5998 アドバネクス 2019-05-09 17:15:00
株主提案に対する当社取締役会の意見について [pdf]

                                               2019 年5月9日
 各 位
                       会 社 名 株式会社アドバネクス
                       代表者名 代表取締役会長兼社長              柴野 恒雄
                        (コード番号 5998 東証第1部)
                       問合せ先 代表取締役常務最高財務責任者 大野 俊也
                                   (TEL.03-3822-5865)

             株主提案に対する当社取締役会の意見について

 当社は、下記のとおり、株主より、本年6月 25 日開催予定の第 71 期定時株主総会における
株主提案権行使に関する書面を受領しましたが、本日開催の取締役会にて、当該株主提案(以
下「本株主提案」)について反対することを決議しましたのでお知らせします。
                           記
1. 提案株主
  加藤雄一、加藤蓉子および加藤雄一ホールディングス株式会社


2. 受領日
  2019 年4月 24 日


3. 本株主提案の概要
  ① 議題
     取締役 7 名選任の件
  ② 議案の要領
         加藤雄一、柴野恒雄、大野俊也、加藤精也、武田栄一、尾関友保および米倉誠一郎
     を当社取締役に選任する。なお、本株主提案の提案理由および候補者の略歴等は別紙
     に記載のとおり(別紙にはそのまま記載)。


4. 本株主提案に対する当社取締役会の意見
  当社取締役会としては、以下の理由により本株主提案に反対します。


  ① 本株主提案に対する相当数の反対が見込まれること


         当社は、昨年(2018 年)6 月開催の定時株主総会において、取締役候補者 7 名を選
     任する旨の会社提案を提出いたしましたが、大株主から会社提案に反対する旨の意見
     が表明されるとともに、取締役候補者 6 名(ただし、そのうち 3 名は会社提案と共通
     候補者)を選任する旨の修正動議が提出され、長年当社と協業してきた協力会社らが
     賛同したことにより当該修正動議が承認可決されました。その後、株主総会決議不存
     在確認等請求訴訟(東京地裁平成 30 年(ワ)第 27434 号)が提起され、 (2019 年)
                                            本年
     3 月 8 日、①会社提案に係る取締役候補者 4 名(修正動議との共通候補者を除く 4 名)
     の取締役としての地位確認は認めない、②修正動議に係る取締役候補者 3 名(会社提
     案との共通候補者を除く 3 名)の選任決議を取り消す旨の第 1 審判決が出され、現在
     控訴審にて係属中であります。
   本株主提案は、昨年当社が提出した会社提案と同内容であり、本年定時株主総会に
  おいても大株主から反対の意見表明が提出されることが見込まれております。
   当社取締役会としては、昨年に引き続いて本年においても取締役候補者をめぐり大
  株主との間で意見が対立するという事態を避け、早期に経営の安定性を確保すること
  が最も重要であると考えております。


② 会社提案に係る取締役候補者により更なるコーポレート・ガバナンスの強化が見込ま
  れること


   当社取締役会は、昨年(2018 年)定時株主総会における修正動議に基づき、新た
  に社外取締役 3 名(小谷健、中野隆平および福島正)が参加して経営に当たってまい
  りましたが、その間、取締役会の実効性は着実に高まりました。小谷健および福島正
  は、企業経営の経験者であり、当社事業に対して適確な意見やアドバイスを提供して
  きました。中野隆平は、現職の企業経営者であり、また、外資系自動車関連企業にお
  いて経営者としての経験も長いことなどから、グローバル展開を積極的に進める当社
  に有益な情報や意見などを提供してきました。このように経験豊富な社外取締役が取
  締役会の半数を占めることで、社内出身の業務執行取締役に対して適切な助言と実効
  性の高い監督の実現を目指してまいりました。
   当社取締役会としては、この 1 年間で進められた取締役会改革の流れを後退させる
  ことがないよう、本日付「取締役候補者の選任に関するお知らせ」にてお知らせして
  いるとおり、本年(2019 年)定時株主総会において、柴野恒雄、大野俊也、加藤精
  也、小谷健、中野隆平および福島正の 6 名に加え、新たに嶋村昇及び木南麻浦の合計
  8 名の取締役候補者を選任する旨を会社提案として提出することを決定いたしました。
  社内出身の取締役を 1 名増員することで中期経営計画の策定以来、国内外への積極的
  な拠点展開など業容拡大を進めている当社の業務執行体制を強化するとともに、弁護
  士としての経験を有する女性取締役を加えることで取締役会の多様性を確保し、社外
  取締役が半数を占める構成とするものです。なお、本日付「取締役の異動のお知らせ」
  にてお知らせしているとおり、本年定時株主総会の招集手続における瑕疵の承継を避
  けるため、小谷健、中野隆平および福島正は 5 月 8 日付で辞任しておりますが、同 3
  名は当社の中長期的企業価値向上に資する取締役として十分な知見と能力を備え、実
  際に昨年定時株主総会以降の当社経営に有益な助言と監督を行ってきておりますの
  で、本年定時株主総会において取締役候補者として提案する次第です。



