6178 日本郵政 2020-01-31 17:00:00
業務改善計画について [pdf]
2020 年 1 月 31 日
各 位
会 社 名 日 本 郵 政 株 式 会 社
代表者名 代 表 執 行 役 社 長 増田 寬也
(コード番号:6178 東証第一部)
問合せ先 IR室(TEL.03-3477-0206)
業務改善計画について
日本郵政株式会社(東京都千代田区、代表執行役社長 増田寬也) (以下、
「日
本郵政」という。、日本郵便株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長兼執行
)
役員社長 衣川和秀) (以下、 「日本郵便」という。)および株式会社かんぽ生命
保険(東京都千代田区、代表執行役社長 千田哲也) (以下、
「かんぽ生命」とい
う。)は、2020 年 1 月 31 日に総務大臣および金融庁に業務改善計画を提出いた
しました。
今回の行政処分に関しまして、お客さまをはじめ関係者の皆さまに多大なご
迷惑をお掛けしますこと、改めて深くお詫び申し上げます。
弊社グループの全役職員は今般の行政処分を厳粛に受け止め、このたび策定
した業務改善計画の実行を経営の最重要課題として位置付け、今後、二度とこ
のような事態を起こさぬよう取り組みます。改善策の実施にあたっては、社長
直下にタスクフォースを設置し、第三者によるモニタリングを受けつつ、着実
な実行と改善のスピードアップを図ってまいります。
また、今回の業務改善計画にとどまることなく、日本郵政グループの信頼を
回復し、お客さま本位の業務運営を実現するために必要な取り組みを、外部の
専門家の方のアドバイスをいただくとともに、公正・中立な立場から厳しく評
価していただくことで、徹底して参ります。
なお、業務改善計画の要旨は次ページ以降のとおりです。
1
業務改善計画の要旨
1かんぽ生命のご契約調査の結果
顧客に不利益を生じさせた可能性の高い契約の特定、調査、契約復元等、
適切な顧客対応の実施(「特定事案調査」の契約類型及びそれ以外の不適正
な募集行為の可能性がある契約類型を含む)
(1) 特定事案調査の進捗状況
① ご意向確認の進捗状況
1 月 28 日時点において、ご案内が終わっているお客さまは約 15.4 万人
(98%) うちご意向確認ができたお客さまは約 13.2 万人
、 (85%)となっ
ております。
② 契約復元等の進捗状況
47,447 人のお客さまから契約復元等についての詳細説明のご希望をい
ただいており、かんぽ生命社員の訪問や郵送により、34,057 人のお客さ
まに対して、契約復元等の手続きのご説明が完了しております。そのう
ち、22,137 人のお客さまから契約復元等のご希望をいただき、20,994 人
のお客さまの契約復元等が完了いたしました。
③ 募集人調査の進捗状況
特定事案調査の対象事案 18.3 万件のうち、1 月 29 日時点において、
募集人調査の対象事案は 13,215 件となっており、法令違反または社内ル
ール違反の有無の判定が完了した事案は、4,855 件となっております。
このうち、法令違反が認められた事案は 106 件、社内ルール違反が認
められた事案は 1,306 件となりました。
④ 今後の対応
ア ご意向確認・契約復元等
お客さまのご意向確認を引き続き実施していくとともに、契約復元
等をご希望されるお客さまに対して、契約復元等のご案内の送付やか
んぽ生命社員の訪問による手続きのご説明を実施し、お客さまのご都
合による場合を除いて、2020 年 3 月末までに契約復元等を完了させる
予定としております。なお、2020 年 4 月以降も、お客さまから契約復
元等のご要望があった場合は、丁寧な対応を継続してまいります。
2
イ 募集人調査
特定事案調査における法令違反又は社内ルール違反の有無の判定は、
病休などの理由により調査不能になっている事案や、一部のお客さま
への再確認が必要な事案等を除き、2020 年 3 月末までに判定を完了す
る予定としております。
(2) 今後のお客さま対応の取組み
全ご契約調査については、お客さま約 1,900 万人に対して、1 月 28 日時
点で約 100 万通のご回答をいただき、約 76 万人のお客さまにご回答のお礼
等のごあいさつ状を送付させていただいております。 いただいたご意見・ご
要望については、 専用コールセンターからのお電話でのご説明や、 保険契約
