6501 日立 2021-03-31 15:00:00
日立がデジタルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニー米国GlobalLogic社を買収 [pdf]

                                                            2021 年 3 月 31 日
                                                          株式会社日立製作所
                                                  執行役社長兼 CEO 東原 敏昭
                                                            (コード番号:6501)
                                                           (上場取引所:東・名)


       日立がデジタルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニー
                米国 GlobalLogic 社を買収
     GlobalLogic 社の先進的なデジタルエンジニアリングサービスと Lumada の連携により、
            社会インフラのデジタルトランスフォーメーションを世界規模で加速


 株式会社日立製作所(執行役社長兼 CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、本日(日本時間)、デジタ
ルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニーである米国 GlobalLogic Inc.(社長兼 CEO:
Shashank Samant( シャ シ ャ ンク ・ サマ ン ト ) / 本社 : 米 国カ リフ ォ ルニア州 サ ン ノゼ /以 下 、
GlobalLogic 社)の買収(以下、本買収)を決定しました。買収は、米国子会社 Hitachi Global
Digital Holdings Corporation( 以 下 、HGDH 社 ) お よび そ の子 会 社で あ る SPC な ら び に
GlobalLogic 社の親会社である GlobalLogic Worldwide Holdings, Inc.(以下、GlobalLogic
Worldwide Holdings 社)間の最終契約に基づき、規制当局の承認等を前提として 2021 年 7 月末
までに完了する予定です。


 日立は、本買収を通じて、GlobalLogic 社の先進的なデジタルエンジニアリングのケイパビリティと
大手テック企業をはじめとする強固な顧客基盤を獲得し、日立のデジタルインフラ/データマネジメ
ント/デジタルソリューション事業を担う米国子会社である Hitachi Vantara LLC(以下、日立ヴァン
タラ社)がグローバル展開をリードする「Lumada」*1 のデジタルポートフォリオを強化します。
 これにより、日立の IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの 5 セクターならびにオート
モティブシステム事業(日立 Astemo)とのシナジーを創出し、鉄道、エネルギー、ヘルスケアなどの
先進的な社会インフラのデジタルトランスフォーメーションを世界規模で加速します。そして、日立は
顧客協創による社会イノベーション事業を通じて、お客さまの社会価値・環境価値・経済価値を向上
させ、持続可能な社会の実現をめざしていきます。
*1 お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューショ
   ン/サービス/テクノロジーの総称。


 米国・シリコンバレーに本社を置く GlobalLogic 社は、急成長を続けるデジタルエンジニアリング
サービス市場のリーディングカンパニーです。世界 14 か国に約 2 万人以上の従業員を擁し、世界
各地にデザインスタジオやソフトウェアエンジニアリングセンターを展開しています。
 GlobalLogic 社は、Chip-to-Cloud(チップからクラウドまで)に対応する高度なソフトウェアエンジ
ニアリング技術に加えて、エクスペリエンスデザイン力や多様な業界に関する専門知識を有していま
す。これらを融合することで、お客さまのプロダクトやプラットフォーム、そしてデジタルエクスペリエン




                                     1
スを強化する革新的なソフトウェアを設計・開発し、お客さまによる最新のデジタルテクノロジーを活
用した新しい収益源の創出、エンドユーザーの価値向上に貢献しています。
  また、通信、金融サービス、自動車、ヘルスケア・ライフサイエンス、テクノロジー、メディア・エンタ
ーテイメント、製造などの各主要産業におけるマーケットリーダーやブランド企業をはじめとして、400
社を超える強固な顧客基盤を有しています。


