコロナの期間が続くことを前提に、ニューノーマル
時代における持続的な成長を実現するための事業変革を加速させる期間としました。次期長期ビジ
ョンは2022年度から開始します。
(※)BCP:事業継続計画(Business Continuity Plan)
<長期ビジョン「Value Generation 2020」の総括>
当社グループは、2011年度から2020年度まで、10ヶ年の長期ビジョン「Value Generation 2020」
(以下、VG2020)を掲げ、長期視点に立った経営を進めてきました。VG2020の期間においては、
「成長力」、「収益力」、「変化対応力」の3つの力の強化による財務価値の向上と、「ESG経営」
の推進による非財務価値の向上に取り組みました。この結果、企業価値の創造を表す指標である
「株主総利回り(TSR)」は10年間で約400%となり、企業価値を大幅に向上させました。
「成長力」、「収益力」、「変化対応力」の強化による財務価値向上の具体的な成果は次の通り
です。
1.「成長力」の強化
積極的な投資によって、今後の成長を支える3つの資産を構築してきました。1つ目はソリューシ
ョン提供力の強化です。競争力のある革新的な新商品・アプリケーションの開発と、その価値を伝
達するフロント人財(営業・セールスエンジニア)を強化してきました。2つ目は、新しいビジネス
モデルの構築です。制御機器事業のデータ活用サービスであるi-BELTや、ヘルスケア事業の遠隔診
療サービスのように、今後大きな成長が見込めるサービスの事業化に向けた投資を実行してきまし
た。3つ目は、新製品や新技術の獲得です。制御機器事業ではロボット事業やモーションコントロー
ラー事業などを買収し、商品ラインアップや技術力を拡充しました。ヘルスケア事業ではネブライ
ザ事業の買収や新興企業への出資などを通じて、競争力を強化してきました。
2.「収益力」の強化
ROIC経営による事業ポートフォリオの最適化を進め、収益力を着実に強化してきました。車載事
業の売却や低収益事業の収束を実行し、事業ポートフォリオを利益とシェアが高い事業に絞り込み
経営資源を集中させてきました。2011年度は営業利益率10%を超える事業は制御機器事業のみで、
全社売上に占める割合は約4割でした。これが2020年度にはヘルスケア事業も10%を超え、両事業の
売上が全社に占める割合は約7割に拡大しました。このようなポートフォリオマネジメントの取り組
みに加え、高付加価値商品の売上拡大やソリューション提供力強化により、稼ぐ力を継続的に向上
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
させてきました。その結果、この10年間注力してきた売上総利益率を2011年度の36.8%から2020年
度に45.5%へと向上させました。
3.「変化対応力」の強化
グローバルな事業拡大を支え、生産性を向上させるとともに、変化に強いレジリエントな体質を
構築することを目的に、生産拠点やサプライチェーンの最適化に取り組んできました。制御機器事
業では、M&Aによる新規事業の獲得に加え、顧客のグローバル展開への対応を目的に、2011年度は4
か所だった生産拠点を8か所へと倍増させました。ヘルスケア事業でも、M&Aを活用して生産拠点を
2011年度の3か所から5か所に増加させました。これにより主要市場である米州と欧州の需要変動に
迅速に対応することができるようになりました。一方、電子部品事業においては、11か所あった生
産拠点を7か所に集約しました。小規模な生産拠点を統廃合することで、生産性を向上させました。
さらに、非財務の観点では、2017年にスタートした中期経営計画にサステナビリティ目標を組み
込み、事業活動と一体のものとして取り組んできました。また取締役の中長期業績連動報酬に、第
三者機関の調査に基づくサステナビリティ評価を採用するなどESG経営を推進してきました。その結
果、多くのESGインデックスに組み込まれるなど、社外から高い評価をいただいています。
このように当社グループはVG2020の期間を通じて、財務、非財務の取り組みを加速し、企業価値
を大きく向上させてきました。その一方で、経済環境の変化などの逆風を跳ね返し、自社の力だけ
で収益を伸ばす「自走的な成長構造の確立」は継続して取り組むべき課題として認識しています。
VG2020期間中、当社グループはM&Aや技術開発などの成長投資を実行し、様々な資産を築いてきまし
た。次期長期ビジョンでは、これらの資産を活用し、自走的な成長を実現してまいります。
(3)会社の対処すべき課題
<次期長期ビジョンの方向性>
当社グループは次の10年を不確実で変化の激しい時代になると見ています。例えば近年でも、地
球規模で多発する自然災害、新型コロナウイルス感染症の拡大、米中対立による世界分断リスクの
高まりといった多くの社会変化が起きています。これらの変化は、従来の大量消費・大量生産によ
る右肩上がりの成長を前提とした社会・経済システムを、持続可能な仕組みへと移行させます。そ
して、多くの社会的課題が新たに顕在化します。これらの課題を解決することは、当社グループの
存在意義である「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」そのもので
す。
