5803 フジクラ 2019-04-25 16:30:00
当社製品の一部における品質管理に関わる不適切事案に関する調査結果のご報告 [pdf]

                                        2019 年 4 月 25 日
各 位
                               会 社 名 株式会社 フ ジ ク ラ
                               代表者名 取締役社長 伊藤 雅彦
                              (コード番号 5803 東証第一部)
                               問合せ先 コーポレート企画室長
                                              芹澤 孝治
                                    (TEL.03-5606-1110)


  当社製品の一部における品質管理に関わる不適切事案に関する調査結果のご報告


 2018 年 8 月 31 日付けで公表いたしました当社グループの製品の一部における品質管理に
関わる不適切な事案(以下「本事案」といいます。)について、お客様をはじめ関係各位
に多大なるご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます。
 当社は、本事案に係る事実確認及び原因究明等(以下「本件調査」といいます。)を外
部の法律事務所に委嘱しておりましたが、本件調査は 2019 年 4 月 19 日に完了し、この度、
当該法律事務所からその調査結果の報告を受けました。この結果を踏まえ、これまでの経
緯、当社が把握した本事案に係る事実関係の概要、原因及び再発防止策等について下記の
とおりご報告申し上げます。また、当社の取締役は、本事案を真摯に受け止め、本事案に
係る経営責任を明確にするため、取締役報酬の一部を返上することといたしましたので、
併せて下記のとおりご報告申し上げます。
 なお、現段階においては、全ての事例について、不適切行為が継続されていないことが
確認され、関連するお客様への事実関係のご通知を完了しており、一部のお客様について
は製品の性能、健全性・安全性の確認を進めていただいているところです。当社といたし
ましては、本事案に関わるお客様へのご説明や当社グループの再発防止策を含む是正措置
の進捗について、今後も継続的にご報告申し上げてまいります。


                       記


1. 経緯
 当社は、当社グループ全体における品質管理体制の確認のため、2017 年 10 月に全製品に
おける品質管理全般について、社内での点検・確認作業(以下「2017 年 10 月の品質自主点
検」といいます。)を開始いたしました。その結果が同年 12 月に報告され、エネルギー・
情報通信カンパニー等の部門において 10 件の不適切な事例が存在する可能性を把握いたし
ました。これらの事例は何れも特定のお客様との個別の契約に関わるものでしたので、順
次当該のお客様へ連絡し、当面の処置と是正措置に向けたご相談を申し上げておりました。


                        1
 その後、2018 年に入り特定のお客様との個別の契約に関わる不適切な事例が新たに 3 件
報告されたため、同年 6 月に他の同様事例の有無について当社グループ全体で再度点検・
確認作業(以下「2018 年 6 月の品質自主点検」といいます。)を行いました。その結果、
同年 7 月に 57 件(上述の 3 件を含みません。)の事例が報告されました。(以下、2017 年
10 月の品質自主点検で報告された 10 件、2018 年に入り報告された 3 件、2018 年 6 月の品
質自主点検で報告された 57 件を合わせた 70 件の事案を総称して
                                 「既存事案」といいます。)
 この結果を受けて、当社は、同年 8 月、客観的かつ公平な調査を徹底して行うため、外
部の法律事務所に本件調査を依頼いたしました。そして、本件調査の過程において、これ
らの既存事案の中に、JIS マークを表記した製品について、JIS 認証維持審査における品
質管理体制の変更の手続上の不備があることが確認されたことや、汎用的に使用される製
品についての不適切な事例が確認されたことから、当社は、2018 年 8 月 31 日、当社グルー
プにおいて本事案が存在することが判明した旨のプレスリリース及び記者会見を行いまし
た。(以下「2018 年 8 月 31 日の公表」といいます。)


 2018 年 8 月 31 日の公表以降に実施した本件調査の主な内容は以下のとおりです。
 (1) 品質自主点検(以下「3 回目の品質自主点検」といいます。)
   当社グループで実施した 2 回の品質自主点検(2017 年 10 月の品質自主点検及び 2018
  年 6 月の品質自主点検)は、当社グループの役員及び従業員(以下「役職員」といいま
  す。)の自己申告に基づくものでしたが、3 回目の品質自主点検では、網羅的な点検・
  確認作業を行うため、外部の法律事務所に点検・確認作業のガイドラインの策定を依頼
  し、当社グループにおいて製品を製造し、又は検査等のサービスを提供している国内外
  の工場及び事業所(合計 84 拠点)(以下「点検対象拠点」といいます。)において、
  2017 年 9 月から 2018 年 8 月までの 1 年間に当社グループで製造された製品又は提供さ
  れた検査等のサービスを対象に、以下の点検を実施いたしました。
   ① 法令、公的規格及びお客様との合意に基づく製品仕様と、製造方法、検査内容及
    び検査項目、その他の要求事項が整合していることの確認
   ② 実際に実施された検査の結果や試験の実績とお客様等に提出する検査成績書等の
    記載が合致していることの確認
   実際に行われた点検・確認作業の内容及び結果については、所定の報告書にまとめら
  れ、点検対象拠点から直接外部の法律事務所に提出されました。


 (2) アンケート調査
   2018 年 10 月 1 日から同月 19 日までの間、当社及び国内のグループ会社の役職員のう
  ち、製造部門、品質保証部門、技術部門、開発部門、生産管理部門及び営業部門に所属
  する者、並びに間接部門に所属する者で 3 回目の品質自主点検に関する作業に携わって
  いる者を対象者として、①品質に関する不適切行為の実行又は認識の有無、②実行又は


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認識している場合には、当該不適切行為の内容、③品質に関する不適切行為が行われた
要因等に関する質問について、外部の法律事務所に対して回答を行うアンケート調査を
実施し、6,383 名の役職員から回答を得ました。


(3) ホットライン窓口の設置
 2018 年 10 月 1 日から同月 19 日までの間、当社グループの役職員を対象者として、当
社が通常運用している内部通報制度とは別に、品質に関する不適切行為について、外部
の法律事務所を申告窓口とした専用のホットライン窓口を設置し、関連情報の収集をい
たしました。


