6501 日立 2020-07-01 18:15:00
日立がABB社のパワーグリッド事業の買収を完了し、日立ABBパワーグリッド社として営業開始 [pdf]

                                                   2020 年 7 月 1 日
                                                株式会社日立製作所
                                            執行役社長兼 CEO 東原 敏昭
                                                 (コード番号:6501)
                                                (上場取引所:東・名)

                                           Hitachi ABB Power Grids Ltd
                                           CEO クラウディオ・ファキン

           日立が ABB 社のパワーグリッド事業の買収を完了し、
             日立 ABB パワーグリッド社として営業開始
          グローバルトップレベルのパワーグリッド事業とデジタル技術を融合した
         革新的なエネルギーソリューションにより、持続可能な社会の実現に貢献

 株式会社日立製作所(執行役社長兼 CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、2018 年 12 月 17 日に
締結した ABB Ltd(以下、ABB 社)とのパワーグリッド事業の買収契約*1 に基づき、本日、ABB 社か
ら分社されたパワーグリッド事業会社への 80.1%の出資手続きを完了しました。新会社は、「Hitachi
ABB Power Grids Ltd(CEO:Claudio Facchin(クラウディオ・ファキン)/本社:スイス連邦チューリ
ッヒ/以下、日立 ABB パワーグリッド社)」として発足し、本日から営業を開始します。日立でエネル
ギーセクターを担当する執行役副社長の西野 壽一が同社の会長を兼務し、2016 年から同事業をリ
ードしてきたファキン CEO とともに、日立の社会イノベーション事業の中核としてエネルギーソリュー
ション事業をグローバルに強化・拡大していきます。
 日立と日立 ABB パワーグリッド社は、グローバルトップレベルのパワーグリッド事業と、Lumada*2 を
はじめとする日立のデジタル技術を組み合わせることで、革新的なエネルギーソリューションをグローバ
ルに提供するとともに、エネルギーだけでなくモビリティ、ライフ、インダストリー、IT の各セクターにも事
業を拡大していきます。日立と ABB の 1 世紀以上にわたる歴史に基づいた、先進的なエンジニアリン
グ技術によって、お客さまの事業の効率性や柔軟性を高めるとともに、新たなビジネスモデルの構築や
社会価値、環境価値、経済価値の向上を支援することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 エネルギー転換に向けて世界の電力市場はかつてない変革期を迎えており、デジタル技術を活
用したイノベーションが短期的にも長期的にも求められています。再生可能エネルギーはエネルギ
ーミックスに占める割合を大幅に増加させてきており、世界各国の野心的な脱炭素化目標を達成す
る上での重要性が高まっています。再生可能エネルギーはその性質上断続的(不安定)なため、複
雑な運用が必要となります。多くの国で再生可能エネルギーの導入を推進してきましたが、発電量の
事前予測が難しく、より臨機応変にエネルギーシステムを管理する必要があるため、柔軟で安定した
運用の確立が求められています。また、電力市場において再生可能エネルギーを普及させるには、
さらに多くの系統連系が必要となります。
 また、分散電源の急増や、生産消費者(プロシューマー)の出現をはじめとしたエネルギー消費パター
ンの変化など、エネルギー情勢は変化しており、電気自動車の増加やデータセンターの拡大によって電
力需要が増加するとともに、デジタル化による新しいビジネスモデルの確立も求められています。
 2020 年のパワーグリッドの市場規模は約 1,000 億米ドルであり、その中でも予兆保守や分散電
源、資産最適化などのデジタル化に関する市場は、高い成長が見込まれています*3。




