6615 UMCエレ 2019-12-27 15:00:00
ガバナンス検討委員会の報告書に関するお知らせ [pdf]

                                              2019 年 12 月 27 日
各 位
                 会 社 名 ユー・エム・シー・エレクトロニクス株 式 会 社
                 代表者名   代 表 取 締 役 社 長     髙     田    昭     人
                                    (コード番号:6615 東証第一部)
                 問合せ先   取締役副社長 副社長執行役員 管理本部本部長
                                      仙 波       陽 平
                                     (TEL. 048-724-0001)



            ガバナンス検討委員会の報告書に関するお知らせ




 当社は、2019 年 11 月 22 日付「ガバナンス検討委員会の設置に関するお知らせ」にてお知らせし
た通り、不適切な会計処理に関する外部調査委員会の調査報告書を受け、外部の有識者で構成さ
れる「ガバナンス検討委員会」(委員長:東京富士法律事務所 弁護士 小澤徹夫。以下「本委員会」
といいます。)を設置し、適切なガバナンス体制についての提言を求めておりましたところ、この度、本
委員会より報告書を受領いたしました。本委員会の報告書における提言の概要は、下記のとおりです。
 今後当社は、報告書における提言に基づき、経営体制を一新し、経営責任を明確化するために必
要な対応と不祥事の再発防止策策定を行ってまいります。


                         記


1. 本委員会の報告書における提言の内容について
 当社は、本委員会より、4 項目、全 19 の提言を受けました。


提言Ⅰ・監査等委員会設置会社への移行等
(1) 提言内容
① 監査等委員会設置会社に移行し、ガバナンス体制を強化すべきである。
② 取締役(役員)の員数を減らすべきである。
③ 任意の指名・報酬委員会を設置し、監督機能を強化すべきである。
④ 少なくとも 1 名は常勤の監査等委員を置くべきである。
⑤ 専属または内部監査と兼任の監査等委員会事務局を置くべきである。
⑥ 監査等委員には、弁護士及び公認会計士が就任すべきである。
⑦ 監査等委員会設置会社への移行は可及的速やかに行うべきである。
⑧ 海外子会社のガバナンスを強化すべきである。


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(2) 提言の理由
ア 提言①から③について
 当社は、現在、取締役会及び監査役会設置会社であり、取締役は 9 名(うち社外取締役 3 名)、監
査役は 5 名(うち社外監査役 3 名)となっております。
 しかし、当社の取締役会及び監査役(会)は、これほど広範囲、かつ、長期間にわたって行われた
不正会計を発見、是正することができませんでした。そのため、本委員会からは、これまでの当社の取
締役及び監査役(会)による監視監督は、少なくとも不正会計に関して機能していなかったと言わざる
を得ないとの指摘を受けました。
 本委員会からは、再発防止の観点から、当社は、監視監督機能を強化したガバナンス体制に移行
すべきであり、具体的には、当社の規模や機関設計に要する社外取締役の員数・コスト等を勘案して、
監査等委員会設置会社へ移行すべきとの提言を受けました。
 また、本委員会からは、当社の規模や現状に鑑み、取締役(役員)の員数を減らすべきとの提言も
受けました。加えて、監視監督機能を強化するため、自主的に任意の指名・報酬委員会を設置するこ
とについても提言を受けました。


イ 提言④から⑥について
 会社法上、常勤の監査等委員は要求されていませんが、社外の監査等委員が十分に役割を果た
すためには、当社内部の事情に精通した常勤の監査等委員の存在が必要であるとして、少なくとも 1
名は常勤の監査等委員を置くべきとの提言を受けました。
 また、監査等委員には、常勤の監査等委員以外に、弁護士及び公認会計士が就任すべきであると
の提言に加え、監査等委員会には、事務局として業務を補助する従業員も必要であるとの提言も受け
ました。


