6047 Gunosy 2020-10-08 15:00:00
当社連結子会社における不適切な広告制作等に関する特別調査委員会による調査結果および再発防止に向けた対応方針等について [pdf]

                                              2020 年 10 月8日
各   位
                         会 社 名 株式会社 Gunosy
                         代 表 者 名 代表取締役社長      竹谷     祐哉
                              (コード番号:6047 東証第一部)
                         問 合 せ 先 取締役          間庭     裕喜
                                最高財務責任者
                                       (TEL. 03-6455-4560)


     当社連結子会社における不適切な広告制作等に関する特別調査委員会による
              調査結果および再発防止に向けた対応方針等について


当社は、当社の連結子会社である株式会社 digwell(以下「digwell 社」)において、過去に不
正な広告制作がなされていたこと及び当社が運営するアドネットワークにおいて、法令に違反す
る疑いのある不正な広告が配信されていたことについての報道がなされたことに関して、社内調
査及び再発防止策の策定状況の妥当性を検証するために、当社と利害関係のない第三者で構成さ
れる特別調査委員会を設置し、調査を委託しておりました。
    今般、当社は特別調査委員会より調査結果の報告を受けましたので、お知らせするとともに、
その内容を添付の通り公表いたします。


                         記


1.調査報告書の内容
    調査報告書の内容につきましては、添付の「調査報告書(要約版)」をご覧ください。なお、
公表する調査報告書は、当社の営業秘密にかかる事項、個人のプライバシーの保護、機密情報等
に関して守秘義務を負う事項等の観点を踏まえ作成されています。ご理解頂きたくお願い申し上
げます。


2.今後の対応
(1)再発防止に向けた対応
    当社は、調査結果及び特別調査委員会からの提言を真摯に受け止め、以下のとおり、再発防止策
を策定し、実施いたします。また、体制や仕組みの構築に加え、経営陣、すべての従業員の意識改
革にも取り組んでまいります。
    ① 広告関連法規に関する役職員のコンプライアンス意識の強化
        (ア) 役職員に対するコンプライアンス研修・広告関連法規に関する研修の定期的な実
          施
        (イ) コンプライアンスを犠牲とした営利追求を許容しないことを含むコンプライアン
          ス遵守の方針の周知徹底
    ② 所管部署を超えた業務執行に関する監視
   (ア) 取締役会等を通じた、各取締役による業務執行取締役の監督の強化
 ③ 広告審査体制の強化
   (ア) 独立した広告審査の実施のために、広告審査機能の管轄本部をマーケティングソ
        リューション事業本部からコーポレート本部法務部へ移管
 ④ コンプライアンス違反の早期発見・是正に向けた体制の強化
   (ア) コンプライアンス違反が発生した場合の対応方針に関する社内規程の整備
   (イ) 従業員がコンプライアンス違反事例を発見した場合における報告ルール及び内部
        通報制度の利用に関する周知
   (ウ) 監査内容の質的向上、関連リソースの充実、内部監査実施結果の取締役会への定
        期的報告等による内部監査機能の拡充


(2)関係者の処分等について
 本件に関する経営責任の明確化のために、代表取締役社長及び digwell 社の代表取締役である
当社取締役については、当期の役員報酬に関して、前期比で減額する報酬案を本年8月 28 日付
の当社取締役会において決議しております。また、digwell 社の代表取締役である当社取締役に
ついては、本人より役付取締役(COO)の返上の申出があったため、本年7月 13 日付で受理いた
しました。
 また、本件に関係した当社及び digwell 社の執行役員・従業員につきましては、本件調査報告
で明らかになった事実も踏まえ、社内規程に則り処分を実施してまいります。


 当社は調査結果を重く受け止め、この度の問題を深く反省し、再発防止を徹底してまいります。
 広告主様、媒体社様、ユーザーの皆様、株主の皆様をはじめとした関係者の皆様にはご迷惑と
ご心配をおかけしましたことを改めて深くお詫び申し上げます。
 今後は、経営陣の責任の下、役職員が一丸となって上述の再発防止策を含めた当社メディアの
健全化を遂行し、皆様の信頼を回復できるよう努力してまいりますので、今後ともご支援を賜り
ますようお願い申し上げます。


                                           以   上
株式会社 Gunosy 御中




    調 査 報 告 書(要約版)