これらの社会的課題の解決を成長につなげていくために、当社グループは次期長期ビジョンにお
いて、既存事業を最強化すると同時に、4つの新たな成長機会を捉えた価値創造に取り組んでいきま
す。具体的には、「製造現場の高度化」、「1次・3次産業の自動化」、「慢性疾患の予防医療支
援」、「カーボンニュートラルを実現するエネルギーソリューション」です。気候変動や高齢化、
個人の経済格差から生じる社会的課題を捉え、その解決に向けた社会価値を創造していきます。そ
のために、モノによる価値提供にとどまらず、サービスを組み合わせ、パートナーとも協創するこ
とでビジネスモデルを進化させ、付加価値の継続的な拡大に挑戦していきます。
この実現に向け、全社で3つの重点テーマに取り組みます。1つ目は、「オートメーションの進
化」です。人の能力を最大限引き出し、人と機械の協働・融和を実現するユニークな技術を創りこ
みます。2つ目は、「人財マネジメントの変革」です。今後、当社グループは、事業を通じた社会的
課題の解決に欠くことのできない、専門性が高い多様な能力を有する人財を迎え入れていきます。
そして、そのポテンシャルを発揮できる環境をつくることで、これまでにない新たな価値を生み出
していきます。3つ目は「デジタルトランスフォーメーション」の加速です。デジタル技術を使いこ
なし、データの活用によるビジネスモデルを拡張し、企業運営を進化させていきます。
当社グループは、以上の取り組みを通じて、次の10年においても、事業を通じた社会的課題の解
決で持続的な成長を実現し、企業価値を最大化していきます。
<次期(2021年度)の方針と実行計画>
2021年度は、当社グループにとって、次の長期ビジョンに向けたアクションをスタートさせる重
要な1年です。また、アフターコロナに向けて新たな社会・経済システムへの転換が加速する1年で
もあります。当社グループはこの変革期を、新たな価値の創造を加速させ、働き方・オペレーショ
ンを進化させる絶好の機会と捉え、「『変化対応力の最大発揮』と『変革の加速』」を方針に掲げ
ました。
まず、既存事業において培った資産を活かし、事業機会をこれまで以上に迅速に捉え、変化対応
力を発揮させることによって売上成長を図ります。今年度も新型コロナウイルス感染症の拡大や米
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
中貿易摩擦の激化など様々なリスクに備えながら、経済活動の回復やイノベーションの加速などに
よって生まれる事業機会を確実にとらえ、成長につなげます。
また、次期長期ビジョンを見据え、以下の3つの変革を加速していきます。
1つ目は、「ビジネスモデル変革と新事業創出への挑戦」です。リモートメンテナンス、遠隔診療
サービスといったビジネスモデル変革により、既存顧客の深耕と新規顧客の開拓を実現し、売上を
成長させていきます。また、当社グループが捉えるべき新たな社会的課題と新事業テーマを設定
し、事業構想を描き、実行へと着手します。2つ目は、「オペレーションの変革」です。新たなビジ
ネスモデルを支える、ソリューションやサービスと言った付加価値の高い業務へリソースをシフト
させていきます。コロナ禍での事業継続を目的に進めた業務プロセス改善などの取り組みを進化さ
せ、生産性と効率を向上させます。これを支えるため、従来から取り組んできたグループIT基盤の
強化を、さらに推進していきます。3つ目は、「働き方と人財マネジメントの変革」です。これまで
各事業やエリア毎で管理していた人財情報をグローバルで活用できる体制を構築します。さらに社
外のスペシャリスト人財を積極的に受け入れることにより、国やエリアをまたいだグローバル混成
チームで社会的課題の解決に挑戦できる仕組みを作り上げていきます。
以上の取り組みのもと、2021年度は、売上高7,000億円(前期比+6.8%)、売上総利益率46.4%
(同+0.9ポイント)、営業利益700億円(同+12.0%)の増収増益を目指します。「『変化対応力の
最大発揮』と『変革の加速』」を実践し、2022年度から始まる長期ビジョンの力強いスタートに向
けて、全社一丸となって邁進します。
4. 会計基準の選択に関する基本的な考え方
当社グループは、世界中のステークホルダーからの信頼を確保するために、国際的な会計基準の1
つである米国基準を適用しております。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
5.連結財務諸表及び主な注記
(1)連結貸借対照表
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(2020年3月31日) (2021年3月31日)
増減金額
金 額 構成比 金 額 構成比
% %
( 資 産 の 部 )
流 動 資 産 447,139 59.0 514,432 62.7 67,293
現 金 及 び 現 金 同 等 物 185,533 250,755 65,222
受 取 手 形 及 び 売 掛 金 134,786 135,161 375
貸 倒 引 当 金 △759 △756 3
た な 卸 資 産 104,301 103,265 △1,036
売 却 予 定 資 産 441 - △441
そ の 他 の 流 動 資 産 22,837 26,007 3,170