ウ 提言⑦について
 監査等委員会設置会社に移行するためには定款変更等の手続が必要となるため、一定の期間を
要しますが、当社が失われた信頼を取り戻し、株主をはじめとするステークホルダーの負託に応えるた
めには、速やかにガバナンス体制を刷新しなければならないため、可及的速やかに監査等委員会設
置会社に移行すべきであるとの提言を受けました。


エ 提言⑧について
 海外子会社のガバナンスについては、日本法人がグローバルで一元的に管理することも重要であ
るものの、海外子会社においても、適切な人材を配置し、ガバナンスを強化すべきとの提言を受けまし
た。


提言Ⅱ・現在の取締役、監査役の業務継続の是非
(1) 提言内容
⑨ 不正会計への関与や原因をふまえ、当社の各取締役が業務を継続することにつき意見を述べ
     る。
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⑩ 監査役については、監査等委員会設置会社への移行を機に、刷新するべきである。
⑪ 今後も取締役として当社の経営を担う取締役は、特定の株主の意見、利益のみでなく、少数株
   主、取引先、従業員等、全てのステークホルダーの利益のために業務を行うことをこれまで以上
   に意識すべきである。


(2) 提言の理由
ア 提言⑨について
 当社においては、不正会計を受け、内山前社長が代表権を返上し、取締役会において柏木取締
役に対する辞任勧告決議を行ったものの、本日現在、未だ経営責任が明確にされたとはいえないと
の指摘を受けました。
 また、当社が監査等委員会設置会社に移行した場合、取締役及び監査役は任期満了により退任
することとなり(会社法 332 条 7 項 1 号、336 条 4 項 2 号)、新たに取締役を選任する必要が生じるこ
とから、外部調査委員会の調査報告書における事実認定を前提として、各取締役による業務継続の
是非についてご意見をいただきました。


イ 提言⑩について
 外部調査委員会の調査報告書における事実認定を前提として、当社の監査役会は、監査機能を
果たしていなかったものとして、当社の監査役については、監査等委員会設置会社への移行を機に、
刷新するべきとの提言を受けました。


ウ 提言⑪について
 現在も当社は創業家が大株主であることから、今後も取締役として当社の経営を担う取締役は、特
定の株主の意見、利益のみではなく、少数株主、取引先、従業員等、全てのステークホルダーの利益
のために業務を行うことをこれまで以上に意識すべきとの提言を受けました。


提言Ⅲ・競争力の強化
⑫ 早急に会計・経理体制を整備すべきである。
⑬ 原価低減を推進すべきである。
⑭ 赤字事業の見直しをすべきである。
⑮ 人材育成に注力し、人事評価の基準を明確化すべきである。


(2) 提言の理由
ア 提言⑫について
 外部調査委員会の調査報告書において、当社は、管理部門、特に会計・経理の人員が不足してい
るとの指摘を受けましたが、会計・経理体制の整備は、競争力を強化する前提となるものであるから、
外部の専門家等の協力を得て早急に正確な損益状況を把握できる会計・経理態勢を整えるべきとの
提言を受けました。


イ 提言⑬について
 これまで、当社では、EMS 事業のコストのうち、主に製造分野(加工費部分)において原価低減の
取り組みがなされてきました。しかし、EMS 事業においては、部材費が原価の大部分を占めているとこ

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ろ、近時、自前で部材を調達するケースが増加しており、購買体制の整備を図ることが競争力強化の
ためには極めて重要となっていることから、当社においては、原価低減の最重要課題として、購買体
制の整備を行うべきとの提言を受けました。
 あわせて、LCA 事業については、損益を明確にした上で、事業実態にあわせた原価低減、事業規
模の検討がなされるべきとの提言、これまで行ってきたとおり、引き続き、製造分野(加工費部分)の生
産性向上、品質向上に取り組むべきとの提言を受けました。


ウ 提言⑭について
 当社においては、中国法人の業績を前提として、国内外の拠点を増やしてきたものの、実態はそれ
とは異なっていたのであるから、赤字拠点についての方針を早期に定めるべきであり、かつ、各拠点
において、黒字化に向けた取り組みを行うべきであるとの提言を受けました。