(4) 資料の精査
 本件調査に当たり当社グループの組織図、製品概要に関する資料、お客様の要求仕様
が記載された納入仕様書等、検査条件及び方法等が記載された検査指示書等、製造及び
検査フロー図、検査結果の記録、検査成績書等、外部の法律事務所の依頼に基づいて各
点検対象拠点が作成した 3 回目の品質自主点検に係る回答書及び報告書、当社及び当社
グループに所属する役職員の経歴書及び人事台帳、当社グループの各種社内規程、当社
における社内会議の議事録及び資料、コンプライアンスをテーマとした従業員向け研
修・講習会等の資料、当社の社史に関する資料、内部通報受理経過一覧表、その他外部
法律事務所からの要請に基づいて当社グループが作成した各種資料等、外部の法律事務
所が本件調査の目的を達成するため必要と判断した資料を外部の法律事務所に幅広く
提供し、当該外部の法律事務所がこれを精査いたしました。


(5) 電子データの分析及び精査
 当社グループに所属する役職員の本事案に関する認識ややり取りの内容、隠ぺい行為
の有無等の調査のため、外部の法律事務所が電子データや電子メールのメッセージの分
析及び精査が必要であると判断した場合は、デジタル・フォレンジックの専門業者にお
いて調査対象者が業務上使用する個人貸与のパソコンから必要なデータを収集し、ある
いは当社グループのファイルサーバーに保存された電子データ及び電子メールサーバ
ーに保存された電子データ等を収集及び保全し、これらの電子データ 122,602 件につい
てデータベース化処理を施した上で外部の法律事務所に提供し、当該外部の法律事務所
がこれを精査いたしました。


(6) 関係者へのヒアリング
 点検対象拠点における点検・確認作業の責任者、その他 3 回目の品質自主点検の実施
並びに妥当性及び適正性を検証するために聴取が必要であると外部の法律事務所が判
断した役職員、あるいは本事案の各事例に関与し又は認識していると思われる役職員、


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 本件調査のため聴取が必要であると外部の法律事務所が判断した役職員(合計約 680 名)
 に対し、外部の法律事務所が直接ヒアリングを実施いたしました。


 (7) 現地視察
   本事案に関する実態を把握し、資料精査やヒアリング等を実施するため、本事案の存
 在が確認された拠点については、外部の法律事務所がその製造現場等への現地視察を行
 い、製造設備や役職員の作業環境等の確認を行いました。


 本件調査は、2019 年 4 月 19 日まで上述の内容で徹底的に行われ、完了しております。
 本件調査の期間が当初想定していたより長くなりましたが、当社といたしましても全容
解明に向けて個々の不適切事例について事実認定と背景も含めた真因追及のために慎重か
つ丁寧な調査が必要不可欠な過程であると考え、本件調査に全面的に協力し、取り組んで
まいりました。
 2017 年 10 月以降、複数回の品質自主点検を実施し、また外部の法律事務所による徹底調
査をしなければ本事案の全容解明に至らなかったこと、そして本事案全体についての原因
分析、当社グループ全体として取り組む再発防止策を検討するのに本日まで長期間費やし
ましたことは、大変遺憾であり、改めて深くお詫び申し上げます。
 外部の法律事務所より受けた本件調査の報告を踏まえ、当社が把握した本事案に係る事
実関係の概要、並びに、当社が検討した原因分析及び策定した再発防止策について、以下
にご報告申し上げます。




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2. 本事案に係る事実関係の概要等
 本件調査の結果明らかになった本事案の概要(2018 年 8 月 31 日の公表時の事例も含みま
す。)は次のとおりです。
 対象となる品種と品種数         送配電用電線・部品・部材、産業用電線、通信用ケ
                     ーブル・部品、等 75 品種

 不適切な事例と件数           一部の検査項目の未実施、頻度不足             47 件
                     仕様書、品質管理工程図との齟齬              20 件
                     試験・検査書類に実際と異なる結果の記載 68 件
                     製造方法変更の事前申請漏れ                17 件
                     合計                           152 件
 関係する拠点数             15 拠点(当社 4 拠点、子会社 11 社)


 本事案の存在が確認された期間      1986 年 10 月から 2019 年 3 月まで


 最終的に対象となる製品をご使      99 社
 用になっているお客様※


 2018 年 8 月 31 日の公表においては、既存事案の事例件数は合計 70 件としておりました
が、その後の本件調査の過程で、不適切行為の考え方を整理した結果、
 ① 不適切な事例に該当しないと判断された事例が 16 件、
 ② 新たに不適切な事例に該当すると判断された事例が 25 件ございましたので、
現時点では既存事案(2017 年 10 月の品質自主点検及び 2018 年 6 月の品質自主点検を端緒
として認識された事案)の件数は 79 件となります。
 また、
 ③ 上述の 2018 年 8 月 31 日の公表以降実施した 3 回目の品質自主点検、アンケート調査、
   ホットライン窓口の設置、ヒアリング調査等を端緒として、新たに不適切であると認
   識した事例(以下「新規事案」といいます。)が 73 件ございました。なお、この新
   規事案の中には JIS マークを表記した製品や汎用的に使用される製品についての不
   適切な事例はございませんでした。
 従いまして、既存事案及び新規事案を合わせた本件調査で認識した不適切な事例の全件
数は 152 件となります。
 なお、2018 年 8 月 31 日の公表以降においても、外部の法律事務所による指摘がなされる
まで不適切行為を継続していた事例がございました。これは、同日の公表以降に実施した


※対象となる製品が間接的に納入される場合があり、最終的にその対象となる製品をご使用になっているお客様との間
に入られているお客様(79 社)は除いております。また、汎用的に使用される製品についても除外しております。



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調査等を端緒として発覚した新規事案の中には、外部の法律事務所からの指摘により当社
コーポレート(本社)が当該事案を初めて把握し、不適切行為を止めるに至ったものが存
在することに起因しております。2018 年 8 月 31 日の公表以降においても不適切行為を継続
していたことにつきまして、改めて深くお詫び申し上げます。本件調査が完了した 2019 年
4 月 19 日の時点では、本事案全ての事例について、不適切行為を継続していないことを確
認しております。


 また、既存事案について対象となるお客様数は、2018 年 8 月 31 日の公表では 66 社とし
ておりましたが、
 ① 上述の①において不適切な事例に該当しないと判断された事例のお客様数 6 社が減り、
   また当社グループ会社が 3 社含まれておりましたので、ご説明に伺うべきお客様数か
   ら外させていただき、
 ② 上述の②において新たに不適切な事例に該当すると判断された事例のお客様と既存
   事案の精査をする過程で新たにご説明に伺うべきと認識されたお客様を合わせると
   19 社増えました。
 従いまして、既存事案について対象となるお客様の数は、合計で 76 社となります。
 一方、
 ③ 新規事案の対象として新たにご説明に伺うべきお客様が 23 社ございました。
 従いまして、既存事案及び新規事案を合わせた不適切な事例の対象となるお客様の数は、
合計で 99 社となります。


