5471 大同特鋼 2021-11-30 17:00:00
日本精線株式会社株式(証券コード:5659)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ [pdf]

                                                         2021 年 11 月 30 日
各    位

                                     会 社 名   大 同 特 殊 鋼 株 式 会 社
                                     代表者名     代表取締役社長       石黒     武
                                             (コード番号 5471 東、名証第 1 部)
                                     問合せ先         総務部長      鈴木 英男
                                     (TEL.052-963-7501)



             日本精線株式会社株式(証券コード:5659)に対する
                 公開買付けの開始に関するお知らせ


 大同特殊鋼株式会社(以下「公開買付者」といいます。    )は、本日開催の取締役会において、日本精線株
式会社(証券コード:5659、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。  )市場第一部
上場、以下「対象者」といいます。    )の普通株式(以下「対象者株式」といいます。
                                         )を金融商品取引法(昭
和 23 年法律第 25 号。その後の改正を含みます。以下「法」といいます。
                                     )による公開買付け(以下「本公
開買付け」といいます。    )により取得することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。


                                記


1.買付け等の目的等

(1)本公開買付けの概要
  公開買付者は、本日現在、対象者株式 2,620,784 株(所有割合(注1)  :42.73%)を所有する筆頭株主
 であるとともに、公開買付者の完全子会社である大同興業株式会社(以下「大同興業」といいます。               )を
 通じた間接所有分 10,656 株(所有割合:0.17%)と合算して、合計 2,631,440 株(所有割合:42.91%)
 を所有し、実質支配力基準に基づき、対象者を連結子会社としております。今般、公開買付者は、本日開
 催の取締役会において、形式支配力基準に基づき、対象者を連結子会社とするために、公開買付者が所有
 する対象者における議決権を、大同興業を通じた間接所有分を含めて過半数まで引き上げることを目的と
 して本公開買付けを実施することを決議いたしました。

    (注1)
       「所有割合」とは、対象者が 2021 年 11 月 10 日に提出した第 92 期第2四半期報告書(以下「対
       象者第2四半期報告書」といいます。     )に記載された 2021 年9月 30 日現在の対象者の発行済株
       式総数(6,492,293 株)から、対象者が 2021 年 10 月 27 日に公表した「2022 年3月期 第2四
       半期決算短信〔日本基準〕     (連結)
                           」に記載された 2021 年9月 30 日現在の対象者が所有する自
       己株式数(359,134 株)を控除した株式数(6,133,159 株、以下「本基準株式数」といいます。       )
       に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載にお
       いて同じとします。

  本公開買付けは、下記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、
 並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思
 決定の過程」に記載のとおり、2022 年4月に予定されている東京証券取引所の市場再編に伴い、東京証
 券取引所の新市場区分においてプライム市場の上場維持基準として独立社外取締役の選任割合を過半数と

                                 1
することが求められる見込みであるところ、対象者がプライム市場を選択するためには、当該要件を満た
す必要があることを踏まえ、公開買付者からの役員派遣の有無にかかわらず、対象者を公開買付者の連結
子会社として維持するために、公開買付者が所有する対象者における議決権を、大同興業を通じた間接所
有分を含めて過半数まで引き上げることを目的としております。そのため、買付予定数の下限については、
本基準株式数(6,133,159 株)の 50.10%に相当する株式数の1単元(100 株)未満に係る数を切り上げ
た株式数(3,072,800 株)から、本日現在において、公開買付者が所有する対象者株式の数(2,620,784
株)及び大同興業が所有する対象者株式の数(10,656 株)を控除した株式数の1単元(100 株)未満に係
る数を切り上げた株式数である 441,400 株(所有割合:7.20%)と設定しており、本公開買付けに応募さ
れた株券等(以下「応募株券等」といいます。         )の数の合計が買付予定数の下限(441,400 株)に満たな
い場合は、応募株券等の全部の買付け等を行いません。他方で、本公開買付けにおいて公開買付者が所有
する対象者における議決権を、大同興業を通じた間接所有分を含めて過半数まで引き上げることを目的と
しているところ、将来において対象者が所有する自己株式数が減少した場合には公開買付者の所有割合が
過半数未満となる可能性も想定されることから、当該可能性を低減させるため、買付予定数の上限につい
ては、本基準株式数(6,133,159 株)の 51.00%に相当する株式数の1単元(100 株)未満に係る数を切
り上げた株式数(3,128,000 株)から、本日現在、公開買付者が所有する対象者株式の数(2,620,784 株)
及び大同興業が所有する対象者株式の数(10,656 株)を控除した株式数の1単元(100 株)未満に係る数
を切り上げた株式数(496,600 株)と設定しており、応募株券等の数の合計が買付予定数の上限
(496,600 株)を超える場合は、その超える部分の全部又は一部の買付け等を行わないものとし、法第 27
条の 13 第5項及び発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省
令第 38 号。その後の改正を含みます。     )第 32 条に規定するあん分比例の方式により、株券等の買付け等
に係る受渡しその他の決済を行います。すなわち、本公開買付けにより買付予定数の買付け等を行った後
に公開買付者が所有することになる対象者株式は、大同興業を通じた間接所有分を含めて最大で
3,128,040 株(所有割合:51.00%)となります。なお、本公開買付け後において、対象者が所有する自
己株式数の減少によって公開買付者の所有割合が大同興業を通じた間接所有分を含めて過半数未満となる
場合には、公開買付者は、公開買付者の所有割合が大同興業を通じた間接所有分を含めて過半数以上を確
保する水準に至るまで、市場内外での買付け等を含めたあらゆる手法により、対象者株式を追加的に取得
することを予定しておりますが、現時点で決定している事項はありません。
  また、対象者が本日付で公表した「当社親会社である大同特殊鋼株式会社による当社株式に対する公開
買付けに関する意見表明のお知らせ」       (以下「対象者プレスリリース」といいます。  )によれば、対象者は、
本日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、             (ⅰ)本公
開買付けにより公開買付者との協業の継続による対象者の企業価値の向上が見込まれ、ガバナンスの強化
に資するとともに、     (ⅱ)本公開買付けにおける対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開
買付価格」といいます。     )については不合理なものではないと考えられるものの、本公開買付けには買付
予定数に上限が設定され、本公開買付け後も引き続き対象者株式の上場が維持されることから、対象者の
株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、中立の立場を取り、対象者の株主の皆様のご判
断に委ねる旨を決議したとのことです。
  当該対象者取締役会の決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「2.買付け等の概要」
の「 (5)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「        (本公開買付価格の公正性を担保する
ための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)              」の
「(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議
がない旨の意見」をご参照ください。

(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経
   営方針
 ① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
  公開買付者は、1916 年8月に特殊鋼等の製造及び販売を目的として設立された株式会社電気製鋼所
 を前身として、1921 年 11 月に設立された業を同じくする大同製鋼株式会社が、1922 年7月に株式会社
 電気製鋼所から熱田、福島両工場の現物出資を受けるかたちで継承し、商号を株式会社大同電気製鋼所
 に変更しました。さらに、1938 年6月に商号を大同製鋼株式会社に変更し、1950 年2月に企業再建整

                            2
備法により新大同製鋼株式会社として再発足しました。その後、1950 年9月に株式会社名古屋証券取
引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)に、1951 年6月には東京証券取引所及び株式会社大阪
証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。  )へ株式をそれぞれ上場し、1953 年3月には商号を
大同製鋼株式会社に変更しました。そして、1976 年9月に、日本特殊鋼株式会社及び特殊製鋼株式会
社との間で3社による合併を実施し、商号を現在の大同特殊鋼株式会社へと変更しました。また、2013
年7月に行われた東京証券取引所及び大阪証券取引所の現物市場統合により、本日現在においては、東
京証券取引所市場第一部及び名古屋証券取引所市場第一部に株式を上場しております。

  公開買付者グループ(公開買付者及び公開買付者の関係会社をいいます。以下同じとします。               )は、
本日現在、公開買付者、連結子会社 63 社及び持分法適用関連会社9社で構成され、①特殊鋼鋼材、②
機能材料・磁性材料、③自動車部品・産業機械部品、④エンジニアリング、⑤流通・サービスの5つの
セグメントに分かれ幅広い事業活動を行っており、特殊鋼をベースとした技術力を背景に、自動車産業
をはじめ、航空機、船舶、IT機器等様々な産業分野の発展を支えております。また、公開買付者グ
ループは、   「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」をグループ経営理念と定め、公
開買付者グループとして、素材又は素材に関する技術をもって素材が秘めている可能性を引き出し、新
たな価値を創造することで、人と社会の未知のニーズに応え、その発展に繋がるよう貢献し続けること
を目指しております。
  公開買付者は、2018 年6月6日付で 2021 年3月期末までを対象期間とする「2020 中期経営計画」
(以下「公開買付者 2020 中期経営計画」といいます。   )を公表し、当該期間中において『Beyond the
Special「機能性に優れた素材で、お客様の技術革新を支える」      』との経営基本方針、及び「ポートフォ
リオ改革」「事業基盤の強化」「事業の再構築」の3つの行動方針のもと、公開買付者 2020 中期経営
        、        、
計画の実現に向けて事業運営を進めてまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響
により、2021 年3月期の連結売上高は 4,127 億円となり 2020 年3月期の 4,904 億円から約 16%減少し
たことに加え、連結営業利益 101 億円、ROE(株主資本当期利益率)1.6%、配当性向 33%となった
ことから、公開買付者2020中期経営計画において定めた経営指標の目標である連結売上高5,800億円、
連結営業利益 470 億円、ROE(株主資本当期利益率)9%、配当性向 20~25%に対しても、配当性
向を除き、目標未達となりました。
  また、公開買付者は、公開買付者グループを取り巻く事業環境について、新型コロナウイルス感染症
のワクチン普及による世界経済の正常化により、公開買付者の主要需要先である自動車関連の受注は緩
やかに回復することが期待されるものの、新型コロナウイルスの変異株流行による感染再拡大、足元の
半導体不足による自動車メーカーの減産リスク、原材料価格の高騰や米中の通商問題に起因する景気後
退リスクなど、公開買付者の収益に影響を与える要因も複数あると認識しております。他方で、中長期
的な視点では、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが地球規模でのテーマとなっており、主要顧客
である自動車産業等においても、地球温暖化ガスの削減、自動車の電動化、及び自動車の内燃機関や航
空機のジェットエンジンの高効率化などのニーズに対応した製品開発が求められていると考えておりま
す。
  このような状況を踏まえ、公開買付者は、2021 年6月 25 日付で、公開買付者 2020 中期経営計画に基
づき実行した施策の効果発現と将来の環境変化に備えた事業活動を推進することを基本方針とした
2024 年3月期末までを対象期間とする「2023 中期経営計画(2022 年3月期~2024 年3月期)(以下  」
「公開買付者 2023 中期経営計画」といいます。   )を公表しており、   「成長分野のビジネス拡大(将来を
見据えた種まき)、  」「事業体質の強靭化(公開買付者 2020 中期経営計画の深化)、      」「海外展開拡大」及
び「ESG(注1)経営の推進」の4つの行動方針のもと、以下の事業運営に取り組んでおります。