                 2020 年 10 月 7 日


                 株式会社 Gunosy

                  特別調査委員会



        委員長                   村 上 貴   久



        委   員                 倉 橋 博 文



        委   員                 金 井     暁
第1    本委員会の概要
1   本委員会の設置経緯等
    株式会社 Gunosy 特別調査委員会(以下「本委員会」という。
                                   )設置の経緯等は、以下の
    とおりである。
     2020 年 3 月 17 日、一部報道機関により株式会社 Gunosy(以下「G 社」という。
                                                    )の
    子会社の株式会社 digwell(以下「D 社」という。
                               )において法令違反の疑いがある内容
    のインターネット配信用の広告記事が作成されていたこと(以下「本件不正 1」という。、
                                            )
    及び、G 社が運営するアドネットワーク(複数の広告配信可能なメディアを束ねて広告
    を一括して配信する仕組み)において法令違反の疑いがある内容の広告記事が配信され
    ていたこと(以下「本件不正 2」といい、本件不正 1 と併せて「本件不正」という。)に
    ついての報道(以下「本件報道」という。)がなされた。
     本件報道を受けて、G 社は、自社が管理するアドネットワーク内でのすべての広告配
    信を即日停止し、一次的な社内調査を実施するとともに、不適切であると考えられる記
    事の排除、配信対象となる広告内容の審査マニュアルの運用変更及び審査体制の刷新を
    順次実施した。
     その後、さらなる調査の必要性について G 社内で協議を重ねていたところ、関係する
    公的機関等から本件報道に至る経緯について報告するよう要請があった。
     上記の要請を踏まえて、G 社内で再度協議を行った結果、調査の客観性及び信頼性を
    確保しつつ、本件不正の全容解明を期するとともに、本件不正の発生原因の究明及び再
    発防止策の提言を行うため、G 社は、2020 年 4 月 22 日、G 社と利害関係のない第三者
    (外部の有識者及び専門家である弁護士)で構成される本委員会を設置し、調査(以下
    「本件調査」という。
             )を開始した。


2   本委員会の目的事項
    本委員会の委嘱事項は、次のとおりである。
     ① D 社において、法令に違反する疑いのある不正な広告記事の作成が行われていた
       件の事実経緯の調査、発生原因の究明及び再発防止策の提言
     ② G 社運営のアドネットワークにおいて、法令に違反する疑いのある不正な広告記
       事が配信されていた件の事実経緯の調査、発生原因の究明及び再発防止策の提言


3   本委員会の構成及び開催状況
(1) 本委員会の構成
     本委員会は、以下の委員で構成された。




                           1
      委員長    村上 貴久   元厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課
                     長、一般財団法人日本医薬情報センター会長及び
                     西村あさひ法律事務所アドバイザー
      委員     倉橋 博文   弁護士(弁護士法人ほくと総合法律事務所)
      委員     金井 暁    弁護士(大知法律事務所)


     本委員会は、以下の者を調査メンバーとして選定した。


      大知法律事務所                  弁護士 高野 哲也
                               弁護士 岸本   悠
      弁護士法人ほくと総合法律事務所          弁護士 山本 裕人


     なお、村上貴久委員長、倉橋博文委員及び金井暁委員並びに調査メンバーが所属する
    組織は、いずれも、G 社、Ⅾ社及びその他の G 社の関係会社との間に顧問契約等の特別
    の利害関係はない。


第2    調査手続の概要及び調査の方法
1   調査実施期間
    本委員会は、2020 年 4 月 22 日から同年 9 月 29 日までの間、調査を実施した。なお、
    新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、一時期緊急事態宣言が発令されるなどの事
    態に至り、資料収集やインタビューの実施等について一定の制約があったことから、調査
    期間が通常に比して長期化する結果となっている。


2   調査の方法
(1) 関係人に対するインタビュー
     本委員会は、G 社及び D 社の役職員 14 名及び退職した職員 4 名(本報告書作成日現
    在)の合計 18 名を対象に、面談、WEB 会議又は電話会議の方式により、合計 21 回の
    インタビューを実施した。
     また、インタビュー対象者に対しては、必要と認めた場合には、インタビューの前後
    を問わず、電子メール又は電話を用いた方法による質疑を行った。


