5698 エンビプロHD 2021-09-03 15:00:00
2021年6月期 決算説明動画(書き起こし) [pdf]

                                                 2021 年9月3日

                     会 社 名 株式会社エンビプロ・ホールディングス
                     代 表 者 名 代表取締役社長            佐   野   富   和
                                   (コード番号:5698 東証第一部)
                     問 合 せ 先 取締役   管理管掌         竹   川   直   希

                                          (TEL. 0544-21-3160)




株式会社エンビプロ・ホールディングス
2021 年 6 月期決算説明動画(書き起こし)


2021 年 8 月 27 日
イベント概要


[企業名]      株式会社エンビプロ・ホールディングス


[企業 ID]    5698


[イベント言語]   JPN


[イベント種類]   決算説明会


[イベント名]    2021 年 6 月期決算説明会


[決算期]      2020 年度    通期


[日程]       2021 年 8 月 27 日


[ページ数]     39


[時間]       15:00 – 15:56
           (合計:56 分、登壇:56 分)


[開催場所]     インターネット配信


[会場面積]


[出席人数]


[登壇者]      1名
           代表取締役社長            佐野   富和(以下、佐野)
登壇



佐野:皆さん、こんにちは。株式会社エンビプロ・ホールディングス、社長の佐野でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

今回も、録画による決算発表になります。併せてご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。




それでは早速、説明に入りたいと思います。今回、四つに分けてご説明申し上げます。一つ目が、
2021 年 6 月期の決算概要でございます。続いて、2022 年 6 月期、進行期の見通し。それから配当
方針。そして最後に、中期経営計画。私どもではサステナビリティ戦略と呼んでいますが、この四
つに分けてご説明をさせていただきます。
まず決算の概要ですが、その前に今回、セグメントの変更をいたしました。海外事業を行うグロー
バル資源循環事業と中古自動車関連事業を統合いたしまして、シナジーを強化することにいたしま
した。

また、今まで資源循環事業の中にありましたリチウムイオン電池リサイクル事業でございますが、
当社におきます戦略的な事業でございます。今後、湿式製錬等の事業拡大、それらの規模感、また
アライアンスを考慮いたしまして、独立したセグメントといたしました。

まず資源循環事業ですが、ここに書いてありますように再資源化、再生産、再利用ということで、
会社としてはエコネコル、クロダリサイクル、しんえこ、東洋ゴムチップ、そして持分法のアビ
ヅ、富士エコサイクルがあります。このセグメントにおきましては、いわゆる加工を伴うものであ
ります。機械等を使いまして加工を伴いますので、比較的付加価値が高い事業部門です。実際、
2021 年 6 月期の経常利益率が 14.6%ということで、売上は大きくないのですが、利益率の高い事
業という捉え方でございます。

それから、グローバルトレーディング事業でございます。これは経常利益率が 2%前後の事業でご
ざいますが、物をたくさん扱うことに意味があります。また輸出、輸入、三国間等々をやる中で、
いろんな先端的情報を早めに取ることができますので、グループ全体のアンテナ役ということがあ
ります。

また、一般の商品ですと、たくさん買ってもらう場合には安くしますから、たくさん買ってくださ
いと、こういうやりとりになるのですが、この私たちの事業は、たくさん売りますので高く買って
くださいということで、量をやることによって、グローバルトレーディング事業にかかわらず、こ
の資源循環事業においても価格を高めに設定する、そんな機能もございます。そんな意味で、これ
からこのグローバルトレーディング事業も一層力を入れていきたいと思っています。

それから、先ほどのリチウムイオン電池リサイクル事業です。ここは私たちの戦略的事業で、まさ
に 10 年先をにらんだ事業と捉えております。費用が先行する事業になります。

その他の事業でございますが、障がい者の就労移行支援事業、それから環境のコンサルティング事
業ということで、アストコ、ブライトイノベーションがあります。この事業は財務的なインパクト
はそれほど大きくありません。しかし非財務的なインパクトは、グループの中でも大変大きいもの
と思っています。障がい者の就労移行に携わる社員の皆さんの立ち居振る舞い等々が、グループ全
体の社員の皆さんに対して、すごくいい影響を与えています。仕事に対するこだわり、強い思い、
そんなものを経営計画発表会等を通じて私たちが感じることができるので、グループの中に一種の
優しさとでもいいましょうか、柔らかさみたいなものをもたらす、そんな事業体です。私はこのア
ストコがわれわれのグループにあることを大変誇りに思っています。

またブライトイノベーションも売上、利益等、それほどのインパクトはないのですが、大手の会社
を中心にコンサルティングをやっています。その部分でエンビプログループは、いわゆる具体的な
解決策を提供できるということもあって、大手の会社との関係性を今後、生かしていくことができ
れば。コンサルティングとはもちろん独立しないと利益相反になるのですが、お客様の要望があっ
て、いろんな具体的な提案を求められたときに、具体的な提案をこちらからできる。われわれのグ
ループ以外にもいろんな仲間がいっぱいいますので、そういうものをアレンジして提供できる意味
では、非常に大きな存在だと思います。この二つはそういう意味では、わがグループになくてはな
らない存在だと考えております。
続きまして、2021 年 6 月期のハイライトです。経常利益が 25 億 800 万円で、経常利益率が 6%で
した。もう何をおいても平均価格 3 万 6,054 円、期末には 5 万 1,500 円、期初が 2 万 4,500 円です
から、この鉄の価格の上昇、それから、その他の金属を含めて、平均価格を上回ったことが今回の
財務の結果をもたらしたと言えると思います。

