6573 M-アジャイル 2021-09-02 16:00:00
東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ [pdf]

                                                2021年9月2日
各 位


                      会 社 名 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
                      代表者名 代 表 取 締 役 社 長       上 田   怜 史
                            (コード番号 6573 マザーズ)
                      問合せ先 管 理 部 部 長         寺 本     直 樹
                            (TEL 03-6435-7130(代表))


          東京証券取引所への「改善報告書」の提出に関するお知らせ


 当社は、過年度決算短信等を訂正した件につきまして、2021 年8月 19 日付で株式会社東京証券取
引所より、有価証券上場規程第 502 条第1項第1号に基づき、その経緯及び改善措置を記載した「改
善報告書」の提出を求められておりましたが、本日別添のとおり提出いたしましたので、お知らせ
いたします。


別添書類:改善報告書


                                                     以   上
                  改 善 報 告 書

                                       2021 年9月2日
株式会社東京証券取引所
代表取締役社長 山道 裕己 殿


                           アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
                                  代表取締役社長 上田 怜史


  このたび、過年度決算短信及び四半期決算短信、並びに有価証券報告書及び四半期報告書(以下、
 「過年度決算短信等」といいます。
                )の一部訂正の件について、有価証券上場規程第 502 条第3項
 の規定に基づき、その経緯及び改善措置を記載した改善報告書をここに提出いたします。




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                                                                              目次


I.         経緯 ................................................................................................................................................. 3
      1.      過年度決算訂正の内容 ................................................................................................................ 3
           (1)       訂正した過年度決算短信 ..................................................................................................... 3
           (2)       訂正した過年度有価証券報告書........................................................................................... 3
           (3)       過年度決算短信等の訂正による連結業績等への影響額 ...................................................... 4
      2.      過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等 ............................................................................ 7
           (1)       不適切な会計処理及び支出が発覚した経緯 ........................................................................ 7
           (2)       不適切な会計処理及び支出の行為の内容 ............................................................................ 7
           (3)       過年度訂正の処理の内容 ................................................................................................... 10
           (4)       不適正開示の原因となった行為への全関係者の関与状況 ................................................ 13
           (5)       不適正開示の原因となった行為に係る認識、目的、動機等 ............................................. 15
II.        改善措置........................................................................................................................................ 17
      1.      不適切開示の発生原因の分析 ................................................................................................... 17
           (1)       コンプライアンス意識の欠如 ............................................................................................ 17
           (2)       内部統制システムの無効化(取締役会、監査役会) ........................................................ 17
           (3)       権限の集中と脆弱なガバナンス......................................................................................... 17
           (4)       内部統制システムの無効化(管理部) ................................................................................ 18
           (5)       経理財務業務のブラックボックス化 ................................................................................. 18
           (6)       内部牽制の機能不全 ........................................................................................................... 18
      2.      再発防止に向けた改善措置 ....................................................................................................... 19
           (1)       経営責任の明確化等 ........................................................................................................... 19
           (2)       コンプライアンス意識の徹底 ............................................................................................ 20
           (3)       ガバナンス体制の強化 ....................................................................................................... 21
           (4)       組織体制の再構築 .............................................................................................................. 23
           (5)       監査体制の強化 .................................................................................................................. 24
           (6)       社内規程の整備・改訂及び業務フローの見直し ............................................................... 25
           (7)       内部通報制度の実効性担保 ................................................................................................ 26
           (8)       モニタリングの継続 ........................................................................................................... 26
      3.      改善措置の実施スケジュール ................................................................................................... 27
III. 不適切な情報開示等が投資家及び証券市場に与えた影響についての認識.................................. 28




                                                                                 2
I.    経緯
     1.   過年度決算訂正の内容
           当社は、会計監査人による 2021 年 12 月期第1四半期レビュー手続の中で、不適切な会計
          処理があることを指摘され、その中に不適切な支出が含まれていることを認識いたしました。
          また、この不適切な支出について、当社元役員(以下、
                                  「元役員」といいます。)による資金流
          用(以下、
              「本件事案」といいます。
                         )の疑義が生じたため、2021 年5月 17 日、第三者委員会
          を設置し調査を進めてまいりました。
           当社は、第三者委員会から、2021 年5月 31 日に中間報告を、同年6月 18 日に調査報告書
          をそれぞれ受領し、元役員が、2018 年 12 月期及び 2019 年 12 月期において、その地位及び権
          限を悪用して従業員に指示し、実際には取引が存在しないにもかかわらず、ソフトウエア開発
          等の発注業務を偽装して、取引先に送金させる方法により会社の資金を流出させ、さらに、自
          己又は自己が関係する事業会社(以下、
                           「事業会社」といいます。
                                      )において当該取引先から当
          該業務を下請受注する外観を偽装することによって、当該取引先から自己に資金を還流させて
          いたこと及び 2018 年 12 月期から 2021 年 12 月期に至るまでに支出した接待交際費、旅費出
          張費等について、業務関連性がないものが含まれていたことの報告を受けました。
           また、第三者委員会からの中間報告以後の当社による財務諸表等及び過年度分を含めた有価
          証券報告書の作成並びに会計監査人による監査手続の過程において、本件事案等には直接的に
          関係のない部分で社内人件費から振り替えられたソフトウエア勘定が過大に計上されていた
          ことによる、不適切な会計処理が行われていたことを認識いたしました。
           そのため、当社は過年度において過大計上となっていたソフトウエア資産の修正を行うとと
          もに、不正な資金流出額について会計処理の訂正を行いました。
           これらの訂正に伴い、当社は 2021 年7月 14 日に過年度の決算短信等の訂正及び有価証券
          報告書等の訂正報告書の提出を行いました。訂正した過年度決算短信等及び本件事案等が業績
          に及ぼす影響額については、以下のとおりです。


          (1) 訂正した過年度決算短信
            第 14 期(2020 年 12 月期)
               決算短信          (自 2020 年1月1日 至 2020 年 12 月 31 日)


          (2) 訂正した過年度有価証券報告書
            第 12 期(2018 年 12 月期)
               第2四半期報告書      (自 2018 年4月1日 至 2018 年6月 30 日)
               第3四半期報告書      (自 2018 年7月1日 至 2018 年9月 30 日)
               有価証券報告書       (自 2018 年1月1日 至 2018 年 12 月 31 日)
            第 13 期(2019 年 12 月期)
               第1四半期報告書      (自 2019 年1月1日 至 2019 年3月 31 日)
               第2四半期報告書      (自 2019 年4月1日 至 2019 年6月 30 日)
               第3四半期報告書      (自 2019 年7月1日 至 2019 年9月 30 日)


                                      3
      有価証券報告書         (自 2019 年1月1日 至 2019 年 12 月 31 日)
   第 14 期(2020 年 12 月期)
      第1四半期報告書        (自 2020 年1月1日 至 2020 年3月 31 日)
      第2四半期報告書        (自 2020 年4月1日 至 2020 年6月 30 日)
      第3四半期報告書        (自 2020 年7月1日 至 2020 年9月 30 日)
      有価証券報告書         (自 2020 年1月1日 至 2020 年 12 月 31 日)


(3) 過年度決算短信等の訂正による連結業績等への影響額
   過年度決算短信等の訂正による連結財務諸表又は財務諸表への影響額及び影響率は以下
 のとおりです。
                                                       (単位:百万円)
                              訂正前        訂正後        影響額       増減率
    期間               項目
                              (A)        (B)        (B-A)     (%)
               売上高                 426     426            -         -
               営業利益                 26         25      △1     △3.8%
2018 年 12 月期
               経常利益                 15         14      △1     △6.6%
 第 2 四半期
               四半期純利益               12          7      △4     △37.9%
  (単体)
               純資産                 603     598         △4     △0.8%
               総資産                 666     661         △4     △0.7%
               売上高                 644     644            -         -
               営業利益                 41         32      △8     △20.5%
2018 年 12 月期
               経常利益                 30         22      △2     △27.8%
 第 3 四半期
               四半期純利益               24     △2          △27          -
  (単体)
               純資産                 646     618         △27    △4.3%
               総資産                 723     696         △27    △3.8%
               売上高                 910     910            -         -
               営業利益                 90         75      △15    △16.8%
2018 年 12 月期
               経常利益                 79         64      △15    △19.1%
    通期
               当期純利益                79         26      △53    △66.6%
  (単体)
               純資産                 702     648         △53    △7.6%
               総資産                 768     715         △53    △6.8%




