6178 日本郵政 2020-03-30 17:45:00
令和2事業年度事業計画の認可について [pdf]
2020 年 3 月 30 日
各 位
会 社 名 日 本 郵 政 株 式 会 社
代表者名 代 表 執 行 役 社 長 増田 寬也
(コード番号:6178 東証第一部)
問合せ先 IR室(TEL.03-3477-0206)
令和2事業年度事業計画の認可について
日本郵政株式会社及び当社子会社である日本郵便株式会社は、令和2事業年度事業計画(以下「事業計
画」という。
)について、2020 年 2 月 28 日(金)に総務大臣に認可申請を行い、本日、総務大臣から、認
可及び要請を受けましたので、お知らせいたします。
日本郵政株式会社の事業計画は別添1、日本郵便株式会社の事業計画は別添2のとおりです。
なお、要請事項を別紙として、各社事業計画本体に添付しています。
以 上
1
別添1
令和2事業年度
自 令和2年 4 月 1日
至 令和3年 3 月 31 日
第 16 期
事 業 計 画
日本郵政株式会社
はじめに
当社は、日本郵便株式会社(以下「日本郵便」という。、郵便貯金銀行(以下「ゆ
)
うちょ銀行」という。)及び郵便保険会社(以下「かんぽ生命」といい、日本郵便、
ゆうちょ銀行と合わせて「事業子会社」という。 の経営の基本方針の策定及び実施
)
の確保並びに株主としての権利の行使を行うとともに、グループ各社が個別に実施
するよりもグループ内で1ヶ所に集約したほうが効率的な実施が見込まれる間接
業務を事業子会社等から受託して実施することにより事業子会社等の業務を支援
するほか、病院及び宿泊施設の運営等を行うことにより、郵政ネットワークの安心、
信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま
本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せ
を目指します。また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に
貢献できるよう努めていくことを基本として会社経営を行っていきます。その業務
の運営に当たっては、日本郵政株式会社法(平成 17 年法律第 98 号)第 5 条第 1 項
に規定される、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡
易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的
にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を果たすとともに、
地域社会に貢献すべく、郵便局ネットワークの一層の活用を図ってまいります。
加えて、自然災害の発生、感染症の大流行等の危機へ備え、危機管理態勢を整備
するとともに、危機発生時には迅速かつ的確な対応を行い、業務継続の確保に努め
ます。なお、東日本大震災、熊本地震及びその他災害からの復興支援については、
引き続き、公益的性格が強い会社として、グループ一丸となって取り組んでいきま
す。
1 業務運営の基本方針
(1) かんぽ生命商品の不適正募集等の問題をはじめとした不祥事への対応
当社は、昨年度発覚したかんぽ生命商品の不適正募集等の問題に関し、昨年 12
月には総務大臣及び金融庁から、日本郵政株式会社法等に基づく行政処分を受け
ました。同様にかんぽ生命及び日本郵便においても、同問題に関し行政処分を受
けました。このほか、日本郵便において収納済切手の不適正な取扱いの再発防止
策の着実な実施及び不祥事案に関する情報公開のあり方について、総務省から行
政指導を受けました。また、ゆうちょ銀行及び日本郵便において、高齢のお客さ
まに対する投資信託の販売に関し、社内規則違反が多数発覚しました。当社及び
1
グループ各社は、昨年度発覚したこれら不祥事について真摯に反省し、今後、二
度とこのような事態を起こさぬよう取り組んでまいります。
当社としては、このたび策定した業務改善計画の実行を経営の最重要課題とし
て位置付け、具体的には主に以下のような施策を中心に取り組んでまいります。
① ガバナンス機能の発揮
速やかな情報共有態勢の構築のため、グループ会社間の連携を強化し、内部
監査、コンプライアンス、オペレーショナルリスク、お客さま満足推進といっ
た各種の経営課題に関するグループの連絡会等を充実してまいります。
また、グループ運営のための認識を共有する場として活用してきた「グルー
プ運営会議」について、グループ経営陣による議論の場として活用するなど、
機能強化を図ります。
② グループコンプライアンス機能の強化
事業子会社の内部通報窓口の利用状況(件数、通報内容、調査結果等)を集
約し、各社間の情報共有を図っていきます。また、かんぽ商品の募集をはじめ
とした金融営業専用の社外通報窓口及び郵政グループ社員の日頃の業務にお
ける問題の相談等を受ける窓口の運営により、グループコンプライアンス機能
を強化します。
そのほか、当社内に新たに設置した営業・業務担当を通じ、事業子会社の営
業・業務面に関する情報収集・当社経営陣への報告を行うとともに、事業子会
社への問題提起・調整を行ってまいります。
③ 監査部門の機能の強化
当社の監査部門による事業子会社のフロントライン等へのオンサイトモニ
タリングを実施し、必要に応じて直接監査を実施してまいります。
④ 経営理念を浸透させるための態勢整備及び各種施策を着実に実行させるため
のガバナンスの抜本的な強化
当社社長の直下にタスクフォースを立ち上げ、グループ全体としての改善の
計画について、第三者によるモニタリングを受けつつ着実に実行してまいりま
す。さらに、外部の専門家の評価及びアドバイスを受けながら、信頼回復及び
お客さま本位の業務運営を実現するために必要な取組を推進してまいります。
また、経営理念の浸透のため、日本郵政グループにおける適切な理念浸透方法
を検討の上、お客さま本位の業務運営を社員一人ひとりに浸透させる取組を実
2
施してまいります。
(2) その他の経営課題に関する取組
① コンプライアンス・監査等の取組及びお客さま本位の業務運営の実践
当社は、上場企業グループの持株会社として、部内犯罪等が引き続き発生し
ている事態に加え、かんぽ生命商品の不適正募集等の問題の発覚を踏まえ、透
明性の確保、説明責任の徹底、適正な事業運営に向けて、グループ全体のガバ
ナンス強化及びお客さま本位の業務運営の実践に努めていきます。