に関するお手続きなど、順次お客さま対応を進めており、2020 年 3 月末を
目処にお客さま対応を進めてまいります。 なお、 お客さま対応に時間を要す
る契約措置が必要なもの等については、 月以降も丁寧な対応を継続してま
4
いります。
2020 年 2 月から全ご契約調査のさらなる深掘調査として、かんぽ生命支
店の社員による訪問等を優先順位の高いものから順次開始し、お客さまの
ご不満やご意見等の確認、 当時の募集状況の調査を行い、 不利益が発生して
いるお客さまについては、その解消を図ってまいります。
全ご契約調査等でお客さまからいただいたご回答・ご意見等の中には、 多
数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返されており、 お客さまのご意
向に沿ったものではない可能性が想定されるケース (下記「①多数契約調査」
参照)があり、そのなかでも優先的に対応を開始するお客さま(約 900 人:
過去 5 年間で新規契約を 15 件以上加入し、その半数以上が消滅)について
は、かんぽ生命支店社員が訪問し、ご契約内容の確認を 2020 年 2 月末を目
処に進めてまいります。
上記以外のお客さまについても、かんぽ生命支店社員が対象のお客さま
を訪問し、ご契約内容の確認を 2020 年 4 月末を目処に進めてまいります。
① 多数契約調査
区分 調査対象(定義) 対象契約者数
過去 5 年間で新規契約を 10 件以上加入し、その
3 割以上が消滅(解約、失効、減額または保険料
多数契約 約 0.6 万人
払済契約への変更を指す。下表②において同
じ。 )したもの
(※)多数契約の調査対象となる契約者には、下表②でも調査対象となる契約者が含まれて
いる(重複した契約者は多数契約の対象契約者数に計上)。
3
また、多数契約以外の調査(下記「②多数契約以外の調査」 参照)として、
お支払いいただく保険料が高額であったり、被保険者や保険種類を変更す
るなどして新規契約に加入したことがあるなどのお客さまについて、かん
ぽ生命支店社員等の訪問、お客さまの契約状況が分かるお手紙の発送やお
電話などにより、ご契約内容の確認を 2020 年 6 月末を目処に進めてまいり
ます。
② 多数契約以外の調査
区分 調査対象(定義) 対象契約者数
2019 年 12 月時点で 65 歳以上の契約者が月額保
険料 10 万円以上の払込を行っており、かつ短期
多額契約 約 1.8 万人
消滅契約が 1 件以上発生(2014 年 4 月∼2019 年
12 月)しているもの
過去 5 年間で契約者が同一で被保険者を変更した
被保険者を替えた
新規契約を締結し、その変更後契約が短期消滅し 約 2.7 万人
乗換契約
ているもの
過去 5 年間で年金から保険への乗換があったも
保険種類を替えた
の、または保険⇔年金の乗換の繰り返しがあった 約 0.4 万人
乗換契約
もの
保険期間等短縮変 過去 5 年間で既契約の保険期間等を短縮変更し、
更制度を利用した 新規契約の申込をしているもののうち、新規契約 約 0.4 万人
乗換契約 が引受謝絶等に該当するもの
上記調査対象以外についても、訪問活動を順次実施することを通じ、お客
さまのご契約内容の確認が必要な事案は、誠実に不利益解消を図ってまい
ります。
さらに、継続的なご契約内容の確認活動や年に 1 度ご契約者さまにお送
りしている「ご契約内容のお知らせ」を改善し、お客さまにご契約内容をご
確認いただき、お客さまの気づきを促す機会を提供してまいります。
2 1の調査により、不適正な募集行為を行ったと認められる募集人に対する
適切な対応(事故判定・処分基準の厳格化と運用の徹底を含む)
(1) 事実認定・事故判定の厳格化等
① 自認に頼らない事実認定・事故判定の実施
募集人が不適正募集の事実を否定した場合であっても、外形的にお客さ
4
まに不利益と認められる契約形態、 お客さまからの回答内容や信憑性の高
い状況証拠に基づき、 不適正募集に関する事実認定を行い、 適切な処分を
実施しております。【2019 年 11 月実施済み】
② 調査協力(自己申告)制度の取組強化
調査の実施に当たって、 自らの違反行為の申告や調査への十分な協力を
行った場合には、 募集人に対する処分について、本来よりも軽減又は免除
を行うといった迅速な原因究明等に資する取組みを実施しております。