                               4
                                                (単位;百万円)
                          訂正前        訂正後     影響額         増減率
    期間               項目
                          (A)        (B)     (B-A)       (%)
               売上高             215     215         -           -
               営業利益           △18      △17           1         -
               経常利益           △18      △16           1         -
2019 年 12 月期
               親会社株主に帰属
 第 1 四半期                      △15      △73      △57            -
               する四半期純利益
               純資産             684     573     △110      △16.2%
               総資産             761     652     △109      △14.4%
               売上高             413     413         -           -
               営業利益           △67      △61           5         -
               経常利益           △74      △69           5         -
2019 年 12 月期
               親会社株主に帰属
 第 2 四半期                      △64     △162      △98            -
               する四半期純利益
               純資産             650     499     △151      △23.3%
               総資産             782     634     △147      △18.9%
               売上高             644     644         -           -
               営業利益           △91      △73       17            -
               経常利益           △99      △81       17            -
2019 年 12 月期
               親会社株主に帰属
 第 3 四半期                      △93     △236     △143            -
               する四半期純利益
               純資産             624     427     △197      △31.5%
               総資産             766     574     △192      △25.1%
               売上高             847     847         -           -
               営業利益           △138    △108       29            -
               経常利益           △144    △114       29            -
2019 年 12 月期
               親会社株主に帰属
    通期                        △192    △355     △162            -
               する当期純利益
               純資産             527     311     △216      △41.0%
               総資産             719     510     △209      △29.1%




                          5
                                                (単位;百万円)
                          訂正前        訂正後     影響額         増減率
    期間               項目
                          (A)        (B)     (B-A)       (%)
               売上高             175     175         -           -
               営業利益           △48      △42           5         -
               経常利益           △48      △42           5         -
2020 年 12 月期
               親会社株主に帰属
 第 1 四半期                      △49      △66      △17            -
               する四半期純利益
               純資産             479     246     △233      △48.7%
               総資産             667     440     △226      △34.0%
               売上高             330     330         -           -
               営業利益           △110    △102           7         -
               経常利益           △108    △101           7         -
2020 年 12 月期
               親会社株主に帰属
 第 2 四半期                      △109    △131      △22            -
               する四半期純利益
               純資産             421     182     △238      △56.5%
               総資産             715     484     △230      △32.3%
               売上高             507     507         -           -
               営業利益           △183    △163       19            -
               経常利益           △175    △156       19            -
2020 年 12 月期
               親会社株主に帰属
 第 3 四半期                      △227    △269      △41            -
               する四半期純利益
               純資産             604     346     △257      △42.7%
               総資産            1100     853     △247      △22.5%
               売上高             667     667         -           -
               営業利益           △264    △237       26            -
               経常利益           △252    △225       27            -
2020 年 12 月期
               親会社株主に帰属
    通期                        △307    △347      △40            -
               する当期純利益
               純資産             525     268     △256      △48.9%
               総資産            1010     764     △246      △24.3%




                          6
2.   過年度決算短信等を訂正するに至った経緯等
     (1) 不適切な会計処理及び支出が発覚した経緯
       当社は、会計監査人であるかなで監査法人による 2021 年 12 月期第1四半期の四半期レ
      ビューの過程において、ソフトウエア開発に係る取引の中で、各種証憑が偽装されている可
      能性があり、不適切な会計処理の疑義がある旨の指摘を受けました。これを受けて、当社で
      確認したところ、ソフトウエア開発に係る取引の中に元役員が関与する不適切な支出が含ま
      れていることを認識いたしました。この不適切な支出について、元役員による資金流用の疑
      義が生じたとして、当社は 2021 年5月 12 日付「不適切な会計処理及び支出についての調査
      による 2021 年 12 月期第1四半期決算発表の延期のお知らせ」を公表いたしました。
       また、当社は、2021 年5月 12 日に取締役会を開催し、本件事案の疑義を重く受け止め、
      社外の専門家に依頼して徹底した調査を行う必要があると考え、速やかに社外有識者のみを
      委員とする第三者委員会を設置し、類似事象の存否を含め、今回の全容解明のための事実関
      係の調査を行うことを決議いたしました。その後、当社では速やかに人選を進め、同月 17 日
      に第三者委員会を設置してその旨を公表しております。
       その後、当社は、2021 年5月 31 日付で第三者委員会の中間報告を受領し、同日付で「第
      三者委員会による中間報告および今後の当社の対応に関するお知らせ」を公表いたしました。
      第三者委員会からの中間報告を受け、当社では、過年度分を含めた財務諸表等及び有価証券
      報告書の作成を行い、同時に会計監査人による監査手続に対応してまいりました。その過程
      において、実在性のない架空のソフトウエア資産を修正するため、開発部門に 2018 年以降
      の開発項目、開発人員、開発工数等を確認し、実際に開発していたソフトウエアと固定資産
      台帳に計上されているソフトウエア資産を突合したところ、社内人件費からソフトウエア仮
      勘定に振り替えるタイミング及びソフトウエア仮勘定からソフトウエア勘定に振り替える
      タイミングにおいて、実際の開発状況を確認せずに、期初にたてた開発計画に基づいた会計
      処理を行うことで、開発実態と整合しない会計処理が行われていたこと(以下、
                                         「追加不適切
      会計」といいます。
              )が判明いたしました。


     (2) 不適切な会計処理及び支出の行為の内容
       当社は、2021 年6月 18 日に第三者委員会から調査報告書を受領し、第三者委員会の報告
      及び、その後の社内手続並びに会計監査人による監査手続を踏まえた本件事案に関する当社
      の事実認識は以下のとおりです。


      ① 第三者委員会の調査報告書で判明した事実
        1) 小口現金による経費精算を利用した不正な資金流出
          元役員は、経理従業員に対し、業務上必要な経費と伝え、多額の資金を複数回にわた
         って預金口座から払い戻すことを指示し、現金を受領しておりました。当社において
         は、上長による事前承認が行われた経費申請書に基づき、必要となる金額の現金を受
         領することが社内規定等にて定められておりましたが、元役員は、財務を統括する最
         高責任者(CFO)であることから事前承認は行っておらず、また同様に事後承認も行


                          7
っていない運用が常態化しておりました。元役員による預金払い戻しの指示は、一回
あたりの金額としては 2 百万円以上の額であることが多く(最大額は 10 百万円)
                                        、頻
度としては多い月で1ヶ月間に7回行われておりました。
  元役員が預金口座から払い戻した現金を受領後、経費精算として領収書を提出する
ことができた金額はその一部に留まっており、返還する現金が手当できない場合には、
ソフトウエア開発費用を現金で支払ったという名目の領収書を偽造することで、架空
の現金取引を装って、現金の帳簿残高と実際残高の乖離を補填することを企図し、偽
造した領収書をもとに、システム開発費用として現金支出があったという内容の会計
処理が行われ、ソフトウエア仮勘定を計上することによって、帳簿上の現金残高と実
際の帳簿残高が一致するようにしておりました。


2) ソフトウエア開発を装ってシステム会社に送金した不正な資金流出
  元役員は、システム会社を利用して、当社からシステム会社へソフトウエア開発費
用の名目で送金した資金の大部分を、自己又は事業会社に下請け費用の名目で送金さ
せる方法により、資金を還流させておりました。具体的には、システム会社との一連の
取引に際しては、
       「秘密保持契約書」
               「システム開発業務請負基本契約書」
                               「業務請負個
別契約書」
    「御請求書」
         「納品書兼作業完了報告書」
                     「納品書」等の証憑が作成されてお
りましたが、いずれも架空の取引に関するものであり、システム開発の実体はありま
せんでした。しかしながら、当社ではシステム会社からの請求書等に従ってシステム
会社に対して送金し、システム会社では元役員からの指示に従って当社から受領した
金額の大部分を元役員または事業会社に送金しておりました。
  なお、システム会社は、元役員と交友関係があった実在する会社であり、かつて、元
役員は、当社に対し、システム会社の買収を提案し、その検討のためにシステム会社に
対するソフトウエア開発の委託を提案したことがありましたが、システム会社におい
てソフトウエア開発に必要な人員を確保することができない等の理由で、実現しませ
んでした。そのため、当社とシステム会社の間には、何らの取引関係も存在しておりま
せんでしたが、元役員は、システム会社に対し、将来、当社のグループに加わるために
も、当社との取引実績が重要であるなどと述べて、事業会社による下請け受託を前提
に、対象会社からソフトウエア開発を受託するように仕向けておりました。


