6178 日本郵政 2020-03-13 15:00:00
業務改善計画の進捗状況について [pdf]
2020 年 3 月 13 日
各 位
会 社 名 日 本 郵 政 株 式 会 社
代表者名 代 表 執 行 役 社 長 増田 寬也
(コード番号:6178 東証第一部)
問合せ先 IR室(TEL.03-3477-0206)
業務改善計画の進捗状況について
日本郵政株式会社(東京都千代田区、代表執行役社長 増田寬也) (以下、
「日
本郵政」という。、日本郵便株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長兼執行
)
役員社長 衣川和秀) (以下、「日本郵便」という。 )および株式会社かんぽ生命
保険(東京都千代田区、代表執行役社長 千田哲也) (以下、
「かんぽ生命」とい
う。)は、本日、業務改善命令(2019 年 12 月 27 日)に基づく業務改善計画の進
捗状況(2020 年 2 月末時点)を総務大臣および金融庁に報告しました。
業務改善計画については、今後も弊社グループの最重要課題の位置付けとし
て、全役職員が一丸となって取り組んでまいります。
なお、業務改善計画の進捗状況は次ページ以降のとおりです。
1
業務改善計画の進捗状況について
1 かんぽ生命のご契約調査の結果
(1) 特定事案調査の進捗状況
① ご意向確認の進捗状況
2 月 29 日時点において、ご案内が終わっているお客さまは約 15.4 万人
(99%) うちご意向確認ができたお客さまは約 13.4 万人
、 (86%)となっ
ており、 お電話が繋がらないお客さまやご住所が不明、 長期ご不在等、 一
部コンタクトの取れないお客さまについて、ご案内やご意向確認を継続
して行っております。
ご意向確認ができていないお客さまに対しては、3 月中に再度、返信用
封筒を同封したアンケート用紙をお送りします。
お客さまから 4 月以降にお申出をいただいた場合も丁寧な対応を継続
してまいります。
② 契約復元等の進捗状況
2 月 29 日時点において、47,968 人のお客さまから契約復元等について
の詳細説明のご希望をいただいており、43,013 人のお客さまに対して契
約復元等の手続きのご説明が完了しており、残りのお客さまに対しても、
かんぽ生命社員の訪問や郵送により、契約復元等の手続きのご説明等を
継続して行っております。そのうち、36,721 人のお客さまから契約復元
等の意思表示をいただき、35,564 人のお客さまの契約復元等が完了して
おります。
契約復元等のご案内を送付したお客さまのうち、まだ契約復元等の申
込書をご返送いただいていないお客さまに対しては、3 月中に再度、かん
ぽ生命社員の訪問やご案内をお送りいたします。
お客さまから 4 月以降に契約復元等のご要望があった場合も丁寧な対
応を継続してまいります。
③ 募集人調査の進捗状況
特定事案調査の対象事案 18.3 万件のうち、2 月 29 日時点において、募
集人調査の対象事案は 13,396 件となっており、法令違反または社内ルー
ル違反の有無の判定が完了した事案は、8,772 件となっております。
このうち、法令違反が認められた事案は 174 件(203 人) 、社内ルール
2
違反が認められた事案は 1,996 件(1,522 人)となりました。
特定事案調査における募集人の面談は、 新たに判明した対象事案や、退
職者との調査日程調整中の事案を除き、概ね完了しております。
なお、法令違反又は社内ルール違反の有無の判定は、 病休などの理由に
より調査不能になっている事案や、 一部のお客さま再調査事案、 募集人か
らの再判定要望事案を除き、2020 年 3 月末までに判定を完了する予定と
しております。
(2) 全ご契約調査の進捗状況
お客さま約 1,900 万人に対して、 100 万通のご回答をいただいており、
約
お客さまからいただいたご意見・ご要望については、訪問によるご説明や、
かんぽ生命の専用コールセンターからのお電話等でのご説明、 保険契約に関
するお手続きなどの対応を進めております。
2 月 29 日時点で残り約 18 万人のお客さまに対しては、3 月末を目途に、
引き続き上記の対応を進めるとともに、 お電話がつながらなかった等により
コンタクトができていないお客さまについては、 架電やご案内状を送付する
