5981 東製綱 2021-09-27 16:00:00
新中期経営計画 『TRX135』(2022年3月期~2024年3月期)策定に関するお知らせ [pdf]
2021 年 9 月 27 日
各 位
会社名 東 京 製 綱 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 原 田 英 幸
(コード番号 5981 東証第1部)
問合せ先 取締役執行役員総務部長 喜 旦 康 司
(TEL. 03- 6366- 7777)
新中期経営計画『TRX135』(2022 年 3 月期~2024 年 3 月期)策定に関するお知らせ
当社では、本年 6 月開催の第 222 回定時株主総会にて経営体制を一新し、社外取締役が取締役会の
過半数を占める新たな経営体制でスタートいたしました。
新たな経営体制にて、当社グループのあるべき姿について真摯な議論を重ね、本日開催の取締役会
において、当社グループの 2022 年 3 月期から 2024 年 3 月期の事業運営の指針となる新中期経営計
画『TRX135』1(以下、「新中期計画」
)を策定いたしましたのでお知らせいたします。
Ⅰ.策定の背景と基本方針
当社グループは、2015 年 5 月に策定した 2020 年 3 月期までの五か年中期経営計画「TCT-
Focus2020」(以下、「前中計」)では、「国内事業の基盤強化」「新素材・新技術への挑戦」「海外
、 、
展開」の 3 つをキーワードとして、全事業の活性化を期すべく、とりわけ成長戦略の加速化に重
点を置く各種施策を実行してまいりました。
前中計が終了した 2020 年 3 月期までに、個々の施策に一定の進展が図られたものもありました
が、結果的に前中計で掲げた各種数値目標に対して大幅な未達に終わり、その後のコロナウイル
ス感染症拡大の影響もあって、前中計終了後 1 年 6 カ月にわたり次の指針となる新中期経営計画
策定をこれまで見送らざるを得ませんでした。
本年 6 月末の株主総会における経営体制の刷新以降、新たな業務執行体制で新中期経営計画の
策定に関する議論を深めてまいりました。
足元の事業環境がワクチン接種率の向上などで感染状況のピークアウトへの期待が高まりつつ
あるものの、今後も新型コロナウイルス変異株による影響を払拭できない状況にあります。
ウィズコロナの時代でも安定的な事業運営を可能とし、当社グループの従業員、株主様、お客
様、お取引先、地域社会といったステークホルダーの皆様にとっても誇れる企業へ再生すること
を目指します。そのための最優先課題は、近年の業績低迷からの早期の企業価値の回復・向上で
あるとの認識から、当期を初年度とする新中期計画『TRX135』を策定し、本日公表することとい
たしました。
新中期計画の概要は下記「Ⅱ.新中期計画の概要」に記しますが、来年創業 135 年を迎える当
社グループの歴史により培われたお取引先からの信頼をベースとするブランド力を維持しつつ
も、前中計までの結果を踏まえた当社グループの構造的課題を克服し、将来的な事業性の厳格な
1
Tokyo Rope Trans(X-)formation 135 の略:創業 135 年目の節目にあたり東京製綱を大きく変えるという想いを込
めて名付けたものです。
1
検証のもとで成長可能性のある事業についてはその礎を整備することで、当社グループが本来持
っているポテンシャルを最大限に引き出すことに注力してまいります。
Ⅱ.新中期計画の概要
1.将来ビジョンと新中期計画の位置付け
当社グループは、来年創業 135 周年を迎えますが、長年の基幹事業であるワイヤロープのほ
か、その派生事業であるエンジニアリング関連など様々な製品群、技術、関連サービスの提供を
通じて、安全・安心な社会資本の整備に貢献してまいりました。将来においても、当社製品や技
術、サービスが我が国や諸外国において役立つ分野は拡がっていくものと考えております。これ
まで当社グループが蓄積してきた技術や知見の活用は、国際社会が目指す SDGs に資するもの
と自負しており、また、当社グループが果たすべき社会的責務とも認識しております。中長期的
な事業活動の基盤として、SDGs 達成に向けた取り組みを重視し、コンプライアンスの徹底とコ
ーポレートガバナンスの強化を並行して進め、社会・環境の持続的発展への寄与に努めてまいり
ます。
このような認識のもと、当社グループは、その活動を持続的に発展させ、より多くの社会的使