3) その他の方法による不正な資金流出
 a.   コンサルティング会社への支払い
       2018 年 11 月及び 12 月頃、当社は、台湾ビジネスに従事させるため 2 名の人材
      を雇用する方針となりましたが、元役員は、当該2名の人材を雇用するにあたり、
      人材紹介事業を営んでいるコンサルティング会社に働き掛け、当該 2 名の人材紹介
      について、事業会社がコンサルティング会社に紹介し、これを受けて、コンサルテ
      ィング会社が当社に紹介する形式を作出することにより、当社からコンサルティン
      グ会社に、コンサルティング会社から事業会社に、それぞれ人材紹介手数料を支払


                       8
       わせておりました。しかしながら、当該2名は上田社長及び元役員が既知の人物で
       あって人材紹介が成立しておりませんでした。


  b.   台湾ビジネスに関する活動支援費としての支払い
        2018 年末頃に、元役員は、旧知の友人である事業会社の従業員を、コンサルタン
       ト業を営む個人事業主と称した上で、台湾ビジネスに関する活動支援費の請求書を
       当社に対して発行し、当社からコンサルタントを称する事業会社の従業員名義の銀
       行口座に送金させておりました。なお、元役員は当該銀行口座を管理しており、当
       該金額は、同役員が取得しておりました。しかしながら、コンサルタントを称する
       事業会社の従業員による台湾ビジネスに関する活動支援の実態はありませんでし
       た。


 4) 業務関連性のない接待交際費等の不正流用
   当社は、第三者委員会から、元役員の接待交際費及び旅費交通費等の経費精算は、当
  社の他の役員と比較しても、かなり突出して高額であることから、これらの事業関連
  性については精査が必要であるように考えられるが、これらの事業関連性判定は、個
  別具体的な判断となるため、当社において経費支出の背景事情を踏まえ最終判断を行
  うべきとの報告を受けました。
   そのため、当社は第三者委員会からの指摘を受け、2018 年 12 月期からの元役員の
  経費精算を全て洗い出し、1件ずつ精査を行いました。そのうえで、当社は、経費精算
  の項目、備考欄の記載内容、元役員のスケジュールと照合し、明らかに業務関連性が認
  められるもの以外の経費精算については、不正な資金流用に該当すると判断いたしま
  した。


② 第三者委員会の中間報告以後に発覚した追加不適切会計について
 社内人件費からソフトウエア仮勘定に振り替えるタイミング及びソフトウエア仮勘定
からソフトウエア勘定に振り替えるタイミングにおいて、実際の開発状況を確認せずに、
期初にたてた開発計画に基づいて会計処理を行うことで、開発実態と整合しない会計処理
となっていました。追加不適切会計は、本件事案開始以前の 2018 年 12 月期第2四半期か
ら会計処理や決算対応を簡略化することを企図して開始していることから、追加不適切会
計と本件事案は全く別の事象だと認識しています。ただし、本件事案の発覚を逃れるべく、
追加不適切会計を続けざるを得なくなっていたということも判明しています。




                      9
(3) 過年度訂正の処理の内容
 ① 不適切な支出として当社から流出した金額
    不適切な支出として、当社から流出した金額については、その全額を長期未収金に振り
  替えた後、貸倒損失を計上しております。
    不適切な支出を長期未収金に振り替え、貸倒損失を計上したことによる影響額は以下の
  とおりです。
                                         (単位:百万円)
                                            長期未収金
      期間                 長期未収金内訳            (貸倒損失)
                                             計上額
                 小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          10
  2018 年 12 月期   ソフトウエア開発を装って不正に流出した額               0
   第3四半期         その他の方法によって不正に流出した額                 0
    (単体)         業務関連性のない経費精算における不正流用額              5
                 合計額                               15
                 小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額           0
                 ソフトウエア開発を装って不正に流出した額              11
  2018 年 12 月期
                 その他の方法によって不正に流出した額                 9
      通期
                 業務関連性のない経費精算における不正流用額             13
                 合計額                               34
                 小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          34
                 ソフトウエア開発を装って不正に流出した額              23
  2019 年 12 月期
                 その他の方法によって不正に流出した額                 0
   第1四半期
                 業務関連性のない経費精算における不正流用額              1
                 合計額                               59
                 小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          10
                 ソフトウエア開発を装って不正に流出した額              88
  2019 年 12 月期
                 その他の方法によって不正に流出した額                 0
   第2四半期
                 業務関連性のない経費精算における不正流用額              4
                 合計額                            103
                 小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          26
                 ソフトウエア開発を装って不正に流出した額           119
  2019 年 12 月期
                 その他の方法によって不正に流出した額                 0
   第3四半期
                 業務関連性のない経費精算における不正流用額             16
                 合計額                            161




                          10
                                       (単位:百万円)
                                          長期未収金
(単位:百万
                       長期未収金内訳            (貸倒損失)
円)        期間
                                           計上額
               小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          51
               ソフトウエア開発を装って不正に流出した額           119
2019 年 12 月期
               その他の方法によって不正に流出した額                 0
     通期
               業務関連性のない経費精算における不正流用額             30
               合計額                            201
               小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          16
               ソフトウエア開発を装って不正に流出した額               0
2020 年 12 月期
               その他の方法によって不正に流出した額                 0
 第1四半期
               業務関連性のない経費精算における不正流用額              7
               合計額                               23
               小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          20
               ソフトウエア開発を装って不正に流出した額               0
2020 年 12 月期
               その他の方法によって不正に流出した額                 0
 第2四半期
               業務関連性のない経費精算における不正流用額              9
               合計額                               29
               小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          39
               ソフトウエア開発を装って不正に流出した額               0
2020 年 12 月期
               その他の方法によって不正に流出した額                 0
 第3四半期
               業務関連性のない経費精算における不正流用額             20
               合計額                               59
               小口現金による経費精算を利用して不正に流出した額          39
               ソフトウエア開発を装って不正に流出した額               0
2020 年 12 月期
               その他の方法によって不正に流出した額                 0
     通期
               業務関連性のない経費精算における不正流用額             26
               合計額                               66




                        11
② ソフトウエア資産の修正額
  当社のソフトウエア資産には、本件事案による架空計上額と追加不適切会計による誤計
上額が混入しており、それらを分けて把握することが困難な状況となっておりました。そ
のため、本件事案の開始した 2018 年 12 月期第2四半期以降のソフトウエア資産につい
て、開発実態に即した計上額となるよう、一から見直しを行い、これに合わせて減価償却
費及び減損損失の計上額も修正しております。なお、ソフトウエア資産の当初の計上額と
見直し後の計上額の差額は減損損失に含めて処理しております。
  減価償却及び減損処理見直し後のソフトウエア及びソフトウエア仮勘定に関する影響
額は以下のとおりです。
                                                   (単位:百万円)
                              訂正前       訂正後       影響額     増減率
     期間            項目
                              (A)       (B)       (B-A)   (%)
 2018 年 12 月期   ソフトウエア          89        65        △24   △27.2%
第2四半期(単体) ソフトウエア仮勘定                 1     20         19   1482.1%
 2018 年 12 月期   ソフトウエア          83        68        △14   △17.2%
第3四半期(単体) ソフトウエア仮勘定             25        23         △2    △8.6%
 2018 年 12 月期   ソフトウエア          105       92        △12   △11.7%
 通期(単体)         ソフトウエア仮勘定       31            0     △30   △97.6%
 2019 年 12 月期   ソフトウエア          104       88        △15   △15.0%
  第1四半期         ソフトウエア仮勘定       58            3     △54   △93.3%
 2019 年 12 月期   ソフトウエア          130       85        △45   △34.7%
  第2四半期         ソフトウエア仮勘定       102       13        △89   △86.9%
 2019 年 12 月期   ソフトウエア          124       91        △32   △25.9%
  第3四半期         ソフトウエア仮勘定       135           3    △132   △97.3%
 2019 年 12 月期   ソフトウエア          110       81        △28   △26.0%
     通期         ソフトウエア仮勘定       182           1    △180   △99.4%
 2020 年 12 月期   ソフトウエア          101       76        △25   △24.8%
  第1四半期         ソフトウエア仮勘定       206           5    △201   △97.4%
 2020 年 12 月期   ソフトウエア          108       68        △39   △36.7%
  第2四半期         ソフトウエア仮勘定       202       11       △190   △94.3%
 2020 年 12 月期   ソフトウエア          116       61        △55   △47.2%
  第3四半期         ソフトウエア仮勘定       211       19       △192   △90.9%
 2020 年 12 月期   ソフトウエア          106       78        △27   △26.0%
     通期         ソフトウエア仮勘定       219           1    △217   △99.1%