有 形 固 定 資 産 114,526 15.1 113,028 13.8 △1,498
土 地 20,446 19,778 △668
建 物 及 び 構 築 物 129,110 124,404 △4,706
機 械 そ の 他 147,038 153,142 6,104
建 設 仮 勘 定 5,467 3,281 △2,186
減 価 償 却 累 計 額 △187,535 △187,577 △42
投 資 そ の 他 の 資 産 196,459 25.9 192,919 23.5 △3,540
オペレーティング・リース
30,327 38,153 7,826
使 用 権 資 産
の れ ん 38,568 39,160 592
関 連 会 社 に 対 す る
29,251 13,159 △16,092
投 資 及 び 貸 付 金
投 資 有 価 証 券 25,782 33,423 7,641
施 設 借 用 保 証 金 7,486 7,675 189
前 払 年 金 費 用 - 6,736 6,736
繰 延 税 金 37,416 24,179 △13,237
そ の 他 の 資 産 27,629 30,434 2,805
資 産 合 計 758,124 100.0 820,379 100.0 62,255
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(2020年3月31日) (2021年3月31日)
増減金額
金 額 構成比 金 額 構成比
% %
( 負 債 の 部 )
流 動 負 債 151,299 20.0 161,370 19.7 10,071
支払手形及び買掛金・未払金 64,496 69,561 5,065
未 払 費 用 37,179 44,441 7,262
未 払 税 金 2,516 3,504 988
短期オペレーティング・リース負債 11,070 11,179 109
そ の 他 の 流 動 負 債 36,038 32,685 △3,353
繰 延 税 金 1,717 0.2 1,671 0.2 △46
退 職 給 付 引 当 金 40,236 5.3 7,598 0.9 △32,638
長期オペレーティング・リース負債 19,820 2.6 27,709 3.4 7,889
そ の 他 の 固 定 負 債 12,463 1.6 12,673 1.5 210
負 債 の 部 合 計 225,535 29.7 211,021 25.7 △14,514
( 純 資 産 の 部 )
株 主 資 本 530,415 70.0 606,858 74.0 76,443
資 本 金 64,100 8.5 64,100 7.8 -
資 本 剰 余 金 100,521 13.3 101,403 12.4 882
利 益 準 備 金 20,981 2.8 22,931 2.8 1,950
そ の 他 の 剰 余 金 451,768 59.6 476,185 58.0 24,417
その他の包括利益(△損失)累計額 △83,606 △11.0 △32,945 △4.0 50,661
為 替 換 算 調 整 額 △31,408 △8,096 23,312
退 職 年 金 債 務 調 整 額 △52,250 △24,567 27,683
デ リ バ テ ィ ブ 純 損 益 52 △282 △334
自 己 株 式 △23,349 △3.2 △24,816 △3.0 △1,467
非 支 配 持 分 2,174 0.3 2,500 0.3 326
純 資 産 の 部 合 計 532,589 70.3 609,358 74.3 76,769
負債及 び純資産合計 758,124 100.0 820,379 100.0 62,255
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(2)連結損益計算書及び連結包括利益計算書
(連結損益計算書)
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2019年4月1日 (自 2020年4月1日
至 2020年3月31日) 至 2021年3月31日)
増減金額
金 額 百分比 金 額 百分比
% %
売 上 高 677,980 100.0 655,529 100.0 △22,451
売 上 原 価 374,278 55.2 357,178 54.5 △17,100
売 上 総 利 益 303,702 44.8 298,351 45.5 △5,351
販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 202,954 29.9 192,687 29.4 △10,267
試 験 研 究 開 発 費 45,988 6.8 43,184 6.6 △2,804
営 業 利 益 54,760 8.1 62,480 9.5 7,720
その他費用(△収益)―純額― 2,924 0.5 △2,609 △0.4 △5,533
継続事業 税引前当期純利益 51,836 7.6 65,089 9.9 13,253
法 人 税 等 11,270 1.7 15,093 2.3 3,823
( 当 期 税 額 ) ( 10,470) ( 13,929) ( 3,459)
( 繰 延 税 額 ) ( 800) ( 1,164) ( 364)
