6361 荏原製 2020-02-12 15:00:00
長期ビジョン及び中期経営計画策定のお知らせ [pdf]

                                                           2020 年 2 月 12 日
各     位
                             会 社 名   株式会社 荏原製作所
                             代表者名    代表執行役社長                浅見 正男
                                          (コード番号 6361         東証第 1 部)
                             問合せ先    執行役 グループ経営戦略・人事統括部長    永田 修
                                                   (電話 03-3743-6111)




            長期ビジョン及び中期経営計画策定のお知らせ


 当社はこの度、10 年後の 2030 年度に向けた長期ビジョン「E-Vision2030」及び 2020 年
度からの 3 か年における中期経営計画「E-Plan2022」を策定しましたので、以下のとおり概
要をお知らせいたします。詳細は 2 月 13 日に当社ウェブサイトに開示いたします。

                            記

1.長期ビジョン「E-Vision2030」の策定

 当社グループは創業以来 108 年、   「熱と誠」の創業の精神で技術力と信頼性を強みに社会
課題の解決に貢献してきました。      今後 100 年の人類社会や地球環境を展望すると、特に注目
すべきは温暖化現象の悪化による異常気象と自然災害の激甚化、         海面上昇による高潮、陸地
の浸食、さらには食料や水の資源枯渇等の問題の発生があります。また、高度情報化社会は
ますます進化し、      デジタル社会の加速によりライフスタイルが大きく変化することが予想さ
れ、社会を支える半導体の技術革新はさらに進むとともに需要も拡大していくと考えます。
このように事業環境が見通しにくい中で、         更なる成長を続けていくためには、将来のありた
い姿を描き、その実現に向けた方針・戦略を明確にすることが不可欠と考え、長期ビジョン
「E-Vision2030」を策定しました。

(1) E-Vision2030 のスローガンと 5 つのマテリアリティ
    E-Vision2030 では、
                   「技術で、熱く、世界を支える」というスローガンを掲げ、当社グ
  ループが 2030 年に向けて解決・改善していく、5 つのマテリアリティ(重要課題)を設定
  しています。

 ①持続可能な社会づくりへの貢献
  技術で、熱く、持続可能で地球にやさしい社会、安全・安心に過ごせる社会インフラ、
  水や食べるものに困らない世界を支えます。
 ②進化する豊かな生活づくりへの貢献
  技術で、熱く、世界が広く貧困から抜け出す経済発展と、進化する豊かで便利なくらし
  を実現する産業を支えます。
 ③環境マネジメントの徹底
  二酸化炭素排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルに向けて、再生可能エネル
  ギー利用を含めた二酸化炭素削減を推進します。
 ④人材の活躍促進
  多様な人材が働き甲斐と働き易さを感じながら活躍し、“競争し挑戦する企業風土”を
  具体化します。
 ⑤ガバナンスの更なる革新

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   成長へのビジョンを描き、グローバルで勝ち続ける経営を
   後押しする攻めと守りのガバナンスを追求します。

(2) 10 年後のありたい姿
    当社グループは、今後 10 年間、SDGs をはじめとする社会課題の解決に資する 5 つのマ
  テリアリティの実現を通じて持続的に貢献し、①社会・環境価値と②経済価値を同時に向
  上させていくことで企業価値を向上させることにより、グローバルエクセレントカンパ
  ニーを目指します。2030 年における企業価値向上の目安として、時価総額 1 兆円規模を
  設定します。

 <成果目標の代表例>
 ①社会・環境価値
 ・CO2 約 1 億トン相当の温室効果ガスを削減する
 ・世界で 6 億人に水を届ける
 ・最先端の半導体デバイスである 14 オングストローム(100 億分の 1m)世代への挑戦に
  より、くらしの進化に寄与する
 ②経済価値
 ・投下資本利益率(ROIC)10.0%以上
 ・売上高 1 兆円規模


2.中期経営計画「E-Plan2022」の策定

  長期ビジョン   「E-Vision2030」からのバックキャストと前中期経営計画の振り返りから明
確になった解決すべき課題への対応等に基づき、          2020 年度からの 3 か年の中期経営計画「E-
Plan2022」を策定しました。

