6596 P-筑波精工 2019-11-15 15:30:00
通期の業績予想の修正に関するお知らせ [pdf]
2019年11月15日
各 位
会社名 筑波精工株式会社
代表者名 代表取締役社長 傅 寶莱
(コード番号:6596、TOKYO PRO Market)
問合せ先 取締役管理部長 松坂 一生
TEL 0285-55-0081
URL https://www.tsukubaseiko.co.jp/
通期の業績予想の修正に関するお知らせ
当社は、最近の業績の動向等を踏まえ、2019年5月15日に公表しました2020年3月期(2019年4月1日~
2020年3月31日)の通期業績予想につきまして以下のとおり修正いたしましたのでお知らせいたします。
記
1.2020年3月期通期業績予想数値の修正(2019年4月1日~2020年3月31日)
(百万円未満切捨て)
1株当たり
営業利益 経常利益 当期純利益
売上高 当期純利益
(損失△) (損失△) (損失△)
(損失△)
百万円 百万円 百万円 百万円 円銭
前回発表予想(A)
562 37 37 31 8.46
今回修正予想(B) 226 △187 △187 △194 △52.31
増 減 額 ( B - A ) △336 △224 △224 △225
増 減 率 ( % ) △59.7 ― ― ―
(ご参考)前期実績
340 1 △56 △62 △19.27
(2019年3月期)
2.修正の理由
当中間会計期間の業績、下半期の見通しを勘案した結果、売上高、営業損益、経常損益及び当期純損
益は、共に前回発表予想を下回る見込みとなりました。
当社製品のステージ、サポーター及びその他を合計した売上高は、当中間会計期間に続き下半期につ
いても外部環境の変化等に対応を要し、前回発表予想を下回る見通しとなります。
売上高の修正による売上総利益の減少に加え、下半期も成長のための基盤づくりとして、研究開発、営
業投資及び人材採用を引き続き行うことから、営業損益、経常損益及び当期純損益は共に、前回発表予想
を下回る見込みとなりました。
なお、製品別の主な修正要因は以下のとおりです。
1
【売上高】
当中間会計期間における売上高は当初予想200百万円に対して108百万円減少の91百万円となりまし
た。また、下記に掲げる各製品別の計画の修正により、通期における売上高予想は、当初予想562百万円
に対して336百万円減少の226百万円に修正いたします。
(ステージ)(注1)
大手スマートフォンメーカーによる生産調整は、前期末をボトムとして、若干の改善傾向になると見込み
(一般的にスマートフォンのサイズや外形はモデルチェンジの度に変更されることが多く、同じ規格の「ステ
ージ」を複数のモデルにまたがって使用することが少ないため、モデルチェンジ毎に「ステージ」の需要が生
じると考えております)、前期からの継続受注並びに受注増加を想定しておりました。
一方で、米中貿易摩擦激化の影響等により当初の見込み程には回復せず、下半期以降も同様の影響は
継続すると見られます。当社「ステージ」は主にスマートフォンや液晶テレビのディスプレーの薄膜の張り合
わせに用いられることが多く、スマートフォンメーカー(ディスプレー製造メーカー)による生産調整は新規ラ
インの増設中止に直結することから、当社製品の「ステージ」の需要も当初見込み通りには推移せず、その
結果、「ステージ」の当中間会計期間における売上高は当初予想64百万円に対して19百万円減少の実績
値45百万円となりました。
また、「ステージ」の通期における予想売上高は当初予想168百万円に対して83百万円減少の85百万円
に修正いたします。
(サポーター)(注2)
当社において、今後2年程度にわたって「サポーター」のボリュームゾーン商品となりうると見込んで、
2019年3月以降、8インチ(200㎜)ウエハ向けの「サポーター」の製造を準備してまいりました。8インチウエ
ハをターゲットとした理由は、大手半導体ファンドリにて製造ラインが普及しており、製造面の難易度も12イ
ンチに比べて低いため、多くの顧客が希望していたためであります。
しかしながら、その一方で、「サポーター」の大口ユーザー候補である海外の大手半導体ファンドリにおい
て、EV向け高性能半導体需要(IGBT,MOSFET等)の立ち上がりに並行して、ビッグデータとAI、IoTな
どを活用する5G通信向け半導体製造需要が強まり、喫緊で、①半導体シリコンウエハ(以下、「ウエハ」と
いう。)の更なる薄型化の追求(注3)、②汎用通信機器等に搭載前提の強力なコストダウン要求、③大口需
要家による生産キャパ拡大要求、などの対応に迫られることとなりました。
