5959 岡部 2021-07-29 15:00:00
中期経営計画「NEXT100 - PHASE2.1」の策定について [pdf]
岡部株式会社 NEXT100 - PHASE2.1
2021 年 7 月 29 日
岡 部 株 式 会 社
(証券コード 5959)
岡部株式会社 中期経営計画「NEXT100 - PHASE2.1」の策定について
当社グループは、2021 年 7 月~2024 年 12 月期を対象期間とする中期経営計画「NEXT100 - PHASE2.1」
を策定いたしましたのでお知らせいたします。コロナ後の外部環境想定のもと、前・中期経営計画の「社会ととも
に持続的な成長を図る」という方向性は継続しながら、脱炭素含む SDGs 経営、DX 活用等を重点課題として取
り組む計画といたしました。
中期経営計画「NEXT100 - PHASE2.1」の骨子
当社グループの「ビジョン」(将来像)の実現に向けて「3 つの柱となる施策」を重点課題として取り組んでまい
ります。
1. 3 つの柱となる施策
① SDGs 経営
➢ 既存事業(建設関連製品事業+海洋事業)プラス新規事業により SDGs に貢献します。
建設関連製品事業においては、当社製品・工法を通じて、「建設現場の脱炭素・ゼロエミッショ
ン」に取引先と共に取り組みます。
海洋事業においては、CO2 を吸収する魚礁・藻場礁を普及させて、「地球のカーボンニュートラ
ル」に貢献します。
➢ SDGs 関連の中期 KPI 目標を設定しコミットします。
② DX 活用
➢ サプライチェーンにおける DX 活用による顧客サービスの向上
➢ デジタルツール活用による業務効率化と多様な人材が多様な働き方で活躍できる職場環境整
備
➢ 次に起きうる危機にレジリエントに対応できる事業体制整備(BCP)
③ グローバル展開加速
➢ 建設関連製品事業のグローバル展開加速(米国、ASEAN)
2. 3 年後の業績目標
3 年後(2024 年)の業績は、売上高 700 億円、経常利益 58 億円、ROE6.0%以上を目標とします。
3. 設備投資 110 億円(2022 年~2024 年の 3 年間累計)
集中投資領域 : SDGs 新規事業、脱炭素、DX 活用
4. 戦略投資(M&A 等) 100 億円(2022 年~2024 年の 3 年間累計)
M&A 対象領域:SDGs に貢献する事業領域(建設関連製品事業、海洋事業及びその周辺事業等)
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Ⅰ.当社グループのビジョン(将来像)
☆「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、総合的なソリューション提供に
より、地球規模の課題の解決に貢献するグローバルメーカーを目指します。
☆SDGs が提起する 17 の目標のうち「住み続けられるまちづくりを」等に重点的に取り組んでまいりま
す。特に、災害に見舞われている我が国において防災・減災に全社一丸となって取り組みます。
☆当社の事業活動を通じて、ワクワク感が社内外に広がり、人とのつながりを広げていく会社として、
「人」とのつながりがすべての基盤であることを再認識し、株主、社員、顧客や地域住民等のステー
クホールダーとの絆を築いてまいります。
Ⅱ.「NEXT100 - PHASE2.1」の位置づけについて
当社グループは、創業期以来、メーカーとして「安全・安心の提供を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げて、
製品開発、グローバル展開等に取り組んでまいりました。創業 100 周年を迎えた 2017 年には、「次の 100 年
(NEXT100)」の飛躍につながる基礎を構築することを主眼とした、中期 3 ヵ年経営計画「NEXT100 – EXCITING
FUTURE」を策定し、実行いたしました。2020 年 2 月に発表した、中期経営計画 「NEXT100 - PHASE2」においては、
SDGs に掲げられている地球規模の課題の解決に取り組み、新事業・新製品の企画・開発を積極的に実施し、社会ととも
に持続的な成長を図ることに主眼を置きました。しかし、発表後まもなく、新型コロナウイルス感染症拡大により、業績目
標撤回、中期的施策・投資計画のスローダウンを余儀なくされました。
今回、策定いたしました「NEXT100 - PHASE2.1」においては、コロナ後の中長期の外部環境想定のもと、前・計画の
「社会とともに持続的な成長を図る」という方向性は継続しながら、脱炭素含む SDGs 経営、DX 積極活用等を重点課題
として取り組む計画といたしました。
