6178 日本郵政 2019-12-27 18:00:00
総務大臣および金融庁による行政処分について [pdf]

                                     2019 年 12 月 27 日
 各   位

                    会 社 名   日 本 郵 政 株 式 会 社
                    代表者名    取締役兼代表執行役社長 長 門 正 貢
                              (コード番号:6178 東証第一部)
                    問合せ先    IR室(TEL.03-3477-0206)




         総務大臣および金融庁による行政処分について



 日本郵政株式会社(東京都千代田区、取締役兼代表執行役社長 長門正貢)
(以下、「日本郵政」という。、日本郵便株式会社(東京都千代田区、代表取締
                     )
役社長兼執行役員社長 横山邦男)         (以下、  「日本郵便」という。)および株式会
社かんぽ生命保険(東京都千代田区、取締役兼代表執行役社長 植平光彦)            (以
下、
 「かんぽ生命」という。        )は、本日、金融庁より保険業法に基づく行政処分を
受けました。
 また、日本郵政および日本郵便は、          本日、  総務大臣より日本郵政株式会社法等
に基づく行政処分を受けました。
 この度、このような事態を招いたことを深く反省し、お客さまをはじめ関係
者の皆さまに多大なご迷惑をお掛けしますこと深くお詫び申し上げます。
 弊社グループの全役職員は今般の行政処分を厳粛に受け止め、今後、二度と
このような事態を起こさぬよう、再発防止に向けて内部管理態勢のより一層の
強化とコンプライアンスの徹底に取り組むとともに、一日でも早く皆さまから
の信頼を取り戻せるようグループ一丸となって全力を尽くして参ります。
 なお、2019 年 11 月 14 日付「2020 年 3 月期 第2四半期(中間期)決算の概
要」でお知らせした 2020 年 3 月期通期業績予想及び配当予想について、現時点
で変更はございません。
 本件につき、今後開示すべき事象が発生した場合は、速やかに開示いたしま
す。
 今般の行政処分の内容等は、別添のとおりです。




                       1
                                       別添


               行政処分について


1.行政処分について
 (1) かんぽ生命への行政処分
   ① 金融庁による行政処分(業務停止命令及び業務改善命令)
     ア 行政処分の内容
      (ア) 令和2年1月1日(水)から令和2年3月 31 日(火)までの間、
        貴社保険商品に係る保険募集(生命保険募集人に委託しているもの
        を含む。以下同じ。 )及び保険契約の締結を停止すること。
        (顧客からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集及び保険契約
        の締結を除く。 その他、当局が契約者保護の観点から必要とされる業
        務として個別に認めたものを除く。 )

    (イ) 適切な業務運営を確保し、  保険契約者の保護を図るため、以下を実
      行すること。
      a 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
      b 顧客に不利益を生じさせた可能性の高い契約の特定、調査、契約
        復元等、適切な顧客対応の実施(  「特定事案調査」の契約類型及び
        ウ(ア)に記載するそれ以外の不適正な募集行為の可能性がある契約
        類型を含む)
      c bの調査により、  不適正な募集行為を行ったと認められる募集人
        に対する適切な対応 (事故判定・処分基準の厳格化と運用の徹底を
        含む)
      d 適正な営業推進態勢の確立(乗換を助長しない、かつ実態に即し
        た営業目標の策定を含む)
      e コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
        (適切な募集方針の策定 浸透や職員及び募集人に対する研修を含
                    ・
        む)
      f 適正な募集管理態勢の確立   (代理店に対する十分な牽制機能の構
        築を含む)
      g 上記を着実に実行し、  定着を図るためのガバナンスの抜本的な強
        化

    (ウ) 上記(イ)に係る業務の改善計画を令和2年1月末までに提出し、直
      ちに実行すること。

                    2
(エ) 上記(ウ)の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3ヶ
  月毎の進捗及び改善状況を翌月 15 日までに報告すること(初回報告
  基準日を令和2年2月末とする)  。

