6306 日工 2021-09-01 14:00:00
2022年3月期第1四半期決算説明会 質疑応答要旨 [pdf]

                                      2021 年8月 25 日



   2022 年 3 月期第 1 四半期決算説明会        質疑応答要旨


既存事業の状況について

・AP 事業における赤字案件の 1Q 営業利益への影響額と受注残にある赤字案件の赤字額が
 幾らぐらい含まれているのか伺いたい


 →受注物件のなかで、見込み原価が売上金額を上回る赤字案件に対しては受注損失引当
  金を各期末で積んでいる。第 1 四半期は赤字案件が 2 物件あり、合計の赤字金額は 82
  百万円であった。この 2 物件については、前期末の決算で損失が見込まれていたため、
  受注損失引当金 50 百万円を計上した。しかし見込み原価と実績原価の差異があり、今
  期 1Q に追加で差額の 32 百万円を損失計上した。1Q 末の B/S における受注損失引当
  金は 74 百万円である。見込み原価と実績原価で多少の差異があるが、会計上現在見込
  んでいる受注残高に占める赤字受注分は 74 百万円である。


・外部の業界環境は同じようだが、AP と BP で業績の方向感が違うようにも見える。どの
 ように考えれば良いのか伺いたい


 →AP に関しては 1980 年代から 90 年代半ばに集中的に設備投資された更新のタイミン
  グにあり、事業環境は良いと考えている。BP は生コン単価が上がらず、お客様が設備
  投資を控えていた期間が続いていたが、近年の生コン価格が比較的高値安定している
  状況と設備の更新投資のタイミングから、BP も事業環境は良いと考えている。
 →業績の方向感の違いについては、AP に関して国内の利益がもっとあっても良いのでは
  ないかとのご指摘かと思うが、1Q は赤字 2 物件が損益の足を引っ張ったものであり、
  国内の売上及び足元の受注高は引き続き高水準で推移をしているため、事業環境が悪
  いという認識はない。BP については昨年、一昨年と非常に良かったので今年は反動減
  があるのではないかと思っていた。しかし出足は好調であり、2Q 以降の商談案件数も
  非常に多いため、BP も前年を下回る受注にならないと考えており、売上、利益に関し
  て比較的好調に推移をしていると考えている。


・環境及び搬送関連事業について、コロナで営業ができなかったとの説明は少し違和感があ
 る。そろそろ回復して良いように思うが、コンベヤだけでいいので月次ベースの販売動向
 について伺いたい
 →環境及び搬送関連事業については AP、BP と異なりコロナの影響で営業があまり行え
  ずに、昨年度、今年度と少し伸び悩んでいる状況は変わっていない。そろそろ回復して
  も良いのではないかについては、各月の数字を見みると 6 月までは数字が良くなかっ
  たが 7 月単月は前年より少し改善している。ただコロナ第 5 波の影響で、 月以降は営
                                       8
  業活動にブレーキがかかる可能性が高い。



海外事業について

・海外展開を数字ベースでみると中国が極めて好調だが、タイや東南アジアでの展開と戦略
 に対する考えを伺いたい


 →タイに関しては昨年度、販売現法と製造現法を設立し、現在 4 万平米の区画に工場を
  建設中である。工場は当初 10 月 1 日より操業開始予定であったが、コロナの影響と天
  候の関係で工期が延び、来年 1 月の稼働予定である。工場稼働後はタイで現地生産し、
  タイ国内で販売するビジネスモデルになる。AP2 台を受注済み、10 物件の確度の高い
  案件が控えているとの説明を行ったが、工場稼働してすぐに日本と同じ品質のものが
  出来ないため、当面は日本からの応援体制が必要と考えている。なるべく早く、タイ工
  場で 100%現地のモノづくりができる体制にしたいと考えている。
 →タイ以外の東南アジア展開の戦略については具体的に決めていないが、インドネシア、
  ベトナムなどが次の候補である。インドネシアは 2030~2040 年に向けて人口増が続き
  国土も広く、 市場規模はタイを大きく上回るポテンシャルを秘めている。
       AP                          なるべく、
  早いうちにインドネシアで営業活動はスタートさせたいと思っている。インドネシア
  に工場を作るかということについては、タイ工場は中国工場より大きく、中国の 25 台
  /年程度の生産キャパに対し、タイ工場は 30 台/年以上のプラントを作る能力を最初か
  ら持たせており、当面はタイ、インドネシア、ベトナムはタイを製造拠点として輸出す
  ることを考えている。その他の東南アジアの国々についても関心を持っており、一気に
  全ての国に進出する訳にいかないが、徐々に展開したいと思っている。


・タイと中国、台湾の AP 案件の採算性はどのようなものか。また、タイの代理店との契約
 による今後 5 年程度の潜在的な受注ポテンシャルについて伺いたい


 →タイと中国に関しての採算性であるが、中国はメンテナンスの売り上げはほとんど無
  くプラントの売り切りであり、タイも当面はプラントの売り切りと考えている。その為、
  粗利益率は最低 10%確保を狙っている。タイと中国の2カ国の採算性は同じくらいで
  進めていこうと思っている。台湾に関しては、比較的マージンは高くなっている。台湾
  は環境規制が厳しくなっており、環境対応のプラントは当社に優位性があるため、台湾
  の AP 案件に関してはタイや中国、日本に比べて高い採算性が確保できている。
 →タイの代理店との契約による今後 5 年程度の潜在的なポテンシャルについて、タイに
  は現在約 500 台程度のプラントがあると想定している。日本はプラントの更新サイク
  ルは 30~40 年だがタイは 20 年以内と思われ、そこから計算すると 25 台/年の更新投
  資の需要があると推測される。日本と違ってまだまだ道路が多くできており、新設プラ
  ントの需要もあるので 30~40 台/年の市場規模があるのではないかと考えており、そ
  のなかの 50%のシェアを獲っていきたい。