 (注1)
    「ESG」とは、環境(Environment)
                          、社会(Social)及びガバナンス(Governance)の頭
    文字を取ったものです。

 (ⅰ)成長分野のビジネス拡大
   ・自動車業界におけるいわゆるCASE(注2)に代表される技術革新に対しては、高周速対
    応減速機用歯車などの特殊鋼鋼材分野で、これまでの高品質歯車用鋼の製造技術に関する知
    見に加え、特殊表面処理技術を組み合わせることによりさらに信頼性の高い製品を提供して
                             3
   いきます。また、駆動モータ用・補機(エンジン以外の周辺機器)モータ用・センサ用磁石
   分野では、公開買付者の研究・開発拠点である中津川先進磁性材料開発センターの最大活用
   により駆動モータ用特殊配向磁石に加え、センサ用及び補機用ボンド磁石で新たな需要を捕
   捉していきます。
  ・通信・情報分野で一層の成長が期待される半導体関連製品においては、当該製品に要求され
   る仕様に最適な製品を提供することで、お客様のニーズに確実に応えていきます。
  ・グリーンエネルギー分野においては、高清浄度鋼及び高耐食材料によって、高温・高圧水素
   環境下で耐え得る対水素脆化用鋼の開発、工業炉用水素バーナーの実用化、洋上風力におけ
   る増速機の開発を行い、そのニーズに確実に応えていきます。
   (注2)   「CASE」とは、Connected(コネクテッド) Autonomous(自動運転) Shared&
   Services(シェアリングとサービス) Electric(電動化)のそれぞれの頭文字から取った造
   語です。

(ⅱ)事業体質の強靭化
  ・営業においては、適正マージンの確保やポートフォリオ改革により高収益品の拡大をしてい
   きます。
  ・生産においては、公開買付者 2020 中期経営計画に基づき生産効率改善のために実行した知多
   工場の製鋼部門への設備投資をはじめ、今後も一時的な需要増加時に需要に合わせた増産を
   可能とするための設備投資を実行します。また、今後の自動車電動化に伴う内燃機関向け特
   殊鋼の需要減少への対応として工場間生産集約、生産性向上、歩留向上等の損益分岐点引き
   下げに寄与する諸施策を公開買付者 2023 中期経営計画より実行し、生産効率向上及びコスト
   削減を進めてまいります。
  ・生産体制についても、人員の最適配置・適正化、DX(デジタル・トランスフォーメーショ
   ン)推進による省工数・省人化を図り、労働生産性の向上を目指します。

(ⅲ)海外展開拡大
  ・東アジア市場を中心に海外での高機能ステンレス鋼、高合金及び、工具鋼の売上拡大を目指
   します。
  ・2021 年8月に米国で特殊鋼事業を展開する TimkenSteel Corporation(以下「TimkenSteel」
   といいます。   )の中国営業拠点である鉄姆肯鋼材(上海)有限公司の全持分を取得し、今後一
   層、TimkenSteel との協業関係をさらに進化させ、中国市場向けSBQ(Special Bar Quality)
   製品(注3)のさらなる拡販及び高合金や特殊ステンレス鋼の販売力強化に繋げてまいりま
   す。
  ・海外規格対応による欧米市場の開拓、2010 年 11 月に業務提携を開始し、2014 年7月に資本提
   携もしたインドで特殊鋼事業を展開する Sunflag Iron and Steel Co., Ltd.とのアライアンス
   の活用によるインドでの高機能ステンレス鋼、高合金及び工具鋼の販売強化に向けた取り組
   みを加速します。
   (注3)  「SBQ(Special Bar Quality)製品」とは、ベアリング、クランクシャフト及びギ
   アといった用途向けに設計された特殊鋼製品のことをいいます。

(ⅳ)ESG経営
  ・環境の面では、2050 年のカーボンニュートラル実現を目指し、         「Daido Carbon Neutral
   Challenge」を 2021 年4月に策定しましたが、その過程である 2030 年においては、既存省エ
   ネ技術の自社への全面展開、CO2 フリー電源への切り替えにより、CO2 排出量を 2013 年度対比
   で 50%に削減することを目指します。加えて、日本経済団体連合会と連携して脱炭素社会の
   構築に向けた「チャレンジ・ゼロ」のプロジェクト活動も推し進めることで、鉄鋼業界全体
   の CO2 削減にチャレンジしていきます。
  ・社会の面では、経済産業省及び東京証券取引所が選定する「健康経営銘柄」に 2020 年度初め
   て認定されました。引き続き健康経営やダイバーシティの推進など、これまでの取り組みを
   深化させ、従業員をはじめとした各ステークホルダーからの信頼性確保に努めていきます。
                             4
    ・ガバナンス面では、2021 年度において買収防衛策の非継続を決議しました。今後、経営の自
     己規律性をさらに高め、株主との対話強化を図っていきます。政策保有株式につきましては、
     公開買付者 2023 中期経営計画期間において政策保有株式の金額を純資産の 20%以下まで縮減
     し、資本効率の向上に努めていきます。また、グループ経営の強化、取締役会の体制見直し
     を図っていくことで、コーポレート・ガバナンス強化に繋げていきます。

 引き続きこれらを中心とした、公開買付者 2023 中期経営計画で掲げた行動方針を具体化する施策を
継続的に実行することで、公開買付者は、当該計画の最終年度である 2023 年度において、当該計画に
おいて定めた目標である営業利益 400 億円以上、自己資本利益率(ROE)8.0%、D/Eレシオ 0.50、
投資3年累計決裁ベース 850 億円、鋼材売上数量(単体)1,200 千t、配当性向 30%目安の実現を目指
しております。

  一方、対象者は、1951 年6月にステンレス鋼線の製造・販売を目的として、大阪府大阪市旭区森小
路に三信特殊線工業株式会社として設立し、1956 年 10 月に商号を現商号である日本精線株式会社に変
更したとのことです。1962 年5月には枚方工場が完成・操業を開始したとのことです。海外では、
1988 年5月にタイ国に THAI SEISEN CO.,LTD.を設立(現・連結子会社)  、2006 年5月に中国江蘇省に耐
素龍精密濾機(常熟)有限公司を設立(現・連結子会社)             、2008 年9月には韓国ソウル市に韓国ナスロ
ン株式会社を設立(現・連結子会社)する等、アジア中心に海外事業の拡大を図ってきたとのことです。
また、対象者は、1962 年3月に東京証券取引所及び大阪証券取引所市場第二部に株式を上場し、1996
年9月に東京証券取引所及び大阪証券取引所市場第一部に指定され、2013 年7月に行われた東京証券
取引所及び大阪証券取引所の現物市場統合により、現在に至るまで東京証券取引所市場第一部に上場し
ているとのことです。
  対象者及び対象者の連結子会社5社で構成される企業グループ(以下「対象者グループ」といいま
す。 )は、本日現在、各種車両、航空機をはじめ、OA機器や電気製品、医療機器から身近な日用品・
レジャー用品に至るまで、あらゆる産業分野で多面的に利用されるステンレス鋼線(注4)                          、対象者グ
ループが独自の技術で製造、販売しているステンレス鋼繊維の「ナスロン®(注5)、ナスロンなどを              」
用いて製造する高機能メタルフィルター、ミクロンオーダーのステンレス鋼短繊維を焼結した薄層のメ
タルメンブレンフィルター(NAScleanⓇ(注6)         )等の製造販売を主な事業内容としているとのことで
す。また、対象者グループは、公開買付者グループのステンレス鋼線事業における中核子会社として、
ステンレス鋼線をベースにナスロン(金属繊維)などの高付加価値製品、高合金ワイヤなどの独自製品
の供給を通じ、国内外のお客様に価値ある商品とサービスを提供しているとのことです。対象者グルー
プは、産業構造が環境・エネルギーのクリーン化、デジタル化へと進むに伴い、ステンレス分野におい
ても「より細かく、より強く、より精密な」方向が求められるなか、                『Micro & Fine Technology』をス
ローガンに掲げ、次世代素材、技術開発をリードし続けてきたステンレス鋼線メーカーと自負している
とのことです。創業以来に亘り培ってきた技術力と新しい分野への挑戦により、お客様にとって価値の
ある商品とサービスの提供を通じて社会の発展に貢献することを経営の理念としているとのことです。

 (注4)「ステンレス鋼線」とは、ステンレス鋼線材に対して二次加工を施し、表面性状、線幅、線
径、機械的特性などの精度の高い機能を付加し、それを保証したワイヤーの総称をいい、ばね・ねじ・
金網などに加工され、自動車、建材用途のほか、医療関連や積層セラミックコンデンサなどの回路を形
成するスクリーン印刷の材料といった最先端技術開発分野まで、幅広い最終製品の部材として採用され
ているとのことです。対象者の高機能・独自製品の代表例である極細線は、細径化ニーズに対応してき
た結果、現在 11μmという単線としてはステンレス鋼線の極限の細さを実現しており、スクリーン印
刷用途で用いられる極細線は、高精度・高細密が要求される太陽光発電パネルや電子部品の製造プロセ
スに欠かせない素材とのことです。また、ばね用材については、高強度や高耐熱、超非磁性などのお客
様のニーズに応じ、線ぐせや光沢などを調整したオーダーメイド製品を提供しているとのことです。

 (注5)「金属繊維(ナスロン®)」とは、対象者が独自の技術で開発したステンレス鋼繊維であり、
その線径は1~50 ミクロンと非常に細く柔軟性を有するとのことです。金属の性質を保持しながら有
機繊維と同様にニット状やフェルト状などへの加工が可能とのことです。このナスロン®を用いた高機
                                  5
能メタルフィルターは、より高強度、より高耐熱で耐食性も優れており、フィルムや樹脂、炭素繊維な
どの製造の濾過プロセスで利用されているとのことです。

 (注6)
    「NAScleanⓇ」とは、金属繊維(ナスロン®)をもとに製作した薄層のメタルメンブレンフィ
ルターであり、半導体・フラットパネルディスプレイ、太陽電池パネル等の生産過程に用いられるガス
の濾過に用いられ、半導体製造装置などに組み込まれているとのことです。社会のデジタル化に伴い
データ処理の高速化と機器の低発熱化・省電力化が必要となり、カーボンニュートラルに向けたより高
性能な半導体が必要となるに伴い、超精密ガスフィルター(NASclean®)に対する需要も高まっている
とのことです。