そのため、令和2事業年度においても、グループ全体のコンプライアンスの
水準の向上を経営の重点課題として、令和2事業年度のグループ各社のコンプ
ライアンス・プログラムの策定及び推進の状況並びに各社の内部監査態勢・監
査状況を的確に把握し、グループ各社に必要となる支援・指導を行います。加
えて、かんぽ生命商品の不適正募集等の問題を踏まえ、上記(1)で掲げた施策
に取り組むほか、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等についても、
最重要課題の一つとして取組を一層推進・管理していきます。
また、グループ各社が提供するサービスの公益性及び公共性の確保、お客さ
ま満足(CS)の向上に取り組みます。
② サイバーセキュリティの強化
激化するサイバーテロリスクに備え、グループ全体のサイバーセキュリティ
対策の高度化及び情報共有によるガバナンスの強化に取り組みます。
③ SDGs達成への取組
持続可能な社会の実現のため、SDGs達成に向け、次の事項等に取り組ん
でいきます。
・環境保全活動・環境啓発活動
CO2の排出量削減や、全国の保育園児・幼稚園児に森づくりを体験して
もらう「JP子どもの森づくり運動」等を引き続き推進します。
・ダイバーシティの推進(障害者雇用、女性の活躍推進等)
障害者雇用については、令和元事業年度において障害者の雇用の促進等に
関する法律により義務付けられている障害者雇用率(2.2%)を達成したとこ
ろですが、令和2事業年度においても、引き続きこれを達成できるよう、障
害者雇用の推進に取り組んでいきます。女性の活躍推進については、管理者
への女性登用に積極的に取り組むため、女性社員の昇進意欲の向上のための
3
意識啓発、登用拡大に向けた計画的な女性社員の育成を行っていくとともに、
仕事と生活の両立ができる職場風土づくり、各種環境の整備等に努めていき
ます。
④ 株式の処分への準備
郵政民営化法(平成 17 年法律第 97 号)第 7 条第 2 項において、当社が保有
するゆうちょ銀行及びかんぽ生命の株式は、その全部を処分することを目指し、
ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行
への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分するものとするとされてお
り、この趣旨に沿って、所要の準備を行います。また、必要に応じて、政府に
よる当社の株式の処分を可能とするための所要の準備を行います。
⑤ 日本郵政グループの企業価値向上
グループの企業価値向上を目指し、グループ中期経営計画を踏まえた子会社
の収益力強化策や更なる経営効率化、新たな収益源の確保等が着実に進展する
よう、グループ運営を行います。具体的には、日本郵政不動産株式会社を通じ
て、グループ保有不動産の活用等により不動産事業の成長を図ります。また、
アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との資本
関係に基づく戦略提携等に引き続き取り組みます。あわせて、日本郵政グルー
プ各社が抱える経営課題については、持株会社として、各社と連携を深めなが
ら、必要な支援を行い、その解消に努めます。今後のグループ経営戦略につき
ましては、次期グループ中期経営計画の策定に向けて検討してまいります。
⑥ オリンピック・パラリンピックへの貢献
東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にあたり、オフィ
シャルパートナーとして、全国の郵便ネットワークを通じて、東京 2020 大会
の成功、日本選手団の活躍、オリンピック・パラリンピックの機運醸成に貢献
していきます。
以上の基本的方針及び郵政民営化委員会からの意見を踏まえ、次に掲げる事項を
中心に事業経営を行うこととし、その遂行に当たっては経営環境の変化に即応しつ
つ弾力的に行っていきます。
4
2 その他業務運営に関する事項
(1) 事業子会社の経営の基本方針の策定及び実施の確保等
日本郵便に対しては郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保、郵便
局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という会社の目的
が達成できるよう経営の基本方針を策定するとともに、その実施の確保等を行い
ます。
具体的には、事業子会社との間で、経営の重要事項に関して日本郵政グループ
協定、日本郵政グループ運営に関する契約等を締結し、グループ全体に重大な影
響を与える事項や経営の透明性確保に必要な事項については個別の協議、承認ま
たは報告を求めること等により、グループ運営を行います。
(2) 事業子会社の業務支援
グループ各社が個別に実施するよりもグループ内で1ヶ所に集約したほうが
効率的な実施が見込まれる間接業務を事業子会社等から受託して実施すること
により、事業子会社等の業務を支援するとともにグループの経営効率の向上を図
ります。具体的には、以下の間接業務を事業子会社等から受託して実施します。
① 電気通信役務及び情報処理サービスの提供
当社が保有する電気通信設備を用いた事業子会社及び簡易郵便局法(昭和 24
年法律第 213 号)第 3 条の規定により日本郵便が同法同条に基づき業務を委託
した者への電気通信役務の提供及び情報処理システムを用いた情報処理サー
ビスの提供を行います。
② 人事及び経理に関する業務
人材派遣・紹介業務等を行う子会社を通じて、事業子会社の役職員の給与、
各種手当の計算等並びに収入事務(請求書の作成・発送依頼、口座振替依頼、
債権データの消込)及び支出事務(払出証書の作成・発送依頼、口座振替依頼、
支払案内の作成・発送依頼、債務データの消込)を行います。
③ 福利厚生に関する業務
事業子会社及び独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワー
ク支援機構の役職員等に対し、レクリエーション施設提供業務を行います。
また、人材派遣・紹介業務等を行う子会社を通じて、事業子会社及び独立行
政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構の役職員等に
対し、労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)の規定等に基づく健康管理業