【2019 年 11 月から順次実施】
(2) 処分基準の厳格化等
① 募集人処分における「業務停止」及び「注意」の追加
募集人処分については、従前は「業務廃止」と「厳重注意」の二段階と
しておりましたが、一定期間募集を停止させる処分等を追加し、 不適正募
集の態様・程度に応じた処分を実施します。【2020 年 4 月実施】
② 管理者に対する処分
不適正募集を発生させた募集人の管理者については、部下社員の過怠の
程度に応じた厳格な処分を日本郵便に対して要請します。【2020 年 4 月実
施予定】
3 主な対策
(1) かんぽ生命の主な対策
① 適正な営業推進態勢の確立(乗換を助長しない、かつ実態に即した営業
目標の策定を含む)
ア 適正な営業目標の設定
(ア) 営業の実力に見合った営業目標の設定と配算方法の見直し
営業目標の設定においては、生命保険マーケット等の見通しを踏
まえ、現場の営業力に不適切な募集が含まれていないかを確認する
ことのほか、当年度と次年度の各種施策の変化要素に渉外社員数の
増減の影響を加えた上で算出するとともに、適正な募集品質に基づ
く営業力で達成できるものになっているか等、営業部門・経営企画
部門のほか、 募集管理部門との間で協議して決定することとします。
【2020 年 2 月方針決定】
また、 営業目標の日本郵便の各支社及び各郵便局への配算に当たっ
ては、営業目標の水準の適正化と合わせて、適切に実施できている
5
か日本郵便の取組みの確認を行います。【2020 年 2 月方針決定】
(イ) 販売額(フロー)を重視した営業目標から、保有契約(ストック)
を重視した営業目標への見直し
これまでの新契約月額保険料実績に偏重した目標管理等を改め、 新
契約と契約継続の両方を同じ重要度で評価できるよう、新契約と消
滅契約(解約等)の月額保険料を差し引きしたストック目標を導入
します。 【2020 年 2 月方針決定】
(ウ) 人事評価の見直し
募集品質に係る評価項目のウエイトの見直しを実施します。
【2020
年 4 月実施予定】
イ 契約乗換への対策
(ア) 契約乗換の販売実績不計上・手当不支給
契約乗換については販売実績の計上を行わないとしたことに加え、
現行の手当(通常の契約の二分の一支給)を、不支給とするよう見直
しを行います。 【2020 年 4 月実施予定】
(イ) 契約乗換潜脱の防止
契約乗換の判定期間を拡大するとともに、判定期間に近接する契
約についてはシステムでアラート表示を行い、 確認することについて、
必要な対応を行います。 【2020 年 4 月実施予定】
ウ 高齢者募集への対策
(ア) お客さまのご家族登録の必須化
満 70 歳以上のお客さまについては、ご家族の方でも契約内容の確
認ができるよう、 必ずご家族登録をご利用いただくこととしておりま
す。 【2019 年 10 月実施済み】
(イ) お申込時のご家族等へのご説明の必須化
満 70 歳以上のお客さまについては、原則、募集人からの勧奨を停
止しておりますが、 お客さまのご意向によりお申込みをいただく場合
には、必ずご家族等の同席またはご家族等への事前のご説明を実施
【2019 年 10 月実施済み】することとしたほか、満 80 歳以上のお客
さまからのお申込みの受付時に被保険者さまから事前同意をいただ
く取扱いを満 70 歳以上のお客さまに拡大します。 【2020 年 4 月実施
予定】
6
エ お客さまの保障ニーズに応えるための商品開発
多様な保険商品の開発が出来ていない中、低金利環境下で、商品魅力
が低下している養老保険・年金保険等の貯蓄性の高い商品が主力となっ
ていたことを踏まえ、青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに応える
ための商品の開発を目指します。
② コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成(適切な
募集方針の策定・浸透や職員及び募集人に対する研修を含む)
ア 適切な募集方針の策定・浸透
(ア) お客さま本位の理念に基づいた行動規範の策定
生命保険本来の役割・使命を踏まえた高い倫理観に基づき保障
を提供するというプリンシプルベースの基本的な行動の実践を徹底
するため、お客さま本位の理念を行動規範(募集(勧誘)方針など)
に反映させたうえで、 お客さま本位のあるべき姿の明示やお客さまの
