5406 神戸鋼 2019-03-29 16:30:00
再発防止策の進捗状況に関する外部品質監督委員会の最終意見の受領に関するお知らせ [pdf]
2019 年 3 月 29 日
各 位
会社名 株式会社神戸製鋼所
代表者名 代表取締役社長 山口 貢
(コード:5406、東証第 1 部)
問合せ先 コーポレート コミュニケーション部長
・
本田 和幸
(TEL. 03-5739-6010)
再発防止策の進捗状況に関する外部品質監督委員会の最終意見の受領に関するお知らせ
当社は、2018 年 3 月 6 日付け「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」
(以下
「当社報告書」といいます)において、外部調査委員会の調査の結果、明らかになった検
査結果の改ざん等の不適切行為(以下「本件不適切行為」といいます)に関する事実関係
とその原因分析及び再発防止策等を公表いたしました。
また、当社報告書に記載された再発防止策を着実に実行するために、2018 年 4 月、社長
をリーダーとする「信頼回復プロジェクト」を立ち上げ、再発防止策の実行部隊として各
分科会及びタスクフォースを組成し、具体的な活動を推進して参りました。
そして、この再発防止策の進捗状況をモニタリングする組織として、同月、外部有識者
により構成された外部品質監督委員会(委員長:権藤世寧弁護士)を設置いたしました。
当社は、本件不適切行為の是正及び再発防止策の進捗状況について外部品質監督委員会
から継続的なモニタリングを受け、また、外部品質監督委員会による外部の客観的視点か
らのフィードバックを再発防止策に反映して参りましたが、今般、外部品質監督委員会か
ら再発防止策の進捗状況について、別紙のとおり最終意見を受領いたしましたのでお知ら
せいたします。この最終意見では、その結語において、当社における再発防止策は適切な
方法及び内容で、特段の支障なく予定どおり進捗しており、今後も、社外有識者を過半数
の構成員として新たに組成される「品質マネジメント委員会」の下、再発防止策の進捗管理
及び当社グループにおける品質マネジメントの向上のための取組みが継続的に行われるも
のと評価できることから、当委員会による再発防止策の進捗状況に対するモニタリングに
ついては平成 31 年 3 月末日をもって終了するものであるとの意見をいただきました。
当社といたしましては、新たに設置する「品質マネジメント委員会」の下、引き続き品
質を第一とする姿勢で再発防止に努めて参ります。
なお、上記最終意見において言及されている「品質マネジメント委員会」とは、再発防
止策の進捗管理及び当社グループにおける品質マネジメントの向上のための取組みを継続
的に行うことを目的として、当社が自主的に設置を決定した委員会であり、その概要は以
下のとおりです。
品質マネジメント委員会の概要
設置 : 2019 年 4 月(取締役会の諮問機関として設置)
目的 : ①当社グループにおける品質マネジメント強化活動のモニタリングと提言
②本件不適切行為に対する再発防止策の継続的なモニタリング
委員構成: 社外有識者 3 名、社内役員 2 名で構成(委員長は社外有識者より選出)
以 上
別紙
平成 31 年 3 月 28 日
株式会社神戸製鋼所 御中
再発防止策の進捗状況に関する外部品質監督委員会の最終意見
株式会社神戸製鋼所外部品質監督委員会
委員長 弁護士 権藤 世寧
委員 同志社大学法学部教授 河村 博
委員 兵庫県立大学教授 長野 寛之
貴社及びそのグループ会社における本件不適切行為(公的規格又は顧客仕様を満たさな
い製品等(不適合製品)につき、検査結果の改ざん又はねつ造等を行うことにより、これ
らを満たすものとして顧客に出荷又は提供する行為)に対する再発防止策の進捗状況(平
成 31 年 3 月 28 日現在)に関する外部品質監督委員会の最終意見は、以下のとおりである。
1 はじめに
外部品質監督委員会は、貴社及びそのグループ会社における本件不適切行為に対する
再発防止策の一環として、外部の客観的な視点から、貴社における本件不適切行為の是
正及び再発防止策の進捗状況を継続的にモニタリングするとともに、貴社グループが品
質コンプライアンスに関して直面する様々な課題についてその解決策を協議すること
を目的として一時的に設置された取締役会の諮問機関である。
外部品質監督委員会の開催実績及び活動内容は、以下のとおりである。
【開催実績及び活動内容】
第1回 平成 30 年 4 月 17 日 年間計画案の承認、委員長の選出等
第2回 平成 30 年 5 月 17 日 品質事案の概要説明
第3回 平成 30 年 6 月 7 日 事業所視察(大安製造所)
再発防止策の進捗状況等に関する製造所幹部とのディ
スカッション
第4回 平成 30 年 6 月 28 日 再発防止策の進捗状況の説明
第5回 平成 30 年 7 月 26 日 委員会意見の中間取り纏め(8 月 1 日取締役会へ報告)
第6回 平成 30 年 9 月 6 日 再発防止策の進捗状況の説明
委員会運営方針の確認
1
第7回 平成 30 年 10 月 10 日 事業所視察(真岡製造所)
再発防止策の進捗状況等に関する製造所幹部とのディ