                                1
  さまざまなエネルギーの中でも電気は最も需要が増加しており、これに対応しつつ環境負荷を抑
えることが、持続可能なエネルギーの未来に向けた課題となっています。日立 ABB パワーグリッド社
は先進的な技術革新の実績と、約 90 カ国にまたがる製造・サービス・販売・研究開発のネットワーク
に支えられた顧客基盤を有しており、マーケットおよびテクノロジーのリーダーとして独自のポジショ
ンを確立しています。同社は、グローバルトップのグリッドソリューションと日立の先進的なデジタル技
術を融合させることで、顧客やパートナーと共に、“Powering Good for Sustainable Energy”をめ
ざして革新的なエネルギーソリューションを協創し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
  新会社の約 36,000 人の従業員は、今後も「より強じん、よりスマート、よりクリーンなグリッド」
(Stronger, Smarter, Greener Grid)を実現するため、お客さまから選ばれるパートナーをめざして
いきます。また、顧客重視のマインドセットとグローバルクラスの約 2,000 人の研究開発部門によって、
顧客サービスやノウハウ、技術、イノベーション、グローバルトップの導入実績を活用して差別化を図
っていきます。

 また、日立 ABB パワーグリッド社は、日立のデジタルソリューションのポートフォリオを活用することで、
各セクターで事業を拡大することができます。エネルギー、モビリティ、インダストリーセクターに加え、ラ
イフセクターではスマートシティやエネルギー貯蔵など、IT セクターではデータセンター管理などに貢
献することで、社会イノベーション事業を拡大します。日立は、日立 ABB パワーグリッド社のエネルギ
ーソリューションを含めて Lumada 事業をさらに強化し、先進的なデジタルソリューションを日立
グループのすべてのお客さまに展開していくことで、     持続可能な社会づくりに貢献していきます。

■株式会社日立製作所 執行役社長兼 CEO 東原 敏昭のコメント
 「COVID-19 がさまざまな活動を停滞させる中で、計画どおり新会社を発足できたことを嬉しく思
います。今回の M&A を通じて、日立を真のグローバル企業に飛躍させる素晴らしいアセットを獲得
できました。
 1 つ目のアセットは、グローバルな社会イノベーション事業を加速する基盤です。新会社の世界
No.1 のパワーグリッド事業と日立の Lumada を組み合わせてエネルギープラットフォームを作り、さ
らに新会社のグローバルな事業基盤を活用して、さまざまな産業分野で社会イノベーション事業を拡
大していきます。
 2 つ目のアセットは、日立のグローバル経営を加速する基盤です。新会社は、ダイバーシティに富
んだタレント集団であり、また先進的なグローバルオペレーションを実行しています。日立は新会社と
の融合を進めることにより、人財やさまざまなオペレーションでも、真のグローバル企業への変革を加
速していきます。
 再生可能エネルギーの導入をはじめ、脱炭素社会の構築は SDGs の中でも喫緊の大きな課題で
す。日立と新会社は一体となって、この課題に挑戦し、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。」

■日立 ABB パワーグリッド社 CEO クラウディオ・ファキンのコメント
 「日立と ABB 社のパワーグリッド事業は、100 年以上にわたる豊富な技術とイノベーションの歴史
を持っています。日立 ABB パワーグリッド社は、グローバルトップクラスのエネルギーソリューションと
日立のオープンなデジタルプラットフォームを組み合わせることで、事業機会を拡大し、新たなカスタ
マーバリューをグローバルに提供することが可能となります。
 私たちは、より強じん、よりスマート、よりクリーンなパワーグリッドを実現するために選ばれるパート
ナーとして、電力供給の安全性、信頼性、効率性を促進することで、持続可能なエネルギーの未来
に貢献していきます。」

                               2
 なお、日立 ABB パワーグリッド社の 80.1%分の株式取得金額は、68.5 億米ドル(約 7,400 億円)*4
となりました。日立は、2023 年以降に残りの 19.9%の株式を取得し、同社を完全子会社とする予定
です。
 また、以下、2018 年 12 月 17 日付のニュースリリースで未定としていた事項および記載の一部を
変更した箇所には、下線を付しています。
*1 2018 年 12 月 17 日付ニュースリリース「日立が ABB 社のパワーグリッド事業を買収し、エネルギーソリューション事業を強化」
   http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/12/1217.html
*2 お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューショ
   ン・サービス・テクノロジーの総称。
*3 当社調べ。
*4 同社事業価値の 110 億米ドルから負債などを減じた上で、出資比率 80.1%を乗じた金額。1 米ドル=108 円にて計算。