  対象者によれば、対象者を取り巻く事業環境について、対象者グループの主力製品であるステンレス
鋼線においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020 年度上半期の月平均販売数量が
2,513t と、2019 年度通期の月間平均販売数量の 3,256t から 22.8%落ち込んだものの、2020 年度下半
期に新型コロナウイルス感染症拡大によって落ち込んだ自動車関連、建材用途などの需要が回復したこ
とから、同期の月間平均販売数量は 3,268t まで回復したとのことです。さらに、2021 年度上半期では、
高強度ばね用材や、太陽光発電パネルや電子部品の製造プロセスで使用されるスクリーン印刷向け極細
線など、高機能・独自製品の販売が堅調に推移し、特に、太陽光パネル向けのスクリーン印刷用極細線
に対する細径化ニーズが高まったこともあり、同期の月間平均販売数量は 3,614t まで増加したとのこ
とです。また、2021 年の世界半導体市場は前年比 19.7%の成長率が予想(注7)されていることのほ
か、社会のデジタル化に伴うデータ処理の高速化と機器の低発熱化・省電力化や、カーボンニュートラ
ルに向けたより高性能な半導体に対する需要の高まりを背景として、半導体関連業界向け超精密ガス
フィルター(NASclean®)のニーズが高まっているとのことです。他方で、新型コロナウイルス変異株
の影響深刻化、長引く車載用半導体不足や東南アジアからの部品調達難による自動車減産リスク、資源
価格の高騰、電力不足などによる中国経済の変調など、引き続き世界経済の先行きに不透明感があるほ
か、半導体の需給環境は変動リスクがあることに加え、米中関係が半導体関連業界に影響するリスクも
認識せざるを得ない状況にあり、環境変化に対する迅速かつ柔軟な対応力が求められていると考えてい
るとのことです。

(注7)出典:一般社団法人電子情報技術産業協会「2021 年春季半導体市場予測について」

 対象者は、上記のような事業環境を踏まえ、2021 年4月 27 日付で「中期経営計画(NSR23)      (2021
年度~2023 年度)(以下「対象者中期経営計画」といいます。
           」                       )を公表し、
                                        「Micro&Fine Technology
を追求する中で、未来の高機能・独自製品を生み出しつづける事を通して社会に貢献し、ESG経営の
実践によってステンレス鋼線No.1カンパニーの地位を継続していく」を中期ビジョン、         「日本精線リ
ニューアル(NSR)継続推進と高機能・独自製品でサステナビリティ(持続可能性)に貢献」を中期
スローガンとして掲げ、以下の取り組みを実行しているとのことです。なお、対象者は、対象者中期経
営計画の最終年度である 2023 年度の目標として、売上高 420 億円、経常利益 42 億円を見込んでいると
のことです。

 (ⅰ)
   「中期経営計画(NSR20)   (2018 年度~2020 年度) 」の継続・推進
   ・東大阪工場の酸洗設備に関する第2期合理化計画を通じて、生産能力増強や作業安全性・環
    境負荷軽減を推進しているとのことです。
   ・さらなる細径化ニーズに応えるべく極細線及びばね用材の機能能力増強に取り組んでいると
    のことです。また、THAI SEISEN CO., LTD.の機能を強化し、対象者の製品のうち東南アジア
    などへの輸出分を THAI SEISEN CO., LTD.に生産移管することにより、ステンレス鋼線部門の
    対象者グループ内の最適な生産体制の構築を進めるとともに海外マーケット(中国・東南ア
    ジアなど)の取引深耕を図っているとのことです。
   ・金属繊維製造においては、老朽化設備の更新投資にあたり、自動化・省力化による生産性向
    上や高機能・独自製品の増産・機能向上を図るリフレッシュ投資を行っているとのことです。

                             6
   ・事業継続マネジメントのためのインフラ整備の面では、大地震等の自然災害、感染症のまん
    延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶といった突発的な経営環境
    の変化など不測の事態が発生した際に事業継続計画書が実効的に機能するように日頃からの
    安全在庫の管理・運用を徹底するとともに、復旧のボトルネックと必要な事前対策をリスト
    アップし、耐震補強・浸水対策や受配電設備等の整備、ITシステムの運用見直しを計画的
    に推進しているとのことです。

 (ⅱ)新商品開発と新市場開拓(サステナビリティ成長分野)
   ・超精密ガスフィルターについては、半導体製造プロセスにおいてEUV(極端紫外線)露光技
   術が採用されたことによって半導体チップの微細化がさらに進展しており、超精密ガスフィル
   ター(NASclean®)の性能を一層向上させた新商品を市場投入することで半導体製造装置の高性
   能化ニーズに応えるとのことです。
   ・環境、エネルギー、第5世代移動通信システム(5G)    (注8)などのサステナビリティ成長
   分野を新市場と捉え、極細線、高機能ばね用材や超精密ガスフィルター(NASclean®)などの対
   象者の高機能・独自製品を提供することで当該市場を開拓し、対象者の製品を通じてサステナ
   ブル社会に貢献していくとのことです。

  (注8)「第5世代移動通信システム(5G)
                      」とは、4Gに続く次世代の通信規格のことをいい
  ます。

 (ⅲ)水素を巡る新事業の探索
   ・触媒ワイヤによるMCH(注9)について、対象者では、独自に開発したクラッド線を脱水
   素の触媒として用いて、水素キャリアであるMCHから水素を回収することに取り組んでいる
   とのことです。
   ・貯蔵、回収技術においては、再生可能エネルギーを用いた小型プラント実証実験によって高
   濃度のグリーン水素を回収することに取り組み、将来の新事業開拓(燃料電池自動車の開発で
   展開が注目されている水素ステーションでの水素製造装置や家庭用燃料電池の水素精製プロセ
   ス、また半導体産業で使用される超高純度水素ガス精製分野向け等)を展望しているとのこと
   です。
  (注9)「MCH:Methylcyclohexane(メチルシクロヘキサン)
                                       」とは、水素を多く含むことがで
  きるトルエンなどの液体であり、安全な水素の運搬・貯蔵のための水素キャリアとして注目され
  ているとのことです。

 (ⅳ)コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの充実
   ・株主還元策の充実のため、連結配当性向を 2021 年3月期の 37%から 40%程度に引き上げるこ
   とを目標としているとのことです。
   ・東京証券取引所の市場再編への対応として、プライム市場上場会社に求められる 2021 年6月
   11 日に再改訂されたコーポレートガバナンス・コード(以下「改訂CGコード」といいます。
   の準拠を目標としているとのことです。
   ・コンプライアンス体制の充実においては、環境・安全・健康・品質・設備・情報管理等の
   様々なリスクに対する管理体制の充実を進めているとのことです。
   ・with/after コロナ禍におけるテレワーク定着と働き方改革推進においては、決裁承認ワーク
   フローの電子化、健康経営優良法人認定取得、人事・労務政策の見直しなどを行っているとの
   ことです。