そのため、海外の大手半導体ファンドリでは、今後2年程度におけるボリュームゾーンと目されていた8イ
ンチ(200㎜)ウエハ向け「サポーター」の投入検討を一斉に停止するとともに、①~③の市場要求を全て充
足する可能性が高く、よりコスト競争力が高い12インチ(300㎜)ウエハ向け「サポーター」の製造ラインへの
投入の検討に一斉に移行(注4)することとなりました。
そしてその結果として、当社において、当初計画していた8インチの「サポーター」案件は一旦全て解消さ
れることとなりました。
前期から直近までの「サポーター」採用検討中の顧客の動きは以下の通りです。
顧客の商談対象の 顧客がターゲットとする
主な顧客ニーズ
「サポーター」サイズ ワークの厚さ
前期 12インチ 100μm以上 IGBT MOSFET
8インチ 100μm以下~50μm 5G
今期 12インチ 100μm以上 IGBT MOSFET
IGBT MOSFET
直近 12インチ 100μm以下~50μm
5G
また、前期から今期への「サポーター」の期ずれ案件も「サポーター」サイズの見直しが必要となったこと
から同様に解消され、新たにワークの厚さが100μ mを切る12インチの「サポーター」案件として検討が始ま
ることとなりました。なお、当社では、既に2019年9月に新たに12インチウエハへ投入する前提での「サポー
ター」案件の検討を開始しております。
また、2018年11月28日のTOKYO PRO Market上場の際に調達した資金の一部は「サポーター」の製造能
力を拡大する為に「真空ホットプレス」及び「レーザアブレーション加工システム」に投資してまいりました。こ
2
れらの設備は8インチ「サポーター」の加工に留まらず、12インチ「サポーター」他の加工にフレキシブルに
使用することが可能である為、設備投資が無駄となることはございません。
この市場変化が今期の当社業績に大きな影響を及ぼすこととなり、結果として通期ベースで251百万円の
減収を見込むこととなりました。
なお、「サポーター」による半導体製造プロセスは、薄いウエハを「サポーター」に自動的に装着・解除する
「自動機」が適正に稼働することが前提となります。前期末に発見された当該「自動機」のバグに対する開発
メーカーの対策等が予想以上の時間を要したため、前期から今期における「サポーター」受注の遅延を招き
ました。現在では当該バグへの対策は完了しているものの、海外の大手半導体ファンドリにおける8インチラ
インから12インチラインへのターゲット変更の影響により、各社の案件はウエハサイズの検討段階に逆戻り
している為、現状では「自動機」の不具合が「サポーター」売上に直接影響を与える事態には至っておりませ
ん。
また、海外の大手半導体ファンドリによる8インチウエハから12インチウエハへの移行と同様、昨年末の時
点で当該自動機の対象ウエハ厚を100μ mとしていたものが、直近では近い将来において50μmを標準とする
ことがこれら大手ファンドリの暗黙の了解となっており、「自動機」の開発メーカーによる対策も更なる高度化
が求められる状況となっております。このため、当社では当該「自動機」メーカーとの協力体制を構築して50μ
m標準のウエハの「自動機」対応を進めており、近々当該「自動機」を完成させる予定であります。
以上のとおり、「サポーター」の当中間会計期間における売上高は当初予想116百万円に対して100百万円
減少の実績値16百万円となりました。
また、「サポーター」の通期における売上高予想は当初予想350百万円に対して251百万円減少の99百万
円に修正いたします。
なお、海外の大手半導体ファンドリが共通の経営課題(①12インチウエハの早期導入、②ウエハ厚70μ m、
③徹底した低コスト化の実現)を持ち始めたことが、8インチウエハによるライン計画の見直しとして当社の今
期売上の落込みを招くこととなりました。一方で、現在は2種類の特殊な加工方法を組み合わせることで
100μm厚のウエハ加工を実現しておりますが、その場合のコストは当社製品を単独で使用する場合の数倍と
なっております。また、同じ工法でウエハ厚を100μ m以下とした場合は、「マイクロクラック(微細な亀裂)」等が
発生してしまう為、ウエハの薄型化の進捗に従って当社の「サポーター」は最有力手段になって行くと考えて
おります。
加えて、パワー半導体の業界では、IGBT(電気自動車向けパワー半導体)の12インチ案件はウエハ厚
100μm~70μmが標準として意識され、それ以上の厚さのウエハが大手半導体ファンドリの検討対象から除