5
務を行います。
④ 不動産の管理等に関する業務
事業子会社等が現に所有若しくは賃貸借するか、又は将来所有若しくは賃貸
借することとなる土地、建物等不動産及び当該不動産に附属する設備等に関し、
管理、整備計画、運営維持、設計・工事監理又は売買・賃貸借等の業務の支援
等を行います。
⑤ 人材派遣・紹介等の業務
人材派遣・紹介業務等を行う子会社を通じて、社員の募集・採用を行いグル
ープ各社等への紹介及び派遣を行います。また、グループ各社の人事関連業務
等の受託を行います。
⑥ コールセンターに関する業務
事業子会社に対し、テレマーケティング事業等を行う子会社を通じて、コー
ルセンターの施設及びシステムの提供並びに管理の業務を行います。
⑦ 人材育成に関する業務
郵政大学校を通じて、グループ横断的な研修を実施し、グループ各社の人材
の能力向上を図ります。
(3) 病院の運営
逓信病院を企業立病院として運営するとともに、地域医療との連携や救急医療
の強化等による増収対策や、業務の効率化等による経費節減、事業譲渡等を含む
見直しに取り組むことにより、経営改善を進めます。また、医療サービスの向上、
地域医療ニーズへの対応、患者満足度の向上等を推進します。
(4) 宿泊施設の運営等
旧簡易保険加入者福祉施設については、近年の景気の動向や将来予測等の外部
環境等の変化を踏まえ、宿泊利用人数増加などの増収施策、食材等原価管理の徹
底、施設配置の見直し等による効率化を着実に推進し、単年度黒字化に向けて経
営改善を図ることとします。
また、地域貢献施策の一環として、旧簡易保険加入者福祉施設において、引き
続き、施設の一部を介護予防事業者に貸与し、要支援認定者に身体機能等の改善
を図る機会を提供する業務の試行に取り組みます。
6
別 添 資金計画書
収支予算書
7
別 添
■資金計画書
令和2事業年度の資金計画書は下記のとおりである。
単位:億円
科 目 金 額
収入の部
前期繰越金 3,144
配当収入 2,513
貯金旧勘定交付金 3
関係会社受入手数料 148
間接業務手数料 364
宿泊事業収入 194
医事収入 145
その他収入 1,262
合 計 7,773
支出の部
人件費 797
物件費 630
租税公課 40
投資的支出 351
貸付金 399
その他支出 2,228
次期繰越金 3,328
合 計 7,773
(注1)計数は四捨五入しているため合計は一致しない。
(注2)「−」は計数が存在しないことを意味する。
8
■収支予算書
令和2事業年度の収支予算書は下記のとおりである。
単位:億円
科 目 金 額
経常損益の部
(営業損益の部)
1.営業収益 2,742
受取配当金 1,944
貯金旧勘定交付金 3
関係会社受入手数料 134
間接業務手数料 340
宿泊事業収入 175
医事収入 146
2.営業費用 758
人件費 7
物件費 576
減価償却費 136
租税公課 38
営業利益 1,985
合 計
(営業外損益の部)
営業外損益 91
経常利益 2,076
特別損益の部
1.特別利益 4
2.特別損失 84
税引前当期純利益 1,996
法人税、住民税及び事業税 △ 207
当期純利益 2,203
(注1)計数は四捨五入しているため合計は一致しない。
(注2)「−」は計数が存在しないことを意味する。
9
(別紙1)
1 グループにおけるガバナンス態勢の構築をはじめ、かんぽ生命
保険の不適正募集に関する業務改善計画を着実に実施することに
より、国民の信頼の着実な回復に努めること。また、こうした取
組等を通じて、企業価値を更に向上させ、民営化を着実に推進す
ること。
2 ユニバーサルサービスの安定的な提供を行うとともに、災害時
や感染症発生時の対応、サイバーセキュリティ対策等を適切に行
い、グループ全体の業務継続の確保に努めること。
3 郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式処分について、ユニバー
サルサービス提供責務の履行への影響等を勘案しつつ、適切に対
応すること。
4 宿泊事業については、経営の健全化に向けて抜本的な見直しを
進めること。病院事業については、引き続き、経営改善のための
取組を着実に進めること。
別添2
令和2事業年度
自 令和 2 年 4 月 1 日
至 令和 3 年 3 月 31 日
第 14 期
事 業 計 画
日 本 郵 便 株 式 会 社
はじめに
日本郵便株式会社(以下「当社」といいます。)は、お客さまが郵政事業に係
る基本的な役務(以下「ユニバーサルサービス」といいます。)を郵便局で一体
的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務の下、業務運
営を行っています。
今後も、国民共有の財産である郵便局ネットワークの水準を維持し、公益性・
地域性を十分発揮するとともに、郵便局のサービスを更に便利なものとするこ
とで、郵便局ネットワークの価値を向上させ、地域のお客さまの生活を総合的
にサポートできるよう取り組みます。
第1 業務運営の基本方針
Ⅰ 全社的なガバナンス強化及び組織風土改革
当社においては、株式会社かんぽ生命保険 (以下「かんぽ生命」といいます。)
とともに、かんぽ生命保険商品の販売代理店として、 保険募集管理態勢の充実・
強化は経営の最重要課題の一つであるとの認識の下、募集品質向上に向けて、
取り組んでまいりました。
しかしながら、乗換契約をはじめ顧客保護等管理上、問題となる不適切な募
集が広範に発生している状況を事前に把握し、未然に防止することができませ
んでした。
これは、日本郵政株式会社(以下「日本郵政」といいます。、当社、かんぽ
)
生命の三社及び利害関係を有しない外部専門家のみで構成される特別調査委員
会による調査、並びにかんぽ生命による特定事案の対象となる乗換契約につい
ての調査の公表があった令和元年9月 30 日以降に明らかになった事象も踏ま
えると、
・営業推進管理の仕組み(営業目標及び営業手当)
・募集管理態勢(制度・仕組みの不備)
・ガバナンスの課題(情報共有及び組織間連携の不足、第1・2・3線の機
能発揮の不足)
・組織風土(目標必達主義に見られるお客さま本位の意識の不徹底及びイン
センティブ)
といった構造的要因があり、それらへの対応策が不十分であったことによるも
のと認識しております。
1 / 18
これらの不適正募集の構造的要因等を踏まえた業務改善計画を策定し、令和
