6181 M-タメニー 2019-09-27 19:30:00
社内調査委員会の中間調査報告書受領に関するお知らせ [pdf]
2019 年9月 27 日
各 位
会 社 名 株式会社パートナーエージェント
代 表 者 名 代表取締役社長 佐 藤 茂
(コード番号:6181 東証マザーズ)
問 合 せ 先 I R 広 報 部 長 伊 東 大 輔
(TEL.03-5759-2700)
社内調査委員会の中間調査報告書受領に関するお知らせ
当社は、2019 年7月 22 日付「不正行為の疑い等に係る社内調査委員会の設置に関するお知らせ」
にて公表いたしましたとおり、当社の元経理財務部門従業員による不正行為の疑い、および当社の一部
取締役らが取締役会・監査役会に適切な報告を怠った可能性があることについて、外部の弁護士を含む
社内調査委員会を設置して、全容解明等に向けて調査を進めてまいりました。
本日、社内調査委員会より中間報告書を受領いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
なお、2019 年8月9日付「社内調査委員会による調査の経過について」にて公表いたしました最終調
査報告書の受領については、当初9月中旬頃を予定しておりましたが、全容解明に向けた詳細調査およ
び詳細内容や再発防止策の提言等のとりまとめに時間を要していることから、10 月中旬となる見通しです。
株主・投資家の皆さまをはじめ、取引先および関係者の皆さまには多大なるご迷惑とご心配を
おかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。
記
1.調査委員会の中間調査結果
調査委員会の中間調査結果につきましては、添付の「調査報告書(中間報告書)」をご参照ください。
なお、本報告書においては、個人情報および機密情報保護の観点から、個人名等につきましては匿名と
しておりますこと、 ご了承ください。
2.社内調査委員会の調査結果を受けた今後の対応方針
今後の対応方針につきましては、10 月中旬に最終調査報告書を受領し、公表する見通しです。また、
当該不正行為に関与した従業員に対して社内規程に従った厳正な処分を検討しており、取締役の経営
責任の明確化にも努めてまいります。加えて、社内調査委員会からの提言に沿って、再発防止に取り組
んでまいります。
なお、当該不正行為による最大の被害の可能性額は 2019 年8月9日付「社内調査委員会による調査
の経過について」にて公表いたしましたとおりであり、2020 年3月期の業績に与える詳細な影響につきま
しては、引き続き、調査費用も含めて精査を進めてまいります。
具体的な処分、再発防止策、業績に与える詳細な影響につきましては、決定次第、速やかにお知らせ
いたします。
以上
(注)上記は発表日現在の情報です。これら情報は流動的な様々な要素を含むものであり、様々な要因により実際の結果
はこれらと異なる場合があることにご注意ください。
<本件に関するお問い合わせ先>
株式会社パートナーエージェント IR 広報部長 伊東
〒141-0032 東京都品川区大崎1-20-3 イマス大崎ビル4階
IR 直通:03-6685-2800(平日:10 時~17 時) Mail:ir-contact@p-a.jp
調 査 報 告 書
(中間報告書)
令和元年 9 月 27 日
株式会社パートナーエージェント社内調査委員会
目 次
第 1 部 本調査の概要............................................................... 3
1. 本委員会の設置の経緯........................................................ 3
2. 本委員会の構成.............................................................. 3
3. 調査目的 ................................................................... 4
4. 調査開始日及び調査方法...................................................... 4
5. 調査範囲 ................................................................... 4
第 2 部 本調査で判明した不正の取引額及び連結財務諸表への影響 ....................... 6
1. 総括 ....................................................................... 6
2. 連結財務諸表に与える影響額を個別確定できたもの .............................. 6
第 3 部 原因の究明 ................................................................ 7
1. 内部管理体制を重視しない企業風土 ............................................ 7
2. 業務の相互確認体制の形骸化 .................................................. 7
