5698 エンビプロHD 2019-09-03 15:00:00
2019年6月期決算説明会(要旨) [pdf]

株式会社エンビプロ・ホールディングス
2019 年 6 月期決算説明会


2019 年 8 月 23 日
イベント概要


[企業名]      株式会社エンビプロ・ホールディングス


[イベント種類]   決算説明会


[イベント名]    2019 年 6 月期決算説明会


[決算期]      2018 年度    通期


[日程]       2019 年 8 月 23 日


[ページ数]     37


[時間]       13:30 – 14:21
           (合計:51 分、登壇:42 分、質疑応答:9 分)


[開催場所]     103-0025 東京都中央区日本橋茅場町 2-6-1 日経茅場町別館 B1
           (日本証券アナリスト協会主催)


[会場面積]


[出席人数]     45 名


[登壇者]      3名
           代表取締役社長             佐野 富和(以下、佐野)
           執行役員 経営企画部長         竹川 直希(以下、竹川)
           財務部長                杉山 泰司(以下、杉山)




                                                    1
登壇



司会:皆様、大変お待たせいたしました。定刻になりましたので、ただ今より、株式会社エンビプ
ロ・ホールディングス様の IR ミーティングを始めさせていただきます。

開催に先立ちまして、皆様に一つお願いがございます。お手元にアンケート用紙が配られていると
思いますけれども、お手すきのときにご記入いただき、お帰りの際には机の上に置いてご退出いた
だけるよう、お願い申し上げます。

それでは、会社様からお越しのお三方をご紹介させていただきます。代表取締役社長、佐野富和
様。

佐野:佐野でございます。どうぞよろしくお願いします。

司会:執行役員、経営企画部長、竹川直希様。

竹川:竹川でございます。よろしくお願いします。

司会:財務部長、杉山泰司様。

杉山:杉山でございます。よろしくお願いいたします。

司会:本日は佐野社長様からご説明をいただきました後、質疑応答とさせていただきます。

それでは佐野様、よろしくお願いいたします。

佐野:あらためまして、皆さん、こんにちは。エンビプロの佐野でございます。今日はお暑い中、
お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。それでは、早速ですが、決算説明会を開催
させていただきます。

今日は、4つの資料が皆様方のお手元にあると思いますが、主に、この 1 と 2 について説明をさせ
ていただきます。また、1 に関しましては過去の数字ということもありますし、決算短信等に既に
開示をされているものと数字的な重複をするものがありますので、それは少し駆け足で。今期 20
年 6 月期の説明を中心に説明させていただきたいと思います。




                                                2
今まで単一セグメントでずっとやっておりました。非常に分かりにくいというご意見をたくさんい
ただきまして、今回から4つのセグメントに分けてご説明をするようにしております。それでも業
界的に分かりにくいところがあろうかと思いますが、お許しをいただきまして、お話をお聞きいた
だきたいと思います。




                                           3
ここはもう開示されておりますけれど、減収減益という大変不甲斐ない数字の結果が出ました。ス
クラップ価格は 18 年 6 月期、一昨年期とほぼ同じくらいで推移したのですけれども、最終的に前
期は 2 万 6,000 円で終わり、下げ勾配になっております。

それから、内部では、5 カ年の計画を立てまして、サステナビリティ戦略と名付けて、社会的信
用、それから経営資源の効率、生産性を上げようということで取り組みました。

太陽光発電の開発の会社であった E3 という会社。この辺がもう FIT 価格も下落する中で採算的に
厳しいこともありまして、E3 の社長であった人に MBO により株式を譲渡しました。

先ほど申し上げた事業セグメントをさらに細かく分けて、そこを担当する役員制を導入しておりま
す。それから、自己株式取得を実施いたしました。

それから、子会社のエコネコルに研究室があったのですけれども、VOLTA 等、化学的なアプロー
チが必要ということもありまして、エンビプロ・ホールディングスに移管しまして、化学系の人材
を 2 名ほど採用してグループ全体を見るという体制を整えております。




                                                    4
新規事業としてやっております VOLTA、それから P2P、アストコで 1.7 億円の経常損失を計上し
ております。




ここでは、特に申し上げるのは粗利等が伸びない中で、純粋固定費、特に人件費が増加しており、
3 億 3,700 万で、固定費が先行する形になっております。




                                                      5
売買差益におきまして、廃プラ関連で増加をしております。それから、木質バイオマス。それか
ら、政府専用機を 2 機購入しましたが、1 機分が前期の 19 年 6 月期に売れておりまして、そうい
うものがプラスで貢献しております。ただし、中古自動車、それから太陽光等の開発の差益が減少
しております。