等し、お客さまへ継続してご連絡をしてまいります。
また、お客さま対応に時間を要する契約措置が必要なもの等については、
4 月以降も丁寧な対応を継続してまいります。
(3) 全ご契約調査の深掘調査の進捗状況
多数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返されており、 お客さまの
ご意向に沿ったものではない可能性が想定されるケースのうち、2 月から優
先的に対応を開始したお客さま(※) (897 人)について調査を進め、2 月 29
日時点でご連絡がとれたお客さまが 807 人(90%) 、ご契約内容の確認が完
了したお客さまが 727 人(81%)となっております。
(※)過去 5 年間で新規契約を 15 件以上加入し、その半数以上が消滅
① 多数契約調査(優先対応 1:897 人)の状況 2
対象人数 割合
お客さまへのご連絡・ご契約内容の確認状況
(人) (%)
ご連絡がとれたお客さま 807 90%
ご契約内容の確認が完了したお客さま 727 81%
3
ご意向に沿う 309 34%
4
ご意向に沿わない 418 47%
アポイント取得済み 80 9%
アポイント取得中のお客さま 90 10%
計 897 100%
3
1.過去 5 年間で新規契約を 15 件以上加入し、その半数以上が消滅
2.2 月 29 日時点
3.「事業の資金繰りのため」や「住宅のリフォーム資金のため」などのお客さまのご意思による
もののほか、募集人の家族等が契約関係者となっている解約・新規申込み
4.「郵便局員に勧められるがまま解約や新規申込みをした」や「解約・新規申込みの認識がない」
などお客さまのご意思によらない解約・新規申込み
② 多数契約調査(優先対応以外)の進捗状況
優先対応以外のお客さま (5,532 人)についても調査を進めており、 月
2
29 日時点でご連絡がとれたお客さまが 1,500 人、ご契約内容の確認が完
了したお客さまが 882 人となっています。
③ 今後の対応
多数契約調査については、 かんぽ生命の社員の訪問によるご契約内容の
確認を 4 月末を目処に進めるともに、募集状況の確認を併せて行い、 不利
益が発生しているお客さまに対しては、 その解消を図るとともに、 必要に
応じて募集人調査を行うなど、適切に対応してまいります。
また、多数契約以外の調査(※)として、お支払いいただく保険料が高
額であったり、被保険者や保険種類を変更するなどして新規契約に加入
したことがあるなどのお客さまに対しては、お客さまの契約状況が分か
るお手紙の発送やお電話、かんぽ生命や日本郵便の社員による訪問等に
より、グループを挙げたご契約内容の確認を 2020 年 6 月末を目処に進め
てまいります。
上記調査対象以外についても、信頼回復・ご契約内容確認のための訪問
活動を通じ、 お客さまのご意見・ご要望を丁寧にお聞きしてまいります。
また、いただいた多数のご意見・ご要望をもとに、募集活動の改善に繋
げていくとともに、継続的なご契約内容の確認活動や年に 1 度ご契約者
さまにお送りしている「ご契約内容のお知らせ」の改善などにより、様々
な機会を通じてお客さまからの声をいただくことを継続していき、お客
さまのご意向に寄り添っていく活動を続けてまいります。
(※)調査対象につきましては、2020 年 1 月 31 日付プレスリリース「業務改善計画
について」をご参照
2 1の調査により、不適正な募集行為を行ったと認められる募集人に対する
適切な対応(事故判定・処分基準の厳格化と運用の徹底を含む)
(1) 事実認定・事故判定の厳格化等
① 自認に頼らない事実認定・事故判定の実施
4
募集人が不適正募集の事実を否定した場合であっても、 外形的にお客さ
まに不利益と認められる契約形態、 お客さまからの回答内容や信憑性の高
い状況証拠に基づき、 不適正募集に関する事実認定を行い、 適切な処分を
実施しております。【2019 年 11 月実施済み】
② 調査協力(自己申告)制度の取組強化
調査の実施に当たって、 自らの違反行為の申告や調査への十分な協力を
行った場合には、 募集人に対する処分について、本来よりも軽減又は免除
を行うといった迅速な原因究明等に資する取組みを実施しております。
【2019 年 11 月から順次実施】
(2) 処分基準の厳格化等
① 募集人処分における「業務停止」及び「注意」の追加