3. 杜撰な経理業務が放置された環境 .............................................. 8
4. 取締役による内部管理体制の不備 .............................................. 8
5. 現金についての管理体制の不備 ................................................ 9
6. 内部監査室の体制不備........................................................ 9
7. 一部取締役におけるコンプライアンス遵守に係る意識の欠如 ..................... 10
別紙 1 ........................................................................... 11
第1部 本調査の概要
1. 本委員会の設置の経緯
株式会社パートナーエージェント(以下「当社」という。
)は、平成 31 年 6 月下旬の社
員面談において、経理財務部(時期により名称が異なる場合があるものの、特段の言及が
ない限り、以下「経理財務部」という。)において、現金の着服及び証憑の存在しない経
費の計上が行われている疑いがある旨の指摘を受けた。
当社は、これを受けて、上記に係る初期調査を実施したところ、当社の経理財務部の元
従業員 X 氏が現金の着服を、従業員 Y 氏が現金の着服及び実態のない経費の架空計上をそ
れぞれ行っていたこと(以下「本件」という。
)を自供し、本件が発覚した。
当社は、かかる初期調査の結果を踏まえ、本件について社外の専門家も関与させた客観
的な調査を行うことを目的として、令和元年 7 月 29 日、社内調査委員会(以下「本委員
会」という。
)を設置し、類似事案の存否を含めて、本件に関する事実調査(以下「本調
査」という。
)を行うこととした。
2. 本委員会の構成
本委員会は、以下の 3 名の委員により構成された。
委員長 貝瀬 雄一 当社取締役コーポレート本部長
委 員 渡瀬 ひろみ 当社社外取締役
委 員 藤池 智則 弁護士(堀 総合法律事務所)
また、本委員会は、本調査を補助させるため、以下のとおり、外部の専門家並びに当社
の総務法務部及び経理財務部の担当者を補助者として選任して、本調査の補佐をさせた。
所属 氏名
公認会計士須賀智仁事務所 公認会計士 須賀 智仁
堀 総合法律事務所 弁護士 富田 直由
弁護士法人鈴木康之法律事務所 弁護士 山口 真吾
当社 経理財務部部長 久保 理
(公認会計士)
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総務法務部部長 笹渕 宏明 等
3. 調査目的
本調査は、本件に関する事実関係(類似事案の存否を含む。)の調査、本件が生じた発
生原因の解明(とりわけ内部統制上の課題の検討)、及び再発防止策の提言を行うことを
目的とする。
4. 調査開始日及び調査方法
(1) 調査開始日
令和元年 7 月 29 日
(2) 調査方法
本委員会は、本調査について、具体的に以下の方法により実施した。
① 開示資料等の確認
本委員会は、本件に関連する可能性のある会計資料、証憑書類、各種会議体の
議事録、社内規程等の関連資料について、必要と認める範囲で確認を行った。
② インタビュー
本委員会は、本件の実行行為者である X 氏及び Y 氏、本件及びこれに付随する
事情を知る可能性のある役職者(退職した者を含む。以下同じ。)のうち、本委員
会が必要と認めた者並びに原因分析の観点から事情を聴取する必要があると認
められる役職員に対し、インタビューを実施した。具体的な対象者については、
別紙 1 のとおりである。
5. 調査範囲
本調査の調査範囲は、以下のとおりである。
(1)本調査の対象範囲
本調査の主たる対象範囲は、初期調査により発覚した当社の経理財務部における不
正な現金の引出し及び経費の架空計上並びに本件発覚後の役職者の対応であるが、そ
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れ以外にも、類似の案件が生じている可能性のある事項については調査の対象とした。
(2)本調査の対象期間
本委員会は、本調査の対象期間については、基本的に、本件の実行者である X 氏及
び Y 氏が主に本件における不正な現金の引出し及び経費の架空計上を実行したと述
べる平成 26 年 4 月 1 日から本件発覚後に取締役会に本件が報告された令和元年7月
16 日までとしたが、それ以前の両氏その他の役職者による不正行為の可能性につい
ても、必要に応じて調査を実施した。
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第2部 本調査で判明した不正の取引額及び連結財務諸表への影響
1. 総括
現時点で本調査において判明した不正の着服額及び不正な経緯の計上額による連結財
務諸表への影響に関しては、最終的に、会計監査人との協議を経たうえで決定されるべ
きものであるが、現時点では全体として軽微といえる。以下、検討結果の概要を述べ
る。
2. 連結財務諸表に与える影響額を個別確定できたもの
(1) 本件の不正取引の内容
現時点において本調査委員会において認定できる不正の着服額17,580,000円であ
り、不正な経費の計上額は35,463,437円であるところ、この前提のもと、平成27年