 公開買付者と対象者は、対象者が公開買付者のステンレス鋼線材の主要販売先という取引関係にあり
ましたが、公開買付者は、公開買付者の子会社であって対象者と同じくステンレス鋼線事業を営む大同
ステンレス株式会社と対象者との協業・相互補完による競争力強化を図るため、2003 年 11 月に当時の
対象者の筆頭株主であった日本冶金工業株式会社から同社が所有する対象者株式のうち 9,250,000 株
(当時の対象者の発行済株式総数に対する割合(以下「株式保有比率」といい、小数点以下第三位を四
                         7
捨五入しております。以下、株式保有比率の記載において同じとします。:33.01%)を市場外で相対
                                            )
取引により譲り受けたことにより、対象者の主要株主である筆頭株主となり、対象者を公開買付者の持
分法適用関連会社としました。その後、2007 年 10 月1日付で対象者が公開買付者の子会社であった大
同ステンレス株式会社を吸収合併したことに伴い、公開買付者及び公開買付者の完全子会社である大同
興業は、当該吸収合併に伴い新株式として発行された対象者株式 3,853,920 株(株式保有比率:
11.87%)及び 53,280 株(株式保有比率:0.16%)をそれぞれ取得し、その結果、公開買付者が対象者
株式 13,103,920 株(株式保有比率:40.37%)を、大同興業が対象者株式 53,280 株(株式保有比率:
0.16%)(所有株式数の合計 13,157,200 株、株式保有比率の合計:40.53%)を所有することとなり、
対象者に対する公開買付者の議決権所有割合は、大同興業を通じた間接所有分を含めて 40.80%(小数
点以下第三位を四捨五入)となりました。また、当該吸収合併と同時に公開買付者の出身者(取締役)
5名が対象者の取締役に就任し、公開買付者の出身者を対象者取締役会の員数9名に対して過半数を占
めるようにすることにより、公開買付者は、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和
38 年大蔵省令第 59 号。その後の改正を含みます。     )第8条第4項第2号ロの支配力基準に基づき、対
象者を連結子会社といたしました。その後、対象者は、2017 年 10 月1日を効力発生日とする株式併合
(5株を1株の割合で併合)を行ったことにより、2021 年9月末時点において、公開買付者は、対象
者株式 2,620,784 株(所有割合:42.73%)を所有し、大同興業は、対象者株式 10,656 株(所有割合:
0.17%)を所有するに至っております。
  一方で、近時は親子上場をはじめとした上場会社におけるガバナンス体制の強化機運が高まっており、
経済産業省策定の 2019 年6月 28 日付「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」では、上
場子会社においては、      「取締役会における独立社外取締役の比率を高めること(3分の1以上や過半数
等)を目指すことが基本」と示されたことなども受けて、公開買付者は、2020 年 11 月上旬、対象者と
の関係について、グループ事業のシナジー最大化のみならず、親子上場が少数株主保護の観点からも投
資家の高い注目を集めていると認識した上で、あらゆるステークホルダーにとって最適なガバナンス体
制の構築を目指していくことが必要であると考えました。その上で、公開買付者は、対象者に対する最
適なガバナンスの在り方について、対象者株式に対する公開買付者の所有割合を含め、改めて慎重に検
討を行いました。
  上記のとおり、公開買付者と対象者は、原材料の主要供給元である公開買付者とステンレス鋼線・金
属繊維・ダイヤモンド工具及びその他ステンレス鋼線・二次製品の製造・販売を行う対象者という重要
な取引関係のもと、それぞれの事業活動を行っております。公開買付者は、上記取引関係を継続すると
ともに、公開買付者の技術を対象者の技術と組み合わせて高品質なステンレス製品の開発を行い、また、
素材開発・新商品開発等の共同研究開発や生産・物流体制の最適化に取り組むなど様々な方法で、ステ
ンレス鋼材事業における協業・相互補完を行ってきたと考えています。
  こうした中、半導体不足による自動車減産リスクや新型コロナウイルス感染症の感染再拡大などに起
因する先行き不透明な公開買付者及び対象者が属する市場の状況及び持続可能な社会の実現に向けた取
り組みの要請などの市場環境の変化に対応するために、公開買付者としては、2021 年3月上旬、対象
者を引き続き公開買付者グループの一員とした上で、今後拡大を図る機能製品・磁性材料セグメントに
おいてさらなる素材開発・新商品開発などの共同研究開発や二次加工グローバル・サプライチェーンの
拡充・効率化を含む生産・物流体制の最適化を図るとともに、国内外のマーケティングの連携のほか、
安全、品質・識別、環境等の改善活動、BCM/BCP体制構築(有事の際のグループ内での支援)             、
教育・監査等の管理系業務並びに情報システム開発等の支援・連携などにおいても、これまでと同様に
持続的なシナジーの発現を目指す必要があり、強固な資本関係に基づく緊密な提携・取引関係を維持す
ることが必須と考えました。他方で、公開買付者は、対象者が独立した企業として、親会社の枠組みに
とらわれない経営判断を行うとともに、対象者の主要仕入素材であるステンレス鋼線材において、用途
によって公開買付者の製品とは異なる強みを持つ他社素材の仕入れを柔軟に行うことなど対外的な取引
との関係でも独立性を保つことが重要と考えました。具体的には、仮に対象者が公開買付者の完全子会
社となる場合には、公開買付者と競合関係にある素材供給者に対し、公開買付者の完全子会社への素材
供給を要求することになるため、安定的な素材供給に支障が生じる可能性があると考えました。このよ
うに、対内的な意思決定及び対外的取引関係のいずれの観点からも、現時点では、対象者及び公開買付
者間の資本関係が完全親子会社又はそれに類する高い水準での緊密なものとなることは、必ずしも対象
者ひいては公開買付者グループ全体にとって最善の策ではないと考えました。
                           8
 このような検討を踏まえ、2021 年3月上旬、公開買付者は、取引先からの信用確保や人材確保のた
めの信用力及びブランド力の向上並びに従業員の士気向上の観点から対象者が上場を維持することには
相応に意義があり、また、上記のとおり持続的なシナジーを発現させるために緊密な提携・取引関係を
維持する観点から対象者が公開買付者の連結子会社であることにも相応の意義があると考えました。そ
のため、現時点の資本関係を維持しつつ対象者の機動的な意思決定や独立性を確保しながら対象者に対
する最適なガバナンス体制を構築し、公開買付者と対象者のシナジーの最大化を目指すことを考えまし
た。
 以上のような検討の結果、製品取引や人材採用面における信用力の確保、国内外の幅広い投資家から
の信用確保、従業員のガバナンス意識向上や企業価値向上への期待を踏まえ、公開買付者は、2021 年
5月上旬、対象者が 2022 年4月の東京証券取引所における市場区分変更後のプライム市場において上
場を維持することが望ましいとの考えに至りました。
 加えて、2021 年4月6日に「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話のガイドライ
ンの改訂について」と題する提言が公表され、当該提言を受けて改訂CGコード(補充原則4-8③)
において、「支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外
取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、又は支配株
主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む
独立性を有する者で構成された特別委員会を設置するべきである」と規定された一方、公開買付者の出
身者4名が対象者の取締役に就任しており、公開買付者の出身者が対象者取締役会の員数7名に対して
過半数を占めていたことを受けて、改訂CGコード(補充原則4-8③)にてプライム市場上場企業へ
要請される要件である(イ)独立社外取締役の過半数選任、又は(ロ)支配株主と少数株主との利益が
相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成
された特別委員会の設置、のいずれかを実施することが、対象者へのガバナンス体制の強化に繋がり、
ひいては対象者も含めた公開買付者グループの企業価値最大化及び対象者少数株主(対象者の株主のう
ち、公開買付者及び本公開買付けに関して公開買付者と重要な利害関係を共通にする大同興業を除いた
一般株主をいいます。以下同じとします。   )の保護の両立に資するとの判断に至りました。
 もっとも、上記(イ)又は(ロ)のいずれかを実施することにより、今後、対象者の役員構成が変動
し公開買付者からの派遣役員が減員となることも想定されるところ、公開買付者からの役員派遣の有無
にかかわらず、引き続き対象者を公開買付者の連結子会社として維持し、対象者の業績向上が公開買付
者の連結財務諸表に反映される状況を維持できるようにすることが、公開買付者と対象者の緊密な提
携・取引関係の維持につながり、両者の企業価値向上に資するため、公開買付者及び対象者のそれぞれ
にとって有益であり、そのためには、対象者株式に対する公開買付者による所有割合を、大同興業を通
じた間接所有分を含めて過半数に引き上げることが必要であると判断するに至りました。

  以上の検討を踏まえ、公開買付者は、2021 年5月上旬、対象者の独自の企業文化や経営の自主性を
維持することが、対象者の持続的な発展により企業価値を向上させていくために非常に重要であり、両
者の関係を強化するにあたっては、対象者の自主的な経営を尊重しつつ両者の連携を深めることができ
る、対象者の上場を維持した上での連結親子会社関係の維持が望ましいと判断いたしました。また、対
象者株式の具体的な取得方法として、まずは第三者割当増資の方法により公開買付者が所有する対象者
における議決権を大同興業を通じた間接所有分を含めて過半数まで引き上げることを検討いたしました
が、対象者の既存株主が所有する対象者株式の希薄化にも配慮するため、対象者による新株発行を伴う
第三者割当増資等ではなく、公開買付けの方法により対象者株式の追加取得を行うことが望ましいとの
判断に至りました。
  なお、上記「    (1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けの実施にあたっては、本公
開買付けにおいて公開買付者が所有する対象者における議決権を大同興業を通じた間接所有分を含めて
過半数まで引き上げることを目的としているところ、将来において対象者が所有する自己株式数が減少
した場合には公開買付者の所有割合が過半数未満となる可能性も想定されることから、当該可能性を低
減させるため、本公開買付けにより対象者株式を追加取得した後に公開買付者が所有することとなる対
象者株式の所有割合を大同興業を通じた間接所有分を含めて最大で 51.00%(追加取得後の所有株式数
3,128,040 株)と設定しております。当該所有割合の上限値については、対象者がプライム市場におい
て上場を維持するための上場維持基準である流通株式比率の 35%以上を満たす水準を踏まえた値であ
                        9
り、また、これまでの人材交流や事業上の取引を行ってきた両者の関係性を引き続き維持し、事業のシ
ナジー発現を図ることができる一方、対象者の強みを継続して活かすことができる値と考えております。
  そこで、公開買付者は、2021 年5月上旬、対象者に対して、本公開買付けの実施に向けた検討を依
頼する可能性がある旨の初期的な意向を伝えたところ、対象者において当該依頼がある場合は前向きに
検討する意向があることを確認できたため、それ以降、対象者との間でデュー・ディリジェンスの実施
方法や本公開買付けを実施する日程や体制整備に係る議論を行い、同年7月 28 日、対象者に対して、
公開買付者が公開買付けの方法により対象者株式を追加取得し、公開買付者による所有割合を大同興業
を通じた間接所有分を含めて 51%に引き上げることについての提案書を提出いたしました。当該提案
書の提出に先立ち、公開買付者においては、本公開買付けの実施に向けて本格的な検討を進めるため、
2021 年7月 27 日に公開買付者及び対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算
定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、2021 年7月8日にリーガ
ル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所をそれぞれ選任いたしました。
  また、対象者においては、公開買付者からの当該提案書の提出を受け、本公開買付けの公正性を担保
し、対象者の企業価値の向上及び対象者の少数株主の利益の確保を目的として、対象者の独立社外取締
役及び独立社外監査役によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員
会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「2.買付け等の概要」の「         (5)買付け等の価格
の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「    (本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反
を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)        」の「
                                           (ⅲ)対象者における独
立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。         )を 2021 年8月 19
日付で設置し、本特別委員会の承認を得て、同日付で、対象者及び公開買付者から独立したファイナン
シャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」
といいます。   )を、リーガル・アドバイザーとして弁護士法人御堂筋法律事務所(以下「御堂筋法律事
務所」といいます。     )を選任するとともに、本特別委員会において、対象者及び公開買付者から独立し
たリーガル・アドバイザーとして弁護士法人関西法律特許事務所(以下「関西法律特許事務所」といい
ます。  )を独自に選任し、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行うための体制を構築したとのこ
とです。そして、公開買付者は、2021 年8月中旬に、対象者より公開買付者からの提案を本格的に検
討する旨の返答を受け、2021 年8月下旬から 2021 年9月下旬にかけて対象者に対するデュー・ディリ
ジェンスを実施するとともに、2021 年9月上旬以降、対象者との間で本公開買付けの意義及び目的に
関して、協議及び説明を行ってまいりました。また、本公開買付価格については、本公開買付けの目的、
本公開買付けに対する応募の見通し、対象者株式の市場価格の動向及びみずほ証券による対象者株式の
株式価値の試算結果を総合的に考慮し、公開買付者は、2021 年 10 月 20 日に対象者に対して、対象者の
少数株主の皆様に対して市場価格よりも高い価格で売却機会を提供する観点から、本公開買付価格を本
公開買付けの開始を決定する日の前営業日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値に対
して3%のプレミアムを付した金額とする提案を行いました。これに対し、公開買付者は、2021 年 10
月 28 日に、対象者から、本特別委員会において検討した結果、当該提案の内容が対象者市場株価の動
向や第三者算定機関から受けた対象者株式の株式価値の分析内容との比較において対象者の少数株主の
利益保護の観点から賛同できる水準であるとは言い難く、また、特定日の市場株価の終値に対してプレ
ミアムを加える買付価格の決定方法は、市場株価の動向のみに依拠し買付価格の水準が変動するという
要素が強くなり、第三者算定機関による株式価値分析に基づく対象者の理論価値との比較において、対
象者の少数株主の利益を十分に保護できないおそれがあることから具体的な価格で交渉すべきとして、
本公開買付価格を 6,500 円とする旨の要請を受けました。当該要請に対して、公開買付者は、対象者か
らの提案を真摯に検討し、2021 年 11 月2日に、対象者に対して本公開買付価格を 5,000 円とする旨の
再提案を行いました。当該再提案に対して、公開買付者は、2021 年 11 月5日に、対象者から本公開買
付けと類似性を有すると考えられる公開買付け実施前に資本関係があり、上場維持を前提とした公開買
付けの他社事例におけるプレミアム水準(約 20%~約 30%)を考慮し、本公開買付価格を 6,100 円と
する旨の要請を受けました。その後、公開買付者は、2021 年 11 月 15 日、本公開買付けの目的、本公開
買付けに対する応募の見通し、対象者株式の市場価格の動向及びみずほ証券による対象者株式の株式価
値の試算結果を再度考慮の上、対象者に対し、本公開買付価格を 5,100 円とする旨の再提案を書面にて
行いましたが、当該再提案に対して、対象者より、2021 年 11 月 18 日に、当該提案価格は対象者の少数
株主の利益保護の観点からなお賛同できる水準ではなく、本特別委員会からの意見及び対象者株式の市
                           10
場価格の動向を踏まえ、本公開買付価格を 2021 年 11 月 18 日を基準とした3ヶ月間(2021 年8月 19 日
から 2021 年 11 月 18 日まで)の最高値である 5,310 円近辺である 5,300 円とする旨の要請を受けたた
め、公開買付者にておいて改めて慎重に検討を行い、2021 年 11 月 25 日に、対象者に対して本公開買付
価格を 5,300 円とすることに同意する旨の回答を行いました。
 これらの協議・交渉の結果、公開買付者は、2021 年 11 月 30 日開催の取締役会において、本公開買付
けを実施することを決議いたしました。


② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
 対象者は、2021 年5月上旬、公開買付者より、本公開買付けの実施に向けた検討を依頼する可能性
がある旨の初期的な意向を受け、対象者において当該依頼がある場合は前向きに検討する意向がある旨
を伝えたとのことです。それ以降、公開買付者との間でデュー・ディリジェンスの実施方法や本公開買
付けを実施する日程や体制整備に係る議論を行い、同年7月 28 日に、公開買付者から公開買付者が対
象者株式を追加取得し、公開買付者による所有割合を、大同興業を通じた間接所有分を含めて 51%に
引き上げることについての提案書の提出を受け、対象者は、2021 年8月中旬、公開買付者に対して当
該提案を本格的に検討する旨の返答を行ったとのことです。そして、本公開買付けの目的の正当性・合
理性の検証、その手続の公正性を担保、及び対象者の企業価値の向上並びに対象者の少数株主の利益の
確保を目的として、2021 年8月 19 日付で対象者の独立社外取締役である花井健氏及び滝沢正明氏、並
びに対象者の独立社外監査役である鈴井伸夫氏の3名によって構成される本特別委員会を設置し、本特
別委員会の承認を得て、同日付で、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてSMB
C日興証券を、リーガル・アドバイザーとして御堂筋法律事務所を選任したとのことです。また、本特
別委員会は、対象者及び公開買付者から独立したリーガル・アドバイザーとして関西法律特許事務所を
独自に選任したとのことです。また、対象者は、下記「2.買付け等の概要」の「          (5)買付け等の価
格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「      (本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相
反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)        」の「 (ⅴ)対象者における
独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者から独立した立場で、本公開買付けに係る検討、
交渉及び判断を行う体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びそ
の職務を含みます。  )を対象者の社内に構築し、検討を進めてきたとのことです。その後、対象者は、
当該検討を踏まえ、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、
指示、要請等に基づいた上で、SMBC日興証券及び御堂筋法律事務所の助言を受けながら、本公開買
付価格に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行ったとのことです。
 具体的には、本公開買付価格については、本公開買付けの目的及び対象者株式の市場価格の動向を
考慮し、公開買付者は、2021 年 10 月 20 日に対象者に対して本公開買付価格を本公開買付けの開始を
決定する日の前営業日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値に対して3%のプレミ
アムを付した金額とする提案を行いました。これに対し、対象者は、2021 年 10 月 28 日に、当該提案
の内容が対象者市場株価の動向や第三者算定機関から受けた対象者株式の株式価値の分析内容との比
較において対象者の少数株主の利益保護の観点から賛同できるとは言い難く、また、特定日の市場株
価の終値にプレミアムを加える買付価格の決定方法は、市場株価の動向のみに依拠し買付価格の水準
が変動するという要素が強くなり、第三者算定機関による株式価値分析に基づく対象者の理論価値と
の比較において、対象者の少数株主の利益を十分に保護できないおそれがあることから具体的な価格
で交渉すべきとして、本公開買付価格を 6,500 円とする旨を要請したとのことです。公開買付者は、対
象者からの提案を真摯に検討し、2021 年 11 月2日に、対象者に対して本公開買付価格を 5,000 円とす
る旨の再提案を行いました。当該再提案に対して、対象者は、2021 年 11 月5日に、本公開買付けと類
似性を有すると考えられる公開買付け実施前に資本関係があり、上場維持を前提とした公開買付けの
他社事例におけるプレミアム水準(約 20%~約 30%程度)を考慮し、本公開買付価格を 6,100 円とす
る旨を要請したとのことです。その後、公開買付者は、2021 年 11 月 15 日、本公開買付けの目的及び
対象者株式の市場価格の動向を再度考慮の上、対象者に対し、本公開買付価格を 5,100 円とする旨の再
提案を書面にて行いました。これを受け、対象者は、当該提案価格は対象者の少数株主の利益保護の
観点からなお賛同できる水準ではなく、本特別委員会からの意見及び対象者株式の市場価格の動向を
踏まえ、本公開買付価格を、2021 年 11 月 18 日を基準とした3ヶ月間(2021 年8月 19 日から 2021 年

                            11
11 月 18 日まで)の最高値である 5,310 円近辺である 5,300 円とする旨の要請をしたところ、2021 年 11
月 25 日に、公開買付者より本公開買付価格を 5,300 円とすることに同意する旨の回答を受けたとのこ
とです。
  対象者は、当該提案について、その妥当性を本特別委員会に確認する他、SMBC日興証券からさ
らに意見等を聴取するとともに、本特別委員会から 2021 年 11 月 29 日付で提出を受けた答申書(以下
「本答申書」といいます。    )や同日付でSMBC日興証券から取得した株式価値算定書(以下「対象者
株式価値算定書」といいます。    )の内容も踏まえて慎重に検討を行ったとのことです。その結果、対象
者は、当該価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である 2021 年 11 月 29 日の対象者株式の東京証
券取引所市場第一部における終値 4,355 円及び同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値 4,573 円(小
数点以下四捨五入。以下、終値単純平均値について同じです。 、同過去3ヶ月間の終値単純平均値
                                         )
4,830 円、同過去6ヶ月間の終値単純平均値 4,789 円から見れば一定のプレミアムが付され、一般株主
に対して上記の平均市場価格よりも有利な条件での対象者株式の売却の機会を提供できる水準である
と評価でき、また、下記「2.買付け等の概要」の「         (5)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算
定の経緯」の「    (本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、
本公開買付けの公正性を担保するための措置)         」の「
                                (ⅱ)対象者における独立した第三者算定機関か
らの株式価値算定書の取得」に記載のSMBC日興証券による市場株価平均法による算定結果の上限
を上回るものであり、また、類似上場会社比較法の下限を下回るものの、ディスカウンテッド・
キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。          )による算定結果のレンジの範囲内にあり、不
合理なものではないと判断したとのことです。
  また、対象者は、リーガル・アドバイザーである御堂筋法律事務所から、本公開買付けに関する諸
手続を含む対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受
けるとともに、本特別委員会から 2021 年 11 月 29 日付で本答申書の提出を受けたとのことです(本答
申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「2.買付け等の概要」の「               (5)
買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「           (本公開買付価格の公正性を担保するための
措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)             」の「  (ⅲ)
対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。。                )
その上で、対象者は、リーガル・アドバイザーである御堂筋法律事務所から受けた法的助言及び第三
者算定機関であるSMBC日興証券から取得した対象者株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別
委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けにより対象者の企業価
値の向上を図ることができるか、本公開買付けにおける本公開買付価格を含む本公開買付けの諸条件
は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行ったとのことです。
  その結果、対象者は、2021 年 11 月 30 日、上記「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、
目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者は、対象者が『Micro & Fine Technology』を
スローガンに掲げ、次世代素材、技術開発をリードしていくことを目指す事業の方向性に一定の理解
があり、また、対象者が公開買付者の製品とは異なる強みを持つ他社素材の仕入れを柔軟に行う等の
事業における独自性を損なうことのないように対象者を経営する方針が示されていることを踏まえる
と、対象者の意思決定の自由度の低下、対象者の意思決定の過程の複雑化、対象者の人事政策の制約、
公開買付者の競合となる取引先との取引の制限等、支配株主の支配力が高まることによって一般的に
想定される対象者にとってのデメリットは回避できると考えられるため、本公開買付けによるデメ
リットとして重大なものは特に見当たらない一方、特に以下の点において、引き続き公開買付者の連
結子会社となることで公開買付者との協業継続による企業価値の向上やガバナンスの強化に資すると
考えたことから、本公開買付けの実施は対象者にとって大きな意義があると判断するに至ったとのこ
とです。

 (a)公開買付者との協業の継続
  上記のとおり、対象者グループの主力製品であるステンレス鋼線の経営環境は、車載用半導体不
 足による自動車減産リスクのほか、中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争激化による収益低
 下、ニッケル価格に起因する原材料価格の変動リスク等の懸念を抱えており、金属繊維(ナスロン®)
 も化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなっているとのことです。一方、超精密

                            12
ガスフィルター(NASclean®)については、第5世代移動通信システム(5G)の本格的な立ち上がり
や、新型コロナウイルス感染症の拡大を端とするリモートワークの普及により、半導体をはじめとす
るIT関連の需要は調整局面を脱したと考えているとのことですが、半導体の需給環境は変動リスク
があることに加え、米中関係が半導体関連業界に影響するリスクも認識せざるを得ない状況にあり、
環境変化に対する迅速かつ柔軟な対応力が求められているとのことです。
  そのような状況下においては、独立した企業として親会社である公開買付者の枠組みに捉われな
いスピーディーな経営判断を行える体制を構築すると同時に、これまで以上に公開買付者と対象者間
での素材開発・新商品開発等の共同研究開発や生産・物流体制の最適化等を継続させることによって、
先行き不透明な経営環境を乗り越えていく必要があると認識しているとのことです。本公開買付けの
実施により、対象者の取締役会における公開買付者の出身者が占める割合に係わらず、対象者が今後
も継続して公開買付者の連結子会社として維持されることで継続できる協業としては次の(ⅰ)~
(ⅲ)の項目を想定しているとのことです。
 (ⅰ)公開買付者との素材開発から二次加工に至るまでの垂直型協業
  公開買付者はステンレス鋼のみならず高合金やチタン合金といった広範囲な鋼種を製造しており、
 対象者の鋲螺材(ビス、ボルトなど)、極細線等の二次加工製品の素材数量の過半数を公開買付者
 から提供を受けているとのことです。提供素材の中には、極細線に代表される対象者の高機能・独
 自製品専用に開発された素材もあり、公開買付者と対象者は素材開発から二次加工に至るまでの垂
 直型協業を公開買付者グループ全体利益の極大化を図るための重要な経営戦略として位置付けてい
 るとのことです。本公開買付けの実施によって強固な資本関係に基づく緊密な提携・取引関係の継
 続が実現できるとのことです。
 (ⅱ)公開買付者の顧客・営業基盤の共有、生産・物流体制の最適化の継続
  本公開買付けにより、引き続き公開買付者と連結子会社の関係を有することで、公開買付者グ
 ループ各社の有する顧客・営業基盤を引き続き共有することができ、対象者におけるビジネス機会
 や、公開買付者グループにおける製品製造プロセスの知見を引き続き対象者製品製造プロセスに応
 用できる等、業界ニーズをより迅速に把握した上でグローバル・サプライチェーンの拡充・効率化
 を含む生産体制を維持できるとのことです。
 (ⅲ)公開買付者グループの経営資源・ノウハウ共有継続
  公開買付者から「コンプライアンス関連情報の提供、教育支援、グループ内監査体制等のガバナ
 ンス強化に関する支援」「BCM/BCP体制構築(有事の際のグループ内での支援)、
            、                           」「製造業
 としてのベース活動支援・補完(安全、品質・識別、環境、小集団活動)、
                                  」「情報システム開発分
 野でのグループ内システム会社との連携」「海外子会社の地域別連携」等の経営資源・ノウハウを
                    、
 引き続き享受できると考えているとのことです。

