6548 M-旅工房 2020-06-26 17:00:00
当社法人営業部門の従業員による不正調査の報告書受領のお知らせ [pdf]

                                                               2020 年6月 26 日
各     位
                             会  社  名 株  式  会  社     旅      工     房
                             代 表 者 名 代表取締役会長兼社長 高 山 泰 仁
                                        (コード番号:6548 東証マザーズ)
                             問い合わせ先 執   行   役   員 岩 田         静 絵
                                     コーポレート本部長
                                                  TEL. 03-5956-3044



            当社法人営業部門の従業員による不正調査の報告書受領のお知らせ


     当社は、2020 年 5 月 12 日付で公表いたしました「当社法人営業部門の従業員による不正の発覚と 2020
    年 3 月期決算発表の延期に関するお知らせ」に記載のとおり、当社従業員による売上の架空計上および当社
    資産の不正領得(以下「本事案」といいます。)を認識したことを受け、外部調査チームによる調査(以下
    「本調査」といいます。)を進めてまいりました。
     本日、外部調査チームからの調査報告書を受領いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。


                                    記


1.不正行為発覚の経緯
  2020 年 5 月 7 日外部からの問い合わせを受け、当社法人営業部門の従業員による不正の疑いを認識し、
 その後関係者に対して行った調査の結果、当該従業員が不正を行っていたことが発覚しました。
  これを受けて、当社は、実効性と透明性の高い調査と再発防止策の提言を受けるため、外部の専門家で
 ある西村あさひ法律事務所の弁護士を構成員とする外部調査チームを設置するとともに、当社では当該調
 査に全面的に協力してまいりました。

2.外部調査チームの調査結果
(1)報告書につきまして
   本調査の結果につきましては、別紙の「調査報告書」をご覧ください。当該報告書につきましては、個
 人情報及び秘密情報保護の観点から、個人名及び会社名等につきまして、匿名としておりますことをご了
 承ください。
   また、2020 年 5 月 12 日付で公表いたしました「当社法人営業部門の従業員による不正の発覚と 2020 年
 3 月期決算発表の延期に関するお知らせ」に記載の調査の対象となる不正が行われた期間、売上および利
 益へ与える影響額は本調査の結果、以下のとおりとなります。
                    5 月 12 日付適時開示               本調査の結果
     不正が行われた期間      2017 年 7 月から 2020 年 5 月まで   2017 年 6 月から 2020 年 5 月まで
     売上および利益へ与える                                売上への影響:累計で 382 百万円
                    累計で数千万円
     影響                                         利益への影響:累計で 76 百万円

(2)本調査における各決算期への影響額につきまして
  本調査を通し発覚した不正領得額は、306 百万円です。本調査の報告書に基づいた、現時点の不正に関連
 する売上高、売上原価、売上総利益と影響額につきましては、以下のとおりです。本調査の結果に基づ
 き、過年度の会計処理の検証や連結財務諸表および財務諸表等に与える影響額を確定させた上で、当社で
 は本事案の影響の及ぶ過年度の決算修正を行います。
【過年度決算期間分】
                                         修正後差額
                          修正前                          影響率          修正後
                 項目                     (架空売上)
                        (単位:千円)                       (単位:%)      (単位:千円)
                                        (単位:千円)
    第 24 期      売上高         4,381,711          -363       -0.01      4,381,348
(2018 年 3 月期)   売上原価        3,811,157             -        0.00      3,811,157
  第 1 四半期       売上総利益         570,554          -363       -0.06        570,191
    第 24 期      売上高        11,603,297        -5,493       -0.05     11,597,804
(2018 年 3 月期)   売上原価       10,032,825        -7,755       -0.08     10,025,070
  第 2 四半期       売上総利益       1,570,472         2,261        0.14      1,572,734
    第 24 期      売上高        17,484,376        -8,103       -0.05     17,476,272
(2018 年 3 月期)   売上原価       15,123,079       -10,546       -0.07     15,112,533
  第 3 四半期       売上総利益       2,361,296         2,442        0.10      2,363,739
    第 24 期      売上高        24,257,620       -26,592       -0.11     24,231,028
(2018 年 3 月期)   売上原価       21,010,640       -11,910       -0.06     20,998,729
      通期        売上総利益       3,246,979       -14,681       -0.45      3,232,298
    第 25 期      売上高         5,567,793        -4,403       -0.08      5,563,390
(2019 年 3 月期)   売上原価        4,839,555        -4,847       -0.10      4,834,707
  第 1 四半期       売上総利益         728,238           444        0.06        728,682
    第 25 期      売上高        14,535,821       -12,695       -0.09     14,523,125
(2019 年 3 月期)   売上原価       12,689,561       -10,928       -0.09     12,678,632
  第 2 四半期       売上総利益       1,846,259        -1,767       -0.10      1,844,492
    第 25 期      売上高        21,588,736       -26,327       -0.12     21,562,409
(2019 年 3 月期)   売上原価       18,803,417       -19,790       -0.11     18,783,626
  第 3 四半期       売上総利益       2,785,319        -6,536       -0.23      2,778,782
    第 25 期      売上高        29,304,457       -39,718       -0.14     29,264,739
(2019 年 3 月期)   売上原価       25,468,082       -22,386       -0.09     25,445,695
      通期        売上総利益       3,836,375       -17,332       -0.45      3,819,043
    第 26 期      売上高         7,977,927       -34,585       -0.43      7,943,342
(2020 年 3 月期)   売上原価        6,829,224        -8,252       -0.12      6,820,971
  第 1 四半期       売上総利益       1,148,703       -26,332       -2.29      1,122,370
    第 26 期      売上高        18,443,192       -51,871       -0.28     18,391,321
(2020 年 3 月期)   売上原価       15,882,311       -13,730       -0.09     15,868,581
  第 2 四半期       売上総利益       2,560,880       -38,140       -1.49      2,522,739
    第 26 期      売上高        27,266,279      -122,446       -0.45     27,143,833
(2020 年 3 月期)   売上原価       23,615,561       -75,612       -0.32     23,539,949
  第 3 四半期       売上総利益       3,650,717       -46,833       -1.28      3,603,884