(1) 前中期経営計画「E-Plan2019」の総括
    E-Plan2019 は、計画期間完了時に、世界規模で事業展開し成長する産業機械メーカへ
  と更なる発展を目指すために、全事業の収益性を徹底的に改善することを目標とし、      『成
  長への飽くなき挑戦』を実践する期間と位置づけ、各事業において施策を遂行しました。

表 1.E-Plan2019   目標達成状況
                                                  E-Plan2019
                 2017 年
      指標                   2017 年      2018 年     2019 年
                 3 月期                                       3 年累計          目標
                           12 月期       12 月期      12 月期
     ROIC           5.6%      2.5%         4.9%      6.5%           -    8.0%以上
    売上高
                    6.3%      4.7%         6.4%      6.8%           -    9.0%以上
   営業利益率
  自己資本利益率(ROE)      8.0%      3.5%         6.6%      8.3%           -   11.0~13.0%
   D/E レシオ       0.36 倍   0.41 倍  0.28 倍   0.29 倍                   -   0.4~0.6 倍
    設備投資        226 億円   123 億円  193 億円   343 億円               661 億円    600 億円以上
   研究開発費         87 億円    72 億円  106 億円   115 億円               294 億円    350 億円以上
      M&A              -     1件         -        -                 1件     100 億円
 連結総還元性向           28.1%   48.0%    60.5%    88.8%                  -      30%以上
  自己株式取得               -       -  50 億円   150 億円               200 億円   機動的な実施
   ※2017 年 12 月期は決算期変更により、9 か月間です。


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 ① 経営指標は目標未達に終わりました。石油・ガス市場に対する見通しの甘さと収益基
   盤を強化するための事業構造の変革が不十分であったことが要因です。
 ②成長投資は概ね計画通り実行しましたが、その効果は 2020 年以降となる見通しです。
 ③株主還元は当社初の自社株買いを行い、連結総還元性向の目標を大きく上回りました。
 ④ESG 経営については、ガバナンスの更なる強化などに取り組みました。

  E-Plan2022 に向けての課題は、「収益基盤の強化」「S&S 事業の拡充」及び「新規事業
                               、
 の創出」の 3 点です。収益基盤は徐々に改善が見られていますが、引き続き取り組んでい
 きます。例えば、クライオポンプ事業を顧客が重なるコンプレッサ・タービン事業に組み
 入れたことにより、収益改善や S&S 事業の拡充が進みました。E-Plan2022 期間中もこの
 ような事業間シナジーを生み出す施策を実行していきます。

(2) 基本方針
    E-Plan2022 は「更なる成長に向けた筋肉質化」の段階と位置づけ、そのために 3 年間
  になすべきことを 4 つの基本方針として定めました。
    方針を定めるにあたり、事業ポートフォリオ最適化のために、     「将来にわたり成長が期
  待できる事業」と「市場が成熟している、または収益性に課題がある事業」とに明確に区
  分し、方針・戦略にメリハリを付けています。

 ①事業成長への挑戦
  新事業の開拓・創出や既存事業におけるグローバル市場への更なる展開
 ②既存事業の収益性改善
  収益基盤強化のための事業構造の変革と全事業での S&S 売上高の伸長
 ③経営・事業インフラの高度化
  デジタルトランスフォーメーション(DX)への積極的な取り組み等による経営のスピー
  ドアップ、ROIC 経営の深化
 ④ESG 経営の進化
  変化する環境問題への取り組み、社会とのつながり及びガバナンスの強化

(3) 経営戦略
    基本方針に基づき、以下を E-Plan2022 の経営戦略として設定し、事業ごとの計画を策
  定・実行していきます。

 ①新規事業
  マーケットインの視点でグローバルに社会のニーズを新たにとらえ、  当社の技術力に加
  え、外部リソースも活かした顧客へのソリューション提供を目指す
 ②既存事業
  全社的には各事業間の連携を通じたシナジー最大化等による S&S 事業の強化を図ると
  ともに、事業ポートフォリオに基づくメリハリのある事業別戦略を実施する
 ③市場戦略
  中国・インド及びアフリカを中心としたグローバル、国内の各市場別施策を実行し、収
  益を最大化する
 ④経営資本の強化
  事業成長に必要な 6 つの資本(人・製造・財務・知財・社会関係・自然/環境)を事業
  環境の変化やグローバルでの事業拡大に資するものに進化・強化する
 ⑤高度な ESG 経営の実践
  事業の継続的な成長のため、変化する環境問題への取り組み、社会とのつながり及びガ
  バナンスを強化する