イ    根拠となる法令の条項
     保険業法(平成7年法律第105号)第132条第1項

ウ    行政処分の理由
     令和元年 12 月 18 日(水)付で公表されたかんぽ生命契約問題特別
    調査委員会の調査報告書も参考にしつつ、令和元年8月 23 日(金)を
    検査予告日として実施した貴社に対する検査の結果や貴社に対し保険
    業法第 128 条第1項に基づき求めた報告を検証したところ、以下の不
    適正な募集行為及びその背景にある態勢上の問題が認められた。

(ア) 不適正な募集行為
    貴社及び日本郵便が、2019 年7月より「特定事案調査」として実
 態把握を行った契約において、貴社保険商品に関し、以下のような不
 適正な募集行為(顧客に不利益になる、又は顧客にとって合理性のな
 い契約であって当該顧客の意に沿わないものに係る保険募集)       が認め
 られた。
 a 契約の乗換に際し、契約者に対して「一定期間解約はできない」
   「病歴の告知があっても加入可能」   などの事実と異なる説明を行っ
   たこと等により、  契約の重複による二重払いや無保険期間の発生等
   の不利益を顧客に生じさせるなど、   保険業法第 300 条第1項に違反
   するものが少なくとも 67 件認められた。
 b 契約の乗換に際し、契約者に対して「自分の営業成績のために解
   約を遅らせてほしい」などの依頼を行い、契約の重複による二重払
   い等の不利益を顧客に生じさせるなど、   社内ルールに違反するもの
   が少なくとも 662 件認められた。
 c 上記に加えて、法令や社内ルールへの抵触如何にかかわらず、不
   適正な募集行為により顧客に契約を締結させ、   顧客に不利益を生じ
   させた。

     また、貴社及び日本郵便が、「特定事案調査」として実態把握を行
    った契約類型以外にも、貴社保険商品に関し、以下のような不適正な
    募集行為の可能性がある類型の存在が認められた。


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 顧客の意向に沿わず、
 ・ 多数回にわたって契約の消滅・新規締結が繰り返されている類
  型
 ・ 多額の契約が締結され、高額の保険料が発生している類型
 ・ 既契約が解約され、既契約とは異なる被保険者で新契約が締結
  されている類型
 ・ 既契約が解約され、既契約とは異なる保険種類(年金から保険
  など)での新契約が締結されている類型
 ・ 既契約の保険期間が短縮され、短縮されてから短期間のうちに、
  新契約が締結されている類型

 更に、実際には、節税効果が見込めない保険商品であるにも関わら
ず、社内研修資料において、募集人に対し、相続税対策として顧客に
説明・販売することを慫慂しているなど、不適正な募集行為を助長し
かねない実態が認められた。

 なお、無効・合意解除(苦情を受けて解約・返金をしたもの) 、未
入金解除(初回保険料未払で解除)、1P失解・解約(初回保険料支払
後に解除)、撤回(クーリングオフ)となっている契約が多数認めら
れたが、これらの中には結果的に顧客に不利益が生じていない、また
は僅少ではあるものの、不適正な募集行為により、顧客の意向に沿わ
ない契約が締結されているものが含まれているおそれがある。

(イ) 態勢上の問題点
    貴社及び日本郵便において、不適正な募集行為が広がった背景に
   は、貴社において、以下のような態勢上の問題があったと認められ
   た。
  a 過度な営業推進態勢
     営業目標として乗換契約を含めた新規契約を過度に重視した不
    適正な募集行為を助長するおそれがある指標を使用し続けた上に、
    経営環境の悪化により、営業成績が振るわないことが想定される
    にもかかわらず、具体的な実現可能性や合理性を欠いた営業目標
    を日本郵便とともに設定してきたこと。
  b コンプライアンス・顧客保護の意識を欠いた組織風土
     事故判定やその調査において、顧客に不利益が生じている場合
    であっても、契約者の署名を取得していることをもって顧客の意
    向に沿ったものと看做し、募集人が自認しない限りは事故とは認
    定せず、不適正な募集行為を行ったおそれのある募集人に対する