【決算未発表期間分】
                        発覚した不正額
                 項目
                        (単位:千円)
    第 26 期      売上高        -188,659
(2020 年 3 月期)   売上原価       -140,768
      通期        売上総利益       -47,890
    第 27 期      売上高         -92,805
(2021 年 3 月期)   売上原価        -90,400
  第 1 四半期       売上総利益        -2,405
    第 27 期      売上高        -127,661
(2021 年 3 月期)   売上原価       -131,533
  第 2 四半期       売上総利益         3,871
3.今後の対応方針
(1)訂正開示および今後の決算発表につきまして
  訂正開示の対象期間は、金額的な重要性を考慮し、引き続き監査法人等と協議を行ってまいりますが、
 2018 年 3 月期第4四半期から 2020 年 3 月期第3四半期となる見込みです。過年度決算短信等の訂正の公
 表、2020 年 3 月期決算および 2021 年 3 月期第 1 四半期決算発表の具体的な日程につきましては確定し次
 第、速やかにお知らせいたします。

(2)再発防止に向けた対応策について
  当社は、外部調査チームからの調査結果および再発防止のための提言を踏まえ、具体的な再発防止策を
 速やかに策定の上、実行してまいります。なお具体的な再発防止策は、まとまり次第速やかに公表いたし
 ます。

(3)関係者の処分について
  調査報告書の内容を厳粛に受け止め、厳正に処分を行います。処分の内容につきましては、決定次第公
 表いたします。

  当社の株主、投資家、市場関係者の皆様並びにお取引先、そのほか全てのステークホルダーの皆様に多
 大なご心配とご迷惑をおかけしますこと深くお詫び申し上げます。今回の件を厳粛に受け止めるとともに、
 再発防止に全社を挙げて取り組み、一日も早い信頼の回復に努めてまいりますので、今後ともご支援ご協力
 を賜りますようお願い申し上げます。


                                                        以   上
調     査   報   告       書
     (開 示 版)




    2020 年 6 月 26 日

    株式会社旅工房
    外部調査チーム
                                               2020 年 6 月 26 日


株式会社旅工房   御中


                           西 村 あ さ ひ 法 律 事 務 所
                           弁   護   士   髙   橋        宏    達
                           弁   護   士   福   嶋        美    里
                           弁   護   士   﨑            香    織




               調   査   報   告   書


 貴社の御依頼に基づき当調査チームが行った調査の結果を、以下のとおり御報告いたし
ます。




                       2
                                                                     目           次
                                                                                                                                                        頁
s第1            外部調査チーム................................................................................................................... 5
    1.             設置に至る経緯............................................................................................................... 5
    2.             構          成 .......................................................................................................................... 5
    3.             調査の目的及び対象....................................................................................................... 5
         (1)       調査の目的....................................................................................................................... 5
         (2)       調査の対象....................................................................................................................... 6
    4.             調査の方法....................................................................................................................... 6
         (1)       資料収集 .......................................................................................................................... 6
         (2)       聴取調査 .......................................................................................................................... 6
         (3)       調査期間 .......................................................................................................................... 6
    5.             調査の限界及び制約....................................................................................................... 7
    6.             小          括 .......................................................................................................................... 7
第2             本          論 .............................................................................................................................. 8
Ⅰ              調査の範囲・対象・手続................................................................................................... 8
    1.            総           論 .......................................................................................................................... 8
    2.            本調査の範囲及び対象................................................................................................... 8
         (1)      対象会社 .......................................................................................................................... 8
         (2)      対象期間 .......................................................................................................................... 8
         (3)      対象とする事象............................................................................................................... 8
    3.             本調査の手続................................................................................................................... 9
         (1)       ヒアリングの実施........................................................................................................... 9
         (2)       TBK 社従業員に対する質問調査の実施 ...................................................................... 9
         (3)       TBK 社が実施した本件従業員による不正行為の検証結果への依拠 ...................... 9
Ⅱ              不正行為の類型・内容....................................................................................................... 9
    1.             概          要 .......................................................................................................................... 9
    2.             不正な予約記録の作成................................................................................................. 10
    3.             不正な予約記録に基づく金券類の取得及び換金 ..................................................... 10
    4.             請求書の不正................................................................................................................. 11
    5.             顧客名を偽装した入金................................................................................................. 11
    6.             入金記録の付け替え..................................................................................................... 11
    7.             システム外仕入............................................................................................................. 11
Ⅲ              不正行為の発生状況・評価 ............................................................................................. 11
    1.             本件不正行為の発生状況 ............................................................................................. 11
         (1)       概要 ................................................................................................................................ 11
         (2)       TBK 社による検証手続................................................................................................ 12




                                                                            3
     (3)      TBK 社による検証結果の信頼性 ................................................................................ 12
2.            本件従業員以外の者による経理上の不正行為の発生状況 ..................................... 12
3.            本件不正行為の発生原因 ............................................................................................. 13
     (1)      不正行為を誘引した事情 ............................................................................................. 13
     (2)      不正行為を許容した事情 ............................................................................................. 13
     (3)      小         括 ........................................................................................................................ 15
Ⅳ          再発防止策・改善策......................................................................................................... 15
1.            業務プロセスの改善..................................................................................................... 15
     (1)      取引の実在性の確保..................................................................................................... 15
     (2)      金券取得プロセスの統制 ............................................................................................. 16
     (3)      予約登録システムと整合する額の請求書の発行 ..................................................... 16
     (4)      恣意的な入金振り分けの防止 ..................................................................................... 16
2.            組織体制の整備............................................................................................................. 16
     (1)      営業担当者と手配担当者等の分離 ............................................................................. 16
     (2)      コーポレート部門による営業担当者の統制・連携等 ............................................. 17
     (3)      内部統制の充実等......................................................................................................... 17
3.            コンプライアンス意識の向上 ..................................................................................... 17
     (1)      定期的な質問調査の実施 ............................................................................................. 17
     (2)      発見・通報のチャンネルの拡充 ................................................................................. 17
     (3)      社内研修の充実............................................................................................................. 18
4.            厳正な処分等................................................................................................................. 18
     (1)      本件従業員の処分等..................................................................................................... 18
     (2)      役員の処分..................................................................................................................... 19


