5486 日立金 2021-10-26 15:00:00
当社製品における不適切な検査等に関する継続調査結果等について [pdf]
2021 年 10 月 26 日
各 位
会 社 名 日 立 金 属 株 式 会 社
代表者名 執行役会長 兼 執行役社長
西山 光秋
(コード番号 5486 東証第一部)
問合わせ先 コミュニケーション部長 坪内 泉
(TEL.03-6774-3077)
当社製品における不適切な検査等に関する継続調査結果等について
当社は、当社及び子会社において、検査成績書への不適切な数値の記載等(以下「本件不
適切行為」)が行われていた事実について、特別調査委員会による事実確認と原因究明等の
調査等を踏まえ、2021 年 1 月 28 日付け「当社製品における不適切な検査等に関する調査報
告及び再発防止策並びに役員の処分について」
(以下「2021 年 1 月 28 日プレスリリース」)
において、調査報告書(以下「本件調査報告書」)を公表いたしました。この本件調査報告
書の公表時点で引き続き進めることとしていた一部拠点における詳細調査(以下「本件継続
調査」)結果及び本件継続調査に関するお客様対応の状況、並びに本件調査報告書公表以降
の再発防止策の実施状況等について、以下のとおりご報告いたします。
1.本件継続調査結果及びお客様対応の状況等について
(1) 本件継続調査結果の概要
2021 年 1 月の本件調査報告書の公表時点で調査遅延のあった一部拠点(当社拠点
である安来工場及び桶川工場、並びに国内グループ会社である株式会社日立メタル
プレシジョン(以下「HMP」)等)について、今回の本件継続調査の結果、航空機・
エネルギー分野の特殊鋼製品(以下「航エネ製品」)等において、以下の不適切行為
等が確認されました。
・お客様と取り決めた仕様で定められた特性について、その検査結果を書き換えた事案
・お客様と取り決めた仕様と異なる方法や手順による検査を実施した事案
・製造条件(製造設備、外注先、製造工程、作業条件等)や検査条件(設備、手順等)
について、お客様に対し必要な事前申請をせず変更した事案
以上の不適切行為等の結果、お客様と取り決めた仕様を満たさない製品等がお客様
に納入されていたことが確認されました。
航エネ製品に係る本件不適切行為については、1980 年代以降実施されておりました。
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また、105 社のお客様に対し、約 380 鋼種の問題のあった製品が納入されていたことが
判明しております。なお、このように過去に問題が一部でも認められた鋼種についての
2020 年度の当社グループにおける売上は約 125 億円です。
本件継続調査で確認された不適切行為についても、2021 年 1 月 28 日プレスリリース
や本件調査報告書にて公表した原因の多くが当てはまるものと考えております。当社
は、「2.再発防止策の実施状況について」のとおり、本件継続調査も踏まえ、引き続
き、再発防止策の実施を進めてまいります。
(2) お客様対応の状況
これまでに、特別調査委員会による調査及びその後の本件継続調査により確認さ
れている問題のあった対象製品におけるお客様数は現時点で当社グループのお客様
数の 10.5%に相当する 1,952 社(なお、下記参考表のとおり、2021 年 1 月 28 日リリ
ース時点ではそれぞれ 9.4%・1,747 社)となりました。また、これら製品のお客様へ
の対応状況は、5 段階で分類・管理しており、A の段階まで対応が進んだお客様は
73.8%に相当する 1,440 社(なお、下記参考表のとおり、2021 年 1 月 28 日リリース
時点では対象製品におけるお客様はそれぞれ 57.4%・1,002 社)となりました。なお、
表中の括弧書きの中の数値は航エネ製品に係るお客様数(内数)となります。
お客様への対応状況
項目 計
A B C D E
会社数 1,952 1,440 201 265 0 46
(うち航エネ製品 (105) (18) (1) (86) (0) (0)
に係る会社数)
構成比 100% 73.8% 10.3% 13.6% 0.0% 2.4%
(注)
A:対象製品の性能確認が完了しているお客様
B:対象製品の性能確認が進行中であるが、当面は問題ないとの見解を得ているお客様
C:対象製品の納入実績があることをご連絡済みのお客様
D:対象製品の納入実績があることをご連絡前のお客様
E:事業撤退などの理由で、ご連絡ができないお客様
(参考)2021 年 1 月 28 日リリース時点のお客様対応の状況
お客様への対応状況
項目 計
A B C D E
会社数* 1,747 1,002 658 43 0 44
構成比 100% 57.4% 37.7% 2.5% 0.0% 2.5%
* 本件不適切行為のあった対象製品に係る会社数となっている製品が一部あることを除いて、本表につい
ても、誤記などを含む問題のあった対象製品に係る会社数となっております。
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これまでに確認されている問題のあった製品について、当社は、実際に当社が行っ
た検査方法とお客様と取り決めた検査方法との相関関係分析、お客様の立会いの下
での性能確認、あるいは当社にて保管している製品サンプルの再検査等の方法によ
り検証を進めており、現時点において性能上の不具合及び安全上の問題は確認され
ておりません。
(3) 当局対応の状況
当社は、本件不適切行為に関連して米国司法省に対し自主的な開示を行っており
ます。なお、当社子会社の Hitachi Metals North Carolina, Ltd.(以下「HMNC」)は、