立場に立って最適なサービスを自律的に考える環境の整備を行いま
す。 【2020 年 2 月以降継続実施】
(イ) 「かんぽ商品のスタンダードモデル」の策定
お客さまの将来への不安や現状等を踏まえた真のニーズをヒアリ
ングシート等により的確に把握したうえで商品提案を行う等といっ
たかんぽ商品のスタンダードな販売モデルを策定し、徹底します。
【2020 年 2 月実施予定】
イ 募集人等に対する研修
「かんぽ商品のスタンダードモデル」に基づく郵便局向けマニュア
ル等を作成し、お客さま本位の理念に基づいた行動規範(募集(勧
誘)方針など)及び「かんぽ商品のスタンダードモデル」を郵便局等
の営業現場まで浸透させるための研修を実施します。【2020 年 3 月以
降継続実施】
ウ 社員の声の把握の充実
かんぽ商品の募集をはじめとした金融商品営業専用の社外通報窓口
を新設します。【2020 年 3 月実施予定】
また、かんぽ生命社員から同社社長への直接提案制度の導入【2019 年
12 月実施済み】のほか、グループ各社社員の日頃の業務における問題
7
の相談等を受ける窓口の新設【2020 年 2 月実施予定】など、社員の声
の把握に努めます。
③ 適正な募集管理態勢の確立(代理店に対する十分なけん制機能の構築
を含む)
ア お申込みから契約締結までの重層的なチェックの実施
外形上、募集品質に懸念のある申込みについては、 既に導入している
「募集事前チェック機能」の対象を拡大【2019 年 4 月以降順次実施】
するとともに、郵便局管理者【2019 年 9 月実施済み】及びかんぽ生命
の専用コールセンター【2020 年 1 月実施済み】によるお客さまへのご
意向確認に加え、 引受審査時のかんぽ生命のサービスセンター 【2019 年
8 月実施済み】による重層的なご意向確認を行っております。
また、解約請求の際には、郵便局の渉外社員による説明・確認に加え、
かんぽ生命の専用コールセンターからお客さまに意向確認や不利益事
項のご説明の有無の確認を行います。 【2020 年 1 月実施済み】
さらに今後は、解約手続きを原則郵便局の窓口のみで実施すること
の検討のほか、解約等請求時のサービスレベル低下の回避策として、
ダイレクトチャネルでの解約等受付についても検討します。
イ 適正な募集管理に向けた態勢の強化
(ア) 体制の強化
本社の募集管理部門、コンプライアンス部門及び苦情対応部門等
の体制を強化します。【2020 年 4 月以降実施】
(イ)かんぽ生命の本社・支店等の機能の見直し
調査業務の指揮命令機能を集約する組織等を設置することで調
査機能の強化を図るほか、営業推進に注力した代理店支援から、募
集品質の確保を前提とした代理店支援・指導へ見直し、募集態様調
査及び適正募集指導に係る体制を強化します。【2020 年 4 月以降実
施】
(ウ)お客さま情報の高度化
かんぽ生命の支店及び郵便局において、お客さまからお申込みを
いただいた際に、お客さまの過去の契約の加入・消滅履歴のほか、
当該契約の募集人情報をシステム上、簡易に把握できる仕組みを設
け、募集品質管理に活用できる態勢を整備します。【2020 年 4 月以
8
降順次実施】
ウ 条件付解約等制度・契約転換制度の導入
保障の見直しをお客さま本位で実現できる制度として、条件付解約
等制度の導入を実施しました。 【2020 年 1 月実施済み】
また、既契約の解約を伴わない契約転換制度を導入してまいります。
【2020 年 10 月以降早期実施予定】
エ 募集状況の録音・録画・保管
募集時において、渉外社員の携帯端末機で募集状況を録音・保管する
ことにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があった場合
に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確認できる仕
組みを構築します。【録音・保管につき 2020 年 3 月試行実施予定】
オ 苦情等からの潜在的問題の把握
募集態様に問題が疑われる苦情を高いリスク感度を持って検知し、 各
担当部署の役割分担を明確にした上で、入口から出口まで責任を持って、
フォローを行う態勢を構築します。 【2019 年 12 月以降順次実施】
④ 上記を着実に実行し、定着を図るためのガバナンスの抜本的な強化
ア 募集状況等の実態把握の強化及び PDCA サイクルの徹底
(ア) 社内外のリスク情報の把握・分析