                                                                 別        紙


     別紙           本件不正行為の決算への影響額




                                                                      4
第1        外部調査チーム


1.    設置に至る経緯
       株式会社旅工房(以下「TBK 社」という。)は、2020 年 5 月 7 日、A 社より、TBK
      社において、A 社の金券(以下「金券 A」という。)が大量に手配及び換金されている
      旨の問い合わせを受けたため、従前顧客の依頼により大量に金券 A の手配を行ってい
      た TBK 社従業員(以下「本件従業員」という。)に対し詳細確認を行った。そうした
      ところ、本件従業員が、金券 A の換金について申告したため、取締役及び執行役員に
      より、本件従業員に対し、金券 A の換金に関するヒアリング並びに関連する予約記録
      等の確認が行われた。
          その結果、本件従業員が、架空売上の計上、及びこれにより発生した架空の売掛債
      権の支払に充当する資金を捻出するため、金券 A の換金を繰り返し行っていることが
      判明した。
       TBK 社は、本件従業員による売上の架空計上及び金券 A の不正領得の発覚を受け、
      2020 年 5 月 12 日、会計監査人とも協議の上、実効性と透明性の高い調査及び再発防止
      策の提言を受けるため、外部調査チームを設置することとした。


2.    構       成
       当外部調査チームの構成は以下のとおりである。
                        西村あさひ法律事務所 パートナー
           髙橋     宏達
                        弁護士
                        西村あさひ法律事務所 アソシエイト
           福嶋     美里
                        弁護士
                        西村あさひ法律事務所 アソシエイト
           﨑      香 織
                        弁護士


3.    調査の目的及び対象


     (1) 調査の目的
          本調査は、以下の各調査及び評価の結果並びに提案について、TBK 社取締役会に
       報告することにより、TBK 社の財務報告の信頼性を確認し、また、その向上に資す
       ることを目的とするものである。
          ①    本件従業員による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、中立かつ
               客観的な視点から、事実関係の調査、その会計的・法的評価、及び再発防止
               策の提案を行うこと。
          ②    本件従業員以外の者による経理上の不正行為に関して、第三者による公正、
               中立かつ客観的な視点からその存否を調査するとともに、そのような不正行
               為が新たに検出された場合には、当該不正行為に関して、前記①と同様の調




                                5
             査、評価、及び提案を行うこと。
         本調査は、前記の目的のために TBK 社のためにのみ行ったものであり、本報告書
       も、前記の目的に限定して TBK 社のためにのみ作成したものである。


     (2) 調査の対象
         本調査の対象は、以下のとおりである。
         ①   事実関係の調査
             (a) 本件従業員による経理上の不正行為の内容、決算に与える影響、発生状
                 況、発生経緯及び発生原因
             (b) 本件従業員以外の者による経理上の不正行為の存否の調査、かかる調査
                 によって新たに発覚した不正行為の内容、決算に与える影響、発生状
                 況、発生経緯及び発生原因
         ②   不正行為に関する会計的・法的評価
             ・   前記①(a)及び(b)の調査結果を踏まえた法的・会計的な問題点・リスクの
                 検証・評価
         ③   再発防止策の提案
             ・ 前記①(a)及び(b)並びに②の調査及び検証・評価結果を踏まえた再発防止
                 策の提案
         なお、本調査によって判明した経理上の不正行為に関連する今後の対外公表、当
       局対応及び責任追及の是非、方法等については、当調査チームの報告を踏まえた
       TBK 社取締役会の経営判断に委ねることとし、当調査チームとしては、本調査中及
       び本調査後に必要又は依頼に応じて助言をするほかには、本調査の対象とはしてい
       ない。


4.    調査の方法


     (1) 資料収集
         当調査チームは、TBK 社から、調査事項に関する各種の資料(以下「開示資料」
       という。)の提出を受け、当該資料を精査した。


     (2) 聴取調査
         当調査チームは、関係者から聴取調査を実施した。


     (3) 調査期間
         本調査は、2020 年 5 月 12 日から 2020 年 6 月 25 日まで行われた。




                                 6
5.   調査の限界及び制約
         本調査の実施にあたっては、以下のような限界及び制約があったことに留意された
     い。
     ①     本報告書の記載の一部は、TBK 社が本件従業員に対して行った本件従業員によ
          る不正行為の確認結果に合理的な範囲で依拠しているが、当該確認結果に不実・
          不正確があった場合には、本報告書に記載されている事実が真実かつ正確でない
          こと又は本報告書に記載されている評価が妥当しないことがあり得る。
     ②     本報告書の記載のうち事実に関する部分には、開示資料及びヒアリングにおけ
          る情報に依拠せざるを得なかったものがあり、開示資料について当調査チームに
          おいて独自に内容の真否を確認し、ヒアリングについて逐次の客観的証憑の確認
          等によって内容の真否を確認すること等を行っていないものがある。したがっ
          て、かかる開示資料又はヒアリングにおける情報に意図的な不実又は不正確があ
          る場合、開示資料又はヒアリングに重要な点における情報の意図的な欠落又は誤
          解を招く内容がある場合等は、本報告書に記載されている事実が真実かつ正確で
          ないこと又は本報告書に記載されている評価が妥当しないことがあり得る。


6.   小     括
         本調査の目的及び対象の限定並びに本調査における方法的及び時間的な制約に鑑
     み、本報告書は、あくまで当調査チームがリーズナブル・エフォート・ベースで行っ
     た本調査の結果を報告するものであり、当調査チームは、本報告書の記載内容に関
     し、何人に対しても、それ以上の法的責任を負うものではない。
         以上を前提として、当調査チームが行った本調査の結果を、以下のとおり報告す
     る。