3. お客様へのご説明と安全性の確認の進捗状況
 本事案に関わるお客様には、既存事案に加えて新規事案についても併せて、本件調査の
内容及びその過程で明らかになった事実関係をご報告し、順次当面の処置や是正措置につ
いてご相談申し上げております。
 これまでに納入済みの対象となる製品につきましては、お客様にご相談申し上げた内容
に従い、製品の回収・交換や修理等の対応をしておりますが、必要なデータや関連情報を
お客様にご提供申し上げた上でそのままお使いいただく等の処置も実施しております。一
方、これから納入する製品につきましても、お客様のご要請に応じた必要な処置を実施し
た上で納入を継続させていただきますが、当社の対応に時間を要する場合はお客様とご相
談申し上げて出荷停止等の対応をしております。
 本日時点のお客様へのご説明と対象となる製品の性能、健全性・安全性の確認の進捗状
況は、以下のとおりです。
 A:お客様による対象となる製品の性能、健全性・安全性の確認が完了した。
 B:現在お客様による対象となる製品の性能、健全性・安全性の確認が進行中ではあるが、
  お客様に当面は問題ないとのご見解をいただいている。


                        6
  C:対象となる製品の納入実績があることをお客様にご報告済み。
                        計              A          B           C
      お客様数※             99             38        35          26
       構成比             100%        38.4%     35.4%          26.3%


     引き続き、本事案の原因分析と再発防止策も含めたご説明を丁寧かつ速やかに進めてま
いります。また、今後ともお客様へのご説明と対象となる製品の性能、健全性・安全性の
確認の進捗につきましては、継続してご報告申し上げてまいります。


4.    JIS 及び ISO の認証に関わる状況
  ① JIS マーク等の一時使用停止
      2018 年 8 月 31 日の公表で既存事案の中に JIS マークを表記した製品について JIS 認
     証維持審査における品質管理体制の変更の手続上の不備がある旨公表しておりました
     が、その後、認証機関の立ち入り審査の結果を受け 2018 年 10 月 3 日付で当社グループ
     会社である西日本電線株式会社が「JIS マーク等の一時使用停止等請求書」を受領して
     おります。その後、2019 年 1 月 31 日に使用停止期間を 2019 年 5 月 31 日までの延長の
     通知を受領いたしました。
      対象製品の JIS 番号及び名称は、以下のとおりです。(2018 年 10 月 4 日の公表内容
     の再掲です。)
      JIS 番号                  名称                      種類番号
     JIS C 3307   600V ビニル絶縁電線              IV
     JIS C 3317   600V 二種ビニル絶縁電線            HIV
     JIS C 3340   屋外用ビニル絶縁電線                OW
     JIS C 3341   引込用ビニル絶縁電線                DV2R,DV3R
     JIS C 3342   600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル      VVR,VVF
     JIS C 3401   制御用ケーブル                   CVV,CEV,CEE,CCV,CCE,CCE/F
     JIS C 3605   600V ポリエチレンケーブル           600V CV,600V CE,600V CE/F
     JIS C 3612   600V 耐熱性ポリエチレン絶縁電線        IE/F


      なお、今回新たに判明した新規事案の中には JIS マークを表記した製品についての不
     適切な事例はございませんでした。




※ 前脚注のとおり、対象となる製品が間接的に納入される場合の間に入られているお客様の数は除いた数です。



                                   7
 ② ISO9001 認証の一時停止
   当社及び当社グループ会社における ISO9001 認証の一時停止の状況は以下のとおりで
 す。
  一時停止の通知           対象             一時停止の回復   一時停止解除の
  受領日付                             審査の状況     通知受領日付
  2018 年 9 月 13 日   エネルギー・情報通信     受審済み      2019 年 3 月 8 日
                    カンパニー全製品                 (一時停止解除済)
  2018 年 9 月 18 日   フジクラコンポーネン     受審済み      2019 年 3 月 13 日
                    ツ株式会社全製品                 (一時停止解除済)
  2018 年 11 月 5 日   西日本電線株式会社の     受審済み             ―
                    全製品
  2019 年 3 月 18 日   自動車電装カンパニー     未定               ―
                    取扱品種の内ワイヤー     (審査に向けて
                    ハーネス、ワイヤーハ     準備中)
                    ーネス部品、ホーロー
                    基板


 なお、西日本電線株式会社及び自動車電装カンパニーの当該不適切事案製品の納品先の
お客様には、製品の性能、健全性・安全性について確認できていることをご説明申し上げ、
製品の供給を継続することについてご了承いただいております。一時停止の早期解除を目
指して、引き続き是正措置を実施してまいります。


5. 本事案の原因
 上述の本件調査を実施した外部の法律事務所から受けた調査報告を踏まえ、当社として、
本事案に至った原因は以下のとおりと考えております。
 ① 不適切な事例から分析される原因
    不適切な事例が発生した原因は、個別の事例によって異なりますが、本事案全体の
  原因としてはその事例から、(ア)品質保証部門の機能不全、(イ)お客様の要求仕
  様への安易な合意、(ウ)従業員の公的規格及びお客様の要求仕様に対する品質コン
  プライアンス意識の不足、(エ)上司による監督機能の不全があったと考えておりま
  す。
    (ア)品質保証部門の機能不全
        ・品質保証部門の機能上及び組織上の独立性が欠如していたため、製造部門及
        び(営業)技術部門に対する品質保証部門の牽制機能が形骸化しており、この
        ことが本事案の原因の一つとなっているものと考えております。
         本件調査の結果、このことが原因として考えられる以下の事例が多数ございま

                               8
した。

事例:

①   お客様との間で実施することが合意された検査項目を実施せず、又はお客様との合意

    に基づく頻度の検査を実施せずに当該製品を出荷する行為

②   お客様と取り交わした仕様書や QC 工程図に記載された事項に違反して製造又は検査

    された製品を出荷する行為(上述の①を除く。)

