6408 J-小倉クラッチ 2021-01-14 15:00:00
在外子会社における棚卸資産の過大計上及び横領に関する再発防止策の策定等に関するお知らせ [pdf]
2021 年 1 月 14 日
各 位
会 社 名 小倉クラッチ株式会社
代表者名 代表取締役社長 小倉 康宏
(コード番号:6408)
問合せ先 執行役員経営管理本部長 関根 秀利
(TEL.0277-54-7101)
在外子会社における棚卸資産の過大計上及び横領に関する
再発防止策の策定等に関するお知らせ
当社は、2020 年 12 月 16 日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」にてお
知らせしましたとおり、特別調査委員会より、当社の在外子会社 2 社(小倉離合機(東莞)有限
公司(以下「OCD」といいます。、小倉離合機(長興)有限公司(以下「OCC」といいま
)
す。)における棚卸資産の過大計上、及び上記とは別の在外子会社(Ogura Industrial
)
Corporation(以下「OIC」といいます。)における元従業員による横領に関する調査報告書を
)
受領いたしました。
当社は、調査報告書において指摘された原因分析及び再発防止策の提言を真摯に受け止め、具
体的な再発防止策を検討してまいりました。本日開催の取締役会において再発防止策等について
決議しましたので、下記のとおりお知らせいたします。
株主及び投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛けしており
ますことを深くお詫び申し上げます。
記
1.OCD における棚卸資産の過大計上について
(1)発生原因の分析
①会計システム(金蝶 ERP システム)に対する理解不足
ア OCD では、2014 年 6 月の金蝶 ERP システムの導入以降、BOM1を変更する前に
必ず旧 BOM に係る製造命令書の 5001 製造原価(仕掛品)2の残高をゼロにした上
で当該製造命令書をクローズ処理すること及び不良関係の処理漏れや材料等の払出
伝票の処理漏れを正しくシステムに反映する作業が必要であったにもかかわらず、
これを失念したため、5001 製造原価(仕掛品)が帳簿上積み上がってしまうという
1 Bills of Materials の略称。製品の製造に必要な原材料・部品の構成や必要数量を記載した表
で、設計図に基づいて作成されます。
2 中国企業会計準則の「会計科目及び主要な帳簿処理」に規定され、金蝶 ERP システム及び用
友システムにおいても用いられている勘定科目。
-1-
事象が生じ、その残高が増え続けてしまいました。
イ 5001 製造原価(仕掛品)の残高が逓増することで異常を検知する機会はあったも
のの、OCD のローカル従業員及び OCJ3からの出向者のシステムに対する正確な知
識や運用上の注意点に関する理解が不足していたため、異常の原因を解明すること
ができませんでした。
②実地棚卸の重要性についての理解不足
OCD において、定期的な棚卸自体は実施されていたものの、実地棚卸の重要性につい
ての理解が不足していたことから、その網羅性が欠けていたり、棚卸差異が帳簿に反映
されていなかったりしたという事情がありました。また、金蝶 ERP システムの導入後
は、同システムにおける在庫モジュール上から出力したデータを基に実地棚卸が行われ
るようになったため、同モジュール上に含まれない棚卸資産「5001 製造原価(仕掛品)」
が実地棚卸の対象から外れてしまい、棚卸資産の実在性の確認という初歩的なことが行
われていませんでした。
(2)再発防止策の概要
①金蝶 ERP システムについての正確な理解
ア 金蝶 ERP システムの運用及び現地の会計制度に詳しい人材を新規に採用すべく、
求人活動を進めております。採用までの間はローカル幹部従業員を責任担当者とし
て選任し、責任の所在を明確にします。
イ OCD において金蝶 ERP システムの運用支援を受けているコンサルティング会社
との連携を強め、責任担当者は棚卸管理システムについて教育を受け理解を深めま
す。
ウ BOM を変更する場合には、変更時に金蝶 ERP システムから警告メッセージを表
示させ、作業者のヒューマンエラーを防ぎ、正確な入力処理を促します。
エ システムの運用状況や棚卸資産の数値の妥当性等について、社外の専門機関とア
ドバイザリー契約を締結し、定期的な検証を受けます。
②実地棚卸の精度向上
ア 今回、問題を生じさせた勘定科目「5001 製造原価(仕掛品)」は、月末にはゼロに