 また、対象者は本公開買付けによって、以下(b)に記載のとおり、改訂CGコードで求められる
独立社外取締役の選任数を満たすことが出来るようになると考えているとのことです。
 (b)対象者ガバナンス体制の強化
  公開買付者グループと対象者グループは事業上密接な協力関係にはありますが、一方で、対象者は
 公開買付者を除く対象者一般株主の利益にも配慮したガバナンス体制を構築するために、公開買付者
 グループ出身者以外の独立社外役員として2名の取締役及び2名の監査役を有するなど、上場企業と
 して経営の独立性を確保してきたとのことです。加えて、ガバナンス体制強化の一環として、指名委
 員会又は報酬委員会に相当する任意の委員会として、独立社外取締役を過半数の構成員とするガバナ
 ンス委員会を設置し、経営陣幹部の選解任や取締役・監査役候補の指名、また経営陣幹部や取締役の
 報酬、並びに後継者計画等の重要な事項について、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることと
 しているとのことです。
  また、対象者中期経営計画の基本方針(4)  「コーポレート・ガバナンスとコンプライアンスの充
 実」に関する項目として、  「東証市場再編、CGコード改訂への対応」を掲げているとのことです。
 対象者は、2022 年4月4日付で予定されている東京証券取引所新市場区分への移行に関し、2021 年
 9月 24 日開催の対象者取締役会においてプライム市場を選択し申請することを決議しているとのこ


                       13
とですが、プライム市場上場会社として求められるガバナンスの枠組みへの対応について、2020 年
11 月中旬から検討を始めたとのことです。
  公開買付者という親会社を持つ対象者においては、親会社からのガバナンス上の独立性を高め、プ
ライム市場上場会社に求められる高い水準でのガバナンス体制の構築を続けていく必要があると認識
しているとのことです。
  具体的には、対象者の 2022 年4月以降の定時株主総会から適用される改訂CGコード(基本原則
4)の「考え方」において「支配株主を有する上場会社には、少数株主の利益を保護するためのガバ
ナンス体制の整備が求められる。      」とされ、同改訂CGコード(補充原則4-8③)によれば、「支配
株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なく
とも3分の1以上(プライム市場においては過半数)選任するか、又は支配株主と少数株主との利益
が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で
構成された特別委員会を設置すべきである」旨が明記されています。
  一方で、公開買付者と対象者の現状の資本関係においては、対象者は支配力基準に基づき公開買付
者と連結子会社の関係を有しております。具体的には、対象者の取締役7名のうち、公開買付者の兼
務者が2名(温品昌泰氏及び渡邉剛氏)       、公開買付者の出身者が2名(新貝元氏及び加藤泰資氏)に
対し、対象者の独立社外取締役は2名であるため、改訂CGコードで求められる独立社外取締役の選
任数を満たすことが出来ていないとのことです。
  対象者の 2021 年9月 24 日付「東京証券取引所の新市場区分選択についてのお知らせ」において公
表しているとおり、対象者は東京証券取引所が定める新市場区分において、プライム市場を選択し申
請することを決議し、準備を進めていることから、独立社外取締役の選任割合を増やすことが急務と
なっておりますが、本公開買付けにより、公開買付者が所有割合で対象者の議決権の過半数を有する
こととなれば、数値基準により、公開買付者と対象者の間で連結子会社の関係を維持した状態で独立
社外取締役の選任割合を高めることが可能になると考えているとのことです。

 以上を踏まえ、対象者は、2021 年 11 月 30 日開催の取締役会において、本公開買付けは、上記(a)
及び(b)のとおり公開買付者との協業の継続による対象者の企業価値の向上、及び対象者ガバナン
ス体制の強化によるプライム市場上場企業としての改訂CGコードの準拠が可能となるものと判断し
たとのことです。

  また、対象者は、本公開買付価格(5,300 円)が、  (a)下記「2.買付け等の概要」の「    (5)買付
け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の「      (本公開買付価格の公正性を担保するための措置
及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)           」の「(ⅱ)対
象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているSMBC日興
証券による対象者株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価平均法に基づく算定結果の範囲を上
回っており、類似上場会社比較法の下限を下回っているものの、DCF法による算定結果のレンジの
範囲内にあること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である 2021 年 11 月 29 日の対象者株式の東
京証券取引所市場第一部における終値 4,355 円に対して 21.70%のプレミアム(小数点以下第三位を四
捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値
                               )
4,573 円に対して 15.90%のプレミアム、同過去3ヶ月間の終値単純平均値 4,830 円に対して 9.73%の
プレミアム、同過去6ヶ月間の終値単純平均値 4,789 円に対して 10.67%のプレミアムが加算された有
利な条件での対象者株式の売却の機会を一般株主に対して提供できる水準であると考えられること、
(c)下記「2.買付け等の概要」の「      (5)買付け等の価格の算定根拠等」の「② 算定の経緯」の
「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付
けの公正性を担保するための措置)      」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、
少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、      (d)上記利益相反を解消するための措置
が採られた上で、対象者と公開買付者の間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・
交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、      (e)本特別委員会が、事前に交渉方針を確認
するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、要請等を行っ
た上で、本公開買付価格について妥当である旨の意見を述べていること等を踏まえ、本公開買付けに
ついて、(ⅰ)本公開買付けにより対象者の企業価値の向上が見込まれ、ガバナンス体制の強化に資す
                           14
  るとともに、(ⅱ)本公開買付価格は不合理なものではないと考えられるものの、本公開買付けには買
  付予定数に上限が設定され、本公開買付け後も引き続き対象者株式の上場が維持されることから、対
  象者の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、中立の立場をとり、対象者の株主の
  皆様のご判断に委ねると判断したとのことです。
   以上より、対象者は、2021 年 11 月 30 日開催の取締役会において、対象者の取締役7名のうち、審
  議及び決議に参加した対象者の取締役3名(新貝元氏、加藤泰資氏、温品昌泰氏及び渡邉剛氏を除く)
  の全員一致で、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様が本公開買付
  けに応募するか否かについては、中立の立場をとり、株主の皆様のご判断に委ねる旨を決議したとの
  ことです。
   また、対象者の監査役の4名全員が、対象者取締役会が上記決議をすることに異議がない旨の意見
  を述べているとのことです。
   なお、対象者の取締役7名のうち、新貝元氏及び加藤泰資氏は過去公開買付者の役職員であった者
  であり、温品昌泰氏は公開買付者の執行役員、渡邉剛氏は公開買付者の星崎工場長を兼務しているこ
  とから、利益相反を回避するため、    (ⅰ)新貝元氏、加藤泰資氏、温品昌泰氏及び渡邉剛氏を除く他の
  3名(髙橋一朗氏、花井健氏、滝沢正明氏)で審議し、全員の賛成により決議を行い、       (ⅱ)その上で、
  取締役会の定足数を確保する観点から、公開買付者の出身者であるものの、公開買付者又はその子会
  社の役職員を兼務しておらず、かつ公開買付者を退職してから 11 年が経過しており、その意味で利益
  相反関係が薄い加藤泰資氏を加えた4名の取締役において改めて審議し、全員の賛成により決議を行
  うという二段階の手続を経ているとのことです。
   また、新貝元氏、温品昌泰氏及び渡邉剛氏は、特別利害関係人として、当該取締役会における審議
  及び決議には一切参加しておらず、また、対象者の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一
  切参加していないとのことです。

 ③ 本公開買付け後の経営方針
  公開買付者は、本公開買付け後も対象者の事業運営を引き続き継続させるとともに、対象者の上場を
 維持する方針であることから、公開買付者は、上場会社としての対象者の経営の自主性を維持しつつ、
 両者の連携を深めることとしております。
  なお、本日現在、対象者の取締役7名のうち2名が現在公開買付者の役職員を兼務しているところ、
 公開買付者としては対象者がプライム市場上場企業に要請される要件を満たすために独立取締役の構成
 比率を増やすことを想定しております。もっとも、本公開買付け後の対象者の経営体制について、本書
 提出日現在において派遣役員の人選・取締役会の構成や選任の時期等、具体的に想定・決定している事
 項はなく、健全なガバナンス体制の構築の観点から、公開買付者より取締役派遣の必要性等について検
 討の上、対象者とも協議していく予定です。

(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付け
   の公正性を担保するための措置
  公開買付者及び対象者は、本日現在、対象者が公開買付者の連結子会社であり、本公開買付けが支配株
 主との重要な取引に該当すること及び対象者の取締役7名のうち2名が本日現在公開買付者の役職員を兼
 務(対象者取締役の温品昌泰氏が公開買付者の執行役員であり、対象者取締役の渡邉剛氏が公開買付者の
 従業員になります。)し、2名が過去公開買付者に在籍(対象者代表取締役社長の新貝元氏が公開買付者
 の元代表取締役副社長執行役員であり、対象者取締役の加藤泰資氏が公開買付者の元従業員になります。)
 していたことを勘案し、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措
 置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置として、それぞれ以下の措置を実施しております。な
 お、以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者から受けた説明に基づくもので
 す。

  ① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
  ② 対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
  ③ 対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

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  ④ 対象者における独立した法律事務所からの助言
  ⑤ 対象者における独立した検討体制の構築
  ⑥ 対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議が
    ない旨の意見
  ⑦ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