(2) 社内資料の精査
     本委員会は、必要に応じ、関連する社内資料を精査した。主な資料は、組織図、人員
    推移表、関連社内規程、取締役議事録及び添付資料、D 社内の定例営業会議の議事録及
    び添付資料、社内コミュニケーションツール(Slack)の履歴、過去の広告記事データサ
    ンプル、広告記事作成及び審査に関するマニュアル、内部監査における調査報告資料並


                           2
      びに内部通報制度に関する資料等である。


3     調査の前提と限界
(1) 本報告書及び調査結果の利用
       本報告書及び本委員会の調査結果は、調査対象の事案に関する G 社及び D 社におけ
      る事実確認及びこれに関連する問題等が指摘された場合における発生原因の究明と再発
      防止策の策定・評価のために用いられることが予定されている。本委員会は、本報告書
      及び本委員会の調査結果が、上記以外の目的のために用いられることを予定していない。


(2) 任意調査であることによる制約
       本委員会による調査は、捜査機関による捜査とは異なり、関係人の任意の協力に基づ
      いて実施されている。捜索・差押え等の強制的な手段を用いることのできる捜査機関と
      は異なり、調査にあたっては、関係人の任意の協力がどの程度得られるかにより、その
      調査の深度において影響を受けることが否定できず、特に、関係人からのインタビュー
      内容が真実であるかどうかについては、これを確認する手段も限定されている。


(3)    時間的・人的制約
       本委員会による調査は、前述の調査実施期間に、前述の各委員が優先順位を考慮しな
      がら一部において役割分担しながら実施したものであり、調査の範囲及び深度には時間
      的・人的制約が存在した。
       加えて、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、資料収集及び対面によるインタ
      ビュー等の実施に制約が存在した。


(4) 物理的制約
       本件報道において問題とされた D 社において過去に作成された広告記事データにつ
      いては、当該記事作成に利用された外部ブログサービスのデータ保管ポリシー等の保存
      期間等との関係により、大部分の確認が困難な状況にあった。したがって、本件不正 1
      の事実経過の調査にあたっては、D 社において過去に作成された、ごく限られた内容の
      広告記事しか確認ができないという前提で調査を行わざるを得ないという制約が存在し
      た。
       また、アドネットワークにおける配信記事については、配信数が膨大であり、過去の
      配信記事については既に削除がなされているものも多いことから、これについてもサン
      プル的に一部の記事を検討するにとどまらざるを得ないという制約が存在した。




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第3    本件不正について本委員会が認定した事実の概要
1 本件不正 1 について
(1) 2017 年 10 月頃から 2018 年 9 月頃まで不正な広告記事の作成が行われていたこと
      D 社は、遅くとも 2017 年 10 月下旬頃から広告作成の事業を開始し、その事業の開
     始の当初から、売上を獲得するという目的で、あるいは、同業他社も同じような記事を
     作成しているからという理由で、(a)実際に商品を使用その他体験していないにもかか
     わらず体験した結果のように創作した記事(以下「体験風記事」という。 (b)商品を
                                      ),
     使用した体験者のような口コミを創作した記事(以下「創作口コミ記事」という。 (c)
                                          ),
     フリー素材等から購入した写真画像を利用して商品を使用した体験者として記載した
     記事(以下「別人使用記事」という。 (d)商品を使用する体験者の使用前(before)と
                      ),
     使用後(after)の写真画像を並べて掲載する記事(以下「BA 並列記事」という。)な
     どの広告関連法令(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法
     律及び健康増進法を含む。
                )に抵触し又は抵触する可能性のある広告記事を日常的に作
     成していた。


(2) 2018 年 10 月以降、社内の記事作成ルールが見直されたにもかかわらず、2020 年 1 月
     頃まで不正な広告記事の作成が行われていたこと
       D 社では、2018 年 10 月頃から 2019 年 1 月にかけて、広告関連法令を遵守した広
      告記事の作成を徹底するため、各種の記事作成ルール(以下「社内レギュレーション」
      という。)の見直しを順次行った。
       しかし、社内レギュレーションの見直しは、必ずしも法令に沿ったものではなく、
      別人使用記事や BA 並列記事については作成が禁止された一方で、体験風記事や創作
      口コミ記事などは禁止の対象にはされなかった。
       また、上記の社内レギュレーションの見直しにより売上が急激に下落したため、そ
      の回復に向けた強い危機感や経営陣からの強いプレッシャーから、一部の従業員は、
      従前行われていた社内レギュレーションに沿わない不正な広告記事の作成を再開し
      た。
       その後、D 社は、広告作成の事業から順次撤退し、2020 年 1 月頃には当該事業を完
      全に終了し、それ以降、D 社において不正な広告記事の作成は行われていない。