命を果たすことで、当社グループの企業価値もまた高められるものと信じております。
新中期計画期間は、この発展的成長のための基礎固めの 3 ヵ年として取り組む方針で、近年の
事業環境悪化、先行投資等により低迷した業績を早期に安定的収益水準まで回復させることを
最優先課題としていますが、同時に、その後の飛躍を見据えた準備期間とも位置付けています。
当社初代会長である渋沢栄一は「道徳経済合一」の理念を唱え、当社は、その「共存共栄」の
考え方を社是としております。今後も高品質な製品・サービスそしてソリューションの提供、具
体的には、ロープに関わる材料技術、プロセス技術、エンジニアリング技術、計測・診断技術を
有機的に結び付けた「トータル・ケーブル・テクノロジー」によるソリューションを通じて社会
に貢献するとともに、環境保全と安全・安心への取り組みにも注力することで従業員、お客様、
地域の皆様、株主の皆様など全てのステークホルダーの皆様と共に歩んでまいります。
そして、経営の透明性を高め、ステークホルダーの皆様への発信を強化することで、社内外か
らのご理解とご支援を賜り、全社一丸となって、当面 3 ヵ年の目標である新中期計画『TRX135』
を実現していく所存であります。
2.基本方針及び目標
(1)基本方針
新中期計画は以下を基本方針として、各種施策に取り組んでまいります。
1) 収益力の再構築
2) 経営資源投入の選択と集中による全事業の黒字化
3) 次期成長を見据えた基盤づくり
4) 風土改革に繋げる内部統制の再構築と積極活用
5) 財務基盤強化
2
(2)数値目標(連結業績、財務指標)
2021 年 3 月期 2022 年 3 月期 2024 年 3 月期
前期実績 当期予想 到達目標
売上高(億円) 591 600 650
営業利益(億円) 7.0 15.0 30~40
EBITDA(億円) 23 38 53~63
ROE 1.9% 8.0%以上
D/E レシオ 1.2 1.0 未満
EPS 25 円/株 68 円/株 130 円/株~
総還元性向 ‐ 30%前後 30%以上
3.重点戦略
(1)収益力の再構築
①鋼索鋼線関連は、当社グループの主力事業であり、その中でも当社グループが得意とするエ
レベータロープや建設機械用ロープ、索道用ロープ等の製品は、人や社会の安全、工場の安
定操業に直結する重要部材として広く活用いただいております。将来に渡り、これら製品や
サービスを引き続き提供していくためには、品質・技術の維持向上に加え、生産性の更なる
改善による収益力改善が不可欠となっています。取り巻く国内環境は総じて市場縮小、輸入
増で厳しい状況にあり、当社グループとしては、製販の整流化、設備維持更新に合わせた合
理化設備の投入、購入資材のコストダウン等を実施してまいります。足元では線材の急騰ほ
か各種諸資材等の値上に対して、お客様のご理解のもと、製品価格への迅速な反映を行って
まいります。また、縮小傾向の国内市場に対して、当社製品の強みを生かした海外展開にも
注力してまいります。
②スチールコード関連では、主力製品であるタイヤ用スチールコードが、コロナウイルス感染
症の影響で需要が落ち込んだ前年度上期から一転し、3密回避の交通手段ということもあり、
新車用並びに取替用タイヤの販売が増加しています。当社グループとしては、そうした需要
を確実に捕捉する為にも、既存設備を徹底して活用し、また設備投資効果を早急に実現する
ことで、生産性改善、各種コストダウンを実施してまいります。また、体質強化のより一層
の加速と並行して、鋼索鋼線事業同様に、足元での線材価格等の値上に対して、事業継続性
の確保と設備の更新投資を可能とするスプレッド改善の観点から、お客様のご理解を得なが
ら、抜本的な価格是正を図ってまいります。
③開発製品関連においては、政府による国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)、防災・減災
の取組みが、国家のリスクマネジメントとして力強く推進されることから、当社グループの
各種防災製品やサービス、道路、橋梁等インフラ関連での需要が堅調に持続する見通しです。
地球温暖化に伴い、集中豪雨などの自然災害が各地で頻発しており、また、大型地震に備え
た防災対策の必要性は益々高まることから、当社グループとしては、この分野での社会的要
請により一層対応できるように、引き続き、製品開発や改良に取り組んでまいります。