募集人処分については、従前は「業務廃止」と「厳重注意」の二段階と
しておりましたが、 一定期間募集を停止させる処分等を追加し、不適正募
集の態様・程度に応じた処分を実施するための規程改正を 2020 年 3 月に
実施します。【2020 年 4 月実施】
② 管理者に対する処分
不適正募集を発生させた募集人の管理者については、 過怠の程度に応じ
た厳格な処分を日本郵便に対して要請することとし、 そのための規程改正
を 2020 年 3 月に実施します。【2020 年 4 月実施】
3.主な対策の進捗状況
(1) かんぽ生命の主な対策の進捗状況
① 適正な営業推進態勢の確立(乗換を助長しない、かつ実態に即した営業
目標の策定を含む)
ア 適正な営業目標の設定
(ア) 営業の実力に見合った営業目標の設定と配算方法の見直し
2020 年度は営業目標の設定を行わないことを決定しました。
2021 年度以降に営業目標を設定する場合においては、生命保険マ
ーケット等の見通しを踏まえ、 現場の営業力に不適切な募集が含まれ
ていないかを確認することのほか、 当年度と次年度の各種施策の変化
要素に渉外社員数の増減の影響を加えた上で算出するとともに、 適正
な募集品質に基づく営業力で達成できるものになっているか等、 営業
5
部門・経営企画部門のほか、募集管理部門との間で協議のうえ、決定
します。
また、営業目標の日本郵便の各支社及び各郵便局への配算に際して
は、営業目標の水準の適正化と合わせて、適切に実施できているか日
本郵便の取組みの確認を行います。
(イ) 販売額(フロー)を重視した営業目標から、保有契約(ストック)
を重視した営業目標への見直し等
2021 年度以降に営業目標を設定する場合においては、これまでの
新契約月額保険料実績に偏重した目標管理等を改め、新契約と契約
継続の両方を同じ重要度で評価できるよう、 新契約と消滅契約(解約
等)の月額保険料を差し引きしたストックを重視した目標に改めま
す。
また、3年間消滅率を目標化するとともに、純新規の契約者数及
び青壮年の契約者数についても指標化し、 青壮年層に重点を置いた営
業活動に移行します。
(ウ) 人事評価の見直し
募集品質に係る評価項目のウエイトを高めるなど見直しの内容に
ついて 2020 年 3 月末までに整理します。【2020 年 4 月以降実施】
イ 契約乗換への対策
(ア) 契約乗換の販売実績不計上・手当不支給
契約乗換については販売実績の計上を行わないとしたことに加え、
現行の手当 (通常の契約の二分の一支給) を不支給とする見直しにつ
き、 日本郵政グループ労働組合において妥結の承認を得ました (2020
年 2 月 14 日プレスリリース)【2020 年 4 月実施】
。
(イ) 契約乗換潜脱の防止
契約乗換の判定期間を拡大するとともに、判定期間に近接する契
約についてはアラート表示を行い、確認するためのシステム改正を
実施しました。【2020 年 4 月実施】
ウ 高齢者募集への対策
満 70 歳以上のお客さまについては、原則、募集人からの勧奨を停止
しております。お客さまのご意向によりお申込みをいただく場合には、
必ずご家族等の同席またはご家族等への事前のご説明を実施しており
ますが、満 80 歳以上のお客さまからのお申込みの受付時に被保険者さ
6
まから事前同意をいただく取扱いを満 70 歳以上のお客さまに拡大しま
す。【2020 年 4 月実施】
エ お客さまの保障ニーズに応えるための商品開発
多様な保険商品の開発が出来ていない中、低金利環境下で、商品魅力
が低下している養老保険・年金保険等の貯蓄性の高い商品が主力とな
っていたことを踏まえ、青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに応
えるための商品の開発を目指します。
② コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成(適切な
募集方針の策定・浸透や職員及び募集人に対する研修を含む)
ア 適切な募集方針の策定・浸透
(ア) お客さま本位の理念に基づいた行動規範の策定
生命保険本来の役割・使命を踏まえた高い倫理観に基づき保障
を提供するというプリンシプルベースの基本的な行動の実践を徹底
するため、 2020 年 2 月の取締役会においてお客さま本位の理念を反映
させた勧誘方針を決議しました。