2年1月 31 日、総務大臣及び金融庁に提出したところですが、令和2事業年度
におきましても、同計画の実行を経営の最重要課題として位置付け、今後、二
度とこのような事態を起こさぬよう、全役職員が一体となって取り組んでまい
ります。
そして、 グループ各社と連携し、 お客さまの不利益解消に取り組むとともに、
お客さまと地域の皆さまへの信頼回復に努めてまいります。
また、令和元事業年度においては、収納済切手の不適正な取扱いの再発防止
策の着実な実施及び不祥事案に関する情報公開のあり方について、総務省から
行政指導を受けました。
令和2事業年度においても、業務フローを見直すなど適正な処理体制を整備
すること等により、再発防止策を着実に実施するとともに、不祥事案は、警察
に相談中又は捜査中の事案を除き、速やかに公開します。ただし、当事者が未
成年の場合等については、必要に応じ、匿名性の程度を高める等の一定の配慮
を行います。
これら「かんぽ生命の不適正募集問題」及び「収納済切手の不適正な取扱い」
等の問題に共通する要因として、ガバナンス及び組織風土に問題があったと認
識しております。
したがって、これらの問題を踏まえ、全社的に以下の改善策に取り組んでま
いります。
1 コンプライアンスの徹底
当社におけるコンプライアンスは、これまでは狭義の法令等遵守が中心でし
たが、今後は企業が期待される社会的責任の変化・拡大に対応した、広義のコ
ンプライアンスとすることが必要と認識しています。
そこで、令和2事業年度のコンプライアンス・プログラムにおいて、部内犯
罪や社員の不正防止に加え、顧客保護(コンダクト)、マネー・ローンダリング
対策(金融機能濫用の防止)等に取り組むこととし、各項目に適切な目標・指
標等を設定の上、各取組の実施、進捗管理、検証・評価等を行い、定期的・継
続的に見直してまいります。
2 / 18
2 風通しのよい職場づくり
従来、本社で指示文書等を発信すれば「郵便局まで伝えた」という意識が強
く、指示した事項ができていないとの報告を嫌う気質がある中で、フロントラ
インで発生した課題について本社に伝わりにくい環境にありました。
以上の反省を踏まえ、本社役員等がフロントラインの意見・要望を聞く場を
設け、お客さまのご要望から日頃感じている事柄に至るまで、幅広い議論を行
うなど、各層において風通しのよい職場づくりに取り組んでまいります。
3 グループ各社との連携強化
業務の縦割りの意識から部門間の連携が不十分であったことを踏まえ、内部
監査、コンプライアンス、オペレーショナルリスク、お客さま満足推進といっ
た各種の経営課題について、グループの連絡会等において議論すること等によ
り、グループ会社間の連携を強化してまいります。
また、グループ会社の経営陣による、グループ運営のための認識を共有する
場として活用してきた「グループ運営会議」において、今般の諸問題のような
重要事項に関する内容を報告するとともに、グループ会社の経営陣による議論
の場として活用してまいります。
Ⅱ 業務改善計画の着実な実施
かんぽ生命の不適正募集問題に関しては、業務改善計画に基づき、以下の取
組を着実に実施してまいります。
1 お客さま本位の業務運営に向けた取組
(1) お客さま本位の募集管理態勢の確立
不適正募集根絶及び高齢者苦情削減に向けて、平成 29 年1月に「かんぽ
募集品質改善(緊急)対策本部」を設置するなど、かんぽ生命との連携を
密にして取り組んできたものの、お客さま本位の観点から、適切なポイン
トで契約確認を行うための両社の役割、仕組みが適切に設計されていませ
んでした。
以上の反省を踏まえ、令和2事業年度におきましては、以下の取組を進
めてまいります。
3 / 18
① 不適正募集等の抑制の仕組み・対応
ア 多数契約及び意向把握不十分な契約への対策
・募集時に、渉外社員の携帯端末機で募集状況を録音・保管するこ
とにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があった
場合に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確認
できる仕組みを構築する試行を実施します。
・かんぽ生命と連携し、既契約の解約を伴わない転換制度を導入し
ます。
イ 高齢者募集等への対策
・満 70 歳以上の契約者からの契約申込みにおいて、契約者と被保
険者が別人の場合は、事前に有効な同意をいただけることを確認
する取扱いを必須化します。
ウ かんぽ生命以外の生命保険会社商品の取扱い
・各保険会社の解約及び新規契約に関するデータを集約し、募集品
質にリスクのある社員に対するモニタリングを実施の上、問題が
ある乗換契約を社員が行っていた場合は、指導を実施できる態勢
を構築します。
② 苦情等管理態勢
かんぽコールセンターが受け付けたお客さまの声を含め、全ての苦情
等のデータ提供を受け、不適正募集につながる行為等に関する苦情につ
いて、問題の背景及び原因を分析し、苦情事例と再発防止に向けた取組
等を経営会議及び取締役会に報告します。
(2) 新規契約獲得を過度に重視した営業推進管理の仕組みの見直し
保険料改定に伴う貯蓄性商品の魅力低下を受け、平成 29 年度から段階的
に営業目標水準は引き下げてまいりましたが、現場実態を十分に把握でき
ていなかったこともあり、引き下げ幅は不十分でした。
また、新契約月額保険料のみを営業目標としていたことに加え、乗換契
約についても、社内手続に則った乗換契約(転換類似)については、営業
実績に反映する評価体系としていたことが不適切な乗換契約を発生させた
要因であると認識しています。
以上の反省を踏まえ、令和2事業年度におきましては、以下の取組を進
めてまいります。
4 / 18
① 営業目標
令和2事業年度においては、金融商品の営業目標設定は行いません。
なお、令和3事業年度以降については、従来の販売額(フロー)を重
視した営業目標から、保有契約(ストック)を重視した営業目標に改め
るほか、純新規の契約者数及び青壮年層の契約者数を指標化するなど、
お客さま本位の業務運営を実現するために適切な目標を検討してまいり
ます。
② 組織業績評価
「募集品質」を独立した項目として新設し、不祥事故及び無効・合意
解除案件といった項目も対象化します。
③ 営業手当
渉外社員の営業手当の支給水準(基本給と手当の割合)を見直すとと
もに、乗換契約(転換類似)に該当する契約についても、不支給としま
す。
2 ガバナンスの強化
(1) 取締役会等の機能発揮