先ほど申し上げましたが、この人件費の 2 億 7,200 万が、先ほどの固定費、3 億3千7百万のうち
の大半を占めるわけですけれども。既存事業の人員に対する待遇改善、それから、先行投資等々新
たな人材確保を含めて、2 億 7,200 万の増加であります。

3 年ほど前から、もともと 5 カ月ぐらいの賞与だったのですが、0.25 カ月ずつ上げてきて、昨年が
5.5 と。20 年 6 月期が 5.75 まで上げて。3 年前から上げることを宣言し、辞めないでくださいね
みたいなメッセージを。現場の人たちはそういうことに対して敏感に反応することもありまして、
人件費を意図的に上げていき、人材を確保している会社が生き残れるという捉え方で取り組んでお
ります。このような状況で特に、意図して人件費を上げて、固定費が先行している形になっており
ます。




                                                         6
これは暦年の比較でございますので、ご参考にしていただければと思います。




                                      7
それから、セグメント。これも開示済みではありますが。これを見ていただいて分かりますよう
に、4つに分けたとは言いながら、資源循環事業、売上は資源循環事業よりもグローバル資源循環
事業のほうが貿易部門ですから多いのですが、利益的には資源循環事業で 8 億 3,300 万、グローバ
ル資源循環事業で 4 億 4,800 万と、8 割、9 割がこの事業で成り立っているということが言えると
思います。




                                                       8
それから、これは資源循環事業の売上高と、売上総利益、経常利益で、先ほども申し上げました
が、雑品、プラスチック等は中国に行かないということで、雑品やプラスチック等が還流、国内に
とどまって。そういう意味ではその仕入れが増えておりますし、その処理費を高く設定できること
で粗利には貢献しております。

ただ一方で、RPF 等々、値上げも逆に言えば進行したのですが、どうしても捨てなきゃならない
ものが出てきまして。捨てたり、焼却したりするもの、その費用も倍近く上がっているということ
で、これとの兼ね合いが非常に重要になってきます。

先ほど申し上げましたように、人件費は意図して待遇改善を中心にして上げていると。リチウムイ
オンバッテリー等のリサイクル会社 VOLTA につきましては後ほど詳しく説明しますが、設備の一
部が稼働をいたしました。資源循環事業に属する、先ほど 1.7 億円の経常損失と申し上げました
が、資源循環事業におきましては、この二つの会社で経常損失が 1.1 億円となっております。

6 月の、ぎりぎりですけど、これも後ほど詳しく触れますが。亜臨界融合という特殊な技術を持っ
た事業を、まだ実証しながら、用途先のお客さんと一緒に商品を開発していくことが今期も続くと
思うのですが、そんなこともやり始めております。




                                                  9
それから、グローバル資源循環におきましては、期中前半は内外価格差が非常に少なかったのです
ね。貿易の輸出ですから、鉄くずの場合、海外が高くて国内が安いと、国内の製鉄所以上の値段で
買えるものですから品物も集まるということで、前半はそれがちょっと苦戦しておりました。期中
後半は下落相場の中で、先売りすることによって利益を確保しております。

それから、木質バイオマスが 3 年ぐらい前からやり始めて、ずっと赤字だったのですが黒字化をし
ております。

政府専用機は 1 機分が利益に貢献している。

一方で、尼崎にもともとあった集荷ヤードですけど、リニューアルをして大ぶりな形で開設してお
ります。




                                             10
中古自動車関連が非常に苦戦をしておりまして。18 年 6 月期が 1.7 億円の利益に対して、19 年 6
月期が 1,000 万で、非常に価格競争が激しくなっておりまして、ロジスティック部門においても利
益が減少しているということで、この事業そのものが大きな曲がり角にあると考えております。

それで、3 カ所、ウガンダ、チリ、UAE から仕入れるものを含めて、いろんなチャレンジをしてい
るのですが、なかなか実を結ばないということで、この事業におきましては大きく見直す必要も出
てきているのかなと。もともと日本のエンジンを輸出するのが中心ですから、電気自動車になった
らエンジンそのものが差別化できなくなりますので、時間の問題かもしれません。ただ、もう少し
チャレンジをさせていただきたいと思っております。