3月期から平成31年3月期までの連結財務諸表に対して与える影響額が個別確定され
た。
(2) 検討結果
上記1の前提のもと、本件の連結財務諸表に与える影響額は下表のとおりであ
る。
連結財務諸表に与える影響額 (単位:千円)
修正科目 平成26年3月期 平成27年3月期 平成28年3月期 平成29年3月期 平成30年3月期 平成31年3月期
売上高 - - - - -
売上総利益 - - - - -
販売費及び一般管理費 △ 5,069 △ 2,675 △ 6,258 △ 9,480 △ 6,297 △ 5,681
営業利益
税引前当期純利益 5,069
, 2,675
, 6,258
, 9,480
, 6,297
, 5,681
,
現金預金 0 3,460 4,000 4,250 2,000 5,500
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第3部 原因の究明
本調査対象のうち、本件の現金の不正の引出しや架空経費の計上は、その実行行為者である
X 氏及び Y 氏における倫理観の欠如に起因するものであることは間違いない。
しかしながら、当社として、本件のような長年にわたる不正行為の機会を与え、現在に至る
まで発覚が遅れたという点で、内部管理体制が十分に機能していなかったことを認めざるを得
ない。
以上を前提に、本委員会は、当社として本件の不正行為を未然に防ぎ又は早期に発見するこ
とができなかった原因は以下のように考えられる。
1. 内部管理体制を重視しない企業風土
当社では、主として、一個人へのマルチタスクによる多量の業務処理が課せられ、職
務分掌と異なる業務に度々従事させることもあり、それに伴い X 氏及び Y 氏の業務が逼
迫する状況が生じた。
以上を踏まえると、当社は、形式的には業務ごとに部門を設置し、職務分掌を明確に
区分し、内部管理体制を構築したものの、実際はこれと異なる実務運用があり、各部門
が本来担うべき職責を果たすことができない状況が生じていた。
そして、当社は、上場を機に組織として拡大し、間接部門の人員の補充等の対応を講
じたものの、その対応が不十分であり、内部監査室の担当者がこれまで 1 名しかいなか
ったことを踏まえると、当社は内部管理体制に不備があったといわざるを得ない。
このような中、当社の内部管理体制が形骸化し、本件の不正行為を容易にし、また、
これまで発覚が遅れた要因であるというべきである。
2. 業務の相互確認体制の形骸化
(1) 特定の者への過剰な業務の集中
X 氏及び Y 氏については、職務分掌上担当外である業務を含め、過剰に多くの業
務を処理することが求められた。
それに伴い同人らの業務が逼迫することにより、長時間勤務を強いられることと
なった。そのため、必然的に本来担当する経理業務について疎かにならざるを得
ず、たびたび経理書類にミスが生じる事態となり、また、同人らをして、業務の相
互確認を怠り、自己承認取引すらまかりとおる要因となったといえる。
(2) 経理財務部全体における業務の相互確認体制の形骸化
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上記のように、X 氏及び Y 氏が他の者の業務を確認しない状況にあったこと、た
びたび経理書類に不備が生じていたこと等から、同人らの部下である他の経理財務
部員についても、かかる状況が日常となり疑問を抱くことがなくなり、経理業務に
対する経理財務部全体の規範意識が鈍麻するに至ったといわざるを得ない。
これにより、経理財務部全体において、業務の相互確認が形骸化した状況で行わ
れるに留まり、また、経理書類のミスについて特段疑問視しない状況が生まれた。
特に X 氏及び Y 氏が行う業務については、同人らに属人化し、他の者が関与しない
ものも存在したという点も、同人らが行った業務に他の者が関与することがない事
態に繋がったといえる。
さらに、X 氏及び Y 氏以外の経理財務部員も、現金出納帳の現金残高と小口現金
の実残高に大幅な差異が長年継続して発生していた状況を把握していたものの、本
件を内部告発した G 氏を除いて、誰一人として異を唱えるものが存在しなかったと
いう点も、経理財務部全体の規範意識の鈍麻を示す一事情と指摘せざるを得ない。
かかる状況こそが、X 氏及び Y 氏による不正な現金の引出しや Y 氏による不正の
経費計上の機会を与えたものといえ、また、当社としてこれらを早期に発見するこ
とができず、長年にわたり漫然と見過ごされる要因となったといわざるを得ない。
3. 杜撰な経理業務が放置された環境
上記 2 のとおり、経理財務部において適切な業務が行われない体制が長年にわたって
継続していた状況から、経理書類に度々ミスが生じており、また、そもそも現金出納帳
にその作成担当者以外の者でも容易にアクセスでき、かつ、修正可能なものであった。
このような状況が、本件の不正行為を容易にし、また、発覚を遅らせた要因に繋がっ
たというべきである。
4. 取締役による内部管理体制の不備
上記 2.(2)及び 3 で述べた経理財務部の体制の問題は本来的には各経理財務部員が自身
に委ねられた職責を適切に全うしていれば生じないものであり、個々の担当者のモラル
に問題があったといえ、また、X 氏及び Y 氏が犯した不正行為についても個々のモラルハ
ザードが原因であるといえる。
しかしながら、本件は単に X 氏及び Y 氏という一部従業員が犯したモラルハザードに