特筆すべきことでございますが、特別損失を 8 億 3,400 万円計上いたしました。その分、政策保有
株式の売却によりまして、特別利益 4 億 2,700 万円を計上していますので、都合 4 億円ちょっとの
特別損失が今回発生している。リチウムイオン電池リサイクル事業の減損損失を含め、グローバル
トレーディング事業の貸倒引当金、それから事業の再編損、これらを計上したことも特筆すべきこ
とだと思います。

それからリチウムイオン電池の事業につきましては、電池メーカーとの取引もスタートいたしまし
た。集荷・生産・分析・販売、それらの体制が整備をしつつありますが、経常損失 8,000 万円を計
上しております。
続いて具体的な数字ですが、ここは重複しますので、ROE が 5.3%から 12.1%になったことはお知
らせ申し上げたいと思います。
それからウォーターフォールですが、ここはもう先ほど来からの説明がありますので簡単にします
が。売買差益が 14 億 3,600 万円増えたこと、それから持分法も含めて利益が出ています。それか
ら、やっぱりコロナにおきまして、いろんな出張等も減らしていますので、経費等を減らす中で、
固定費を削減したことも大きく寄与していると思います。
続いて、セグメント別でございます。先ほど来から説明申し上げていますけれども、資源循環事業
におきましては経常利益率が 14.6%、それからグローバルトレーディング事業では 2.3%というこ
とで。重複しますけれども、事業再編損等を計上したことが特筆すべきことかなと思います。

ここで 3WM のウガンダからの撤退、事業の再編をしたのでございますが、この事業の撤退は非常
に難しいものがあります。従業員の皆さんのモラルが低下するとか、そういうことがあるので、大
変慎重に時間をかけて行いました。結果として、車の整備事業はそこの工場長だった人、社員が
22 名ほどいるのですが、工場長に事業を譲渡いたしまして、いっぺんに支払えないので、2 年ぐ
らいかけて、頭金をもらいながら支払ってもらう、分割して支払ってもらう形で、従業員もそこで
辞めずに雇用をしていただくことになりました。

また車の販売部門におきましては、4 人の有能な営業マンがいまして。そこも新しい会社をつくっ
て、今後の 3WM との付き合いも含めて、残務整理も含めて、その会社でやってもらうと。約 1
名、経理の女性の方がまだ就職先が決まっていないということで。これも速やかに就職先をウガン
ダの責任者が日系の企業ですとか、NPO ですとか、いろんなところを回って就職先を斡旋して。
今回、従業員の皆さんが就職先を確保しながら撤退できたことは、私自身も誇りに思いたいと思っ
ております。




それからリチウムイオン電池リサイクル事業。これは 8,000 万円の損失ですが、減損損失を第 3 四
半期に行いましたので、その減価償却もありまして、第 4 四半期には黒字化をしております。従い
まして、赤字幅が減少していることは申し上げたいと思います。

その他の事業におきましては、売上 3 億 5,400 万円に対して経常利益が 8,400 万円で、23.4%の経
常利益率であります。詳細については、先ほど説明申し上げました。
これは四半期ごとでございます。一目瞭然ですが、資源循環事業、グローバルトレーディング事業
におきましては、昨年の第 4 四半期に大きく業績が落ち込みましたが、それから徐々に第 1、第
2、第 3、第 4 ということで、特にこの資源循環は堅調に回復を遂げております。

リチウムイオン電池リサイクル事業におきましては、第 4 四半期に 2,400 万円の経常利益を上げて
おります。その他の部門は、四半期ごとの変化はそれほど大きくありません。
ここの貸借対照表につきましては、自己資本比率が 45%から 48.8%に改善したことだけ申し上げ
ます。
キャッシュ・フローにつきましては、コロナ対策として長期の借入をしました。それを 40 億円ほ
ど返しております。その分、短期が増えておりますので、最終的に期末の現金残高が 71 億円に減
っておりますということがここで分かると思います。
それでは 2022 年 6 月期の見通しを申し上げます。

売上が 540 億円、経常利益が 28 億 5,000 万円で、この場合は経常利益率が 5.2%になります。鉄
スクラップを 5 万円、電気銅、金、銀、ニッケル、コバルト、為替はご覧のとおりであります。

実は足元に、この鉄スクラップ、東京製鐵の特級建値、田原工場を基準にしていますが、今は既に
4 万 8,500 円であります。従いまして前提を割っているのですが、私どもの扱いの中で、いわゆる
特級というのが下級品種、特級以下ですね。新断、シュレッダー、HS、これを上級スクラップと
呼んでおりますけども、その扱いの割合が 6 割ぐらいあります。併せて、昨年までは、いわゆる特
級、特級は H2 と呼んでますが、H2 と HS、新断、シュレッダーの価格差が 3,000 円から 5,000 円
ありました。今はその差が 1 万円から 1 万 5,000 円あるということで。6 割ほどの上級スクラップ
を扱っていますので、ここら辺の、あと 5,000 円とか 1 万円下がれば別ですけれども、このくらい
の誤差は十分予算の中に入っていると言えると思います。