                         12
(4) 不適正開示の原因となった行為への全関係者の関与状況
 ① 本件事案における関係者の関与状況
   1) 元役員
     本件事案は、いずれも元役員が主導しており、その全容に関しても元役員のみが把
    握している状態となっていました。
     元役員は、当社が株式上場する以前から当社の取締役であり、当社の No.2 として、
    財務の最高責任者(CFO)という立場にあって、当社の管理部の最終決裁・承認権者
    でもありました。また、組織内の権限のみならず、株式上場の立役者であったことや幅
    広い人脈を活用して事業計画達成に向けて積極的に活動していたこともあり、社内で
    も代表取締役と比肩して劣らないほどの絶対的な地位を有していました。そのため、
    そのような絶対的な権限及び管理部員からの信頼関係を前提として不適切な会計処理
    及び資金流用を画策し、実行していました。


     以下の者については、一定の範囲で積極的又は消極的な関与が認められましたが、
    これらの関与者についても、元役員に利用されたとの側面は否めません。


   2) 従業員 A(経理職員)
     従業員 A は、事業会社の経営について、事業会社の取締役 CFO として積極的にか
    かわるとともに、元役員の指示に基づき、当社から事業会社に対する資金流出に関す
    る不正な証憑を作成していました。また、コンサルティング会社やコンサルタントと
    称した事業会社の従業員の銀行口座を経由した資金流出に関しても不正な証憑を作成
    していました。その際、元役員から事情を聞かされていた従業員 A は、本件事案にお
    いて当社から事業会社に対して不正に資金が流出していた事実を把握した上で、関与
    していました。また、従業員 A は、本件事案が会計監査人に指摘されないようにする
    ため、自ら又は元役員の指示に基づき、不正な証憑を作成していました。これらの不正
    な証憑の作成は、2018 年以降複数回に及んで行われています。
     ただし、従業員 A が元役員から上記行為の対価を受領したという事実は、関係者の
    ヒアリングやデジタルフォレンジング調査を行った結果からも見受けられず、また、
    事業会社から報酬を受け取っていたという事実も認められませんでした。
     従業員 A は、前職時代も元役員の部下として経理業務や株式上場準備等を一緒に経
    験しており、元役員の声掛けにより、当社の経理財務チームのメンバーとして採用さ
    れていました。元役員と従業員 A の間には、前職時代から培われた堅実な師弟関係と
    も言うべき信頼関係があり、従業員 A としても元役員に対して、上司としての尊敬の
    念と、自分を前職から拾って対象会社に引き抜いてくれたという恩義を強く感じ、加
    えて、もし元役員に嫌われたら職を失ってしまうという不安感も相まって、元役員の
    指示には絶対的・盲目的に従うという気運が醸成されていました。


   3) 監査役 B


                    13
  監査役 B は、当社の監査役に就任する以前のことではありますが、不正な資金流出
がなされたコンサルティング会社の役員であり、元役員の提案に従い、 名の人材採用
                                2
にあたり、コンサルティング会社による人材紹介を介在させることにより、本来であ
れば、対象会社が負担する必要がなく、かつ、元役員が取得することができない紹介手
数料を、当社から支払わせることに関与していました。
  しかし、監査役 B は上記の取引についての全容を元役員から知らされておらず、元
役員からは、
     「当社の台湾子会社で人員強化をしたいと考えており、自身が手伝ってい
る事業会社に、人材の探索を依頼していたのだが、適任者が見つかったとのことで、当
社に紹介したいと考えているが、そのまま紹介したのでは、紹介免許を持たない事業
会社になんのお礼もできないので、コンサルティング会社に間に入ってもらい、紹介
手数料相当額を払ってもらえないか」との依頼を受けていました。監査役 B は、この
ように求職者の紹介を受け、成功報酬として紹介者に手数料を支払うことは、すでに
過去に実績があり、契約を肩代わりすること自体は 100%クリアな取引ではないもの
の、業界慣行としては行われていることから、当社とは人材紹介契約を、事業会社とは
業務委託契約を締結し、取引を行いました。
  その後、本件事案発覚後の第三者委員会の調査によって、監査役 B は、この2名の
人物は事業会社が探索して発見した方ではなく、人材紹介は成立していなかったこと
を知りました。また、監査役 B は、当時は元役員が事業会社の代表取締役でも、オー
 ナーでもなかったため、元役員が事業会社を実質的には支配していたことも、最終的
にその成功報酬のすべてが元役員に流出していたことも想定していませんでした。そ
のため、監査役 B は、元役員の不正な資金取得等に加担する意図はありませんでした。


4) 従業員 C(元管理部部長)
  従業員 C は、元役員の指示に基づき、実際には開催されていない臨時の取締役会議
事録を作成することで、会計監査人に対して虚偽の証憑を提出することに関与してい
ました。当該行為につき、従業員 C は、不正であることの認識はあったものの、監査
対応をスムーズに行うために元役員の指示に応じたものであり、元役員の不正な資金
取得等に加担する意図はありませんでした。


5) 従業員 D(経理職員)
  従業員 D は、元役員の指示に基づき、言われるままに、銀行口座から現金を払い戻
 して元役員に交付し続けていました。また、小口現金精算書の内容と実際に金庫に保
 管されている現金の金額が齟齬を来たしていることから、不審に思ったものの、上長
 の指示であることなどを理由として、積極的に改善するなどの対応はとっていません
 でした。


6) 取締役 E
  取締役 E は、元役員の依頼を受け、オーナー兼代表取締役として事業会社を設立し、


                   14
    2019 年1月に元役員と交代するまでその地位にありました。もっとも、事業会社の事
    業遂行や運営管理は、2016 年 11 月の設立当初から、元役員が実質的に支配していま
    した。取締役 E は、事業会社の事業理解も乏しく、実務には一切関与しておらず、あ
    くまで形式的な株式保有・役員という立場であり、事業会社から役員報酬が発生する
    こともありませんでした。そのため、元役員の不正な資金取得等への関与は一切あり
    ませんでした。


 ② 追加不適切会計おける関係者の関与状況
   1) 元役員
     追加不適切会計についても元役員が主導しておりました。2018 年 12 月期第2四半
    期から追加不適切会計を開始していますが、開始当初は、元役員には会計処理や決算
    対応を簡略化する上では認められうる会計処理方法との誤った認識があっただけで、
    本件事案とは異なり、不正を行っているという認識はありませんでした。しかしなが
    ら、その後、本件事案においてもソフトウエア資産を利用していたことから、本件事案
    発覚を逃れるため、開発実態との相違が社内で認識されないように、従業員 A には、
    追加不適切会計が適切な会計処理であると伝え、追加不適切会計に係る処理を実行す
    るように指示しておりました。その結果、会計処理や決算対応の簡略化を目的として
    開始したはずが、本件事案の発覚を逃れるための会計処理となってしまい、本件事案
    と相まって、不正の認識をもつに至りました。


   2) 従業員 A(経理職員)
     従業員 A は、元役員の指示に従って会計処理を行い、追加不適切会計に関する証憑
    を作成していました。しかし、元役員からは、元役員が社内で確認したので問題はな
    い、と聞かされており、追加不適切会計に加担しているという認識はありませんでし
    た。