持 分 法 投 資 損 益 963 0.1 6,098 0.9 5,135
継 続 事 業 当 期 純 利 益 39,603 5.8 43,898 6.7 4,295
非 継 続 事 業 当 期 純 利 益 35,732 5.3 - - △35,732
当 期 純 利 益 75,335 11.1 43,898 6.7 △31,437
非 支 配 持 分 帰 属 損 益 440 0.1 591 0.1 151
当 社 株 主 に 帰 属 す る
74,895 11.0 43,307 6.6 △31,588
当 期 純 利 益
(注)前連結会計年度の当期純利益および当社株主に帰属する当期純利益には、非継続事業当期純利益(AECの売却益を
含む)を含めています。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(連結包括利益計算書)
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2019年4月1日 (自 2020年4月1日
至 2020年3月31日) 至 2021年3月31日)
増減金額
金 額 金 額
当 期 純 利 益 75,335 43,898 △31,437
その他の包括利益(△損失) ―税効果考慮後
為 替 換 算 調 整 額 △23,793 23,448 47,241
退 職 年 金 債 務 調 整 額 10,398 27,683 17,285
デ リ バ テ ィ ブ 純 損 益 △83 △334 △251
そ の 他 の 包 括 利 益 ( △ 損 失 ) 計 △13,478 50,797 64,275
包 括 利 益 61,857 94,695 32,838
(内訳)
非 支 配 持 分 に 帰 属 す る 包 括 利 益 368 727 359
当 社 株 主 に 帰 属 す る 包 括 利 益 61,489 93,968 32,479
(注)前連結会計年度の当期純利益には、非継続事業当期純利益(AECの売却益を含む)を含めています。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(3)連結株主持分計算書
(単位:百万円)
そ の 他 の
そ の 他 の
資 本 金 資本剰余金 利益準備金
剰 余 金
包括利益(△ 自 己 株 式 株 主 資 本 非支配持分 純資産合計
損失)累計額
2019年3月期末現在 64,100 100,233 21,826 433,639 △70,200 △45,386 504,212 2,099 506,311
当 期 純 利 益 74,895 74,895 440 75,335
当 社 株 主 へ の 配 当 金 △17,107 △17,107 △17,107
非 支 配 株 主 へ の 配 当 金 - △293 △293
非支配株主との資本取引等 2 2 2
連結 子会社の減 少によ る
△74 △2,386 2,460 - -
株 主 資 本 の 組 替
株式 に基づく報 酬(注 ) 360 360 360
利 益 準 備 金 繰 入 1,541 △1,541 - -
為 替 換 算 調 整 額 △23,721 △23,721 △72 △23,793
退 職 年 金 債 務 調 整 額 10,398 10,398 10,398
デ リ バ テ ィ ブ 純 損 益 △83 △83 △83
自 己 株 式 の 取 得 △18,541 △18,541 △18,541
自 己 株 式 の 消 却 △40,578 40,578 - -
2020年3月期末現在 64,100 100,521 20,981 451,768 △83,606 △23,349 530,415 2,174 532,589
当 期 純 利 益 43,307 43,307 591 43,898
当 社 株 主 へ の 配 当 金 △16,940 △16,940 △16,940
非 支 配 株 主 へ の 配 当 金 - △401 △401
非支配株主との資本取引等 0 0 0
株 式 に 基 づ く 報 酬 882 882 882
利 益 準 備 金 繰 入 1,950 △1,950 - -
為 替 換 算 調 整 額 23,312 23,312 136 23,448
退 職 年 金 債 務 調 整 額 27,683 27,683 27,683
デ リ バ テ ィ ブ 純 損 益 △334 △334 △334
自 己 株 式 の 取 得 △1,467 △1,467 △1,467
2021年3月期末現在 64,100 101,403 22,931 476,185 △32,945 △24,816 606,858 2,500 609,358
(注) 株式に基づく報酬の見積り変更による資本剰余金の減少△275百万円を含みます。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(4)連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度 当連結会計年度
(自 2019年4月1日 (自 2020年4月1日
至 2020年3月31日) 至 2021年3月31日) 増減金額
金額 金額
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー
1 当 期 純 利 益 75,335 43,898 △31,437
2 営 業活 動に よる キャ ッシ ュ・ フロ ーと
当 期 純 利 益 の 調 整
(1)減 価 償 却 費 28,605 22,756
(2)固 定 資 産 除 売 却 益 ( 純 額 ) △1,487 △325
(3)長 期 性 資 産 の 減 損 498 1,976
(4)投 資 有 価 証 券 売 却 損 ( 純 額 ) 43 -
(5)事 業 売 却 益 △51,450 -
(6)投 資 有 価 証 券 評 価 損 ( △ 益 ) ( 純 額 ) 1,170 △7,615
(7)退 職 給 付 引 当 金 及 び 前 払 年 金 費 用 △436 △617
(8)繰 延 税 金 △125 1,164
(9)持 分 法 投 資 損 益 963 6,098
(10)資 産 ・ 負 債 の 増 減
① 受 取 手 形 及 び 売 掛 金 の 減 少 12,944 3,893
② た な 卸 資 産 の 減 少 10,704 5,425
③ そ の 他 の 資 産 の 減 少 ( △ 増 加 ) △6,442 955
④ 支払手形及び買掛金・未払金の増加(△減少) △1,319 6,237
⑤ 未 払 税 金 の 増 加 15,614 833
⑥ 未払費用及びその他流動負債の増加 3,570 5,301
(11)そ の 他 ( 純 額 ) 1,600 14,452 3,852 49,933 35,481
営業活動によるキャッシュ・フロー 89,787 93,831 4,044
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー
1 投 資 有 価 証 券 の 売 却 に よ る 収 入 1,423 751 △672
2 投 資 有 価 証 券 の 取 得 △2,344 △1,057 1,287
3 資 本 的 支 出 △37,629 △26,662 10,967
4 施設借用保証金の減少(△増加)(純額) 62 △189 △251
5 有 形 固 定 資 産 の 売 却 に よ る 収 入 4,565 2,069 △2,496
6 関連会社に対する投資の減少(△増加) △2,231 7,850 10,081
7 事 業 売 却 ( 現 金 流 出 額 と の 純 額 ) 64,460 2,453 △62,007
8 そ の 他 ( 純 額 ) 333 0 △333
投資活動によるキャッシュ・フロー 28,639 △14,785 △43,424
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー
1 短 期 債 務 の 増 加 ( △ 減 少 ) ( 純 額 ) 6,365 △1,587 △7,952
2 親 会 社 の 支 払 配 当 金 △17,250 △16,952 298
3 非 支 配 株 主 へ の 支 払 配 当 金 △293 △352 △59
4 自 己 株 式 の 取 得 △18,571 △1,471 17,100
5 そ の 他 ( 純 額 ) 319 10 △309
財務活動によるキャッシュ・フロー △29,430 △20,352 9,078
Ⅳ 換 算 レ ー ト 変 動 の 影 響 △13,713 6,528 20,241
現 金 及 び 現 金 同 等 物 の 増 減 額 75,283 65,222 △10,061
期 首 現 金 及 び 現 金 同 等 物 残 高 110,250 185,533 75,283
期 末 現 金 及 び 現 金 同 等 物 残 高 185,533 250,755 65,222
非 継 続 事 業 に 係 る 期 末 現 金
及 び 現 金 同 等 物 残 高 ( 控 除 )
- - -
継 続 事 業 に 係 る 期 末 現 金
及 び 現 金 同 等 物 残 高
185,533 250,755 65,222
営業活動によるキャッシュ・フローの追記
1 支 払
利 231 息 の
187 △44支 払 額
2 当 期 税 金 の 支 払 額 13,513 13,729 216
キャッシュ・フローを伴わない投資及び財務活動の追記
1 資 本 的 支 出 に 関 連 す る 債 務 3,362 659 △2,703
2 自己株式の消却による利益剰余金の減少 40,578 - △40,578
(注)連結キャッシュ・フロー計算書上、非継続事業のキャッシュ・フローは独立表示せずに継続事業のキャッシ
ュ・フローと合算して表示しています。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(5)連結財務諸表に関する注記事項
(継続企業の前提に関する注記)
該当事項はありません。
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)
最近の有価証券報告書(2020年6月24日提出)における記載から重要な変更がないため開示を省略します。
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記)
該当事項はありません。
(会計上の見積りの変更)
第84期より、有形固定資産の減価償却方法についてこれまで定率法を採用していた当社および国内連結子会社につ
きまして、定額法に変更しております。