2   本件不正 2 について
     G 社では、2018 年 1 月以降、アドネットワークにおける広告審査の基準が緩和されて
    おり、2018 年 2 月 19 日以降は、例えば、BA 並列記事についても許容される審査基準に
    社内の広告承認マニュアルが改訂され、また、2019 年 9 月以降に適用されている新たな
    広告承認マニュアルにおいては、
                  「医療と誤解を与える表現」 「過度に注意をひく画像」
                               や
    であってもアドネットワークでの配信は許容する旨が明記されていた。


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     このような審査基準のもと、G 社がアドネットワークで配信する広告については、広告
    関連法令に違反し、又は違反する可能性のある商品の効能・効果を保証するかのような表
    現が多用されており、本件報道がなされた 2020 年 3 月まで配信されていた。


第4    問題発生の原因分析
1   本件不正 1 について
(1) 広告関連法令に関する役職員のコンプライアンス意識が欠如していたこと
     D 社の役職員は、広告関連法令に反する可能性を認識しつつ、不正な記事を作成して
    配信していたのであり、広告関連法令を遵守しなければならないという意識(コンプラ
    イアンス意識)が欠如していたものと認められる。


(2) 広告関連法令に関する認識・知識の欠如
     D 社の役職員は、広告関連法令を適切に理解することなく、同法令に反する広告記事
    を作成して配信しており、2018 年 10 月頃以降に見直された社内レギュレーションの内
    容としても、本来は同法令に違反する広告記事の作成が禁止されていないなど、同法令
    に関する認識・知識の欠如が認められる。


(3) 売上の獲得に向けた従業員に対する必要以上に強いプレッシャーが存在したと考えら
れること
     D 社においては、特に、2018 年 10 月以降の社内レギュレーションの見直しによって
    売上が下落していった際に、経営陣から売上の獲得(回復)に向けた従業員に対する必
    要以上に強いプレッシャーが存在し、上記(1)のような従業員のコンプライアンス意識の
    欠如とあいまって、社内レギュレーションに沿わない内容の不正な広告記事の作成が再
    開されたものと認められる。


(4) 問題発生時の危機管理意識及び対応が不十分であったと考えられること
     D 社においては、不正な記事作成の事実又はその可能性を認識し、かつ、調査するな
    どして不正な記事作成を止めさせる機会が何度もあったものと認められるが、各役職員
    の危機管理意識及びその都度の対応が極めて不十分であったため、これらの機会を活か
    すことができず、不正な記事作成及び配信が継続されることとなったものと認められる。


(5) 問題発生時における現場の従業員から経営陣への報告体制が整っていなかったこと
     上記(4)に関連して、D 社内で不正な記事作成が行われていること認識した従業員は、
    これを上司に報告等しておらず、このような重大な問題を現場の従業員が認識した場合
    に速やかに経営陣へ報告が行われる体制・運用が適切に整備・確立されていなかったこ
    とが認められる。


                          5
(6) 管掌役員等に対する他の役職員によるチェック機能が十分に発揮されていなかったこ
と
     広告事業を管掌し、かつ豊富な専門的知見を有する広告事業の管掌役員らの判断を、
    他の役職員が基本的に尊重する傾向が認められ、他の役職員による牽制が十分に働いて
    いたとは認められない。


(7) コンプライアンス確保の状況を自ら調査・是正する体制が十分に機能していなかったこ
と
     G 社内においては代表取締役の直轄の内部監査室が存在し、社内の不正を自ら調査し
    て正す役割が期待されているが、本件不正 1 のような問題について実効的な監査が適切
    に実施されていたとは認められない。


2   本件不正 2 について
(1) 広告審査を担当する従業員が営業部門に所属していたこと
     G 社においてアドネットワークについて広告審査を担当する従業員は広告事業部門の
    営業企画部署に所属しており、いわばブレーキ役ともなるべき審査業務について、営業
    上の観点が優先され、その独立性が確保されているとは言い難い状況にあったものと認
    められる。


