5957 日東精工 2021-02-18 16:00:00
世界初の特許出願技術「医療用生体内溶解性高純度マグネシウム材料」の開発に関するお知らせ [pdf]
2021 年2月 18 日
各 位
会 社 名 日 東 精 工 株 式 会 社
代表者名 代表取締役社長 材木 正己
(コード:5957 東証第一部)
問合せ先 取締役財務部門担当 松本 真一
(TEL. 0773‐42‐3111)
世界初の特許出願技術・
「医療用生体内溶解性高純度マグネシウム材料」の開発
に関するお知らせ
当社は、京都府の支援の下、京都府立医科大学・富山大学等と共同で研究開発に取り組んできた
「医療用生体内溶解性高純度マグネシウム」の開発に成功し、本研究成果について、本日2月 18 日に
北部産業創造センター(京都府綾部市)において京都府を主体に共同発表記者会見を実施いたしまし
たことをお知らせいたします。尚、本技術は、世界初の技術として特許出願を行っております。
当社として、今後、本素材を用いた医療用インプラント製品の開発に本格的に着手してまいりたい
と考えております。
記
1.本開発技術について
生体内で溶解吸収される期間を制御(※1)できる純マグネシウム素材を開発し、特定のインプラ
ント部品等に用いることが技術的に確立できました。純マグネシウムを用いてこのような溶解期間を
制御できる材料の開発は、世界初(※2)となります。
※1 生体内で溶解吸収される期間の制御について
骨の接合に要する期間中は本素材が溶解せず、骨の接合後に本素材が緩やかに溶解し吸収さ
れるよう溶解スピードを最適化したことを意味する。
※2 世界初の開発
2021 年2月 18 日付の京都府を主体とした「マグネシウム製品開発研究会」の共同発表内容
に基づく。
2.業績に与える影響
本開発は技術開発であり、本技術開発をもとにした製品化による販売開始には一定の期間を要する
と見込んでおり、今期(2021 年1月1日~2021 年 12 月 31 日)の業績への影響は軽微と見込んでおり
ます。変更が生じる場合は、速やかにお知らせいたします。
【参考】本開発技術の特長
本研究で生み出した純マグネシウムは、独自の金属精錬技術により Al、Zn、Pb などの不純物元素総
量を、0.05%(対重量)以下と極めて微少にすることに成功しました。マグネシウム合金と異なり、純
度 99.95%以上の純マグネシウムであることから、生体への親和性が極めて高く、生体安全性に優れた
インプラント製品への応用が期待できます。
また、当社独自の金属加工技術により、本素材の結晶の状態を制御することにより、骨折した骨が
修復を開始するまでの数週間はほとんど溶解せず、数週間後から緩やかに溶解する「初期溶解抑制」
を可能としており、この度世界初の開発として特許出願をいたしました(特許出願番号:特願 2020-
207080)。
【参考】特長
1)医療に適した純マグネシウム素材の開発
①高い安全性
マグネシウムは生体の必須元素であり、また生体内での濃度許容値が高いため、生体に高い親和
性があり安全性が高い素材と言えます。今回開発したマグネシウムは、不純物を多く含有する合金
鋼ではなく、独自の精錬技術により純度 99.95%以上を実現した純マグネシウムです。
②医療現場での扱いやすさ
マグネシウム金属は、X線撮影(X線透過撮影、CT 画像撮影)での撮像への影響を起こしにく
く、X線の透過度としても、骨、体液との違いが少ないため撮像部位を観察しやすい金属です。ま
た、マグネシウム金属は、非磁性のため、MRI など強磁性を加える医療診断においても撮像への影響
は少ないものと考えます。
③骨に近い強度としなやかさ
樹脂よりも強度があり、またチタン合金やステンレス合金よりも柔らかいマグネシウム素材の特
性により、患者様の施術部位に合わせたインプラント形状に加工しやすい利点があります。
2)世界初の「初期溶解抑制」マグネシウム
①骨の接合に適した溶解開始のタイミングと緩やかな溶解スピード
骨折部位の骨は、性別、年齢、栄養状態などで個体差はありますが、再骨化により修復を開始す
るのに概ね3~4週間を要します。本素材は、独自の精錬、金属加工技術により、結晶の状態を制
御し、その結果、約3週間経過後に溶解を始め、その後緩やかに溶解が進み、長い時間をかけて完
全な溶解と体内吸収に至る「初期溶解抑制」性能を有します。
②骨の接合、生成を助成する優れた特性
骨が再生する適切なタイミングで本素材の溶解が始まり、インプラントの強度が徐々に下がるこ
とで、骨への負荷が緩やかに増していくため、これにより丈夫な骨の形成を促進します。
【参考】写真
精錬後のマグネシウム材料 本素材を用いた当社製髄内釘・スクリュー・ボーンプレート(試作品)
【参考】医療現場の課題
現在、骨折などの治療においては、チタン合金やステンレス材等の金属製インプラント、あるいは
ポリグリコール酸やポリ乳酸等の生分解性樹脂を用いた樹脂製インプラントを埋入手術することが一
般的です。しかし、既存の金属製インプラントの場合、骨の接合後に抜去手術を必要とし患者様への
負担を強いねばなりませんでした。また、これらの材料は硬度が高いため、骨折箇所の部位・形状に
応じてインプラントの形状をフレキシブルに加工することが困難でした。一方、樹脂製インプラント
の場合は、体内埋入後に分解することから抜去手術を要しない利点があるものの、樹脂であるが故に
強度不足である点が課題としてあがっていました。これらの課題を解消すべく、従来からインプラン
トの素材としてマグネシウムが注目されてはいましたが、マグネシウムは生体内で溶解する期間が非
常に短く、患部の治癒前に溶解してなくなってしまう課題を有していました。
以 上