                          7
第2        本       論


Ⅰ     調査の範囲・対象・手続


1.    総       論
          当調査チームは、本件従業員による経理上の不正行為の事実関係の調査等に加え、
      本件従業員以外の者による経理上の不正行為の存否の調査等を行い、それらの結果の
      報告等を通じて、TBK 社の財務報告の信頼性を確認し、また、その向上に資すること
      を目的として設置されたものである。
          もっとも、とりわけ本件従業員以外の者による経理上の不正行為の存否の調査に関
      しては、事実関係の聴取対象者の離職、記憶の減退、証拠の散逸等の事情を踏まえれ
      ば、本調査の対象期間を無限定とすることは実際上極めて困難であると言わざるを得
      ない。
          以上のような考慮に基づき、本調査は、以下のような範囲及び対象、並びに手続に
      よって実施された。


2.    本調査の範囲及び対象


     (1) 対象会社
          本調査の対象会社は、TBK 社である1。


     (2) 対象期間
          本調査の対象期間は、本件従業員が TBK 社へ入社した 2017 年 6 月以降とした(以
        下「対象期間」という。 2。
                  )


     (3) 対象とする事象
          本調査の対象とする事象としては、本件従業員が実行した類型の不正行為に限定
        せず、広く、経理上の不正行為を網羅的にその対象とした。




1     TBK 社の各子会社のうち、ALOHA 7, INC.及び PT. Ramayana Tabikobo Travel は、主な事業が TBK 社
      に対する旅行商品の販売に係るものであること、また、Tabikobo Vietnam Co. Ltd.は、主にコンサル
      ティング事業を行っており、また金額的重要性に乏しいことから、本調査の対象からは除外した。

2     もっとも、後記 3.(2)の TBK 社従業員に対する質問調査は、特に対象期間を限定せず行った。対象期
      間外の経理上の不正行為の記述は、本調査の過程で当調査チームが把握したそれらの行為の内容を参
      考までに記載しているに過ぎない。




                                       8
3.    本調査の手続
          本調査においては、調査対象となる対象会社、対象期間及び事象に関し、以下の手
      続に従い、不正会計処理の存否及び内容等の調査を行った。


     (1) ヒアリングの実施
          当調査チームは、2020 年 5 月 14 日より、本件従業員を含む TBK 社役員及び従業
       員合計 23 名に対し、事実関係や販売・購買プロセス等に関するヒアリングを実施し
       た。


     (2) TBK 社従業員に対する質問調査の実施
          当調査チームは、TBK 社の協力を得て、TBK 社の取締役(社外取締役を除く。、
                                                )
       法人営業部門の全ての従業員、レジャー部門の各セクションにおいて対象期間中統
       括マネージャ以上の地位にあったことのある従業員、コーポレート部門のうち経
       理、財務、及び総務・IR セクションの従業員、並びに内部監査室の従業員に対し、
       質問票を送付することにより、質問調査を実施し、2020 年 6 月 22 日までに、対象者
       113 名のうち 113 名(100%)から回答を得た。
          質問調査は、TBK 社の役員及び従業員から広く情報提供を受け、不正調査の端緒
       とする趣旨から、当調査チームのみ確認可能なメールアドレスに対して回答を送付
       する方法により行われた。また、回答のうち、事実関係等に関しさらに確認が必要
       なものについて、合計 3 名の回答者に対するヒアリングを実施した。


     (3) TBK 社が実施した本件従業員による不正行為の検証結果への依拠
          後記Ⅲ1.(3)のとおり、TBK 社による検証結果は、相当程度の信用性及び信頼性が
       あるものと認めてよく、本調査において、当調査チームが独自に調査をすることが
       不可能又は困難な場合であって、ほかに検証結果の信憑性を疑わせる特段の事情の
       ないものについては、TBK 社による検証結果に依拠することとした。


Ⅱ     不正行為の類型・内容


1.    概     要
       本件従業員は、現金を捻出するため、顧客から金券 A の手配依頼があったことを仮
      装し、TBK 社の予約登録システム上に架空の仕入記録を作成し、当該記録に基づき金
      券 A を取得し、その換金を行っていた。その後、架空の仕入に対する支払が発生する
      等、継続的に現金の捻出が必要になったため、当該不正行為が繰り返されることと
      なった。
          さらに、本件従業員は、より多くの売上を計上し、受注した案件の利益率を上げた
      り、赤字となることを回避したりするため、売上金額の水増し及び架空の予約記録の




                              9
     作成、仕入記録の付け替え並びに予約登録システムに登録しない仕入を行っていた。
     そして、売上金額が水増しされた予約記録については、顧客に対し、予約登録システ
     ム上で記録されている売上金額と異なる金額の請求書を発行していた。
      一連の行為により水増しされた売上金額に対して、顧客から TBK 社に対する入金額
     は当然不足することになるため、本件従業員は、さらに架空の仕入記録を作出して金
     券 A を取得し、その換金を行い、顧客名義を偽装して TBK 社に振込入金することによ
     り未収金の補填を行っていたほか、ある予約記録に対する顧客からの入金を、未収金
     が発生してから相当期間経過している別の予約記録に対する入金に振り替えたり、架
     空の依頼に基づき B 社の金券(以下「金券 B」という。)を仕入れ、その換金を行い、
     又は、自己資金を利用して、顧客名義を偽装して TBK 社に振込入金することにより、
     未収金の補填を行っていた。
      各不正行為の類型及び会計上・経理上の影響は、2.以下で記述する。また、本件従
     業員による経理上の各不正行為を総称して、以下「本件不正行為」という。


2.   不正な予約記録の作成
      本件従業員は、不正な予約記録の作成、すなわち、架空売上の計上3、架空仕入の計
     上4及び仕入記録の付け替え5を行った。
      架空売上・仕入により、当月・当期の売上高・売上原価が不正に増加することにな
     り、仕入記録の付け替えが異なる月や期を跨いで計上されている場合、これにより当
     月・当期の売上原価が不正に増減されることになる。