なるように生産計画を立てて運用します。
イ 実地棚卸の正確性・実在性・網羅性の 3 要件が確保できるまで、従来は四半期毎の
頻度で行われていた実地棚卸を月次で実施します。
ウ OCJ の棚卸に関する社内規程を参考に OCD の社内規程を制定します。社内規程
に列挙された事項の実施にあたり、必要となる手順等を定めた棚卸要領書に内部統
制上の改善点を反映させ、全ての作業員が棚卸説明会に参加できるようにローテー
ションを組む等の工夫を凝らし、教育を徹底します。
エ 月次レベルで棚卸資産の推移を分析し、グループの全体会議において変化点の要
因を報告する等のモニタリングに取り組みます。
3 小倉クラッチ株式会社(当社)の略称。
-2-
2.OCC における棚卸資産の過大計上について
(1)発生原因の分析
①会計システム(用友システム)に対する理解不足
ア OCC では、2017 年 3 月の用友システムにおける原価計算モジュール導入後、製
品コードの入力ミスが材料費の不適切な計算を招き、5001 製造原価(仕掛品)の過
大計上が発生するようになりました。
イ OCD と同様、5001 製造原価(仕掛品)の残高が逓増することで異常を検知する機
会はあったものの、OCC のローカル従業員及び OCJ からの出向者の用友システム
に対する正確な知識や運用上の注意点に関する理解が不足していたため、異常の原
因を解明することができませんでした。
②実地棚卸の重要性についての理解不足
ア 実地棚卸は定期的に実施されていたものの、2014 年 5 月の操業開始時から材料の
入出庫処理の入力漏れや品目コード誤入力による棚卸差異が発生しており、この棚
卸差異について差額処理を行っていませんでした。
イ OCC の生産管理や財務等の関連部門、工場長、総経理も実地棚卸の意義と重要性
についての理解が十分ではなかったために、この状況を直ちに解消するための具体
的な対応に至りませんでした。
(2)再発防止策の概要
①用友システムについての正確な理解と運用
ア 用友システムの運用における責任所在の明確化として、本年 1 月 1 日より OCJ か
らの出向者を責任担当者として選任しました。また、用友システムの運用及び現地の
会計制度に詳しい人材を新規に採用すべく、求人活動を進めております。
イ 用友のコンサルティング業者及び社外の専門機関からアドバイス等を受け、入出
庫漏れや誤入力を防ぐように、現有のシステムでの運用を改善(品目マスタの再整備、
原材料の自動引落処理追加、入出庫処理の承認権限の付加、エリア別の責任者の明確
化、教育の実施、操作確認の検証等)します。更に生産管理システムを導入し、在庫
管理精度の向上を図ります。
ウ 社外の専門機関からのサポートを受けて、用友システムの運用を含めた売上、仕入、
在庫管理に関するマニュアルを作成します。
エ OCC 社内から内部監査人を任命してマニュアルの遵守状況の監査を実施します。
②実地棚卸の精度向上
ア 今回、問題を生じさせた勘定科目「5001 製造原価(仕掛品)」は、月末にはゼロに
なるように生産計画を立てて運用します。
イ 製造現場及び倉庫について、エリア別に責任者を選出し、月次レベルで在庫等の推
移の増減チェックをします。
ウ ローカル従業員に対して、棚卸の重要性に関する説明会を開催し、従業員教育を実
施します。
-3-
エ 標準原価による棚卸評価と付加価値分析の実施により、棚卸増減の分析及び異常
値の早期発見につなげます。
オ 改善された用友システムの帳簿と実地数値を照合し、差異理由を調査して修正し
ます。
3.OIC における元従業員による横領について
(1)発生原因の分析
①キャッシュに対するリスク管理の欠落
OIC 経営陣におけるキャッシュの管理に関する危機意識が欠けており、キャッシュが
どのような不正に結びつく可能性があるかを想定したうえでの業務体制の整備が行われ
ておりませんでした。
②コンプライアンス意識の欠落
OIC 経営陣は社内規程を理解したうえで遵守しなければならない立場であるにも関わ
らず、社内規程に違反し、支払手続の準備者である経理担当者にトークン4を取得させて
いました。
③経営陣の過度の放任主義
OIC 経営陣は出納に関し経理担当従業員に過度に依存していたため、ACH 送金5の仕
組みを十分に把握しておらず、特に送金手続に関して、その承認権限機能の理解が不足
していました。
④OCJ のガバナンス不足
OCJ は子会社のリスクとして認識している事項を抽出し、定期的に、場合によっては