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      適切な対応を行わず、コンプライアンス・顧客保護の意識を欠いた
      組織風土を助長したこと。
     c 脆弱な募集管理態勢
       日本郵便の営業現場における募集活動の実態、募集人の営業目
      標や営業手当の状況、営業成績が優秀な者に対する表彰の状況、各
      種研修の内容等を把握せず、委託者として保険代理店である日本
      郵便に対して、適正な募集管理態勢の構築に必要な指示を行なっ
      てこなかったこと。
       また、第二線である募集管理統括部及びコンプライアンス統括
      部、苦情対応部門等に加え、日本郵便の営業現場を指導する支店パ
      ートナー部などに十分な人材配置を行っていないなど、業務の適
      切性を確保しうる募集管理態勢を整備してこなかったこと。
       更には、日本郵便との間で十分な連携を図ることなく、適時に実
      効性の高い施策を実行してこなかったこと。
     d ガバナンスの機能不全
       苦情、ありがとうコール(契約を締結した顧客に対する電話によ
      る事後的な意向確認)、多数契約の分析などに加え、メディアの報
      道や当局のヒアリング等により不適正な募集行為の端緒を把握し
      ていたにもかかわらず、十分な実態把握を行わず、営業活動に影響
      が生じることを懸念し、抜本的な改善を図ってこなかったこと。

(2) 日本郵便への行政処分
  ① 総務大臣による行政処分(業務停止命令及び業務改善命令)
    ア 行政処分の内容
     (ア) 日本郵便株式会社法 (平成 17 年法律第 100 号。 「法」
                                     以下  という。)
       第 15 条第2項に基づく業務停止命令及び業務改善命令
       a 法第 15 条第2項に基づく業務停止命令
           貴社の役職員が業務改善に専念し、改善策を可及的速やかに検
         討・実施するため、 法第2条第3項に規定する保険窓口業務及び法
         第4条第2項第3号に掲げる郵便局を活用して行う地域住民の利
         便の増進に資する業務(かんぽ生命に関するものに限る。       )の保険
         募集 (利用者からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集を除く。
         その他、 当省が利用者本位の業務運営の確保の観点から必要とされ
         る業務として個別に認めたものを除く。    )について、令和2年1月
         1日から同年3月 31 日までの間、停止すること。
       b 同項に基づく業務改善命令
           以下の事項について、可及的速やかに改善策を実施すること。
         (a) 新規契約獲得を過渡に重視した営業推進管理の仕組みの見直

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         し
      (b) 利用者本位の募集管理態勢の確立
      (c) 経営陣を含む貴社内の速やかな情報共有態勢の構築等のガバ
        ナンスの強化
      (d) 利用者保本位の組織風土の醸成
      (e) 経営責任の明確化

       特に、本年 12 月 23 日付けの貴社からの報告において、乗換契
      約(転換類似)に対する手当の廃止、渉外社員の基本給・営業手当
      の支給割合見直し、  募集状況の録音・保管による可視化、   顧客情報
      を一元管理する仕組みの構築、不適切な研修の是正など、     「4月実
      施予定」 「4月以降実施予定」
          又は              とされている改善策については、
      可能な限り令和2年1月から実施すること。

       利用者本位の業務運営を確保するため、上記(a)から(e)までの観
      点で、改善計画(具体的な施策内容及びその実施時期を盛り込んだ
      もの)を令和2年1月末までに策定し、可及的速やかに実施するこ
      と。

    (イ) 法第 16 条第1項に基づく報告徴求命令
      a 法第16条第1項に基づき、上記(ア)bの改善計画について、令
        和2年1月末までに提出すること。
      b 上記(ア)bの改善計画について、当該計画の実施完了までの間、
        3カ月ごとの進捗状況及びその効果を、   翌月 15 日までに報告する
        こと(初回報告基準日を令和2年2月末とする。。    )

イ    根拠となる法令の条項
     日本郵便株式会社法第 15 条第2項及び第 16 条第1項

ウ    行政処分の理由
     今般、かんぽ生命の商品販売等に関しては、保険料の二重払い等、利
    用者に不利益を与えた不適正募集が、全国にわたって多数発生してい
    る。さらに、不適正募集の中には、法令違反や社内ルール違反の可能性
    のある契約も発生しており、今回の事案は、利用者への影響や郵便局の
    信頼性への影響の観点から重大な事案であると考えられる。
     また、貴社及び特別調査委員会の報告を当省で精査した結果、今回の
    事案は、貴社において、コンプライアンスの徹底、利用者本位の募集管
    理態勢、営業推進態勢及びガバナンスが不十分である実態が明らかに