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Ⅲ.セグメント別成長戦略
1. 建設関連製品事業
1)事業環境想定
国内
中長期的には建設需要の大きな成長は期待できない一方、安定して推移するものと想定しておりま
す。新型コロナウイルス感染症は、ワクチン普及等により徐々に収束していくという想定のもと、今年後
半以降、建設需要は堅調に推移することが期待されるものの、急激な需要回復による資材不足あるい
は資材価格の動向が懸念されます。
建設市場におけるニーズをみますと、自然災害が深刻となっている我が国における防災需要および
インフラ再整備需要の高まりが想定されます。また、建設現場の作業員の高齢化等による人手不足を
背景とした省力化ニーズに加えて、建設現場の脱炭素対応のための省エネ需要が想定されます。な
お、DX による建設産業の大きな変化を想定しております。
海外
米国においては、新型コロナウイルス感染症は、ワクチン普及により徐々に収束していくという想定の
もと、新たな政権のもと積極的なインフラ整備も期待されることなどから、建設需要は中長期的に堅調
に推移することを想定しております。
ASEAN においては、新型コロナウイルス感染症対応が遅れている国があり、景気回復に時間がかか
る可能性があります。しかし、中長期的には、人口増に加えてインフラ整備の遅れなどが顕著であり、
建設需要は大きく成長することが想定されます。
2)主な施策
以上の事業環境想定の下、建設関連製品事業において以下の施策を実行いたします。
国内
●防災・減災・脱炭素への貢献
(防災・減災)
建築向けには、耐震製品の主力である鉄骨造向け柱脚工法(ベースパック)のラインアップ拡充な
どにより、また、土木向けには、がけ崩れ防止に関する総合的なソリューションにより、甚大化する自
然災害という社会的課題に取り組み、「住み続けられるまちづくりを」に貢献してまいります。
(脱炭素)
また、当社製品は施工が容易なことから、建設現場の工期短縮、省力化、省エネに貢献するもの
であり、ひいては脱炭素に貢献する製品を数多くそろえております。当社製品の積極的提案営業
により、建設現場の脱炭素に貢献してまいります。
(大型再開発需要等)
首都圏における再開発案件、リニア中央新幹線関連開発、大阪万博関連工事、天神ビッグバン
等の大型建設プロジェクトが計画されており、当社の耐震製品、省力化製品等を積極的に提案して
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まいります。
(新製品・新事業)
上記の防災・減災、脱炭素、および老朽化、劣化した法面補強箇所などの補修、改修などの社会
的課題・ニーズに対して、既存の当社製品によるソリューション提供に加えて、新製品および新事
業により、その対策に取り組んでまいります。
●建設現場ゼロエミッションへの貢献
当社製品のうち、建設現場において産業廃棄物になるものについて、その一部を回収しリサイク
ルするサービスを開始いたします。これにより、建設現場における廃棄物を一切出さないゼロエミッ
ションに微力ながら貢献してまいります。
●DX の活用
DX が進む建設産業において、サプライチェーン全体にわたる DX 活用を行い、顧客サービスの
向上および業務効率化を図ります。
海外
米国 - 米国 No.1のコンクリートアクセサリー・メーカーへ
既存の営業網を活用し、今後想定される同国のインフラ整備需要を積極的に取り込んでまいりま
す。また、同国においても、日本国内の当社事業と同様にメーカーとしての事業展開を図り、中期
的に売上高を 100 億円まで引き上げてまいります。
そして、将来的には、米国 No.1のコンクリートアクセサリー・メーカーとなるべく、同事業基盤強化
のための積極投資をしてまいります。
ASEAN
インドネシアの製造拠点を核として、大きな成長が期待できる ASEAN 各国において、既存事業に
加えて新事業も含めて検討を進めて、事業拡大につなげてまいります。
2. 自動車関連製品事業
当セグメントの主力製品であるバッテリー端子製品は、自動車および産業機械等に搭載される多様なバ
ッテリーボックスに使用されており、多様な市場をターゲットとしたグローバル製品として、世界 30 カ国以上
で利用されております。自動車市場においては、通常のガソリン車のほか、ハイブリッドカー、電気自動車
などのエコカーなどのバッテリーボックスにも使用されております。
1)事業環境想定
主な市場であります自動車市場については、新型コロナウイルス感染症拡大発生後の現時点による
予測資料によると、半導体不足等の懸念はあるものの、2021 年の世界年間自動車販売台数は 84 百万