TOPICS につきましては、ご覧のとおりであります。
これが詳細でありますが、ここも ROE が昨年度 12.1%ですが、今年度が 14.2%を目標にしていき
ます。
このウォーターフォールですが。昨年ほど売買差益は増えませんが、7 億 7,300 万円ほど増える
と。それから人員の増加、待遇改善をわれわれの業界はまだまだ待遇的に改善の余地があると思い
ます。この際、人員も増やすのですが、1 人当たりの待遇を改善していくことで、そのインパクト
として 3 億円ほどあります。そして、28 億 5,000 万円になるということです。
それから、セグメント別ですけれども。連結で 5.2%、それから資源循環で 13.5%、それからグロ
ーバルで 1.8%と少し利益率は下がりますが、一定の利益をきちっと確保しながらやっていく。

それから、リチウムイオン電池リサイクルに関しましては 300 万円とありますが、今までずっと
赤字で来ましたけど、まず黒字化しようということです。ただ、まだ黒字そのものを求めるより
も、扱い数量を多くすること、それから生産性を高めること、それから新たな設備もございます。
そんなことを含めて、もっともっと財務的な数字以外の部分で、いろんな投資をしていくことを先
行しますので。ただし、まずは黒字化することを目指していきたいと思います。
配当の方針でございます。前期、2021 年 6 月期の予想として 25 円。私どもは 20%から 30%とい
うことで、前々期、2020 年 6 月期は 30%にしても 10 円に満ちませんでした。従いまして、その
場合でも 10 円の安定配当をしますということで、10 円を配当させていただきましたが。2021 年
6 月期は 25 円、そして進行期、2022 年 6 月期は 33 円の配当を計画しております。
続きましてサステナビリティ戦略、中期経営計画。今回、初めて発表させていただきますが、中期
経営計画についてご説明申し上げます。

持続可能社会実現の一翼を担うためのマテリアリティの特定でございます。この「持続可能社会実
現の一翼を担う」というのが、私どものミッションでございますが、そのために何が重要か、マテ
リアリティは重要度ということでございますが、それを特定していきます。

まず長期のトレンドとして GX、グリーントランスフォーメーション、もう一つが DX、デジタル
トランスフォーメーション。DX は私が説明するまでもないと思います。GX、グリーントランスフ
ォーメーションは昨今、この言葉が出始めています。まだ耳慣れない部分があると思いますが、い
わゆる脱炭素、あるいはカーボンニュートラルに向けた大きな変革のうねり、そう捉えていただけ
ればと思います。

この GX、DX の二大潮流が、まずベースにあって、そして中期、短期のトレンドとして、カーボ
ンニュートラルの進展、それからサーキュラーエコノミーの進展、米中貿易摩擦、そしてポストコ
ロナ、プラスチック資源循環促進法、さらには就労人口の減少、これらが中期のトレンドだと捉え
ております。
それらの動きの中から、マテリアリティを特定するわけでありますが。まず、サプライチェーンに
おけるグリーンマテリアルの需要増加ということで。1 番目に、電炉増設による鉄スクラップの需
要増加、それから 2 番目に電化による非鉄金属・レアメタルの増加、3 番目が廃プラスチックの高
度な資源循環促進が挙げられると思います。

加えて、経営活動の全てのプロセスで GX、DX の推進、そして就労形態の多様性推進と省人化、
無人化の促進、これらが私どもを取り巻く重要な事項と踏まえて、今後の戦略に反映していきたい
と思います。




続きまして、この脱酸素炭素社会では、鉄スクラップ(グリーンマテリアル)の需要の拡大が見込
まれるというご説明でございます。左上のグラフでございますが、左側の薄い緑が 2015 年の粗鋼
生産、16 億 2,000 万トン。これは 2050 年には 26 億 8,000 万トンになるということで、これは日
本鉄鋼連盟さんの資料を拝借しております。

そして、その中で鉄スクラップ 5 億 6,000 万トンが 2015 年。2050 年には 15 億 5,000 万トンとい
うことで、使用量が約 3 倍になります。また、粗鋼生産の中での鉄スクラップの利用量が 2015 年
は 35%ですが、2050 年には 58%ということで、全体の粗鋼生産の割合の中で、鉄スクラップの使
用の比率が、量も含め比率も高まるということが、この表を見てお分かりいただけると思います。

いわゆる電炉でつくった鉄鋼製品は CO2 の排出量が 4 分の 1 だと言われております。従いまし
て、これから電炉が増えるという方向性の中にありますが。この電炉を、再生可能エネルギーを使
ってやれば、いわゆるゼロカーボンスチール、カーボンニュートラルが実現するということで。こ
のような動きがいわゆる GX という、グリーントランスフォーメーション、この大きな流れがこれ
らの動きを促進すると思います。