2021 年 1 月 7 日付けで、HMNC が製造した磁性材料に関するサピーナ(同省に対す
る書類の提出等を求める正式な要請)を受領しておりますが、当社はサピーナに応じ
て必要な関係書類等を提出し、本件継続調査の状況等に関して同省に説明を行うな
ど、同省の調査に対し全面的に協力しております。
2.再発防止策の実施状況について
当社は、2021 年 1 月 28 日プレスリリースにて公表したとおり、本件不適切行為につき
まして、再発防止策を策定し着実に実施しております。
また、当社は、2021 年 4 月 1 日付けで、外部専門家 2 名及び当社最高品質責任者(以
下「CQO」)で構成される品質コンプライアンス委員会を取締役会の諮問機関として設
置いたしました。当該委員会は、設置以来 17 回開催され、当該委員会の下で、再発防
止策の実施及び効果の検証等を実施しております。現在の各再発防止策の進捗状況は、
以下のとおりです。
(1) 品質重視に向けた意識改革と行動の変革
① 品質コンプライアンスに関する社員の理解を高め、変革の実効性を確保するために、
経営幹部による品質コンプライアンスに関するメッセージ発信や品質に係るタウ
ンホールミーティングを継続的に実施しております。併せて、2021 年度から、管理
職の人事評価において「インテグリティ(誠実さ、正直さ)」を評価項目に加える
等の取組みも行っております。
② 品質保証に関する判断・行動の基準を明確にし、品質保証に関する問題が発見され
た場合等の報告における透明性を高めるため、2020 年 12 月に品質保証関連規則を
再整備し、運用しております。
③ 「品質コンプライアンスの日(4 月 27 日)」及び「品質コンプライアンス強化月間
(4 月)」を定め、教育の実施や職場内対話の場の設定等により、全社員の品質コ
ンプライアンス意識の向上を図っております。さらに、実効性ある社員教育を計画
的・継続的に実施するために、研修・教育に関する情報を一元化する仕組みの構築
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を推進しております。
④ 当社は、品質コンプライアンス違反が確認された場合に厳正な処分を行う仕組みを
整備し、運用しております。また、品質コンプライアンス違反について厳正な姿勢
で臨むことを、教育機会等を通じて社員に周知しております。
(2) 品質保証体制の抜本的な改善と基盤強化
2020 年 6 月に CQO を新設し、CQO 及び品質保証本部長は品質に関するリスクを
認識した際に製品の出荷の中止を命じる権限及び責任があることを社内規則におい
て明確化するとともに、品質保証部門の人員を増員するなど、品質保証体制の強化を
推進しております。そして、2021 年 4 月 1 日付けで国内外のグループ会社の品質保
証部門を当該会社の社長直属組織とするとともに、国内のグループ会社の品質保証
部門長を当社品質保証本部へ兼務出向とすることで、品質保証部門の独立性を強化
いたしました。また、品質保証部門及びその他の部門について事業部門間での人事ロ
ーテーションを計画的に実施しております。加えて、2020 年 12 月に全社 SQ(Safety
& Quality)会議を新設し、毎月、関連する当社執行役、事業所長・工場長及びグルー
プ会社社長等が安全衛生及び品質管理に対する方針並びに重要課題を共有し取り組
む体制を構築しました。
(3) 品質管理プロセスの改善
① 全社品質活動理念の制定及び営業規則の改訂を実施し、これらを品質管理プロセス
に関連する明確な全社細則、お客様との仕様取決めのガイドラインとするとともに、
これらを社内で周知徹底することで、新規受注時の決定プロセスの強化を進めてお
ります。
② 各拠点において、安定して量産可能な工程能力、生産能力を継続的に確認、改善し
ていく体制の構築を進めております。また、工程を改善するための取り組みも進め
ております。
③ 本件調査報告書では検査結果の書き換えが可能なシステム等の存在が確認されて
おりましたが、現在、それらについては書き換え不可能なシステムに変更いたしま
した。また、2024 年頃までに、総計約 100 億円を投じて、検査データの適切な生
成・管理を自動的に行うことができるシステムを構築する予定です。2021 年度は約
30 億円を投じ、各拠点に順次導入を開始しております。
(4) 品質コンプライアンスに関するモニタリングの強化
2021 年度中に品質保証本部による内部監査(整合性監査)の見直しを進めるとと
もに、今後、見直しをふまえた改善策を実施する方針です。また、監査室による品質
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保証本部に対する監査を実施しております。さらに、監査委員会及び取締役会による
モニタリングも強化しております。
(5) 本件継続調査に基づく再発防止策
本件継続調査で確認された不適切行為及びその原因等を踏まえ、追加的な施策と
して、より風通しの良い企業風土を構築し、情報共有を活発化させるとともに、航エ
ネ製品についての教育や施策の改善等の再発防止策を追加的に策定しております。
3.業績への影響等
本件に関連する費用は現時点で見積もることができる項目について、2022 年 3 月期
の当社グループ連結業績予想に織り込んでおります。なお、2021 年 10 月 26 日付け
「2022 年3月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」において公表した 2022 年
3 月期連結業績予想を見直す必要が生じた場合は、適時公表いたします。
以 上
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