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台が見込まれ、2024 年までには 93 百万台となることが予測されております。また、サステイナビリティに
配慮した生産技術が今後も厳しく求められていくものと想定しております。
2)主な施策
脱炭素含む環境に配慮した生産技術力の向上ならびに生産設備の更新に取り組むことを最優先課
題としつつ、自動車向けおよび産業機械向けバッテリーボックスの各完成品メーカーとのコミュニケーシ
ョンを強化し、収益力の改善に取り組んでまいります。
3.多角化事業
当セグメントは、産業機械製品、海洋資材製品および米国における釣り用錘製品の製造販売等の事
業を行っております。当社は、コア事業への集中を基本戦略として掲げておりますが、多角化事業領域
においても、当社の経営理念や SDGs の目標に合致する事業については、事業機会を捉えて積極的に
取り組んでまいります。
主な施策
海洋事業
主力の浮魚礁製品は、技術力と長年の信頼性を背景として、国内市場の約 7 割のシェアを占めて
おります。SDGs の目標の一つである「海の豊かさを守ろう」に貢献すべく、製品改良を積極的に行い、
沈設型魚礁、増殖礁、藻場礁の拡販に取り組んでまいります。
また、海外への事業展開、応用藻類学研究所の活用による製品開発、新事業開発に取り組んでま
いります。
当社の藻場礁には、当社の研究所で育成した海藻の種苗を付着させることで海藻を増やしていき
ます。その海藻が海の二酸化炭素を吸収します。2020 年時点の二酸化炭素吸収量は、まだ1トン未
満ですが、カーボンオフセットを実施しはじめております。
地球表面の約 70%を占める広大な海の面積のうち、1%に満たない沿岸域の海藻が、海の二酸化炭
素の約 40%を吸収する、と言われています。この沿岸域の海藻を回復させることが重要であり、当社が
貢献していきたいと考えております。
産業機械製品事業
大型物流倉庫等において使用されるマテハン機器のラインアップ拡充に取り組み、ロジスティクス
における省力化、効率化に取り組んでまいります。
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Ⅳ.SDGs 関連 KPI の中期目標について
SDGs の取り組みについて定量的な中期目標を設定いたしました。主な KPI は以下のとおりとなります。
詳しくは当社ウェブサイト https://www.okabe.co.jp/sustainability/をご覧ください。
☆脱炭素 KPI
数値目標
SDGs Goals 内容 単位 2020年 実績
(2030年度)
総CO2換算排出量
※一部のCO2排出量は計測中であります。
tco2 13,836 50%削減
先述のとおり、将来的には、CO2 の排出量の削減に加えて、海洋事業におけるCO2 の吸収量を増加さ
せ、カーボンニュートラル企業を目指してまいります。
☆『住み続けられるまちづくりを』への貢献度合い KPI
数値目標
SDGs Goals 内容 単位 2020年 実績
(2024年度)
耐震・免振等に貢献する製品(構造機材製品)
百万円 10,423 11,170
の売上高
法面補強等に貢献する製品(土木製品)
百万円 3,543 3,720
の売上高
これらの売上高を持続的に伸ばすためには、多様な人材が活躍できること、そして、研究開発の環境づ
くりが大切と考えており、以下のような KPI を設定しております。
☆多様な人材活躍 KPI・研究開発の環境づくり KPI
数値目標
SDGs Goals 内容 単位 2020年 実績
(2024年度)
製品開発を実施する人数 名 24 28
博士号を持つ社員の数 名 3 5
女性研究員の数 名 1 3
校 契約関係:6 10
共同研究する大学(学識者)の数
校 協力関係:6 (契約・協力の合計)
論文発表数 件 13 5
育児休暇取得従業員比率 % 13.3 20以上
平均残業時間 時間 14.6 13以下
従業員離職率 % 3.4 3以下
女性管理職数 名 6 13以上
女性昇進比率 % 6.3 8以上
これらの、人と研究開発の数値を向上させることで、結果として、製品の売上高が持続可能な形で向上し、
『住み続けられるまちづくりを』に貢献できる、と考えております。
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☆コーポレート・ガバナンス KPI
当社は、コーポレート・ガバナンスを強化し、行動規範の共有、法令遵守の徹底、リスクマネジメント等の
推進などを通じて、外部環境変化に自律的な対応を図り、持続的な企業価値向上を目指し、持続的な社
会の成長に貢献してまいります。
目標
内容 単位 2020年 実績
(2024年度)
社外取締役比率 % 1/3以上(33.4) 1/3以上