抜き打ちにより有効な監査を実施しなければならなかったにも関わらず、有効な監査を
実施できておりませんでした。
(2)再発防止策の概要
①OIC 経営陣に対する教育
経営陣に対するリスク管理及びコンプライアンスの教育を実施し、継続的に経営陣の
職責や法的責任等に関する啓発を図ります。
②OCJ による監視体制の強化
親会社である OCJ が監視していることを経営陣だけではなく、一般従業員にも広く認
識させるために、定期及び随時の監査を実施し牽制を図ります。
③具体的な再発防止策
ア 経営陣による支払業務のモニタリング
支払方法毎に業務フローを作成し、経営陣が毎月支払先・支払金額・支払処理者・
承認者等のレビューを行います。送金手続における入力者と承認者の権限設定が明
4 一時的にしか使用できないパスワードを自動的に発行する小型の機械。支払等の処理行う際に
必要となります。
5 Automated Clearing House の略称。様々な銀行からの送金情報を集めて一括で処理する送金
方法であり、米国では主に国内送金の手段として以前から使用されてきました。
-4-
確に区分され運用されているか検証を行います。
イ 経営陣による支払管理業務への関与
経理担当者に一任するのではなく、担当者の業務の概要を理解し、疑問点等につい
ては随時確認をする等積極的に関与します。送金方法や金融機関のシステムについ
ては必要に応じて、経理担当者とともに、金融機関等からの情報を確認します。
ウ 経営陣による送金業務に関するツールの確認
定期的に銀行システムのマスタを照査し、入力担当者と承認者の権限付与の状況
を確認します。また、トークンについても定期的に保有状況を確認します。
④内部通報制度の周知徹底
OIC 内における通常のレポートラインで報告されない不適切行為に対処するため、内
部通報制度のさらなる周知徹底等に取り組みます。
4.各事案共通
(1) OCD 及び OCC におけるコミュニケーションの強化
① OCD 及び OCC では、各工場長を中心に OCJ からの出向者が自身の位置付けをどの
ように認識しているかについて議論を行うとともに、別途、ローカル従業員から出向者
の評価・果たすべき役割を聴取する機会を設けます。このような議論を通じて、出向者
の位置付けを明確することで、まずは職制を通じてコミュニケーションエラーの解消に
取り組んでまいります。
② これまで OCC の工場会議はローカルの管理職を兼務する OCJ からの出向者を対象に
開催していました。今般の不適切な事務処理の解明に対応する中でローカル従業員との
コミュニケーション不足、業務における認識の違いを痛感したところです。今後は、ロ
ーカルの役職者を工場会議の参加者に加え、コミュニケーションの強化及び責任感の醸
成を図ります。
(2) OCJ における海外子会社管理体制の強化
① 今般の不適切な事務処理の解明のため特別調査委員会を立ち上げ、特別調査委員会の
調査に応じ、調査報告書を受領する過程で、OCJ の経営陣、役員及び管理職においては、
これまで通りの取組みでは海外子会社への管理が行き届かないという理解に至ってお
ります。
② 当社では昨年 6 月に輸送機器生産技術本部を新設する等、製造部門における海外子会
社支援の枠組みが機能していたものの、財務・システム等の管理部門における海外子会
社支援が不足していたと認識しております。
③ 今後、OCJ の管理部門では当分の間、OCC は週 3 回、OCD は週 2 回の頻度で定例
の Web 会議を設ける等、海外子会社とのコミュニケーションを強化します。今回、不
適切な事務処理を発生させた海外子会社につきましては、現地の経営陣と対応策の進捗
状況について相互認識を図りフォローアップや支援を行ってまいります。
(3)内部監査及び監査役監査による継続的モニタリング
-5-
① OCJ の内部監査部門は人的リソースの限界から、全ての子会社に対する網羅的な内
部監査の実施には至っていなかったため、本件においても、問題の早期発見ができず対
処の遅れにつながったものと考えております。
② 今後は、管理部門における定期的な管理が継続的にチェックされているか、書面で報
告を求め、指摘事項等があれば、期日までに改善策及び改善結果を書面で報告を求める
こととします。
③ OCJ の内部監査部門に子会社から棚卸監査結果を提出させることにより、ルール通
りに実地棚卸や差異分析が行われ、そのデータがシステムに取り込まれているのかを確
認を行い、問題点等が発見された場合には、その改善に取り組みます。