今後、Web サイトへの掲載を通じて、お客さまに対して勧誘方針を
公表することとしています。 【2020 年 4 月実施】
(イ) 「かんぽ営業スタンダード」の策定
お客さま本位の理念を反映させた勧誘方針に基づくかんぽ営業の
行動原則を「かんぽ営業スタンダード」として定義するとともに、こ
れを具体化した研修資料を 2020 年 2 月に作成しました。
この「かんぽ営業スタンダード」に基づき、お客さまの将来への不
安や保険のご加入状況等を踏まえた真のニーズを的確に把握したう
えで商品提案を行うためのご意向確認補助シート(仮称)の作成及び
同シートを活用した具体的なご意向確認方法を策定します。 【2020 年
4 月以降実施予定】
イ 募集人等に対する研修
「かんぽ営業スタンダード」の意義や基本的な考え方に関する研修を
2020 年 2 月 21 日から開始しました。【2020 年 3 月末に向けてかんぽ生
命及び日本郵便の全募集人等に対して実施】
なお、4 月以降も、各種研修を通じて、 「かんぽ営業スタンダード」
の確実な定着を図っていきます。
7
ウ 社員の声の把握の充実
既に、かんぽ生命社員から同社社長への直接提案制度について実施し
ておりますが、これに加え、かんぽ生命経営陣が各支店等を訪問し、現
場の社員の声を直接聞く「役員ダイアログ(対話)」を実施【2020 年 2
月開始】しております。
③ 適正な募集管理態勢の確立(代理店に対する十分なけん制機能の構築
を含む)
ア お申込みから契約締結までの重層的なチェックの実施
外形上、募集品質に懸念のある申込みについては、 既に導入している
「募集事前チェック機能」の対象を拡大【2019 年 4 月以降順次実施】
するとともに、郵便局管理者【2019 年 9 月実施済み】及びかんぽ生命
の専用コールセンター【2020 年 1 月実施済み】によるお客さまへのご
意向確認に加え、 引受審査時のかんぽ生命のサービスセンター 【2019 年
8 月実施済み】による重層的なご意向確認を行っております。
また、解約請求の際には、郵便局の渉外社員による説明・確認に加え、
かんぽ生命の専用コールセンターからお客さまに意向確認や不利益事
項のご説明の有無の確認を行います。 【2020 年 1 月実施済み】
さらに今後は、解約手続きを原則郵便局の窓口のみで実施すること
の検討のほか、 解約等請求時のサービスレベル低下の回避策として、 ダ
イレクトチャネルでの解約等受付についても検討します。
イ 適正な募集管理に向けた態勢の強化
(ア) かんぽ生命の本社の機能の見直し等
従来第2線(コンプライアンス部門・募集管理部門)が担ってきた
適正募集の実現に向けた企画・指導業務を第1線(営業部門)に移管
することで、 これまでよりも第1線が募集品質の確保を前提とした営
業への責任を担うとともに、 第2線が第1線の施策に対する検証業務
に注力することで、 適切な相互牽制の下、 お客さま本位に立脚した施
策の立案が可能となる態勢を構築します。 【2020 年 2 月決定、2020 年
4 月組織改正予定】
また、不適正募集等に対する調査業務の指揮命令機能をコンプライ
アンス調査室 (新設) に集約することで調査機能を強化します。 【2020
年 2 月決定、2020 年 4 月組織改正予定】
上記のほか、 本社の募集管理部門、 コンプライアンス部門及び苦情
対応部門等の体制を強化します。 【2020 年 4 月以降実施】
(イ) かんぽ生命の支店等の機能の見直し
8
営業推進に注力した代理店支援から、 募集品質の確保を前提とした
代理店支援・指導へ見直し、募集態様調査及び適正募集指導に係る体
制を強化します。【2020 年 7 月以降実施】
(ウ) お客さま情報の高度化
かんぽ生命の支店及び郵便局において、お客さまからお申込みを
いただいた際に、お客さまの過去の契約の加入・消滅履歴等をシス
テム上、簡易に把握できる仕組みを設け、募集品質管理に活用でき
る態勢を整備します。
この一環として、2020 年 4 月には、郵便局等におけるお客さまの
契約の消滅履歴の確認範囲を過去 3 か月から過去 24 か月に拡大し
ます。【2020 年 4 月実施】
ウ 条件付解約等制度・契約転換制度の導入
保障の見直しをお客さま本位で実現できる制度として、 条件付解約等
制度の導入を実施しました。【2020 年 1 月実施済み】