お客さまからの苦情、社員の声、経営データ等様々な情報をシステ
ム等を活用しながらリスク感度を上げて、 把握・分析します。【2020
年 4 月以降実施】
(イ) 問題を検知した事象に対する同種同構造の事案の網羅的な横展開
調査
問題を検知した事象に対して個別的に対応するのみならず、同種
同構造の事案を検知し調査を横展開することで、当該問題の深度を
把握する態勢を構築します。【2020 年 4 月以降実施】
(ウ) PDCA サイクルの徹底
改善策の検討に当たっては、 真因分析を行った上で、改善策の優先
順位を含め、 経営陣での深度ある議論を行い、募集品質向上に向けた
改善策の効果検証・見直しのサイクルについてスピード感をもって
9
徹底する態勢を整備します。【2020 年4月以降実施】
イ 内部統制の強化
(ア) 取締役会等のガバナンス機能強化
A 取締役会における「審議」の新設等
経営課題を前広に議論するため、従来の 「決議」 、
「報告」 に加え、
決議案の作成段階から社外取締役の知見を活用する「審議」を新設
するほか、決議事項の対象範囲を見直します。 【2020 年 2 月以降実
施】
また、取締役会の臨時開催のほか、取締役懇談会を積極的に活用
して、意見交換を充実させます。【2020 年 2 月以降実施】
B 監査委員会の機能強化
(A) 内部監査計画の決定 変更および内部監査部門の重要人事
・ (担
当執行役・部長)については、 監査委員会の事前同意を必要とす
ることと改めます。【2020 年 2 月以降実施】
(B) 募集態様の実態やお客さまに生じている不利益事項に踏み
込んだ報告を受けたうえで、 検証のための調査を指示し、調査結
果をもとに監査委員会として、担当執行役に対して必要な助言
等を行います。【2020 年 2 月以降継続実施】
(イ)内部監査
内部監査の人材・体制を強化するほか、リスクアセスメントの強
化などにより実効的な監査を実施します。【2020 年 4 月以降実施】
(2) 日本郵便の主な対策
① 営業推進管理の仕組みの見直し(営業目標、営業手当体系等)
ア 営業目標の設定方針【2020 年2月内容決定】
(ア) 販売額(フロー)を重視した営業目標から、保有契約(ストック)
を重視した目標に改めます。
具体的には、新契約と消滅契約の差分による保険料の純増額、及び
過去3年間の新規契約のうち当年度に発生した消滅の割合である3
年間消滅率による評価とします。
また、純新規の契約者数及び青壮年の契約者数についても指標化し、
青壮年層に重点を置いた営業活動に移行します。
10
さらに、募集品質にかかる指標も設定します。
(イ) 人事評価上の個人別目標額の在り方を検討するまでの間、人事評
価上の個人別目標額、営業推進上の個人営業目安ともに設定しないこ
ととします。
イ 組織業績評価
2020 年度の組織業績評価では「募集品質」を独立した項目として新
設し、 不祥事故及び無効 合意解除案件といった項目も対象化します。
・
【2020 年 1 月から支社説明を開始、同年4月実施予定】
ウ 営業手当
(ア) 渉外社員の営業手当の支給水準(基本給と手当の割合)を見直し
ます。【2020 年 1 月組合提案、同年4月実施予定】
(イ) 乗換契約(転換類似)(※)について、現在、営業手当を1/2に
減額して支給していますが、不支給に見直します。
【2020 年1月組合提案、同年4月実施予定】
※ 現在の契約を解約等してから新規契約を申し込む、又は、新規
契約を申し込んでから現在の契約を解約等する保険契約で、契約
者が同一のものを指します。
② 募集管理態勢の確立
ア 不適正募集等の抑制の仕組み・対応
(ア) 多数契約及び意向把握不十分な契約
A 外形上、品質に懸念のある申込みについて、郵便局管理者によ
るお客さまのご意向確認に加え、かんぽ生命の専用コールセンタ
ーによる重層的なご意向確認(契約者が満 70 歳以上の場合は、ご
家族等に対しても確認します。)を開始しました。 【2020 年1月開
始済】
B 解約請求の際には、郵便局の渉外社員による説明及び確認に加
え、かんぽ生命のコールセンターによるお客さまのご意向確認及
び不利益事項のご説明の有無の確認を開始しました。【2020 年1
月開始済】
C お客さまのご希望による乗換の場合、新規契約の締結後に既契
約を解約する条件付解約等制度を開始しました。【2020 年1月開
始済】