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  なったところであり、貴社における利用者本位の業務運営の確保の観
  点から、早期の業務改善が必要と考えられる。
   特に、不適正募集に係る実態把握が十分ではなく、問題解決のために
  必要な情報が経営陣等に適時適切に伝わらなかったことが、今回の不
  適正募集が広範に発生する要因の一つになったと考えられる。
   以上のような今回の事案の重大性を踏まえると、可及的速やかな改
  善策の検討及び実施が必要である。

② 金融庁による行政処分(業務停止命令及び業務改善命令)
 ア 行政処分の内容
  (ア) 令和2年1月1日(水)から令和2年3月 31 日(火)までの間、
    かんぽ生命の保険商品に係る保険募集を停止すること。
    (顧客からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集を除く。  その他、
    当局が契約者保護の観点から必要とされる業務として個別に認めた
    ものを除く。)

  (イ) 適切な業務運営を確保し、保険契約者の保護を図るため、以下を実
    行すること。
    a 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
    b 顧客に不利益を生じさせた可能性の高い契約について、かんぽ
      生命による調査結果を踏まえ、不適正な募集を行ったと認められ
      る募集人に対する適切な対応(募集人に対する一定期間通常業務
      から離れた集中的な研修の実施を含む)
    c 適正な営業推進態勢の確立 (乗換を助長しない、かつ実態に即し
      た営業目標の策定や営業手当体系の構築を含む)
    d コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成
      (募集品質を適切に考慮した人事評価・表彰制度の構築や募集人
      に対す研修を含む)
    e 郵便局・支社・本社各部門における適正な募集管理態勢の確立
    f 上記を着実に実行し、定着を図るためのガバナンスの抜本的な
      強化

  (ウ) 上記(イ)に係る業務の改善計画を令和2年1月末までに提出し、直
    ちに実行すること。

  (エ) 上記(ウ)の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3ヶ
    月毎の進捗及び改善状況を翌月 15 日までに報告すること(初回報告
    基準日を令和2年2月末とする)  。

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イ    根拠となる法令の条項
     保険業法(平成7年法律第105号)第307条第1項及び第306
条

ウ    行政処分の理由
     令和元年 12 月 18 日(水)付で公表されたかんぽ生命契約問題特別
    調査委員会の調査報告書も参考にしつつ、令和元年8月 23 日(金)を
    検査予告日として実施した貴社に対する検査の結果や貴社に対し保険
    業法第 305 条第 1 項に基づき求めた報告を検証したところ、以下の不
    適正な募集行為及びその背景にある態勢上の問題が認められた。

(ア) 不適正な募集行為
    貴社及びかんぽ生命が、2019 年7月より「特定事案調査」として
  実態把握を行った契約において、    かんぽ生命の保険商品に関し、以下
  のような不適正な募集行為    (顧客に不利益になる、又は顧客にとって
  合理性のない契約であって当該顧客の意に沿わないものに係る保険
  募集)が認められた。
  a 契約の乗換に際し、    契約者に対して「一定期間解約はできない」
    「病歴の告知があっても加入可能」などの事実と異なる説明を行
    ったこと等により、契約の重複による二重払いや無保険期間の発
    生等の不利益を顧客に生じさせるなど、保険業法第 300 条第 1 項
    に違反するものが少なくとも 67 件認められた。
  b 契約の乗換に際し、    契約者に対して「自分の営業成績のために解
    約を遅らせてほしい」   などの依頼を行い、契約の重複による二重払
    い等の不利益を顧客に生じさせるなど、社内ルールに違反するも
    のが少なくとも 662 件認められた。
  c 上記に加えて、  法令や社内ルールへの抵触如何にかかわらず、   不
    適正な募集行為により顧客に契約を締結させ、顧客に不利益を生
    じさせた。