(5) 不適正開示の原因となった行為に係る認識、目的、動機等
  元役員は、流用した資金を事業会社の事業資金として、主に店舗の開店資金、スタッフ採
 用費用、仕入代金等に充てておりました。また、元役員は、特殊な生活環境により親族等の
 生活資金として毎月 2 百万円~3 百万円程度の資金を必要としており、当社からの役員報酬
 では賄いきれずに、流用した資金を充てておりました。元役員は、2018 年 12 月期第2四半
 期から不正な資金流用を行っており、本件事案に係る行為が不正な行為であると認識してお
 りましたが、不正な資金流用が社内で疑われずに実行できたことから、途中で不正な行為を
 やめることができず、本件事案発覚まで継続していたものと考えられます。(本件事案に係
 る元役員以外の関与者の認識は上記Ⅰ.2.(4)「不適正開示の原因となった行為への全関係者
 の関与状況」に記載しております。
                )


  また、追加不適切会計は、元役員により、本件事案開始以前の 2018 年 12 月期第2四半期


                     15
から会計処理や決算対応を簡略化する目的で開始していることから、追加不適切会計と本件
事案は全く別の事象だと認識しておりますが、開発実態に沿わない会計処理を行っていても、
どこからも指摘されない環境であったため、その後のソフトウエア資産を利用した本件事案
に繋がっていってしまったと認識しております。また、本件事案を開始してからも、開発実
態を確認しない状態で会計処理を行ってきたため、追加不適切会計が本件事案発覚時点まで
続く結果となっておりました。


 なお、上田社長をはじめとする元役員以外の当社役員は、元役員に信頼を置き、任せきり
にする中で、財務・会計はじめ内部管理体制への関心が薄まっていき、当社の会計経理の実
像を把握できなくなっていただけでなく、自ら積極的に元役員の職務遂行を監督することも
ありませんでした。また、取締役会では事業報告や資金調達には関心を示していたものの、
ソフトウエア資産が経常的に発生することの是非を話題にするには至らず、赤字が継続して
いても交際費等の個々の経費負担がどの程度であるかを具体的に確認することもありませ
んでした。結果として元役員からは改竄された会計数値しか提供されてこなかったという側
面はあるものの、上田社長をはじめとする元役員以外の当社役員は本件事案及び追加不適正
会計の端緒にすら気付くことはなく、それらを認識しておりませんでした。




                 16
II. 改善措置
 1.   不適切開示の発生原因の分析
      (1) コンプライアンス意識の欠如
        本件事案の関与者においてコンプライアンス意識が欠如し、自制と自立が足りていなかっ
       たことが、本件事案を引き起こす原因となったことは言うまでもありませんが、加えてコン
       プライアンスを重視する企業文化の醸成が足りていなかったこと(より具体的には、トップ
       以下の経営陣がコンプライアンス教育の必要性を軽視し、その結果として、一般社員の意識
       がややもするとコンプライアンス最優先となっていなかったこと)も環境的要因となってい
       たと考えております。当社は、毎月全社員参加の全体会を実施しておりますが、コンプライ
       アンスに関する経営層からの情報発信はこれまで特段なく、また、コンプライアンス上の課
       題を認識しても、それについて深く議論し、改善策を指示するところまで掘り下げることが
       できておりませんでした。また会計上の知識や不正防止のためのコンプライアンス研修など
       が全社的に十分に行われておらず、コンプライアンス機能が十分に機能していたとはいえま
       せんでした。


      (2) 内部統制システムの無効化(取締役会、監査役会)
        元役員によって、取締役会や監査役会に提出されていたソフトウエア勘定や交際費等の会
       計数値が改竄されていたり、会計監査人への提出書類についても同様に改竄されていたりす
       るなどによって、内部統制システムが無効化されておりました。
        一方で、続くⅡ.1.(3)に記載のとおり、元役員及び管理部の経理財務チームへの信頼から、
       元役員及び管理部の経理財務チームに関しては問題がないであろうという前提に立ってし
       まっていたことで、当社では内部統制システムの無効化に気付くことができませんでした。


      (3) 権限の集中と脆弱なガバナンス
        元役員に営業以外の財務会計マターや人事評価等の権限が集中していたことで、元役員の
       指示には高い強制力があり、従業員では元役員の指示に違和感を持ったとしても、直接的に
       も間接的にも指摘できないような内部環境になっておりました。また、前述のとおり、元役
       員は社内でも代表取締役と比肩して劣らないほどの絶対的な地位を有していたことで、他の
       役員は、取締役会等の場における元役員の説明に違和感を持ち、説明を求めるには至りませ
       んでした。
        これに対して、当社の人数規模ではある程度の権限集中は避けられないとしても、当社の
       役員は、当社のように権限が集中するような状況であれば、元役員に対して取締役会を通じ
       た牽制や監査役監査を通じた牽制をより一層行う必要があるという認識が希薄であったと
       考えております。具体的には、元役員及び管理部の経理財務チームを信頼していたことで、
       取締役会等に提出される会計数値や関連情報の真偽に懸念を持つことがなく、取締役会等に
       おいて会計数値や関連情報に関する議論がなされないまま、ややもすると表層的な報告討議
       にとどまっておりました。また、元役員及び管理部の経理財務チームに関しては問題がない
       であろうという前提に立ってしまっていたことで、元役員(及び管理部の経理財務チーム)


                           17
 に対して取締役会を通じた牽制及び監査役監査を通じた牽制が必要であるとの意識も希薄
 であったと考えております。加えて、当社の役員は、株式上場時から内部管理体制を強化す
 ることの必要性を認識しておらず、また、会計監査人から指摘されるまで内部統制システム
 の無効化のリスクがあることも認識していなかったことから、続くⅡ.1. (6)に記載のとおり、
 内部牽制が有効に機能していないことに気付くこともありませんでした。


(4) 内部統制システムの無効化(管理部)
  当社では、社内規程や業務フローを策定しており、元役員以外の役職員は、社内規程や業
 務フローに従って、粛々と業務を行っておりました。しかしながら、上記Ⅱ.1.(3)「権限の集
 中と脆弱なガバナンス」に記載のとおり、元役員には強大な権力・権限があったことに加え
 て、他の取締役に元役員への牽制を行おうとする意識が希薄となっておりました。そのため、
 元役員だけが社内規程や業務フローに準拠しない運用を管理部の経理財務チームに行わせ
 ておりましたが、管理部の経理財務チームではこれを受け入れてしまっており、また、他の
 取締役が元役員に対する牽制を行えていないことに疑問を持たなかったことから、元役員に
 よる管理部における内部統制システムの無効化を許してしまいました。


(5) 経理財務業務のブラックボックス化
  本件事案等で問題のあった小口現金の管理や経費の精算、ソフトウエア資産の会計処理、
 外部監査対応はいずれも管理部の経理財務チームで担っておりました。経理財務チームでは、
 限られた人員で対応しており、またジョブローテーションなども実施されておりませんでし
 た。このためチーム外からは、誰が、いつ、どのように業務を行っているのか、全く分から
 ない状況になってしまっておりました。さらに、続くⅡ.1. (6)に記載のとおり、内部牽制の
 機能不全も相まって、本来は部署を統括すべき元役員や内部統制システムにおいて統制の重
 要な役割を担うべき管理部による不正を助長する状況となっておりました。


(6) 内部牽制の機能不全
  当社の内部監査においては、内部監査部門が存在し内部監査計画が存在し、計画に則して
 内部監査を実施していたものの、実際には、内部監査担当者の知見不足などから課題・問題
 点を深く掘り下げる意識や姿勢に欠けていたことで、内部監査が形式的な現状確認にとどま
 り、内部監査機能が形骸化しておりました。また、内部監査計画の策定においては、当社と
 して不正リスクを含めたリスク管理を行ってこなかったこと、監査役や会計監査人と計画策
 定から実施結果に至るまで十分に協議していなかったことから、不正リスクを意識した内部
 監査手続きを設計できていませんでした。三様監査においても、当社が率先して定期的な実
 施に向けてのイニシアティブをとらなかったことで、その実施はこれまでに1回のみとなっ
 てしまっており、会計監査人・監査役・内部監査による連携及びコミュニケーションが十分
 に取れているとはいえませんでした。一方で、監査役会としても、当社としてリスク管理を
 十分に行えていないことや不正リスクを意識した内部監査を計画・実施できていないことに
 ついて指摘できておりませんでした。