外されつつある為、従来の接着剤を用いて板を貼りつける製造方法は陳腐化する可能性が高まり、将来に
おいて「サポーター」を用いた加工法が接着剤を用いた方法に取って変わる可能性を秘めております。以上
の状況から、従来の方法では薄型化・大型化が急速に進展する半導体ウエハへの対応が困難になりつつあ
る一方で、当社の「サポーター」は顧客の薄型化・大型化のニーズに応えることが可能であるため、当社の成
長する環境がより鮮明になりつつあるものでございます。
(その他)
「その他」の販売は、小口の各種アプリケーション製品の販売を中心に展開する方針としておりましたが、前
期に引き続き国内外顧客需要の掘り起こしを丹念に実行し、積極的な前倒し受注を実現したことで、「その
他」の販売に係る当中間会計期間の売上高は当初予想18百万円に対して10百万円増加の実績値29百万円
となりました。
また、「その他」の販売に係る通期における売上高予想は、前期の前倒し案件の影響と受注確度の低下し
た案件を考慮して当初予想42百万円に対して1百万円減少の41百万円に修正いたします。
【営業利益】
当中間会計期間における営業利益は当初予想△19 百万円に対して 76 百万円減少の△96 百万円となり
ました。
通期における予想営業利益は、上記売上高の下方修正に加え、今後の成長のための基盤づくりとして、
研究開発、営業投資、及び人材採用による人件費等を引き続き積極的に投入することにより、当初通期予想
37百万円に対して 224 百万円減少の△187 百万円に修正いたします。
3
【経常利益】
当中間会計期間における経常利益は営業外損益が僅少であり当初予想△19 百万円に対して 76 百万円
減少の△96 百万円となりました。
通期における予想経常利益は、当初通期予想 37百万円に対して 224 百万円減少の△187 百万円に修
正いたします。
【当期純利益】
当中間会計期間における当期純利益は特別損益を計上せず、法人税等調整額6百万円を計上した結果、
当初予想△19 百万円に対して 83 百万円減少の△103 百万円となりました。
通期における予想当期純利益は、特別損益を見込んでおらず、当初通期予想31百万円に対して225百万円
減少の△194百万円に修正いたします。
(注1) 当社製品の「ステージ」は、給電ユニットが付属している静電チャックのシステムです。吸着する素材(以下、「ワーク」
という。)を吸着する時に給電し、ワークを離脱させるときは給電を停止します。ワークは、薄いガラス板や、スマホの
ディスプレー用のフイルム、大型ディスプレーのODF(液晶滴下方式工法)向けなどの素材です。顧客はスマホメーカ
ーに部品を納入している部品メーカーや、大画面(2m×2m など)の液晶ディスプレーのメーカーなどです。
(注2) 当社製品の「サポーター」は、高温やプラズマ環境下の半導体製造ラインにおいて、ウエハの薄型化が急速に進むウ
エハの「反り」や「マイクロクラック」の発生を防止する機能を持った製品であります。一般的な静電チャックでは電源
設備やコードによる給電を継続的に行う仕組みが必要でありますが、「サポーター」は電源コードによる継続的な給電
が不要なため、「サポーター」に装着することにより反りを防止したウエハを、既存半導体ラインに投入することで従来
通りのプロセスを行うことを可能としております。
従来のウエハの補強方法では、ウエハの薄型化への対応が限界に到来しており、現時点でウエハ薄型化の為のソリ
ューションは当社の「サポーター」が最有力手段となっています。
(注3) ウエハの薄型化が急速に進んだのは、EVに採用されている三相交流モーターを駆動する為、バッテリーに蓄えられ
ている直流電流をMOSFET やIGBTにより三相交流に変換するところ、ウエハを薄くすることはMOSFETやIGBTによる
オンオフの抵抗を減らし消費電力を抑制する効果を有する為、結果としてEV車両の航続距離を拡大させることに繋が
ることによるものです。
(注4) ウエハの大型化(8インチから12インチへの移行)が急速に進んだのは、半導体の製造においてウエハのサイズが大
きいほど、収量が多くなり、コスト競争力がより高くなることによるものです。
以上
(注)本業績予想は、本資料の発表日現在において入手可能な情報から得られた経営者の判断に基づき作成し
ております。本業績予想のみに依拠して投資判断を下すことは控えられるようお願いいたします。また、実際の業
績は様々な要因により本業績予想とは異なる結果となり得ることをご承知おきください。
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