     また、貴社及びかんぽ生命が、「特定事案調査」として実態把握を
    行った契約類型以外にも、かんぽ生命の保険商品に関し、以下のよう
    な不適正な募集行為の可能性がある類型の存在が認められた。
     顧客の意向に沿わず、
     ・ 多数回にわたって契約の消滅・新規締結が繰り返されている類
      型
     ・ 多額の契約が締結され、高額の保険料が発生している類型

                   8
  ・ 既契約が解約され、既契約とは異なる被保険者で新契約が締結
   されている類型
  ・ 既契約が解約され、既契約とは異なる保険種類(年金から保険
   など)での新契約が締結されている類型
  ・ 既契約の保険期間が短縮され、短縮されてから短期間のうちに、
   新契約が締結されている類型

  なお、無効・合意解除(苦情を受けて解約・返金をしたもの)、未
 入金解除(初回保険料未払で解除)、1P失効・解約(初回保険料支
 払後に解除)、撤回(クーリングオフ)となっている契約が多数認め
 られたが、これらの中には結果的に顧客に不利益が生じていない、ま
 たは僅少ではあるものの、不適正な募集行為により、顧客の意向に沿
 わない契約が締結されていたものが含まれているおそれがある。

(イ) 態勢上の問題点
    貴社及びかんぽ生命において、不適正な募集行為が広がった背景
  には、 貴社において、以下のような態勢上の問題があったと認められ
  た。
  a 過度な営業推進態勢
     かんぽ生命とともに具体的な実現可能性や合理性を欠いた営業
    目標を設定したこと。
     更に、地域の状況や営業現場の実力を十分踏まえることなく募集
    人に目標を割り当て、加えて、郵便局が募集人に対し目標の上乗せ
    を行うことなどにより、募集人にとって過大な目標を設定してきた
    こと。
     また、乗換契約も含めた新規契約を過度に重視した営業手当の支
    給体系を維持してきたこと。
  b コンプライアンス・顧客保護の意識を欠いた組織風土
     募集人に対して、募集品質の維持・向上や保険営業に必要な知識
    の付与のための研修・指導を十分に行ってこなかったこと。
     また、営業成績が優秀な者に対しては、募集品質を実質的に問わ
    ずに人事上評価し、表彰を与える一方、目標未達者に対しては懲罰
    的な研修や強度の叱責が恒常化している状況を是正してこなかっ
    たこと。
     こうしたことを通じ、コンプライアンス・顧客保護の意識を欠い
    た組織風土を助長したこと。
  c 脆弱な募集管理態勢
     第一線である郵便局・支社・本社の営業部門及び第二線であるコ

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      ンプライアンス統括部や募集品質改善部等のいずれにおいても、   規
      模・特性に見合った募集管理態勢を整備してこなかったこと。
       中でも、第一線での管理者は営業推進に注力し、形式的なチェッ
      ク機能しか有しておらず、第二線は外形的な法令違反や社内ルール
      違反のみを自らの基本的な守備範囲と捉え、保険代理店として主体
      的な管理機能を果たしていなかったこと。
     d ガバナンスの機能不全
       部門間で情報共有・連携が十分行われず、保険募集の実態が経営
      陣に報告されないなど、組織運営におけるコミュニケーションの不
      全を是正せず、営業現場の実態を把握してこなかったこと。
       また、かんぽ生命による募集品質向上に向けた取組みやメディア
      の報道等により不適正な募集行為の端緒があった後も、  十分な実態
      把握を行わず、抜本的な改善を図ってこなかったこと。
       取締役会等においても、かんぽ生命から受託している保険商品の
      募集管理態勢や募集品質のみならず、かんぽ生命が 2017 年より開
      始した募集品質向上に向けた一連の取組みについても、  乗換問題が
      メディアの報道等により広く取り上げられるまで議論を行わなか
      ったこと。