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(4) 達成すべき目標
    グループ全体の「ROIC」と「売上高営業利益率」を最も重視する経営指標として位置づ
  け、計画最終年度の 2022 年度に、ROIC 8.0%以上、売上高営業利益率 8.5%以上を目指し
  ます。

表 2.E-Plan2022 経営指標・目標
         最重要経営指標(KPI)           目標(FY22)
  ROIC                            8.0%以上
  売上高営業利益率                        8.5%以上

  目標を達成するためのモニタリング指標            目標(FY22)
  ROE                             11.0%以上
  D/E レシオ                        0.3~0.5 倍
  (事業別営業利益率)
  風水力事業                            7.0%以上
    ポンプ事業                          6.5%以上
    コンプレッサ・タービン事業                  8.0%以上
    冷熱事業                           5.0%以上
  環境プラント事業                         9.5%以上
  精密・電子事業                         13.0%以上

            成長投資               目標(3 年累計)
  設備投資                         1,000 億円程度
  研究開発費                          400 億円程度

          株主還元方針                  目標
  連結配当性向                           35%以上
  連結自己資本配当率(DOE)                   2.0%以上

(5)E-Plan2022 事業別基本方針
  ①風水力機械カンパニー

 《標準ポンプ事業》
  国内事業は収益性改善を最重要課題とし、更なる業務の効率化・省人化を実現する業
 務体制の構築、マーケティング機能の強化による新市場開拓・高付加価値製品の市場投
 入及びアフターサービス体制を強化します。
  海外事業はシェア拡大による売上拡大を最重要課題とし、販売拠点拡大とマーケティ
 ング機能の強化、開発体制強化による地域ニーズに沿った製品の投入と新市場開拓、SCM
 強化を実施します。
  また、ポンプ・モータ・制御技術を一体化し、省エネ化、小型・軽量化、スマート化
 した製品・システムを開発し、ソリューションサービスを提供する事業へ転換します。

 《カスタムポンプ事業》
  国内は収益性確保を重点課題とし、対象とする市場を特定し、製品事業の利益率向上
 及び S&S 事業規模の拡大を実施します。公共ポンプ市場においては、総合評価型入札の
 強化等により、自然災害の激甚化に対応し安全・安心な社会インフラの建設・維持管理
 に貢献します。
  海外子会社は地域ごとに異なる需要を取り込むため、製品競争力(価格・納期)の向

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上に向けた生産・SCM 機能の向上を重点課題とし、更に新市場に対応する製品開発を進
めます。

《コンプレッサ・タービン事業》
 適正な利益が生み出せる事業運営を最優先とするため、製品事業は収益性改善を確実
に実行すべく、売上規模と生産体制を最適化します。
 一方、S&S 事業は既納入品の S&S シェアを向上させ、さらに M&A の活用も含め規模を
拡大させます。

《冷熱事業》
 国内事業は、製品収益性の改善、S&S の強化と拡大を実施し、持続的高収益体質へ改
質します。
 中国事業においては、継続的に製品のコストパフォーマンスを向上させ、販路を整備
し、既存市場でのシェアを拡大させます。

②環境事業カンパニー

《環境プラント事業》
 2030 年までに固形廃棄物処理の分野において、自治体を主要顧客とした EPC から運営
を一貫して行う「ごみ処理建設・運営事業」を中核として、周辺の関連業務や、AI/ICT
を活用した自動化の技術の導入等、循環型地域社会の構築に向けた取り組み、ケミカル
リサイクル分野への参入も加えた、  「廃棄物資源循環ソリューションプロバイダ」へと事
業拡大します。

③精密・電子事業カンパニー

《精密・電子事業》
 単品ハードメーカーから関連製品やサービスも提供するソリューションプロバイダへ
転身し、既存市場でシェアを拡大します。
 自動化工場を含めた生産工程の効率化による損益分岐点の低下や S&S 売上高比率の向
上により、市況変動の激しい業界での事業継続に不可欠な利益創出力を向上させます。
 また、新事業の創出も併せて進めます。

                                            以 上




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