                        18
       内部通報制度についても、第三者委員会調査において当該委員会が実施した従業員向けの
      アンケート(9 割近い回答率)の結果分析により、内部通報制度の存在認知及び利用意向が
      極めて低い現状が明らかになり、殆どの従業員が当該制度を認識していないという社内環境
      となっていたことが明らかになりました。このような社内環境となってしまった要因は、上
      記Ⅱ.1.(1)
             「コンプライアンス意識の欠如」と同様に、経営陣によるリードが不足していたこ
      とに起因していると考えております。


2.   再発防止に向けた改善措置
     (1) 経営責任の明確化等
      ① 関与した役職員の適正な処罰等
        当社は、今回の事態の重大性と経営責任を厳粛に受け止め、本件事案等への関与者に対
       して、以下の人事的措置を図りました。今後、専門家を交えて更なる措置の必要性につい
       て検討してまいります。なお、本件事案等への関与者の認識は、上記Ⅰ.2.(4)「不適正開示
       の原因となった行為への全関係者の関与状況」及びⅠ.2.(5)「不適正開示の原因となった
       行為に係る認識、目的、動機等」をご参照ください。


        1) 元役員について
          2021 年6月 17 日付、取締役辞任に関するお知らせ」
                        「              にて公表いたしましたとおり、
         第三者委員会最終報告を受け、元役員より取締役を辞任したい旨の申し出があり、当
         社はこれを受理しております。


        2) 従業員A(経理職員)について
          本件に関与した経理職員の従業員 A につきましては、第三者委員会最終報告を受け、
         本人との直接面談を行いました。この結果、本人から 2021 年8月末での退職の申し出
         があり、当社はこれを受理しております。


        3) 他の関与者について
          監査役Bは、当社の監査役就任以前のことではありますが、役員であった会社が本
         件事案に関わってしまった事は事実であります。とはいえ、当該取引が元役員に流出
         していたことは想定しておらず、不正な資金取得等に加担する意図はなかったと供述
         しており、それら供述を覆すような事実も認められませんでした。これら経緯から、本
         人に対して、過去に行った行為への反省と共に、今後の職務遂行にあたっての善管注
         意への厳しい勧告を行っております。
          従業員C(元管理部長)は、監査資料の一部改竄はありましたが、不正流出には関与
         しておりませんでした。なお、本件とは無関係の自己都合により、すでに退職しており
         ます。
          従業員 D(経理職員)は、元役員の指示どおりに行ったことではありますが、業務


                            19
    を積極的に改善する対応を怠った不作為に対し、厳重注意をしており、2021 年9月末
    を目途に担務変更を予定しております。
     取締役 E は、元役員の不正な資金取得等への関与は一切ありませんでした。


   元役員の担っていた役割については、当面の間、上田社長が担うことにしており、社外
  役員の指導・監督を受けつつ職務を遂行してまいります。今後、CFO の役割を担う取締役
  の適格者を選定し、2022 年3月に開催予定の定時株主総会にて該当者の選任議案を上程
  したいと考えております。なお、2021 年9月 22 日に開催予定の臨時株主総会にて、新任
  取締役の選任議案を上程しており、新任取締役はこれまで上田社長が担っていた社内開発
  における責任者としての役割を担うとともに、今後、経営面においても上田社長との役割
  分担を決めていきながら、職務を遂行していくことを想定しております。
   従業員Aの後任については外部から適任者を採用する方針で、現在適切な人材を募集中
  ですが、それまでは外部専門業者に業務委託するなどの方法により、人員不足を補完して
  まいります。


 ② 役員報酬の減額措置
   2021 年6月 21 日付、「第三者委員会の最終報告書公表及び役員報酬減額のお知らせ」
  にて公表いたしましたとおり、当社は第三者委員会の調査結果を踏まえ、企業として重大
  な責任があることを深く反省するとともに、今回の事態の重大性について厳粛に受け止め、
  その経営責任を明確にするため、以下のとおり、当社役員の報酬減額を決定いたしました。
   ・代表取締役社長 :月額基本報酬の 20%減額
   ・社外取締役    :月額基本報酬の 15%減額
   ・常勤監査役    :月額基本報酬の 15%減額
    (対象期間:2021 年7月から 2021 年9月までの3か月間)


 ③ 元役員への求償対応
   2021 年6月 21 日付、「第三者委員会の最終調査報告書公表及び役員報酬の減額に関す
  るお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社では元役員に対し、元役員による資金流
  用額の全額について回収できるよう損害賠償請求を行っております。なお、当社としては
  全額回収を最優先としつつも、場合によっては刑事的措置を行うことも視野に入れており
  ます。
   元役員による資金流用以外の損失については、顧問弁護士に相談して検討した結果、間
  接費用が求償できるかには論点があること、賠償請求額確定までに相当時間がかかる見込
  みであることから、元役員への求償対応は行わない方針です。


(2) コンプライアンス意識の徹底
 (発生原因(1)「コンプライアンス意識の欠如」への改善策)
 ① コンプライアンスを最優先した経営の実現


                      20
   当社において、これまでの情報発信が十分なされていなかったことに鑑み、経営トップ
  自らコンプライアンス遵守が経営の最重要課題であることを再度明確にし、半期に一度以
  上、社長自らのスピーチを行い、その後スピーチの概要を改めて全社員にメールで配信す
  ることで、 役職員に対し継続してメッセージを発信してまいります。
   また、四半期ごとに管理部から、取締役会等に業務上におけるコンプライアンス遵守状
  況についての報告を行い、取締役会等においてもコンプライアンス遵守状況を継続して確
  認してまいります。


 ② 役職員に対するコンプライアンスの意識改革
   上記Ⅱ.2.(2)①に記載のトップからのメッセージの継続的発信に加えて、コンプライア
  ンス意識の維持向上のため、本件事案等を踏まえたコンプライアンス研修及びリスク管理
  研修を定期的に実施いたします。具体的には、管理部が主管して、毎年 4 月及び 10 月に
  終日開催される全体会の一部において弁護士等の専門家による研修を行ってまいります。
  この研修では、具体的にどのような事例がコンプライアンス違反となるかを QA 方式等の
  方法でテストするとともに、下記Ⅱ.2.(2)③④に記載の面談を通じて本人の遵守意識状況
  を確認することを厳格に実行していきまいります。なお、QA 作成は管理部中心に外部ア
  ドバイスを受けて作成し、テストの結果は管理部による評価を各部門長から部員へフィー
  ドバックしていくことを想定しております。
   また、上記研修と共に他社具体例のケーススタディを中心に取り上げる e-learning によ
  るオンライン研修を年1回以上実施することで、全役職員のコンプライアンス意識を向上
  させるよう取り組んでまいります。


 ③ 職業倫理の確立
   経理財務を主に担う管理部員に対する人事評価において、職業倫理の確立とその達成を
  最重要項目と位置付け、正直さ・真摯さ・誠実さ・一貫性・透明性・忠誠心、
                                    ・順法・客観
  性・守秘義務等の細目別にチェックシートを利用した評価を行うことにいたします。
   また、全従業員を対象とした四半期に一度の上司との人事評価面談においては、チェッ
  クシートに基づいて職業倫理の確立とその達成状況を確認し、その結果は部内会議や取締
  役会でも報告いたします。なお、部内会議では匿名での報告を想定しております。 役員に
  ついては、年に 1 回、自身の職業倫理の確立に向けた取組み状況と今後の取組み方針につ
  いて表明していくことを想定しており、実施の時期、場所については 2021 年 11 月を目途
  に決めてまいります。
   これら活動を通じて職業倫理を確立していき、再びこのような不祥事を絶対に起こさな
  いという意識を徹底させてまいります。


(3) ガバナンス体制の強化
 (発生原因(2)「内部統制システムの無効化(取締役会、監査役会)
                                」及び発生原因(3)「権限
  の集中と脆弱なガバナンス」への改善策)