  世界ではデジタルトランスフォーメーションへの投資が加速度的に拡大しており、調査会社の IDC
によれば、2022 年には世界の GDP の 65%がデジタル技術で変革した企業が提供する製品・サー
ビスからもたらされると予想されています*2。
  また、プロダクトエンジニアリングとデジタルトランスフォーメーションを専門とする調査・アドバイザリ
ー会社の Zinnov 社によると、デジタルエンジニアリングの関連市場は 2025 年までに 1 兆 1,000 億
ドルに成長し、CAGR は 19%に達すると予測されています*3。
*2 出典:IDC Press Release, October 29, 2020: IDC Reveals 2021 Worldwide Digital Transformation Predictions; 65% of
   Global GDP Digitalized by 2022, Driving Over $6.8 Trillion of Direct DX Investments from 2020 to 2023
    https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS46967420
*3 出典:Zinnov Zones for Engineering & R&D Services Research (slide 3)
   https://zinnov.com/zinnov-zones-engineering-rd-services-2019/
   これらの数値には、COVID-19 の影響は含まれていません。


  デジタルトランスフォーメーションは、あらゆる組織にとって優先事項となっています。新型コロナウ
イルス感染症拡大の影響もあり、新しいデータドリブン型のビジネスモデル、カスタマーエクスペリエ
ンス、コネクテッド・エコシステムに対する需要は益々高まっています。しかし、多くの組織では、新し
いデジタルプラットフォームを設計・導入するための知識や経験が不足しています。また、デジタルネ
イティブな製品を構築し、新たなデジタルショッピングや新たな医療サービスモデルのような新しいイ
ンタラクションモデルやデジタルエクスペリエンスを設計するためのスキル不足にも直面しています。
このような背景から、GlobalLogic 社が提供するサービスに対する需要は急速に拡大しており、今回
の買収を通じてさらに事業機会が広がっていくことが期待されます。


  これまで、日立は社会イノベーション事業のグローバルリーダーをめざし、鉄道やエネルギーなど
の社会インフラを、デジタル技術を活用して、より高度かつインテリジェントに変革、提供する取り組
みを推進してきました。現在、「2021 中期経営計画」においては、IT セクターとして 1 兆円規模の成
長投資を実施する戦略*4 のもと、日立ヴァンタラ社を中心にデジタル製品、ソリューション、パートナ
ーシップ、フロント・デリバリー力など、デジタル分野に関するケイパビリティを強化しています。今後
GlobalLogic 社は、こうした日立の Lumada ソリューション・サービスのポートフォリオ成長のエンジ
ンとして、不可欠な役割を担っていきます。
*4 日立製作所「Hitachi IR Day 2019:IT セクター」
   https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2019/06/0604/20190604_01_it_presentation_ja.pdf


  日立の執行役社長兼 CEO である東原 敏昭は以下のように述べています。「今回の GlobalLogic
社の買収は、日立が Lumada のソリューション・サービス展開を拡大し、お客さまにデジタルトランス
フォーメーションによる価値を提供し、Lumada 事業をグローバルに成長させるための、エキサイティ


                                                          2
ングかつ新しい機会を生み出すものです。GlobalLogic 社とのシナジーにより、GlobalLogic 社のト
ップクラスのエクスペリエンスデザイン、イノベーション技術と日立の IT×OT×プロダクトに関するノ
ウハウを融合させ、世界の社会インフラのデジタルトランスフォーメーションをリードするイノベーター
への飛躍をめざします。日立は、お客さまの社会価値・環境価値・経済価値の 3 つの価値を向上さ
せ、人々の QoL の向上を図ることで、持続可能な社会の実現への貢献をめざします。」


 GlobalLogic 社の社長兼 CEO シャシャンク・サマントは以下のように述べています。「現在、あら
ゆる業界において、顧客との関わりを深め、収益を拡大し、そして人々の QoL を向上させるため、企
業はデジタルテクノロジーによる変革を迎えています。今回、日立とともに新たな歩みを進める機会
が与えられたことを、とても喜ばしく感じています。私たちは、お互いが培ってきた経験やテクノロジー、
そして市場における存在感を融合させ、お客さまのビジネスの変革により大きな価値を提供し、貢献
していきます。」