スカッション
第8回 平成 30 年 11 月 14 日 再発防止策の進捗状況の説明
第9回 平成 30 年 12 月 5 日 再発防止策の進捗状況の説明
第10回 平成 31 年 1 月 31 日 事業所視察(株式会社コベルコマテリアル銅管)
再発防止策の進捗状況等に関する社長・工場幹部との
ディスカッション
第11回 平成 31 年 2 月 13 日 再発防止策の進捗状況に関するディスカッション
第12回 平成 31 年 3 月 6 日 再発防止策の進捗状況に関するディスカッション
第13回 平成 31 年 3 月 25 日 再発防止策の進捗状況に関する最終ディスカッション
また、外部品質監督委員会は、本日、平成 31 年 3 月 28 日現在における最新の再発防
止策の進捗状況に係る事実確認を貴社に対して要請し、貴社から事実の確認を得ている。
2 再発防止策の実施に関する貴社経営陣の姿勢について
再発防止策を着実に実行するために立ち上げられた「信頼回復プロジェクト」のリー
ダーである山口貢代表取締役社長は、平成 30 年 8 月に発行された「神戸製鋼グループ
統合報告書 2018」
(以下「統合報告書」という)において「本件不適切行為は、
『ものづ
くり』を生業とする当社グループにとって決してあってはならないことです。安全や環
境、防災に加え、コンプライアンスの尊重が、企業が存立・存続する上での土台であり
基礎であるということを改めて肝に銘じ、グループの全役員・社員が一致団結して信頼
の回復に努めていきます。そのためには、企業風土やガバナンスの抜本的な改革を再発
防止策に沿って愚直に推し進めていくことが不可欠であり、緊張感を持って確実にこれ
を遂行していくことが、社長である私の最大の使命であると認識しています」と述べて、
経営トップとして、コンプライアンスにコミットし、平成 30 年 3 月 6 日付け「当社グ
ループにおける不適切行為に関する報告書」(以下「貴社報告書」という)に基づく再
発防止策を実施することを通じた企業風土やガバナンスの抜本的な改革について、リー
ダーシップを発揮していく旨を社内外に対して明示的に宣言し、自ら製造拠点を訪れ、
企業風土を改革する上で核となる各拠点の部長クラスの社員と直接話をする対話活動
を積極的に実施している。
また、統合報告書においては、品質総括取締役である輿石房樹代表取締役副社長や、
コンプライアンス総括取締役である眞部晶平取締役専務執行役員のメッセージも掲載
されており、品質コンプライアンスの改善・強化を通じた信頼回復や、社員のコンプラ
イアンス意識の強化に取り組んでいく旨が明記されている。
2
よって、貴社の代表取締役社長をはじめとする経営陣は、相応の覚悟をもって本件不
適切行為に対する再発防止策の実行にコミットし、リーダーシップを発揮しているもの
と評価できる。
なお、日本取引所自主規制法人が平成 30 年 3 月 30 日に公表した「上場会社における
不祥事予防のプリンシプル」(以下「不祥事予防プリンシプル」という)は、上場会社
における不祥事(重大な不正・不適切な行為等)を予防する取組みにおいて、経営陣、
とりわけ経営トップによるリーダーシップの発揮が重要であるとしており、以上のよう
な経営陣の姿勢は、不祥事予防プリンシプルの提言に沿うものであるという意味でも評
価に値するところである。
3 貴社報告書記載の再発防止策について
貴社報告書においては、貴社及びそのグループ会社における本件不適切行為の根本的
な原因は、①収益偏重の経営と不十分な組織体制、②バランスを欠いた工場運営と社員
の品質コンプライアンス意識の低下、及び、③本件不適切行為を容易にする不十分な品
質管理手続にあったと整理されている(貴社報告書 40 頁)
。そこで、本件不適切行為に
関する貴社の再発防止策は、これらの根本原因に対応する形で、Ⅰ.品質ガバナンス体
制の構築、Ⅱ.品質マネジメントの徹底、及びⅢ.品質管理プロセスの強化という 3 つ
の柱から構成され、以下のとおり、この 3 つの柱に基づいて体系化された個々の再発防
止策が実施されている。
3
このように、貴社の再発防止策は、事実関係等の調査の結果特定された根本的な原因
に対応する形で適切に体系化されており、個々の再発防止策の内容を含め、基本的には
適切に策定されているものと評価できる1。
4 貴社報告書記載の再発防止策の進捗状況及び具体的内容の妥当性について
貴社の再発防止策の進捗状況は、貴社のウェブサイトにおいて継続的に対外公表され
ており、平成 31 年 3 月 28 日現在において、以下のとおり計画通り進められていると評
価できる。
【再発防止策の進捗状況(平成 31 年 3 月 28 日時点)】
外部品質監督委員会は、具体的な再発防止策のモニタリング及びフィードバックを行
うにあたって、貴社から個々の再発防止策の具体的な内容の説明や、その進捗状況の報
告を受け、継続的に議論を行うとともに、本件不適切行為が発覚した事業所の一部につ
き現地視察と事業所幹部からの聞き取りを行った(前記【開催実績及び活動内容】参照)
。
1
外部品質監督委員会の他にも、経済産業省の主催する CGS 研究会(コーポレート・ガバナンス・システ
ム研究会)