3.   不正な予約記録に基づく金券類の取得及び換金
      本件従業員は、顧客から依頼がないにもかかわらず、金券 A 又は金券 B の手配の依
     頼があったと仮装し、予約登録システムへ売上及び仕入を入力し、金券 A 及び金券 B
     を取得し、換金した。
      金券 A 及び金券 B の仕入により、当月・当期の資産が不正に減少し、当月・当期の
     売上原価が不正に増加することになる。
      なお、換金がなされることにより当月・当期に不正に増加した売上原価について


3    実際に顧客から予約依頼を受け予約登録システム上に登録された予約記録に売上金額を追加するこ
     と、及び顧客から依頼を受けていないにもかかわらず、予約登録システム上に予約記録を作成し売上
     を計上することをいう。

4    架空売上の計上に伴い、又は後記 3.の金券類の取得のため、顧客から手配の依頼がないにもかかわら
     ず、手配内容を予約登録システムに登録し、仕入を計上することをいう。

5    本来であれば案件 A における仕入であるにもかかわらず、案件 A が赤字案件となること(仕入金額
     が売上金額を上回ること)を避けるべく、新規に架空の予約記録(案件 B)を作成し、架空売上の計
     上を行い、案件 A の仕入の一部を、案件 B の仕入として記録することをいう。




                            10
      は、本件従業員に対する債権として計上されるべきことになる。


4.    請求書の不正
        本件従業員は、売上の水増しがなされた予約記録について、顧客に対して水増し前
      の金額を請求するため、予約登録システム上で記録されている売上金額と異なる金額
      の請求書を発行していた。
        もっとも、請求書が不正に発行されていることで、直ちに会計上・経理上影響があ
      ることになるわけではない。


5.    顧客名を偽装した入金
        本件従業員は、架空売上を計上した予約記録の売上金額の水増し分について、顧客
      名を偽装し入金していた。
        本件従業員による入金が、実体のない予約記録(架空売上が登録された予約記録)
      に対する入金の場合は、当月・当期の資産が不正に増加することになる。


6.    入金記録の付け替え
        本件従業員は、本来予約記録 B に対してなされた入金を、未収となっている予約記
      録 A の入金として処理していた。
        顧客から入金されるべき金額の合計に変動はないが、売掛債権に対する評価が不正
      に変動することとなる可能性がある。


7.    システム外仕入
        本件従業員は、予約記録が赤字となるのを避けるため、予約登録システムに記録せ
      ずに手配を行い、代金を自己負担で仕入先へ支払っていた。
        本来計上されるべき仕入が計上されていないため、当月・当期の売上原価が不正に
      減少することになる。


Ⅲ     不正行為の発生状況・評価


1.    本件不正行為の発生状況


     (1) 概要
         本件不正行為について、TBK 社の財務諸表に与える影響額を整理したものは、別
        紙に記載のとおりである。
         また、本件不正行為のうち、請求書の不正については、TBK 社の財務諸表の記載
        に影響を及ぼすものではないので、別紙において特定していない。




                          11
     (2) TBK 社による検証手続
        別紙は、TBK 社が実施した本件不正行為の検証結果に依拠している。TBK 社が実
       施した検証手続は、以下のとおりである。
        ①   予約登録システムに記録されている本件従業員の担当案件(本件従業員が単
            独で担当していた案件のみならず本件従業員が関与していた案件も含む。)
            に係る取引の全てについて、対象顧客とのメール履歴、精算明細書等の予約
            依頼の証憑の有無を確認し、当該取引の実在性を検証した。
        ②   本件従業員によれば、顧客を偽装した入金は、本件従業員個人の銀行口座か
            らの振り込みのみによって行われたとのことであったため、本件従業員から
            提出を受けた本件従業員の銀行口座記録から、TBK 社の口座に対する入金記
            録を特定した。
        ③   予約登録システムに記録されている案件に記載されている売上金額及び顧客
            に対して請求された請求書等の証憑と、本件従業員の銀行口座記録を突き合
            わせることにより、予約記録と入金記録の対応関係を検証した。


     (3) TBK 社による検証結果の信頼性
        TBK 社による検証結果は、以下のとおり相当程度の信用性及び信頼性があるもの
       と認められる。
        ①   取引の実在性について、メール履歴、精算明細書等の客観的な証憑に基づい
            て検証されていること。
        ②   顧客を偽装した入金及び予約記録と入金記録の対応関係について、本件従業
            員の証言を端緒とはしているものの、顧客への請求書等客観的な証憑との突
            き合わせが行われていること。
        ③   検証手続は本件従業員とは別の部門を統括する役員及び別の部門に所属する
            従業員によってなされたものであること。


2.    本件従業員以外の者による経理上の不正行為の発生状況
       本調査の結果発見された本件従業員以外の者による経理上の不正行為6 は、いずれ
      も、散発的に行われたものであって継続的に行われたものではなく、主として日常事
      務処理の誤謬によるものであって、利益の水増し等のために意図的に行われたもので
      はなく、また、財務諸表に与える影響も僅少なものにとどまる。



6     顧客への請求を失念したため担当者が自己負担にて TBK 社に支払った事案、案件の黒字化のため同
      一顧客の予約記録間での仕入の付け替えをした事案、損失が発生した案件について損失を報告せず、
      同一顧客の別の案件に係る売上及び仕入を、損失が発生した案件に係る予約記録に登録した事案、顧
      客から正式な依頼を受けずに発注したためキャンセル料を請求できず、担当者が自己負担にて TBK
      社に支払った事案が存在した。