                                                    11
その他におきましては、16 年 6 月期、17 年 6 月期は太陽光発電の開発がありましたので、これが
非常に資源リサイクルが厳しいときに貢献してくれたのですが、先ほど申し上げましたように
MBO によって株式を譲渡しており、現在は環境経営コンサルティング、主に CDP、カーボン・デ
ィスクロージャー・プロジェクトで、CO2 削減のコンサルをやっております。ただ、財務的には
あまり影響ないのですけれども、もちろん赤字ではないのですが、十数社の日本の超一流の会社と
やりとりをしています。自動車会社も含めてですね。そんな意味では、人間関係性の資本は蓄積さ
れて、これがサーキュラー・エコノミーという、今はやりと言ったらおかしいのですが。これから
の流れの中で、その辺のコンサルに切り替えていこうとしておりますので、やがて現業の、我々グ
ループの現業にも貢献してくれるんじゃないかなと思っておりますし。もう一つは RE100 といい
まして、再生可能エネルギー100 の会社の事務局をやっているのですね。十数社あるのですが。そ
ういう意味では、環境絡みの最先端の情報がこの会社を通じて入ってくるので、会社を変えていく
先端情報をもらえるという意味では非常に役に立っているし、これからもその部分で活躍してもら
えると思います。




                                                  12
それから、障がい福祉サービス事業ですけれども、第 4 四半期で月次で黒字になりました。年間を
通じては、まだ 2,000 万ほどの赤字なのですが、今期は何とか黒字になるだろうと。そう言いなが
ら、もう 1 カ所富士宮に施設をつくったり。今後、年齢層の幅を広げた形で発達障害の皆さんと
か、そういう人たちのお世話をしたいという強い思いが、そこを担当している社長にあって、私も
それを応援したいなと思うので。ここも財務には大きく影響しませんが。いわゆる、最近の SDGs
の前文にあります、世界中の誰一人として取り残さないという意味においては、当社も S の部分、
ESG でいえば S の部分において、会社の財務以外の付加価値を付けていけるのではないかなと思
っておりますし、リサイクルの仕事と非常に相性がいいのですね。ものづくりは大変だと思うので
すが、選別とか、一生懸命集中してやる意味では非常に相性がいいので。既存の事業とのコラボレ
ーションを含めて、社会貢献を一方で事業としてやりながら、一方ではリサイクルを。人手不足の
部分がありますので、そういう皆さんにも活躍してもらう意味では価値があるものとして、この二
つはですね。今までデジタル・サイネージだとか、いろんなことにチャレンジしたのですが。非常
に集中した形で、資源リサイクルに集中していくのですけれども、それを補完する意味では、この
二つに関してはこれからも力を入れてやっていきたいと思っています。




                                                  13
バランスシートです。これも太陽光絡みで短期でお金を借りたり、あるいは出資金等が一時的に増
えていましたけれども、その辺がなくなりましたので、非常にコンパクトに、総資産も 20 億ほど
減って。従って、自己資本比率も上がり、それから流動比率も圧倒的に良くなって。そういう意味
では、財務の健全性は高まっていると思います。




これも同じような形で、借入金の返済、それから出資金の回収等々がここに出ております。特筆す
べきは自己株式の取得を 2 億 7,300 万、もともと 5 億の目標でやったのですが、ここの 2 億 7,300
万でとどめました。




                                                        14
続いて、2020 年 6 月期であります。ご案内のように、米中摩擦等で不安定な状況が続く中、この
資源価格も低迷しております。今期は、そういう意味では価格的に前期のようにはならないという
前提で。

前期は 3 万 2,000 円ぐらいですけれども、今期の鉄相場は 2 万 5,000 円で計画しました。ただ、昨
日、また 1,000 円下がって、2 万 4,000 円で、実勢が計画より下がった状態に今はなっておりま
す。この辺は、行ったり来たりということかもしれません。銅相場については 60 万。現状は 65
万なので、これは保守的といいましょうか、安全サイドで見ております。

為替も現在 106 円に対して 105 円で計画をしております。

主な取り組みですけど、既存事業の金属を増やしていくことは粛々とやっていきます。一方で、金
属相場に左右されにくい事業領域を増やすことで、廃棄物を増やす。それで入ってきた廃棄物の中
で、また廃棄物として処理をすると利益が出ないわけですから、その資源化をきちっとやって、リ
サイクル率を上げることによって利益を創出していくということと。




                                                       15
先ほどの亜臨界融合に関しましては、付加価値を高められるというふうに。プラスチックペレット
だと 70 円ぐらいですけど、その 3 倍とか、場合によってはゼロを一つ増やすような、炭素繊維と
の融合とか、そんなことにチャレンジをしていきたいと思います。

それから、プラント解体等で情報源に近い業界との協業モデルということで、後ほど出ますけれど
も、昨年一つつくりましたので、今期も同じような形でつくっていきたいと思います。