また、既に高炉メーカーからの発表がされておりますけれども、大型の電炉設備が増設される予定
です。併せて、高炉メーカーの中の転炉でのスクラップの混合率も上昇していく。これは国内に限
らず、海外の高炉メーカー、とりわけ中国は高炉が多いわけですけれども、それが電炉を新設する
等々で、国内外でこの鉄スクラップ、とりわけ、いわゆる高級品種と言われる HS、それから新
断、シュレッダー、こういうものの需要が非常に高まっていくことが予想されます。
それから非鉄金属・レアメタルの需要増加ということで。ここも同じように脱炭素化の加速は地上
資源、都市鉱山と言われていますけれども、それからの非鉄金属・レアメタルの 2 次原料、ここで
もグリーンマテリアルという言葉を使わせてもらいますが、その需要を一層拡大させます。

これは IEA の資料を拝借してここに載せています。下の産出量、運営中と構築中とありますけれど
も、それぞれの見方によって少し違いますけれども、銅の場合は 2026 年、2024 年からとも読め
ますけれども、需給ギャップが出てくる。それからコバルトにおきましては、もう既に需給ギャッ
プが出つつあると。

私、手元にニッケルについての表もありますが、ニッケルも同じように 2028 年頃から、需給のア
ンバランスが起きるということで。価格がいつも高値で移動していく、高値のまま動いていくこと
が予想されます。

ただし、私たちは今までもそうだったと思いますが、こういう極端な状況の中では、必ずバランス
させるわけですね。レアメタルを使わない電池を作るとか、あるいはコバルトを減らして、ニッケ
ルは増えるけどもコバルトを減らすとか、あるいはリン酸鉄の電池をつくるとか。一方ではそうい
うバランスさせる動きがありますので、一方づいてこのような動きが起こるということはないと思
いますが、こういう動きがトレンドとしてはあると承知しております。
同じくプラスチックについても言えるわけでありまして。脱炭素化の流れはプラスチックのライフ
サイクル全般でのサーキュラーエコノミーへの移行を加速させると思います。より高度なリサイク
ル、私は個人的にはケミカルリサイクルが、よりその広範なプラスチック、汚れているものですと
か特定しないで。ポリオレフィン系で特定すると量が伴いませんので、ケミカルリサイクルは量が
多くないとペイしないということもありますので。そういう、対象物が広いと、大きいということ
が、このケミカルリサイクルをより促進されると思っていますが。それ以外も含めての動きが起こ
っていくと思います。

とりわけ製品をつくって、いわゆる商品を販売しているメーカーがあります。そういうところが
今、プラスチックをマテリアル的に使おうという動きがあります。今まで私たちがリサイクルをし
てペレットを作って、さあどこへ売りましょうといったときの、その出口が伴わなかったのです
が。今の世の中の動きとしては出口の人ですね、もともと物を作っている人たち、バージンから作
った、普通の原料から作って販売している人たちが再生原料を使うと、そんな動きがありますの
で、このリサイクルはより多く促進すると。
既にヨーロッパでは再生樹脂の比率、使用の義務、あるパーセンテージを決めて義務づけしている
ことがあって、いわゆるバージン材よりも再生原料のほうが高いと、量が少ないですからね。そん
なような逆転現象も起こるということで。

いろんな意味で、このプラスチックのリサイクルが一気に促進すると。また、促進させなければな
らない喫緊の課題でもあります。




それらのことを企業理念、ミッションを中心に行いたいと思っています。私どもが最も大切とする
考え方として「創業企業」「循環企業」「求道企業」という企業理念があります。ここを扇の要と
して、変わらないものの最たるもの、事業内容等々は大きく変わっていくのですが、これが例えば
100 年経っても 200 年経っても、会社がある以上業態が大きく変わっても変わらないものとして、
組織の DNA として強く堅持をしていきたいと思っています。

持続可能社会実現の一翼を担うというのは、2050 年までの 30 年間の時間限定のミッションと捉え
ております。私どもが現在ある事業の目的、志、存在意義と捉えていただいていいと思います。そ
れから戦略のコンセプトとしましては脱炭素社会、それから循環型社会、分散型社会実現に向けた
課題解決を事業機会としてチャレンジをしていく。
事業のコンセプトとしてはサーキュラーエコノミーの具体的事例の実現、そして、それを実現して
いく組織のイメージとしては創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団と位置づけておりま
す。




具体的には、低炭素プロセスによる地上資源由来の素材メーカーに変革ということで、地下資源か
ら素材をつくるメーカーは既にあるわけですが、私どもは廃棄物の処理、処分業というよりも、む
しろ製造業に変わっていくべきだと思っています。

とりわけ地上資源という使用済みのいろんな製品等々を含めて、きちっと加工して。その分、製造
業としてのレベルを上げなければならないと思いますが、その素材メーカーとして変革をしてい
く。隣に QCDC と書いてありますが、いわゆる製造業で QCD、クオリティ、コスト、デリバリー
という三つの要素がすごく重要だということは、皆さんご存じと思いますが。それに C、カーボン
ニュートラルを入れて QCDC という、低炭素プロセスによる生産によって、より低炭素な原材
料、燃料を供給すると、そんな業態に変わっていくと思っております。
私どもは 2018 年に RE100 宣言をしました。それから 2020 年には、2050 年に向けてのカーボン
ニュートラル宣言をしました。併せて RE100 を 20 年前倒しして、2030 年に実現するという宣言
をしております。