                     21
① 取締役会による監督機能強化
 取締役会が、従来、ややもすると表層的な報告討議に留まっていたことに鑑み、取締役
会の月次決算報告資料をより詳細に記載する等による決算報告の拡充を行うとともに、取
締役会への報告基準となる金額水準を引き下げることにより、取締役会での討議の深度を
深めてまいります。決算報告の拡充については、例えば、販管費を細目別に分解して記載
する、前年度比・前月比での変化の理由を詳細に記載するなどを検討しておりますが、ど
の項目をどの程度まで分解するか、変化の理由をどの程度詳細に記載するかなどについて
は取締役会での意見も参考にしつつ決定し、2021 年 11 月中を目途に役会資料マニュアル
などのガイドラインとして明文化いたします。
 取締役会資料の一部改竄等が行われていたことに対しては、2021 年 10 月以降、取締役
会資料の事前提出期限(取締役会開催の2日前提出)の徹底を図り、取締役及び監査役に
よる十分な確認時間を確保することで、監視監督機能の強化を図ってまいります。さらに、
下記Ⅱ.2. (5)③「監査における透明性の確保」記載のとおり、会計監査人への取締役会議
事録及び資料の提出時には、社長や監査役等も提出した資料を常時確認可能なシステムを
2021 年 12 月期第3四半期の会計監査人による会計レビューまでに構築してまいります。
なお、会計監査人への提出資料は監査役主体で確認することを想定しており、監査役監査
の一環として実施していく予定です。


② 社外役員の選定基準の策定
 社外取締役候補者及び社外監査役候補者を選任する際に、その適格性・専門性・独立性
を確保し、社外役員からの緊張感を持った監督を期待すべく、社外役員の選定基準を、2021
年9月中を目途に策定する予定です。今後、見直しを行う可能性はありますが、現在のと
ころは以下のように想定しております。


 1) 適格性
   高度な遵法意識を備え、かつ会社経営に関する一般的常識及び取締役・取締役会の
  在り方についての基本的理解に基づき、経営戦略やリスク管理を中心とした経営判断
  に対するモニタリングを行い、精神的に独立した立場から率直かつ的確なアドバイス
  を行うために必要な資質を有すること。


 2) 専門性
   経営、経理、財務、法律、行政、社会文化等の専門分野に関する知見を有し、当該専
  門分野で相応の実績を挙げていること。


 3) 独立性
   次に掲げる者に該当しないこと。
  ・当社グループの取締役、監査役、従業員として直近 10 年以内に在籍していた者と
   その配偶者又は2親等以内の親族


                   22
     ・直近5年以内に当社グループの主要取引先の取締役、監査役、従業員として在籍し
      ていた者
     ・直近5年以内において、当社グループから年間 10 百万円以上の報酬を受けていた
      専門的な役務の提供者
     ・直近5年以内において、当社グループから年間 10 百万円以上の寄付を受けていた
      者
     ・取締役の相互派遣関係にある者
     ・その他、当社グループと重要な利害関係にある者、又は独立性を損なうおそれがあ
      る者


   今後、社外役員の選任基準が策定でき次第、2021 年 12 月末までに現任の社外役員につ
  いての適合状況を確認いたします。具体的には、対象となる社外役員以外の役員にて、適
  合状況を協議いたします。仮に、適合状況に問題が認められた場合には、速やかに後任候
  補の選定を行い、選定基準を満たした社外役員を選定するようにいたします。また、2021
  年 12 月末までに社内取締役候補者及び社内監査役候補者の選定基準についても策定でき
  るよう検討してまいります。


(4) 組織体制の再構築
 (発生原因(2)「内部統制システムの無効化(取締役会、監査役会)
                                」及び発生原因(3)「権限
  の集中と脆弱なガバナンス」への改善策)
 ① リスク管理体制の強化
   コンプライアンスに関する企業文化改革、全社横断的な内部統制システムの強化、及び
  様々なリスク耐性の強化を目的として、取締役会管掌の下にリスク管理委員会を、2021 年
  9月中を目途に設置いたします。リスク管理委員会メンバーには、社長を始め取締役及び
  監査役、及び管理部長等を想定しており、先ずは 2021 年 10 月中に全社的リスクを洗い出
  し、その評価を行い、同年 11 月中に優先順位をつけて対策を講じてまいります。その後
  は、リスクの見直しを毎年行い、内部外部環境の変化に対して機動的に必要な対処を行っ
  てまいります。リスク管理委員会は、2021 年中は9月以降毎月開催とし、2022 年以降に
  ついては、委員会メンバー協議の上で、開催頻度を決定していきたいと考えております。
  また、重大なインシデントや自然災害等により事業存続が危ぶまれるような非常時には、
  緊急対応を機敏に行ってまいります。


 ② 適切な権限配分の実現と監視牽制体制の強化
   当社の人員規模ではある程度の権限集中は避けられないとしても、フロント営業部門等
  を管掌する取締役に比して、管理部門を管掌する元役員には多くの権限が集中し、かつ取
  締役の職務執行に対する取締役会を通じた牽制等が不十分となっておりました。これに対
  し、上記Ⅱ.2.(3)「ガバナンス体制の強化」に取り組むことに加え、可能な部分は、2021
  年 12 月を目途に、権限配分を見直してまいります。


                     23
    また、権限分散化に留まらず、以下の取組みも組み合わせて監視牽制を強化してまいり
  ます。
    ・Ⅱ.2.(3)①「取締役会による監督機能強化」
    ・Ⅱ.2.(6)③「ソフトウエア資産計上フローの見直し」


(5) 監査体制の強化
 (発生原因(2)「内部統制システムの無効化(取締役会、監査役会)
                                」及び発生原因(6)「内部
  牽制の機能不全」への改善策)
 ① 内部監査体制の見直し
    内部監査業務については、改めて 2021 年9月中を目途に社長直下の内部監査室を設け
  るとともに、人員を現状の兼任のみ2名体制から、3名体制に拡充すべく早急に人員選定
  を行い、内部監査体制の強化を図ってまいります。当社の人員規模では兼務体制は避けら
  れないとしても、十分に内部監査が実行できる体制や仕組みを 2021 年 12 月末までに構
  築してまいります。
    また、本件事案を引き起こした管理部門に対する監査が不十分であったことが、早期発
  見を妨げた一因となったことを反省し、管理部門に対しては、社内規程や業務フローに従
  った運用を行っているかを確認する業務監査に加え、会計コンプライアンス面(証憑をも
  とにした決算に係る諸手続及び数値確認が適切になされているかなど、会計処理プロセス
  が正しく実施されているか)のチェックも確実に実施し、抜き打ち検査の実施等も行って
  まいります。なお、これら取組みの実効性を上げるため、内部監査担当者には、内部監査
  に有益な外部セミナーへの積極的な参加も 2021 年 12 月末までに計画してまいります。


 ② 監査役、内部監査、会計監査人の連携強化
    当社においては、監査役、内部監査、会計監査人の三者間でのコミュニケーション及び
  相互の連携が不十分であったことに鑑み、今後は三者による定期的な協議(三様監査とし
  て 8 月及び 2 月の半期毎に一度開催する想定。但し、2021 年 12 月期は 2021 年 11 月と
  2022 年 2 月に実施予定。
                 )の場を設け、有益な監査に繋げるための情報交換及び連携を強
  化していきます。具体的には、当該年度の全社的リスクの洗い出し等の結果、各監査計画
  における重点監査項目、各監査計画に基づく実行進捗及び課題を共有いたします。各監査
  間では、境界線を明確に引き難い部分があったり、監査対象の一部が重なることがあるた
  め、監査結果を共有してそれぞれの立場からの指摘事項を出し合ったり、相互に効率化に
  向けた改善事項を出し合ったりする等を行い、各監査の有効性・効率性の向上に取り組ん
  でまいります。


 ③ 監査における透明性の確保
    会計監査人への情報提供が、経理部門よりクローズなコミュニケーションで行われ、透
  明性を欠き、かつ結果として牽制機能が働かなかったため、上記Ⅱ.2. (3)①「取締役会に
  よる監督機能強化」記載のとおり、会計監査人と監査対応担当者のみならず、社長、監査


