5406 神戸鋼 2021-05-11 15:30:00
KOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)について [pdf]

                                                2021 年 5 月 11 日
各   位
                           上場会社名   株式会社神戸製鋼所
                           代表者名    代表取締役社長         山口   貢
                                   (コード番号: 5406     東証第 1 部)
                           問合せ先    執行役員    総務・CSR 部長
                                   中森   慶太郎
                                   (TEL 03-5739-6010)




        KOBELCO グループ中期経営計画(2021~2023 年度)について



 当社は、本日開催の当社取締役会において、
                    「KOBELCO グループ中期経営計画(2021~2023
年度)」の承認を得ましたので、別添資料の通りお知らせいたします。



                                                            以上
           KOBELCO グループ 中期経営計画(2021~2023 年度)
           ~「安定収益基盤の確立」と「カーボンニュートラル」への挑戦~
                                                       2021 年 5 月 11 日
                                                      株式会社神戸製鋼所
【1】 はじめに
 KOBELCO グループは、2016 年 4 月に開始した「2016~2020 年度グループ中期経営計画」において、素材系事業・機
械系事業・電力事業の「3 本柱の事業体確立」を目指してまいりました。鋼材事業の上工程集約、新規電力プロジェクト等によ
る安定収益基盤確立に向けた施策を進めるとともに、自動車軽量化戦略を軸とした成長機会を追求してまいりましたが、積極
的投資を行った自動車軽量化戦略の需要想定の変化やものづくり力の課題、素材系事業を中心とした収益力の課題から「3
本柱の事業体確立」には至っておりません。
 また事業環境としては、鉄鋼業界の構造的問題、コロナ禍を契機とした産業構造の変化に加え、カーボンニュートラルの実現
にむけた社会変革の動きはグローバルな潮流となっております。
 こうした状況を踏まえ、このたび策定した「KOBELCO グループ 中期経営計画(2021~2023 年度)」においては、当社グ
ループが実践すべき最優先課題を「安定収益基盤の確立」と「カーボンニュートラルへの挑戦」といたしました。これらの経営課題
は、多様な技術と人材をもつ当社グループにとって、多様な事業を営む企業としての強みを活かし、社会に貢献できる新たなビジ
ネスチャンスでもあります。
 当社グループでは、課題を解決する技術を融合し、ソリューション提案力を磨き、社会的要請や産業構造の変化に対応するこ
とにより、お客さまや社会にとって“かけがえのない存在”としてあり続けるとともに、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の
人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。


【2】 価値創造領域
1. 安定収益基盤の確立
 2023 年度には ROIC5%以上の収益レベルを確保いたします。さらに当社グループとして持続的に成長すべく、将来的には
 ROIC8%以上を目指してまいります。そのために、以下の 5 つの重点施策等を着実に実行してまいります。
① 重点施策
■鋼材事業の収益基盤強化
 ➢   長期的に内需減少が進む想定の中、粗鋼生産量 6.3 百万トンの前提で安定収益を確保できる体制を構築いたしま
     す。
■新規電力プロジェクトの円滑な立上げ
 ➢   神戸 1・2 号機、真岡 1・2 号機の安定稼働に加えて、神戸 3・4 号機の営業運転を開始することで、2023 年度から
     400 億円程度/年の収益を確保いたします。
■素材系事業 戦略投資の収益貢献
 ➢   自動車軽量化に係る戦略投資については、需要拡大時期の後ろ倒し、ものづくり力の課題等があるものの、引き続き自
     動車軽量化へのニーズは高く、早期の収益貢献を実現いたします。
■不採算事業の再構築
 ➢   需要環境や産業構造の変化する中、2019 年度に固定資産減損を行った鋳鍛鋼事業、チタン事業に加え、赤字が継
     続しているクレーン事業については、合理化により、2021~2022 年度にかけて黒字化を図ってまいります。
■機械系事業 収益安定化と成長市場への対応
 ➢   機械事業ならびにエンジニアリング事業は、CO2 削減をはじめとした環境貢献メニューを拡充し、グループ内連携を促進し
     ながら、成長市場に積極的に取り組んでまいります。
 ➢   建設機械事業は、中国市場への依存度の高い収益構造からの脱却、建設業界の働き方変革等のソリューションを提供
     する「コト」ビジネスの収益化、現場設置ノウハウの提供等の建設機械周辺ビジネスの事業化を進めてまいります。
② 財務体質の強化
 ➢    新中期計画期間中は、新規設備投資・投融資を厳選の上で、投資キャッシュフローを営業キャッシュフローの範囲内と
      し、意思決定ベースの設備投資は年間 1,000 億円レベルに抑制する計画です。また、2023 年度末には D/E レシ
      オ 0.7 倍以下を目指してまいります。


③株主還元方針
 ➢    継続的かつ安定的に実施していくことを基本としつつ、当社の財政状態、先行きの資金需要、各期の業績及び配当性
      向等を総合的に勘案して決定いたします。
 ➢    2021 年度および 2022 年度での配当性向は、現行の 15~25%を継続しますが、2023 年度以降は引上げも含め
      て見直しいたします。


2.カーボンニュートラルへの挑戦
①目指すべき将来像
 当社グループは、2050 年のカーボンニュートラルへ挑戦し、その移行の中で企業価値の向上を図ることが目指すべき将来像と
 考えております。2050 年のカーボンニュートラル達成に向け、当社独自技術の開発推進、外部の革新技術の活用等により、
 CO2 削減に果敢に取り組んでまいります。また MIDREX®、自動車軽量化・電動化への素材供給等、CO2 排出削減に貢
 献する多様なメニューと多様な技術の融合を可能にする強みを活かし、これらメニューの需要拡大をビジネスチャンスとして捕捉
 してまいります。