それから、新たな輸出入先、輸出入商材、三国間貿易を増やしていくと。PKS、木質ペレットの輸
入及び三国間貿易を増やします。それから、欧州からの金銀滓の輸入。前期にサンプル入荷してお
りますけれども、今期はそれを増やしていこうということです。それから、新たな貿易アイテムを
増やしていきます。

それから、ずっと赤字で、後ほど詳しく申し上げますが、VOLTA という、リチウムイオンバッテ
リーのリサイクルプラントを安定操業させて、9 月からやっと全体が動くのですけれども。ただ
し、熱を使うのはわが社としては初めてで。フッ化ガスとか、いろんな有毒ガスも出るので、その
辺の環境設備等々でかなり時間をかけて、綿密に計画をして、少し遅れてしまったのですけれど
も、それらを含めて安定操業していくことで、今年いっぱいぐらいは試運転が続くだろうなと思い
ます。

さらに、次のステージとしては湿式製錬があるのですけど、それへのチャレンジと同時に、第 2 の
拠点、VOLTA と同じような形で第 2 の拠点をつくっていくこともやりながら。湿式製錬だと 30
億とか 50 億とか、設備投資が大きいので、一緒にやれるパートナー、技術、資金、商材を含めて
一緒にやれるパートナーを探していくことを同時にやっていきたい。後ほど説明します。

それから、経営基盤、成長基盤を長期的目線で強化するということで、先ほど来から申し上げてい
る、人件費をがんがん上げていますので、それを賄えるだけの生産性を高めていきます。

それから、攻めのガバナンスで長期的成長の基礎をつくるということで、当社においては最も重要
な内部統制は労働安全だと考えていまして、その安全度の高い、そういう会社をつくって、なおか
つ内部統制の効いた効率的な事業運営をしていきたいと思います。

それから、新たな人材の採用。同時にエンビプロ・ビジネススクールを 2 年前に始めまして、今期
も引き続きそれをやって、既存人材の能力開発をやっていきたいと思います。




                                                    16
2020 年 6 月期、これも既に開示済みでありますが、経常利益で 12 億 5,100 万。ただし、ここでも
純粋固定費が 3 億 2,700 万増額することになっていまして、ここも人件費が大半を占めており、先
ほども言いましたように 0.25 カ月分、今期が最後ですけれども、賞与を増やしますので固定費が
上がります。ただ、今期はそれに負けない粗利を増やす計画になっておりますので、経常利益は 1
億ほど増える計画をしております。




                                                      17
これも重複しますけれども、売買差益で 6 億 4,700 万。資源循環、廃プラ絡みで値上げが結構浸透
していますので、処理費がまだ増える予定です。それから、金銀滓も増える予定です。新規事業も
売上が昨年に比べて増えるということで、それがプラスの要因。

グローバル資源循環におきましては、金属スクラップの量も増える計画をしていますし、木質バイ
オマスも増える計画をしております。それから、残った政府専用機 1 機が、既に売れているのです
けれども、今期の売上利益に貢献をすると。

ただし、ダスト処理費。先ほど申し上げました焼却とか、埋め立ての処分費用が今年も増えるであ
ろうと。逆有償で、廃棄処理をたくさん入れれば入れるほどリサイクルをきちっとするのですが、
どうしても絶対量が増えると処理費が増えるということと。併せて、待遇改善等、繰り返します
が、人件費を上げることによって 1 億 8,800 万の人件費を増やすと。

それから、研究室でいろんな実験器具等々、利益に直接寄与しないのですけど、その他を含めて投
資をしたり。消耗品も結構きっと使うようになるということで、経費も 1 億 4,100 万増えるという
計画の中でやっております。




                                                 18
これは暦年で並べた数字でありまして、18 年 6 月期がちょっと多かったのですが、ほぼ同等です
ね。売上は、相場の影響があり上がっていないのですけど、粗利と経常利益を増やしていく形に、
過去この 5 年間はなっていると言えると思います。




                                              19
それから、セグメント。ここもほぼ昨年度と同じような形ですけど、資源循環事業で 8 億 6,500
万、それから、グローバル資源循環事業で 5 億 2,600 万の利益を出していくと。中古自動車におい
ては、昨年は 1,000 万だったのですが、固定費を削減し、このくらいの利益を出せるだろうという
ことで、スタートダッシュはそこそこいい結果が出ていますので、このくらいの数字は出るのだろ
うなと。

その他におきましては、環境経営コンサルティングと障がい福祉サービスですが、これも安定的
に、額は少ないのですけど、きちっと、赤字にはならないという予算であります。