■日立 ABB パワーグリッド社(買収したパワーグリッド事業会社)の概要(2020 年 7 月 1 日時点)
                     Hitachi ABB Power Grids AG (英文社名:Hitachi ABB Power Grids Ltd)
名                称   (日立 ABB パワーグリッド社)
                     (2020 年 7 月 1 日に、会社名称を「ABB Management Holding AG」から変更)

所        在       地   スイス連邦 チューリッヒ

代 表 者 の役 職 ・氏 名      CEO クラウディオ・ファキン

事    業       内   容   パワーグリッド製品、システム、ソフトウェア、サービスソリューション等の設計、製造、販売

製   造    拠   点   数   (連結) 約 100 カ所*5

営   業    拠   点   数   (連結) 約 200 カ所*5

総   従    業   員   数   (連結) 約 36,000 人*5

資        本       金   1.32 百万米ドル

                     2018 年 9 月 20 日(ABB Management Holding AG として設立。2020 年 7 月 1 日付で商号変
設   立    年   月   日
                     更し、Hitachi ABB Power Grids Ltd として営業開始)

大株主及び持ち株比率           日立:80.1%          ABB 社:19.9% (出資手続き完了前 日立:0.0%           ABB 社:100.0%)

日 立 と当 該 会 社         資    本        関    係    記載すべき事項はありません

と の 間    の 関     係   人    的        関    係    記載すべき事項はありません
(出 資 手 続 き完 了 前 )    取    引        関    係    記載すべき事項はありません
*5 2021 年前半までに ABB 社からの分社化、および日立 ABB パワーグリッド社への移管を予定している一部法人を含む。


■日立 ABB パワーグリッド社取締役
  取締役会長          西野 壽一
  取締役            小田 篤
  取締役            大槻 隆一
  取締役            Duncan Hawthorne
  取締役            Manuel Valverde
  取締役            Timo Ihamuotila
  取締役副会長         Frank Duggan




                                                 3
■ABB 社パワーグリッド事業の最近の経営成績*6                                                                     (百万米ドル)
  決            算           期        2017 年 12 月期               2018 年 12 月期*7            2019 年 12 月期*7

  総            資           産                       8,387                        -                         -
  売            上           高                    10,028                          -                         -
 営     業           利       益                        875                         -                         -
 Operational EBITA                                 1,027                        -                         -
*6 本数値は、ABB 社より提供されたもの。
*7 ABB 社パワーグリッド事業は、2018 年 12 月期から非継続事業の一部として区分されており、同事業単独の業績は開示されていない。
   ABB 社が開示している、パワーグリッド事業を含む非継続事業の業績は以下の通り(単位:百万米ドル)。
   2018 年 12 月期 売上高:9,698 営業利益:994
   2019 年 12 月期 売上高:9,037 営業利益:660


■ABB 社の概要(2019 年 12 月 31 日時点)
  名                        称     ABB Ltd
  本    社       所       在   地     スイス連邦 チューリッヒ
  代 表 者 の役 職 ・氏 名                CEO Björn Rosengren (ビョルン・ローゼングレン) (2020 年 3 月 1 日就任)

                                 エレクトリフィケーション、インダストリアル・オートメーション、モーション、
  事        業       内       容
                                 ロボティクス&ディスクリート・オートメーション

  設    立       年       月   日     1988 年 1 月 5 日(創業 1883 年)
  資            本           金     188 百万米ドル
  連    結       純       資   産     140 億米ドル
  連    結       総       資   産     461 億米ドル
  大 株 主 及 び持 株 比 率               Investor AB:11.8%、Cevian Capital:5.3%、BlackRock:3.4%、Artisan Partners:3.0%
                                     資     本   関     係         記載すべき事項はありません

  日 立 と 当 該 会 社                      人     的   関     係         記載すべき事項はありません
  と    の   間       の   関   係         取     引   関     係         ソフトウェア等において購買関係があります
                                 関連当事者への該当状況                   記載すべき事項はありません


■日程
   契   約       締       結   日       2018 年 12 月 17 日

   株 式 取 得 実 行 日                   2020 年 7 月 1 日



■取得株式数、取得前後の所有株式の状況および取得金額
  異 動 前 の所 有 株 式 数                 0株

  取    得       株       式   数       1,001,250 株(80.1%)