(座長:神田秀樹学習院大学大学院法務研究科教授)において、貴社の再発防止策がグループガ
バナンスの「守り」の側面に関するベストプラクティスの一例として紹介されていることも、貴社の再発
防止策の適切性を示す証左といえる(CGS 研究会(第 2 期)第 7 回(平成 30 年 6 月 22 日開催)資料 4:
事務局説明資料「グループガバナンスにおける『守り』の論点について」21、24 及び 25 頁参照)
。
4
その上で、再発防止策の評価にあたっては、不祥事予防プリンシプルの趣旨に沿うか
という観点も一要素として考慮した。
以下、個々の再発防止策について、その具体的な方法、内容及びその進捗状況の詳細
やその評価を述べることとする。
(1) 品質ガバナンス体制の構築
品質ガバナンス体制の構築は、本件不適切行為の根本的原因の一つである「収益偏
重の経営と不十分な組織体制」を改めるための取組みであり、本件不適切行為の背景
にあった貴社グループの組織、体制、社員の品質に関する考え方を改善することを目
的とするものである。
ア. グループ企業理念の浸透
グループ企業理念を浸透させる観点から、貴社は、貴社グループの全社員が一つ
になって「誇り、自信、愛着、希望」あふれる企業集団を形成し、持続的に発展し
ていくことを目指した活動として、平成 29 年度から「KOBELCO の約束 Next100 プ
ロジェクト」を実施し、本件不適切行為の再発防止という観点から、これを積極的
に推進することにより、貴社の企業理念(KOBELCO の 3 つの約束)やそれを実現す
るための指針としての「KOBELCO の 6 つの誓い」を貴社グループの全社員に浸透さ
せる活動を進めている。
具体的な活動としては、以下の活動が認められた。
(a) 本プロジェクトの核となる全事業部門における各拠点の部長クラス及び製
造現場において中核的役割を担う係長に社長の思いを直接伝え、当該部長ク
ラスにこのプロジェクトの各拠点における「実践の核」となって行動しても
らうことを目的として、社長による各拠点における対話活動を実施済みであ
る。
(b) 平成 30 年 7 月には、貴社の全社員を対象とした「社員意識調査アンケート」
を実施済みであり、そこで汲み上げられた課題に対処するための具体的施策
を検討している。
(c) 本件不適切行為に関して顧客からいただいた様々な意見や指摘等を取り纏
めた「お客様の“声”」と題する資料を作成の上、社内研修等においてこれ
を活用している。
(d) 上司と部下との間の双方向のコミュニケーションを充実させるため、毎年
5
10 月を「KOBELCO の約束月間」と定め、各部において、上司と部下が何でも
言い合える場を持つための「語り合う場」活動の実施をしている。
前記(a)から(d)に記載する取組みは、貴社グループ全体として、品質よりも収益
や納期を優先させる考え方は貴社の経営方針には沿わないものであることをマネ
ジメント層も含めた全社員に浸透させるとともに、コンプライアンスの観点から疑
問を感じる行為を見聞きした場合には、ためらわずに上司に相談できる風土を築く
ことに資するものであると評価できる。
また、不祥事予防プリンシプル原則 3 においては、
「現場と経営陣の間の双方向
のコミュニケーションを充実させ、現場と経営陣がコンプライアンス意識を共有す
る。このためには、現場の声を束ねて経営陣に伝える等の役割を担う中間管理層の
意識と行動が極めて重要である。こうしたコミュニケーションの充実がコンプライ
アンス違反の早期発見に資する。」と指摘されるところ、前記の様々な役職の役員
と従業員間での双方向のコミュニケーションを図る各活動は、この不祥事予防プリ
ンシプルの原則の趣旨にも沿うものと認められた。
よって、グループ企業理念の浸透という課題については、適切な方法及び内容で
実施されているものと評価できた。
イ. 取締役会のあり方
貴社は、平成 30 年 6 月に開催した株主総会決議において、独立社外取締役の構
成比を 3 分の 1 以上とすることや、役割・責任の明確化の観点からリスク管理や品
質管理を総括する取締役を配置することを決議するなど、品質ガバナンスを実現し、
コンプライアンスを強化するための取締役会のあり方を検討し、これに資する様々
な体制整備を進めている。
【取締役会のあり方に関する体制整備】
① 独立社外取締役の構成比を 3 分の 1 以上とする
② 指名・報酬委員会の設置
③ 会長職を廃止し、独立社外取締役から取締役会の議長を選出
④ 事業部門から選出される取締役を素材系 1 名、機械系 1 名、電力 1 名とする
⑤ リスク管理総括取締役を配置
⑥ 品質管理総括取締役を配置
⑦ 取締役会の諮問機関として外部品質監督委員会を設置
6
よって、取締役会のあり方としても、適切な方法及び内容で組織体制の改善が実
施されているものと評価できる。
ウ. リスク管理体制の見直し
貴社は、グループのリスク管理及びコンプライアンス体制の強化を目的として、
平成 30 年 4 月、本社内にコンプライアンス統括部を設置済みであり、同部の活動
を通じて、事業横断的なリスク管理や意識改革・教育を進める体制を整備した。そ
して、貴社グループとして最低限整備すべきルールをグループ標準として取り纏め、