今、CO2 に関しましては、電力由来の発生が約 65%です。私どもは現在 RE が、いわゆる再生可能
エネルギー率が 95%を達成済みでございます。従いまして、CO2 におきましては 65%掛ける 95%
ということで、約 60%削減の見込み。これは年度が終わってみないと済みと言えませんので、現
在進行中ということで、削減の見込みということであります。この QCDC という新しいコンセプ
トで、私たちは新たな製造業を目指していきます。




それから、エンビプロが目指す企業価値とはということでございます。まず、この三つの要素に分
かれます。経済的価値、環境的価値、社会的価値を高め、それを持続するためのガバナンスを強化
して社会から強く必要とされる会社になっていきます。

また、それらのことを実現するために、その目的に向かって、社員の皆さんが眉間にしわを寄せ
て、苦しげな顔をしてやっても、会社としては存在の意義がないと思います。そこで、社員の皆さ
んが生き生きと働く、良質なエネルギーに満ちた場作り、これが非常に重要だと思っております。
この三つについて説明申し上げます。経済的価値、環境的価値、社会的価値を高めるため、良い企
業文化をベースに競争優位な組織の個別機能を愚直に鍛え続けるということであります。

この図を説明させていただきたいと思います。いわゆる良い企業文化は自分以外の誰かの役に立ち
たい、そういうものを組織として持っている、それが良い企業文化と私は思います。それをベース
にして、まずは圧倒的な技術力、これがすごくこれから一層重要になると思います。その技術力を
背景にした組織としての営業力ですね、仕組みで動く営業力。個人の営業マンに頼らなくても、営
業力を発揮できるような、そんな仕組みで動く営業力。

それから、われわれの事業におきましては工場から発生するものですとか、あるいは使用済みのも
のにしても、こまめな回収力、これが非常に重要なんです。トラックを使ったり、いろんなものを
使ってですね。こういうことも実は地味なのですが、非常に重要です。これらの機能を一層高めて
いきます。

それから、それを工場に持ってきて、安全で効率的な生産ができる生産力。それから販売力。特に
グローバルトレーディング事業は国内外に、冒頭申し上げましたように、量をたくさん扱っている
ことによって高く売るという、そういう力を持っています。その販売力を、さらに扱い量を増やす
ことによって強化していきます。

それから一つ飛びますけれども、この物流力です。より必要とされる場所へということで。船、コ
ンテナ、当然トラック等々あるわけですが、とりわけ、グローバルトレーディング事業セグメント
の中の NEWSCON、3WM は自社でコンテナとか船を手配しております。

昨年度、コンテナで約 9,000 本を自社で手配しております。それから、船につきましては 180 船
ですね。大きい船から小さい船まで、韓国へ運ぶ船と、ベトナムへ運ぶ船は違うわけですけれど
も、それらを交ぜて約 180 船を手配しています。これは同業他社にはない能力の一つで、これは
物をたくさん扱うことによって、さらにまた物流力がついてくる。物流力がつけば、さらに物も扱
える。つまり運賃を安く交渉できますので、利益にも貢献できるということで、非常に重要な機能
だと思っています。

それらを含めた形で、事業においてのいろんな出会い、気づき、ひらめき、そういうものを通じ
て、個々人が、あるいは組織として発想力を持って、それを組み合わせた上での独自性と。この独
自性があって初めて持続的な利益が獲得できると思います。

つまり参入障壁であります。参入障壁を高くして、独自性を強くして参入障壁を高くする、こんな
動きをきちっと対応していく。そのことによって経済的価値、環境的価値、そして最終的に社会的
価値、長期的な利益、それが企業の価値を生み出していく、そういう捉え方をしております。
戦略実現の具体的なアクションでございますが、資源循環事業、既存事業の深化、それから新規事
業の探索、それらを繰り返しながら事業ポートフォリオの最適化を常に意識してやっていくという
ことです。その中で、今日は代表的なもので、資源循環事業におきましては落じん灰の回収自治体
の拡大ということで。今、数が大きく増えています。

それから自治体に限らず、焼却炉メーカーとの連携で、自治体に今度新しくつくる新炉、そこに提
案するような形で、この落じん灰、このストーカ炉から出るリドリングという、ごみを運ぶところ
の隙間から落ちる灰ということで、そこに貴金属が多いということを発見しまして、数年前から、
このことに力を入れています。ほとんどが埋め立てに行ったり、いい場合でもセメントの原料にな
って、その中のいわゆる貴金属は、いわば回収されないでいます。

一般的に論文等によりますと、焼却灰の 1 トン当たり 1 グラムぐらいの金があると。銀もあるわけ
ですけども。あるいはパラジウムとかプラチナもあるのですが。金が 1 グラムとして 400 万トン
の焼却灰としますと、約 4 トンの金がいわば埋め立てされたり、セメントになっている。

今、6,000 円で計算しても 240 億円です。1 年間ですから、大きな金額ですし、それが重なってい
く。ここは国家国益と言ってはちょっと大げさですが、非常にもったいないと。自分たちがこの事
業を進めることが社会的にも、ものすごく大きな意味があるということで。自治体の皆さんの理解
も大きく今、深まりつつあります。