(2) G 社役員レベルにおける広告関連法令への認識・知識の欠如
     G 社の広告事業を管掌する取締役らは、アドネットワークにおいて配信される広告記
    事の内容について G 社が責任を負わないという誤った認識を有しており、広告関連法令
    に関する認識・知識が欠如していたことが認められる。


第5    再発防止策の提言
1   コンプライアンス重視の風土の醸成とそれに向けた経営トップによる意志の表明
    営利的な観点を犠牲にしてでもコンプライアンス違反又はその違反が疑われるような
    行為は絶対に行わないという断固たる意識を組織の役員・職員全体に風土として根付かせ
    る必要がある。そのためには、まずは経営トップとして、本件で生じた事象を踏まえ、広
    告関連事業に関するコンプライアンスを最優先すべきことを全役職員に対してメッセー
    ジとして発信し、コンプライアンスを犠牲にして営利を追求する行動を採ることは誤りで
    あることを周知徹底する必要がある。


2   広告関連法令に関する役員・従業員のコンプライアンス意識及びリテラシーの充実
    広告関連法令については、役員・従業員に対して、その規制の持つ社会的意味を教育す


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    る観点での教育の機会を付与するとともに、定期的かつ、法令やガイドライン等の改訂等
    の都度、その知識を補充するための研修を実施する必要がある。


3   所管部署を超えたチェック機能の発揮
    広告事業におけるコンプライアンス遵守を徹底するためには、広告事業以外を所管する
    役員・幹部職員による牽制機能を発揮させることも重要である。そのため、所管する事業
    の垣根を超えた意見交換を徹底して行う必要があり、将来に向けては、広告事業を所管し
    ない役員・幹部職員であっても、広告事業に関するコンプライアンス遵守の観点での意見
    を述べることが責務であるとの意識を持つことが重要である。


4   広告審査部門の独立性の強化
    広告審査部門は、広告関連法令に照らして配信する広告を選別し、限定する役割を担う
    という点でブレーキ役となる業務を担っているため、営業部門の直接の指揮命令を受けず
    に牽制効果を発揮できる組織体制とすることが望ましい。


5   内部監査室による牽制機能の強化
    現状の内部監査の体制に関し、本件不正のような問題について、真に実効性のある内部
    監査を行うことができる体制となっているか、牽制機能を発揮することができているかに
    ついては、真摯に検討する必要がある。


6   不正発生時における現場の従業員から経営陣への報告体制の整備及び運用の確立
    何らかの事業運営上の問題の発生又はその可能性を認識した現場から経営陣への報告
    体制(レポートライン)が十分に整備されているかにつき再検討を行い、事業の現場の実
    情に応じた最適な報告体制の整備を行う必要がある。


7   広告関連を含めた法令違反行為等の問題発生時の危機管理体制(対応マニュアル等を含
む)の整備
    本件不正のような問題事象が生じた際の対応は、広い意味での広告関連業務に関するコ
    ンプライアンス体制であり、広告関連を含めた法令違反行為等の問題発生時の危機管理体
    制の整備(責任者の選任、対応チームの組成及び対応マニュアルの作成等を含む。)を図
    る必要がある。


第6    総括
    本委員会による調査においては、多数の関係者に対して任意の聞き取りを実施したが、
各関係者の対応振りは協力的かつ真摯なものであった。本件調査の関係者及び組織とし
て、再発防止に前向きに対応しようとする意志の表れであると思われる。


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 言うまでもないことであるが、購買しようとする商品の選択に当たり、消費者は広告等
から得られる情報に基づいて判断を行っている。消費者保護の観点から、広告について
は、その中に含まれる情報が誤りのないものであることが重要である。もし、意図的に不
正な広告が作成された場合には、消費者にとってその真偽を見分けることは難しい。
 それゆえ、広告を作成する者は不正広告を作成しないとする意志を明確に持ち、不正広
告防止の体制整備を行うことが求められる。
G 社は若い会社であるが、既に東証 1 部に上場された将来性のある会社であると理解し
ており、今後とも、新しいテクノロジーを用いた新分野において、新しい業務の展開や全
く新しい業態の創出など、活躍されるものと思う。
 今回の事案を乗り越え、社内体制を整備して、引き続き発展されることを期待する。
                                         以上




                    8