また、既契約の解約を伴わない契約転換制度の導入に向けたシステム
開発に着手するなど具体的検討を進めております。 【2020 年 10 月以降
早期実施予定】
エ 募集状況の録音・録画・保管
募集時において、 渉外社員の携帯端末機で募集状況を録音・保管する
ことにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があった場
合に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確認できる
仕組みの構築に向けて、 2020 年 3 月 2 日から試行を開始しております。
【2020 年 8 月以降実施予定】
オ 苦情等からの潜在的問題の把握
募集態様に問題が疑われる苦情を高いリスク感度を持って検知し、各
担当部署の役割分担を明確にした上で、入口から出口まで責任を持っ
て、フォローを行う態勢の構築に向けた各種検討を開始しております。
【2019 年 12 月以降順次実施】
④ 上記を着実に実行し、定着を図るためのガバナンスの抜本的な強化
ア 募集状況等の実態把握の強化及び PDCA サイクルの徹底
(ア) 社内外のリスク情報の把握・分析
お客さまからの苦情、社員の声、経営データ等様々な情報をシステ
9
ム等を活用しながらリスク感度を上げて、把握・分析するための専任
チームを設置しており、今後具体的な分析手法を確立するためのトラ
イアル(苦情や社員の声の分析)を実施します。【2020 年 4 月以降
実施】
(イ) 問題を検知した事象に対する同種同構造の事案の網羅的な横展開
調査
問題を検知した事象に対して個別的に対応するのみならず、 同種同
構造の事案を検知し調査を横展開することで、 当該問題の深度を把握
するためのトライアルを実施します。 【2020 年 4 月以降実施】
(ウ) PDCA サイクルの徹底
改善策の検討に当たっては、真因分析を行った上で、改善策の優先
順位を含め、 経営陣での深度ある議論を行い、募集品質向上に向けた
改善策の効果検証 見直しのサイクルについてスピード感をもって徹
・
底する態勢を整備します。
当面は今般の業務改善計画等における適正な募集管理態勢確立の
ための各種改善策の効果検証を実施します。 【2020 年 4 月以降実施】
イ 内部統制の強化
(ア) 取締役会等のガバナンス機能強化
A 取締役会における「審議」の新設等
経営課題を前広に議論するため、 従来の 「決議」、
「報告」に加え、
決議案の作成段階から社外取締役の知見を活用する 「審議」の新設
を 2020 年 3 月の取締役会において決議します。2020 年 3 月実施】
【
また、 取締役会の臨時開催のほか、 積極的な意見交換を目的とし
た社外取締役間会合を 2 月に開催し、今年度の取締役会の実効性
評価について議論しました。 【2020 年 2 月実施済み(今後も随時開
催予定) 】
B 監査委員会の機能強化
(A) 内部監査計画の決定・変更および内部監査部門の重要人事 (担
当執行役・部長)については、監査委員会の事前同意を必要とす
ることと改めるための規程改正を 2020 年 3 月に実施します。
【2020 年 3 月実施】
(B) 監査委員会として、募集態様の実態やお客さまに生じている
不利益事項に踏み込んだ報告を受けたうえで、検証のための調
10
査を指示し、調査結果をもとに担当執行役に対して必要な助言
等を行うこととし、2020 年 2 月の監査委員会においては、内部
監査担当執行役から調査報告を受け、報告内容についての協議
を実施しました。 2020 年 2 月実施済み
【 (今後も随時実施予定)】
(イ) 内部監査
内部監査の人材・体制を強化するほか、 リスクアセスメントの強化
などにより実効的な監査に向けて外部の専門家の協力を得られるよ
う準備を行っております。 【2020 年 4 月以降実施】
(2) 日本郵便の主な対策の進捗状況
① 営業推進管理の仕組みの見直し(営業目標、営業手当体系等)
ア 営業目標の設定方針
お客さまからの信頼回復に向けた活動に、最優先に取り組むため、
2020 年度は営業目標を設定しないことを決定しました。
なお、営業目標は設定しないものの、販売額(フロー)を重視した
営業活動から保有契約 (ストック)を重視した営業活動に移行します。
また、青壮年層や郵便局を利用されていないお客さまとの関係構築
にも取り組みます。