それから全国を視野に入れた広域の片付け・解体事業の強化。これはリース会社とのタイアップを
含めて、既に持分法の会社では新しい会社もつくっていますが、エンビプロの子会社におきまして
も、新たなそんな動きができつつあります。

それから新工場の建設。これは 2 社ほど、今、新工場の建設を計画しています。それから大型シュ
レッダーの設置ということで。現在、エンビプログループでは 4 機、横型のシュレッダーを持って
います。エコネコルが 1,250 馬力、クロダリサイクルが 1,250 馬力、それから、しんえこが 1,500
馬力、アビヅが 1,500 馬力のシュレッダーを持っています。

これは、いろんな複合材を破砕選別するものですが、ここに書いてある大型シュレッダーは、いわ
ゆる下級くずですね。H2、3 以下のものを先ほど来の説明のように高品位化して、電炉または転炉
で使っていただく。下級スクラップと上級スクラップの差が大きくなっていますので、その意味が
あるということで。以前から私はこのことに注目していました。

また実は高炉メーカーが数年前、10 年近く前になると思いますが、大型シュレッダーを入れて、
こういう試みをしたことがあるんです。そのときは値差が、先ほど言ったように 3,000 円から
5,000 円だったのですが、今は大きく値差が開いていますので、この事業の余地があるということ
で推進していくことで、今、検討中であります。

それからプラスチック資源循環促進法への対応。これは先ほど申し上げました。M&A の推進。私
どもは過去、3 社、事業承継型、それから事業再生型、それから一般的な M&A を 3 社しておりま
す。この M&A の良さと、それから M&A の難しさ、そういうものをきちっと今、私どもは勉強を
させていただきました。

いわゆるポスト M&A の重要さですね。そういう意味では、いたずらに M&A をするということで
はなく、自社で新会社をつくっていく、そして新規事業を立ち上げていくことをメインにしなが
ら、M&A につきましても積極的に推進していく。その辺のノウハウ、M&A のときのノウハウ、そ
ういう人材も今、既にエンビプログループの中にはおります。

それから経営層をまだまだ厚くしなければならないのですが、M&A をした後の派遣する経営層も
併せて、人事部門で教育を積み重ねながら、それと同時に M&A していくと。そこが非常に重要だ
と思っています。
それからグローバルトレーディング事業ですが、既に輸出、輸入、三国間貿易をやっています。三
国間が今、少しずつですけれども、なかなかコロナで出張できないということで、もうちょっと加
速ができると思いますが、今、進みつつあります。

それから国内でのヤードは展開してきました。昨年も増やしてきました。あるいは広さを広げてき
ました。これも今期もやっていくわけですが、これからもやっていくのですが。海外の集荷ヤード
も、今まで車では販売拠点がありましたけれども、金属スクラップ資源部門で、海外で今、輸入元
があるのですが、そういう会社とのタイアップで、もう一段踏み込んで、海外での集荷ヤードを計
画したいと思います。

そこからさらに体験、関係性を深めて、そこに加工部門を持ってくような、そんな展開になればい
いなと思っています。

それからリチウムイオン電池リサイクル事業ですが、まず新規のブラックマス。昨年までブラック
サンドという言い方をしていたのですが、一般的にはどうもブラックマスという言い方をしている
人が多いので、そちらに従ってブラックマスということで、最近その言い方を変えています。

バッテリーを焼成して、破砕して回収したニッケル、コバルト等が入っている黒い粉です。このブ
ラックマスの新工場を計画していきます。

それから、何においても単独で進めるには財務的な問題、それから技術的な問題を含めて、アライ
アンスが前提の事業でありますので、これを構築していく。中期的にですね。ただ、今年度中ぐら
いに一定の目途をつけたいと思います。

それから湿式製錬プラントの設置、これも場所を数カ所、既に候補地が上がっていろいろ下見して
いるのですが、帯に短したすきに長しということで。これらも含めて、今年度中の早い時期に、ま
ず場所を決め、それからどんなプラントにするか、そこらを決めていきたいと思っています。

その他の事業についてはご覧いただいているとおりです。特にアストコにおいては、長野県は農業
県ということもありまして、農福連携が今、非常に進んでいます。農業者におきましても高齢化の
中で障がい者を雇用していただいて、先方からも非常に喜んでいただく。そんなことをこれから進
めていきます。

環境経営コンサルタンティング事業については、特にサーキュラーエコノミーです。いろんな具体
的なご相談をいただいていますので、そういうことをきちっと、いろんな形で貢献していくことを
進めていきたいと思います。
それを持続させるガバナンスです。私は先ほど来から企業理念を声高に申し上げていますけれど
も、この企業理念を組織の隅々まで、とことん浸透させる、これが私は最大のガバナンスだと思い
ます。それをベースにして、合理的な仕組みでガバナンスを強化していく、こういう姿勢が私は非
常に重要だと思っています。

そうは言いながらも、その仕組みが非常に合理的にできていますので、私どもでは社外取締役が 6
名、それから社内が 5 名の体制でおりますが、このような形で取締役会が、非常に独立性があるの
が特徴だと思います。

2 番目のコンプライアンスにつきましては、この四つの小委員会があります。環境安全推進委員
会、それから IT 化推進委員会、人事労務改革委員会、業務改革委員会、この四つがあるんですけ
ども、これらの委員会が非常に活発に今、動いています。