 GlobalLogic 社は、2021 年度に売上収益約 12 億米ドル(約 1,296 億円*5)、調整後 EBITDA*6
率 20%超を見込んでいます。高い収益プロファイルと強力な CAGR により、2028 年度には調整後
EBITDA 10 億米ドル(約 1,080 億円)超の達成をめざします。
 今 回 、 HGDH 社 と GlobalLogic Worldwide Holdings 社 は 、 GlobalLogic Worldwide
Holdings 社の株式価値について約 85 億米ドル(約 9,180 億円)、企業価値について約 95 億米ド
ル(約 10,260 億円)で合意しました。企業価値に対する調整後 EBITDA の倍率(EV/EBITDA マ
ルチプル)は、2021 年予想調整後 EBITDA の約 37.4 倍、2022 年予想調整後 EBITDA の約
29.4 倍に相当します(いずれも暦年)。これは、類似企業比較法や DCF 法による日立の算定結果の
レンジに含まれています。また、GlobalLogic 社の有利子負債の返済を含む買収総額は、96 億米ド
ル(約 10,368 億円)を見込んでいます。
*5 1 米ドル=108 円として換算。
*6 株式に基づく報酬および非経常的な一時費用を調整した、シナジーを含まないスタンドアローンベースの EBITDA。


 日立は HGDH 社が本買収のために設立した子会社である MergeCo H Global Inc.(以下、SPC
社)の合併を通じて、GlobalLogic Worldwide Holdings 社を買収します。スキームとしては「逆三角
合併方式」を採用します。具体的には、 SPC 社が存続会社である GlobalLogic Worldwide
Holdings 社に吸収合併されます。当該合併に際し、HGDH 社または SPC 社は GlobalLogic
Worldwide Holdings 社の株主に現金を支払い、GlobalLogic Worldwide Holdings 社の発行済
株式は全て消却されます。また、HGDH 社が所有する全ての SPC 社の株式は、存続会社である
GlobalLogic Worldwide Holdings 社の普通株式に転換されます。これにより、HGDH 社は存続
会社である GlobalLogic Worldwide Holdings 社の発行済株式の 100%を取得し、GlobalLogic
Worldwide Holdings 社および GlobalLogic 社は HGDH 社の完全子会社となる予定です。


 本買収のクロージングは、規制当局の承認等を前提として、2021 年 7 月末までに行われることを
予定しています。




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  なお、本買収に関して、日立は、ファイナンシャル面において、アドバイザーとして Credit Suisse
Securities (USA) LLC、法務面において、アドバイザーとして Shearman & Sterling LLP から支
援を受けています。GlobalLogic 社もファイナンシャル面において、アドバイザーとして Goldman
Sachs & Co. LLC と J.P. Morgan Securities LLC、法務面において、アドバイザーとして
Kirkland & Ellis LLP から支援を受けています。


■異動する子会社(存続会社:GlobalLogic Worldwide Holdings 社)の概要
 名称                       GlobalLogic Worldwide Holdings, Inc.

 本社所在地                    米国 カリフォルニア州 サンノゼ

 代表者の役職・氏名                社長兼 CEO シャシャンク・サマント
                          フルライフサイクルの製品開発サービス、ユーザーエクスペリエンスの設計、プロ
                          ダクトの設計、コンテンツエンジニアリング、プロダクトの研究、サステイニング・エ
 事業内容
                          ンジニアリング、プロダクトエンジニアリング、プロダクトのテストと品質保証、およ
                          びプロダクトのリプラットフォーム化
 設立年月日                    2000 年 9 月 22 日

 資本金                      1,557,448 千米ドル
                          Canada Pension Plan Investment Board: 約 45%
                          Partners Group Holding AG: 約 45%
 大株主及び持株比率
                          その他個人(GlobalLogic Worldwide Holdings 社経営陣等): 約 10%
                          ※オプションを含めた経済的持分の比率を記載しています。
                          資本関係                         記載すべき事項はありません

 日立と当該会社との間の関係            人的関係                         記載すべき事項はありません

                          取引関係                         記載すべき事項はありません



■GlobalLogic Worldwide Holdings 社の最近 2 年間の経営成績*7                                 (百万米ドル)
          決算期                     2020 年 3 月期               2019 年 3 月期