                            12
3.    本件不正行為の発生原因


     (1) 不正行為を誘引した事情


      ①   前職における売上水増案件の未収金及び立替負担した仕入額への充当
           本件従業員は、前職の会社において売上の水増し及び仕入代金の立替負担を
          行った。本件従業員は、売上の水増しにより発生した未収金を補填するため、
          TBK 社入社後まもなく、架空の仕入記録を作出して、金券 A の不正仕入及び換金
          を行って現金を捻出し、顧客名を偽装して前職の会社の口座へ振込入金を行うこ
          とで、未収金の補填を行った。また、捻出された現金を自らの口座に入金するこ
          とで、立替負担分を回収した。


      ②   不正行為により発生した未収金への充当
           ①で作出した架空の仕入記録に対応する予約記録の未収金を補填するため、本
          件従業員は、再度架空の仕入記録を作出して、金券 A の取得・換金を行った。そ
          の結果さらに生じた未収金を補填するため、架空の仕入記録の作成及び金券 A の
          取得・換金を自転車操業的に繰り返す必要が生ずることとなった。


      ③   売上計上、赤字案件の回避に向けた自己重圧
           本件従業員に対しては、TBK 社入社時において、相応の営業成績が期待されて
          いたうえ、本件従業員は、TBK 社入社直後から、セクションの統括マネージャに
          就任することとなった。本件従業員が属していたセクションにおいては、月次の
          予算を達成できない状況にあり、本件従業員は、役員や他部署の統括マネージャ
          から、予算の達成に向けた説明に関して追及を受けることもあった。ただし、か
          かる追及が特段厳しかったわけでも、予算について極端に野心的な数値を提示さ
          れていたわけでもなく、本件従業員においては、もっぱら、相応の営業成績が期
          待されている者あるいは統括マネージャとしてのいわば「見栄」のために、売上
          を大きく計上し、赤字案件を回避しようとする自己重圧が働いていたものと思わ
          れる。


     (2) 不正行為を許容した事情


      ①   予約登録システムにおける不正処理の容易性
           TBK 社の予約登録システムに予約記録を入力する際、各担当者は事前の承認又
          は事後の検証を受けることも、証憑を提出することも要求されておらず、予約記
          録の実在性までは確認されていなかった。




                           13
    ②   金券類の取得プロセスに係る内部統制の不存在
         金券 A や金券 B の取得は他者の確認・承認を要さず誰でも可能であったうえ、
        そのプロセスは内部監査の対象外であり、仕入の実在性及び顧客への交付につい
        ても確認されていなかった。


    ③   予約登録システム外での請求書発行の許容
         TBK 社では、予約登録システムを利用せずに請求書を発行することが許容され
        ており、その場合に、その請求金額が、予約登録システム上に登録された金額と
        一致しているかを確認するプロセスが定められていなかったため、架空売上の計
        上を発見することが困難な仕組みになっていた。


    ④   入金情報の操作の容易性
         予約記録と顧客からの入金情報の対応関係は、営業担当者の報告のみに依拠す
        るものであり、特に裏付けとなる証憑の提出は求められていなかった。そのた
        め、顧客名を偽装して入金を行い、当該入金を架空売上を計上した予約記録への
        入金として報告したり、顧客からの入金を、本来対応する予約記録ではなく、長
        期間にわたり未収金が発生している別の予約記録への入金として報告したりする
        ことが可能となっていた。


    ⑤   所属セクションの特色
         本件従業員が所属していたセクションにおいては、各営業担当者が、売上・仕
        入の予約登録システムへの登録から、仕入先への手配及び顧客への請求書発行ま
        で、基本的には一人で担当していたため、第三者の目に触れることなくこれらの
        プロセスを完結することが可能であった。


    ⑥   コーポレート部門によるモニタリング状況
         本件従業員の担当する予約記録において長期間滞留している未収金が多く発生
        していたため、コーポレート部門財務・経理セクションの従業員から、本件従業
        員に対し、再三にわたる確認がなされてはいた。しかし、本件従業員が予約記録
        に関する証憑7を提出したこと、未収金が回収されたこと、未収金額が自己負担で
        の充当がおよそ不可能な金額に及んでいたこと等から、予約記録に関する証憑の
        原本確認や、顧客に対する直接確認等それ以上の追及までは行われなかった。




7   当該証憑は本件従業員が偽造したものであった。




                         14
      ⑦   所管の役員らによるモニタリング状況
             本件従業員に関する滞留債権等の報告を受けた所管の取締役らは、本件従業員
          と数度にわたり面談したものの、最終的には本件従業員が担当する案件の滞留債
          権に対しては入金がされていること、予約記録に関する証憑のコピーが提出され
          ていること、会計監査人による各期末の残高確認が実施されていること等を踏ま
          え、本件従業員に対する追加の調査は不要であると判断した。


     (3) 小    括
             本件従業員による経理上の不正行為の動機は、単に個人的な債務への充当と、そ
        の結果発生した未収金の補填にとどまらず、自身の売上を増加させ、予算を達成す
        ることにあったことが窺われる。しかし、予算達成の動機については、大なり小な
        り他の従業員にも存在するはずであること、本調査の結果として、本件従業員以外
        では同種の継続的な経理上の不正行為が発見されていないことに鑑みると、原因を
        単一又は限られた複数の事情に求めることは困難であるというべきであり、経理上
        の不正行為を誘引する複数の事情と経理上の不正行為を許容する複数の事情の組み
        合わせの結果として生じたものと考えられる。
             また、かかる複数の事情を個別にみると、他の事業部・部門にも該当する可能性
        がある事情が少なからずある一方で、本件不正行為は、現に本件従業員が個人的に
        多額の借入債務を負担したように、経済的合理性を無視しなければ繰り返すことが
        できないという無視し難い特殊性があり、その点に鑑みると、本調査によっても発
        見できなかった類似の経理上の不正行為が存在する可能性は、非常に乏しいと考え
        られる。