(3) 日本郵政への行政処分
  ① 総務大臣による行政処分(業務改善命令)
    ア 行政処分の内容及び理由
       今般、 かんぽ生命の商品販売等に関しては、  顧客本位のサービスを徹
     底できず、利用者に不利益を与えた不適正募集が全国に多数発生して
     おり、利用者への影響や郵便局の信頼性への影響の観点から重大な事
     案であると考えられる。
       貴社から提出のあった報告を当省で精査した結果、不適正な募集行
     為の端緒を掴みながら十分な実態把握を日本郵政グループの子会社に
     指示しないなど、日本郵政グループのガバナンス機能の不足やコンプ
     ライアンスの不徹底の実態が明らかとなり、貴社における利用者本位
     の業務運営の確保の観点から、早期の業務改善が必要と考えられる。
       ついては、日本郵政株式会社法(平成 17 年法律第 98 号。以下「法」
     という。  )第 13 条第2項に基づき、以下の事項について、可及的速や
     かに改善策を実施することを命ずる。
     (ア) 日本郵政グループにおけるガバナンス態勢の構築
       (日本郵政グループの子会社の営業・業務に関する機能の強化及び
       経営陣を含む日本郵政グループ内の速やかな情報共有態勢の構築に
       ついては、特に早急に実施すること。   )

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  (イ) 利用者本位・コンプライアンスの徹底等の経営理念の浸透
  (ウ) 経営責任の明確化
    また、 法第 13 条第2項に基づき、上記(ア)から(ウ)に係る改善計画(具
  体的な施策内容、     その実施時期を盛り込んだもの)  を令和2年1月末ま
  でに策定し、速やかに実施することを命ずる。
    あわせて、 法第 13 条第2項に基づき、日本郵政グループで連携して、
  利用者に不利益を与えた可能性が高い契約の調査を加速化し、早期に
  利用者の権利回復を行うことを命ずる。
    また、法第 14 条1項に基づき、策定した改善計画の提出(期限:令
  和2年1月末)   、改善計画の進捗状況及びその効果について定期的な報
    ※
  告 を求める。
     ※    3か月毎の進捗状況等を翌月の 15 日までに報告(初回報告基準日は同
         年2月末とする。)顧客に不利益を与えた可能性が高い契約(特定事案
         (18.3 万件)以外で把握した事案も含む。 の調査・権利回復の状況につ
                              )
         いても、併せて報告をすること。


 イ   根拠となる法令の条項
     日本郵政株式会社法第 13 条第2項

② 金融庁による行政処分(業務改善命令)
 ア 行政処分の内容
  (ア) かんぽ生命の適切な業務運営を確保し、保険契約者の保護を図る
    ため、以下を実行すること。
    a 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
    b 保険持株会社としての実効的な統括・調整機能を発揮するため
      のグループガバナンス態勢の構築
    c 保険募集に関連した経営理念をグループ全体に浸透させるため
      の態勢の構築
    d 上記を着実に実行し、定着を図るためのガバナンスの抜本的な
      強化

  (イ) 上記(ア)に係る業務の改善計画を令和2年1月末までに提出し、直
    ちに実行すること。

  (ウ) 上記(イ)の改善計画について、当該計画の実施完了までの間、3ヶ
    月毎の進捗及び改善状況を翌月 15 日までに報告すること(初回報告
    基準日を令和2年2月末とする)  。


                      11
イ    根拠となる法令の条項
     保険業法(平成7年法律第105号)第271条の29第1項

ウ    行政処分の理由
     令和元年 12 月 18 日(水)付で公表されたかんぽ生命契約問題特別
    調査委員会の調査報告書も参考にしつつ、令和元年8月 23 日(金)を
    検査予告日として実施したかんぽ生命及び日本郵便に対する検査の結
    果や両社に対し保険業法 128 条第1項等に基づき求めた報告を検証し
    たところ、かんぽ生命の保険商品に関し、    多数の不適正な募集行為 (顧
    客に不利益になる、又は顧客にとって合理性のない契約であって当該
    顧客の意に沿わないものに係る保険募集)が認められた。
     これを踏まえ、貴社に対し保険業法第 271 条の 27 第1項に基づき求
    めた報告を検証したところ、かんぽ生命及び日本郵便において、不適
    正な募集行為が広がった背景には、貴社において、以下のような態勢
    上の問題があったと認められた。