よる不祥事案という問題だけに留まらず、そもそも本件を容易にした経理財務部全体の
体制不備についても根深い問題が内在していることを指摘することができる。
そして、このような経理財務部自体の体制不備といった状況は、経理財務部員が巧妙
に秘匿して作出したものではなく、単に経理財務部員として果たすべき職責を果たして
いなかったというものに過ぎなかった。したがって、経理財務部を管掌する取締役とし
ては、自身が管掌する部門を管理する中で、かかる体制不備について少なくとも把握す
べきものであり、また、容易に把握することができたものである。
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しかしながら、実際は、当該取締役は経理財務部自体の業務量の把握や人員補充など
に取り組みつつも、部下を信頼し、自身の職責である経理財務部の確認の程度を緩めて
いたといわざるを得ず、そのために、適切な内部管理体制が機能されなかったものとい
える。
このように、経理財務部を管掌する取締役による確認が行き届いていなかったという
職務の怠慢が、X 氏及び Y 氏による不正行為の発生を未然に防ぎ、又はこれを早期に発見
することができなかった要因であるといわざるを得ない。
5. 現金についての管理体制の不備
当社においては、経費精算や業績分配給及び社員総会における賞金の支給が現金で実
施されていたため、かかる精算金や賞金の支給のために、経理財務部の従業員が都度必
要な現金の引出しを行っていた。そして、経理財務部の従業員であれば、金庫に保管さ
れるキャッシュカードの暗証番号を把握していたため、誰でも容易に現金の引出しが可
能であった。
このように、当社の経理財務部においては、従業員が日常的に容易に現金を引き出す
ことができたという状況が、X 氏及び Y 氏による着服を容易にさせたといわざるを得な
い。
また、上記のように頻繁に現金の引出しがなされ、小口現金から多額の現金が出入り
する状況であったことから、小口現金でありながら 100 万円を超える高額な残高が存在
する状態が常態化していた。このような状況も、不正な現金の引出しを容易にし、発覚
が遅れた原因というべきである。
6. 内部監査室の体制不備
経理財務部に対する内部監査項目上、現金出納帳の記載の正確性が監査の対象とされ
ていたものの、その確認方法については、実査を行った月の現金出納帳(月中のもので
あるため、1 カ月に満たない日数分のものに過ぎない。)を確認するのみであり、また、
経理財務部がサンプルとして抽出した経費の処理についてのみ証憑との整合性を確認す
るという簡易的な手法を採るに留まっていた。
しかしながら、本件で問題となった現金出納帳の残高と小口現金の実残高の不一致や
不正の経費計上については、必ずしも外部から発覚が容易でない態様ではなかったとい
える。そのため、内部監査室として、例えば、確認対象月の前数カ月の現金出納帳と比
較をすることや、経理財務部ではなく内部監査室側が無作為に選別した経費について証
憑が存在するか確認をすること等によって、証憑のない経費の計上を容易に発見するこ
とができるものであった。そのような確認手法は、これまで行っていた監査方法に加え
て実施したとしても、特段過重な負担となるものではないと考えられる。
そのため、当社の内部監査については、形式的には監査項目に基づき実施されたもの
であったとしても、実態として実効性のある内部監査が実施されていたとはいえないも
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のであった。これが本件の不正な現金の引出しや不正な経費計上を長らく見抜くことが
できなかった一要因となったといえる。
7. 一部取締役におけるコンプライアンス遵守に係る意識の欠如
当社においては、元従業員 G 氏の内部告発により、平成 31 年 4 月 22 日、取締役 B 氏
及び取締役 E 氏は本件の不正行為の事実を認識するに至ったものの、B 氏がこれを自身の
責任で対処する旨を述べ、その後取締役会への報告を怠った。
このように、取締役自身が会社において生じた重大な不祥事案について、適切に取締
役会に報告し対処するということを躊躇し、約 2 カ月も対応を怠るような対応をとって
いたという点は、その下位に位置する従業員としても、本来報告すべき事項について、
漫然と見過ごすことに抵抗がない環境下にあったとことを推測せざるを得ない。
上記の報告漏れ等については、本件の不正行為の発覚後に行われた行為であり、本件
の不正行為自体を招いたものではないにせよ、上記の報告漏れ等が行われたということ
自体が、重要事案が直ちにレポーティング・ラインに従い報告されるという体制が整っ
ておらず、重要事案が漫然と見過ごされる環境にあったといわれても明確に否定できな
い。
以 上
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別紙 1
インタビュー対象者一覧
対象者 役職又は所属
A氏 代表取締役社長
B氏 取締役(非常勤)
C氏 コーポレート本部・経理財務部
D氏 内部監査室
E氏 元取締役・コーポレート本部
F氏 経営企画管理本部
G氏 元経営企画管理本部・経理財務部
H氏 元経営企画管理本部・経理財務部
X氏 元執行役員・経営企画管理本部
Y氏 コーポレート本部・経理財務部
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