Ⅳ     再発防止策・改善策
        当調査チームの問題意識及び提言は、以下のとおりである。


1.    業務プロセスの改善


     (1) 取引の実在性の確保
             本件では、予約記録を予約登録システムに登録する際、予約の実在性を確認でき
        る証憑の提出が要求されていなかったため、一連の本件不正行為の実行が可能と
        なった。
             そこで、①予約登録システムへの入力に際し、事前又は事後速やかに証憑を保存
        させ、②入力者以外の者が記録と証憑の内容が一致していることを確認し、③これ
        らの実施状況を内部監査において確認すべきであると考える。




                            15
     (2) 金券取得プロセスの統制
        本件では、金券 A 及び金券 B の取得が他者の確認・承認を要さず誰でも可能であ
       り、仕入の実在性及び顧客への交付の確認はなされていなかったため、本件不正行
       為の実行が可能となった。
        そこで、①予約登録システムへの入力者と、金券類の取扱担当者を分離し、仕入
       の実在性を確認・承認させ、②その実施状況を内部監査において確認すべきである
       と考える。


     (3) 予約登録システムと整合する額の請求書の発行
        本件で架空売上の計上の発見が困難となった要因として、請求書の金額と予約登
       録システムの売上とが一致しているか否かの確認を経ずに、請求書を発行できた点
       がある。
        そこで、原則として、予約登録システムから出力される請求書を利用することと
       し、予約登録システムから出力される請求書では情報が不足する場合は、別途、明
       細等を作成し、予約登録システムから出力される請求書とともに顧客に交付する方
       法をとるべきである。また、顧客指定の形式による請求書を発行する場合は、請求
       書を発行する者以外の者が、当該請求書の金額及び内容について、予約登録システ
       ムから出力される請求書と金額及び内容が一致していることを確認するプロセスを
       定めるべきである。また、その実施状況を内部監査において確認すべきであると考
       える。


     (4) 恣意的な入金振り分けの防止
        本件では、予約記録と入金情報との対応関係が、営業担当者の報告のみに依拠す
       るものであったことから、顧客名を偽装した入金や、入金の付け替えが可能となっ
       ていた。
        そこで、コーポレート部門が法人営業部門の担当者に確認することなく単独で入
       金と予約記録の対応関係を判断するようなプロセスとすべきであり、そのために後
       記 2.(1)及び(2)に記載の組織体制の整備に関連し、コーポレート部門が予約記録を把
       握し、入金に対応する予約記録を判断できるような組織体制とすべきである。ま
       た、その実施状況を内部監査において確認すべきであると考える。


2.    組織体制の整備


     (1) 営業担当者と手配担当者等の分離
        本件においては、営業担当者が最初から最後まで一人で案件を仕切り、他者の介
       入・監視がなかったことが、本件不正行為発生の要因の一つと考えられる。
        そこで、営業担当者と予約登録システムへの入力担当者とを分離する、又は、営




                           16
       業担当者と手配担当者とを分業化する等、担当者間の引き継ぎ時に、記録の不明点
       が検出しやすくなる組織体制を導入することを検討すべきである。


     (2) コーポレート部門による営業担当者の統制・連携等
        本件において、未収金の回収は、案件の営業担当者に任されていたことから、財
       務・経理セクションの従業員から顧客に対して直接支払状況の確認を行うことがで
       きず、本件不正行為の発覚には至らなかった。
        そこで、①営業担当者の所属する各セクション内にコーポレート部門所属の担当
       者を配置し、営業担当者の日々の業務を把握・監視できる環境を創出することや、
       ②請求に関する顧客への連絡については財務・経理セクションの従業員をメールの
       Cc(又は Bcc)に入れたり、請求書を郵送する場合は財務・経理セクションの確認
       を経るようにし、③その実施状況を内部監査において確認することも考えられる。


     (3) 内部統制の充実等
        本件では、所管の取締役らに対して、本件不正行為の徴候ともいえる状況が報告
       されていたにもかかわらず、当該取締役らは、本件従業員と数度にわたり面談した
       ものの、追加の調査は不要であると判断し、その結果として、本件不正行為の発覚
       が遅れたという面があったと言わざるを得ない。
        そこで、①業務プロセスの改善等に必要な規程類を速やかに導入・整備し、②そ
       の実施状況を内部監査の対象としたうえ、適正な運用がなされていることを確認で
       きるようにすべきである。


3.    コンプライアンス意識の向上


     (1) 定期的な質問調査の実施
        本調査における TBK 社の役員及び従業員の一部を対象とした質問調査において
       は、対象者の全員が回答をし、継続的・意図的ではないものの、経理上の不正とな
       る事例が散見された。
        そこで、経理上の不正行為をはじめとしたコンプライアンス違反の存在に関する
       端緒を得るため、従業員に対するコンプライアンス違反に関する質問調査を、定期
       的に実施するべきであると考える。


     (2) 発見・通報のチャンネルの拡充
        本件では、本件従業員が経理上の不正行為を行っていることが強く疑われる旨の
       報告があったにもかかわらず、所管の取締役らの判断によってそれ以上の追及がな
       されなかったことから、本件不正行為の発覚が遅れたという面があったと言わざる
       を得ない。また、TBK 社には、コンプライアンス違反に関する社内通報窓口が設置




                          17
       されていたものの、通報件数は僅少であり、経理上の不正についての通報はなされ
       ていなかった。
        そこで、①外部通報窓口を設置すること、②内部通報の具体的な内容や処理状況
       を、取締役会やリスク・コンプライアンス委員会において定期的に報告させるこ
       と、③社内通報窓口以外のチャンネルとして、部門相互間のコンプライアンスに関
       する意見交換を行い、部門内で報告された、不正やコンプライアンス違反の疑いの
       ある事例を積極的に共有すること、④リスク・コンプライアンス委員会において、
       天災リスクへの対応のみならず、経理上の不正行為を含め、広くコンプライアンス
       違反とされる行為のリスク及び各部門において不正が疑われる事例を洗い出し、議
       論を充実させること等を検討すべきである。