                                                   20
ここから少しずつ細かくなると同時に、今までご説明できなかった部分ですが。

まず、資源循環事業は金属スクラップの価格変動の影響が非常に大きいです。特に、絶対価格が高
いほうが利益が出やすい。それから、上げ相場のときに利益が出やすい。なぜここで言うかという
と、グローバルのほうは下げ相場のときに利益が出やすいという意味で、あえてここで、上げ相場
のときに利益が出やすいということで。その辺が一つ、ここの事業の相場に結構左右される宿命的
な事業であります。

従いまして、課題としては相場変動の影響を受けにくい体質に変わっていくことで、下にいろいろ
羅列してありますが、この資源循環事業の利益創出の要因としては、破砕、選別、選別もいくつか
の、重液選別、風力選別、比重選別、センサーで選別する等々。加工による付加価値を付けるとい
うのが、利益の大きな創出要因になっております。

そんな中で、相場の影響を大きく受けるものは、鉄、非鉄を含めたベースメタルのスクラップ。そ
の扱い量が多いほうが利益が出やすいわけでありまして。それを微増ではありますけど、今期は
6,000 トンほど増やす予定になっております。




                                              21
金銀滓は、後ほど細かく言いますけれども、力を入れてやっていきます。

それから、相場に左右されにくい分野ということで、逆有償売上。それから、解体工事・片付け・
中古品販売・土壌浄化。それから、大手製錬会社からの加工の委託を最近は受けるのが増えてまい
りまして、そういう委託加工。加工費をいただくことで、相場とは関係なく粗利を増やす事業につ
きましても力を入れてやっていきたいと思います。

それから、新市場・新技術への投資ということで、2 次電池のリサイクル、VOLTA です。それか
ら、亜臨界融合技術。新商品開発で、東洋ゴムチップが今までずっと人工芝の充填用ゴムと、弾性
舗装というゴムの舗装ですね。陸上競技場のような。そういう事業だけだったのですが、新たな商
品を開発していこうということで。特に亜臨界融合技術を使ったもので、既にいろいろと試作等々
をやりながら、この辺も含めて経常利益に対する影響度として、約マイナス 2 億の計画をしており
ます。それらを含めての利益であります。

ここに、一番青いところ、一番下の右側を見ていただくと分かるのですが、ここは鉄スクラップで
す。その次が非鉄。その次が逆有償。お金をいただくこと。ここは非常に利益率が高い。その次が
ゴム。その次が金銀滓と。あとはその他という売上構成になります。それに対して粗利、売上総利
益は 28 億で、経常利益が 8 億 6,000 万というのが、この資源循環事業で今期の計画になります。




                                                   22
グローバルに関しましては、金属スクラップ、特に鉄スクラップが多いのですが、鉄スクラップの
価格自体、高いほうが物が動くのですけれども。価格自体の影響よりも、むしろその変動を利用し
た売買差益の意味では、価格自体の影響は比較的少ないということが、先ほどの資源循環の国内の
事業とはちょっと違った性格にあります。

特に 2 カ月後、3 カ月後に対して、いつも先売りをしていきますので、下げ相場のときに利益が出
やすいという特質があります。

ここの部分の利益の創出の要因としては、取扱量が多いことと、利幅があります。これは当たり前
と言えば当たり前ですが。そんな中で内外の価格差ですね。国内の価格よりも海外が高いというこ
とになりますと、物も集まりやすいです。隣の製鉄所で、うちのヤードが岸壁にあったら、隣より
高く買えるわけですから、当然扱い量も増えるということで、なおかつリードタイム、売ってから
のリードタイムでの内外の価格差があると利益が出るというような性質をもっております。

相場変動を、ずっと下げ相場というわけではないわけですから、時には打たれることもあるのです
ね。先に売りますから。ただ、たまにですけれども、上げ相場が何となく見えるときには、先売り
をちょっと抑えるなどの対策をとっていきます。お客さんとの関係もありますので、ゼロにはでき




                                              23
ないのですけれども、売り方を少し抑える形で、相場が上がるのを待って売るとかですね。ただ、
それも時々失敗したりして、少し不安定なところもあるのですが。

比較的相場が安くても物が動いている状態のときには利益が出るということで、今期の取り組みと
して、前期が 46 万トン、鉄くずでやっておりますので、これは非鉄も含めた金属スクラップで
す。それを 60 万トンにする計画で、ここの足元では、そのくらいのできそうな今は集荷量になっ
ております。