さらに、募集品質の指標も設定します。
イ組織業績評価
2020 年度の組織業績評価では「募集品質」を独立した項目として新
設し、 不祥事故および無効・合意解除案件といった項目も対象化するこ
とについて、支社に説明を開始しました。
ウ営業手当
個人契約の契約乗換についての手当支給等の見直しおよび渉外社員
への営業手当の支給水準(基本給と手当の割合)の見直しを、日本郵政
グループ労働組合に提案し、同労働組合において妥結の承認を得まし
た。(2020 年2月 14 日プレスリリース)
②募集管理態勢の確立
ア 不適正募集等の抑制の仕組み・対応
(ア) 多数契約および意向把握不十分な契約
A 外形上、品質に懸念のある申込みについて、郵便局管理者によ
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るお客さまのご意向確認に加え、かんぽ生命の専用コールセンタ
ーによる重層的なご意向確認(契約者が満 70 歳以上の場合は、ご
家族等に対しても確認します。)を行っています。
B 解約請求の際には、郵便局の渉外社員による説明および確認に
加え、かんぽ生命の専用コールセンターによるお客さまのご意向
確認および不利益事項のご説明の有無の確認を実施しています。
C お客さまのご希望による乗換の場合、新規契約の締結後に既契
約を解約する条件付解約等制度を実施しています。
D 募集時に、渉外社員の携帯端末機で募集状況を録音・保管する
ことにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があっ
た場合に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確
認できる仕組みを 2020 年3月2日から試行実施する準備を行い
ました。(2020 年2月 20 日指示)
E 2020 年4月実施予定の満 70 歳以上の契約者からの契約申込み
において契約者と被保険者が別人の場合は、事前に有効な同意を
いただけることを確認する取扱いの事前研修を同年 2 月に指示し
ています。
F 既契約の解約を伴わない転換制度の早期導入に向け、かんぽ生
命が作成する約款およびマニュアルを踏まえ、事務フローを調整
しています。
(イ) 高齢者募集等への対策
満 70 歳以上の方から契約の申込みをいただいた場合は、募集人に
加えかんぽ生命の専用コールセンターがご家族等に対して契約申込
みに同意いただけることを確認する取扱いを行っています。
また、配布教材「正しく知ろう認知症」を活用した研修を 2020 年
1月から2月に実施しました。
イ懲戒処分運用
特定事案調査の非違者および関係者に関する処分について検討を進
めています。
ウ 苦情等管理態勢
かんぽ生命のコールセンターが受け付けた「お客さまの声」を含め
た全ての苦情等のデータ提供を受けて、不適正募集につながる行為等
に関する苦情の背景・原因を分析し、苦情事例、取組等の対応状況を経
営会議および取締役会に報告しています。
12
③ ガバナンスの強化
ア 取締役会等の機能発揮
A 代表取締役社長を本部長とする金融ビジネス緊急対策本部を設置
し、原則一週間単位で、募集品質に関する重要事項、取組の進捗等
を協議しています。
B 取締役会については、定例開催のほか、かんぽ問題に関しては臨
時でも開催し、機動的かつ重点的に議論をしています。
C 監査役会でもかんぽ問題に関する報告を行い、必要に応じて助言
がなされ、監査役間でも議論をしています。
D コンプライアンス委員会等の協議のうち、お客さまの不利益につ
ながるおそれがある募集実態等、重要な募集品質問題については、
取締役会、経営会議または監査役会に付議し、深みのある議論をし
ています。
イ コンプライアンス委員会等
A 募集品質向上に向けた取組等や課題を報告・議論する会議体であ
る「適正募集の推進検討会議」を 2020 年1月に新設し、関係各部が
連携して募集管理について議論し、経営判断に寄与する実効的プロ
セスを担保しています。
B 「適正募集の推進検討会議」の議論のうち重要案件についてはコ
ンプライアンス委員会で議論し、その結果を経営会議に付議し、経
営陣に報告しました。
ウ 三つの防衛線管理
(ア) 第1線について
A 2019 年9月以降、契約内容および募集行為の適切性・妥当性の
検証プロセスを強化しており、今後も取組の徹底を図ります。