③   製品の製造場所や製造設備、外注先、製造工程、材料等を変更する場合に、お客様に

    対して事前に申請しなければならないことが当該お客様との間で合意されていたに

    もかかわらず、当該申請をしなかった行為

④   検査成績書等に実際と異なる結果を記載してお客様に対して提示する行為

 このうち①の行為、及び、②のうち技術部門を主体とした不適切行為について
は、品質保証部門の担当者が、検査実施の有無、製造・検査方法や製造・検査場
所等の諸条件について、
          公的規格及びお客様仕様との適合状況を十分に確認した
上で、技術部門による検査指示の内容を検証したり、出荷判断の適否を検討した
りすることを行っておらず、品質保証部門が本来の品質保証機能を発揮していな
かったことが、その大きな原因であると考えております。また、③の行為のよう
に、主として技術部門が主体となって行われた不適切行為についても、製造条件
等の変更に当たってお客様への申請の要否を、品質保証部門がお客様仕様に照ら
して確認し、これが必要であるのに実際に行われていない場合には、当該変更を
許可しないといった手続が確保されていれば、上述のような不適切行為を防ぐこ
とができた可能性が高いと考えます。さらに、④の行為については、品質保証部
門の担当者自らが、公的規格及びお客様仕様の充足について確認すら行わず、あ
るいは検査員から提供される検査結果が公的規格及びお客様仕様に反している
ことを認識しながら実際と異なる結果を記載するなどしており、
                            品質保証を司る
部署としての責務を果たしていませんでした。
 このように、実際の製品出荷の最前線において、いわば最後の砦となる品質保
証部門が品質保証の本来的機能を発揮していなかったことが、本事案全体に係る
直接的原因と言えます。


・品質保証部門が機能不全に陥っていたことの背景には、品質保証部門の(営
業)技術部門に対する監督・牽制のための手続が整備されていなかったことが
あると考えております。
 例えば、本件調査において不適切行為が確認された事案の中に、以下の事例が
多数ございました。



                   9
事例:

 品質保証部門による検査実施の際に参照される製品設計書及び検査指示書は、お客様と

の間で仕様の内容を決定する(営業)技術部門から発行されていたが、当該(営業)技術

部門がお客様の要求仕様の内容を完全に反映できていない不正確な製品設計書及び検査

指示書を作成したために、検査の不実施やお客様仕様を満たさない製品の出荷を招いた。

そして、このような事案については、当該製品設計書及び検査指示書が正確に公的規格及

びお客様仕様を反映しているか否かを品質保証部門が確認する手続が確保されていなか

った。

 このことが原因として考えられる具体例として、
                      以下の沼津事業所にて製造し
ている特定用途向け配電ケーブルに関する事例があります。

事例:

 沼津事業所で製造している特定用途向け電力ケーブルについては、お客様との間で材料

試験を実施することが規定されていたが、実際には当該材料試験は 1986 年 10 月頃から

2015 年 3 月頃まで実施されていなかった。この試験項目については、技術部門の担当者

が仕様書の記載内容を製品設計書等に落とし込む際、主要な検査項目のみを記載し、仕様

書に記載されている検査項目の一部を製品設計書上では省略してしまうことがあったた

め実施されなかった。

 また、このような事態を防ぐために品質保証部門が仕様書と製品設計書等を見比べて、
検査項目が不足なく記載されているか否かを確認する手続が設けられていなかった。




・不適切な事例が確認された拠点においては、
① 品質保証部門における人員や設備が不足していた。
② 検査工程等において検査結果を人為的に操作することがシステム上可能な
 状態で運用されていた。
③ 品質保証部門の人事ローテーションが長年固定化されていた。
等の事例が多く見受けられました。
               各拠点の製品出荷の最前線である品質保証部
門においてこれらの問題が存在したことは、
                   当該部門内部における監督機能を失
わせ、また当該部門自ら不適切行為に及ぶきっかけを作っていたといえ、品質保
証部門が機能不全に陥っていたことの原因になっていたと考えられます。
 ①の品質保証部門における人員や設備が不足していた具体例としては、
                                西日本
電線株式会社で製造されているビニル絶縁電線の事例が挙げられます。




                  10
事例:

 出荷ごとに高温絶縁抵抗試験を実施する必要があったところ、電力検査班では、当該高

温絶縁抵抗試験を行っておらず、また、当該試験を行っていないにもかかわらず社内用の

検査成績書であるビニル絶縁電線検査成績書に過去の結果を引用して記入していた。

 西日本電線では、検査を担う品質保証部検査グループの人員数が、2008 年時点では 9

名であったところ、その後、ベテラン検査員の定年退職等が続いたにもかかわらず、人員

の補充がなされなかったために、3 年後の 2011 年には 7 名に、更に 3 年後の 2014 年には

6 名にまで減少していた。このような検査体制の縮小が検査能力自体の減少を招き、検査

の省略等の不適切行為が行われる原因の一つとなっていた。

 この事例以外でも収益が悪化する中で成果を求められたため、品質保証部門に
おける人員や設備が十分にあてがわれていなっかたことが原因と考えられる事
例が多数あり、今回実施したアンケート調査においても、全回答者 6,383 名中
2,031 名(31.8%)が、一連の不適切行為の要因として、「検査人員の不足」と
回答しております。
 また、本件調査を進める中で確認された不適切行為の中には、以下のような②
の検査工程等において検査結果を人為的に操作することがシステム上可能な状
態で運用されていたことが起因した事例が多数ございました。

事例:

 検査工程において、検査員が測定装置の画面等に出力された検査結果を手作業で検査記

録等に記録していたり、検査結果は社内のサーバーに自動的に記録され、又は紙媒体の記

録用紙に自動的に印字されるが、当該記録から検査成績書への転記の過程が手作業であっ

たり、あるいは検査記録等の事後的な編集が可能であることから、検査記録上に実測値と
異なる数値を書き込む可能性があることが認識された。




 更に以下のように③品質保証部門の人事ローテーションが長年固定化されて
いたため、不適切行為が長期間にわたって発覚せず、是正されることなく継続し
ていた事例が、本件調査の中で確認された不適切行為の中に多数ございました。




                     11
  事例:

   品質保証部門の担当者の人事ローテーションが十分に行われないまま、単独の、又は少

  数の担当者が長期間にわたって同一の製品や検査業務を担当し続けるなど、人事が固定化

  していた。

   このような人事の固定化は、他部門からの人事異動に伴う業務の引継ぎ等によって不適

  切行為が露見する機会を減少させ、単独の、又は少数の担当者が長年にわたって不適切行

  為を行うことを可能にしていたといえる。




(イ)お客様の要求仕様への安易な合意
  ・不適切行為が行われた拠点では、その有する製造工程・検査能力に照らして、
  実現困難なお客様仕様を合意したがゆえに、結果的にお客様仕様を遵守するこ
  とができず不適切行為に至ってしまった事案が多く存在することが確認されま
  した。
   本来、お客様と仕様を取り決めるに当たっては、当該仕様を満たすことが可能
  であるような製造工程能力・検査能力を有しているか否かを十分に確認・検証す
  るべきであり、
        また、
          仮に事後的にこのような能力不足が確認されたのであれば、
  仕様の変更をお客様に申し入れるべきでした。しかしながら、当社グループにお
  いては、
   ① 製品等の受注・製造に先立つ製造工程能力・検査能力の把握及び検証が不
    十分な場合があり、
   また、
   ② 一旦受注したお客様仕様の内容について変更を申し入れるなどの対応を
    とることも難しい状況にあったこと
  が確認されました。その結果、製造工程能力・検査能力に見合わないお客様仕
  様に基づいて製品等を受注・製造することを余儀なくされ、検査結果がお客様
  仕様を満たさない製品等が頻発するようになったため、当該製品に係る実際の
  検査結果とは異なる記載をする等の不適切行為が行われていました。したがっ
  て、当社グループの各拠点が、その有する製造工程能力・検査能力を十分に把
  握、検証することなく、又は、仕様の変更を申し入れることなくお客様との間
  で安易に仕様の合意を行ってしまっていたことは、不適切行為に係る直接的原
  因の一つとして挙げられます。
   上述の①については、上述のとおり、お客様との間で製品の仕様を取り決める
  に当たっては、本来であれば、拠点の製造工程能力に照らして、お客様の要求す
  る仕様を満たす製品を製造することができるか否か、また、拠点の検査能力に照
  らして、お客様の要求する検査を実施できるか否かを事前に十分に検討する必要


                   12
があります。この点について、当社グループの各拠点における製造工程能力の把
握方法は、各拠点によって様々であって統一されていませんでした。一部の拠点
では、設備の負荷時間を基準に、受注数量を算定している例があるものの、本件
調査においては、製造工程能力・検査能力の事前の把握や検証が不十分であった
ために、受注・生産の後になってお客様仕様を満たさない製品が多くなり、結果
として不適切行為を行うに至ったと考えられる事例が数多く確認されました。
                                  ま
た、検査能力の把握に当たり、検査設備及び検査人員の稼働状況を踏まえて、概
括的にその能力を把握した上、
             特定の検査設備が無い場合や検査人員が不足して
いると考えられる場合であっても、
               当該不足状況を認識した上で安易にお客様と
仕様を結んでいた事案が確認されました。このように、製造工程能力・検査能力
の把握及び検証が不十分となっていたことの背景には、
(ⅰ)仕様の決定に当たって、(営業)技術部門、製造部門、品質保証部門間の
  コミュニケーションが不足していたこと、
(ⅱ)そもそもお客様仕様の決定の場面において品質保証部門が仕様書の策定に
  関与する手続が構築されていなかったり、また、品質保証部門が仕様の決定
  に関与していたとしても、品質保証部門側の技術的知識が不足していること
  から、(営業)技術部門に対する発言力が弱く、同部門の判断に迎合的な姿
  勢となったりするなど本来的な牽制機能を果たすことができなかったこと、
(ⅲ)十分な検証のもとで仕様の検証がされたとは必ずしも言えないにもかかわ
  らず、見切り発車的に製品の受注・製造に踏み切ってしまった事案も見受け
  られること
などが挙げられます。
 この①の事象に起因して不適切行為が行われたと考えられる具体例として、
                                  フ
ジクラコンポーネンツで製造している特殊樹脂を用いた製品の事例が挙げられ
ます。

 事例:

  当該製品について、お客様と交わした仕様書には材料の引張試験等を行う旨記載されて

 いるにもかかわらず、実際には自社で試験片の製作が困難であったため、2013 年 1 月頃

 から 2018 年 6 月頃までの間これを実施せず製品を出荷していた。実際に実施していなか

 った試験を行ったところ、その性能自体は、お客様の要求仕様を十分満たすものであるこ

 とが確認されている。受注時に試験片の製作有無を把握及び検証が十分にできていれば回

 避できた事例である。

 また、上述の②については、本来であれば、一旦お客様と仕様を合意した場合
であっても、その後の製造工程及び検査過程において、不良品の頻発等により、
製品の安定的供給が困難であることが判明した場合には、現実にお客様の要求仕


                   13
  様を満たす製品を出荷することが困難なのであるから、
                          お客様に対してその旨を
  説明した上、当該仕様の変更、納期の延期及び特採等の申入れをする等の対応を
  とる必要がありました。しかしながら、実際には、お客様に対して仕様変更等を
  申し入れることで、
          お客様が競合メーカーへ乗り換えることによる失注のリスク
  を恐れたために、お客様に対して仕様変更等を申し入れることを躊躇したり、あ
  るいは、そもそもお客様に対して仕様変更等を申し入れるという発想自体を持つ
  ことができなかった事案が見受けられました。特に、仕様変更等に係るお客様と
  の交渉においては、
          メーカーとして不利な立場に置かれていた点を極端に意識し
  すぎていた側面があったものと考えられます。また、一旦決定された仕様に基づ
  いて長年にわたって納入している製品について、
                       過去に不適切行為を行っていた
  事案においては、仕様変更等を申し出た場合、それまでの納入製品が実際にはお
  客様の要求仕様を満たしていなかったという事実が露見するおそれがあったた
  め、仕様変更等を申し入れたくても申し入れられないという状況が生じていまし
  た。各拠点の現場従業員としても、会社として収益確保の要請があること、及び
  各カンパニーにおける収益が大口のお客様にある程度依存していることを理解
  しており、これら従業員が、当該お客様との間で築き上げてきたこれまでの継続
  的な取引関係に傷を付けたり、
               これを無価値にするような行動は厳に慎まなけれ
  ばならないという意識を有していたことが、
                     仕様変更等の申入れがなされにくい
  環境が醸成された背景事情となっていたものと考えられます。


(ウ)従業員の公的規格及びお客様の要求仕様に対する品質コンプライアンス意識の
  不足
 ・従業員の公的規格及びお客様仕様に対する品質コンプライアンス意識が不足し
  ていたこともまた、不適切の事例の原因の一つとなっていたと考えております。
   当社の品質保証業務において、
                公的規格やお客様仕様を遵守すべきことは当然
  の要請とされていました。しかしながら、不適切行為を実行又は認識していた従
  業員の中には、「仕様から多少外れていても、製品の安全上問題がなければ OK
  としてしまう風潮がある」、「上司から、1 つ 1 つの仕様の遵守よりも、出荷を
  優先するように言われた」などと述べていた者も存在し、その意識の根底には、
  製品の機能や性能に問題が生じなければよい、といった品質保証に対する誤った
  認識があり、品質保証の要請に公的規格やお客様仕様を遵守することが含まれる
  という基本的な理解が決定的に欠けていたと考えられます。
   このように、従業員に品質コンプライアンス意識の不足がみられたことの背景
  としては、
   ① 当社グループにおいて、品質コンプライアンスに関する研修が十分になさ
       れていないこと、