                        24
  役、管理部長も会計監査人への提出資料を常時確認可能なシステムを 2021 年 12 月期第
  3四半期の会計監査人による四半期レビュー手続き開始までに構築し、監査役が中心とな
  ってチェックを行うことで、早期に異常が発見できるような体制を整備してまいります。


(6) 社内規程の整備・改訂及び業務フローの見直し
 (発生原因(4)「内部統制システムの無効化(管理部)
                          」及び発生原因(5)「経理財務業務のブ
  ラックボックス化」への改善策)
 ① 各種社内規程・管理資料の整備・改訂
   管理部長が主体となって、本件事案等に直接及び間接的に関連する規程の見直しと経理
  財務を中心とした業務フローの見直しを、2021 年 10 月中を目処に、全面的に行ってまい
  ります。現時点で見直すべき社内規程としては、職務権限規程、業務分掌規程、コンプラ
  イアンス規程、リスク管理規程及び経理規程等を想定しておりますが、これら以外にも必
  要な規程、管理資料の見直しを実施し、整備してまいります。
   また、元役員だけが社内規程や業務フローに準拠しない経費支出を行っていたことに対
  しては、続くⅡ.2.(6)②に記載のとおり、取締役の経費支出が他の取締役の承認を必要と
  する運用となっていることを明確化して周知するとともに、内部監査でも運用状況を確認
  してまいります。
   さらに、管理部の経理財務チームにおけるジョブローテーションについては、適材適所
  に配慮しつつも3年程度でローテーションできるように、業務の見える化や定型化を進め、
  改訂する規程にも盛り込んでまいります。


 ② 現金管理方法の見直し
   今般、小口現金管理に関し、一般的な財務常識を逸脱した金額及び管理方法により、不
  正支出を惹起したことに鑑み、小口現金使用の対象費目を絞り込み、現金授受による経費
  等精算を限定的な扱いとし、かつ小口現金の社内保管金額の上限を 20 万円以内とするこ
  とにしました。この取扱い方針については、2021 年 10 月を目途に経理規程に盛り込みま
  す。また、管理部の経理財務チームでは、取締役からの仮払いの申し出であっても、事前
  承認がない申し出は受け付けないこと、小口現金出納帳での日次現金締めや一定期日ごと
  の小口現金出納帳の入出金及び残高を確認することなど、現金管理方法の基本動作につい
  て、2021 年 10 月を目途に、改めて業務フロー等に明記し、これを徹底してまいります。
   なお、定期で行う現金実査には、常勤監査役の立ち合いを必須とすることとし、内部監
  査による抜き打ちでの現金実査も検討してまいります。


 ③ ソフトウエア資産計上フローの見直し
   本件事案等がソフトウエア資産の計上に深く関わっており、技術部門への確認を経るこ
  となく管理部の経理財務チームだけで会計処理を完結できていたこと及びソフトウエア
  資産の計上金額を誰も検証してこなかったことに鑑み、今後は技術部からの開発実績報告
  に基づきソフトウエア資産を計上するよう、2021 年 10 月中を目途に、経理規程において


                     25
  資産計上ルールを盛り込みます。また、四半期毎に管理部・技術部・常勤監査役での協議
  の場を設け、ソフトウエア資産の開発実態の有無、資産計上額及び計上時期の妥当性等に
  ついて確認いたします。さらに、会計監査人からの技術部門へのヒアリング要請には必ず
  応じることとし、ソフトウエア資産関連の会計情報の透明性確保を図ってまいります。


(7) 内部通報制度の実効性担保
 (発生原因(6)「内部牽制の機能不全」への改善策)
 ① 内部通報制度の周知徹底
   内部通報制度が不祥事予防の要諦であり、不適切会計を含むコンプライアンス問題全般
  の通報を受け付ける窓口であること及び法令等に基づき不利益扱い禁止等の通報者を保
  護する体制が備わっていることを、毎年4月及び 10 月に終日開催される全体会や各種研
  修などの場において、管理部長主導により全役職員への周知を行ってまいります。その際、
  社外の通報窓口となる弁護士にも登壇していただくことで、通報窓口をより身近に感じら
  れるようにすることも想定しております。また、経営陣として通報内容に誠実に向き合う
  姿勢を従業員に示すべく、通報内容への対応状況は通報者保護に配慮しつつ社内に公表す
  るとともに、定期的な社内アンケートなどを通じた内部通報制度の取締役会での評価など
  の地道な施策を実行してまいります。


 ② 内部通報に関する信頼の醸成
   情報提供者の秘匿及び不利益扱いの禁止について、
                         2021 年 10 月を目途に規程で明記し、
  同月開催予定の全体会で周知いたします。また、上記Ⅱ.2.(7)①「内部通報制度の周知徹
  底」に記載のとおり、内部通報に関する信頼感を醸成し、不正抑止、早期発見ツールとし
  ての内部通報制度の実効性を高めるべく、内部通報制度の内容などを継続的に発信してま
  いります。


(8) モニタリングの継続
 (上記、改善策に対する補強策として)
  上記Ⅱ.2.(1)から(7)までのそれぞれの施策を予定したスケジュールに沿って確実に遂行
 していくため、取締役会においてスケジュール管理表にて進捗状況を報告することにしてお
 ります。また、施策の進捗状況については、監査役会を中心とした定期進捗モニタリングも
 行ってまいります。




                    26
3.    改善措置の実施スケジュール
                                      → :検討・整備               ⇒ :実施・運用
                                  2021 年                            2022 年
              改善措置項目
                                  8月      9月   10 月   11 月   12 月   1月   2月      3月

     (1) 経営責任の明確化等

     ① 関与した役職員の適正な処罰                  →    →    →      ⇒      ⇒

     ② 役員報酬の減額措置                      ⇒    ⇒

     ③ 元役員への求償対応                      ⇒    ⇒    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     (2) コンプライアンス意識の徹底

     ① コンプライアンスを最優先した経営の実現            ⇒    ⇒    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ② 役職員に対するコンプライアンスの意識改革           →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ③ 職業倫理の確立                        →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     (3) ガバナンス体制の強化

     ① 取締役会による監督機能強化                  →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ② 社外役員の選定基準の策定                   →    ⇒    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     (4) 組織体制の再構築

     ① リスク管理体制の強化                     →    ⇒    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ② 適切な権限配分の実現と監視牽制体制の強化           →    →    →      →      →      ⇒       ⇒   ⇒

     (5) 監査体制の強化

     ① 内部監査体制の見直し                     →    ⇒    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ② 監査役、内部監査、会計監査人の連携強化            →    →    →      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ③ 監査における透明性の確保                   →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     (6) 社内規程の整備 改訂及び業務フローの見直し
                ・

     ① 各種社内規程・管理資料の整備・改訂              →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ② 現金管理方法の見直し                     →    ⇒    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ③ ソフトウエア資産計上フローの見直し              →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     (7) 内部通報制度の実効性担保

     ① 内部通報制度の周知徹底                    →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     ② 内部通報に関する信頼の醸成                  →    →    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒

     (8) モニタリングの継続

       モニタリングの継続                      →    ⇒    ⇒      ⇒      ⇒      ⇒       ⇒   ⇒




                                 27
III. 不適切な情報開示等が投資家及び証券市場に与えた影響についての認識
  当社は、情報適時開示を適切に行うための体制の不備から、2021 年 12 月期第一四半期報告書の
 2021 年 5 月 12 日までの提出を延期し、さらに 2021 年 6 月 16 日までの提出を再延期することと
 なり、2021 年 7 月 14 日の開示に至りました。さらに同日、過年度の決算短信等の訂正及び過年度
 の有価報告書等の訂正を提出することとなりました。
  当社といたしましては、株主・投資家の皆様をはじめとした関係各位に、多大なるご迷惑とご心
 配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げますと共に、上場会社として重大な責任があると深
 く反省しております。当社はこの深い反省に立ち、このような事態を二度と起こさぬように、当社
 グループの全ての役職員が一丸となって、上記の再発防止に向けた改善措置を確実に実行し、株主
 様・投資家様をはじめ関係者の皆様からの信頼回復に向けて全力を尽くしてまいります。




                                                      以   上




                            28