今期の業績予想について

・原価率について 1Q は 73.1%であったが、通期は 72.5%に改善する計画となっている。
原材料価格が上昇しているなかで達成が可能か?価格転嫁を進めていくのか、他にも原材
料価格高への対抗策などで実施していることがあれば伺いたい


 →現在、原材料価格が上昇しているが、我々にとっては鋼材価格上昇のインパクトが一番
  大きい。鋼材価格に関しては前年度末より徐々に価格が上昇していたので今年度から
  毎月見積価格を変更しており、市場価格に連動した見積価格でお客様と交渉をおこな
  っている。価格転嫁はおこなっているものの、過去に受注したもの、中でも AP は受注
  から出荷までタイムラグがあるため、一定の影響はでてくると予想している。1Q に売
  り上げた物件に関しては、ほとんどの製品に関して原材料価格が上がる前に仕入れて、
  製造したものであり、影響はほぼ無い。2Q 以降は、価格改定して交渉をおこなってい
  ること、AP、BP ともに約 60%が製品のメンテナンス、約 40%が製品の売上であり、
  メンテナンスの売上は受注から売上までの期間がそれほど長くないため、原材料の価
  格転嫁はできると考えている。通期でも原材料価格が上がる影響は多少あるが値上げ
  で対応しており、大きなマイナス要因にならないと考えている。



 カーボン・ニュートラルの取り組みについて

・コンクリートへの CO2 固定化の動きだが、7 月に政府方針が改定されて計画が前倒しと
 なっている。たぶんゼネコンとの共同研究などをおこなっておられると思うが、もし御社
 へ何かしらの定量的な好影響がでるとしたら、いつぐらいになると考えているか


 →ゼネコンに限らず様々なところと共同研究をおこなっているが、守秘義務契約を結ん
  でおこなっていることばかりであり、具体的なことが話せない。コンクリートへの CO2
  固定化の動きに関して、我々も積極的に関与するためいくつかのプロジェクトに参画
  している。ただ、いつから定量的な好影響がでるかは現在のところ分からない。
次期中期経営計画について

・次期中計と今中計との違いについて伺いたい


 →次期中計については、未だ構想を練っているところであり、具体的なことについてお話
  できる段階ではない。目新しいことをやろうということは恐らく無く、10 年方針に基
  づく4~6 年目の計画になると思う。一つは海外展開の中の東南アジア展開の加速化で
  あり、今中計でタイに拠点を作り早期にスタートさせるということに関して、ほぼ予定
  通りにできた。次期中計では次のステップとしてインドネシア、ベトナムへの進出につ
  いて考えたい。国内 AP は事業環境が次の 3 年間もほぼ変わらないと予想しており、そ
  のなかで我々はお客様に関するソリューションのニーズで我々にとってもメリットが
  あることをやっていきたい。具体的には現在準備中の AP、BP のメンテナンスのサー
  ビスについて現状のアフターメンテナンスのビジネスモデルを年間の定額の保守契約
  を結んで、壊れる前に定期的に検診をして部品交換、検診のなかで問題が起こりそうな
  ところを直していくビフォアーメンテナンスのビジネスモデルを確立していきたいと
  考えている。特に、AP では環境対応製品に力を入れていきたい。それ以外に AP のユ
  ーザーである大手道路会社の AP 工場での人手不足を解消するため、オペレーションを
  当社がリモートでおこなうなどの準備をしており、この辺りを次期中計である程度は
  織り込んでいきたい。


・新中計は来春、公表されるという理解良いか伺いたい


 →来春発表ができるように準備を行っており、下期から具体的な作業に入る予定である。



その他

・8 月 6 日付でリリースされた従業員向けに自己株式を無償で譲渡について、従業員のモチ
 ベーションアップ等で非常に良いことだと思うが、その狙い等について詳しく伺いたい


 →従業員向けに自己株式を 100 株無償で譲渡することを発表し、8 月 25 日に新入社員向
  けに譲渡をおこなった。モチベーションのアップ以外に、新入社員は上場企業に入社す
  るという認識を持ってはいるが、株価が毎日変動するということについての認識はあ
  まり持ち得ていないと思われる。株価が上がることにより、自分の持っている株式の価
  値が上がること、自分の財産価値が上がることへの喜びを感じてもらい、どのようにす
  れば株価が上がるかということを新入社員に身を持って感じてもらいたいと考えてい
  る。そして、株主と同じ目線でものを考えてほしいという意味を持ち、新入社員に自社
  株を譲渡することを決めた。
  2 年前の 100 周年時には当時の全社員に同じ仕組みで株式を譲渡しており、全社員が
  日工の株式を持っている。この制度は継続し、すべての社員が自社株を持っている状態
  を継続したいと考えている。


・社員の教育について、能力をより発揮してもらうための具体的施策を伺いたい


 →従来は OJT こそ教育という考えでやってきたが、外部研修や集合研修などの研修制度
  を徐々に充実させている。MBA や資格を取りたいという社員の希望を叶えるために、
  費用を全額、半額などの負担をおこなっている。社員自らが能力アップのために費用は
  かかるが勉強したいということに対しては、基本的にはほぼすべて何らかの形で金銭
  面の支援はおこなっている。




(注)本質疑応答要旨は決算説明会に参加されなかった方への情報提供も含めておこなっていますが、その内容につきま

しては理解し易いように一部で加筆・修正していますことをご承知おき下さい。



                                    日工株式会社 財務部 IR 担当