それを月に一度、エンビプロの取締役、執行役員、それから各グループ会社の社長に報告する会を
2 時間ほど設けてやっております。これらのことを愚直にやることが非常に重要かなと思います。
それからサステナビリティにつきましては、サステナビリティ委員会をつくりまして、中期計画、
今回発表させていただいているのですが、これの推進をしていく。定点観測をしていきながら実行
度を上げていくことをやっていきます。




ここが、私が最も今、これから力を入れたいところですが、この戦略を実現し、それから持続的に
成長するためには、社員一同が生き生きと働く良質なエネルギーに満ちた「場」がなければならな
い。これは先ほど来から再三申し上げています。ただし、その前提条件としてはエンビプログルー
プがやっている事業が、社会にものすごく役に立っているのだと、そういうことを社員の皆さんが
実感できないと、給料が高いとか、そういうことだけではやっぱり生き生きと働くことができない
ので、その社会貢献度を一層上げていくこと、これがまず前提条件です。

それから、必要条件としては再三出てきますが、企業理念のもと、自主性・創造性の風土が醸成さ
れている。やっぱり自主的、創造的な行動があって初めて多分生き生きすることで。人からいろい
ろと指図されて動くより、自ら動くほうがいいに決まっていますよね。
それから、ここが重要ですけど、待遇面で日本の企業全体の上位 30%になっていきたいなと思っ
ています。恐らくまだそこにはいっていなくて、40%か 45%か、そのぐらいのレベルにはいってい
るはずですが、早めにこの 30%の会社になる。

それから職場環境は非常に過酷なものがあります。これをきちっと改善していく。暑いとか、この
辺はなかなかちょっと難しいところが、屋外でやる仕事もありますので。従いまして改善しにくい
ものに関しましては、職場については ICT を使ったり、ロボットを使ったりして、省人化、無人
化、あるいは遠隔コントロール、こういうものを推進していく、これが必要条件だと思います。

何より、この十分条件でございますが、やはり仕事を通じて自分自身の成長を実感できる、これが
非常に重要だと思います。そして、このエンビプログループにいて成長して、よその会社に転職す
る、私はそれでもいいと思っています。逆もありますしね。ただし、そういう人たちが、このエン
ビプログループにいたいと思っていただくのは、やっぱり仕事の内容を含めて、グループ全体の雰
囲気をきちっと整えていく、それは私の責任だと思っています。

それから、会社の成長と社会への貢献度が同期していることを実感できる。一生懸命仕事をして会
社が大きくなる、利益を出す、それがそのまま社会への貢献と一直線でつながっているのだと。一
直線じゃなくても間接的につながっていくのだと、そういうことが実感できないと、特に若い人た
ちはそういう意識が高いので、そんなことが十分条件の一つだと思います。

それから、多様な人、また多様な働きが容認されて、各人が尊重されていることを実感できる、こ
れも非常に重要な条件だと思っています。

それら三つの戦略、ガバナンス、それから生き生きとした職場、それらを実現するには創発的能力
を備えた自律した個人の規律ある集団、ちょっと間延びした表現になっていますけど。創発的能
力、指示、命令を受けなくても、現場現場で、自分で考えて行動していく。それを創発的能力と呼
んでいますが、そういう人たちで自らを律している。自由に動くんですけれども、集団としては一
定の規律度を保っている。創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団、こういう集団をつく
れば、今、私が申し上げたことが実現できますし、今、申し上げたことを実現していきながら、こ
ういう集団を作っていく。行ったり来たりしながら、いい組織をつくり、良質なエネルギーに満ち
た場をつくっていくことが私自身の最も重要視したいものであります。
長々と申し上げましたが、中計、サステナビリティ戦略の数字上のことを申し上げます。これは
2026 年 6 月期ですから、今年 2021 年 7 月からスタートする、2022 年 6 月期も入れた 5 か年計画
でありますが、売上高が 700 億円、それから経常利益が 40 億円、ROE が 15.0%であります。

ここの下に書いてあるのは、今まで私が申し上げたことを 1 枚紙でまとめてありますので、私ども
の中期経営計画を 1 枚紙で見せてくださいと言ったときに、ここに書かれていると捉えていただい
てもいいと思います。
これが最後になりますが、ここは毎年使わせてもらっているのですけれども、既存事業の深化。そ
れから今回ありましたけど、撤退。スクラップ・アンド・ビルドですよね。そして新規事業の探
索。こういうものを組み合わせて、常に事業ポートフォリオを時代にちょっと先駆けて変えてい
く、最適化していく、こういうことを繰り返して、それで企業の価値を上げていきたいと思ってい
ます。

まず既存事業がオーガニックに成長させます。ただ、これは去年からずっと同じ曲線ですけれど
も、今年ぐらいから、まだもうちょっと様子を見てですが、この既存事業も先ほど来申し上げたよ
うに、グリーンマテリアルという観点から見ると、いろんな資源循環を含めて、資源系のものは成
長産業に一時、なるのではないかと思います。