D 募集時に、渉外社員の携帯端末機で募集状況を録音・保管する
11
ことにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があっ
た場合に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確
認できる仕組みを構築します。【2020 年3月試行予定】
E 満 70 歳以上の契約者からの契約申込みにおいて契約者と被保
険者が別人の場合は、事前に有効な同意をいただけることを確認
する取扱いを必須化します。 【2020 年4月実施予定】
F 既契約の解約を伴わない転換制度を導入します。
【2020 年 10 月
以降早期実施予定】
(イ) 高齢者募集等への対策
満 70 歳以上の契約者からの契約申込みの際は、募集人に加えかん
ぽ生命の専用コールセンターがご家族等に対して契約申込みに同意
いただけることを確認する取扱いを開始しました。 【2020 年1月開
始済】
また、配布教材「正しく知ろう認知症」を活用した研修を実施し
ます。 【2020 年1月開始済】
(ウ) 上記(ア)及び(イ)の取組について、2020 年3月に研修を実施し周知
徹底します。 【2020 年3月実施予定】
イ 懲戒処分運用
(ア) 特定事案調査等の結果に基づく処分
特定事案調査の結果に基づき、非違の認められた社員及び管理者
に対しては、厳格な処分を実施します。 【調査終了次第順次実施】
かんぽ生命と連携し、不適正募集を発生させた募集人や募集態様
に課題がある募集人に対する研修カリキュラム等を策定し、募集再
開に向けた研修を実施します。【2020 年4月から実施】
こうした施策を特定事案調査対応だけでなく、 今後も継続します。
(イ)管理者に対する処分
全ての金融関係管理者を「保険募集品質改善責任者」に指定し、
その役割を明確化した上で、過怠があった場合に厳格な処分を実施
します。【2020 年 1 月開始済】
ウ 苦情等管理態勢
かんぽコールセンターが受け付けたお客さまの声を含め、全ての苦
情等のデータ提供を受け、不適正募集につながる行為等に関する苦情
について問題の背景及び原因を分析し、苦情事例と再発防止に向けた
取組等を経営会議及び取締役会に報告します。【分析を 2020 年2月実
12
施予定】
③ ガバナンスの強化
ア 取締役会等の機能発揮
A 代表取締役社長を本部長とする金融ビジネス緊急対策本部を設置
し、原則週次で、募集品質に関する重要事項、取組の進捗等を協議
しています。【2019 年8月開始済】
B 取締役会については、かんぽ問題に関しては臨時でも開催し、機
動的に重点的に議論しています。【2019 年7月以降実施済】
C 監査役会でもかんぽ問題に関して報告し、必要に応じて助言が行
われ、監査役間でも議論しています。【2019 年7月以降実施済】
D コンプライアンス委員会等の協議のうち、お客さまの不利益につ
ながるおそれがある募集実態等、重要な募集品質問題については、
取締役会、経営会議又は監査役会に付議し、深度のある議論をして
いきます。
イ コンプライアンス委員会等
A 募集品質向上に向けた取組等や課題を報告・議論する会議体であ
る「適正募集の推進検討会議」を1月に新設することで、関係各部
が連携して募集管理を議論し、経営判断に資する実効的プロセスを
整備しました。【2020 年1月開始済】
B 「適正募集の推進検討会議」における議論のうち重要案件につい
てはコンプライアンス委員会で議論し、その結果を経営会議及び取
締役会に報告します。
ウ 三つの防衛線管理
(ア) 第1線について
A 2019 年9月以降、契約内容及び募集行為の適切性・妥当性の検
証プロセスを強化しており、今後も取組の徹底を図ります。
(a) 保険募集管理態勢の強化を図るため、金融渉外業務を担当す
る管理者に加え、窓口業務を担当する管理者についても、 募集品
質改善責任者として指定します。【2020 年1月開始済】
(b)かんぽ契約の過去の消滅状況等、お客さま情報を高度化して一
元管理できる仕組みを構築し、郵便局及びかんぽ生命の支店に
13
おいて募集品質管理に活用します。
【2020 年3月社員周知、同年
4月実施予定】
(c) 乗換潜脱の防止強化に向けて、乗換判定期間を拡大するとと
もに、乗換判定期間に近接する契約についてはシステムでアラ
ートを表示し、けん制を図ります。【2020 年 1 月組合提案、同年