その導入、整備を進めている。
さらに、貴社は、コンプライアンス意識調査アンケートを定期的に実施すること
とし、平成 30 年 7 月には、貴社報告書の公表後、第一回目となるコンプライアン
ス意識調査アンケートを実施した。このような取組みを通じて、実態把握に努める
とともに、そこで汲み上げられた課題に対処すべく、検討を進めている。
そこで、外部品質監督委員会は、当該アンケートの結果を踏まえて、内部通報制
度が社員にとって、安心できる、より使い易いものとするための改善活動を実施す
べき旨を指摘したが、これを受けて、貴社においては、通報者保護の強化を含む内
部通報制度の改善に向けた取組みを開始している。
よって、リスク管理体制の見直しについては、適切な方法及び内容で実施されて
いるものと評価できる。
エ. 事業部門の組織再編、及びグループ会社の再編
貴社においては、長期間継続されていた本件不適切行為が多数確認されたアル
ミ・銅事業部門を中心に、組織の閉鎖性を含む問題等に対処するため、事業所・本
社間における人事異動を実施するなどしている。また、「素材系事業」の強化を目
的とした組織のあり方についても検討を開始している。
また、外部品質監督委員会は、子会社、関連会社における民事、行政、刑事的責
任は子会社、関連会社で負うべきであり、当該子会社、関連会社の社長等は自らが
責任者であるという自覚を持って行動すべきであるという基本原則を前提としつ
つ、貴社との関係や実態に即して貴社がどのように関わっていくべきかを十分検討
することが必要である旨を指摘した。
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これに対して、貴社においては、グループガバナンスを強化し、本社から各グル
ープ会社に対するよりきめ細やかな支援・管理を行う体制を整備するために、各グ
ループ会社をリスク管理の観点から再評価し、既に一部のグループ会社におけるリ
スク管理体制の強化に着手している。
不祥事予防プリンシプル原則 5 においては、「グループ全体に行きわたる実効的
な経営管理を行う。管理体制の構築にあたっては、自社グループの構造や特性に即
して、各グループ会社の経営上の重要性や抱えるリスクの高低等を踏まえることが
重要である。」と指摘されるところ、貴社における前記の各施策は、事業所と本社
の交流が乏しかった貴社の特性を踏まえた上での取組みであり、その取組みが不十
分であったグループ会社に対するガナバンスを強化する改革でもあり、この不祥事
予防プリンシプル原則の趣旨にも沿うものと認められた。
よって、事業部門の組織再編、及びグループ会社の再編に係る適切な検討を通じ
て、事業部門、及びグループ会社のガバナンス強化に向けた取り組みは、適切な方
法及び内容で実施されているものと評価できる。
オ. 事業部門間の人事ローテーション、及び、現場で生じる諸問題の掌握
貴社は、各事業部門における人事の固定化に伴うリスクを排除し、広い視野を持
った人材の育成、人材の流動化による組織の活性化、事業横断的な連携の強化を目
的として、事業部門間の人事ローテーションの仕組みを検討するとともに、既に一
部の事業部門間で人事ローテーションを開始している。
そして、前記の社長による対話活動に加え、各事業部門の長を含む経営幹部によ
る対話活動も並行して実施している。
さらに、貴社においては、ものづくり推進部、IT 企画部、技術開発本部等の本社
部門の人員により構成される「品質キャラバン隊」を組織して、グループ会社を含
む生産拠点にこれを派遣し、困りごと等の相談に応じるなどして、リスク情報を事
前に吸い上げるための活動を実施している。この「品質キャラバン隊」の派遣状況
であるが、平成 31 年 3 月 28 日時点で、対象拠点 132 拠点のうち 113 拠点2の訪問を
完了しているところである。
2
対象拠点 132 拠点のうち、未訪問である 19 拠点についても、困りごとを解決するための情報提供等の支
援を実施している。
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不祥事予防プリンシプル原則 1、解説 1-3 において、
「本来機能すべきレポーティ
ング・ラインが目詰まりした場合にも備え、内部通報や外部からのクレーム、株主・
投資者の声等を適切に分析・処理し、経営陣に正確な情報が届けられる仕組みが実
効性を伴って機能することが重要である。」と指摘されているところ、前記「品質
キャラバン隊」の活動は、①定期的に、②品質問題に知見を有する本社部門の人間
が、③直接各生産拠点に訪問することから、本来のレポーティング・ラインとは異
なる経路で経営陣がリスク情報を把握することに資するシステムであると評価で
き、この不祥事予防プリンシプル原則 1 の趣旨にも沿うものである。
外部品質監督委員会としては、上記の理由から「品質キャラバン隊」の活動は重
要な取組みであるため、継続的に実行する必要がある旨指摘したところであるが、
貴社としても今後継続して実行していく予定であるとのことであった。
よって、事業部門間の人事ローテーション、及び、現場で生じる諸問題の掌握に
ついては、適切な方法及び内容で実施されているものと評価できる。