5.上場企業としての適正な情報開示
(1)OCJ 財務部門におけるリスクマネジメント・危機管理能力強化
① 本件において、OCJ 財務部門は、海外子会社から在庫の過大計上の可能性について報
告を受けておりましたが、定時株主総会や四半期決算において開示・公表する財務諸表
の内容等に事実との重大な相違点が存在しないか等の点を直ちに協議・検討しませんで
した。また、その発生原因に関する合理的な理由が子会社においても把握できなかった
こと等により、社長や取締役会、監査役、更には会計監査人への報告の遅れにもつなが
ってしまいました。
② 今後は、上場企業に求められる財務諸表の開示を含む各種の規制・要請等の重要事項
について、専門家による教育を受ける機会を設け知識の向上を図るとともに、増員によ
り体制の強化を図ります。
③財務数値の確認、内部統制の改善状況については、監査法人と適切にコミュニケーショ
ンをとり問題点の早期発見と改善に取り組みます。
(2)コーポレート・ガバナンスの基本への立ち返り
有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンス報告書では、コーポレートガバナンス・
コードの基本原則に基づく会社の基本的な考え方や体制を記載しております。
しかし、特別調査委員会の調査報告書においては、本件の根本原因として、自らが上場
企業として市場において資金調達をしているという自覚が十分ではなく、有価証券報告書
や四半期報告書の提出、経営者確認書、監査法人による会計監査及び監査意見の公表等、
株主やステークホルダーに対する情報開示の意義等に対する意識が低い、という点を指摘
されております。
当社は、上記の指摘を真摯に受け止め、再発防止策として下記事項を今後実施していき
ます。
① 経営陣に対するガバナンス勉強会
金融機関等の外部機関から情報収集し、外部講師による研修(勉強会)を実施します。
また、経営者又は監査役としての役割及び責務の理解並びに経営、財務、法令、コーポ
-6-
レート・ガバナンス、リスク管理等の必要な知識習得のための講習会を受講します。
② 内部監査及び監査役監査による定期的モニタリング
「コーポレート・ガバナンス報告書」の内容、特に「内部統制システムに関する基本
的な考え方及びその他の整備状況」について、年 1 回、整備・運用が適切に行われてい
るか確認し、指摘事項等があれば取締役会等に報告し、また、記載されている内容が変
わってないか等確認し、期日までに書面で報告を求めることとします。
③ OCJ 経営陣と社外役員との定期的な意見交換の実施
各取締役や執行役員は、会社にとって重要なリスクを認識した時点で直ちに、取締役
会、監査役会及び社外役員といった、コーポレート・ガバナンスにおいて重要な役割を
担う各機関に早急に情報を伝達し、経営判断を行います。また、必要の都度、財務・会
計及び法的な知識を有する専門家である社外役員との会合を設け、適時・適切に経営上
のリスクの把握に努めてまいります。
(3)リスク情報の迅速な伝達(重大なリスク情報を迅速に報告しにくい企業風土の解消)
① 当社では、問題が発生してからの対応スピードに課題がある、との調査報告書の指摘
を真摯に受け止め、経営方針にも掲げております「報連相」を今まで以上に徹底してま
いります。スピードアップはもちろん、職制を通じて速やかに上司・経営陣へ情報伝達
をすることで、より風通しの良い組織の実現に取り組みます。
② 本年 1 月から常務会という会議体を設け、各常務が自身の担当職域を超えて、組織に
横串を入れる形で経営上の課題に取り組んでまいります。その議論の中で、当社の目指
すべき方向性やあるべき組織を模索し構築していきます。
③ コロナ禍で今後の見通しが不透明な状況ではありますが、当社は創業 80 年を超える
クラッチ・ブレーキの総合メーカーとして、これまで以上にものづくりに精進するとと
もに、
「創業の心」に立ち返り、より強く風通しの良い組織を実現してまいります。
6.役員報酬の自主返上等
本件に係る経営責任を重く受け止め、以下のとおり、当社役員が報酬の一部を自主返上する
ことといたしました。
・代表取締役社長 月額報酬 20% × 3 ヶ月
・取締役会長 月額報酬 20% × 3 ヶ月
・取締役常務執行役員(経営管理担当) 月額報酬 30% × 3 ヶ月
・取締役常務執行役員(輸送機器担当) 月額報酬 20% × 3 ヶ月
また、本件に関係した当社従業員につきましては、当社就業規則に則り、厳正に処分いたし
ます。
以上
-7-