  以上の詳細については、下記「2.買付け等の概要」の「(5)買付け等の価格の算定根拠等」の「①
 算定の基礎」及び「② 算定の経緯」の「
                   (本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を
 回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。

(4)本公開買付け後の対象者の株券等の取得予定
  上記「(2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買
 付け後の経営方針」のとおり、公開買付者は、公開買付者が所有する対象者における議決権を大同興業を
 通じた間接所有分を含めて過半数まで引き上げることを目的として本公開買付けを実施するものであり、
 対象者株式の上場を維持する方針であることから、本公開買付けによりその目的を達成した場合には、本
 公開買付け後に対象者株式を追加で取得することは現時点で予定しておりません。なお、本公開買付け後
 において、対象者が所有する自己株式数の減少によって公開買付者の所有割合が大同興業を通じた間接所
 有分を含めて過半数未満となる場合には、公開買付者は、公開買付者の所有割合が大同興業を通じた間接
 所有分を含めて過半数以上を確保する水準に至るまで、市場内外での買付け等を含めたあらゆる手法によ
 り、対象者株式を追加的に取得することを予定しておりますが、現時点で決定している事項はありません。

(5)上場廃止となる見込み及びその理由
   対象者株式は、本日現在、東京証券取引所市場第一部に上場されていますが、本公開買付けは、対象者
 株式の上場廃止を企図するものではなく、公開買付者は買付予定数の上限を 496,600 株(所有割合:
 8.10%)に設定の上、本公開買付けを実施し、本公開買付け後、公開買付者が所有する対象者株式の数は、
 大同興業を通じた間接所有分を含めて最大で 3,128,040 株(所有割合:51.00%)にとどまる予定です。
 したがって、本公開買付け成立後も、対象者株式の東京証券取引所市場第一部への上場は維持される見込
 みです。

(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項
  該当事項はありません。

2.買付け等の概要

(1)対象者の概要
  ①   名                   称   日本精線株式会社
  ②   所         在         地   大阪市中央区高麗橋四丁目1番1号
  ③   代 表 者 の   役   職 ・ 氏 名   代表取締役社長 新貝 元
  ④   事    業        内     容   ステンレス鋼線・金属繊維(ナスロン)の製造販売
  ⑤   資         本         金   5,000 百万円(2021 年9月 30 日現在)
  ⑥   設   立     年     月   日   1951 年6月 30 日
                              大同特殊鋼株式会社                                             42.73%
                              日本マスタートラスト信託銀行株式会社                                    6.70%
                        株式会社日本カストディ銀行                                               4.12%
      大 株 主 及 び 持 株 比 率
  ⑦                     株式会社みずほ銀行                                                   3.54%
      (2021 年9月 30 日現在)
                        特殊発條興業株式会社                                                  1.73%
                        前尾 和男                                                       1.58%
                              BNP   PARIBAS   SECURITIES   SERVICES   LUXEMBOURG/   1.51%

                                       16
                            JASDEC/FIM/LUXEMBOURG FUNDS/UCITS ASSETS
                            (常任代理人 香港上海銀行東京支店)
                            JPモルガン証券株式会社                               1.12%
                            クレディ・スイス証券株式会社                             1.12%
                            株式会社三菱UFJ銀行                                1.10%
  ⑧    公開買付者と対象者の関係

                          公開買付者は、本日現在、対象者株式 2,620,784 株(所有割合:
                          42.73%)を所有し、公開買付者の完全子会社である大同興業を
       資    本    関      係 通じた間接所有分(10,656 株(所有割合:0.17%)   )と合算して
                          対象者株式 2,631,440 株(所有割合:42.91%)を所有し、対象者
                          を連結子会社としております。

                          対象者の取締役のうち1名が公開買付者の執行役員を、1名が
                          公開買付者の従業員をそれぞれ兼職しております。また、公開
       人    的    関      係
                          買付者から1名、大同興業から2名の従業員がそれぞれ対象者
                          に出向しております。

                            公開買付者は、対象者に対して大同興業等を通じて原材料の販
       取    引    関      係
                            売を行っております。

                            対象者は、公開買付者の連結子会社であり、関連当事者に該当
       関連当事者への該当状況
                            します。
(注)
  「⑦ 大株主及び持株比率(2021 年9月 30 日現在)
                              」は、対象者第2四半期報告書の「大株主の状
   況」を基に記載しております。

(2)買付け等を行う株券等の種類
 普通株式

(3)日程等
 ① 日程

      取 締 役 会 決 議 日     2021 年 11 月 30 日(火曜日)

                        2021 年 12 月1日(水曜日)
      公 開 買 付開 始公 告 日   電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。
                        (電子公告アドレス https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)
      公開買付届出書提出日        2021 年 12 月1日(水曜日)


 ② 届出当初の買付け等の期間
  2021 年 12 月1日(水曜日)から 2022 年1月 18 日(火曜日)まで(30 営業日)
  (注)金融商品取引法施行令(昭和 40 年政令第 321 号。その後の改正を含みます。以下「令」とい
        います。  )第8条第1項及び行政機関の休日に関する法律第1条第1項第3号に基づき 2021 年
        12 月 29 日及び 30 日は、行政機関の休日となるため、本公開買付けにおける買付け等の期間
        (以下「公開買付期間」といいます。      )に算入しておりませんが、公開買付代理人による本公
        開買付けに応募する株主(以下「応募株主等」といいます。           )からの応募の受付けは、公開買
        付期間に算入されていない 2021 年 12 月 29 日及び 30 日にも行われます。

 ③ 対象者の請求に基づく延長の可能性
  該当事項はありません。

                                    17
(4)買付け等の価格
 普通株式1株につき、金 5,300 円

(5)買付け等の価格の算定根拠等
 ① 算定の基礎
  公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者算定
 機関としてフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値の算定を依頼
 いたしました。なお、みずほ証券は、公開買付者及び対象者からは独立した算定機関であり、公開買付
 者及び対象者の関連当事者には該当せず、みずほ証券のグループ企業である株式会社みずほ銀行(以下
 「みずほ銀行」といいます。)は、公開買付者及び対象者の株主たる地位を有しているほか、公開買付
 者及び対象者に対して通常の銀行取引の一環としての融資取引等は生じておりますが、本公開買付けに
 関して公開買付者及び対象者との利益相反に係る重要な利害関係を有しておりません。
  みずほ証券は、対象者の財務状況、対象者株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面
 的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を検討し
 た結果、市場株価基準法、類似企業比較法及びDCF法を用いて、対象者の株式価値の算定を行い、公
 開買付者は、みずほ証券から 2021 年 11 月 29 日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」とい
 います。)を取得しました。なお、公開買付者は、みずほ証券から本公開買付価格の公正性に関する意
 見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
  本株式価値算定書によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者株式1株当たり
 の株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

  市場株価基準法      :4,355 円から 4,830 円
  類似企業比較法      :3,803 円から 7,272 円
  DCF法         :5,032 円から 8,100 円

   市場株価基準法では、本公開買付けの公表日の前営業日である 2021 年 11 月 29 日を算定基準日とし
 て、対象者株式の東京証券取引所市場第一部における算定基準日の終値 4,355 円、同日までの過去1ヶ
 月間の終値単純平均値 4,573 円、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値 4,830 円及び同日までの過
 去6ヶ月間の終値単純平均値 4,789 円を基に、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を 4,355 円から
 4,830 円と算定しております。
   類似企業比較法では、対象者と比較的類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性等を示す財務
 指標との比較を通じて、対象者の株式価値を算定し、対象者株式1株当たり株式価値の範囲を 3,803 円
 から 7,272 円と算定しております。
 DCF法では、対象者から提供を受けた事業計画(2022 年3月期から 2024 年3月期までの3期間)を
基礎とし、直近までの業績の動向、公開買付者が 2021 年8月中旬から同年9月下旬まで対象者に対して
行ったデュー・ディリジェンスの結果、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して公開買付者において
調整を行った対象者の将来の収益予想に基づき、対象者が 2022 年3月期第3四半期以降において創出す
ると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値
や株式価値を算定し、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を 5,032 円から 8,100 円と算定しておりま
す。なお、当該事業計画は、本公開買付けの実行を前提としておりません。また、上記DCF法の算定の
基礎となる対象者の事業計画については、対前期比較において大幅な増益が見込まれている事業年度が含
まれております。具体的には、2022 年3月期において、2021 年7月 26 日付で対象者が公表したプレスリ
リース「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」にも記載のとおり、新型コロナウイルス感染症
拡大によって需要減少傾向であった自動車関連、建材用途、太陽光発電パネルや電子部品の製造プロセス
で使用されるスクリーン印刷向け極細線や半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)の需
要が回復傾向にあったことにより、大幅な増益が見込まれております。

  公開買付者は、みずほ証券から取得した本株式価値算定書の算定結果に加え、公開買付者において実

                               18
施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、本公開買付価格に関する対象者との協議・交渉
の結果等も踏まえ、最終的に本日開催の取締役会において、本公開買付価格を 5,300 円とすることを決
定いたしました。
 なお、本公開買付価格である 5,300 円は、本公開買付けの公表日の前営業日である 2021 年 11 月 29
日の東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値 4,355 円に対して 21.70%、同日までの過去
1ヶ月間の終値単純平均値 4,573 円に対して 15.90%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値 4,830 円に対
して 9.73%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値 4,789 円に対して 10.67%のプレミアムをそれぞれ加え
た価格となっております。

(注)みずほ証券は、対象者の株式価値の算定に際し、対象者から提供を受けた情報及び一般に公開さ
  れた情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なもの
  であること、また買付価格の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でみずほ証券に
  対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれら資料及び情報等の正確性及び完
  全性の検証を行っておりません。加えて、対象者の財務予測に関する情報については、対象者に
  よる現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
  また、対象者及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。   )
  に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりま
  せん。みずほ証券の算定は、2021 年 11 月 29 日までの上記情報を反映したものです。