③ 中期経営計画に沿った経営戦略の実行により業績回復・収益拡大の見通しがあること


   当社は 2015 年に売上・収益拡大に向けて更なる海外展開や自動車、医療、規格品
  事業の拡大などを主とした中期経営計画を公表し、以来、その計画に沿って事業活動
  を進めてきました。自動車向け事業においては、1)自動車部品が共通化される傾向に
  あること、2)サプライチェーンがグローバル化される傾向にあることなどから、今後
  需要の拡大が見込まれ、且つ、競合が少ないメキシコ、インド、インドネシア、チェ
  コなどへの進出を積極的に進めてきました。当社の顧客である自動車一次部品メーカ
       ー(Tier1)は当社の体制と取り組みを評価し、グローバルに跨った多くのプロジェク
       トが決まるなど売上拡大の目処が立っています。医療向け事業においては、1)世界に
       おいて高度医療の受益者となる高 中所得層が今後 15 年で倍増する予測があること、
                      ・
       2)当社ばね製品を採用する医薬品キットの認可がグローバルで進んでいること、3)医
       療向けはボラティリティーが少なく長期的・安定的に成長する見通しであることなど
       から、今後安定的に収益貢献すると見ています。規格品事業においては、1)旅客需要
       の拡大により旅客機の生産台数が増えていること、2)新興国などでの市場開拓を進め
       ていること、3)新製品のボルト・ナット脱落防止スプリングシリーズ(ロックワン、
       インスタントロックなど)がヒットしていることなどから、同事業が当社の新たな柱
       となり、経営の安定に寄与すると期待しています。一方、直近は、進出先の新設工場
       にてグローバルプロジェクトに対応するべく積極投資を実施していることから固定
       費負担の増加が業績に影響しています。投資先での売上は確約されているなど上述の
       経営戦略は概ね想定どおり進んではいますが、今期の収益を確保するため、また、新
       設工場の稼動本格時に収益を最大化させるため、現在当社は固定費、経費の削減およ
       び合理化の取組みを強力に進めています。2019 年 3 月期の当社連結業績は本日付
       「2019 年3月期       決算短信〔日本基準〕(連結)」にてお知らせしたとおり、直近は
       厳しい状況ではございますが、2020 年3月期以降は投資効果が現れるに伴い改善し
       ていく見通しです。なお、2020 年3月期の決算概要や経営戦略については HP にて
       資料を公開していますのでご参考願います。


         「2019 年3月期 決算短信〔日本基準〕
                             (連結)」
         https://pdf.irpocket.com/C5998/FMlK/gJGN/ZlM3.pdf
         「2019 年 3 月期第2四半期決算説明会説明資料」
         https://pdf.irpocket.com/C5998/xouG/rjqw/NoLK.pdf




   以上のとおり、当社取締役会としては、経営の安定性確保、コーポレート・ガバナンスの
 強化及び中期経営計画の実行による業績回復・収益拡大のためには、本日付「取締役候補者
 の選任に関するお知らせ」でお知らせしたとおりの取締役候補者を選任し、当社の経営に当
 たっていくことが最良であると考えており、本株主提案に反対いたします。


                                                             以上
お問合せ先:
株式会社アドバネクス 総務部広報IR課
〒114-8581   東京都北区田端 6-1-1 田端アスカタワー
TEL : 03-3822-5865
FAX : 03-3822-5873
                                               別紙