4月実施予定】
B 営業活動記録簿について、社員が記載を必須とする項目を追加
し、記載ルールを明確化するとともに、管理者の確認項目を明確
化し、募集品質面に留意した管理機能を強化します。
【2020 年1月
開始済】
(イ) 第2線について
A 募集品質改善のための施策浸透、郵便局の指導・チェック体制
強化に向けて、支社における保険募集管理態勢を強化します。具
体的には、募集品質指導専門役及び支社金融業務部の人員・体制
を拡充します。【2020 年4月実施予定】
B 営業目標の水準や社員別目標について、所管部署による実態確
認や検証の中に、募集品質の観点を反映させます。 営業再開以降】
【
C 地方監査室社員による全郵便局における保険募集品質の管理体
制の検証を継続実施します。
D 募集品質上の課題については、かんぽ生命から提供を受ける募
集品質データの分析精度を高め、要因分析に基づく対応策等を関
係の会議体に付議し、施策の実施可否、効果検証等を行います。
【2020 年1月開始済】
(ウ) 第3線について
A 監査部においては、要員又はリスク分析担当の配置等、監査の
体制を充実します。【2020 年4月実施予定】
B 郵便局の真の実態がわかるよう事前アンケートの実施等でヒア
リングの充実を図るとともに、かんぽ生命商品の募集に特化した
テーマ監査に必要な情報収集強化を継続します。
【2019 年 11 月開
始済】
④ 利用者本位の組織風土の醸成(人事評価、表彰制度、研修等)
ア お客さま本位の徹底に向けたマネジメント・育成
14
(ア) お客さま本位の観点に立った募集の基本方針(意向把握・意向確
認・適合性確認等の募集プロセスを強化したスタンダードな販売モ
デルを含みます。 を明確化した上、
) 全社員への意識浸透に向けて研
修を継続実施します。【2020 年3月に社員周知、以後継続実施】
(イ) お客さまの将来のライフプランに寄り添い、その目的に合った幅
広い商品及びサービスを提供できるよう、総合的なコンサルティン
グサービスに必要な知識・スキルを付与する研修を実施します。
【2020 年1月開始済】
(ウ) 営業推進管理主体のマネジメントから脱却するために、コーチン
グを取り入れた管理・指導手法へ転換するための管理者研修を実施
します。【2020 年4月以降順次実施予定】
(エ) 社員が研修に関する意見や問題ある研修の報告を直接伝えられる
仕組みにより、不適切な研修等の是正に取り組みます。
A 新設予定の社外通報窓口、社内ポータルサイトを活用するなど、
社員が本社に直接意見等を伝えられる仕組みを導入します。
【2020
年3月実施予定】
B また、有志が自主的に行う勉強会である、いわゆる「自主研究
会」のあり方を改め、社員が要望する研修内容を会社が企画し、
社員自らの意思による参加型の研修機会を提供する仕組みを導入
します。【2020 年3月社員周知、同年4月実施予定】
(オ) 総合的コンサルティングを指導できる指導者として、 コンサルテ
ィング・アドバイザー(仮称)を設置し、郵便局社員への指導方法
を見直します。
また、営業力養成センターを「コンサル育成センター(仮称) 」に
改称し、本社直轄とします。【2020 年4月実施予定】
(カ) 郵便局の金融渉外部を「金融コンサルティング部(仮称) 」に改称
の上、新たに支社に「金融コンサルティング統括本部(仮称) 」を設
置し、お客さま本位のマネジメント体制に見直します。【2020 年4月
実施予定】
イ インセンティブ施策
(ア) お客さま本位の営業活動を踏まえた営業選奨とするため、評価項
目及び評価基準を見直します(2019 年度の実績に基づく 2020 年度
のかんぽ商品の営業選奨は実施しません) 。
15
(イ) インセンティブも、社員のモチベーション向上を図りつつお客さ
ま本位の営業活動に資する施策となるよう検討します。【2020 年3
月実施予定】
ウ 人事評価と処遇
窓口・渉外社員や管理者の人事評価においても、募集品質にかか
る評価項目及び評価基準を新設し、不適正募集の抑止及び募集品質
向上に向けた取組を促進します。【2020 年1月∼同年2月組合提示
等、同年4月実施予定】
エ 真の情報共有
(ア) 不適正募集又はその疑いのある事案の発生等に関する問題点及び
原因の把握・認識に向けて、フロントラインから本社に伝えやすい
仕組みを構築するため、現在の内部通報窓口に加え、日本郵政に金