当社グループは、これまで、2011年にスタートした長期ビジョン「Value Generation 2020」および中期経営計画
(VG2.0)の成長戦略に基づき、注力ドメインであるIAB(制御機器事業)、HCB(ヘルスケア事業)およびSSB(社会
システム事業)を中心に生産・開発拠点への投資を実施しており、前連結会計年度には、当社野洲事業所および桂川
事業所の増築やオムロンヘルスケア株式会社松阪工場の建替えを行いました。また、EMC(電子部品事業)では、グ
ローバル生産体制の構築のために生産拠点統廃合や生産ラインの集約などを進めました。さらには、AEC(車載事
業)の売却などによる事業ポートフォリオの見直しも進めてきました。これらの結果、今後、当社および国内連結子
会社における設備の安定的な稼働と、設備投資や修繕維持費の平準化が見込まれます。
以上の状況を契機として、定額法による減価償却方法が、安定的な設備の稼働が見込まれる有形固定資産の使用実
態をより適切に反映する方法であると判断し、変更を実施しました。なお、この減価償却方法の変更については、
FASB会計基準書第250号「会計上の変更及び誤謬の修正」に基づき会計上の見積りの変更として取扱い、変更による
影響は将来にわたり認識されます。この変更により、従来と比較して第84期の減価償却費は2,120百万円減少し、当
社株主に帰属する当期純利益および基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ1,580百万円およ
び7円83銭増加しております。
(1株あたり情報)
当社は1株当たり利益の算出にあたり、FASB会計基準書第260号「1株当たり利益」を適用しています。
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益および希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益の算出に用いた
株式数は次のとおりです。
株式数(単位:株) 2020年3月期 2021年3月期
基本的 205,044,394 201,692,643
希薄化後 - -
(注)2020年3月期および2021年3月期の希薄化後株式数については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(その他費用(△収益)-純額-の主な内訳)
その他費用(△収益)-純額-の主な内訳は次のとおりです。
2020年3月期
為替差損(純額) 797 百万円
固定資産除売却益(純額) △1,089
受取保険金 △326
投資有価証券評価損(純額) 1,170
退職給付費用 1,282
構造改革費用 1,250
2021年3月期
為替差損(純額) 1,238 百万円
固定資産除売却益(純額) △325
退職給付費用 3,006
投資有価証券評価益(純額) △7,615
長期性資産の減損 1,976
支払和解金 844
(関連会社株式の売却)
当社は2021年3月29日に当社の保有する日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社の全株式を株式会社日
立製作所に譲渡する株式譲渡契約を締結し、2021年3月31日に当該株式譲渡が完了しました。これらについて、第84
期の連結損益計算書上、持分法投資損益に6,787百万円の損失が計上されています。
なお、リース取引、関連当事者との取引、税効果会計、金融商品、有価証券、デリバティブ取引、退職給付、企業
結合等、資産除去債務に関する注記事項については、決算短信における開示の必要性が大きくないと考えられるため
開示を省略します。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(セグメント情報)
[事業の種類別セグメント情報]
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (単位:百万円)
IAB EMC SSB HCB 計 消去調整他 連結
売 上 高
(1)外部顧客に対する売上高 352,762 88,357 116,008 111,999 669,126 8,854 677,980
(2)セグメント間の内部売上高 5,120 44,061 9,813 440 59,434 △59,434 -
計 357,882 132,418 125,821 112,439 728,560 △50,580 677,980
営 業 費 用 304,287 131,500 114,968 98,928 649,683 △26,463 623,220
営 業 利 益 ( △ 損 失 ) 53,595 918 10,853 13,511 78,877 △24,117 54,760
(注)環境事業のSSBへの移管およびバックライト事業の収束により、2021年3月期より、「その他」の事業セグメントを「SSB」の事業セグメン
トおよび「消去調整他」に含め、IAB、EMC、SSB、HCBの4セグメントで開示しています。これに伴い、前連結会計年度を新管理区分に組み
替えて表示しています。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (単位:百万円)