これまでの取組では、保険募集管理態勢又は保険募集品質に関する事項
が付議されず、深い議論には至っていませんでした。
以上の反省を踏まえ、令和2事業年度におきましては、以下の取組を進
めてまいります。
5 / 18
① 取締役会等
募集品質問題に関しては、基本的には経営会議の諮問機関であるコン
プライアンス委員会等の専門委員会、パートナー会議等の専門的かつ会
社間協議の場で行い、このうちお客さまの不利益につながるおそれがあ
る募集実態等、重要なものについては、必要に応じ経営会議又は取締役
会にも付議し、深度のある議論としていきます。
また、業務改善計画に掲げた改善策の進捗状況についても、第三者に
よるモニタリングを経た上、取締役会に付議し定期的に公表してまいり
ます。
加えて、監査役による本社所管部ヒアリング等により問題点及び課題
の把握に努めるとともに、監査役会において随時又は定期的に報告を求
め、実態の把握、対策及びその有効性について、健全な企業統治に向け
て深度のある議論をしていきます。
なお、上記は業務品質問題に限定されるものではなく、経営会議又は
取締役会の場において、適切に経営上の重要課題を議論することにより、
その機能を発揮してまいります。
② コンプライアンス委員会
令和2年1月、募集品質向上に向けた取組等や課題を報告・議論する
会議体である「適正募集の推進検討会議」を新設することで、関係各部
が連携して募集管理を議論し、経営判断に資する実効的プロセスを整備
したところですが、このうち、重要案件については、コンプライアンス
委員会でも議論し、その結果を経営会議及び取締役会に報告してまいり
ます。
(2) 三つの防衛線管理
従来、
「三つの防衛線」の考え方に照らし、各防衛線が各々の役割が整理
されておらず、自律的な内部管理態勢を確立させる体制になっていなかっ
たほか、第1線における審査・査閲についても、書類の形式的チェックに
とどまるなど、お客さま本位の観点が不足していました。
以上の反省を踏まえ、令和2事業年度におきましては、以下の取組を進
めてまいります。
6 / 18
① 第1線
令和元年9月以降、その内容の適切性・妥当性の検証プロセスを強化
しており、今後も取組の徹底を図ってまいります。
具体的には、郵便局において被保険者に加え、契約者をベースとして
過去2年の消滅状況が確認できる機能を導入し、新規契約申込みの受付
時において、当該消滅契約がお客さま都合であることを確認することで、
乗換契約のけん制を図ってまいります。
また、乗換潜脱の防止強化に向けて、乗換判定期間を拡大するととも
に、乗換判定期間に近接する契約についてはシステムでアラートを表示
し、けん制を図る取組を実施してまいります。
② 第2線
防犯面に加え、募集品質面に留意した営業活動管理を念頭に置いた施
策を実行してまいります。
具体的には、募集品質改善のための施策浸透、郵便局の指導・チェッ
ク体制強化に向けて、支社における保険募集管理態勢を強化するため、
募集品質指導専門役及び支社金融業務部の人員・体制を拡充します。
また、郵便局における不適正募集の根絶及び募集品質の改善向上を図
るため、全郵便局に対し、地方監査室社員による「保険募集品質の管理
体制の検証」を実施しているところであり、令和2事業年度においても
継続実施してまいります。
③ 第3線
第1線から第2線での PDCA の機能状況等をリスクベースで監査する
ため、要員の拡充又はリスク分析担当の配置等、その体制を充実してま
いります。
7 / 18
3 お客さま本位の組織風土の醸成
(1) お客さま本位の徹底に向けたマネジメント・人材育成
平成 30 年 3 月に、「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を公表
したものの、お客さまの幸せよりも自分の利益を優先するような営業が見
られました。
こうした背景には、営業目標達成に向けたアプローチとして、各組織に
おいて具体的な指示又は手法の提示が少ない目標必達主義のマネジメント
が行われていたことなど、マネジメント・人材育成上の課題があると認識
しています。
以上の反省を踏まえ、令和 2 事業年度におきましては、以下の取組を進
めてまいります。
① 「販売・サービス方針」及び「お客さま本位の業務運営方針に関する
基本方針」を改定し、商品・サービスの提供に当たっては、法令及び社
会規範等を遵守するだけではなく、プリンシプルベースでお客さま本位
の行動を徹底し、お客さまの最善の利益を図ることを明文化するととも
に、全社員への意識浸透を図ってまいります。
② お客さま本位の観点に立った募集の基本方針(意向把握、意向確認、
適合性確認等の募集プロセスを強化したスタンダードな販売モデルを含
みます。)を明確化した上、全社員への意識浸透に向けて研修を継続実施
します。
③ 郵便局社員がお客さまの将来のライフプランに寄り添い、その目的に
合った幅広い商品及びサービスを提供することを目的として、現在の研
修体系及び内容を見直してまいります。
具体的には、商品別の研修体系からコンサルティングサービスの提供
をベースとした研修体系への転換を図り、必要な知識、スキル及びマイ
ンドの付与を強化するとともに、各社員の課題に対応するテーマ別研修
の充実等も図ってまいります。
④ 推進管理主体のマネジメントから脱却するために、コーチングを取り
入れた管理・指導手法(募集品質管理、適正提案指導、活動管理、金融
関連知識指導等)を身に付けるための管理者研修を実施してまいります。
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⑤ 郵便局社員が研修に関して、意見等(問題のある研修の報告を含みま
す。)を直接伝えられる仕組みを構築し、不適切な研修等の是正に取り組
みます。
また、有志が自主的に行う勉強会である、いわゆる「自主研究会」の
あり方を改め、社員が要望する研修内容を会社が企画し、社員自らの意
思による参加型の研修機会を提供する仕組みを導入します。
⑥ 郵便局社員への指導方法を見直すため、総合的なコンサルティング指
導を行う指導者として、コンサルティング アドバイザーを設置します。
・
また、全国で一定水準が担保されたコンサルティングサービス研修を
実施するため、営業力養成センターを「コンサル育成センター」に改称
し、本社直轄とします。
⑦ 郵便局の金融渉外部を「金融コンサルティング部」に改称の上、新た
に支社に「金融コンサルティング統括本部」を設置することにより、お