② 算定の経緯
(本公開買付価格の決定に至る経緯)
 上記「1.買付け等の目的等」の「   (2)本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意
思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けの実施を決定するに至った背
景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、公開買付者は、製品取引や人材採用面における信用力
の確保、国内外の幅広い投資家からの信用確保、従業員のガバナンス意識向上や企業価値向上への期待
を踏まえ、2021 年5月上旬、対象者が 2022 年4月の東京証券取引所における市場区分変更後のプライ
ム市場において上場を維持することが望ましいとの考えに至り、加えて、改訂CGコード(補充原則4
-8③)にてプライム市場上場企業へ要請される要件のいずれかを実施することが、対象者へのガバナ
ンス体制の強化に繋がり、ひいては対象者も含めた公開買付者グループの企業価値最大化及び対象者少
数株主の保護の両立に資するとの判断に至りました。もっとも、今後、対象者の役員構成が変動し公開
買付者からの派遣役員が減員となることも想定されるところ、公開買付者からの役員派遣の有無にかか
わらず、引き続き対象者を公開買付者の連結子会社として維持し、対象者の業績向上が公開買付者の連
結財務諸表に反映される状況を維持できるようにすることが、公開買付者と対象者の緊密な提携・取引
関係の維持につながり、両者の企業価値向上に資するため、公開買付者及び対象者のそれぞれにとって
有益であり、そのためには、対象者株式に対する公開買付者による所有割合を、大同興業を通じた間接
所有分を含めて過半数に引き上げることが必要であると判断するに至りました。また、対象者株式の具
体的な取得方法として、公開買付けの方法により対象者株式の追加取得を行うことが望ましいとの判断
に至りました。
 そこで、公開買付者は、2021 年5月上旬、対象者に対して、本公開買付けの実施に向けた検討を依
頼する可能性がある旨の初期的な意向を伝えたところ、対象者において当該依頼がある場合は前向きに
検討する意向があることを確認できたため、それ以降、対象者との間でデュー・ディリジェンスの実施
方法や本公開買付けを実施する日程や体制整備に係る議論を行い、同年7月 28 日、対象者に対して、
公開買付者が公開買付けの方法により対象者株式を追加取得し、公開買付者による所有割合を、大同興
業を通じた間接所有分を含めて 51%に引き上げることについての提案書を提出いたしました。そして、
公開買付者は、2021 年8月下旬から 2021 年9月下旬にかけて対象者に対するデュー・ディリジェンス
を実施するとともに、2021 年9月上旬以降、対象者との間で本公開買付けの意義及び目的に関して、
協議及び説明を行ってまいりました。なお、当該デュー・ディリジェンスを実施した結果、本公開買付
けの障害となる特段の問題は検出されませんでした。
 また、公開買付者は、本公開買付価格について、本公開買付けの目的、本公開買付けに対する応募の
見通し、対象者株式の市場価格の動向及びみずほ証券による対象者株式の株式価値の試算結果を総合的
                          19
に考慮し、2021 年 10 月 20 日に対象者に対して、対象者の少数株主の皆様に対して市場価格よりも高い
価格で売却機会を提供する観点から、本公開買付価格を本公開買付けの開始を決定する日の前営業日の
東京証券取引所市場第一部における対象者株式の終値に対して3%のプレミアムを付した金額とする提
案を行いました。これに対し、公開買付者は、2021 年 10 月 28 日に、対象者から、本特別委員会におい
て検討した結果、当該提案の内容が対象者の少数株主の利益保護の観点から賛同できる水準とは言い難
く、また、特定日の市場株価の終値に対してプレミアムを加える買付価格の決定方法は、市場株価の動
向のみに依拠し買付価格の水準が変動するという要素が強くなり、第三者算定機関による株式価値分析
に基づく対象者の理論価値との比較において、対象者の少数株主の利益を十分に保護できないおそれが
あることから具体的な価格で交渉すべきとして、本公開買付価格を 6,500 円とする旨の要請を受けまし
た。当該要請に対して公開買付者は、対象者からの提案を真摯に検討し、2021 年 11 月2日に、対象者
に対して本公開買付価格を 5,000 円とする旨の再提案を行いました。当該再提案に対して、公開買付者
は、2021 年 11 月5日に、対象者から本公開買付けと類似性を有すると考えられる公開買付け実施前に
資本関係があり、上場維持を前提とした公開買付けの他社事例におけるプレミアム水準(約 20%~約
30%)を考慮し、本公開買付価格を 6,100 円とする旨の要請を受けました。その後、公開買付者は、
2021 年 11 月 15 日、本公開買付けの目的、本公開買付けに対する応募の見通し及び対象者株式の市場価
格の動向及びみずほ証券による対象者株式の株式価値の試算結果を再度考慮の上、対象者に対し、本公
開買付価格を 5,100 円とする旨の再提案を書面にて行いましたが、当該再提案に対して、対象者より、
当該提案価格は対象者の少数株主の利益保護の観点からなお賛同できる水準ではなく、本特別委員会か
らの助言及び対象者株式の市場価格の動向を踏まえ、本公開買付価格を直近の東京証券取引所市場第一
部における対象者株式の高値近辺である 5,300 円とする旨の要請を受けたため、公開買付者にておいて
改めて慎重に検討を行い、2021 年 11 月 25 日に、対象者に対して本公開買付価格を 5,300 円とすること
に同意する旨の回答を行いました。
  以上の経緯及び協議を経て、公開買付者は、本日、本公開買付価格を 5,300 円として本公開買付けを
実施することを決定しました。

(ⅰ)算定の際に意見を聴取した第三者の名称
 公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者算定
機関としてのフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値の算定を依
頼しました。公開買付者は、みずほ証券から 2021 年 11 月 29 日付で本株式価値算定書を取得いたしま
した。
 なお、みずほ証券は、公開買付者及び対象者からは独立した算定機関であり、公開買付者及び対象者
の関連当事者には該当せず、みずほ証券のグループ企業であるみずほ銀行は、公開買付者及び対象者の
株主たる地位を有しているほか、公開買付者及び対象者に対して通常の銀行取引の一環としての融資取
引等は生じておりますが、本公開買付けに関して公開買付者及び対象者との利益相反に係る重要な利害
関係を有しておりません。みずほ証券によれば、みずほ証券は法第 36 条第2項及び金融商品取引業等
に関する内閣府令第 70 条の4の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行間の情報隔壁措置等の適切
な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の株主及び貸付人の地位とは独立した立
場で対象者の株式価値の算定を行っているとのことです。公開買付者は、みずほ証券とみずほ銀行との
間において適切な弊害防止措置が講じられていること、公開買付者とみずほ証券は一般取引先と同様の
取引条件での取引を実施しているため第三者算定機関としての独立性が確保されていること、みずほ証
券は過去の同種事案の第三者算定機関としての実績を有していること等を踏まえ、みずほ証券を公開買
付者及び対象者から独立した第三者算定機関として選定いたしました。なお、公開買付者は、みずほ証
券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

(ⅱ)当該意見の概要
 みずほ証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、市場株価基準法、類似企業比較法及
びDCF法を用いて、対象者の株式価値の算定を行っております。採用した手法及び当該手法に基づい
て算定された対象者株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

 市場株価基準法      :4,355 円から 4,830 円
                              20
 類似企業比較法       :3,803 円から 7,272 円
 DCF法          :5,032 円から 8,100 円

(ⅲ)当該意見を踏まえて本公開買付価格を決定するに至った経緯
 公開買付者は、みずほ証券から取得した本株式価値算定書の市場株価基準法による算定結果の上限値
を上回っており、類似企業比較法及びDCF法による算定結果の範囲内であることに加え、公開買付者
において実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、本公開買付価格に関する対象者との
協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に本日開催の取締役会において、本公開買付価格を 5,300 円とす
ることを決定いたしました。

(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付け
の公正性を担保するための措置)
 公開買付者及び対象者は、本日現在、対象者が公開買付者の連結子会社であり、本公開買付けが支配
株主との重要な取引に該当すること及び対象者の取締役7名のうち2名が本日現在公開買付者の役職員
を兼務(対象者取締役の温品昌泰氏が公開買付者の執行役員であり、対象者取締役の渡邉剛氏が公開買
付者の従業員になります。        )し、2名が過去公開買付者に在籍(対象者代表取締役社長の新貝元氏が公
開買付者の元代表取締役副社長執行役員であり、対象者取締役の加藤泰資氏が公開買付者の元従業員に
なります。  )していたことを勘案し、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回
避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置として、それぞれ以下の措置を実施
しております。なお、以下の記載のうち、対象者において実施した措置については、対象者から受けた
説明に基づくものです。
(ⅰ)公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
 公開買付者は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び対象者から独立した第三者算定
機関としてフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、対象者の株式価値の算定を依頼
し、2021 年 11 月 29 日付で本株式価値算定書を取得しました。詳細については、上記「①算定の基礎」
をご参照ください。

(ⅱ)対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
 対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思
決定の過程における公正性を担保するために、対象者及び公開買付者から独立した第三者算定機関とし
て、ファイナンシャル・アドバイザーであるSMBC日興証券に対して、対象者株式の株式価値の算定
を依頼したとのことです。なお、SMBC日興証券は、対象者及び公開買付者の関連当事者には該当せ
ず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。SMBC日興証券は、本公開
買付けにおける算定手法を検討した結果、対象者が継続企業である前提のもと、対象者株式の株式価値
について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者が東京証券取引所市場第一部に
上場しており、市場株価が存在することから市場株価平均法を、比較可能な上場類似企業が複数存在し
類似企業比較分析による株式価値の類推が可能であることから類似上場会社比較法を、将来の事業活動
の状況に基づく本源的価値評価を反映するためDCF法を、それぞれ採用して、対象者株式の株式価値
算定を行い、対象者はSMBC日興証券から 2021 年 11 月 29 日に対象者株式価値算定書を取得してい
るとのことです。なお、対象者は、SMBC日興証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェ
アネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
 対象者株式価値算定書によると、上記各手法に基づいて算定された対象者株式1株当たりの株式価値
の範囲は以下のとおりとのことです。

 市場株価平均法        4,573 円から 4,830 円
 類似上場会社比較法      5,550 円から 6,577 円
 DCF法           4,824 円から 9,071 円

 市場株価平均法では、基準日を 2021 年 11 月 29 日として、東京証券取引所市場第一部における対象
者株式の直近1ヶ月間(2021 年 11 月1日から 2021 年 11 月 29 日まで)の終値単純平均値(4,573 円)
                                                              、
                                21
直近3ヶ月間(2021 年8月 30 日から 2021 年 11 月 29 日まで)の終値単純平均値(4,830 円)    、直近6ヶ
月間(2021 年5月 31 日から 2021 年 11 月 29 日まで)の終値単純平均値(4,789 円)を基に、対象者株
式の1株当たりの株式価値の範囲を 4,573 円から 4,830 円と算定しているとのことです。
  類似上場会社比較法では、対象者と類似性があると判断される類似上場会社として、日本冶金工業株
式会社、東京製綱株式会社、モリ工業株式会社及び日亜鋼業株式会社を選定した上で、事業価値に対す
るEBITDAの倍率を用いて算定を行い、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を 5,550 円から
6,577 円と算定しているとのことです。DCF法では、対象者が作成した対象者の 2022 年3月期から
2024 年3月期までの対象者中期経営計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素
を前提として、対象者が 2022 年3月期第3四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッ
シュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて対象者の企業価値や株式価値を評価し、対象者
株式の1株当たりの株式価値の範囲を 4,824 円から 9,071 円までと算定しているとのことです。DCF
法における継続価値の算定については、永久成長法及びマルチプル