IAB EMC SSB HCB 計 消去調整他 連結
売 上 高
(1)外部顧客に対する売上高 346,446 86,028 95,663 123,087 651,224 4,305 655,529
(2)セグメント間の内部売上高 5,029 43,327 8,994 292 57,642 △57,642 -
計 351,475 129,355 104,657 123,379 708,866 △53,337 655,529
営 業 費 用 292,682 126,393 98,964 102,806 620,845 △27,796 593,049
営 業 利 益 ( △ 損 失 ) 58,793 2,962 5,693 20,573 88,021 △25,541 62,480
(注)当社グループでは、有形固定資産の減価償却方法について、2021年3月期より、当社および国内連結子会社につきまして、従来の定率法か
ら定額法に変更しています。この変更による営業費用の前期比減少額(IAB 427百万円、EMC 418百万円、SSB 370百万円、HCB 311百万
円、消去調整他 594百万円、合計 2,120百万円)につきましては、各事業セグメントに配賦せず、全額を消去調整他に計上しています。
[所在地別売上高]
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (単位:百万円)
IAB EMC SSB HCB 計 消去調整他 連結
主たる地域市場(外部顧客)
日本 139,970 22,845 115,225 26,081 304,121 7,390 311,511
米州 32,635 13,560 - 21,605 67,800 - 67,800
欧州 71,766 15,051 - 21,690 108,507 - 108,507
中華圏 68,775 24,149 283 31,408 124,615 1,439 126,054
東南アジア他 39,404 12,530 - 10,808 62,742 - 62,742
直接輸出 212 222 500 407 1,341 25 1,366
計 352,762 88,357 116,008 111,999 669,126 8,854 677,980
(注)環境事業のSSBへの移管およびバックライト事業の収束により、2021年3月期より、「その他」の事業セグメントを「SSB」の事業セグメン
トおよび「消去調整他」に含め、IAB、EMC、SSB、HCBの4セグメントで開示しています。これに伴い、前連結会計年度を新管理区分に組み
替えて表示しています。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) (単位:百万円)
IAB EMC SSB HCB 計 消去調整他 連結
主たる地域市場(外部顧客)
日本 126,805 20,885 95,414 29,610 272,714 3,898 276,612
米州 27,629 12,061 - 23,952 63,642 - 63,642
欧州 65,554 13,141 - 22,784 101,479 - 101,479
中華圏 87,824 28,668 174 34,160 150,826 341 151,167
東南アジア他 38,534 11,089 - 12,140 61,763 - 61,763
直接輸出 100 184 75 441 800 66 866
計 346,446 86,028 95,663 123,087 651,224 4,305 655,529
(注)日本以外の区分に属する主な国または地域
(1)米州………………米国・カナダ・ブラジル
(2)欧州………………オランダ・英国・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン
(3)中華圏……………中国・香港・台湾
(4)東南アジア他……シンガポール・韓国・インド・豪州
(5)直接輸出…………直送輸出取引
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
6.補足情報
(1)連結業績[米国基準]
2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売 上 高 百万円 677,980 655,529 96.7%
営 業 利 益 百万円 54,760 62,480 114.1%
(率) (%) (8.1%) (9.5%) (+1.5P)
継 続 事 業 税 引 前 当 期 純 利 益 百万円 51,836 65,089 125.6%
(率) (%) (7.6%) (9.9%) (+2.3P)
当 社 株 主 に 帰 属 す る 当 期 純 利 益 百万円 74,895 43,307 57.8%
1株当たり当社株主に帰属する当期純利益 円 銭 365円26銭 214円72銭 △150円54銭
総 資 産 百万円 758,124 820,379 108.2%
株 主 資 本 百万円 530,415 606,858 114.4%
( 株 主 資 本 比 率 ) (%) (70.0%) (74.0%) (+4.0P)
1 株 当 た り 株 主 資 本 円 銭 2,626円62銭 3,009円15銭 +382円53銭