融営業専用の社外通報窓口を新設し、社員に対して活用等を周知徹
底します。【2020 年3月末実施予定】
(イ) 募集品質の実態把握については、さらにかんぽ生命と緊密な情報
共有の上、関係各部がフロントラインの実態を十分把握し、募集品
質に関する問題点を経営層に伝えます。【2020 年3月末実施予定】
(3) 日本郵政の主な対策
① ガバナンス機能の発揮
ア 連絡会の新設・充実
グループ会社間の連携を強化するため、 内部監査、コンプライアンス、
オペレーショナルリスク、お客さま満足推進といった各種の経営課題
に関するグループの連絡会等を新設・充実してまいります。 【実施済】
イ 「グループ運営会議」の強化
グループ会社の経営陣による、グループ運営のための認識を共有す
る場として活用してきた「グループ運営会議」において、今般の諸問題
のような、 事業子会社の重要事項に関する内容の報告や、グループ経営
陣による議論の場として活用するなど、その機能を強化します。 【2019
年 12 月から実施中】
② グループコンプライアンス機能の強化
ア 内部通報窓口の情報共有
16
事業子会社の内部通報窓口の利用状況 (件数、 通報内容、 調査結果等)
を集約し、各社間の情報共有を図っていきます。 【2019 年 10 月から実
施中】
イ 金融営業専用の社外通報窓口の新設
不適正な乗換契約その他の不適正募集又はその疑い等の発生等に際
して、伏在していた乗換契約その他の保険募集に係る問題点及び原因
等が把握・確認できていなかったことを踏まえ、 かんぽ商品の募集をは
じめとした金融営業専用の社外通報窓口を新設します。 【2020 年 3 月実
施予定】
ウ 「日本郵政グループ社員 何でも相談室(仮称) 」の新設
郵政グループ社員の日頃の業務における問題の相談等を受ける窓口
「日本郵政グループ社員 何でも相談室(仮称) 」を新設します。 【2020
年 2 月実施予定】
エ 営業・業務に関する機能の強化
営業・業務面での改善策の実施についてのフォローアップを行うほ
か、営業・業務面における事業子会社の状況について情報収集し、大き
な論点となる可能性のある事項について、適宜、取締役会、経営会議等
への報告を行うとともに、事業子会社への問題提起や事業子会社間の
調整を行うこととします。 【日本郵政に営業・業務担当を設置:2019 年
12 月実施済、フォローアップ等:2020 年 2 月実施予定】
③ 監査部門の機能の強化
ア 事業子会社へのオンサイトモニタリングの実施
日本郵政の監査部門による事業子会社のフロントライン等へのオン
サイトモニタリングを実施し、必要に応じて直接監査を実施します。
【2020 年 1 月から実施中】
イ グループ内部監査連絡会議等の充実
グループ内部監査連絡会議等での協議上、 お客さま本位・募集品質向
上策に関し、 重要と認識した課題については、今後の改善取組内容の進
捗管理を行うなど、フォローアップの充実に取組んでまいります。
【2019 年 12 月から実施中】
④ 経営理念を浸透させるための態勢整備及び各種施策を着実に実行させ
るためのガバナンスの抜本的な強化
ア トップメッセージの発出
グループ3社長のトップメッセージとして、 全社員に対して「お客さ
ま本位の業務運営」の重要性についてメッセージを発出します。 【2020
年 4 月以降営業再開に合わせて実施予定】
17
イ 改善策の進捗管理及びお客さま本位の業務運営の実現に向けた取り
組み
社長直下にタスクフォースを立ち上げ、グループ全体としての改善
の計画を取りまとめ、第三者によるモニタリングを受けつつ着実に実
行していきます。 【組織の設置:2020 年 1 月実施済、進捗管理:2020 年
2 月以降実施予定】
さらに、 外部の専門家の評価及びアドバイスを受けながら、 信頼回復
及びお客さま本位の業務運営を実現するために必要な取組を推進して
まいります。 【2020 年 4 月以降実施予定】
ウ 経営理念の浸透のための取組
日本郵政グループにおける適切な理念浸透方法を検討の上、お客さ
ま本位の業務運営を社員一人ひとりに浸透させる取組を実施します。
【2020 年 4 月以降実施予定】
4.経営責任の明確化
今般の事態を招いた責任を明確化するため、日本郵政、日本郵便およびかん
ぽ生命の代表執行役社長等が辞任するとともに、役員の月額報酬の減額等を
実施しました。
以上
18