(a) 保険募集管理態勢の強化を図るため、金融渉外業務を担当す
る管理者に加え、窓口業務を担当する管理者についても、募集品
質改善責任者として指定しました。
(b) かんぽ契約の過去の消滅状況等、お客さま情報を高度化して
一元管理できる仕組みを 2020 年4月から導入できるよう、構築
中です。
13
(c) 乗換潜脱の防止を強化するため、乗換判定期間を拡大するこ
とを、日本郵政グループ労働組合に提案し、同労働組合において
妥結の承認を得ました。
B 営業活動記録簿について、社員の記載を必須とする項目を追加
し、記載ルールを明確化するとともに、管理者の確認項目を明確
化し、募集品質面に留意した管理機能を強化しています。
(イ) 第2線について
A 募集品質改善のため、支社での保険募集管理態勢の強化に向け
て、募集品質指導専門役および支社金融業務部の体制に関する組
織の改正を 2020 年2月に決定しました。
B 営業目標の設定方針について、支社による上乗せ不可等、過剰
な目標とならないとするなど、募集品質改善担当部署も参加し、
確認しました。
C 地方監査室社員による全郵便局における保険募集品質の管理体
制の検証を継続実施しています。
D 募集品質上の課題については、かんぽ生命から提供を受ける募
集品質データの分析精度を高め、要因分析に基づく対応策等を関
係の会議体に付議し、施策の実施可否、効果検証等を行っていま
す。
(ウ) 第3線について
A 監査部では、要員又はリスク分析担当の配置等、監査体制の充
実に向け、内部監査職等を配置する組織改正を 2020 年2月に決定
しました。
B 郵便局の実態がわかるよう事前アンケートの実施等でヒアリン
グの充実を図り、情報収集を強化するとともに、かんぽ生命商品
の募集に特化したテーマ監査を実施しています。
④ お客さま本位の組織風土の醸成(人事評価、表彰制度、研修等)
ア お客さま本位の徹底に向けたマネジメント・育成
(ア) 募集の基本方針(販売・サービス方針、お客さま本位の業務運営
に関する基本方針)を見直すことを 2020 年2月に決定しました。
(イ) お客さまの将来のライフプランに寄り添い、その目的に合った商
品およびサービスを幅広く提供できるよう、募集品質の向上、業務
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知識強化、コミュニケーションスキル向上等、お客さま本位の営業
活動および総合的なコンサルティングサービスにに寄与する各種研
修を実施しています。
(ウ) 2020 年4月からの管理者に対する研修実施に向け、研修体系・研
修内容の検討を進めました。
また、営業推進管理に偏ったマネジメントから脱却するために、
新たなマネジメントのあり方、コーチングを取り入れた管理・指導
手法を習得する研修の検討を進めています。
(エ) 社員による研修に対する意見または問題ある研修を報告により直
接伝える仕組みの導入により、不適切な研修等の是正に取り組んで
いきます。
A 社員が研修に関して本社に直接意見を伝えることのできる仕組
みとして、社内ポータルサイトを活用する方向で検討を進めてい
ます。
B 社員が要望する研修内容を会社が企画し、社員自らの意思によ
る参加型の研修機会を提供する仕組みの内容および運営方法の詳
細について、検討を進めています。
(オ) 2020 年4月から総合的なコンサルティングサービスを指導でき
る指導者として、コンサルティング・アドバイザーを設置し、郵便
局社員への指導方法を見直します。
また、 営業力養成センターを 「コンサル育成センター」に改称し、
本社直轄とすることとし、 研修内容についても検討を進めています。
こうした組織改正を 2020 年2月に決定しました。
(カ) 郵便局の金融渉外部を「金融コンサルティング部」に改称の上、新
たに支社に「金融コンサルティング統括本部」を設置し、お客さま本
位のマネジメント体制に見直す組織改正を 2020 年2月に決定しまし
た。
イ インセンティブ施策
(ア) 2020 年度は営業目標を設定しないため、2020 年度実績に基づく
2021 年度の営業選奨は実施しないこととしました。
(イ) なお、2020 年度はインセンティブを実施しないこととします。
ウ 人事評価と処遇
窓口、渉外社員等の人事評価についても、募集品質の評価項目およ