(ア) グループガバナンスの機能不全
    コンプライアンス委員会では、かんぽ生命及び日本郵便において
  不適正な募集行為が行われている端緒を把握していたにもかかわら
  ず、十分な実態把握や対応を両社に対して指示してこなかったこと。
    また、代理店手数料や営業目標の設定、  募集品質の改善に向けた体
  制の構築や対策の策定等、   かんぽ生命と日本郵便の両社に跨り、募集
  品質に重要な影響を与える経営戦略の決定や内部統制の構築につい
  て、 保険持株会社としての統括、  調整機能を果たしていなかったこと。
    加えて、メディアによる報道や当局による報告徴求命令があった
  にもかかわらず、保険持株会社としてグループ各社を主導した対応
  を適切に行ってこなかったこと。
    更には、2019 年9月以前の営業自粛、再開については、経営上の
  重要な判断であるにもかかわらず、取締役会等に諮ることなく各社
  長間での非公式な会合で意思決定を行ったこと。

(イ) グループコンプライアンスの不徹底
    経営理念として「お客さま本位」「コンプライアンスの徹底」を掲
  げているにもかかわらず、 グループ各社において、顧客の利益や経済
  合理性を顧みない契約が広がっていること、コンプライアンスにつ
  いては形式的に法令や社内ルールを遵守すれば良いとする考え方が
  広がっていること、 などの実態を把握しておらず、経営理念をグルー
  プ内に浸透させてこなかったこと。

                   12
2.日本郵政グループによる再発防止策
  日本郵政グループでは、これまで、特定事案調査の結果及び全ご契約調査の
 状況並びに募集管理に係る当面の取組み(別紙参照)等を検討、公表してまい
 りました。
  これらに加え、今般の行政処分を受け、業務改善計画を策定して、早期にお
 客さまの不利益の解消を図るとともに、再発防止のための更なる改善策を検討
 してまいります。

3.責任の明確化
 (1) 日本郵政
     代表執行役社長及び代表執行役上級副社長が 2020 年 1 月 5 日をもって辞
   任することし、  本日の当社取締役会において新たな代表執行役社長として増
   田寛也を選任いたしました(2020 年 1 月 6 日就任予定)。
     そのほかの役員につきましては、    以下のとおり、 役員報酬の減額等を実施
   します(2019 年 6 月以降に新たに就任した役員を除きます)  。

  ① 執行役
    2020 年1月から同年6月(任期満了まで)の間、それぞれに掲げる割
   合により月額報酬の減額を行います。
    代表執行役副社長:                     30%
    専務執行役(内部監査担当)  :              30%
    専務執行役(コンプライアンス担当)  :          30%
    常務執行役(経営企画担当)  :              20%
    その他の専務執行役及び常務執行役:             10%
    上記以外の執行役:                      5 %

  ② 非業務執行取締役
    2020 年1月から同年6月(任期満了まで)の間、月額報酬の5∼10%
   の自主返上を行います。

 (2) 日本郵便
     取締役会長及び代表取締役社長が 2020 年 1 月 5 日をもって辞任すること
   し、 本日の当社株主総会及び取締役会を経て新たな代表取締役社長として衣
   川和秀を選任いたしました(2020 年 1 月 6 日就任予定) 。
     そのほかの役員につきましては、以下のとおり、役員報酬の減額等を実施
   します(2019 年 6 月以降に新たに就任した役員等を除きます)   。


                     13
 ① 取締役及び執行役員
   2020 年1月から同年6月(任期満了まで)の間、それぞれに掲げる割合
  により月額報酬の減額を行います。     (役職は 2019 年 5 月 31 日時点)。
   執行役員副社長:                                 40%
   専務執行役員(人事担当)     :                       30%
   常務執行役員(コンプライアンス担当)     :                 30%
   常務執行役員(金融営業及び業務担当)     :                 30%
   常務執行役員(経営企画担当補佐)     :                   20%
   常務執行役員(支社長)    :                         20%
   その他の専務執行役員及び常務執行役員:                      10%
   執行役員(監査担当)   :                           20%
   執行役員(経営企画担当補佐)     :                     10%
   執行役員(金融営業担当補佐)     :                     10%
   執行役員(金融業務担当補佐)     :                     10%
   執行役員(支社長)  :                             10%
   上記以外の執行役員:                                5 %