客さま本位のマネジメント体制を構築します。
(2) インセンティブ施策
お客さま本位に基づいた募集品質確保の観点が不十分であった原因は、
本社、支社等が、主として営業推進の向上を目的としてインセンティブを
実施していたことなどが、結果として営業実績を重視する営業を促すこと
になったと認識しています。
以上の反省を踏まえ、令和2事業年度におきましては、営業選奨を実施
せず、お客さま本位の営業活動を踏まえた評価項目及び評価基準の見直し
を進めてまいります。
また、インセンティブについても、社員のモチベーション向上を図りつ
つ、 お客さま本位の営業活動に資する施策となるよう、見直しを行います。
(3) 人事評価と処遇
渉外社員及び窓口社員の人事評価においては、撤回等については、個別
の項目として人事評価に反映してきませんでした。
また、管理者の人事評価においても、十分なけん制効果を得られていな
い評価項目となっていました。
以上の反省を踏まえ、令和2事業年度におきましては、窓口社員及び管
理者の人事評価においても、募集品質に係る評価項目及び評価基準を新設
し、不適正募集の抑止及び募集品質向上に向けた取組を促進してまいりま
す。
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(4) 真の情報共有
本社で指示文書等を発信すれば「郵便局まで伝えた」という意識が強く、
指示した事項ができていないとの報告を嫌う気質がある中で、フロントラ
インで発生した課題について本社に伝わりにくい環境にありました。
また、かんぽ生命との情報共有も不十分であった中で、営業推進及び募
集管理の状況に加え、お客さまの声及び監査、検査、モニタリング等を通
じたフロントラインの実態把握が不十分であったことから、顕在化した問
題点には対応していましたが、伏在していた不適正事案又はその疑いのあ
る事案の発生等に関する問題点や原因について、経営陣に必要な情報が伝
達できなかったことがあったと認識しています。
以上の反省を踏まえ、令和2事業年度におきましては、不適正募集又は
その疑いのある事案の発生等に関する問題点及び原因の把握に向けて、フ
ロントラインから本社に伝えやすい仕組みを構築するため、現在の内部通
報窓口に加え、日本郵政に金融営業専用の社外通報窓口を新設し、社員に
対して、その活用を周知徹底してまいります。
また、募集品質の実態把握については、さらにかんぽ生命と緊密な情報
共有の上、関係各部がフロントラインの実態を十分把握し、募集品質に関
する問題点が経営層にきちんと伝わるよう、取締役会又は経営会議に付議
することとします。
なお、金融営業に限らず、全社的な組織風土改革が必須と考えていると
ころ、本社役員等がフロントラインの意見・要望を聞く場を設け、お客さ
まのご要望から日頃感じている事柄に至るまで、幅広い議論を行うなど、
各層において風通しのよい職場づくりに取り組んでまいります。
Ⅲ 持続的な成長に向けた取組
当社の事業を取り巻く社会環境は、人口減少に伴う地方創生の必要性の高ま
りや経済のグローバル化の進展のほか、インターネットの普及等による郵便物
の減少や EC 市場の拡大による荷物需要の増加、 サービス品質に対するお客さま
ニーズの変化や、労働市場の逼迫等を背景にした人件費単価の上昇等が継続し
ております。
また、AI やロボット、FinTech 等の技術革新や、キャッシュレス化を始めと
する生活のデジタル化の進展、 シェアリングサービスの拡大や SDGs の重要性の
高まり等、急速な変化も見られます。
今後、お客さま目線に立って、お客さまにサービスを円滑かつ確実に提供し
ていくためには、このような事業環境に的確に対応し、働き方改革に取り組み
つつ、安定した経営を定着させることが、当社の重要な経営課題であると認識
しています。
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1先端技術の活用
EC 市場の拡大に伴い成長が著しい物流事業においては、先端技術の活用に
よってオペレーション体系を見直し、生産性を向上させていくことが必要不
可欠であると認識しております。
こうした認識の下、令和2事業年度においては、
・郵便窓口におけるキャッシュレス決済導入局の拡大
・テレマティクスを活用した安全推進及び業務適正化、区画・道順の見
直し(後者は一部の郵便局で実施)
・荷物のルーティング、トレース、電子サイン等、スマートフォンアプ
リを活用したゆうパック等の集配業務の効率化(一部の郵便局で実施)
・音声認識 AI を活用した再配達依頼受付の本格展開
に取り組むとともに、中長期的な観点から、ロボティクスの導入(自動搬送
車等) や配送高度化 (ドローンや配送ロボット、自動運転車等)についても、
将来的な実用化に向けて、試行・実験を進めてまいります。
また、環境の変化やテクノロジーの動向に応じた業務の劇的な効率化や、
デジタル化した差出情報等を活用した顧客視点の商品・サービスの付加価値
創出、ストックデータを活用した組織運営の変革を実現すべく、従来から行
っているデジタルトランスフォーメーションに向けた検討も継続して進めて
まいります。
2郵便局ネットワークの価値向上に向けた取組
少子高齢化や人口減少の進展、デジタル化による若年層を中心とした郵便
局離れなどにより、郵便局の利用者・取扱件数は減少しており、この傾向は
加速すると想定しています。
この環境下において、持続的な成長を実現するためには、ネットワークの
最適化の推進や地域ニーズに応じた多様な郵便局の展開等により、郵便局ネ
ットワークの価値を向上させていくことが必要であると考えております。
こうした認識の下、令和2事業年度においては、地方公共団体からの包括
事務受託、地方銀行との提携、駅と郵便局の併設等の取組など、地方公共団
体・他企業と連携したサービス展開や地方創生の取組拡大、地域ニーズに応
じた多様な郵便局の展開を進めることにより、郵便局ネットワークの価値向
上に取り組んでまいります。
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3 SDGs に関する取組の強化
事業を継続していく上で、SDGs の必要性・重要性が高まっている中、当社
も企業活動全般を通じ、積極的に社会に貢献してまいります。
具体的には、電気自動車及び電動二輪車への切替えや、LED 化の推進等に
よる省エネ設備への更改、e 受取サービスの拡充等による再配達の削減を通