3
(2)経営資源の選択と集中による全事業の黒字化
前中計期間において、次世代事業収益の柱の一つとして経営資源を集中的に投入してきた
CFCC(炭素繊維)事業、海外エンジニアリング事業では、CFCC 土木用途のように、既に海外市
場開拓が成果に結びついているものがある一方、新規事業の性質上、不確実要素も多く、全体
としては前中計で目指した数値目標から大幅乖離の結果になりました。
この反省を踏まえた今後の展開方針として、これまでの活動により見えてきた各事業の対象
地域毎の状況や環境の変化を精査したうえで、時間軸を含めた事業性の再検証を行ってまいり
ます。
その結果に応じて、方針の適宜見直し、事業戦略の遅滞ない変更を実施してまいります。経
営資源の選択と集中を行い、活動の効率化とコスト削減により、収益寄与のスピードアップを
図っていきます。
(3)次期成長を見据えた基盤づくり
収益力の再構築とともに、主力事業における新規市場開拓、差別化商品の開発も並行して行
っていくことで、更なるステップアップのための基盤整備に努めます。
鋼索鋼線関連では、今後の市場拡大が見込まれる洋上風力発電設備向の各種工事用ロープ
や、それに付随して発生する海底ケーブルなどをターゲットに展開するほか、非破壊検査であ
る全磁束法によるケーブル健全性診断の活用により、橋梁架け替え需要の捕捉をターゲットに
してまいります。
スチールコード関連では、今後の自動車の EV 化を見据えたタイヤの軽量化や転がり抵抗の
低減、耐摩耗性に資する当社グループの技術を生かしたスチールコード製品の開発、市場投入
を行ってまいります。
国内エンジニアリング事業については、変化する災害やニーズに対応する製品開発、ライフ
サイクルコスト、メンテナンスフリーを実現する製品の啓蒙・普及を推進してまいります。
また、スチールコードをはじめ各事業で、自助努力の継続はもとより、日本製鉄株式会社と
の技術的交流による製品開発や生産性向上を進める等、素材からの連携・一貫取り組みも一層
推進し、逐次、高付加価値差別化製品を市場に投入していく所存です。
(4)風土改革に繋げる内部統制の再構築と積極活用
①働きやすさを追求した環境の再整備
各種ルールを整備、啓蒙することにより、その規律の中で、従業員が安心して活動できる
仕組みづくりを行います。また、安全・健康に配慮した職場環境を整備し、働きやすさを向
上させてまいります。
②組織風土改革
組織を活性化させるためには、ウィズコロナ下での新たな働き方への変革や社内 DX は必
須の課題となります。全社一丸での目標達成に向けて、従業員の一人ひとりの声を反映した
組織風土改革を実現すべく、風通しの良い組織形成に資する内部統制の再構築と活用、これ
らを支援する IT の整備、定着を進めてまいります。
4
③DX による業務改革
135 周年を迎える当社グループでは、情報技術の導入が遅れている業務手法が多数存在し
ており、従来の固定観念に囚われない柔軟な発想と DX を進めることで、組織風土改革のみな
らず、業務効率の飛躍的向上を実現し、より収益力の高い企業に生まれ変わる余地があると
考えております。 技術の導入は各業務における外部の知見を導入することでもあり、 を
IT DX
梃に 135 年の歴史の中で培われた業務を見直し、収益力の強化を図ってまいります。
(5)財務基盤強化
①配当政策
2021 年 3 月期決算短信において公表のとおり、2022 年 3 月期は 3 期ぶりの復配を予定し
ております。今後の利益配当については、連結業績を基準に、SDGs、新市場区分、DX などへ
の対応に要する資金等を勘案しつつ、株主の皆様への利益還元を安定的に実施することを方
針といたします。また、毎期の安定配当を目指すことを基礎としつつも、総還元性向という
考え方のもと、各期の業績に応じて機動的な利益還元を行う方針も併せて掲げ、株式価値の
向上に努めてまいります。
②財務戦略
新中期計画期間において目指す収益水準を達成するとともに、資本効率性・保有の意義・
経済合理性の観点から政策保有株式の見直し・縮減を行い、更に投資の選択と集中により、
有利子負債の圧縮と財務基盤の強化を図ってまいります。
Ⅲ.その他
新中期計画のセグメント別施策など詳細につきましては、別途、11 月上旬の 2022 年 3 月期第 2
四半期連結決算の発表後に、機関投資家向け説明会を開催するとともに、開示する予定であります。
以 上
5