                  14
 ② 過去の品質コンプライアンス違反について、適切に懲戒処分が行われてい
   なかったこと、
 ③ 当社の経営陣は、社内規程や社長メッセージの発信等により、従業員に対
   して品質の重要性を説いているが、重要なのは、「品質」という言葉だけ
   を強調することではなく、「品質保証」や「品質コンプライアンス」の内
   容として、公的規格やお客様仕様の遵守を徹底させることであるという説
   明が不十分であったこと
が挙げられます。
 ①に関しては、当社では、2017 年に新設された新入従業員研修以外では、品
質コンプライアンスに関する研修は行われていませんでした。そのため、同年以
前には、従業員に対して、当社の品質保証業務では公的規格及びお客様仕様の遵
守が要請されていることなどの品質保証に関する基本的知識を統一的に伝える
場も、「品質」をどのように捉えたらよいかという根源的な問いへの統一的な解
を提供する場もありませんでした。そのため、「製品の機能や性能さえ担保され
ていれば問題が無い」、「部署全体で行われているから自分が不適切な行為をし
ても大きな事態にはならない」
             といった誤った解釈が生み出されてしまったと考
えられます。
 また、②に関しては、例えば、当社では、1998 年から 2017 年までの間に、品
質コンプライアンス違反を理由に懲戒処分を受けた事案は、2012 年 8 月の 1 件
のみでした。当社では、内部通報等によって、過去に、今回の不適切な事例に類
似する、実際の検査結果と異なる記載をした行為に関する通報がなされているに
もかかわらず、これらの事案について、適切な懲戒処分はなされていませんでし
た。このように、品質コンプライアンス違反に対して適切な懲戒処分が行われな
かった結果、従業員は、品質コンプライアンスの重大性を十分に認識することが
できず、また、会社が品質コンプライアンス違反に対して寛容であるとの誤った
受け止め方をし、その結果、従業員の品質コンプライアンス意識が次第に不足し
ていった可能性があります。
 さらに、③の事情が、例えば、製品の特性や安全性に影響がなければ、お客様
仕様に反しても問題ないと解釈されること、
                   公的規格及びお客様仕様の遵守より
も利益確保の要請やコストカットを重視することが会社の使命であると誤解さ
れること、グループ会社においては、お客様仕様を守ることよりも当社からの指
示を守ることが優先されること等の誤った解釈に繋がったものと考えられます。


・前任者からの引継ぎ及び従前の慣行への安易な依拠がなされていました。
 不適切行為を実行又は認識していた者の中には、
                      従前から上司や同僚も不適切
行為を行っていたり、不適切行為を行うことが常態化している状況に慣れ、それ


                 15
に対し何の疑問も持たなかった者も数多くいました。
 また、
   本来であれば出荷製品が公的規格及びお客様仕様を満たすかどうかを確
認する品質保証部門において、検査成績書作成業務を担当する従業員の中には、
自らお客様の仕様や公的規格を確認すること無く、
                      単に検査成績書に転記された
検査結果と検査結果の元データが一致しているか否かを確認するのみで、
                                当該検
査がなぜ必要であるかといった意義を理解していない者も見受けられました。
                                  ア
ンケート調査においても、6,383 名中 1,956 名(30.6%)の従業員が、一連の不
適切行為の要因として考えられることとして、単純に作業を指導されただけで、
                    「
不適切行為であるとの認識自体がなかったこと」と回答しているとおり、不適切
な事例が発生した拠点の一部においては、不適切行為が半ば業務フローや製造工
程の一部であるかのように定着していたことが窺えます。
 このことが原因として考えられる不適切な具体例として、佐倉事業所で製造し
ているシングルモード型光ファイバケーブルの事例が挙げられます。

事例:

 シングルモード型光ファイバケーブルの完成品検査としての伝送損失試験は、お客様の

要求仕様書に基づき実施する必要があるが、1999 年 10 月 1 日以降、2018 年 8 月頃までの

間、実際にはお客様の要求通りの波長での伝送損失試験は実施せず、当社標準の伝送損失

試験を実施した上で製品を出荷していた。また、検査成績書を要求された場合には、当該

品の工程内検査で実施したお客様の要求した波長での伝送損失試験の結果を代用して記

載していた。

 伝送損失試験を担当していた何れの検査員とも、当時の検査指示書に従い、当社標準伝

送損失測定を完成品検査として実施していたことが確認された。




・さらに、公的規格及びお客様の要求仕様に対する従業員の認識が甘く、一部
の従業員の中では、製品の安全性に影響がない限り、製品の特性や安全性に照
らして重要でないと考えるお客様の要求仕様の項目について、これを遵守しな
くとも問題ないとの考えが横行していました。




                     16
      事例:

       上述のシングルモード型光ファイバケーブルの事例においても「ケーブル化での損失増

      加は、長波長で測定した方が敏感に損失増加として検知できることから、長波長で検査を

      して問題がなければ、短波長では損失増加は発生しない。また、短波長での伝送損失につ

      いては、ケーブル化前の工程で測定されているので、それで充分だと考えていた。」との

      関係者の供述があり、技術部門、製造部門及び品質保証部門において、遵守すべきお客様

      の要求仕様の各項目には濃淡があることから、製品の特性や安全性に照らして、重要でな

      いと考える要求項目については、遵守しなくとも良いと考えていた。




  (エ)業務の現場の上司による監督機能の不全
      ・不適切行為を行おうとする場合であっても、上司による適切な管理が行き届い
      ていれば、
          なお監督機能を働かせて、
                     これを食い止めることもできたはずですが、
      本件調査においては、

      事例:

       室長、グループ長(課長)、係長等各職場(現場)の上司からの指示に基づいて不適切

      行為が行われた。

       上司の明示又は黙示の承認によって不適切行為が行われた。

       上司が部下の業務に対して関心を示さなかったために、部下の行う不適切行為を認識す

      る機会を逸した。

       検査成績書の内容確認や承認等を上司が行う場合であっても、実態としては検査成績書

      の内容を十分に確認しないままその承認を行うことが常態化していた。


      等上司がその職責を十分に果たしていないと評価せざるを得ない事例も多数見
      受けられました。


② その他の考慮すべき原因
  個々の不適切な事例から分析される本事案の原因は、上述のとおりと考えておりま
 すが、これ以外にも以下の原因が背景としてあったことも考慮すべきと考えておりま
 す。
  (ア)収益確保を優先する風土
      ・当社グループ全体において、コスト削減及び収益確保の要請が強く、品質コ
      ンプライアンスが軽視されやすい状況が形成されていました。