じて、CO2 削減に取り組み、環境負荷の軽減に寄与します。
また、社員一人ひとりが活き活きと能力を十分に発揮するため、女性管理
者登用率の向上や多様な価値観の理解・受容に向けた研修の充実等により、
ダイバーシティを引き続き推進するほか、育児・介護と仕事の両立支援や男
性社員の育休取得を促進するなど、働き方改革にも取り組んでまいります。
第2 日本郵便株式会社法第4条第1項から第3項までに規定する業務に関す
る計画
日本郵便株式会社法(平成 17 年法律第 100 号)第4条第1項に規定する郵便
の業務、銀行窓口業務、保険窓口業務等の業務を確実に実施するとともに、第
2項及び第3項の規定により営む業務を行います。
主な計画は以下のとおりです。
なお、日本郵便株式会社法第4条第2項第3号及び第3項に規定する業務等
に関しては、郵政民営化法(平成 17 年法律第 97 号)第 92 条の規定により、同
種の業務を営む事業者の利益を不当に害することのないよう特に配慮しなけれ
ばならないとされていることを踏まえた計画としています。
1 郵便の業務(印紙の売りさばき、お年玉付郵便葉書等の発行を含みます。 )
インターネットの普及等により、郵便物は減少傾向にありますが、年賀状
をはじめとした、スマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽
しさを伝える活動の展開等により、郵便利用の維持を図ってまいります。
また、東京 2020 オリンピック・パラリンピックの開催に当たり、特殊切手・
はがきを販売するほか、メダリストフレーム切手やホストタウンフレーム切
手を発行するとともに、大会期間中における交通規制への対応など適切な業
務運行に努めてまいります。
なお、郵便物等の放棄・隠匿については、郵便物を確実に配達する責務を
重く受け止め、引き続き社員教育・コミュニケーションの充実に重点を置い
た社員育成を行うとともに、防犯重点ルール等の周知・指導を徹底してまい
ります。
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2国内物流業務
EC 市場の拡大に伴う荷物増加、特に小型荷物の増加に対して、個々のお客
さまの課題に応える課題解決型営業や当社の機動力を活かすことによって収
益の拡大を図るほか、オペレーション体系の見直しやコストコントロールの
取組を推進してまいります。
また、業務効率向上及び不在再配達率削減に向け、置き配の普及・拡大等
を進めるとともに、先端技術を活用したオペレーション体系の見直しにも取
り組んでまいります。
3銀行窓口業務等
令和元事業年度においては、高齢のお客さま(70 歳以上)に対する投資信
託の販売に関し、「勧誘前」の管理者承認を怠っていたという社内規則違反が
発覚しました。
当該事案の発生を受け、株式会社ゆうちょ銀行と連携し、全ての高齢のお
客さまに対して、アフターフォローを実施するとともに、販売ルールの理解
浸透を目的とした研修を実施するなど、再発防止に向けた取組を行っており
ます。
令和2事業年度においても、営業目標を設定せず、投資者保護を目的とし
たアフターフォローを継続するとともに、適正な販売態勢の構築に取り組ん
でまいります。
4保険窓口業務等
令和元事業年度においては、乗換契約をはじめ顧客保護等管理上、問題と
なる不適切な募集が広範に発生している状況を事前に把握し、未然に防止す
ることができず、業務改善計画を策定し、令和2年1月 31 日、総務大臣及び
金融庁に提出したところです。
令和2事業年度においても、業務改善計画を着実に実行するとともに、営
業目標を設定せず、お客さまへのお詫びやフォローアップ活動(ご契約内容
の確認等)を最優先として、取り組んでまいります。
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5地方公共団体からの委託事務等
郵便局の果たすべき社会的使命は、創業以来培ってきたお客さまや地域か
らの信頼を基に、ユニバーサルサービスを提供しつつ、地域と寄り添い、地
域と共に生き、地域を丸ごと支えることであると認識しております。
行政サービスや民間拠点等も含む社会インフラの維持が困難になりつつあ
る中、令和2事業年度においても、地方公共団体事務の包括受託の拡大や包
括連携協定の締結推進に取り組んでまいります。
また、マイナンバーカードの普及促進に向けた取組にも、引き続き協力し
てまいります。
6不動産業務等
不動産事業については、引き続き、JPタワー(商業施設名称:KITT
E)、JPタワー名古屋(商業施設名称:KITTE名古屋)、KITTE博
多等、オフィスビルや商業施設等の賃貸事業を行うとともに、住宅地に所在
する土地の有効活用事業として、住宅、保育所及び高齢者施設の賃貸事業等
も継続してまいります。
また、令和2事業年度においては、新たな収益機会の拡大や保有不動産の
有効活用の観点から、広島駅南口計画(仮称)、虎ノ門・麻布台地区第一種市
街地再開発事業及び梅田3丁目計画(仮称)に投資します。
その他、外部事業者等への土地・建物賃貸及び郵便局敷地又は遊休地での
駐車場事業の運営等活用を実施しておりますが、活用の見込みがないと思わ
れる不動産については売却を検討してまいります。
7国際物流業務
豪州経済の減速や米中貿易摩擦等の影響により、トール社を取り巻く事業
環境は大変厳しい状況であると認識しています。
令和2事業年度におきましては、令和2年1月に就任した新経営陣の下、
コスト削減施策の徹底や事業領域の見直し等、経営改善に向けた取組を推進
するとともに、エクスプレス事業における収益性改善、アジア顧客への営業
強化等を実施してまいります。
8その他の業務
お客さまが安全・安心で、快適・豊かな生活・人生を実現することをサポ
ートする「トータル生活サポート企業」実現のため、カタログ等を利用して
行う商品の販売や郵便局のみまもりサービス等を提供していくほか、出資・
提携の拡大も含め、新たな商品・サービスの検討も進めてまいります。
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第3 日本郵便株式会社法第6条第2項の規定による届出の対象となる郵便局
及び会社の営業所の設置及び廃止に関する基本的な計画
1郵便局等の設置について
郵便局等の設置に関しては、ユニバーサルサービスを着実に提供できるよ
う、日本郵便株式会社法第6条及び日本郵便株式会社法施行規則(平成 19
年総務省令第 37 号)第4条に定めるところに基づき、過疎地については、郵