 総資産                                         2,558.3                 2,445.8

 売上高                                           771.1                  646.6

 調整後 EBITDA*8                                  179.5                  145.6

 調整後営業利益*8                                      63.4                      31.1
*7 2018 年 8 月に GlobalLogic Holdings Limited を買収し、現在の事業形態となったため、2019 年 3 月期以降の数値を記載してい
   ます。
*8 株式に基づく報酬および非経常的な一時費用を調整したもの




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■株式取得会社(HGDH 社)の概要
名称                         Hitachi Global Digital Holdings Corporation

本社所在地                      米国 カリフォルニア州 サンタクララ

代表者の役職・氏名                  取締役会長兼 CEO 德永 俊昭

事業内容                       持株会社

設立年月日                      2008 年 4 月 1 日

資本金                        1,442,641 千米ドル

大株主及び持株比率                  日立製作所: 100%


■日程
取締役会決議日                    2021 年 3 月 31 日

契約締結日                      2021 年 3 月 31 日

本買収実行日                     2021 年 7 月末までに実行予定



■取得株式数、取得前後の所有株式の状況および取得金額
異動前の所有株式数                  0株

取得株式数                      100 株

                           約 85 億米ドル(約 9,180 億円)*9
株式取得金額
                           ※別途アドバイザリー費用等で、約 0.5 億米ドル(概算額、約 54 億円)を予定

異動後の所有株式数                  100 株

議決権所有割合                    100%

*9 1 米ドル=108 円として換算。


■今後の業績に与える影響
 2022年3月期の日立の連結決算における本買収の影響については、確定し次第速やかにお伝え
します。


(参考)2021 年 3 月期連結業績予想(2021 年 2 月 3 日公表)および前期連結実績 (単位:百万円)
                                    調整後             継続事業税引前                         親会社株主に帰属
                   売上収益                                                  当期利益
                                   営業利益*10            当期利益                           する当期利益

当期連結業績予想
                       8,300,000         420,000              671,000     370,000       370,000
(2021年3月期)
前期連結実績
                       8,767,263         661,883              180,268     127,246        87,596
(2020年3月期)
*10 調整後営業利益は、売上収益から、売上原価ならびに販売費および一般管理費の額を減算して算出した指標。




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<将来の見通しに関するリスク情報>
 本資料における当社の今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述は、当社が現時点で合理的で
あると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえます。
 その要因のうち、主なものは以下の通りです。

  ・COVID-19の流行による社会的・経済的影響の悪化
  ・主要市場における経済状況及び需要の急激な変動
  ・為替相場変動
  ・資金調達環境
  ・株式相場変動
  ・原材料・部品の不足及び価格の変動
  ・長期請負契約等における見積り、コストの変動及び契約の解除
  ・価格競争の激化
  ・人材の確保
  ・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社及び子会社の能力
  ・製品等の需給の変動
  ・製品等の需給、為替相場及び原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社及び子会社の能力
  ・信用供与を行った取引先の財政状態
  ・社会イノベーション事業強化に係る戦略
  ・企業買収、事業の合弁及び戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生
  ・事業再構築のための施策の実施
  ・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国及び欧州)における政治・社会状況及び貿易規制等各種規制
  ・持分法適用会社への投資に係る損失
  ・コスト構造改革施策の実施
  ・地震・津波等の自然災害、気候変動、感染症の流行及びテロ・紛争等による政治的・社会的混乱
  ・当社、子会社又は持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続
  ・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等
  ・情報システムへの依存及び機密情報の管理
  ・自社の知的財産の保護及び他社の知的財産の利用の確保
  ・退職給付に係る負債の算定における見積り


■お問い合わせ先
【報道関係】
株式会社日立製作所 ブランド・コミュニケーション本部 広報部 [担当:高瀬、羅]
〒100-8280 東京都千代田区丸の内一丁目 6 番 6 号
電話:03-5208-9324 (直通)


【IR 関係】
株式会社日立製作所 インベスター・リレーションズ
〒100-8280 東京都千代田区丸の内一丁目 6 番 6 号
電話:03-5208-9323 (直通)
                                                以 上




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