エ 提言⑮について
 当社は、管理部門だけでなく、各部門において人材の育成が課題となっていること、及び人事評価
の基準を明確にすべきとの声も聞かれることから、人材育成に注力するとともに、人事評価基準の明
確化がなされるべきとの提言を受けました。


提言Ⅳ・内部統制・コンプライアンス態勢の構築
⑯ 不正会計の総括及び責任追及、処分を行うべきである。
⑰ 内部通報制度を拡充すべきである。
⑱ コンプライアンス委員会を新設すべきである。
⑲ 内部監査部門を充実させ、監査等委員会、監査法人との連携を図るべきである。


(2) 提言の理由
ア 提言⑯について
 コンプライアンス遵守の真剣度を示すためにも、新体制の下で、専門家の意見を参考にしつつ、不
正会計を指示、認容した取締役に対する法的責任の追及を検討すべきとの提言を受けました。
 また、今回の不正会計は経営者不正であるとされているものの、今後、当社が新体制の下で、再出
発するにあたっては、不正会計を行った従業員に対しても、内規に従った適切な処分を検討すべきと
の提言を受けました。


イ 提言⑰について
 当社には既に内部通報制度が設けられており、不正会計の発覚に内部通報が寄与したことからす
れば、現制度は一定程度機能していると考えられるものの、運用上、通報を受けた後のルートが確立
していなかったことや海外子会社について内部通報制度が整備されていなかった等の問題もあること
から、内部通報制度の見直しが必要との提言を受けました。
 具体的には、通報を受けた後のルートの確立(速やかに監査等委員会に通報内容が報告され、後
述するコンプライアンス委員会にて調査方針、内容の確認、指導を行う等)、海外子会社における内
部通報窓口の整備、法律事務所等、外部に通報窓口を設置すること等も検討に値するとの指摘を受
けました。



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ウ 提言⑱について
 当社においては、これまで経営者のコンプライアンス意識が希薄であったことからコンプライアンス
を重視する企業風土が形成されてこなかったとの指摘を受けました。そして、その中で、経営層による
パワハラといった問題が生じていることから、単にコンプライアンス重視を掲げて、内部においてこれを
実践しようとしても困難であり、時間の経過とともに元の組織、企業風土に戻ってしまうおそれが強いと
の指摘を受けました。
 そのため、取締役会直下の組織としてコンプライアンス委員会を新設し、外部の弁護士等を委員長
として、これまで当社で醸成されてこなかったコンプライアンスを重視する意識を吹き込むことが有用と
の提言を受けました。
 コンプライアンス委員会においては、委員長のほか、監査等委員も参加するなどして、問題を共有
し、内部通報への対応や各部門から寄せられるコンプライアンス上の問題(ハラスメント問題を含む)を
検討すべきとの指摘を受けました。加えて、事務局において、コンプライアンス研修を立案、実施し、
全社的なコンプライアンス意識の向上、推進、認識の共有を図ることも有用との指摘を受けました。


エ 提言⑲について
 外部調査委員会の調査報告書によれば、当社の内部監査は実質 1 名で行っていたとのことであ
り、形骸化していたと指摘されています。当社グループの内部監査を 1 名で行うことは不可能であり、
まずもって人員を増やし、海外子会社を含めて実効性のある内部監査を行うべきとの提言を受けまし
た。また、監査法人と定期的に意見交換会を開く等、監査法人との連携も強化すべきとの指摘も受け
ました。


2. 当社の今後の対応
当社では、本委員会と連携して「経営改革委員会」(委員長:代表取締役社長 高田昭人)を設置し、
その下に組成した「競争力強化部会」及び「内部統制構築部会」において再発防止への取組に着手
しております。「競争力強化部会」においては、経営戦略再構築、業績回復、人材育成、業務効率向
上を課題とし、「内部統制構築部会」においてはコンプライアンス体制強化、内部管理体制強化、内部
統制の再構築を課題としています。
 今後、当社は、本委員会の提言を踏まえ、具体的な再発防止策を策定してまいります。


                                             以上




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