6521 M-オキサイド 2021-06-18 16:00:00
GaNエピタキシャル薄膜成長用単結晶基板「SAM」のサンプル出荷開始に関するお知らせ [pdf]

                                                           2021 年 6 月 18 日
各    位
                               会 社 名 株     式   会   社   オ   キ   サ   イ   ド
                               代 表 者 名 代表取締役社長(CEO)            古 川 保 典
                                      (コード番号:6521 東証マザーズ)
                               問 合 せ 先 取締役副社長(CFO)
                                                               山 本 正 幸
                                      管理本部長
                                                   (TEL. 0551-26-0022)


         GaN エピタキシャル薄膜成長用単結晶基板「SAM」のサンプル出荷開始に関するお知らせ


    株式会社オキサイド(以下、
                「オキサイド」といいます)は、半導体材料である GaN 薄膜単結晶の成長に
適した新材料単結晶基板「SAM」について、サンプル出荷を開始することを決定いたしました。


1. 新製品等の内容
     窒化ガリウム(GaN)薄膜単結晶i(以下、
                         「GaN」といいます)は、青色発光ダイオードとして普及し
 ていますが、最近では可視光レーザやパワーデバイスii用の半導体材料としても研究開発がすすみ、一
 部は実用化が始まっております。一般に GaN は、エピタキシャル成長法iiiにより製造されており、本成
 長のための単結晶基板材料として、サファイア単結晶基板(以下、
                              「サファイア」といいます)が多く
 用いられております。しかしながら、サファイアは GaN との格子定数ivおよび熱膨張率vのミスマッチが
 大きく、さらに、基板自体の転位密度viが高いことから、成長した GaN には格子欠陥が多く、可視光レ
 ーザやパワーデバイス用途では、歩留まり低下を引き起こすと共に、本来引き出せる性能(高出力化、
 高耐性化)まで到達することができておりません。
     今回サンプル出荷を開始する ScAlMgO4 単結晶vii基板(以下、
                                       「SAM」といいます)は、GaN の格子定数
 および熱膨張率のミスマッチがサファイアと比較して、それぞれ 1/10 以下、1/3O 以下と小さく、基板
 内の結晶転位密度も低い特長を有します。そのため、SAM 上に成長させた GaN は、サファイア上に成長
 させた GaN と比較して、高歩留まりで且つ転位等の格子欠陥が少なく完全性の高い膜を構成すること
 が原理的に可能となり、従来よりも高性能な GaN の実現が期待できます。


2. 新製品の販売又は新技術を利用する事業の開始時期
     本製品のサンプル出荷は、2021 年 6 月 30 日より開始します。


3. 新製品等の売上高への影響
     本製品のサンプル出荷が、今後 3 年間の業績に与える影響は軽微であります。
4. 新製品等の事業化のために特別に支出する額
       本製品のサンプル出荷を開始するにあたりに特別に支出する額は軽微であります。


5. 今後の見通し
       今後、GaN デバイス製造・開発メーカーに基板供給を図りながら、平行して基板材料の大口径化を進
      めることを予定しております。当社は、本製品のサンプル出荷を新たな受託開発への糸口と位置付けて
      おり、本製品のサンプル出荷開始により事業拡大の見通しが立った時点から、量産化へ向けての開発を
      加速させることを考えております。


(本製品に関するお問い合わせ先)
株式会社オキサイド コアテクノロジ事業部
E-mail: press@opt-oxide.com
                                                          以   上



【用語解説】
i
     窒化ガリウム(GaN)薄膜単結晶
       窒化ガリウム(GaN)単結晶は、Ⅲ属元素とⅤ属元素が 1:1 の割合で結合した化合物半導体の一種で、融
       点が高く、窒素の蒸気圧が高いため、シリコン(Si)のように融液から大型の単結晶を作製することが困
       難である。そのため、気相法によって薄膜状の単結晶が作製される。サファイア基板上に作製した GaN に
       よる高効率青色発光ダイオードの発明に対するノーベル賞は記憶に新しい。最近では、GaN 半導体は、光
       デバイスだけでなく、パワーデバイスや高周波デバイスとしても着目されており、そのために高品質な
       GaN 単結晶が必要とされている。

ii
      パワーデバイス
       交流から直流/直流から交流への変換、交流周波数の変換、直流電圧の変換、電気の開閉など電力を制御
       する能力を持つ半導体デバイス。 やメモリーに使う半導体デバイスに比べて、
                      CPU                   大きな電力を扱うため、
       パワーデバイスと呼ばれる。

iii
      エピタキシャル成長法
       基板結晶の上に基板結晶と一定の方位関係の結晶を成長させる方法。  基板結晶と成長結晶が同じ場合をホ
       モエピタキシャル、サファイアの上に GaN を成長させるように異なる結晶の場合をヘテロエピタキシャ
       ルと呼ぶ。ヘテロエピタキシャル成長では、基板結晶と成長結晶の格子定数の差が小さければ、良質な成
       長結晶を得やすい。

iv
      格子定数
       結晶は、原子が規則的に並んだ繰り返し構造を持っている。繰り返しの最小単位を格子定数と呼び、無機
       物の結晶では、縦横高さの三つ格子定数があり、その寸法は、GaN やサファイアでは、約 1mm の 100 万分
       の一の極めて小さな長さとなる。

v
     熱膨張率
       ほとんどの物質は、温度が高くなると僅かに寸法が伸びて大きくなる。その膨張量は、物質ごとに異なる
       固有値があり、単位温度あたりの伸びを熱膨張率と呼ぶ。 のエピタキシャル成長は、
                                     GaN         数百℃から 1000℃
       の高温で行われる。そのため、基板結晶と GaN の熱膨張率の差が大きい場合、成長結晶を室温に冷却する
       際に基板結晶と GaN の間に強い歪が生じ、GaN の品質低下を引き起こす。

vi
      転位密度
       完全な結晶では結晶格子が規則正しく並ぶが、現実の結晶では結晶格子にズレが生じる場合がしばしば起
       こる。ズレた部分が、転位と呼ばれる線状の欠陥となる。シリコンでは無転位単結晶が実現しているが、
       GaN では無転位結晶は得られていない。転位は、デバイスの性能を損なうことがあるため、転位の少ない
       結晶を作製する努力が続けられている。転位の多寡は、単結晶のある面に現れる転位の数で比較可能であ
       り、1cm2 当たりの個数を転位密度と呼び、結晶の品質を示す指標として使われる。

vii
      ScAlMgO4 単結晶
       スカンジウム(Sc)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)の三種類の金属元素を 1:1:1 の等しい割合
       で含む酸化物の単結晶。当初は、Ⅱ-Ⅵ属半導体用の基板として検討された。シリコンやサファイアと同
       じように融液から単結晶が作製可能だが、   組成が複雑なために大型単結晶育成には高度な技術が必要とさ
       れ、今まで普及しなかった。