それから、輸入のバイオマスは 3 万トンから 10 万トン。19 年 6 月期に 3 万トンやりましたが、
20 年 6 月期で 10 万トン、マレーシアに 1 カ所で、インドネシアにつくったところで集荷が始まり
ました。バイオマスは去年まではものすごく苦労したのです。もう買い手市場なので。いよいよそ
れがフィットしてきて、今期から来期にかけては長期契約も含めた、PKS 以外のいろんな木質ペ
レットの工場建設とか、いろいろ企画してるのですが、まだ決まってはいないのですけれども。そ
んなことで、この部門が大きな事業の柱にきっとなるだろうなと考えています。

それから、欧州の金銀滓の輸入に関しましては、90 トンから今度は 500 トンにしましょうという
計画を立てております。

取り扱いアイテムの増加は、リサイクルペレットですとか、金属製品等。

三国間も増やしていくということで、鉄だけで 162 億、それから非鉄、バイオマス系で 26 億の粗
利、売上総利益は 33 億で、経常利益が 5 億 2,000 万という目標を立てております。




                                                        24
それでは、トピックスを5つ申し上げたいと思います。




                            25
何といっても、この VOLTA が 5 億円ほど。前期はこの投資を含め設備投資で 14 億ほど実施まし
た。今期は 18 億ほどの設備投資を計画しておりますが、VOLTA はほぼ、第 1 回目の設備投資は
いったん終わるのですが。

18 年の 9 月、昨年 9 月には電極材の破砕ライン。これは今までの延長線上のようなプラントなの
ですけれども、それは動いて、月 30 トンから 50 トンの負極材、銅箔にカーボンが付いている、
それを剝離する仕事をやっております。正極材が本当は主なのですけど、それはこのプラントが動
いていなかったので、なかなかできなかったのですが。電気炉、キルンを使って電気を抜いて、そ
れから焼成をしていくと。

それから、粉砕して。我々はブラックサンドと言っていますけれども、コバルト、ニッケルを濃縮
した黒い粉、従ってブラックサンドと言っていますが、そういうものをまず回収します。最終的に
は、それを湿式製錬等で、別の方法もあるのですが、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、炭酸リチウム
を回収するところまでやり切れないと、中間処理的な事業で終わってしまいます。




                                                     26
ただ、この VOLTA を企画したときに比べてコバルト相場が 3 分の 1 までは行きませんけど、それ
に近いところまで下落をしています。ニッケル相場も。だから、非常に厳しい状態がこれからも続
くということを想定しております。

ただし、この事業は誰かがやらないかんということで、特に入り口でですね。そういう意味ではコ
バルト、ニッケル相場が下がる、ニッケル、コバルトの含有量が少なくなる。そういう電池に関し
ては、入り口で処理費をもらうようなビジネスモデルになるのじゃないかなと思っています。従っ
て、廃棄物処理業者で技術力のある廃棄物処理業者がこの事業に適任だという意味で、我々の事業
領域のものだと思っています。

大手の住友金属さんとか、ヨーロッパのユミコアという大手があるのですけど、それが廃棄物処理
からスタートすることは、まずないだろうということで、我々の事業領域の中で処理費をいただい
て。

ただし、単純焼却とか単純埋め立てではなくして、技術力の背景のある事業としてつくっていけ
ば、このニッケル、コバルト相場の下落、それから含有率の減少、そういうものを補っていけると
いう、この入り口が非常に重要になってきますが。多分二の足を踏んでなかなかやるところが、急
に今、みんなトーンダウンしていますから。大手も含めてですね。ただし、「我々は不退転の覚
悟」でこれをやっていきたいと思っています。




                                                  27
まずは、富士宮で実証プラントをきちっと成功させます。まずは安定操業から始めて、我々にとっ
ては初めての体験なので、きちっとした安全な操業体制。そういうものをつくって、もう採算はあ
る意味度外視でやっていきます。

それから、集荷ルートを、機械がスクラップを呼ぶという言葉が我々の業界はありまして。そうい
うものを集めていくことの仕組みづくりのために、設備が稼働したことによって見学にも来ていた
だいて、信頼感が増えますから。そういうことを今期、赤字を覚悟の上でやっていきます。

併せて、既にいろんな人たちにお声をお掛けしていますが、我々の同業者、鉄スクラップ屋さんは
どこまで来るか分かりませんが、廃棄物処理業者でこういうものに興味を持っているところも出て
います。もともと火を使っているところもありますから。そういったところに、VOLTA に出資し
てもらうような形で、この富士宮のこのプラントと同じようなものを国内に、最低でも 2 カ所、関
東、関西というイメージでつくっていきたいと。