営業活動によるキャッシュ・フロー 百万円 89,787 93,831 +4,044
投資活動によるキャッシュ・フロー 百万円 28,639 △14,785 △43,424
財務活動によるキャッシュ・フロー 百万円 △29,430 △20,352 +9,078
継続事業に係る現金及び現金同等物期末残高 百万円 185,533 250,755 +65,222
(注1)連結子会社数は126社、持分法適用関連会社数は6社です。
(注2)2020年3月期の当社株主に帰属する当期純利益および1株当たり当社株主に帰属する当期純利益には、非継続事業当期純利益(AECの売却
益を含む)を含めています。なお、非継続事業当期純利益を除いて算定した2020年3月期の当社株主に帰属する当期純利益と1株当たり当
社株主に帰属する当期純利益は次のとおりです。
非継続事業当期純利益を除いた当社株主に帰属する当期純利益
2020年3月期 392億円(2021年3月期における前期比 110.6%)
非継続事業当期純利益を除いた1株当たり当社株主に帰属する当期純利益
2020年3月期 191円00銭(2021年3月期における前期比 23円72銭)
(2)単独業績
2020年3月期 2021年3月期 (前期比)
売 上 高 百万円 295,651 258,494 87.4%
営 業 利 益 百万円 14,200 6,266 44.1%
(率) (%) (4.8%) (2.4%) (△2.4P)
経 常 利 益 百万円 28,122 23,562 83.8%
(率) (%) (9.5%) (9.1%) (△0.4P)
税 引 前 純 利 益 百万円 83,518 16,058 19.2%
(率) (%) (28.2%) (6.2%) (△22.0P)
当 期 純 利 益 百万円 79,376 18,503 23.3%
1 株 当 た り 当 期 純 利 益 円 銭 387円12銭 91円74銭 △295円38銭
潜在株式調整後1株当たり当期純利益 円 銭 - - -
資 本 金 百万円 64,100 64,100 100.0%
総 資 産 百万円 510,158 537,742 105.4%
純 資 産 百万円 302,811 298,916 98.7%
自 己 資 本 比 率 (%) 59.4% 55.6% △3.8P
1 株 当 た り 純 資 産 円 銭 1,499円52銭 1,482円20銭 △17円32銭
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(3)連結セグメント別売上高実績
(単位:億円)
2020年3月期 2021年3月期 前期比
日 本 1,400 1,268 90.6%
米 州 326 276 84.7%
欧 州 718 656 91.3%
IAB 中 華 圏 688 878 127.7%
東南アジア 他 394 385 97.8%
直 接 輸 出 2 1 47.2%
計 3,528 3,464 98.2%
日 本 228 209 91.4%
米 州 136 121 88.9%
欧 州 151 131 87.3%
EMC 中 華 圏 241 287 118.7%
東南アジア 他 125 111 88.5%
直 接 輸 出 2 2 82.9%
計 884 860 97.4%
日 本 1,152 954 82.8%
米 州 - - -
欧 州 - - -
SSB 中 華 圏 3 2 61.5%
東南アジア 他 - - -
直 接 輸 出 5 1 15.0%
計 1,160 957 82.5%
日 本 261 296 113.5%
米 州 216 240 110.9%
欧 州 217 228 105.0%
HCB 中 華 圏 314 342 108.8%
東南アジア 他 108 121 112.3%
直 接 輸 出 4 4 108.4%
計 1,120 1,231 109.9%
日 本 74 39 52.7%
米 州 - - -
欧 州 - - -
消去調整他 中 華 圏 14 3 23.7%
東南アジア 他 - - -
直 接 輸 出 0 1 264.0%
計 89 43 48.6%
日 本 3,115 2,766 88.8%
米 州 678 636 93.9%
欧 州 1,085 1,015 93.5%
合計 中 華 圏 1,261 1,512 119.9%
東南アジア 他 627 618 98.4%
直 接 輸 出 14 9 63.4%
計 6,780 6,555 96.7%
(注)環境事業のSSBへの移管およびバックライト事業の収束により、2021年3月期より、「その他」の事業セグメントを
「SSB」の事業セグメントおよび「消去調整他」に含め、IAB、EMC、SSB、HCBの4セグメントで開示しています。
これに伴い、2020年3月期を新管理区分に組み替えて表示しています。
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オムロン㈱ (6645) 2021年3月期 決算短信
(4)連結セグメント別営業利益実績
(単位:億円)
2020年3月期 2021年3月期 前期比
IAB 536 588 109.7%
EMC 9 30 322.7%
SSB 109 57 52.5%
HCB 135 206 152.3%
消去調整他 △241 △255 -
合計 548 625 114.1%