5406 神戸鋼 2021-02-16 10:00:00
「KOBELCOグループの製鉄工程におけるCO2低減ソリューション」~高炉工程でのCO2排出量を約20%削減できる技術の実証に成功~ [pdf]

                                                      2021 年2月 16 日
各 位
                              上場会社名    株式会社神戸製鋼所
                              代表者名     代表取締役社長 山口 貢
                                       (コード番号:5406 東証第 1 部)
                              問合せ先     コーポレート・コミュニケーション部長
                                       中森 慶太郎
                                       (TEL:03-5739-6010)


            「KOBELCO グループの製鉄工程における CO2 低減ソリューション」
            ~高炉工程での CO2 排出量を約 20%削減できる技術の実証に成功~


 当社は、多様な事業を営む企業としての特徴を活かし、エンジニアリング事業のミドレックス技術※1 と
鉄鋼事業の高炉操業技術を融合し、高炉工程での CO2 排出量を大幅に削減できる技術の実証に成功致しま
した。
 実証試験は、2020 年 10 月に加古川製鉄所の大型高炉(4,844 ㎥)で約1か月にわたり行っております。
 実証試験では、高炉に MIDREX 🄬プロセス※2 の HBI(還元鉄※3)を多量に装入し、高炉からの CO2 排出量を
決定づける還元材比(高炉で使用する炭素燃料使用量※4) 518kg/t-溶銑から 415kg/t-溶銑に安定的に低
                                   を
減(CO2 排出量を従来比※5 の約 20%削減)できることを確認しました。
 また世界最小水準のコークス比(239kg/t-溶銑)も同時に達成できており、現有する技術を用いた CO2 低
減策の中では、安価な追加コストで CO2 を削減できるソリューションを提供できる目途が立ったと考えて
おります。


【今回の技術における CO2 削減コスト】
                                                  ∗
 = HBI 装入量×HBI 単価-鉄鉱石削減量×鉄鉱石単価-還元材削減量×還元材単価( )+設備コスト+その他
                CO2 削減量(=還元材削減量×CO2 発生係数)

       *還元材削減量×還元材単価=コークス削減量×コークス単価+微粉炭削減量×微粉炭単価
       (一般的な原料単価水準: HBI>コークス>鉄鉱石>微粉炭)


 なお、今回の成果に至ったキーテクノロジーは、次の通りです。
      ① エンジニアリング事業におけるミドレックス HBI 製造技術
      ② 鉄鋼事業における高炉操業技術:高炉への HBI 装入技術、AI を活用した操炉技術、当社独自の
        ペレット改質技術
 すべて KOBELCO グループ独自開発ですが、汎用性のある高炉向けソリューション技術です。


 今後も引き続き、CO2 排出量の更なる削減、ならびに CO2 削減コストの低廉化など、低 CO2 排出高炉操業
技術のブラッシュアップにチャレンジしていきます。自社の CO2 削減のみならず、今回のソリューション
をベースに、全世界の高炉で HBI 装入による CO2 削減が加速されるよう貢献していきたいと考えておりま
す。
 さらに、今回、実機での実証実験が成功したことから、低 CO2 高炉鋼材のお客様への提供に向けて大き
く前進したものと考えております。サプライチェーン全体で環境問題へ取り組む中で、新たな価値を付加
した低 CO2 高炉鋼材をお客様に速やかにご提供できるよう生産・販売体制の構築や販売条件の設定を進め
てまいります。
 政府が宣言した 2050 年カーボンニュートラルに向けたグリーン社会へ貢献するために、より多くの CO2
をできるだけ安価な手法で、しかも一日も早く低減する技術を開発・確立することが KOBELCO グループの
使命です。
 これまでもこれからも KOBELCO グループは、
                         「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や
希望を叶えられる世界」を実現するために「個性と技術を活かし合い、社会課題の解決に挑みつづけ」ま
す。


 ※1 米国の KOBELCO グループ 100%子会社(Midrex Technologies, Inc.)が有する直接還元製鉄法に関する
     技術。

 ※2 MIDREX 🄬プロセスは、天然ガスを使った還元鉄製鉄法であり、世界の約 80%(還元鉄全体では約 60%)
     を占めるリーディングプロセス。本方式は、天然ガスを還元材として、鉄源は粉鉱石を加工したペレッ
     トを使用してシャフト炉によって還元鉄を製造。高炉法に比べ、製鉄工程での CO2 排出量を 20~40%抑
     制できることなどが特長。世界で 90 基以上の納入実績がある。

 ※3 Hot Briquetted Iron(熱間成形還元鉄)の略。還元鉄はそのままでは長距離輸送に適さないため、還元
     炉より排出された高温の還元鉄をある程度の大きさの塊(Briquette)に押し固めたもの。

 ※4 還元材比=コークス比(高炉でのコークス使用量)+微粉炭比(高炉へ吹込む微粉炭量)

     コークス:石炭からつくられた炭素燃料、微粉炭:粉砕した石炭

 ※5 CO2 削減に関する国や KOBELCO グループの目標の基準年である 2013 年度と比較している。




                                                                 以 上