カ. 品質憲章の制定、品質保証体制の見直し、及び事業管理指標の見直し
貴社は、本件不適切行為に関する反省を踏まえ、企業理念の根底に流れる品質に
関する考え方を宣言した品質憲章を制定した。
また、貴社は、平成 30 年 1 月、本社に「品質統括部」を新設し、①各製造所に
おける独立した品質保証組織、②各事業部門における当該事業部門直轄の品質保証
組織、及び、③本社の品質統括部から成る 3 階層構造の品質保証体制を整備済みで
あり、さらに、②の事業部門直轄の品質保証組織には、本社の品質統括部との兼務
者を配置することで事業部門単独ではない管理体制を整備済みである。
さらに、貴社は、収益評価のみに偏ることなく、持続的な企業価値向上を実現す
る観点から、①事業継続リスクを定量的かつ網羅的に把握できること、②万遍なく
内部統制機能を発揮すること、及び③長期運用に耐えられること、という基本的な
要件に基づき、法令・契約遵守、安全、品質安定性、経済性、顧客満足度、社員意
識、環境負荷の各視点から事業管理指標の定立を検討しているところである。
よって、品質憲章の制定、品質保証体制の見直し、及び事業管理指標の見直しな
どの点については、適切な方法及び内容で実施されるものと評価できる。
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(2) 品質マネジメントの徹底
標記の対策は、貴社グループ全体に品質コンプライアンスの意識を浸透させ、品質
コンプライアンスを強化することによって、本件不適切行為を含む品質に関わる不正
行為の再発を防止するための取組みである。
貴社の実施した主要な取組みは,以下のとおりである。
ア. 品質マネジメントの対策
貴社は、品質マネジメントを強化する観点から、本社組織として、各事業部門の
品質保証部署を統括するとともに、品質に関する監査を行い、各事業部門の品質に
関するリスク情報の収集及び課題の把握を行い、それらを必要に応じてグループ全
体へと展開するとともに、定期的に経営幹部に報告・共有することを目的として、
平成 30 年 1 月、品質統括部(平成 31 年 3 月 28 日時点で在籍人数は 30 名)を設置
し、目的に沿う活動をしている。
外部品質監督委員会としては、他の事業所や拠点における品質問題を、経営陣を
含め全社的に情報共有することが重要と考えており、不祥事予防プリンシプル原則
4、解説 4-1 においても、
「同様の違反や類似の構造が他部署や他部門、他のグルー
プ会社にも存在していないかの横展開を行い、共通の原因を解明し、それに即した
業務改善を行う。こうした一連のサイクルが企業文化として自律的・継続的に機能
することで、コンプライアンス違反が重大な不祥事に発展することを未然防止する。
この取組みはコンプライアンス違反の発生自体を抑止する効果を持ち得る」と指摘
されるところ、品質統括部は、グループ全体に存在する品質リスクの集約並びに係
るリスクの経営陣への報告及び横展開を行う部署として活動しており、まさに、当
委員会の問題意識及びかかる不祥事予防プリンシプル原則の趣旨にも沿う体制に
なっていると認められた。
また、貴社においては、
(1)カ.記載の品質保証体制の 3 階層構造の 2 階層目
に当たる事業部門直轄の品質保証組織を設置し、営業部門や製造部門からの独立性
を確保することに加え、本件不適切行為の再発を防止するとともに、品質憲章に示
された「信頼される品質」を実現するため、平成 30 年 5 月、「品質ガイドライン」
を制定し(なお、「品質ガイドライン」は品質保証規程の下位規程として、貴社の
業務規程の一部を構成する。、品質保証部署が設計・製造部門や技術部門から独立
)
した品質保証体制を構築すること等を明記したところ、このガイドラインに基づく
体制整備は、貴社及びグループ会社において既に完了済みである。
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さらに、貴社は、貴社及びグループ会社の品質保証担当者を対象として、関連施
策に関するフォローアップや情報共有等を行うグループ品質リーダー会議を開催
しており(日本のほか、米国、東南アジア、中国でも開催)、この会議は今後も継
続的に開催する予定であることが認められた。
よって、品質マネジメントの対策は、適切な方法及び内容で実施されているもの
と評価できる。
イ. 品質保証人材のローテーションと育成、及び品質に係る社内教育
貴社は、品質保証人材のローテーションと育成の観点から、貴社及びグループ会
社を対象とする品質保証人材マップを作成済みであり、平成 31 年度から、本社、
各事業部門及びグループ会社の間での人的交流を図るために、人材ローテーション
を運用する予定である。そのために、貴社は、既に品質保証業務の経験者の採用や
品質保証業務担当者に対する教育の強化のための活動を開始している。
貴社は、このような活動のために、品質保証人材に求める貴社グループ共通の要
件とその評価の仕組みを整備し、教育の体系化及び教育研修プログラムへの反映を
進めている。加えて、貴社は、品質リスク対策として、 (Failure Mode and Effect
FMEA