もちろん高炉で、水素還元法等々、CO2 を出さないような正攻法が確立し、コスト的にも合うよう
になれば、また元に戻っていく可能性がありますので。それでも 5 年とか 10 年は成長していくの
ではないかと思いますので、この既存事業の線が、もうちょっと右肩上がりになるような気がしま
す。
それに加えて、リチウムイオン電池リサイクル事業ということで、ここはもう再三申し上げており
ます 10 年先、2030 年以降の戦略的、エンビプロを支える事業と捉えています。この事業も先ほど
から申し上げています、こまめな回収力ですとか、それから電解液を一定の形で放電させて蒸発さ
せてなくせば、あとは破砕選別という、今までずっと培ってきたものの力を活用できますので非常
に強みがあると思います。

併せて金銀滓、落じん灰の話もありましたけれども、バッテリーの中に基板が使われていますの
で、金銀滓も回収できます。ここはもともとの既存事業。

それから金銀滓の仕入、販売においては分析をずっと続けてきました。この分析力も、この事業に
ものすごく生きてきます。

それから湿式製錬については 8 年ほど前から、小さな実験機ですけれども、ミキサーセトラーとい
う、いわゆる湿式製錬の実験をずっと積み重ねてきましたので、ゼロではないと。ただ、やっぱり
こういう化学プラントは規模が変わると全面的に変わるので、まだまだ技術的には脆弱ですけれど
も、ゼロではない形で、人材も含めて育ちつつあります。

それから最近開示させてもらっていますけれども、日本原子力研究開発機構のベンチャー企業であ
るエマルションフローテクノロジーズという、エマルションフローという技術を使った湿式製錬技
術、これらも研究しています。ここはまだまだ時間がかかると思いますが、そういう一定の知見を
有しているということであります。

この事業においては、2030 年以降の、わがグループの柱にしていくということ。それから湿式製
錬プラス前駆体製造という、電極板を作る手前の段階ぐらいまでにチャレンジをしていくことによ
って、点ではなく面のリサイクルの役割を果たせますので、サーキュラーエコノミーの一つの大き
な事例になると思っています。

何においても、韓国・中国では既に湿式製錬設備は非常にたくさんあります。日本はまだ 1 基も動
いていません。それは、やっぱり 2030 年以降の事業に対して、ちょっと早過ぎるということで躊
躇している部分が多分あるのではないかと思います。私どもは、むしろ後発の事業者だと思ってい
ますので、本格的なマーケットがつくり上げられるのはまだ先のことですけれども、先駆けてリス
クを取って、これにチャレンジしていきたいと思っています。

それから廃プラのケミカルリサイクルは協業先と今、数年前から構築しつつあって、実験機で実験
をすることで好結果を得ております。これらのことは協業先と連携して、粛々と進めていきたい。
私どもの役割はそのプラントに対して、原料を集荷する役割になると思います。自分たちが中心に
なるというよりも、一定の役割を果たす事業として、このケミカルリサイクルをやっていきます。
それから航空機リサイクルにつきましては、航空機を中古で販売するというよりも、日本の使い古
された航空機がほとんどアメリカに行って解体をされています。そこで一部部品取りもしていると
いうことですが。少なくとも、それらのことを日本でやりたいということで。地方空港で今、興味
を持ち始めて手を挙げていただいている空港も出始めました。少し時間はかかると思いますが、こ
のリサイクルをし、部品を取るような、併せて地方空港の活性化につなげるような、それは非常に
社会的意義があるのではないかなということで、継続してやっていきたいと思います。

それから焼却灰の資源化は落じん灰等々、原料が増えますので、そこから出てくる廃棄物、灰です
よね。今は処分場に埋め立てたり、セメントに行ったりしていますけれども、これを自社で資源化
する。そうすることによって利益率も高まりますし、リサイクル率も高まると。これをやっていき
ます。

それから今は想像している新規事業、いくつかあります。まだ具体性はありません。やがては、あ
と 10 年すれば、全然今はもう想像もできない新規事業に出会うと思います。常にそういう形で新
規なものにリスクを取ってチャレンジをしていく。

一方では既存事業を深く掘り下げて、利益率をきちっと上げて、その利益を新規事業に使ってい
く、そんな振る舞いの中で事業を構築し、最適なポートフォリオを作り上げていきたいと思ってい
ます。

以上で説明は終わりますが、私どもの会社はそんな派手さがありません。私を見ていただければ分
かるようにですね。地道に、愚直に、正直に積み重ねていく、そんなことでお天道様が上から見
て、一生懸命頑張っているから応援してやろうと思えるような、そのくらいの気持ちで、このリサ
イクルの事業を私は自分の天職だと思っています。

私は 2 代目ですけども、幼い頃からそういう環境に育って、この事業を世の中に認めてもらい、よ
りこの事業を世の中のお役に立ちたいという思いが心底あります。ここはもう本当に声を大にし
て、なかなかこういうものは言いにくいことですけれども思っています。そんなことをきちっと積
み重ねて、より良い会社にし、より多くの社員の皆さんが生き生きと働き、そして、より社会に貢
献するような、そういう事業体を形成していきたいと思っております。

ぜひ、これからもそういうことにご理解いただく皆さんにおかれましては、応援をしていただきた
い。強くお願い申し上げまして、本日の決算説明を終わらせていただきます。長時間にわたり、ご
清聴いただき誠にありがとうございました。