                      17
   (イ)全社ガバナンス、体制の問題
      ・本社による品質コンプライアンス体制の統括機能と品質監査体制が不十分で、
      グループ全体の品質コンプライアンス体制と品質保証業務を統括し、その状況
      を把握した上で実効的な改善活動を行う部署が事実上存在しない状況にありま
      した。
      ・カンパニー、事業部(縦串)の統制に比べ、本社、コーポレート(横串)に
      よる統制の基盤が脆弱であっため、各カンパニー内やグループ会社内で発生し
      た品質問題を把握するための情報共有体制が弱かったと言えます。
      ・内部通報制度は存在しましたが、品質コンプライアンス違反に関する通報が
      少なく、品質コンプライアンスに関する情報の吸い上げが不十分でした。
      ・品質コンプライアンスを優先事項と位置づける従業員に向けた明確なメッセ
      ージが不足しており、上述の(ア)の風土を積極的に是正する姿勢に欠けてい
      ました。


 事業の拡大、業容の変化に伴い組織が大きくなる中で、製品出荷の最前線では品質コン
プライアンス遵守よりコストダウン、収益確保が優先されていた実態が明らかとなったこ
とを真摯に受けとめ、また上述の個々の分析に基づき、以下の再発防止策を含む是正措置
を迅速かつ的確に講じて、お客様を始めとして多くの関係者の皆様の信頼回復に全力で取
り組んでまいります。


6. 再発防止策
 当社は、上述の本件調査を実施した外部の法律事務所の提言を受けて、次のとおり再発
防止策を策定いたしました。なお、本再発防止策を含む本事案の是正措置は、業務執行取
締役を中心としたリスク管理委員会、経営執行会議で討議を重ね、最終的には社外取締役
も出席する取締役会で議論の上決定承認いたしました。
 なお、本件調査を実施する中で一部の再発防止策については既に先行して実施しており
ます。
 ① ガバナンス改革
   (ア)品質コンプライアンスをガバナンスの根幹に位置付けた経営と体制づくり
      ・品質コンプライアンスの確保をグループ全体のガバナンスの根幹に位置付け、
      経営陣の責任において適切なガバナンス体制を確立いたします。
      ・2019 年度当初(同年 4 月 1 日付け)で組織改正を実施し、品質保証部門は社
      長直轄組織といたしました。




                       18
(イ)当社グループ全体における品質保証の実効性の確保
  ・品質マネジメントシステムの強化及び品質保証部門の独立性を確保するため、
  エネルギー情報通信カンパニーについては、既に今年 1 月 1 日付けで組織改正
  を行い、それまで各事業部門の配下であった品質保証組織(部、室、課)を、
  カンパニーの品質保証機能を統括する品質保証部門の配下に移しております。
  他のカンパニーについても、同様の組織改正を実施いたします。
  ・各カンパニーの品質保証機能を統括する組織は、コーポレート(本社)品質
  保証部門の配下として、上述の(ア)のとおり社長直轄組織といたします。
  ・品質保証部門の独立性を確保するため、品質保証部門における人事ローテー
  ション、昇進、教育プログラム、外部資格取得などを計画、実施できる体制を
  確立いたします。
  ・各品質保証部門の管理職の責任範囲と権限、報告ルート(レポートライン)
  を明確にいたします。
  ・独立性が確保された品質保証部門が、(営業)技術(設計)部門、製造(検
  査)部門等の他部門に対する監督・牽制をするための手続を確立いたします。


(ウ)本社における品質コンプライアンス体制の改善
  ・本社の品質監査機能を強化するために、既に昨年 10 月 1 日付けでコーポレー
  ト(本社)品質保証部門内に品質監査を継続的かつ定期的に実施するための専
  門組織を設置し、専属の監査要員を増員しております。
  ・コーポレート(本社)品質保証部門又は各カンパニーの品質保証部門が実施
  する品質監査において、以下の事項について確認することとしております。
   -   各管理者が自らの組織(職場)の構造的な問題を把握し、それらの問題を
       解決するためのアクションが取られていること。
   -   お客様との契約を守るための仕組みが継続的に改善されていること。(具
       体的には、(営業)技術(設計)部門、製造(検査)部門に対する品質監
       査として、お客様との契約書、仕様書、品質管理(QC)工程図等に適合し
       たプロセスで製品の設計、製造がされていることを確認する。)。
  ・今後もコーポレート(本社)品質保証部門による継続的かつ定期的な自主点
  検を実施いたします。


(エ)グループ会社管理のあり方の見直し、本社とグループ会社の情報共有の強化等
  ・コーポレート(本社)品質保証部門がグループ会社の品質保証体制、状況を
  把握し、当社グループ全体の品質コンプライアンス体制を整備・構築いたします。
  ・コーポレート(本社)品質保証部門がグループ会社の品質監査を継続的かつ
  定期的に実施いたします。


                   19
  (オ)各拠点における品質保証体制の強化
    ・既に昨年 12 月 25 日付けでコーポレート(本社)品質保証部門及びコーポレ
    ート生産部門との合同で、各拠点の設計工程、製造工程及び検査工程の電子化
    を目指したプロジェクトが発足しており、お客様との間で合意した仕様書・設
    計書・図面・規格等と製品設計書・検査規格書等の社内文書を照合し、承認・
    否認の結果を電子化して人為的な操作を排除するシステムの導入を推進してま
    いります。なお、プロジェクトの進捗状況は、定期的にマネジメントレビュー
    にてフォローしてまいります。
    ・各拠点の検査工程の検査要員や設備等の健全性を点検し、不備があれば改善
    のためのロードマップを策定して、マネジメントレビューにてフォローしてま
    いります。
    ・品質保証部門、(営業)技術(設計)部門、製造(検査)部門の人事ローテ
    ーションをこれまで以上に促進させます。また、検査員の多能化を図り、検査
    員が固定化しないようにいたします。


② 製造工程能力・検査能力の適切な把握及びお客様のご要求仕様の検証等
  (ア)製造工程能力・検査能力の適切な把握及び受注時における検証等
    ・受注時に実施するデザインレビュー(DR)の内容を見直し、お客様のご要求
    品質、仕様等と製造工程能力・検査能力を適切に把握して、営業部門、(営業)
    技術(設計)部門だけでなく、製造(検査)部門、品質保証部門でも共有いた
    します。
    ・品質コンプライアンスが収益確保より優先されることを役員レベル、管理職、
    一般従業員間で周知徹底してまいります。