Analysis3)、FTA(Fault Tree Analysis4)
、DR(Design Review5)等の研修を整備し
ていることも認められた。
さらに、貴社は、貴社及び国内グループ会社のライン長(約 600 名)を対象とし
て、品質・コンプライアンス研修を実施済みである。また、当該研修の対象者以外
の社員に対しても、e-learning による品質教育を実施しているほか、貴社グループ
のイントラネットに創設した「品質サイト」を通じて、信頼回復プロジェクトの進
捗状況を共有できる機会を作出していることが認められた。
3
Failure Mode and Effect Analysis(故障モード影響解析)とは、設計段階において、製品の故障類型を含
め、設計以降の後工程において生じ得る故障や不具合のリスクを抽出し、定量的に重みづけをした上で、
優先順位を付けて未然防止の対策を講じることにより当該リスクを低減する方策を実施することをいう。
4
Fault Tree Analysis(故障の木解析)とは、製品の故障や不具合等、好ましくない事象の原因をツリーの
形で視覚化して分析を行い、問題の根本原因を明らかにして再発防止策を講じる手法をいう。
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Design Review(デザイン・レビュー)とは、開発から量産化完了までの各段階における設計開発審査を
いう。受注プロセスにおいてデザイン・レビューを行うことにより、製造能力等の観点から量産が困難な
仕様により受注してしまうリスクを回避することが可能となる。
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外部品質監督委員会は、品質保証業務は極めて重要なものであるが、これに対す
る評価を行うことが困難な部門でもあると思料されるため、例えば、社内資格を設
けてインセンティブを与えるなど人事評価のあり方を検討する必要があるととも
に、人事評価にあたっては、事業所とは独立した部門が品質保証部署の構成員に対
する人事評価を行う必要がある旨を指摘したところであるが、このような指摘を踏
まえて、貴社では、品質保証業務を含む専門機能人材については、本社の統括部署
に人事権限を持たせ、統括部署が主体的に計画的なローテーション・育成等を実行
できる体制の構築を進めていることが認められた。
以上の各事実を総合すれば、品質保証人材のローテーションと育成、及び品質に
係る社内教育などは、適切な方法及び内容で実施されているものと評価できる。
ウ. 本社による品質監査
貴社は、本社による各事業部門への品質コンプライアンスの支援策の一環として、
品質統括部の品質監査室が、貴社及びグループ会社(合計 117 拠点6)を対象とした
品質監査を実施している。
当該品質監査においては、①法令・顧客仕様の遵守状況の確認、②不正防止の観
点からの品質マネジメントシステムの実効性の確認、③管理職の意識、姿勢や拠点
における教育・研修の実施状況の確認、及び、④再発防止策の実施状況の確認を監
査項目としており、平成 31 年 3 月 28 日時点で、対象 117 拠点全ての監査を完了し
ている。
本社による支援策に関して、外部品質監督委員会は、例えば、小規模なグループ
会社においては人的資源等の制約が試験・検査装置の自動化などの設備投資を行う
支障となりうる点を指摘した。この指摘に従い、貴社では品質キャラバン隊の派遣
による支援活動を通じて人的資源の十分性や設備投資の必要性を確認の上、既に先
行して試験・検査装置の自動化を実施している他事業所の具体例を紹介し、検査機
器メーカーを紹介するといった対応、支援を行うことにより、グループ会社の負担
を軽減する取組みを行っている。
6
平成 30 年度の品質監査対象は 118 拠点を計画していたが、一部の拠点の見直し(分離・統合)を行った
結果、117 拠点となっている。
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以上のような各般の事実に照らせば、本社による品質監査は、適切な方法及び内
容で実施されているものと評価できるところである。
(3) 品質管理プロセスの強化
標記の対策は、本件不適切行為を可能とする環境を除去し、品質に関わる不正行為
の機会を排除した品質管理プロセスを構築する取組みである。
この取組みに関し、外部品質監督委員会は、例えば、貴社に材料や部品を納入して
いる業者(いわゆるサプライチェーンの川上にあたる仕入先)や外注委託先等、必ず
しも貴社グループに含まれない関係者についても、その品質管理・品質保証体制の把
握・確認に努めることが重要であることを指摘した。この指摘に従い、貴社において
は、貴社の各製造拠点において、上記のような納入業者や外注委託先の品質管理・品
質保証体制について十分に把握・確認できているか否かについて、これを本社品質統
括部が行う品質監査項目に加えることにより、実態把握の強化に取り組むことを検討
し、その実現を予定している。
なお、本件不適切行為が多数確認されたアルミ・銅事業部門においては、本件不適
切行為発覚直後より応急対策として、以下の①乃至④の対策を実施済みであり、平成