それから、アメリカの会社と今やりとりをしていまして、電池を集めたはいいけど、電池は輸入で
きないのですよ。途中で、皆さんご存じのように、火を噴きますので非常に危険なのですね。だか
ら、運送する船が拒否していますし、トラックに乗って火が出るとか、全国でそういうことが起こ




                                             28
っているので。運送を拒否するので、向こうで電池からブラックサンドをつくって、それを日本で
輸入するという、これはまだまだやりとりを始めたばかりの状況ですが、国内外にこのブラックサ
ンド工場をつくっていく。それを 2022 年までにやり遂げたいなと。

併せて、湿式製錬の企画をやって、2025 年ぐらいから湿式製錬のプラントが、これは別会社にな
る可能性もあるか、VOLTA にさらに出資して実現していきたいと考えております。もう VOLTA
の当社出資比率はマイナーになるかもしれませんが。

というのは、自動車メーカー、電池メーカー、前駆体メーカーが出資するような、そういう会社に
しないと大ぶりな動きができないので、ここは非常にハードルが高いです。うちの実力を超えてい
るチャレンジを今はしようとしていると言っても、社長が言うのですから間違いないと思うのです
が。ただ、誰かがやらないかんし、大手もちょっと二の足を踏み始めていますので、むしろ先ほど
来申し上げているように、入り口の部分できちっと利益を出すということ。処理費をもらってです
ね。そして、ブラックサンドで濃縮の技術。

それから、湿式製錬は我々も韓国の人材と、韓国でもう 2 カ所やっているところがありますので。
そこの技術者なんかに会社に入ってもらっていますので、そんなやりとりをしながら湿式製錬所も
つくっていくと。ただし、単独ではできない。それから、物も集めていかないかんですから。

そういう、同業者にも出資をしてもらいながら、できたら電池メーカーもですね。中国ではそうい
うクローズのループがもう既にできているわけです。バッテリーマネジメントシステムで、売って
いる会社がバッテリーのメーカーがリサイクルまで既にやっていますので。それと同じようなもの
が日本でもできないはずがないということで、このことに対しては強い気持ちで取り組んでいきた
いと思っています。

ただ、当分は赤字が続くと。最初に計画したときは、コバルトが高かったので 3 年目ぐらいから黒
字の計画で、皆さんにここでしゃあしゃあと発表したのですが、その状況は非常に崩れていること
が言えると思います。これが主なことです。




                                                   29
金銀滓に関しましては、自治体との契約が少しずつ進んでいます。昨年ここで発表したときには 2
自治体と申し上げましたが、7つの自治体で、落じん灰といいまして、金銀を結構含んでいる特殊
な灰があるのですが。そこの取引数が増加し、20 自治体ぐらいの取引を検討中という状況です。

ただ、非常に時間がかかりまして、結局 1 年がかりで提案して、1 年がかりで予算を取って、その
翌年にやるということなので。ずっと今は案件をプールしていますので、少しずつ契約が増えて、
30 自治体ぐらいになったら、そこからぐっと行くようなイメージで。百一匹目の猿という寓話が
ありますけど、ある一定の限界点を超えたら、がーっと増えるのではないかということを強く期待
しております。相手のあることなので、こちらの片思いでは駄目ですけど。

それから、小型家電、雑品等が増えていますので、そこから金銀滓を回収する。ヨーロッパについ
ては、本格的に立ち上げます。今年の、多分秋口には欧州に拠点を。これは、以前うちの貿易部長
だった人がイギリス人の奥さんと結婚して、イギリスに行ってですね。また、その人とのやりとり
がスタートするので、拠点づくりは早々にできると同時に、そういう人材も、そのプロの人材も今
期から採用、ずっと長くそれをやっていた人。焼却灰からの金銀滓じゃなくて、いわゆる E-スク




                                                30
ラップという、電子機器の基盤等の専門家も入社しておりますので、ここはかなり勢いよく伸びる
のではないかなと思っています。

併せて、R2 というのはアメリカの Responsible Recycling という資格なのですが。これがないと
アメリカから基盤を輸入できないということで、関連会社のアビヅが 3 月に取って、エコネコルが
この 8 月に取れました。その資格があると、初めて輸入がしやすいということで、欧米からの電子
基盤のスクラップ輸入の営業も強化をしていきます。

それから、太平洋セメントと 2 年がかりで実証プラントはやっているのですが。今期中に事業化す
るかどうかを判断していくということで、相手があることなので、相手の土俵の中でやっているの
で私は決められないのですがね。太平洋セメントさんも非常に興味を持って取り組んではいます
し、実際には金が出てきているのです。だから、灰の中に金があるのは重々分かるのです。なかな
か相手のあることで、私みたいに見切り発車でがっと行くようなことをしないので、慎重に検討を
重ねております。しかし、今期中にその判断をしていきたい。