  (イ)お客様との関係性の改善
    ・お客様との関係においても、品質コンプライアンスが収益確保より優先され
    ることを意識して対応し、かつ、お客様への当社製品の品質、性能について、
    これまで以上に正確かつ迅速に、また丁寧にご説明申し上げて、品質コンプラ
    イアンス上の問題が二度と生じないようにいたします。


③ 品質コンプライアンス意識の向上
  (ア)品質コンプライアンスを常に優先事項とすべきとする社長メッセージの発信等
    ・2019 年 4 月 1 日付けで『フジクラクオリティ方針』の内容を見直し、品質コ
    ンプライアンスに関する内容を追加して刷新いたしました。
    ・既に社長の社内向けの説明資料の冒頭は常にコンプライアンスに関わる内容
    になっておりますが、お客様の要求仕様の遵守を含む品質コンプライアンスの


                     20
      徹底を強調した内容にいたします。


    (イ)役職員に対する定期的な品質コンプライアンス研修の実施
      ・2019 年 4 月 1 日付けで刷新した「フジクラクオリティ方針」の浸透を含めた
      品質コンプライアンス特別教育を各職場で実施し、関係する役職員(正社員)
      6,170 名1から品質コンプライアンス遵守に関する誓約書が当社に提出されまし
      た。
      ・エネルギー情報通信カンパニーにおいては、本事案の再発防止のために守る
      べき行動規範について教育を各職場に義務付け、既に実施いたしました。今後
      更に他カンパニーへ水平展開してこれらの教育を継続的かつ定期的に実施して
      まいります。
      ・これまで当社グループ全社でコンプライアンス遵守活動の一環として、独占
      禁止法や腐敗防止法に関する教育や e-ラーニング等を定期的に行ってきており
      ますが、これに加えてお客様仕様の遵守を含む品質コンプライアンスに関わる
      行動規範についての研修も徹底して実施してまいります。(なお、e-ラーニン
      グ修了時には受講者はコンプライアンス遵守についての誓約書を会社に提出す
      る仕組みにしております。)


    (ウ)意識調査アンケートの実施、現場従業員との対話の実施・継続等
      ・定期的な組織診断(組織へのエンゲージメントを測るアンケート調査)を品
      質コンプライアンスに関わる質問項目も追加して継続的かつ定期的に実施して、
      経営層や各職場の所属長へフィードバックしてまいります。
      ・毎年各拠点、主要グループ会社で実施している『グループ経営執行会議』等
      の機会を捉え、社長自らが現場の第一線の従業員との対話を通じて、経営層の
      考えを現場に伝え、また、現場の声を経営が汲み上げる機会を設け、経営と現
      場の距離を短くして風通しの良い風土を構築してまいります。なお、エネルギ
      ー情報通信カンパニー及びその関係拠点での社長による現場従業員との対話
      (グループ討議)は既に 5 拠点延べ 19 回実施済みです。


    (エ)人事評価における積極的インセンティブの付与
      ・既に人事考課の評価項目に『誠実さ/Integrity』がありますが、品質コンプ
      ライアンスについてより具体的な評価、行動基準を明確にしてまいります。
      ・品質コンプライアンスについて、より積極的な行動は高く評価し、一方コン


1
 品質コンプライアンス特別教育を実施した当社及び当社国内外グループ各社の全ての営業、技術、製造、品質保証部
門の社員(日本語の読み書きができる者)全員



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     プライアンス違反者に対しては厳しい評価を行うことといたします。
  (オ)品質コンプライアンス違反に関する厳正な懲戒処分の実施及び社内公表
     ・就業規則に定める従業員の懲戒事由として定め、品質コンプライアンス違反
     を明記し、厳正な処分を行います。
     ・今後懲罰の減免制度を含むコンプライアンス違反の処分基準(懲罰委員会で
     の懲罰ガイドライン等)を明確にして処分結果も社内に公表することといたし
     ます。


  (カ)内部通報制度の見直し
     ・既に上述の社長の現場との対話の中で、現行の内部通報制度を利用して、品
     質コンプライアンスに関する問題があれば積極的に通報してもらいたい旨の説
     明をしておりますが、更に強いメッセージを当社グループ全体に発信いたしま
     す。
     ・内部通報制度を製造現場の第一線まで普及させるため、現行のメール、イン
     トラネット利用に加えて、紙媒体による通報制度も整備いたします。
     ・製造現場まで内部通報制度(通報内容、通報者保護の考え方、懲罰の減免制
     度、事案の調査方法等)の理解を深めてもらうための職場説明会を実施いたし
     ます。


  (キ)品質に係る不適切行為に関するアンケートの継続実施
     ・本件調査で実施した品質コンプライアンスに関わるアンケート調査を継続的
     かつ定期的に実施してまいります。


  (ク)教訓の伝承
     ・本事案を役職員に伝えるための研修プログラム(ワークショップ形式)を作
     成して、各拠点、グループ会社にて研修を継続的かつ定期的に開催してまいり
     ます。なお、これまでに当社の 4 部門では実施済みです。


 当社は、これらの再発防止策を着実に実行するとともに、グループ各社においても再発
防止策が確実に実行されるよう、引き続き指導・監督を実施し、当社グループにおけるガ
バナンスの向上と品質管理体制の強化と定着を図ってまいります。また、その進捗につい
ては、継続的にご報告申し上げてまいります。




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7. 取締役報酬の返上について
 当社の取締役の本事案への関与は認められませんでしたが、本事案の発生を防ぐこと、
また本事案の早期把握と対処ができなかったことについての経営責任を明確にするため、
次のとおり取締役報酬の一部を返上することといたしました。
         職   位                      返上額
 取締役社長                 18 年度月額報酬 50%相当額の 3 ヶ月分
 専務取締役                 18 年度月額報酬 40%相当額の 3 ヶ月分
 常務取締役(7 名)            18 年度月額報酬 30%相当額の 3 ヶ月分


8. 業績への影響
 本事案が 2019 年 3 月期の当社グループ連結業績に与える影響は、一部については既に
2019 年 2 月 4 日に発表した第 3 四半期決算の中で 2019 年 3 月期通期連結予想に織り込みま
した。今後も連結業績予想を見直す必要が生じた場合は、適時公表いたします。




                                                  以   上




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