31 年 3 月 28 日現在でも同応急対策は継続されているところである(なお,以下①及
び②の作業については恒久対策完了まで継続することとしている)。
① 試験・検査データとミルシートの突合せ
出荷前に事業所の所長又は品質保証部署の管理職が全てのミルシートの記載と
試験・検査元データとの突合わせを行う。
② 手入力した試験・検査結果に対する二重チェック
作業者が手入力した試験 検査データについては、
・ 上位者が二重チェックする。
③ データベースへのアクセス権の制限
試験・検査結果が格納されるデータベースに対するアクセス権を品質保証部署
とシステム管理部署に制限するとともに、パスワードによるアクセス制限をか
け、また、事後的にデータの改変の有無を検証できるように編集履歴を残す仕
様とする。
④ 出荷基準の適正化
顧客仕様よりも厳しい社内基準が出荷基準として運用されていたことが、デー
タ改ざんの理由となっていた場合があったこと(顧客仕様を満たしているにも
かかわらず、社内基準を満たさないという理由で数値の改ざんが行われる場合
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があった)を踏まえ、出荷承認判定は顧客仕様を基準とする。
上記の応急対策に加えて、貴社では、再発防止策として、時間的な制約から応急対
策としては実施できなかった、以下の長期的・恒久的な品質管理プロセスの構築に係
る具体的施策を検討、実行中であることが認められた。
ア. 試験・検査データの不適切な取扱い機会の排除及び出荷基準の一本化、並びに工
程能力の把握と活用
まず、試験・検査データについて不適切な取扱いをする機会を排除するため、貴
社及びグループ会社においては、試験・検査プロセスの自動化に向けて、投資計画
を策定している。この投資計画によれば、平成 32 年度末までに約 1,800 件の試験・
検査装置の自動化を計画しており、平成 31 年度末までに約 80%を完了する見込みで
ある。
また、試験・検査プロセスの自動化が進んでいない、或いはその自動化が技術的
に困難な試験・検査項目については、前記の「品質キャラバン隊」の活動を通じて
実状や課題を把握するなどして、貴社本社も積極的に関与する形で問題の解決に向
けた検討を行っている。また、上記のような困難のある試験・検査項目については、
一人作業によるリスクを低減する観点から、作業ログの確認や複数人による二重チ
ェック等の体制を取ることとして改善を図っていることが認められた。
つぎに、出荷基準の適正化という観点では、顧客仕様と社内規格という二重の出
荷基準の存在が、顧客仕様を満たしているのに、社内規格を満たさないという理由
で数値の改ざんを行うという不適切行為の動機ないし遠因となっていたことを踏
まえ、出荷承認判定に用いる基準は社内規格ではなく、顧客仕様に一本化すること
をルール化していることを確認した。また、外部品質監督委員会は、本質的な品質
の安定化を進めることが重要である旨を指摘した。
この指摘に対し、貴社では、より安定した品質管理を目的とする社内規格の活用
や、工程能力指数などの活用による工程能力の把握と向上を進めている。
さらに、工程能力の把握等の面では、各事業部門、製造拠点における製造能力を
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適切に把握する観点から、工程能力指数7を目的に応じた切り口(製造ライン、製造
品種、試験・検査項目、顧客等)で把握し、それを受注承認プロセスにおける判断
に活用する仕組みの整備を推進している。
なお、貴社の制定に係る「品質ガイドライン」にもこの点を明記するとともに、
具体的な対応策の一環として、例えば、顧客から提案された仕様に対して工程能力
が不足する場合には、製造設備の改善等により工程能力の向上を図るか、当該仕様
の緩和を図るなどの措置を講じることを求め、受注承認プロセスの明確化を行って
いる。
また、外部品質監督委員会は、不良品が生じた場合には、それを技術力向上の好
機ととらえ、常にその原因を究明し、技術的対策を講じることを通じて、競合他社
との差別化に繋げていくことに役立てなければ、製造能力の改善,向上には繋がら
ず、今回問題とされた事案とは形を変えた品質問題を招くおそれがあるとの考えの
もと、中長期的には、技術力の向上等による工程能力の継続的な改善・向上が必要
である旨を指摘した。
この指摘を踏まえて、貴社では、工程能力の継続的な改善・向上を実効的に行う
ためには、工程能力自体を正確に把握することが必要不可欠であるとの前提に立っ
て、工程能力指数などを適用することにより、求められる規格に対する製造プロセ
スにおける品質特性のばらつきの度合いの把握を進めている。加えて、貴社では、
そのように把握した品質特性のばらつきの度合いを、設備投資などによる工程能力
向上策の検討や受注承認プロセスにおける工程能力の確認に継続的に活用してい
くことを検討している。
以上のような情況を総合すれば、試験・検査データの不適切な取扱い機会の排除
及び出荷基準の一本化、並びに工程能力の把握と活用という面でも、貴社の取組み