     【目標・ビジョンのまとめ】

                                     2030 年目標              2050 年ビジョン
        生産プロセスにおける               30~40%(2013 年度比)       カーボンニュートラルへ挑戦し、
            CO2 削減                     (※1)                達成を目指す
                                     6,100 万 t
      技術・製品・サービスによる
                           (うち MIDREX®4,500 万 t 以上)         1 億 t 以上
      CO2 排出削減貢献(※2)
                                       (※3)
     【※1】削減目標の対象範囲の大半が製鉄プロセスでの削減。2020 年 9 月公表時から見直し(BAU ベースから総量ベースへ変更した上で、当社独自ソ
        リューションの活用拡大を加味)
     【※2】当社グループ独自の技術・製品・サービスを通じて社会の様々な分野で CO2 排出削減に貢献
     【※3】2020 年 9 月公表時の算定式を見直し



②各事業・分野での取組み
■製鉄プロセス
 ➢    既存技術の追求(省エネ技術、スクラップ活用拡大、AI 操炉®他)と、革新技術(COURSE50、フェロコークス等)
      に加え、2021 年 2 月に公表した当社独自技術である高炉での MIDREX®技術の活用により、CO2 排出削減分野で
      業界をリードし、他社との差別化を図ってまいります。また、電炉による高級鋼製造の導入についても検討を進めてまいり
      ます。
■自動車分野への取り組み
 ➢    自動車メーカーが自動車の電動化の取組みを加速させており、自動車の軽量化は、従来のガソリンエンジン車だけでなく、
      ハイブリッド車の燃費向上にも重要な役割を果たすとともに、電気自動車の航続距離延伸にも効果を発揮します。鋼材、
      アルミ、鉄粉、チタンなど複数の素材で軽量化ニーズに対応することで、自動車からの CO2 排出削減に貢献いたします。
■エネルギー転換・成長市場への対応
 ➢    機械事業における再生エネルギー分野への用途転換、機械事業部門とエンジニアリング事業部門の経営資源の相互活
     用、および鉄鋼アルミ事業部門、電力事業部門や㈱神鋼環境ソリューションとの連携により、グループ総合力の発揮と当
     社グループならではの価値創造を目指してまいります。
■MIDREX®
 ➢   当社グループの独自技術である MIDREX®プロセスは、天然ガスを使った直接還元製鉄法であり、世界の直接還元鉄
     市場で約 6 割のシェアを有しております。電炉向けの需要拡大、高炉向けの CO2 削減ソリューションの提供、水素還元
     製鉄法への挑戦など、MIDREX®を通じた CO2 削減ソリューションを提供することで収益拡大を図ってまいります。
■電力事業
 ➢   神戸発電所における石炭火力発電においては、発電所の蒸気をもとに周辺地域に熱や水素を供給することで、地域全
     体でエネルギー利用の高効率化を図ってまいります。更に、電力事業部門とエンジニアリング事業部門が連携し、バイオマ
     ス燃料(下水汚泥、食品残渣)の混焼、アンモニア混焼などの CO2 削減の取り組みを強化し、世界最先端の都市型
     石炭火力発電所を目指してまいります。また、真岡発電所におけるガス火力発電においては、高効率 GTCC による低
     CO2 発電の安定操業を継続いたします。
 ➢   さらに、神戸発電所においては、アンモニアの混焼率拡大を進め、最終的には専焼へ挑戦してまいります。また、真岡発
     電所では、カーボンニュートラル都市ガスの最大活用を検討しており、これらの施策により 2050 年のカーボンニュートラル
     へ挑戦し、達成を目指してまいります。


【3】 経営基盤領域
「安定収益基盤の確立」および「カーボンニュートラルへの挑戦」を実現するための、経営体制の見直しや、多様な人材の活躍
推進など、経営基盤を強化する施策を継続いたします。
■経営体制の見直し
 ➢   当社は、本中期経営計画における課題を着実に進めるために、経営体制を見直し、取締役会のモニタリング機能の更な
     る強化、執行サイドの体制強化を行います。
■DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略推進
 ➢   2021 年 4 月に、ICT・AI 分野の技術開発・事業適用を強化・加速するために「デジタルイノベーション技術センター」を
     新設しました。また、当社グループの DX 戦略を統括的に立案、実行する「DX 戦略委員会」を設置しております。
 ➢   お客様起点で、当社グループのバリューチェーンをデジタル技術によって変革し、新たな価値を創造することで、社会・お客
     様の課題を解決することを基本方針とし、DX 戦略を推進してまいります。
 ➢   2021 年度から 3 ケ年で 450 億円規模の IT 設備投資を進めてまいります。
■多様な人材の活躍推進
 ➢   多様な技術と同様に、素材、機械から電力まで、多様な事業領域に多様な人材を有することも、当社グループらしさで
     あり、強みであります。新中期計画の実行にあたっては、この強みをさらに強化し、多様な人材の活躍推進を図るべく、人
     事制度変革、人材育成強化、ダイバーシティ&インクルージョン、働き方変革を中心に取り組んでまいります。
■信頼向上プロジェクト
 ➢   2017 年の品質事案の再発防止策につきましては、順調に進捗しておりますが、お客様からの更なる信頼回復と向上、
     品質事案の風化防止などを目的とした「信頼向上プロジェクト」を社長が引き続きリーダーとなり、推進してまいります。


                                                                 以上