 ② 社外取締役及び監査役
   2020 年1月から同年6月の間、月額報酬の5∼10%の自主返上を行い
  ます。

(3) かんぽ生命
    代表執行役社長が 2020 年 1 月 5 日をもって辞任することし、本日の当社
  取締役会において新たな代表執行役社長として千田哲也を選任いたしまし
  た(2020 年 1 月 6 日就任予定)。
   そのほかの役員につきましては、以下のとおり、それぞれに掲げる割合に
 より役員報酬の減額等を実施します(2019 年 6 月以降に新たに就任した役
 員を除きます)     。

 ① 執行役
   2020 年1月から同年6月(任期満了まで)の間、月額報酬の減額を行
  います。  (役職は 2019 年 5 月 31 日時点)
   代表執行役副社長:                      40%
   専務執行役:                         30%
   常務執行役(内部監査担当)         :        30%
   常務執行役(営業企画担当、営業推進担当)         : 30%
   常務執行役(法人営業開発担当、営業指導育成担当、エリア本部担当)   :
                                  30%

                      14
 常務執行役(経営企画担当)  :               20%
 常務執行役(新契約担当) :                 20%
 常務執行役(商品開発担当)  :               20%
 その他の常務執行役:                     10%
 執行役(内部監査部長):                   10%
 執行役(経営企画部長):                   10%
 執行役(営業推進部長):                   10%
 執行役(エリア本部長):                   10%
 上記以外の執行役:                       5 %

② 非業務執行取締役
  2020 年1月から同年6月(任期満了まで)の間、月額報酬の5∼10%
 の自主返上を行います。

                                  以上




                    15
                                             別紙
          再発防止策(募集管理に係る当面の取組み等)



(1)営業目標・手当等の見直し
     ・ 販売額を重視した営業目標から、保険料の純増額をベースとした目標
      へ見直し等【2020 年 4 月】
     ・ 契約乗換に該当する契約に対する現行の手当    (通常の契約の 1/2 支給)
      を、不支給に見直し等【2020 年 4 月以降】
(2)お客さま本位の営業活動の強化
  ① お客さま本位のコンサルティングサービスの実施【2020 年 4 月】
  ② お客さま情報の高度化【2020 年 4 月以降順次実施】
    かんぽ商品の契約においてお客さま情報を一元管理できる仕組みを構築
   し、お客さまの過去の契約状況を確認し、募集品質管理に活用できる体制
   を整備
  ③ お客さまのご意向確認の強化【2020 年 1 月】
    品質に懸念のある申込みについては、かんぽ生命の専用コールセンター
   による重層的なご意向確認等
  ④ 募集管理態勢強化に向けた体制見直し【2020 年 4 月以降】
    かんぽ生命の支店等の機能、日本郵便の金融渉外部の強化
(3)コンプライアンス、監査部門の機能の充実【2020 年 4 月】
(4)契約乗換対策
  ① 条件付解約制度・契約転換制度の導入【2020 年 1 月・2020 年 10 月以降
  早期】
  ② 契約乗換判定期間の拡大【2020 年 4 月以降】
(5)青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに応えるための商品開発
(6)募集人調査態勢の強化

(7)組織風土改革(お客さま本位の業務運営」の浸透、金融営業専用の社外通
  報窓口新設【2020 年 3 月末までに】、グループ会社間の連携強化)

(8)改善策の進捗管理を行うタスクフォースの立ち上げ
   日本郵政にタスクフォースを立ち上げ、グループ全体として改善の計画を
  取りまとめ、第三者によるモニタリングを受けつつ着実に実行し、その進捗
  状況について定期的に公表する

 ※   詳細は、2019 年 12 月 18 日のプレスリリースをご参照願います。
                                             以上

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