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び評価基準を新設することを、日本郵政グループ労働組合に提示しま
した。
エ 真の情報共有
(ア) 日本郵政に新たに設置される金融営業専用の社外通報窓口の社員
周知及び認識の徹底に向け、研修等の準備を行いました。
(イ) 募集品質の実態把握については、2020 年1月に新設した「適正募
集の推進検討会議」で、募集コンプライアンスについての取組等の
議論を行いました。重要案件についてコンプライアンス委員会に付
議し、経営陣に報告しました。
(3) 日本郵政の主な対策の進捗状況
① ガバナンス機能の発揮
ア 連絡会の新設・充実
グループコンプライアンス委員会、グループオペレーショナルリス
ク管理連絡会を新設し、グループ各社との情報共有を実施するととも
に、グループ内部監査連絡会議等の充実、グループお客さま満足推進連
絡会の活性化等を行いました。
また、各委員会及び連絡会の開催状況については、経営会議、取締役
会へ報告しています。
イ 「グループ運営会議」の強化
グループ運営会議において、経営情報の週次・月次報告や経営会議の
概要の説明の他、次年度経営計画や、各社の主要トピック等について議
論しました。
② グループコンプライアンス機能の強化
ア 内部通報窓口の情報共有
内部通報窓口の利用状況をとりまとめ、グループコンプライアンス
委員会へ報告することで、各社間との情報共有を実施しました。
イ 金融営業専用の社外通報窓口の新設
電子メール及び電話により、社員からの通報を受け付けるための受
付センターの準備をしているところです。
また、寄せられた通報を法律的見地から精査する弁護士との契約に
向けて、交渉を行っているところです。
ウ 「日本郵政グループ社員 業務相談窓口」の新設
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グループ各社と調整の上、2 月 25 日に「日本郵政グループ社員 業
務相談窓口」をグループ各社のポータルサイトに開設し、 運用を開始し
ました。
エ 営業・業務に関する機能の強化
日本郵政グループ各社の営業・業務関係部署に対して、 大きな論点と
なっている、あるいは大きな論点となる可能性のある事項等について、
適宜、情報連携するよう指示し、 受け取った情報を関係役員に報告しま
した。
また、営業・業務面における各社の課題・懸案事項を日本郵政の経営
会議等で報告しました。
③ 監査部門の機能の強化
ア 事業子会社へのオンサイトモニタリングの実施等
郵便局及び金融渉外本部に対してオンサイトモニタリングを実施す
るとともに、事業子会社の監査に同行しました。
イ グループ内部監査連絡会議等の充実
令和 2 年 1 月に実施した郵便局へのオンサイトモニタリング及び各
社監査部の取組状況について、グループ内部監査連絡会議へ報告しま
した。
④ 経営理念を浸透させるための態勢整備及び各種施策を着実に実行させ
るためのガバナンスの抜本的な強化
ア トップメッセージの発出
「お客さま本位の業務運営」の重要性について、営業再開時に、全社
員に対してトップメッセージを発出することとしています。日本郵政
グループ社員が 「お客さま本位の業務運営」 の重要性を理解するために
適切なメッセージの発出方法について、検討を始めました。
イ 改善策の進捗管理及びお客さま本位の業務運営の実現に向けた取組
令和 2 年 2 月 7 日に第 1 回タスクフォースメンバーによる会合を開
催し、 各事業子会社のメンバーとともにタスクフォースの課題、 今後の
取組内容等を共有しました。 また、外部のコンサルタント会社も交え、
毎週 2 回協議を行っています。
さらに、 外部の有識者で構成する第三者機関 (アドバイザリーコミッ
ティ)を、来年度早々に立ち上げることから、人選・就任打診等を行っ
ています。
ウ 経営理念の浸透のための取組
日本郵政及び各事業子会社で実施している理念浸透活動及び社風改
革について、外部のコンサルタント会社とともに担当部署へヒアリン
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グを行い、現在までの取組に対する評価を行いました。
以上
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