それから、先ほど申し上げましたけれども、加工、先ほど委託と言いましたが、受託する事業。そ
んなこともやって、今期、金を 80 キロ、それから銀は 1 トンを目標にします。これは多分いける
のではないかなと。そうしますと、大体売上で 9 億ぐらいに、金銀滓はなるのではないかというこ
とで。これは、焼却灰絡みのものは仕入れが非常に安価で、灰の処分費がいわば仕入れに相当する
ので、ダスト処理費が非常に、利益率は高いので、粗利に即直結する数字であります。




                                                            31
それから、この中国輸出が止まった廃プラ、雑品への対応ということで、逆有償の売上を、昨年
16 億ありましたけれども、それを 19 億にしていこうと思っています。それから、廃プラの用途拡
大ということで、RPF、それから鉄鋼副資材、セメント原燃料。これはずっとやっておりますが、
特にマテリアルプラはこれから増やしていきたいと。

先ほど来申し上げているように、この言葉の繰り返して恐縮ですが。処理費をもらっても、またそ
のまま処理費を払うような形だと利益率が少ないので、その廃棄物由来のものを資源として捉え
て、それで有価化していくと。有価で販売する。この比率をいかに高めるかが、我々の真骨頂にな
ります。

それから、亜臨界技術による新機能素材開発ということで、200 度、20 気圧ぐらいまで、ある一
定の回転体の中に原材料を入れると、普通だったら融合しないのですけれども、この技術により融
合します。亜臨界融合という言葉は、まだ正確じゃないのですが、亜臨界状態じゃないと融合をし
ないような融合が結果として出ているのですね。これは科学的に証明していませんから、この使い
方が正しくないかも分かりませんが。




                                                  32
従って、プラスチックと炭素繊維を融合させて新素材を作る。バイオマス系のものを融合させて新
素材を作る。今はいろんな方が非常に大きな興味を持って、大手の会社を含めて、プラスチックの
専門の人を含めて、見学はひっきりなしにあります。まだ売上は全然伴っていないのですが。

ただ、我々も用途先が自分らでつくれないので。使う人たちが、こんなものを作れませんかという
ことで、今は実証して、今期はそれで終始するだろうと。その間に新工場は、その辺りを見なが
ら、そのラインの増設検討を、まだ 2 ラインしかないので。実証ラインと生産ライン。そういう意
味では、生産ラインは 1 ラインしかないので、それを少しずつ増やせるという感覚を捉えながら、
来期にかけてこのラインを増やしていきたいと思います。

今のところは場所的に昼間しか稼働できないので、24 時間やるような形になれば、来期から再来
期にかけてきっと利益が出てくるのではないかなということで、これは大きなチャレンジです、う
ちにとって。VOLTA とは違った意味で、新しいマーケットへのチャレンジになります。




                                                33
それから、プラント片付け、中古品販売ということで、日本資産評価士協会との連携ですね。ここ
は実は、この航空機等もここがきっかけだったのですけれども、資産評価をする団体がありまし
て、そこといろんな形で提携をして、事業モデルをつくっていきます。

それから、昨年我々の関連会社のアビヅが 51%で SMART という会社をつくりました。SMFL み
らいパートナーズ。SMFL としての関連会社との会社をつくって、そこは非常にリースの資産をた
くさん持っていますから、いわば物件を保有する会社との組み合わせ。

それから、その他、国際的オークション会社等々とやりとりをしていきます。




                                                     34
これは研究室のご紹介ですけれども、こんな形で化学的なアプローチもできるような、知的財産の
管理もするような。今までその辺のものは非常に希薄だったのですが、新しい技術を開発していく
とか、法律のチェックだとか、今まで新しく採用した人たちがかなり厳しい目線で、労働関係も含
めて研究室が対応して、より良い会社をつくっていきましょうということで。これは財務には直接
関係ありません。




                                           35
そういうことで、成長戦略としてはこの 2019 年度、昨年度から成長への投資と。今年度でしょう
か、創りかえる、新規事業の推進、いろんなことをやったのですけど。過去多様性を推進すると
か、いろんなことをやったのですが、経営資源を選択して資源、リサイクルに経営資源を集中させ
てやっていきます。

特に利益配分として、一番右側ですけれども、成長投資に 30%、研究開発に 10%、株主還元、配
当で 30%、内部留保に 30%ぐらい。この辺の基準を作って、新たなことにもチャレンジをしてい
くことをやっていきたいと思っております。

以上で終わります。ありがとうございました。




                                              36