     (3) 社内研修の充実
        TBK 社においては、個人情報保護に関する社内研修や、インサイダー取引の防止
       に関する社内研修等は行っていたものの、コンプライアンス全般又は会計処理に関
       する社内研修は行われていなかった。
        そこで、役員及び従業員のコンプライアンス意識を向上させるため、コンプライ
       アンス全般に関する研修をはじめ、会計処理や社内ルールの周知に関する研修を行
       う等、社内研修制度の見直し・充実を図っていくべきである。


4.    厳正な処分等


     (1) 本件従業員の処分等
        本件不正行為は、金券類を不正に領得した点について横領罪又は窃盗罪のいずれ
       かを構成するほか、所定の業務プロセスに反する処理を行い又は事実と異なる記録
       を作出したものであるから、TBK 社の就業規則上、懲戒解雇事由に該当する。ま
       た、本件不正行為は、数種類の不正が組み合わされているというだけでなく、本件
       従業員の TBK 社への入社の数週間後から発覚までの約 2 年 10 か月もの間、間断な
       く繰り返されてきている。そして、本件従業員において不正に領得した金券類の価
       額は合計 306,598,298 円に上り、本件従業員が顧客名義を偽装して TBK 社に入金し
       た分を控除しても約 51 百万円、さらに本件従業員が自己負担によって仕入先に支
       払った分(ただし、当該金額は本件従業員の自己申告に基づくものであり、本調査
       の対象とはなっていない。)まで控除しても約 39 百万円を利得していることにな
       る。不正に領得した金額全体からみると、本件従業員が私的に流用した金額は一部
       にとどまるとはいえ、個人が行った不正の規模としては決して小さいとはいえな
       い。
        本件従業員は、基本的には反省・謝罪の態度を示しており、TBK 社及び当調査
       チームによる調査にも概ね協力的ではあったが、本件不正行為における不正の内




                           18
  容、範囲、規模等からみて、宥恕するには程遠いといわざるを得ず、TBK 社におい
  ては、本件従業員に対し、厳正な処分をすることを怠るべきではないと考える。
   かかる処分によって、本件従業員以外の者に対しても、コンプライアンス違反の
  影響を認識させることになり、役員、従業員のコンプライアンス意識の向上に資す
  るものと考えられる。


(2) 役員の処分
   また、TBK 社社内の内部統制の体制が十分に整備されていなかったこと、本件不
  正行為の徴候ともいえる状況が報告されていたにもかかわらず早期に本件不正行為
  を発見することができなかったことについては、関係する取締役、特に法人営業部
  門及びコーポレート部門所管の各取締役に相応の責任があることは否めず、さら
  に、本件従業員の上長たる立場にあった法人営業部門所管の取締役においては、端
  的に本件従業員の監督が不十分であったことについても、責任は否定し難いと考え
  られる。
   もっとも、どの取締役についてどのような処分とするかについては、多分に経営
  判断を伴う面があり、当調査チームの役割を超えるため、具体的な提言は差し控え
  ることとする。


                                     以   上




                   19
■本調査における各決算期への影響額
                                                                                                                                                                                   (千円)
                                       連結売上高                                                     連結売上原価                                                  連結売上総利益
    対象年度       対象期間       (A)           (B)          (A)+(B)         (A)                            (B)                     (A)+(B)         (A)            (B)           (A)+(B)
                         修正前           修正額           修正後            修正前           (うち、金券A)       (うち、金券B)       修正額         修正後            修正前            修正額            修正後
               第1四半期
   2018年3月期                4,381,711          -363      4,381,348     3,811,157              0              0           0      3,811,157      570,554            -363         570,191
              連結累計期間
               第2四半期
                          11,603,297       -5,493      11,597,804    10,032,825         -4,874         -2,880      -7,755     10,025,070     1,570,472           2,261      1,572,734
              連結累計期間
               第3四半期
                          17,484,376       -8,103      17,476,272    15,123,079         -7,665         -2,880     -10,546     15,112,533     2,361,296           2,442      2,363,739
              連結累計期間
               第4四半期
                          24,257,620      -26,592      24,231,028    21,010,640         -9,030         -2,880     -11,910     20,998,729     3,246,979       -14,681        3,232,298
              連結累計期間
               第1四半期
   2019年3月期                5,567,793       -4,403       5,563,390     4,839,555         -4,847              0      -4,847      4,834,707      728,238             444         728,682
              連結累計期間
               第2四半期
                          14,535,821      -12,695      14,523,125    12,689,561        -10,928              0     -10,928     12,678,632     1,846,259        -1,767        1,844,492
              連結累計期間
               第3四半期
                          21,588,736      -26,327      21,562,409    18,803,417        -19,790              0     -19,790     18,783,626     2,785,319        -6,536        2,778,782
              連結累計期間
               第4四半期
                          29,304,457      -39,718      29,264,739    25,468,082        -22,386              0     -22,386     25,445,695     3,836,375       -17,332        3,819,043
              連結累計期間
               第1四半期
   2020年3月期                7,977,927      -34,585       7,943,342     6,829,224         -8,252              0      -8,252      6,820,971     1,148,703       -26,332        1,122,370
              連結累計期間
               第2四半期
                          18,443,192      -51,871      18,391,321    15,882,311        -13,730              0     -13,730     15,868,581     2,560,880       -38,140        2,522,739
              連結累計期間
               第3四半期
                          27,266,279     -122,446      27,143,833    23,615,561        -75,612              0     -75,612     23,539,949     3,650,717       -46,833        3,603,884
              連結累計期間
                 第4四半期
                                         -188,659                                      -88,550        -52,218    -140,768                                    -47,890
                連結累計期間
       2020年3月期までの合計                     -254,969                                     -119,966        -55,098    -175,065                                    -79,904
                 第1四半期
   2021年3月期                               -92,805                                      -26,336        -64,063     -90,400                                     -2,405
                連結累計期間
                第2四半期
                                         -127,661                                      -67,469        -64,063    -131,533                                        3,871
               連結累計期間
      2021年3月期までの合計                      -382,631                                     -187,436       -119,162    -306,598                                    -76,032