                                   株式買取価額                       約 7,400 億円
  取        得       金       額*8     アドバイザリー費用等                   約 100 億円
                                   合計                           約 7,500 億円

  異 動 後 の所 有 株 式 数                 1,001,250 株(80.1%)
*8 株式買取価額は、クロージング後に ABB 社との価格調整を実施し確定する。また、アドバイザリー費用等は現時点での見通し。




                                                           4
■今後の業績に与える影響
 2021 年 3 月期の日立の連結決算における本買収の影響については、確定し次第速やかにお伝
えします。

(参考)2021 年 3 月期連結業績予想(2020 年 5 月 29 日公表)および前期連結実績 (単位:百万円)
                            調整後        継続事業税引前                  親会社株主に帰属
              売上収益                                   当期利益
                           営業利益*9        当期利益                    する当期利益

当期連結業績予想
               7,080,000     372,000       600,000    351,000       335,000
(2021年3月期)
前期連結実績
               8,767,263     661,883       180,268    127,246        87,596
(2020年3月期)
*9 調整後営業利益は、売上収益から、売上原価ならびに販売費および一般管理費の額を減算して算出した指標。


<将来の見通しに関するリスク情報>
 本資料における当社の今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述は、当社が現時点で合理的で
あると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえます。
その要因のうち、主なものは以下の通りです。

 ・主要市場(特に日本、アジア、米国および欧州)における経済状況および需要の急激な変動
 ・為替相場変動
 ・資金調達環境
 ・株式相場変動
 ・原材料・部品の不足および価格の変動
 ・長期契約におけるコストの変動および契約の解除
 ・信用供与を行った取引先の財政状態
 ・製品需給の変動
 ・製品需給、為替相場および原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社および子会社の能力
 ・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社および子会社の能力
 ・人材の確保
 ・価格競争の激化
 ・社会イノベーション事業強化に係る戦略
 ・企業買収、事業の合弁および戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生
 ・事業再構築のための施策の実施
 ・持分法適用会社への投資に係る損失
 ・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国および欧州)における社会状況および貿易規制等各種規制
 ・コスト構造改革施策の実施
 ・自社の知的財産の保護および他社の知的財産の利用の確保
 ・当社、子会社または持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続
 ・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等
 ・地震・津波等の自然災害、感染症の流行およびテロ・紛争等による政治的・社会的混乱
 ・情報システムへの依存および機密情報の管理
 ・退職給付に係る負債の算定における見積り




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■日立製作所について
 日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み
合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2019 年度の連結売上収益は 8 兆 7,672 億
円、2020 年 3 月末時点の連結従業員数は約 301,000 人でした。日立は、モビリティ、ライフ、イン
ダストリー、エネルギー、IT の 5 分野で Lumada を活用したデジタルソリューションを提供すること
により、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の 3 つの価値向上に貢献します。
 詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

■日立 ABB パワーグリッド社について
 日立 ABB パワーグリッド社は、日立と ABB 社で合わせて約 250 年の歴史を持つグローバルテク
ノロジーリーダーであり、90 カ国で約 36,000 人の従業員を擁しています。スイスに本社を置き、電
力、インダストリー、インフラ産業のバリューチェーンに加えて、モビリティ、スマートシティ、蓄電やデ
ータセンターなどの新分野でも事業を展開しています。日立 ABB パワーグリッド社は、グローバルト
ップの導入実績やフットプリントを生かし、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値のバランスを向
上させます。また、より強じん、よりスマート、よりクリーンなグリッドを実現するためのパートナーとして、
革新的なデジタル技術により“Powering Good for Sustainable Energy”を実現していきます。
 詳しくは、ウェブサイト(https://www.hitachiabb-powergrids.com/jp/ja/)をご覧ください。

■お問い合わせ先
[報道関係]
株式会社日立製作所 ブランド・コミュニケーション本部 広報部
03-5208-9324 (直通)
[IR 関係]
株式会社日立製作所 インベスター・リレーションズ
03-5208-9323 (直通)
                                                                 以 上




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