1. 株主総会の目的である事項
 取締役7名の選任の件


2. 議案の要領及び提案の理由
【議案の要領】
  以下の取締役候補者7名を取締役として選任する。


     氏名                         略歴                所有する
                                                  当社の株
                                                    式数
                  昭和47年4月      当社入社
                  昭和56年10月     当社総務部長、海外事業部長
                  昭和56年12月     当社取締役
                  昭和58年10月     当社常務取締役
                  昭和62年12月     当社代表取締役社長
    ①加藤雄一         平成17年4月      当社代表取締役会長兼社長
                                                  37,987 株
(昭和25年2月1日生)      平成25年6月      当社代表取締役会長
                  (重要な兼職の状況)
                  株式会社光・彩社外取締役
                  川田工業株式会社社外取締役
                  恒成株式会社顧問
                  岡本硝子株式会社顧問
                  昭和53年3月      当社入社
                  平成12年4月      カトウスプリング株式会社取締役
                             工場長
                  平成17年6月      同社代表取締役副社長
                  平成18年5月      当社柏崎工場長
    ②柴野恒雄
                  平成19年4月      当社執行役員             9,700 株
(昭和35年1月25日生)
                  平成21年6月      当社取締役
                  平成25年4月      当社取締役国内ビジネスカンパニ
                             ー長
                  平成25年6月      当社代表取締役社長
                  平成30年6月      当社代表取締役会長兼社長(現任)
                  昭和57年4月      アイワ株式会社(現ソニー株式会
                             社)入社
                  平成14年11月     同社退社
    ③大野俊也
                  平成15年1月      当社入社               9,200 株
(昭和34年12月3日生)
                  平成17年4月      当社執行役員
                  平成18年4月      当社執行役員、最高財務責任者(現
                             任)、業務管理本部長
                平成21年6月      当社取締役
                平成26年4月      当社常務取締役
                平成30年6月      当社代表取締役常務(現任)
                昭和56年3月      当社入社
                平成2年3月       当社東北営業所長
   ④加藤精也
                平成18年4月      当社執行役員              7,620 株
(昭和33年4月11日生)
                平成21年6月      当社取締役
                平成26年4月      当社常務取締役(現任)
                昭和53年3月      当社入社
                平成12年4月      カトウスプリング株式会社代表取
                           締役社長
                平成18年5月      当社生産管理部長
                平成19年4月      当社執行役員
   ⑤武田栄一        平成21年6月      当社取締役
                                                 10,700 株
(昭和34年12月4日生)   平成25年4月      当社 CS(お客様満足)推進室長
                平成26年4月      当社グローバル事業部長
                平成27年4月      当社グローバル営業本部長
                平成28年4月      当社 E コマース準備室長
                平成29年4月      当社品質保証本部長
                平成30年7月      株式会社アキュレイト顧問(現任)
                平成9年7月       日本アウトソーシング株式会社代
                           表取締役社長
                平成11年8月      プライスウォーターハウスクーパ
                           ース BPO ジャパン株式会社プレジ
                           デント
                平成13年1月      アクセンチュア株式会社パートナ
                           ー
   ⑥尾関友保        平成14年4月      株式会社エムエフアイジャパン代
                                                 900 株
(昭和29年6月13日生)              表取締役(現任)
                平成16年6月      Oak キャピタル株式会社社外監査
                           役
                平成21年6月      同社社外取締役(現任)
                平成27年6月      当社社外取締役
                (重要な兼職の状況)
                株式会社エムエフアイジャパン代表取締役
                Oak キャピタル株式会社社外取締役
                昭和63年4月      一橋大学商学部産業経営研究所助
                           教授
   ⑦米倉誠一郎       平成7年4月       同大学商学部産業経営研究所教授
                                                 500 株
(昭和28年5月7日生)    平成9年4月       同大学イノベーション研究センタ
                           ー教授
                平成9年4月       同副センター長
                 平成11年4月      同センター長
                 平成14年4月      森ビル株式会社アカデミーヒルズ・
                             アーク都市塾 塾長
                 平成15年5月      ソニー株式会社グループ戦略研究
                             室   室長
                 平成21年4月     森ビル株式会社アカデミーヒルズ・
                             日本元気塾 塾長(現任)
                 平成24年3月      プレトリア大学日本研究センター
                             所長
                 平成27年6月      当社社外取締役
                 平成29年4月      一橋大学名誉教授(現任)、一橋大
                             学イノベーション研究センター特
                             任教授、法政大学大学院イノベーシ
                             ョン・マネジメント研究科教授(現
                             任)
                 (重要な兼職の状況)
                 一橋大学名誉教授
                 一橋大学イノベーション研究センター特任教授
                 森ビル株式会社アカデミーヒルズ・日本元気塾塾長
                 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授
(注1)   取締役候補者と当社との間には特別の利害関係はありません。
(注2)   尾関友保氏及び米倉誠一郎氏は、社外取締役候補者であります。