監査等委員会の社外取締役比率 % 過半数以上(80) 過半数以上
指名・報酬委員会の社外取締役比率 % 過半数以上(57.1) 過半数以上
女性取締役比率 % 16.7 16.7
Ⅴ.中期投資計画(2022 年~2024 年)
1.設備投資・・・・・・・110 億円
建設関連製品事業
国内:生産性向上・技術開発 ------------------------------------------- 25 億円
国内:DX、デジタル化 ------------------------------------------------ 22 億円
米国:事業拡大に伴う新規拠点設置等 ----------------------------------- 15 億円
ASEAN:戦略投資 --------------------------------------------------- 5 億円
建設関連製品事業 計 67 億円
自動車関連製品事業
生産性向上 --------------------------------------------------------- 25 億円
自動車関連製品事業 計 25 億円
多角化事業
SDGsに貢献する新規事業 --------------------------------------------- 6 億円
多角化事業 計 6 億円
脱炭素への取り組み
グループ全社 計 12 億円
2.戦略投資(M&A 等)・・・・・・・100 億円
SDGs に貢献する事業領域(建設関連製品事業、海洋事業及びその周辺事業)における企業買収・資
本提携等のため、2022 年から 2024 年の 3 年間において計 100 億円を目安として投資してまいります。
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Ⅵ.財務
キャッシュフローの適切な配分(成長投資、株主還元、内部留保)により、資本コストを意識して持続的
な企業価値の向上を目指してまいります。上記設備投資、M&A 関連投資等の資金については、事業から
創出されるキャッシュ・イン・フローに加えて、適宜、新規借入によりまかなう予定であります。
Ⅶ.株主還元(配当性向 30%以上および機動的な自社株買いの実施)
当社グループは、株主の皆様への利益還元を充実させるため、配当性向 30%以上を目安として、安定
的な配当を継続することを基本とし、連結業績を考慮し、あわせて企業体質の強化と将来の事業展開に
備えるための内部留保の充実などを勘案して決定する方針を採用してまいります。なお、配当は、中間・
期末の年間 2 回を予定しております。
また、自己株式の取得につきましては、株価の水準と機動的な資本政策等遂行の必要性、財務体質へ
の影響等を考慮したうえで、総合的に判断して、適宜実行してまいります。
Ⅷ.連結セグメント別業績目標 (2021 年~2024 年)
(単位:百万円)
2020年実績 2021年予想 2022年計画 2023年計画 2024年計画
売 上 高 63,127 65,000 66,250 68,500 70,000
■建設関連製品事業 52,384 53,000 53,650 55,400 56,600
<国内>
-仮設・型枠製品 6,691 6,700 6,700 6,950 7,100
-土木製品 7,527 7,300 7,350 7,850 8,000
-構造機材製品 19,613 19,770 19,900 20,200 20,600
-建材商品 11,799 11,800 11,900 12,350 12,600
(国内計) 45,630 45,570 45,850 47,350 48,300
<海外>
-建材製商品 6,755 7,430 7,800 8,050 8,300
(海外計) 6,755 7,430 7,800 8,050 8,300
■自動車関連製品事業 7,374 8,500 8,700 8,870 9,060
■多角化事業 3,368 3,500 3,900 4,230 4,340
営業利益 4,496 4,900 5,100 5,390 5,600
■建設関連製品事業 4,537 4,280 4,180 4,370 4,530
■自動車関連製品事業 -193 310 350 380 410
■多角化事業 152 310 570 640 660
経常利益 4,702 5,000 5,300 5,600 5,800
経常利益率 7.4% 7.7% 8.0% 8.2% 8.3%
当期純利益 2,686 3,050 3,450 3,640 3,770
ROE 4.6% 5.2% 5.6% 5.7% 6.0%
以上
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