は適切な方法及び内容で実施されているものと評価できる。
イ. 新規受注時/製造プロセス変更時の承認プロセスの見直し、及び、設備投資時に
おける品質リスクアセスメントの推進
外部品質監督委員会は、新規受注時に、①工程能力を超えた製品、又は②試作段
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工程能力指数とは、ある製品を製造する場合に、定められた公差範囲内で製品を生産することができる
能力を表す指標のことをいう。
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階では作成可能であったが量産化時点では作成が困難となる製品を受注してしま
うことが本件不適切行為の一因であると考えられたことから、自社の工程能力を適
切に把握するとともに、量産化プロセスにおける改善活動も重要である旨指摘した。
この指摘も踏まえて、貴社では、各事業部門において、受注承認プロセスにおけ
る DR(デザイン・レビュー)を徹底することとし、製造能力等の観点から無理のあ
る又は厳し過ぎる仕様により受注してしまうリスクを低減する手続の整備を推進
しており、このような整備の全社的な展開を図っている。
また、貴社では、製造拠点においていわゆる 4M Man 人) Machine 設備)Material
( ( 、 ( 、
(材料)、Method(方法)
)に有意な変更を加える場合には、当該変更が品質に与え
る影響や、顧客仕様との整合性を適切に把握し、4M の変更によって品質上の不具合
や顧客仕様との不整合が生じることを未然に防止する手続の整備を推進している。
なお、これらの手続を整備すべき旨は、前記「品質ガイドライン」に明記されて
いるところであり、貴社は、グループ全体の受注承認プロセス及び品質リスクアセ
ス面の改善、向上に努めているものと認められる。
つぎに,品質リスクアセスメントの推進の点については、従前の設備投資基準は
収益率や費用の回収期間に焦点を当てたものとなっており、これを前提とした場合
には、品質関連の投資(新たな試験・検査装置の導入等)は検討俎上に載りにくい
という問題が存在したことから、貴社では、品質リスク低減の観点を加えた新しい
設備投資基準を導入し、品質リスク低減の観点からも適切な設備投資が行われる仕
組みの整備を推進している。
なお、平成 31 年度以降の重要な設備投資については、品質リスクアセスメント
を推進し、これの投資判断への活用を予定していることが認められる。
以上の諸事実に鑑みれば、貴社における新規受注時/製造プロセス変更時の承認
プロセスの見直し、及び設備投資時における品質リスクアセスメントの推進は、い
ずれも適切な方法及び内容で実施されているものと評価できるものである。
5 品質マネジメント委員会の設置
外部品質監督委員会は、①貴社グループにおける品質マネジメントの強化活動のモニ
タリングと提言、②本件不適切行為に対する再発防止策の継続的なモニタリングを目的
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として、平成 31 年 4 月から、取締役会の諮問機関として、社外有識者 3 名、社内役員 2
名の 5 名で構成され、委員長は社外有識者から選出される「品質マネジメント委員会」
を設置する旨の報告を受けている。
同委員会においては、再発防止策の進捗状況の継続的なモニタリングに加えて、品質
に関する専門的な知見を有する社外有識者と、貴社特有の諸事情に精通した社内役員と
の間で、品質マネジメントのあり方やその実務への落とし込みに関する積極的かつ建設
的な議論を継続的に行うことを予定しているとのことである。
外部品質監督委員会としては、「品質マネジメント委員会」の活動によって、本件不
適切行為の再発防止策に対する客観的視点からの進捗管理が今後も継続されるととも
に、品質マネジメントのあり方からその実務への落とし込みに至るまで、より深掘りし
た分析・検討が為され、貴社がこれに基づく諸施策を実行していくことを期待する次第
である。
6 結語
以上のとおり、平成 31 年 3 月 28 日現在においては、一部の再発防止策が検討中又は
実施中の状況ではあるものの、特段の支障なく予定どおり進捗していると評価できる。
また、再発防止策の具体的内容も、本件不適切行為の根本原因を解消する観点から実
効性があるものと評価することができる。なお,貴社の再発防止策は、不祥事予防プリ
ンシプルの趣旨に沿ったものとなっているという観点からも妥当と評価できるものと
認められた。
これらを踏まえると、貴社における再発防止策は適切な方法及び内容で、特段の支障
なく予定どおり進捗しており、今後も、社外有識者を過半数の構成員として新たに組成
される「品質マネジメント委員会」の下、再発防止策の進捗管理及び貴社グループにお
ける品質マネジメントの向上のための取組みが継続的に行われるものと評価できるこ
とから、当委員会による再発防止策の進捗状況に対するモニタリングについては平成 31
年 3 月末日をもって終了するものである。
以 上
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