【提案の理由】
 当社第 70 期定時取締役会において、一部株主グループによる違法かつ不当な議決権行使及
び株主総会運営への関与がなされた結果、選任決議の要件を充足していた加藤雄一氏、武田栄
一氏、尾関友保氏及び米倉栄一郎氏の4名(加藤氏への賛成割合は約 53.0%、ほかの3氏への
賛成割合は約 52.8%)の取締役への選任が妨害され、逆に、選任決議の要件を充足しない小谷
健氏、中野隆平氏及び福島正氏の3名(上記株主グループの動議により提案された候補者であ
り、賛成割合はそれぞれ約 46.7%)の取締役への選任が宣される事態となりました。この3名
の取締役選任決議については、東京地裁において、これを取り消す旨の判決が下されておりま
す(東京地裁平成31年3月8日判決)。しかしながら、取締役として選任されていたはずの
4名につき、当社は依然として取締役として職務執行を認めず、この復帰は実現しておりませ
ん(なお、提案者は、東京地裁に対し、当該4名の取締役としての地位確認についても求めて
おりましたが、東京地裁がこれを斥けた点につき、控訴しております。。
                                )
 このように、本来、当社取締役として職務を行なうべき4名がその職務を追われ、選任され
てはならない3名が当社取締役の職務を行うこととなり、当社の経営には混乱を来たしていま
す。その結果、当社の株価も低迷し、当社第 70 期定時株主総会の前日である平成30年6月
20 日から遡って1か月間の当社の平均株価(終値)が 2,319 円であったのに対し、本提案の日
の前日である平成 31 年4月 22 日から遡って 1 か月間の当社の平均株価
                                      (終値) 1,723 円と、
                                          は
実に 596 円(約 26%)も下落しています。さらに、当社の業績も、前年同期と比べて、大幅
に悪化しております(たとえば、本提案の日現在、公表されている当社の平成 31 年 3 月第3
四半期をみると、営業利益は 199 百万円から 55 百万円へと約 72.3%減少し、経常利益は 245
百万円から 97 百万円へと約 60.3%減少し、四半期純利益は 103 百万円から純損失 71 百万円
に転落しています。。
         )
 このような当社の経営及び事業を立て直し、さらに、今後の当社の発展に繋げるためには、
当社第 70 期定時株主総会において当社自身が提案した取締役候補者 7 名を改めて当社取締役
に選任し、経営体制を正常化することが不可欠であります。そこで、当社第 70 期定時株主総
会において当社が提案した取締役候補者 7 名の選任を、
                          本株主総会に提案するものであります。


3. 補足
   平成 31 年 4 月 1 日から本株主総会までに選任された取締役(本株主総会の終結時点で
  その任期が終了する取締役を除きます。)が存在する場合に備え、以下の点を補足いたしま
  す。本株主提案は、本株主総会において当社提案に係る取締役選任議案が存在する場合、
  当該会社提案の候補者に差し替えて、上記 7 名の選任を求めるものでありますが、本株主
  提案の提案人数全員について可決されると、本株主総会で選任される取締役の員数が当社
  定款に定める取締役の員数を超過する場合は、本株主提案は、候補者番号の順に当社定款
  に定める取締役の最大員数までの人数の選任を提案する趣旨となります。
   また、仮に、平成 31 年 4 月 1 日から本株主総会までに選任された取締役(本株主総会
  の終結時点でその任期が終了する取締役を除きます。)が存在する場合には、請求人らは、
  本株主提案の提案人数全員の選任を行なうという目的を達成するため、本書面をもって、
  当該取締役の全てを解任することを本株主総会における株主総会の目的とすることを請求
  するとともに、その議案の要領等を株主に通知することを請求いたします。


                                                 以上