便局ネットワークの水準を維持することを旨としています。
一時閉鎖となっている簡易郵便局については、日本郵便株式会社法施行規
則第4条第5項の過疎地であるか否かにかかわらず、引き続き、早期再開に
向け取り組みます。
また、応急的な対応が必要な場合には、地域の実情やお客さまの利用状況
に応じ、「移動郵便局」による窓口サービスの提供等の取組を実施します。
なお、郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金・拠出金制度も活
用し、引き続き、国民共有の財産である郵便局ネットワークの水準の維持に
取り組んでまいります。
2郵便局等の新設について
お客さまの多様なニーズにお応えし、お客さまサービスの向上、郵便局等
における商品 サービスの取扱いの拡大等を目指して、
・ 地域の変化等により、
お客さま利用の増加が見込まれる地域等については、店舗の出店に向けた取
組を進めます。
また、地域と寄り添い、地域と共に生き、地域を丸ごと支えるため、社会
環境の変化に伴うお客さまニーズの変化に対応する店舗や、地域社会の課題
を解決する店舗の出店に向けた取組を進めます。
具体的には、駅舎と局舎の併設、コンサルティングに特化した店舗の拡大
等を進め、 地域の拠点」
「 としての郵便局の価値向上に取り組んでまいります。
3郵便局等の廃止等について
お客さまの需要の減少や店舗施設の老朽等の課題解消に伴う店舗配置の見
直しを行います。
また、郵便局等の利用者層や利用されるサービスが特定のものに限られる
など、営業の効率化の観点から経営改善の必要がある郵便局等については、
運営形態等の見直しを行います。
一時閉鎖の期間が長期化している簡易郵便局において、地域需要と他の郵
便局の配置状況に照らし、地域住民の日常生活上の動線等から他の郵便局を
容易に利用できるものについては、整理を進めていきます。
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第4 その他事業の運営に関する事項
1東日本大震災、熊本地震及びその他災害からの復興支援
東日本大震災、熊本地震及びその他災害からの復興支援において、郵便・
貯金・保険の郵便局サービスは、被災された方々の日常生活維持にとって必
要不可欠なサービスであることから、引き続き、日本郵政グループ各社との
連携を密にし、郵便局の再開等を通じて、被災された方々の日常生活支援等
に貢献していきます。
2災害等の緊急事態への対応
当社は、地震等の自然災害や感染症の大流行等の企業活動に重大な影響を
及ぼす緊急事態が発生した場合に、 優先的に再開させる重要業務を明確にし、
事業継続と復旧をスムーズに実現させるための体制作りと事前対策を整備す
ることを目的に事業継続計画を策定しております。
また、これに加えて、災害対策基本法第 39 条第 1 項の規定に基づく業務計
画、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保
護法) 36 条第 1 項の規定に基づく業務計画及び新型インフルエンザ等対策
第
特別措置法第 9 条第 4 項の規定に基づく業務計画を策定しております。
3国際的な協調・連携
万国郵便条約に基づく義務の履行を着実に行うとともに、 令和 2 事業年度、
コートジボワールで開催される第 27 回万国郵便連合(UPU)大会議におい
て、積極的な参加や主導的な取組等を通じ、国際的な協調・連携を推進し、
国際郵便の品質向上を図ります。また、世界トップクラスの品質を誇る当社
の郵便・郵便局ネットワークに関するノウハウや関連技術を用いて、外国郵
便事業体に積極的に協力していくこととします。
別添 資金計画書
収支予算書
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別 添
令和2事業年度 資金計画書
単位:億円
科 目 金 額
資金収入
前期繰越金 10,154
郵便事業収入 14,111
印紙収入 13,605
貯金及び保険受託業務収入 6,225
交付金 2,934
その他の業務収入 8,932
その他財務的収入 -
借入金 -
合 計 55,961
資金支出
人件費 21,535
物件費 6,968
租税公課等 3,242
投資的支出 1,350
印紙収入納付額 13,624
借入金償還 -
次期繰越金 9,242
合 計 55,961
(注1) 計数は四捨五入しているため合計は一致しない。
(注2) 「−」は計数が存在しないことを意味する。
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令和2事業年度 収支予算書
単位:億円
科 目 金 額
営業収益 29,928
郵便業務収益 13,291
印紙受託業務収益 410
銀行及び保険受託手数料 5,659
交付金 2,935
その他営業収益 7,634
営業原価 27,488
人件費 20,260
経費 7,228
物件費 5,856
減価償却費 1,116
その他の経費 256
販売費及び一般管理費 1,953
人件費 872
物件費 691
その他の経費 390
営業利益 487
営業外収益 47
営業外費用 17
経常利益 518
特別利益 79
特別損失 94
税引前当期利益 502
法人税、住民税及び事業税 283
当期純利益 219
(注) 計数は四捨五入しているため合計は一致しない。
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(別紙2)
1 グループ各社と連携し、ガバナンス強化及び組織風土改革に取
り組むとともに、かんぽ生命保険の不適正募集に関する業務改善
計画の着実な実施、不祥事案が発生した場合における情報公開の
徹底等により、国民の信頼の着実な回復に努めること。
2 少子高齢化・人口減少の本格化、ICTの進展等の社会環境の
変化を踏まえ、IoT、AI等の先端技術を活用し、経営の効率
化や利用者利便の向上に取り組むとともに、将来に向けた経営基
盤を強化すること。
3 持続可能な地域社会の構築に資するよう、郵便局ネットワーク
を活用し、マイナンバーカードの普及促進、地方自治体からの事
務受託、地方銀行との連携等の取組を積極的に進めること。
4 ユニバーサルサービスの安定的な提供を行うとともに、災害時
や感染症発生時の対応、サイバーセキュリティ対策等を適切に行
い、業務継続の確保に努めること。